加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(令和7年6月27日(金曜)11時04分~11時13分)
【冒頭発言】
予算執行調査については、本年度実施予定の30件のうち、調査の終了した28件について、今般、調査結果を取りまとめました。
今回の調査結果を今後の予算編成や予算執行において、確実に反映してまいりたいと考えております。
予算執行調査の詳しい調査結果については、公表させていただいておりますので、それを見ていただければと思います。
【質疑応答】
- 問)
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中国からアメリカへの合成麻薬フェンタニルの不正輸出が、日本を経由して行われているということが一部で報じられました。
日本との関わりがもし事実であれば、日米関係に大きな悪影響が生じかねない事態だと思いますが、対米交渉を担う閣僚のお一人として、ご所見や懸念点など、お聞かせ願えればと思います。 - 答)
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不正薬物については、当然でありますけれども、我が国に入り込むことはもちろん、我が国を介して世界に影響を与えることもあってはならないことだというように思っています。
その上で、個々の事案についてコメントは控えますが、フェンタニルを含む違法薬物等の密輸に対し、財務省・税関においては、国内外の関係機関との緊密な情報交換、X線検査装置、不正薬物・爆発物探知装置などの取締・検査機器の活用、関係機関との合同取締りなどの対策を実施してきているところであります。
2019年から2024年までの過去6年間に、我が国の税関において、フェンタニルの不正輸出や不正輸入を摘発したという実績はございません。
いずれにしても、財務省・税関としては、今後とも、不正薬物などの密輸防止のため、水際取締りなどに万全を期してまいります。
- 問)
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アメリカのベッセント財務長官が、今朝SNSでOECDの最低法人税率のルールをアメリカには適用しないようにG7諸国と合意したと発表しました。
財務省としていつからどのような交渉をしていたのかというところと、またアメリカを対象外にすることでルールが形骸化する可能性はないかという点、また加えて、ベッセント財務長官はG7の合意と引き換えに内国歳入法899条の新設を見送るように議会に要請する意向を示していますが、これについての受け止めをお聞かせください。 - 答)
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米国の内国歳入法899条に係る議会等の動きについては、従前から我が国に対しても、議会・米国政府に対しても、それのもたらす問題点等について申し上げてきたところでございますし、引き続き注視すると申し上げてまいりました。
そうした中でベッセント財務長官が、米国企業グループはグローバル・ミニマム課税が免除されることについてG7間での共通理解に至ったこと、米国議会に対して899条の削除を求めることを主な内容とした情報発信が行われているものと認識をしています。
OECDの最低法人税率に関しては、これまでもG7間などにおいて議論が行われてきているところでありますが、現時点では、詳細についてコメントをする状況ではございませんので、差し控えたいと思います。
- 問)
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ちょっと時間が経ってしまった話で恐縮なのですけれども、今週月曜日に決まった今年度の国債発行計画の見直しで、超長期債の発行を減額する一方で、買入償却については白紙状態ということだったと思うのですけれども、この買入償却の効果と課題、またどういった条件であれば導入するかについてコメントいただけますでしょうか。
- 答)
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当該国債市場特別参加者会合の場においても、買入償却について議論があったと承知をしております。その中には、やるべきだというものと慎重だというそれぞれの意見があったものと認識をしています。
その上で買入償却を行う場合に、それが市場に与える影響等々、これまでも議論があるところでございますし、一方で現時点でということになると、これは予算措置をしていないと買入償却できませんので、そのような状況にはないものと認識をしております。
今後とも様々なご意見があるのだろうと思いますので、もちろんいろいろな課題もございますので、我々としてはそういったことも踏まえながら、慎重な検討をしていきたいと思っています。
- 問)
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国際課税のところで関連してお伺いなのですけれども、日本が主導してデジタル課税の仕組みをつくっていらっしゃったと思うのですが、今回の米国の表明をもって、2つの柱があったと思うのですけれども、全体の実行が難しいというような状況になるという認識をお持ちなのかというのが1つと、日本が先行して主導していらっしゃったというところで、今回難しくなってきていることについての受け止めをお伺いします。
- 答)
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国際課税の見直しについては、2本あります。
1つはデジタル課税の関係でありますが、これはいわば国際的な協定の中で決まってくるということでありますので、たしかこれはアメリカが参加しないとそもそも全体が成り立たないという、構図になっていたというように思います。
それから2番目の先程のミニマム課税に関して、これは既にEU等導入しているところでありますし、我が国も先般の法律改正で制度や仕組みは入れさせていただきました。その上で、それぞれいろいろな課題、特にアメリカ側からも指摘はされている。こういったことについては、IFの中で包括的な議論をこれまでも重ねてきているところでございますので、今回、先程ベッセント長官のそうしたSNSもありましたけれども、引き続きG7中心にこうした議論をしっかりしていく。
まずそういった意味において、第2の柱について、これはまず共通理解を進めていきながら、その先における第1の柱についても議論が進んでいく。結果的にどこの国がメリットということではなくて、全体としての適正・公平な課税がなされ、そして当該分野におけるそうした発展に支障を与えない、あるいはそうした分野における世界的な意味での国際的な活動が円滑に行われていく基盤をつくっていく。こういった意味では必要だという認識は我々は変わっていませんので、そういった意味において、特にアメリカに対しても理解を引き続き求めていく必要があると思いますが、順番としては今申し上げたように、まず第2の柱について、今まさに議論がなされてきているものと承知をしています。
- 問)
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もしアメリカが枠組みに参加をしないとなって全体が難しくなるということになった場合、日本として独自のデジタルサービス課税、DSTだったりと呼ばれていますけれども、これを導入するというお考え、検討はされていますでしょうか。
- 答)
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今、第2の柱は個別、個々の対応ということでありますが、第1の柱については、まさにこれまで進めてきた議論をしないと、今言われたように各国がそれぞれバラバラな対応をしていくことになりかねません。そうすると、非常にいろいろな意味での混乱を生じかねないのではないかということを我々は懸念し、そういったことからトータルとしての国際的枠組みをつくる必要性を主張し、そしてそれに向けて歩みを進めてきたというのが今までの流れでありますので、その認識には全く変わるところがございませんので、各国バラバラでやるということではなくて、国際的に、特にG7等が主体的に取り組んでいく、この重要性の認識は何ら変わるものはありません。
(以上)