加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要
(令和7年9月12日(金曜)9時21分~9時34分)
【冒頭発言】
米国時間9月4日に7月22日の日米合意に沿った米国の関税措置に関する大統領令が既に発出されたところであります。為替に関する事項については私と米国ベッセント財務長官との間で議論を重ねてまいりましたが、大統領令等が発出されたことなどを受け、先ほど、日米財務大臣共同声明を日本時間では9時15分に発出をさせていただきました。その中身をご報告させていただきたいと思います。既に紙はお手元にあると思いますが、この共同声明では為替レートは市場において決定されるべきこと、また為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得ることといった点を含め、為替政策に関する日米のこれまでの共通認識とともに透明性のある為替政策等の重要性を確認したところであります。今般これらの点について明確に確認できたことは大変意義深いものと考えております。
【質疑応答】
- 問)
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改めて冒頭ご説明ありましたけれども、今回の日米の声明は赤澤大臣が署名した関税に係る合意文書、これを踏まえて発出しましたと、そういう合意、署名があったので、それを踏まえて今回の声明を発出した。そういう理解でよいでしょうか。また、この共同声明は日米の関税交渉の一環とは別の文書なのか、関税合意にひもづけられたといいますか、どういう立てつけの文書になるのか確認をさせていただけますでしょうか。
- 答)
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まず、スタートの段階でこの日米間の問題について、関税協議については赤澤大臣と米国側のベッセント財務長官と、また為替に関する事項に関しては専門家たるベッセント財務長官と私との間でやるということで、そもそもフィールドが別でスタートしたところであります。私との間ではまさに為替の話をベッセント長官と幾度と協議もさせていただいたところであります。今般、大統領令が発出され、また共同声明が関税の部分でできたということも踏まえて、為替についても協議の結果を1つ形として共同認識を確認するということで共同声明を出したということで、広い意味では日米間の協議ではありますが、もともと別のトラックで動いていた、あちらも共同声明を出してきたため、我々もそれに合わせて共同声明を出させていただいた、こういう整理であります。
- 問)
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本日出された声明を見ますと、これまで日米が確認してきたことでしたり、もしくはG7に沿った内容かと思いますが、今回、そういう認識なんですが、そこと違う点があるのかどうか、大臣のご認識を伺えればと思います。
- 答)
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まさにこれまでのG7等々の議論、あるいはそこでのコミットメント、それをベースとしたところでありますし、あとは書いてあるとおりであります。
- 問)
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2点お尋ねします。そもそも日米の財務大臣が為替に限った声明を出されるのは以前あったのかということを確認したいのと、この声明の中の4つ目のポツのところなんですが、多分為替介入を検討する場合は過度な変動や無秩序な動きに対応する場合のみに限りましょうといった意味合いだと理解しているのですが、この共同声明を策定する過程の中で、例えば過度な変動や無秩序な動きというものがどういうものなのか、なかなか定義づけは難しいと思いますが、そこまで踏み込んだような話し合いがあったか、そのあたり聞かせてください。
- 答)
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まず為替に限ったものが過去あったか、すみません、さかのぼっていないですが、たしかロシアがウクライナに侵攻した後に日米の財務大臣で共同声明が出されていたと記憶しております。ただそのときは広範な分野でありますが、そこでも為替に関して言及はあったものと認識をしております。今回は先ほどもご質問にあったように、このトラックで為替を中心に議論してきたので、当然為替に、それをベースとした共同声明になっているという整理であります。それから無秩序な云々ということですけれども、これは従前から、このフレーズというのはG7等のコミットメントに入っていたと記憶をしておりますし、具体的にどこまでが無秩序だというのはもともと決めれるものではありませんが、そういったものに対しては対応していくことは十分、経済・金融の安定に対して悪影響を与え得るという認識を共有させていただいたということでありまして、裏返せばこういう書き方になっているということで、それ以上のものでもそれ以下のものでもないということであります。
- 問)
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冒頭で大臣はこの確認ができたことが大変意義深いというお話があったかと思いますが、この意義についてもう少し具体的に、こういった合意が両国でまとまったということが今後どういった意義をもたらし得るのか、そのあたりのご認識についてお伺いできますでしょうか。
- 答)
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これまでもベッセント財務長官とは共有の認識をということを申し上げてまいりました。それをこういう形で確認をしたということはこれからにおいても、二者間の共有の認識が日米の財務当局との間の共有認識という形になっているわけですから、そういった意味でも大変意義深いものと考えています。
- 問)
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これまでトランプ政権が出来てから幾度も市場では円高ドル安の是正を求めてくるのではないかといった観測が上がってきたこともあったかと思いますが、この文書をまとめるまでの協議の中で望ましい為替の水準といったお話というのはこれまで出てきたんでしょうか。
- 答)
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これまでも申し上げてまいりましたけれども、そういった水準についてベッセント長官との協議において議論は出ていないということでございます。
- 問)
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確認なんですけれども、先ほどの質問にもありましたが、4ポツ目の為替介入について、今回この合意が結ばれたことで現在の日本がとり得る為替介入に対する判断基準であるとか手段、そのほかについて影響を与えるものというのはあるんでしょうか。
- 答)
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我々がこれまで、まさに前段で、両者はまた、とありますが、IMF協定のもと、まさに下げてきたことを確認したと。まさに我々はそうやってこれまでもやってきた、今後もそういうことだということでありますので、我々のこれまでのやり方にこのことが何らか、今までのやり方に関して影響するものではないというふうに認識をしています。
- 問)
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この話と直接関係がなくて恐縮なんですけれども、一部報道でアメリカ政府がロシア産の原油購入を続ける中国・インドに対して、G7に対して関税を課すように要請している方針だと伝わっていますけれども、本日12日にG7財務大臣で共有する予定だとも出ています。事実関係をお伺いしたいのと、この共同声明発出に当たってそもそもベッセント氏とやりとりというのはありましたでしょうか。
- 答)
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まず、この声明をベースにして、例えば今日ベッセント長官と話をしたかということはありません。それから今言ったG7の財務大臣会合に関して、そうした報道がなされていることは私も承知していますが、ご承知のようにG7財務大臣会合、どのタイミングで何についてやるかについては議長国が公式に発表するというのが1つのルールとなっていますので、私から今の段階で何か申し上げるのは差し控えたいと思います。
- 問)
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少し前の質問とも重なりますが、この合意の声明の内容はこれまでのG7合意の内容におおむね沿ったものだという説明があったと思いますが、あえて今回こうして声明という形でまとめられた理由をもう少し教えていただきたいのですが、例えば日米関税交渉の当初はベッセント財務長官が通貨問題も議題に挙がると表明されていたと思いますが、そういったことも関係しているのでしょうか。
- 答)
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今おっしゃったベッセント長官が言われたこととの絡みはベッセント長官に聞いてみないと分からないところではありますが、最初から申し上げたように為替に関しては私とベッセント財務長官との間で議論するという仕切りになっていて、そうして幾度となく協議をさせていただき、またこの間も事務当局間でも議論を重ねてきた、まさにそれの中での共有の認識、それを今回改めて紙の形でまとめさせていただいたというのが経緯であります。
- 問)
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これまでのベッセント財務長官との会談後の情報発信では、引き続き二国間の諸問題について緊密かつ建設的に協議を続けていくことで一致しましたという発信をされてきたと思います。今回その声明にはそういう記載がないということは、二国間の諸問題に関しては今回の声明をもってもうないと、そういう解釈をしてよいでしょうか。
- 答)
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いえ、そうではなくて、最初に申し上げたように、そもそもベッセント長官との間で日米間の課題を先ほど申し上げた赤澤大臣と私とで区分けをし、為替に関しては私でやってきているという、そういうトラックがあるのと、もう1つはそもそも財務大臣・長官同士、幅広い議論をしていくのは当然のことでありますから、そこを含めた話をそのときはさせていただきましたが、今回は最初に申し上げたように、もともと今回の二国間での協議の対象が関税問題と為替のそれぞれを議論してきた、そして関税問題に関しては大統領令と併せて合意文書が発出された、このタイミングでこちらも合意文書を出させていただいたということでありますので、その流れでの合意文書とご理解いただきたいと思います。
(以上)