加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(令和7年8月15日(金曜)10時45分~10時54分)
【冒頭発言】
先般、総理から関係省庁に対し、米国関税措置の影響を受ける所管業界に対する説明・対話を、8月中に集中的に行うよう、指示があったところであります。これを踏まえ、8月25日から全国の国税局等において、酒類事業者の皆さまに対する説明会を順次実施することといたしました。酒類事業者の皆さまにおかれては、折からの酒米価格高騰や供給不足による影響もあるところであります。この機会を積極的に活用し、実情をお知らせいただければと考えております。詳細は、国税庁までお問い合わせいただければと思います。このほか、今後、経済産業省、農林水産省との地方ブロック別の合同説明会を実施するとともに、全国の財務局等における説明・対話の機会も設けていく予定としております。
【質疑応答】
- 問)
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13日に森友学園問題をめぐる3回目の関連文書の開示がされました。財務省や近畿財務局の担当職員による資料の中には情報公開請求に対する国側の消極的な姿勢をうかがわせるものがあったほか、財務省の担当課長が応接記録の記述の削除を指示するメール、また、財務局職員が理財局への対応を確認するとの記述について、忖度と手書きするなどしているものがありました。本省や財務局全体で改ざんに突き進み、その後も問題を小さくしたいとの姿勢があったことが示されたかと思いますが、大臣は今回の開示文書から財務省の問題への対処で何が一番問題だったとお考えでしょうか。
- 答)
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まず、森友学園事案に係るご遺族からの情報公開請求について13日、3回目の開示として赤木俊夫氏以外の担当者が取りまとめたと思われる文書の一部、計1万8,000ページ程度をご遺族に手交いたしました。情報公開請求への対応や応接録の廃棄をはじめとする一連の問題行為については平成30年に調査報告書が出ているところでございます。同報告書においては国会審議において森友学園案件が大きく取り上げられる中で、さらなる質問につながり得る材料を極力少なくすることを主たる目的として行われたものと認定されております。国会審議等において各種応接録の存否が問題となった後に廃棄を進めたことや国会や情報公開請求への対応として改ざん後の文書を提出・開示したこと、これは不適切な対応であったと考えております。大事なことはこのような事態が生じたこと、これを真摯に受け止め反省し、二度とこうしたことが起こらないように努めていくことであります。今後ともご遺族に対し申し上げているようなスケジュールに沿って関連する文書を提供するなど誠意を持って丁寧な説明に努めていきたいと考えております。
- 問)
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先ほど発表された2025年4-6月期のGDP速報について伺います。4月のトランプ関税発動後も企業が値下げなどで輸出量を維持してきたことなどから4-6月期は輸出が堅調でプラス成長となりました。企業が負担を強いられながらもGDPはプラスを維持したことになりますが、今回のGDPの受け止めを経済閣僚のお一人としてお願いします。また足元では自動車への25%追加関税がかかり続けており、15%の相互関税も固定化します。米国の関税措置が今後の日本経済にどのような影響を与えそうでしょうか。
- 答)
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まず、25年4-6月のいわゆるQEでありますが、本日公表された第1次速報において実質GDP成長率は前期比プラス0.3%、年率でプラス1.0%、また、前期の成長率も見直しをされたということで、5四半期連続のプラス成長となったと承知をしています。4-6月期においては個人消費や設備投資が5四半期連続の増加となったことに加えて、輸出の増加幅が輸入の増加幅を上回ったことで外需の寄与がプラスになったことなどが背景にあり、今申し上げた全体としてのプラス成長になっていると承知しています。日米間の関税に係る交渉でありますが、7月23日の日米合意を実施すべく、赤澤大臣を中心に、米側に対し可及的速やかに相互関税に関する大統領令を修正する措置をとるように、また、自動車・自動車部品の関税を引き下げる大統領令を発出するよう申入れを行っているところであります。そして、日米合意に基づく米国の関税措置が日本経済に与える影響については、既に内閣府から機械的な仮定のもとでの試算結果が示されております。幅を持って見る必要がありますが、実質GDPを平年度で0.3から0.4%押し下げる可能性があるとされているところでございます。その上で、政府としては引き続き先般の総理指示を踏まえ、中小企業、小規模事業者の方々の資金繰り等への支援により我が国産業・雇用に与える影響の緩和に万全を期しながら、また、一連の合意や各国の動向を踏まえた我が国への影響をしっかり分析し、必要な対応を図っていきたいと考えています。
- 問)
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先日、アメリカのベッセント財務長官が日銀について後手に回っている、利上げをするだろうというような趣旨の発言をされました。改めて、大臣は日銀の金融政策についてどのような認識をお持ちなのかということと、他国政府から日銀の金融政策について言及があること自体どのようにお考えなのか、聞かせてください。
- 答)
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ベッセント長官が今お話しのことも含めた発言をされたという報道は承知をしていますが、他国の政府の大臣等の発言について1つ1つコメントすることは従来からも控えさせていただいているところであります。また、金融政策の具体的な手法については、これまでも申し上げているとおり日銀に委ねられるべきものと考えております。その上で、日銀には引き続き政府とよく密接に連携をとりながら、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて適切な金融政策運営が行われることを期待しているというのが、今後の我々の思いであります。
- 問)
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先ほどの質問の関連ですが、日銀に早期の利上げを求める声というのはベッセント長官に加えて日本の経済界からも一部に出ている声なのかなと思います。こういう声をどう受け止めておられるかという点と、それを踏まえて改めて今後の金融政策運営はどうあるべきか、ご見解をお伺いできればと思います。
- 答)
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そうした声の背景にある物価や経済に対する認識、それぞれ皆さんがどういう認識を持っておられるか、こういったことについては我々もしっかり注視していく必要があると考えております。ただ、その上で先ほど申し上げたように、具体的にどういう金融政策の手法をとっていくか、これはまさに日銀において行われるという役割分担をさせていただいておりますので、それに関しては日銀において、先ほど申し上げたように適切に行われていることを期待しているところでございます。
(以上)