加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣ぶら下がり記者会見の概要
(令和7年10月15日(水曜)19時36分~19時50分)
【冒頭発言】
本日はG7財務大臣・中央銀行総裁会議などに出席するとともにバイの面会も行いました。主な概要を申し上げます。
まず、G7ではウクライナ支援や世界経済などについて議論をいたしました。ウクライナ支援についてはスビリデンコ首相、マルチェンコ大臣から同国の置かれた状況などにつき説明がありました。また各国からは10月1日の声明を受けた取組状況につき説明がありました。世界経済について私から、先週中国が公表したレアアースの広範な輸出制限措置について、日本としても強く懸念をしており、G7は中国に対し、結束して対応していくべきこと、また、他方、我々の対応が報復の連鎖を招くこととなれば世界の経済や市場に悪影響を与えかねないこと、こうした様々な動きが金融市場にもたらし得るリスクを注視し、為替レートの過度な変動や無秩序な動きに注意する必要があることなどを主張いたしました。またグローバル・インバランスについては、IMFの客観的な分析と率直な提言を多とし、これに基づく主要国間の建設的な議論と、各国による改革実行を後押しする、多国間での対話の場の設定に期待することなどを指摘いたしました。
続いてアフリカ諸国と太平洋及びカリブ海の島嶼国を招いたG7のアウトリーチイベントにも参加いたしました。私からは国内資金動員、債務管理、災害リスクファイナンス及びクロスボーダー決済に関し日本がこれまでアフリカや島嶼国において推進してきた取組、また、これまでのTICAD、あるいは日本と太平洋島嶼国との財務大臣会合等においていただいた意見を踏まえて発言をいたしました。
次に各国とのバイ面会でありますが、米国のベッセント財務長官、EUのドムブロウスキス欧州委員とのバイ面会を行いました。ベッセント長官とのバイ面会は本日11時55分から約30分程度でありました。私からは今般の日米の関税協議における両国の国益に一致する合意が、両国の経済安全保障の観点からも極めて重要であること、日米両国の利益となる戦略的投資の実現に向けた作業を共に加速化していきたい旨を申し上げました。また、中国のレアアース輸出制限措置についても意見交換をいたしました。為替については、先般発出した「日米財務大臣共同声明」の考え方を改めて確認をしたところであります。今回は極めて約半日間という短い滞在ではありましたが、G7の各国大臣等と、足元の様々な課題について、直接意見交換できたことは極めて有意義だったと考えております。
【質疑応答】
- 問)
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日本の政治情勢が今、日々流動化しておりますけれども、このことが為替を含めた金融市場にどのような影響を与えているとお考えなのか、現状の為替動向の状況をどう見ているかということと併せて聞かせてください。
- 答)
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為替について、これは従前からでありますけれども、その動向について具体的なコメントをすることは、市場に不測の影響を及ぼすおそれがあるということから差し控えさせていただいております。もっとも先週以降、円安方向で急激な動きも見られたところであります。そのうえで、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であり、政府としては為替市場における過度な変動や無秩序な動きについて、しっかり見極めているところです。この姿勢については全く変わりはございません。
- 問)
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政治が不安定なこと自体がマーケットにとってよくないことだという認識を加藤大臣はされているでしょうか。
- 答)
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為替の今の動向に何が要因をしているかということについては、コメントは控えたいと思います。ただ一般論として申し上げれば、政治は安定している方が経済や国民の生活にとってはプラスになるものだと私は思います。
- 問)
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G7の会合についてウクライナ支援のお話があったということですが、ロシアへの制裁について意見が交わされたのかどうか、また、アメリカはロシアから原油を輸入している中国とインドの関税を引き上げるよう求めていますけれども、それについても意見交換があったのか教えてください。
- 答)
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ウクライナ支援に関しては既に2回オンライン会議等をやらせていただいたり、あるいは既に財務大臣のジョイントステートメントを出させていただいているところでございます。その上で、今回はどちらかというと先ほど申し上げたようにウクライナの首相・大臣等からもお話があり、それについて何カ国かから発言があったということでありますので、その発言の中身については、私がしゃべったわけじゃないので、それは差し控えたいと思います。
- 問)
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本日ベッセント財務長官がロシア産のエネルギーについて全ての国がロシア以外から代替調達すべきだと言及しております。日本はLNGをロシアから調達しておりますけれども、G7ですとかバイの会談の中で何か言及があったのかどうか、また日本政府としての今後の対応について教えてください。
- 答)
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まず、その場における他の大臣の発言、これは控えさせていただいているところでございます。日本としてはウクライナにおける公正な平和の実現に向けてG7各国と連携をとっていく、こういう基本的な姿勢の中で、やれることをしっかりやっていくというのが基本であります。
- 問)
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ロシア・ウクライナの関連でお尋ねです。トランプ大統領が先ほど記者団に対してインドがロシア産原油を今後は購入しない方針だということを明らかにしています。こちらについてロシア産原油の主要な買い手の1つであるインドが購入しなくなるということについての期待感であるとか受け止め、このあたりを教えてください。
- 答)
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その情報自体を私は承知していないのでコメントは差し控えたいと思いますけれども、アメリカとしては、今回については関税をかけることが目的ではなくて、その結果としてロシアからの輸入を減少させる、あるいはロシアに対して資金が入ることを抑制したいということをこれまでも言われていたということでありますので、仮に言われるとおりであれば、それに則った動きが出てきているということなんだろうと思いますが、それ以上言及するのは差し控えたいと思います。
- 問)
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確認させていただきたいんですが、今回はG7でコミュニケのようなもの、共同声明のようなものは出していないということについて、また、中国によるレアアースの輸出規制について先ほど言及がありましたけれども、G7が結束して対応ということで具体的な方法について何か議論がありましたでしょうか。
- 答)
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まず、今回共同コミュニケ等々出す、共同声明等は出すことは聞いておりません。それから具体的について、これはまさに詳細は控えたいと思いますけれども、大事なことはG7が連携して対応していくということ、このことが大事だということであります。
- 問)
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先週来、円安の急激な動きがあったとのことですが、円安が今問題になっている物価高の原因になっているのか、またそれに対して日銀の金融政策上どういう措置をとるべきかについて、お願いします。
- 答)
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まず後段の日銀がどういう政策を具体的にとるべきかに関しては、具体的な政策についてはまさに日銀ご自身が判断されるべきということでありまして、私からコメントするのは差し控えたいと思います。それから物価の背景が何になっているのかということ、今足元の例えば物価上昇がどうなのか、これはなかなか難しいのではないかというふうに思います。この長いスパン、長いスパンというのはここ1年、2年のスパンで見れば、当初において原油高であり、円安の影響だったという分析があることは承知をしておりますけれども、足元、今の中でどこまで円安の影響があるのかどうか、そこは私は承知をしていないのでコメントは控えたいと思います。
- 問)
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本日会談されたベッセント財務長官についてお伺いいたします。ベッセント氏が本日APECの前にトランプ大統領が日本に立ち寄るという旨の発言をされました。トランプ大統領の来日について何からの説明があったのかということと、ベッセント財務長官ご自身が一緒に向かうというようなお話があったかをお願いいたします。
- 答)
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まず基本的にアメリカ政府がそれに対してどう正式に発表しているのか存じ上げていませんが、それに尽きると思いますし、またバイの会談の中身については今の話も含めて相手の大臣、相手の方の発言は基本的には控えさせていただいていることはぜひご了解いただきたいと思います。
- 問)
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レアアースについて教えてください。G7でも話題になったということですけれども、ベッセント財務長官などからはいわゆる同志国であるとか同盟国などとのレアアースの共同調達であるとか供給の協力とか、そういうことについての言及があったように記憶しているんですが、そこら辺への協力であるとか、そこら辺の中国以外からの調達とか、そういうところでの協力の議論というのはありましたでしょうか。
- 答)
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まさに先ほど申し上げましたが、あくまでも私の申し上げた範囲でしか会議の中身自体は私が申し上げるわけにいかない、全体については今回の議長国のカナダの方から全体のお話があるんだろうと思います。その上で先ほど申し上げたG7は中国に対して結束して対応していくべきだ、このことは私の方から申し上げさせていただきましたし、その結束するという中身にはいろいろなものが当然入ってくると考えています。
(以上)


