田村内閣府大臣政務官記者会見の概要
(金融税制研究会の開催について)

(平成22年5月26日(水)15時00分~15時19分 場所:金融庁会見室)

【政務官より発言】

どうもお疲れさまでございます。わざわざお集まりをいただきましてありがとうございました。

最初は、投げ込みにしようかなと思ったのですけれども、若干、補足説明をさせていただきたいなと思いまして、わざわざお集まりをいただきました。

PDF紙(PDF:109K)をご覧いただきますとお分かりになりますように、「金融税制研究会」というものを開催いたします。ちょっと、この紙自体、私もあまりちゃんと真剣に見ていないので…。タイトルは「金融税制調査会」のほうが良かったのかもしれませんが、政務官の私を座長とする金融税制研究会、座長が私で、あとは有識者、それ(有識者)は次のページにメンバー表が書いてあります。そこで論点整理をすると。6月中をめどに論点整理をいたしまして、7月以降、今度は大塚副大臣を座長とする、そこには私も加わりますけれども、あとは有識者という「金融税制調査会」を設置して、そちらで議論を進めていくと。

そして、最終的には、通常ですと8月末に各省の要望を取りまとめるということでありますので、金融庁としての来年度の税制改正要望を取りまとめようと。それに向けて議論を進めていくというスケジュールを考えております。

趣旨の(1)はご覧いただくとして、例えば、軽減税率10%、証券税制について10%の軽減税率というのは、来年末に期限が来るわけでありますけれども、それについては、まさに前政権で決めたことでありまして、今回、配布しませんでしたが、もしお時間ある方は民主党のホームページでご覧いただきたいと思うのですけれども、例えば、民主党の場合は、私も当時から民主党の税制調査会の役員をずっと続けておりましたので、そのときも当事者でありましたが、3年前の、2007年の年末ですね、「民主党税制改革大綱」というものを出しまして、その際には、証券税制については、「公募株式投信の譲渡益課税に係わる軽減税率の延長は行わない」と、配当課税については、「二重課税調整、安定的な個人株主育成の観点から軽減税率を維持する」という方針を打ち出しております。

要は、譲渡益に関しては20%に戻して、ただ、配当に関しては、二重課税調整といったような観点から10%という軽減税率を維持する、という方針を2007年の末に打ち出しておりまして、その翌年、一昨年ですね、2008年の末におきましては、金融危機の後になりましたので、証券税制については一体課税の環境が整備できるまでの間、現行の優遇税制を延長するというふうに…。それは、「民主党税制抜本改革アクションプログラム」という、民主党税制改革大綱というものを2007年末に打ち出して、その延長線上を…。例えば、ちょっと話は脱線しますけれども、「給付付き税額控除」とか、そういった新たな提案も盛り込んだ税制改革大綱を補完するものでありますけれども、その一昨年の時点では、金融危機を踏まえてそういった方針を打ち出していたという経緯があります。ですので、政権交代をして、新政権において検討し直そうということでありまして、ただ、決して、それは前政権での既定路線を別に覆そうという意図で、ということではなくて、あくまでもゼロベースで議論しようということであります。

そういう意図で、今回、まずは金融税制研究会で論点整理を行って、金融税制調査会で方向性を決めていくと。ただ、もちろん金融庁の税制改正要望に結局それを反映させるわけでありますので、最終的には、当然、大臣が決めると。さらに申し上げると、政府としての方針というのは、その先にあります政府税制調査会で議論が行われて、年末までに決まっていくということでありますので、あくまでも金融庁の中でのスタンスを決めていくということです、今回は。

検討事項につきましては、金融税制、議論すべきものというのは広く取り上げることも考えておりますけれども、先ほど申し上げましたように、証券税制というのは大きな中心になるだろうと。そして、また、併せて金融所得の一体課税というのも議論していこうというふうに考えています。

先ほど申し上げた2008年末の「民主党税制抜本改革アクションプログラム」においては、民主党としては、「本来、すべての所得を合算して課税する『総合課税』が望ましいと考えているが、当分の間は、金融所得については分離課税とした上で、損益通算の範囲を拡大していくことが適当である」というふうに、当時は、そのようなスタンスを示しておりまして、金融所得一体課税を進めていくというのは、ある意味、分離課税、総合課税を目指すということを完全に止めるかどうかは、「完全に止める」というふうに決断するわけではないかもしれませんけれども、基本的には、分離課税を進めていくということになりますので、そういったことも含めて議論をしていこうというふうに考えております。

メンバーにつきましては、先ほどもご覧いただいた2枚目の紙のメンバーでありまして、必ずしも若い人ばかりではありませんけれども、若手もかなり入れて、柔軟な、広い議論をしたいなということで私が人選いたしました。

金融税制調査会のメンバーにつきましては、まだ、これから、開始までに、めどとしては6月中には人選することになると思っております。

そして最後、第1回会合は来週の月曜日を予定しております。

私からの説明は以上です。

【質疑応答】

問)

証券税制と金融所得一体課税が検討事項となっているのですけれども、この対象となる税率は、適用期限が迫っているもの、迫っていないものにかかわらず、すべて、広く対象にするということですか。

答)

そうですね。そこは、やはりトータルに考えるべきものでありますので、期限が迫っているからそれを取り上げよう、部分的に期限が迫っているからその部分だけを、という発想ではありません。そこは、やはりトータルに証券税制を議論しなければ、その譲渡益とか配当課税というのもどうすべきか、というのは結論が出ないと思いますので、そこはトータルに議論しようと考えています。

問)

金融庁としての方針をまとめるということですけれども、そのスタンスとしては、民主党が税制改革大綱でまとめたものをベースに議論していくということでしょうか。

答)

「ベース」というか、それは一つ…。「ベース」とまではイメージしておりませんが、ただ、その考えを実際、当時、その民主党のスタンスをまとめた税制調査会の役員ですとか、あるいは、当時の民主党の幹部は今でもいらっしゃるわけでありますので、そこは尊重するというか、尊重すべき意見、政策だというふうには考えています。

ただ、別に、それをベースに…。ただ、現在、ご案内のように、連立政権でありますので、一つの重要な意見だとは考えておりますけれども、そこに捉われずに議論しようとは考えています。

問)

「6月めどに論点整理」ということなのですけれども、第1回会合は5月31日で、会合自体は何回ぐらいやって…。

答)

今のところは、イメージで週1回ぐらいかなというふうに考えていますので。明確に何回、と、まだ決めておりませんけれども、最低、4、5回はやることになるだろうと思います。

問)

メンバーを見ると研究者とかが多いような気がするのですが、産業界からヒアリングとか、そういったものは考えていらっしゃいますか。

答)

そこは、随時、事務方、担当者と相談をしながら、そういったヒアリングは事務方にやってもらおうかなというのは考えています。

あと、金融税制調査会の場で、(業界を)代表するような団体からヒアリングするということもあり得ると思います。この研究会において、その団体からヒアリングするということは考えておりません。

問)

ここの「検討事項」と書かれているところが、まさにその論点に相当するようなところなのかなと思うのですが、この研究会で論点整理をまとめた時点で、方向性として、かなりもう具体的なもの、例えば、軽減税率については延長すべきではないか、というふうな方向性まで出てくるのでしょうか。それとも、その方向性については調査会の開催を待って最終的に決めるという形になるのでしょうか。

答)

基本的には、金融税制調査会のほうで方向性を決めようと思っておりますので、研究会で…。あまり対立するような意見がないようなものについては、結果的には、その方向性を示すような論点というのが場合によってはあり得るかもしれませんけれども、例えば、税率の話になりますと、かなり意見が分かれる、いろいろな、様々な意見があるわけですので、そこは、それぞれの意見についてのメリット、デメリットとか、そういう論点を示すにとどまると思います。

問)

意見が集約できそうなものについては、その研究会の段階で方向性というものが出る可能性もあるのだと。

答)

その可能性はありますけれどもね。ただ、いろいろな意見というのは、この研究会の場合、あるいは金融税制調査会もそうですけれども、別に、合議体ではありませんので、様々な意見をお伺いした上で…。そこは論点整理ですから。この金融税制研究会については、論点整理と。金融税制調査会においても、そのメンバー(の意見)が一致するかどうかというのは関係なくて、その調査会の議論を踏まえながら、決定するのは政務三役ということになりますけれども。

問)

先ほど、その考え方について、「連立政権なので民主党の大綱に捉われず」というお話があったのですが、政務官としてのお立場ではなくて、民主党議員としてのお立場からすると、民主党の税制改革大綱について、その考えに沿ったご意見を、例えば、座長としてのお立場なのでおっしゃられるかどうかということがあるかと思うのですが、主張なされるふうなご意向をお持ちですか。

答)

いえ。私も、まさに、個人的に申し上げると、この一、二年は、結構、不勉強ですので…。「選挙まで」ということで言えば、もうほとんど新たな勉強はしておりませんので、そういう意味では、当時の考えとあまり変わらないところはあります、現時点では。ただ、それは、まさに今回の研究会メンバーの方々を中心にいろいろな意見を聞くことによって、私個人の考えも変わることはあり得ますので、そこは議論してみないと分からないな、ということは、正直なところではあります。

問)

去年の末、軽減税率を10%から来年末に20%に戻すときに、「段階的にいきなり20(%)ではなくて、15(%)とか少しずつ上げていくのもどうか」みたいな意見も出ていたかと思うのですが、そういうものも含めて、この論点になってくるのでしょうか。

答)

そういう方向性も可能性としてはあり得ると思いますけれども、可能性、選択肢という意味では、そもそも「軽減税率を維持する」という結論になる可能性もあるわけですので、そこは、あくまで20%に戻すという方向性になった場合には、そのオプションとしてはあり得るとは思いますが、そこは、様々なオプションを議論するということになるというだけの話ですね。

問)

7月以降の金融税制調査会のほうは、副大臣が決めることではあると思うのですが、このメンバー構成とかは、やはり同じような有識者を中心としたものになるというイメージになっていくのですか。

答)

そうですね。そこは、まだ副大臣とちゃんと相談をしておりませんので、正直、本当にまだ分からないですが、どうでしょうね。そこは副大臣次第ですね。

問)

例えば、同じようなプロセスで言えば、貸金のときなんかはPTがあって、事務局会議があって、その上に政務を中心とした、ある意味、役割分担みたいな形で作られていたと思うのですけれども、同じような形だと屋上屋みたいになってしまうのかなと思ったのですが、その辺は、何というか、ある程度イメージされているのかなと思ったのですが…。

答)

正直、そこは、まだ、これからどういう構成にするかは副大臣と相談させていただきます。後は、まだ決定はしていないのですけれども、あくまで金融庁としての方向性を決めるプロセスなわけですが、その過程で、できれば与党議員の意見を聞いたりする場も設けられれば良いなと。例えば、政策会議を開くとか、そういったことも個人的には考えておりまして、そういった場も設けたいなと、今のところ考えています。

問)

これは、「必ずしも若くないけれども、若手を選んだ」ということをおっしゃっていますけれども、何か、若手を選んだという、それは意図して若手を選んでいると思うのですが、その意図は何でしょうか。

答)

金融税制調査会の場合には、ある程度、そこは副大臣のお考えにもよるので、必ずしも…。先ほど申し上げたように、まだ、ちゃんと相談をしていないので分かりませんけれども、もう一線で既に活躍をしている方が多いのだろうなと思いましたので、その手前の段階の論点整理のレベルでは、より若手の人、そういった(一線で活躍をされている)方々ではない若手の方々を、というのが一つと、あとは、メンバーにもよりますが、今まであまり政府に関わっていない人とかを、今後、これをご縁にいろいろ意見を聞くことができたらな、というような意図もあります。

問)

会議は公開するのですか。

答)

今のところ非公開で、議事要旨を出すぐらいかな、というふうに考えています。

(以上)

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