加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(令和7年6月17日(火曜)9時44分~9時54分)
【質疑応答】
- 問)
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石破首相が自民党総裁として打ち出した全国民への現金給付の案について、大きく3点伺います。
まず財源についてです。石破首相は、予算規模は3兆円台半ばとした上で、赤字国債には依存しないと述べ、税収の上振れ分を充てることも見込んでいるとしています。財政当局としてどのように手当てをするお考えでしょうか。
また、朝日新聞の世論調査では、現金給付を評価しないとの回答が67%に上り、他社の世論調査でも評価しないという意見が過半を超えています。現金給付案が国民から支持を得ていないと見られることについて、どのように受け止められますでしょうか。
最後に、全国民を対象とした現金給付は、財政健全化を目指す政府の姿勢とも矛盾すると考えますが、財務大臣としてはどのようにお考えでしょうか。お願いいたします。 - 答)
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まず2番目の世論調査のコメントでありますが、これは従前からも1つ1つのコメントは差し控えさせていただいているところでございます。
その上でどのように手当てをするのか、あるいは財政健全化を目指す政府の姿勢との関係でありますけれども、先般6月13日の会見で石破総理は、自民党総裁として政調会長に対して、決してばらまきではなく本当に困っておられる方々に重点を置いた給付金を、来たるべき参院選の公約に盛り込むよう検討すること、その際、財政を悪化させない、将来世代に負担を負わせることは決してないように、税収動向などを見極めながら適切に財源を確保して、赤字国債には依存しないということなどについて指示をした旨を述べておられます。
今後、党において具体的な検討が進められるものと承知をしており、政府としては、それらを踏まえ適切に対応していきたいと考えています。
- 問)
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財政健全化を目指す政府の姿勢と矛盾すると思われるのですが、それについてはどう思われますでしょうか。
- 答)
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それに対しては先程申し上げましたが、総理からは、財政を悪化させない、将来世代に負担を負わせることは決してないように、税収動向などを見極めながら適切に財源を確保して、赤字国債には依存しない、こうした指示がなされているものと承知をしています。
- 問)
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中東情勢と市場動向についてお伺いしたいと思います。先週金曜日に、イスラエルがイランに対して空爆を開始しまして、その後イランもイスラエルに対してミサイル攻撃などで報復しています。
中東で地政学リスクが高まる中で、原油相場や為替相場に影響が出ていますが、大臣の受け止めをお聞かせください。 - 答)
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一連の両国間の対応の中で特に、これは報道ベースでありますけれども、石油関連施設に対するダメージというものも報道されております。それが今後、世界全体の原油供給にどのように影響していくか、これは注視していかなければいけませんし、またそうした動向を踏まえた足元の原油価格の動向等、これにもしっかり留意をしていかなければならないと考えています。
- 問)
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暫定税率の考え方についてお尋ねします。
ガソリン税などの暫定税率は、暫定や当分の間という名目で50年以上続いています。廃止の時期はともかくとして、この税率はいずれ廃止することが決まっているからこうした名称になったのではないでしょうか。今になって財源の確保が必要だということになるとすれば、廃止できるのはどのような状態と考えて当分の間というように定めたのか、暫定という考え方はどこから出てきたのかというポイント。それから、半世紀に及ぶ国民に対する説明は適切だったのかというところの大臣のご所見をお伺いします。 - 答)
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まず、いわゆるガソリンの暫定税率は、昭和49年に導入をされたわけであります。当時の考え方は、やはり道路整備を推進していくための道路財源の充実化を図る、こういった観点に加えて、資源の節約という観点も踏まえて、5年ごとの期限を区切って設けられ、期限が到来するごとに、その都度、その時点における道路の建設需要などを踏まえながら、延長の必要性を国会にて判断され、今日に至ってきたものと承知をしています。
その後、平成21年度に一般財源化されたわけでありますけれども、その際には、当時は民主党政権下でありましたが、地球温暖化対策の観点、また厳しい財政事情を踏まえ、期限のない当分の間税率として税率水準を維持することが決定され、今日に至っているところでございます。
その後、3党協議において、廃止するということ、これは明確に決定されたわけでありますが、その時には財源及び様々な技術的なものを含めて検討するということも併せて決まっているものと承知をしております。
したがって、少なくとも民主党政権のときの議論を踏まえれば、地球温暖化対策、また厳しい財政事情との関係を整理しないまま税率を廃止するということはどういうことなのかということ、また仮に廃止する場合には、国・地方合わせて1.5兆円、特に軽油引取税は5,000億、約0.5兆円ですが、これは地方財源となっておりますけれども、そうしたものをどうするのか、こうしたことに対してしっかりと議論し、答えを出すことは必要ではないかというように考えます。
- 問)
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そうすると、民主党政権というのははるか昔の話ですし、ごくごく短い間の、それこそ暫定的な政権であったわけですから、暫定税率という名目も暫定ではなくなった時点で、自民党政権でしっかり国民に説明をしていく必要があったのではないでしょうか。
- 答)
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ですからこの間、まさに当分の間、我が国の場合は政権が変わったから前の政権のことを全部覆すというわけでは当然ないわけで、それはやはり流れというものを継承しながら、もちろん政権が変われば変更されるものも当然出てくると思いますが、そうした中で本件に関してはその後においても、特定の財源ではありませんけれども、道路に対する需要、特に今地方創生を含めて非常に強く継続しているわけでありまして、そうした中でこうした暫定税率を含めた税収を含めて、そうした建設を今日まで進めてきている、こうした状況をどう考えていくのか。それから特定財源ではありませんけれども、道路によって受益をされるということ、その点を含めてどのように考えるのか。また環境問題、これらについては引き続き検討していくということになっているものと承知をし、それらを含めて、暫定税率だけではなくて自動車関係税制そのものは、今年度末における税調においても議論がなされるものと承知をしています。
- 問)
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日米の首脳会談が行われ、引き続き継続ということになりましたが、加藤大臣の受け止めと、関連して大臣とベッセント財務長官が為替の交渉をされていると思いますが、そのことに対する何か影響等が想定されたら教えてください。
- 答)
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まず先程、総理がぶら下がりをされていたと承知をしておりますけれども、日米の首脳会談がなされたと承知をしております。その中身は私も総理が言われた範囲でしか承知をしておりませんので、それ以上それについてコメントするのは差し控えさせていただきたいと思いますが、引き続き総理もおっしゃっておられた、双方の利益のある中で、我が国としては我が国の国益をしっかりと確保するというスタンスの中で、更に詰めて交渉が進められるものと承知をしております。
それからベッセント長官との関係は、2回協議を行わせていただきました。2回目に申し上げたとおり、為替の基本的な考え方についてはかなり深く議論ができたものと承知をしております。今後も両国間において様々な課題については協議をしていきたいと思っておりますけれども、私とベッセント長官の間においては、これ以上具体的に協議をする日程が決まっているわけではございません。
(以上)