大塚内閣府副大臣記者会見の概要

(平成21年10月30日(金)17時57分~18時49分 場所:金融庁会見室)

【副大臣より発言】

それでは、今日は、金融庁と郵政改革担当、それぞれの法案が閣議決定されましたので、そのご報告をさせていただきます。

あとは税制改正要望についても、正式に財務省に提出しましたので、そのこともご報告をさせていただきます。

まず、中小企業金融円滑化法案(中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律案)でありますが、もう既に内容については、かなり皆さんにお伝えをしていると思いますので、あえて繰り返しません。法文については、皆さんのPDFお手元(PDF:506K)にあると思いますので、ご覧いただければと思います。

この説明の頭紙のポンチ絵にありますように、「中小企業等に対する金融円滑化対策の総合的パッケージ」、私たちは「総合的パッケージ」というところに意味があると思っておりますので、そういう捉え方をしていただけると幸いであります。つまり、法律事項としてできること、これは当然国会として法案を通していただければしっかり対応できることになります。そして、法律事項ではないけれども、金融行政当局としてやるべきこと、これは当然やるということであります。

さらには、法律事項とも一部かかわってまいりますが、金融庁の所管外の制度において、金融円滑化をサポートしていただけるような取組みをすると。一番象徴的なものは信用保証制度でありますが、さらに最も重要なのは、借り手、貸し手が今まで以上にしっかりと交渉をしていただいて、借り手、貸し手双方が納得ずくで金融の円滑化に努めていただくということがポイントだと思っておりますので、そういう意味で、「総合的パッケージ」というふうにお示しをしております。この総合的パッケージのトリガーになるものがこの法案であるということは、申し上げるまでもありません。

それから、郵政株式処分凍結法案(日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案)でありますが、これももう既に内容はご承知のとおりであります。過去に提出をした法案がベースになっておりますが、ご覧いただくとお分かりいただけると思いますが、第1条の5行目の一番下の部分から、「政府において平成21年10月20日の閣議決定に基づきその見直しを検討することとしていることにかんがみ」と、基本的に、この部分が加筆をされているというふうにお考えください。

凍結法案については、以上のとおりです。

また、税制改正要望については、先般、政務官が皆さんにご説明をさせていただいた内容と変わっておりませんので、説明は割愛をさせていただきます。

私のほうからは、以上です。

【質疑応答】

問)

貸し渋り法案のほうなのですけれども、ちょっと三点質問させていだたきます。

法文上で言うと、この失効の部分が平成23年3月31日限りということで、特に必要に応じて延長するとか、そういう補足等はないのですが、これはこの平成23年3月31日で完全に失効するのかという点と、あと、いわゆるノンバンクとか、預金取扱金融機関以外のところへ要請するということなのですけれども、それは具体的に何か、どういうアクションを行うのかということ。もう一個、虚偽報告に対して罰金が科されているのですが、300万円とその法人に対して2億円というところなのですが、これの罰則の軽重の根拠というのを教えてください。

答)

これは懲役もかかっていませんでしたか。

問)

1年以下でしたね。

答)

かかっていますよね。分かりました。

まず、これは自動的に延長するものではありませんので、その時期が来て延長が必要であれば法改正をして延長をする、ということになりますので、その時点において必要であれば、そういう対応をとると。現時点では、なるべくこの法案が来年度いっぱいで必要がなくなるような状況を目指すということであります。

2番目のノンバンクについては、これはおっしゃるように預金取扱金融機関を前提としておりますので、この法案及び総合的パッケージ自体はその範囲を対象としております。ただ、こういう情勢認識であるということは、預金取扱金融機関以外の皆さんもご理解をいただけると思いますので、それぞれでまずは自主的にご協力をいただくというのが基本でありますが、仮に今回の総合的パッケージで不十分だというような状況になれば、またいろいろなことを考えなくてはいけないと思っておりますが、現時点においては特段の想定はしておりません。

3番目は、この罰則が重いか軽いかということですか。

問)

これは例えば、金額とか懲役というのは、何か別の類似したようなものとか…。

答)

他の類似しているものとの比較において、軽くも重くもないように設定しております。

問)

これは同じような法案で罰則を設けられていたようなものはありましたか。

事務局)

基本的に、銀行法等の業法における虚偽開示等と同じ重さでございます。

問)

副大臣は今後の国会審議において、従前から、審議でたとえ野党であっても有益な意見が出れば修正もあり得るということをおっしゃっていますが、その思いはこれからの審議でも変わりないと理解してよろしいですか。

答)

副大臣としては、そういう思いはないです。副大臣としては無修正、可決を目指しますが、議員として聞かれればまた別の答えになります。

問)

議員としては…。

答)

議員としては、国会は国権の最高機関なので、国会のお決めになることに従うのが当然だと思っていますので、そういうことです。

問)

今回、法案(検討の流れ)の中で、これまで4回政策会議が開かれて、与党の政策会議を開いていらっしゃいましたけれども、何か反映された部分とかはございますでしょうか。

答)

かなり反映はしています。そもそも、どういう気持ちでこの法案をつくらなければいけないか、という一番ベースになるモチベーションというか、インセンティブのところは、意見を聞いて相当反映をされているわけです。

出た意見というのは、総じて言えば二つなのです。「本当にこの法案で効果が出るのか」という指摘と、あともう一個は、「借り手にも貸し手にもモラルハザードを起こさせないように」という、総じて言うとこの二点なのですよ。

だから、一点(目)の「効果が出るように」ということは、もちろんそのことを念頭に置いて、新しい信用保証制度をつくったり、協調する、あるいは努力する義務を課してみたり、さらにはさっき総合的パッケージの中で申し上げた、「行政当局として法律事項ではないところでできることは何か」ということも、これは施行までの間に決め切るという意味では、まだ現在進行中ですけれども、かなり、そういうまず一点(目)のご指摘は反映をしてきたつもりであります。

二点(目)の、「借り手にも貸し手にもモラルハザードを起こさせるな」というご指摘に関しては、だからこそ、まず「今回のこの総合的パッケージのベースは、借り手、貸し手の自主的な交渉において結論を出すというのが大前提です」というところに、「まずモラルハザードを起こさせないように」というご指摘を反映している部分ですよね。その上で、新しく中企庁につくっていただく信用保証制度についても、カバー率が100%になるということはないというような工夫もしておりますし、冒頭に申し上げた二点は、かなり色濃くいろいろなところに反映されているというふうにご理解をいただきたいと思います。

問)

逆に、政策会議等々の指摘で、当初は入れていたけれども削除した、要するに、こういうのは入れないほうが良いのではないか、というようなものはあったのでしょうか。

答)

政策会議で、そんなに「具体的にこういうことを入れろ」というようなスペシフィック(個別具体的)なご指摘というのはなかったという感じなのです。むしろ「なるべく実効性を上げるように」というご意見の、さっき言った一点(目)のご意見の延長線上で、例えば、「新しくつくる信用保証制度はできるだけ誰でも使えるようにしてくれ」というようなご指摘はあったのですけれども、これは中企庁がお決めになることなのですけれども、そうは言っても旧債振替みたいなことになってはいけないし、企業側もモラルハザードを起こしてはいけないので、今回のこの法案が想定しているような対象の中小・零細事業者の皆さんは、大体が、既に公的金融を利用していらっしゃる方が多いということで、既に使っている公的金融自身が条件変更に応じれば民間金融機関もできるだけ応じるように、という建てつけにしています。なるべく幅広く、というご意見は、そういうような方向で事実上反映させていただいたと思っています。

問)

この返済猶予の法案のところで、実効性は相当ある法案だと思って提案されていると思うのですけれども、例えば、客観的なデータとかシミュレーションで、どのぐらいの効果があるのか、影響があるのか、こういう法律を新たにつくる以上、一番最初のときに、どのぐらいの中小企業が、本当に返済や借り換えとか猶予を受けられずに困っている人がいるのか、というようなデータはどのくらいあるのか、という問いもあったと思うのですけれども、何らかの、数字とか規模とかでやったらこれだけ効果が見込めるのではないか、というものを何かお示ししていただける部分はございませんか。

答)

それが目標というふうになると、なかなかちょっと難しいですよね。つまり、それを達成するために、それこそ信用保証協会が無理に頑張ってしまったり、あるいは金融機関も無理に頑張るということになりかねないので。ただ、参考にしているのは、去年の金融検査マニュアルの改定によって、これは金融庁が発表しているように、2兆円の貸出債権が条件変更されても、不良債権にならなかったと。去年のマニュアルの改定でもそのぐらいの効果が出ているわけですから、そういう数字を一つの参考にしながらやったというのは事実です。

それから、信用保証協会については、中企庁の近藤(経済産業大臣)政務官等々の発言では、「数千億ぐらいは使ってもらいたい」と、ないしは「使われるのが望ましい」というようなことは言っておられましたけれどもね。トータルとしてどうなるのかというのはちょっと分かりません。

ただ、蛇足だけれども、景気が良くなれば使われないわけですから、使われた方が良いとは思っていません。ここは誤解のないように。使われずに景気が良くなるのが一番良いわけですから、そこのところはぜひ強調しておきますので、よろしくお願いします。

問)

この住宅の資金の借り手についてのところなのですけれども、ここについてちょっとお聞きしたいのですが、その借り手というのは一体どういう人なのか、ということについて、特にここは特段の制約とか条件は書いていないのですけれども、リフォームの資金まで含めていますし、その残高とかの大小とか、支払期限の残りとかも含めて、どんな人も含めて、この法案は適用されるということなのでしょうか。

それと、負担軽減措置ということについても、具体的に特に書かれていないのですけれども、これは例えば具体的にはどういうものを差すのか。一番極端な形としては、文字どおりのモラトリアム、元金とか、それから利子もすべて返済を猶予するというようなことまで、極限的に言えば考えられてしまうのですけれども、一体、どの程度この負担の軽減がされるのか。また、実際の具体的な措置というものは、どんなものをイメージされているのか。この辺について教えてください。

答)

これは、枠組みは企業金融のほうと一緒ですから、例えば、住宅金融支援機構に債務を持っていらっしゃる方、支援機構は、今、もう条件変更を随分やっていますし、応諾の体制を整えていますから、その支援機構が条件変更に応じれば、当然プロパー融資と両方借りて住宅ローンを抱えている人には、「プロパー融資の方もしっかり応じてくださいね」という枠組みになりますから、そういうところで効果は出てくると思います。

現に、今日、どなたかが本会議の質問の中で言っておられたかな。つまり、住宅ローンの返済の条件変更の申し入れが4割ぐらい増えているというのが…。本会議ではなかったか、どこかで言っておられましたけれども、そういう申し入れに対して、今、申し上げたような展開になれば、それはやはりそれなりの効果が出てきますよね。今までの4割増で申し込みがそもそもあるわけですから。

それはどういう人たちを対象にしているかといえば、減収となっていらっしゃる方々ということで、2条の3項ですね。2条の3項に、「この法律において「住宅資金借入者」とは、住宅資金、(つまり)住宅の建設若しくは購入のための資金又は持家である住宅の改良のための資金の貸付を受けている者をいう」と。5条には、収入が減少しているという、「住宅資金の貸付けに係る債務を有する住宅資金借入者であって、当該債務の弁済に支障が生じており、又は生ずるおそれがあるものから当該債務の弁済に係る負担の軽減の申込みがあった場合には、当該住宅資金借入者の財産及び収入の状況を勘案しつつ」と。だから、勤め先が厳しくなったりして、皆さんも多分、ローンを持っていらっしゃる人はいると思うけれども、当初の計画どおりに、月々の返済が収入の状況から見て厳しくなった人、そういう方々を想定していますから、結構すそ野は広いと思います。

問)

今回、併せて新しくできた信用保証制度で、対象が今まで信用保証とかを使った人は対象外で、プロパー融資だけだ、ということなのですけれども、資金繰りに困って返済猶予が必要になるような人は、これまで業績が悪化する過程で信用保証を受けているケースが多いと思うのですけれども、その点で実効性についてはどのようにお考えですか。

答)

だから、これは3段階で考えてくださいね。まず、今回の枠組みが関与しなくても、借り手、貸し手、特に貸し手の方が「条件変更してくださいよ」と言って話がまとまるのが一番美しいですよね。これが第一段階。

第二段階は、今、ご質問のように、大体、中小・零細事業者の皆さんや、今回、こういう枠組みを使いたいと思う人は、既に政府系金融機関から借りていたり、信用保証、緊急保証とかセーフティーネットを受けている人が多いのです。政府系金融機関も信用保証協会も、そういう人たちから申し出があったときには、期間延長とか枠拡大に積極的に応じるというように、もう舵を切っているわけです。そうすると、まず第二段階は、既に利用している人は、それを保証協会に申し出る、ないしは政府系金融機関に申し出ると、今までよりはかなり弾力的に応じてもらえますので、そこで公的金融機関がそういう対応をすると民間金融機関も協調する義務が生じる、というのが、第二段階ですよね。

第二段階のもう一つのバリエーションとして、今まで緊急保証とかセーフティーネットを使っていなかった人が、改めて「こういう事態だから使わせてください」と申し込みに行って、新規に使えるようになれば、これはもう言うことないですよね。ところが、第二段階の、今、申し上げたバリエーションの人が、では緊急保証やセーフティーネットは、「やはり条件に合いません」というふうに言われたときに、では今度は、その枠組みでは審査は通らなかったのだけれども、新しく作った条件変更対応信用保証、これはまだ仮称なのですけれども、こういうのがありますよ、と。ただ、これについては、保証料も若干高めかもしれないけれども、それを使ってでも、ここあと3年たったら、ちゃんと業績が復活する等々の見通しはありますよねということで、次のセーフティーネットを今回作ったということですよね。

だから、一番新しく作った、次のセーフティーネットに行かずとも、緊急保証がまだ15兆(円分)、枠に余裕があるわけですから、それを使ってもらうというのが本筋であって、だから、今回の法案は、何も新しく作った信用保証制度をぜひ使ってくれ、ということではなくて、金融検査マニュアルも改定するし監督指針も改定するので、まず自分たちで、うまく話し合いをまとめてくれと。さもなければ、そうでない場合でも、「既に公的金融機関を使っている人たちは、臆せず、その条件変更を申し出に行ってくれたら、今までより相当しっかり受け入れてくれるから、話し合いに行ってみてください」と。それでも駄目なら、「もう1個作りましたので、これの使い方も考えてください」という建てつけなのですよね。

だから、どのぐらいその効果が出るか、さっきのご質問とも関わりますし、ちょっとやってみないと分からないけれども、去年の金融検査マニュアルの改定で、このぐらいのものがそれなりに緩和されたと。それよりも、今回網を広げたわけですから、少し広がりますよね。でも、それがマージナルな部分というのは、それはなかなか難しい部分はあります。

問)

その点なのですけれども、特にメガ(バンク)への期待というのは高いと思うのです。全体を100として、例えば6割とか何割とか、何かイメージが具体的にあるのかなという感じはするのですが…。

答)

全体に占める割合ですか。

問)

はい、割合です。メガの割合。

答)

では、私のコメントとして、メガバンクの前向きな対応には大いに期待したい、とコメントします。つまり、どういうことかと言ったら、信金、信組とかは、もう既に条件変更はかなりやっているのですよね。信金、信組というのは、営業地域からは逃げられませんからね。だから、結構それなりにやっておられるし、地銀や第二地銀もそれなりにやっていますけれども、信金、信組ほどではないと。上位業態になればなるほどドライになっている部分がありますからね。メガバンクは確かに融資量も多いし、下位業態に比べるとドライさも相対的には強いので、今回のこの金融行政当局の姿勢の変化と、この法案の趣旨を踏まえて、メガバンクの前向きな対応には大いに期待したいというふうにだけ申し上げておきます。

問)

その延長で、どういうふうにPRされるのですか。今後、一般の人に、パンフレットをお作りになって…。

答)

一般の方々にですね。

問)

はい。

答)

それは、おっしゃるように去年の(金融)検査マニュアルの改定のときと同様に、まず広報用の資料、リーフ(レット)は、かなり作るようにもう指示をしてあります。それで、それは去年どういう配り方をしたのか、ちょっと、まだ詳細に聞いていないのですが、事業者の皆さんに行き渡るように、これからそのプランは立てます。

さらに言うと、幹部の皆さんが、年末にかけて多分、全国行脚をしますので、いろいろな形で広報活動はやっていかなければいけないなと。さらに言えば、金融機関自身が、金融庁が作ったリーフ、あるいはそれを参考に自分たちで作ったリーフを、やはり営業店の融資担当の窓口にちゃんと置いてもらうというようなこともやりますし、そこは一生懸命努力するつもりです。

問)

謝絶案件の事例を例示として出してほしいという話が出ていましたけれども、具体的にその数字だけではなくて、そういう例示みたいなものもできたらやりたいというふうにおっしゃっていましたが、考えておられるのですか。

答)

そうですね。これはスタートしてみて、そういう事例をリアルタイムで、リアルとまではいかないけれども、割と迅速に集められるようなことは考えたいとは思っています。ただ、これは、すべての金融機関を対象に悉皆調査(しっかいちょうさ)はできませんから。特にメガなんかは3行しかないので、ちょっといろいろサンプルを出してもらおうとは思っています。

ただ、いずれにしても後々検査に入るわけですから、その申込件数と実際に応諾した件数に基づいて、それについての検査に入るわけですから、それなりの対応をしていただけるものだというふうには思っています。

問)

施行日は最短で何日ですか。施行日は12月の何日ぐらいですか、最短で。

答)

最短で。やはり法律が通ってから数週間はかかるでしょうからね。法律が通る日にもよるけれども。

問)

ぎりぎりだとして、そうすると、中旬20日とか12月のかなりおしりになる可能性もある…。

答)

だから、なるべく年内早い時期には施行したいということですよ。もうそうしないと意味がないですからね。

問)

2つ質問があるのですけれども、これはリスケをしたものは全部正常債権として良いのか。それともリスケ債権の範囲は、どこまでを正常債権の範囲とするのか、その辺の具体的なイメージがあれば教えてほしいのと、あと出口の戦略として、これは1年しか使えないので、中小企業にしてみたら、例えば、リスケを受けた場合に、1年経った後に「あなたはリスケをしたのだから、もう正常債権に戻したいから、アモチ(分割返済)で返してください」とか、要するに「金利を上げたい」というふうに言われるようなことがあり得ると思うのですけれども、その辺の出口の戦略というか、中小企業に対して安心を与えるようなことは何か考えていないのか、教えてほしいです。

答)

2番(目)のご質問は、出口の戦略ということと、つまり、こういう政策の出口の戦略ということと、中小企業に安心を与えるということとはちょっと絡んでいないような気もするのですけれども…。

問)

もし、「今回リスケをしてください」と、金融機関にリスケを応じてもらったけれども、それは正常債権で、そのまま、「金融機関にとっては正常債権です」と言っても、関係としては「リスケに応じた」という事実があるので、もう一度正常な融資に戻したいという時に、金利を「あなたは一回リスケに応じたのだから、金利を上げないともう一回は貸せませんよ」と言われてしまうことがあり得ると思うのですけれども。

答)

まず、1点目からお答えすると、リスケ債権をすべてどのように扱うのか、という、これは今度皆さんの次の取材対象になるわけですよ。金融検査マニュアルを具体的にどういうふうに改定するかということに関わってくるので、現状、何かリスケしたものをすべて正常債権化するとか、そういうことを決めてはいません。ただ、なるべくこれまで「少し厳し過ぎるのではないか」と言われていた部分を中小企業の実情に合わせるような改定にしたいと思っていますので、1つの例は、再三申し上げているように、これは民主党のマニフェストにも書いてありますけれども、中小・零細事業者の皆さんが根雪として借りている、短期貸しの転がしみたいな部分については金利をちゃんと払い続けていれば、正常債権にすると。例えばそうすると、手形をジャンプさせてくれと、リスケですよね。でも、「利息分をちゃんと払っていれば、ジャンプしても不良債権にはしません」という話ですよね。だから、そこは検査マニュアルの中で規定していくことになると思います。

後段のご指摘は、それはその先のことまでは、今、決められませんよね。そもそも取引先として大事にしていきたいと思っている企業だからこそ、今回、リスケに応じるわけですから、その良くなってくる局面で「金利を上げなければ付き合えませんよ」みたいな冷たいことを言わないのが金融機関の本来の仕事だと思っていますから、そういうことは検査の中でしっかり見ていくということで、現状、今、おっしゃったような何か特殊なケースを想定しているわけではないです。

問)

税制改正要望のところなのですけれども、「確定拠出年金の拠出制限の緩和」について、「その他の要望事項」(の頁)で触れられているのですけれども、こちらについては、衆議院が解散になってしまった結果、確定拠出年金法の改正案が廃案になってしまっていて、個人拠出について宙に浮いたままなのですけれども、この拠出制限の緩和というのは、単純に限度額の引き上げのことを指しているのか、それとも個人拠出も含めたものを考えてのことなのでしょうか。

事務局)

「金額を変える」という要望ではございませんで、個人のものを入れるというそこだけの部分です。

問)

マッチング拠出ということですか。

事務局)

そうです。

問)

この法案が成立するまでのプロセスについてお伺いしたいのですが、第1回の政策会議の時に、今までの法案検討の流れとは全く違うことに我々はチャレンジしようとしている、というか、モデルケースになる、というようなお話をされたかと思うのですが、現段階、法案提出まで来られたということで、この1か月間やられてこられたところでの現段階での感想というか、あと実際にやられて何か課題というものがもし見えているとしたら、どんなものであるかと。

答)

感想としては、やはり与党議員の皆さんとのコミュニケーションというか、与党議員の皆さんの意見をどういうふうに反映していくかというのは、今後も大きな課題だな、というのは感想として持っています。今回は割と、4回も(政策)会議を開けましたし、その間、1か月ぐらい間があって皆さんもこうやって話題にしてくれたから、いろいろな与党議員から政策会議以外の場でもいろいろ注文を受けたりしましたから、結構吸収できたと思うのです。ところが、今後、そんなに話題にならない法案とか、あるいは検討期間が短いものの時に、与党議員の皆さんにしてみたら、気が付いたらもう法案が、原案が決まっていたみたいなケースも想定されますから、これはやはりそういうことが今後の検討課題だな、というふうに思います。感想と課題と両方一緒に言ってしまっているような感じだけれども。

問)

今回に関しては、かなり反映もできたというようなご実感でしょうか。

答)

反映もできたし、それなりに今はそんなに与党議員からブーイングも出ていないので、良い感じだったのではないかなと。それと、あえてもう一つ課題というと、これは本当は皆さんとの関係でもあるけれども、これは我々側から見ていると、今までは、霞ヶ関の皆さんが割と原案をしっかり作ってくださっているので、ある段階まで来ると、霞ヶ関の皆さんを取材すると、割と情報がとりやすい、特に、記者クラブの皆さんはそういう感じだったと思うのですけれども、要するに、昨日か一昨日の郵政(関係政策会議)の時のブリーフィングでも申し上げましたけれども、大臣が何か大きな方針を立てると。我々から見ていると、自民党政権下ではその指示というのは、事務次官以下の事務方の皆さんにドンと下りますから、そうすると事務方の皆さんが一生懸命検討すると。途中で記者クラブの皆さんが取材をすると、それなりに情報がとれると。今は、大臣から私たちのほうに指示がドンと下りるので。もちろん僕らだけではできませんよ。できないから、事務方の皆さんと一緒になってやるのですけれども、その間に与党プロセスというものが入るものですから、記者の皆さんに情報をどのタイミングでお伝えするのか、というのはなかなか悩ましいなと。今回は、イニシャルケースでこういう経験ができたから良いけれども、実際に法案を作っている省庁はまだ少ないですよね。だから、通常国会の時に他省庁の記者クラブと他省庁の政務三役も多分同じ悩みを抱えるだろうなというふうには思いますね。この辺も今後の課題ですよね。だから、結局、50年間自民党政権が続いてきたということは、例えば、私が学生の頃、政治学の教科書なんかを見ると、日本の政策形成プロセスといって、自民党の政調(政策調査会)とか、総務会とかを中心にした絵が描いてあって、それを基に大学の先生も、これがつまり政策形成プロセスだということを説明していたわけですよ。ところが今回変わってしまったわけだから、そうすると、マスコミの皆さんもどの段階でどの情報をとるとどれだけのオーソリティーのある情報なのかということがやはり変わってきているし、また今後も変わると思うのですよ。だから、ここは結構政権交代の影響が出る部分なので、むしろその辺は皆さんとこれからうまく練り上げていかなければいけないなというところだと思いますね。民主党ないしは新政権の政策形成プロセス自体も、まだそんなにコンクリートな状態ではないですよね。これからじわっと変わってきますし。今回は政策会議の中に第1次ワーキング、第2次ワーキングというのを作って、という絵でやりましたけれども、前も申し上げたけれども、全てがこのパターンではないし、手探りですよね。そこは是非ご協力をいただきたいと思いますので。

問)

税制改正要望の「生命保険料控除制度(の改組に伴う所要の法制上の措置の実現)」の部分なのですけれども、前の政権の時も2つのものを3つにするというようなのは要望されていたと思うのですが、これは何か数字が変わったとかということはあるのですか。民主党のマニフェストに盛り込まれていたものがそのまま要望されているということでよろしいのでしょうか。

答)

これはちょっと私が間違っていたら、事務方の皆さんに補足してもらいますが、数字自身は業界の要望も踏まえて決めていますから、変わっていないですよね。変わりましたか。

事務局)

12(万)のところは民主党のマニフェストでいくと15(万)になると。

問)

15(万)が12(万)に。

事務局)

民主党のマニフェスト、政策インデックスでは国のところが15万程度となっていますが、今回の要望では12(万)という形で要望しています。

答)

だから、そこまでは大盤振る舞いできなかったという話ですね。

問)

去年に続いて、また新たに金融検査マニュアルを弾力化しますと、今度、逆に金融機関の引当て不足になるような懸念はないのかという点と、あともう一点、中小企業向け融資はCLOみたいな形で証券化されているケースも少なくないと思うのですが、例えば、金融機関と借り手側が合意に達しなかった場合に、証券化されているからということは理由になるのか、という点を聞きたいのですが。証券化されている債権が簡単にリスケになってしまいますと、最終的に投資家に与える影響も小さくないと思うのですが、その辺りはどう考えたらいいのか。

答)

証券化されている債権において、そういう、今、ご質問のようなケースが起きるかどうか、というのは、これは、今後、実態を見てみないとちょっと分からないです。証券化されていない原債権のほうが交渉がまとまりやすくて、こっちがまとまりにくいとなるかどうかは分かりませんが、ただ、やはり原債権にリコースしづらいという性質を考えると、ご指摘のような現象が相対的に起こり得るということは、それは何となく想像はできるのです。ただ、実際にそうなるかどうかというのは、ちょっとやってみないと分からないので、この段階でのコメントはちょっと難しいです。

それと、もう一つは、引当て不足になるかどうか、これもちょっと様子を見てみないと分からないです。これで年末、年度末やってみて、来年3月末の段階の決算でどういう対応をするか、というのをちょっと見てみないと、その時におっしゃるような状況になっていれば、またそれは随分協力してくれてそうなったのなら、それなりにやはり考えなければいけないことも出てくるし、今すぐどうこうということは考えていないです。

問)

大臣が仙北信用組合の方(元理事長)のお話のときに質問されていたのですけれども、追加融資とか新規融資に関しても、これは金融機関に促すということに含まれるのですか。

答)

それは良いご質問で、さっき3段階と申し上げましたでしょう。まず1段階目でもその条件変更をしたときに、金融機関が今まで1,500万(円)だったものを返済期限を延長して、しかも2,000万(円)にしてあげると言えば、これは一番良いケースですよね、500万(円)ニューマネーが出て。

第2段階のケースでも、信用保証協会とか政府系金融機関が、例えば、今まで1,500万(円)だったものの保証の期間を延長して、それにプラス500万(円)で2,000万(円)にするというときには、これは新規の保証ではなくて、今までの契約の拡充という対応をする、と言っています。そういう意味では、ニューマネーも出やすくしているという対応になっていますから、そこはちゃんと念頭に置いてやっています。

ただ、実際にそこまでやってくれるかどうかは分かりませんけど。

問)

そうすると、そういうこともこの法案に含まれていると考えるということで。

答)

法案にはそこまでは…。

問)

信用保証協会…。

答)

信用保証協会と政府系金融機関の対応。

問)

あと、金融検査マニュアル(ですか)。

答)

検査マニュアルでそれは書きづらいですよね。だから、検査マニュアルで書くとすれば、頭の体操としては、リスケしてニューマネーを加算したときに、「そのニューマネー部分は不良債権にしろ」みたいなことは書かないということですよね。だから、決済資金が足りなくなったから、リスケをして、しかもニューマネーを借りたというのが今までの発想だと「不良債権だ」と言いがちなのだけれども、「今回はそういうふうには想定しません」というのが、多分、金融検査マニュアルの我々サイドの対応での考え方であって、最初に申し上げた、信用保証協会や政府系金融機関の対応というのは、中企庁や財務省でそういう方向で、今、協力をしてくれているわけなので、それは全体として軌を一にすると、そういうことです。

問)

そうしたら、金融機関が金融庁に報告を上げるときの項目というのは、まだこれから決まってくると思うのですけれども…。

答)

詳細は…。

問)

それには新規や追加融資に応じた件数というのも…。

答)

これは、どういう聞き方をすると現場が混乱しないのか。しかも各金融機関によって判断がまちまちになっては困るので、それは実は私のところで事務局の皆さんと議論するときに私からも結構言った話なのです。だから、どういう項目を報告してもらうとより実態に近くなり、かつ、いわば抜け道のない報告になるのかという、それは今まだ検討していますので。政省令とかで報告フォーマットとか報告項目が決まってきますので。

問)

ちょっと話題がこれと変わるのですけれども、先ほど副大臣が出られていたJAL(日本航空)の関係なのですけれども、対策会議(第1回「日本航空再建対策本部」会議)に出られて、会議の概ねの内容と、金融庁を代表して行かれていると思うのですけれども、金融庁の代表として出られて、副大臣は会議でどのような発言されたのかというところを教えていただけますか。

答)

一応、今日の会議は、これでJALの再建も、新政権が発足して第2段階に入るわけですよね。自民党政権下でもいろいろやっていたけれども。これは発言の内容ではないですが、まず今日の位置付けですけれども、自民党政権でもやっていたのだけれども、新政権になって、前原(国土交通)大臣のもとでタスクフォースがつくられて、タスクフォースがそれなりに、彼らなりの財務状況の精査と再建プランの提案をしてくれたので、今日から第二段階に入ったと。(企業)再生(支援)機構に資産査定がシフトして、これから彼らが審査、デューデリをやると。それから、政治サイドでは、今日の対策会議が設けられて第2段階に入ったと。

だから、対策会議は、これは国民目線でどういう、国民目線というのがキーワードですから、これはぜひ使ってください。国民目線で最終的にどういう再建策にするかということを議論をし、結論に結びつけるということを今日は議論し合ったということです。

つまり、企業再生支援機構は、企業として再生ができるかどうか、あるいはどのようにすればできるかという、まさしく経営再建のプロとしてのいろいろな精査をするわけですけれど、前原大臣のもとに集まった対策会議は、そういうプランと併せて、国民目線で考えるとどういう最終的な再建案にしないと国民の皆さんの納得を得られないか、ということをしっかり議論しましょうと。そういう内容になっていますので、私からはこれ以上は申し上げないことになっていますので、もしご興味があれば前原さんに取材してください。

問)

副大臣から特に発言はされていないと。

答)

それはしました。しましたけれども、そういうことも含めて、我々はメンバーとして招聘をされたので、会議の詳細については、できれば(前原国土交通)大臣か事務局長の辻元(国土交通)副大臣に取材をしてください。

問)

では、基本的な認識で結構なのですけれども、要するに、支援機構を使うプランでも、金融機関にはかなり大規模な金融支援というのを求めてくることになると思うのですけれども、やり方によっては、金融機関の財務に影響が出かねないというのもあると思うのです。それでまた影響が大きく出ちゃったりすると、それは金融庁としても困ったものだということになるのではないかと思うのですが。

答)

まだ再建案がどういうふうになるか決まっていないので、この段階でその質問にお答えすることではないと思っていますので、そのぐらいにしておいてください。

問)

銀行団とか取材していますと、「年金債務をやはり減額しないとなかなか棒引きには応じられない」というのが銀行団の意見だと思うのですけれども。当然、コミュニケーションをとっていらっしゃると思うので、そういったお考えは副大臣もよくご存じだと思うのですけれども、そういうことはこの会議で、今後、代弁していくということになるのでしょうか。

答)

もちろん議論するでしょうね、そのために厚生労働担当の副大臣も入っているわけですから。だから、JALの再建のためには、今のJALの債務状況をどうしていくか、ということですから、そのためには年金債務もその中に入っているわけですし、年金債務は3,300億ですか、一番大きいわけなので、だから、当然、それも議論はしていくことになりますが、どういう方向になるかということはまだ何も決まっていないです。

問)

ちょっとまた戻るのですけれども、先ほどのノンバンクとかの扱いなのですけれども、そもそも論で恐縮なのですけれども、そもそも何で含められなかったのかというところと、例えば、住宅ローンの借り手でいえば、不公平感が発生するのではないかと思うのですけれども、その辺はどうやってフォローというか、担保していくのでしょうか。

答)

不公平感というのはどういう意味ですか。

問)

例えば、借りている金融機関によって努力義務が課されている金融機関と、申し込んでも努力義務が課されていない金融機関があるわけです。そうすると、同じように苦しかったとしても、借りている業者によって対応のされ方が変わってくるということがありますよね。

答)

預金取扱金融機関以外からだけ借りて住宅建てている人というのは、それはそういう方もいらっしゃると思いますけれども、そういう方々に対しては、例えば住宅金融支援機構に残債がある人であれば、そっちは使えるわけだし、そういう声がまた出てきた段階では、何か政府として考えなきゃいけないことはあるかもしれないですけれど、現状では想定はしていません。今回のこのパッケージの対象には入っていないというのは事実ですけれども、そういう今のご指摘のような要望とか声がいっぱい出てきたらまた考えなければいけないですね、それは。

問)

そもそも何で最初入らないことになったのですか。

答)

やはりこれは法体系とか、金融庁の行政の機動性を考えると、やはり預金取扱対象機関をまずターゲットにしてやるほうが多分調整が迅速ですよね。今おっしゃったようなところまで含めた法体系をつくろうとすると、もっと時間もかかって、年末に間に合わなくなる可能性もあります。その辺は若干頭にはありましたけど。

(以上)

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