第5回政策会議後大塚内閣府副大臣記者会見の概要

(平成21年12月2日(水)9時07分~9時27分 場所:金融庁第1・第2研修室)

【副大臣より発言】

今日の会議の次第は、お手元にあると思いますが、会議の次第に沿ってお話をさせていただきます。

説明は聞いていただいたとおりですので、税制改正要望のうち、ISA(少額の上場株式等投資のための非課税措置)については、いろいろと議論をさせていただきました。このISAが、こういうものに頼ることなく、「そもそも、本質的に株式投資が促進されるような施策をとるべきではないか」というご意見もありましたし、一方、「やはり、こういう税制を導入することによって、民主党政権もマーケットの動向に対して関心を十分に持っているのだというメッセージを伝えるべきである」とか、様々な角度からご意見が出ました。

そういった意見については、今日、私が、峰崎財務副大臣と、税制についての政治レベルの交渉に臨みますので、しっかりと反映して、交渉をしてまいりたいと思っているということもお伝えをいたしました。

それから、2番目のBIS規制等の動向ですが、やはり、2012年を目指して、今、調整が進んでいるバーゼル III に関しては、「日本への影響が非常に大きいので、しっかりと日本としてのポジションを明確にして交渉に臨むべきである」というようなご指摘が多かったと思っております。

貸金業については、ご質問は出ませんでした。

それから、最後の、今回の法案(中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律案)に関してでありますが、(金融)検査マニュアル等の中で、「コンサルティング機能」ということを書き込んでいるわけでありますが、これが単に、そういうことを抽象的に目指すということではなくて、「実際に、金融界がそういう機能を十分に果たしていくという実体を伴わせることが重要である」というご趣旨のご指摘をいただきましたので、我々としては、「全く同感である」というふうに申し上げておきました。

とりあえず、概略は以上であります。

【質疑応答】

問)

税制(改正)要望の件について、ちょっとお伺いしたいのですが、この参考(資料1-1)の表の中に、A、B、C、D、Pとカテゴライズされている、このA、B、C、D、Pの(符号の)意味を。

それから、税制(改正)要望の2.の(1)(個人年金保険料控除の対象に年金積立障害保険(損保年金)を追加すること)、(2)(火災保険等に係る異常危険準備金制度の措置の恒久化又は延長)に関して、何か質問とか指摘、意見などがあったら教えてもらいたいと思います。

それと、この2つに関して、これを提出というか、今回、政策会議にかける前とその後で、要望の位置づけが変わったかどうか、その辺もお伺いしたいと思います。

答)

まずA、B、C、D、Pは、Aは、「認める」という判定ですね、税務当局から。Bは、「要望内容の見直しが適切に出来れば、認められる」。つまり、ちょっと調整すれば認めてやるという話ですね。C(は)、「要望内容の抜本的見直しができなければ、認められない」。Dは、「認められない」と、Pは「ペンディング(判断を保留するもの)」と、そんな感じです。

それで、この損保についての質問は出ませんでした。出ませんでしたので、別に、我々のスタンスは、今、変わっていません。

問)

先ほどの、(金融)円滑化法関連でご指摘があったということなのですけれども、やはり、新しい監督指針や金融検査マニュアルで、円滑化に対応する金融機関の態勢が整うと、私は思うのですが、そこの実体をどう確保するかが課題だと思うのですけれども、この辺の、具体的にどのようなことをお考えになられているのか、お聞かせいただければと思います。

答)

これは、もう既にご覧になっているかもしれませんが、全文は、ホームページからダウンロードしてご覧いただけますので。まず、そもそも態勢という面においては、この年末、あるいは来年の年度末も含めて、条件変更の申し出等も大変多くなると思います。

ただ、この条件変更の申し出に単純に応じるだけではなくて、今回の法案の建てつけが、「数年先に業績回復が見込める先」というのが条文の中にも入っておりますので、ということは、条件変更の際に、経営状況を改善していくための様々な相談、あるいはアドバイスに応じてあげるということが金融機関にとって重要な責務となりますので、そのための態勢整備ということであれば、まず、そういう話が来たときに門前払いにしないということ。それから、上がってきた情報は、これが政府としても取り組んでいる重要な、短期的には条件変更が課題だし、中長期的にはコンサルティング機能が課題ですから、その情報がしっかりと本部に上がっていくこと。上がっていった上で、営業店だけでサポートできないのであれば、本部も一緒になってサポートできる。まさしく人的、物理的体制を整えること、こういうことがまず外形的にも整っていないと、そもそもやる気がない、ということになりますので、これはしっかり見ていくことになると思います。

それから、やはり、これは審議の中でも申し上げましたが、今回の監督指針の加筆の中に、今、申し上げたようなことに積極的に取り組んでいるということが営業店の評価や人事考課に反映されているかどうか、というようなことも書き込んでいるわけですから、外形的なものだけではなくて、つまり、職員の行動インセンティブにまで働きかけようとしているわけですから、我々は、今回、かなり重要な、政策の軌道修正をしていると思っております。その結果、ご質問のようなコンサルティング機能が、実際に、実体を伴うものになっていくかどうかというのは、これはちょっとしばらく様子を見てみないと分かりません。

ただ、会合の中で、こちら側から出席した議員の皆さんにも申し上げたのは、やはり「日本には長くレンダーはいても、バンカーはいない」と言って、担保があればお金を貸す(という)のは誰でもできる話であって、担保がなくても、いわば事業や経営者の実情を判断して、いわばリスクマネーを供給することによって企業と産業を育てるというバンキング機能が育たないと、我が国の経済は必ずしも良い方向に行かないという認識を持っておりますので、「今回が、そういうことにこれから取り組んでいくスタートである」というような趣旨のことを申し上げましたので。

ご質問に戻りますと、これから実体を伴わせるべく最大限の努力をしていくということですので。特に、そういう内容のことをいっぱい書いて、銀行に配ってください。よろしくお願いします。

問)

BIS(規制)の関係なのですけれども、バーゼル III ですね、日本のポジション、いわゆる影響が大きいということの意見が出たようですけれども、特に、日本の銀行で注目されているのが、コア・ティア1(自己資本の基本的項目のうち普通株、内部留保等)の質の問題、それから数値だと思うのですけれども、この辺り、これまでの金融庁の流れだと、「普通株と内部留保(まで)で優先株の扱いというのは難しいのではないか」とか言われているのですけれども、改めて、そういった「日本の影響が大きいので、ポジションを決めて交渉に臨むべきだ」という意見が出たということであれば、何かこの辺り、日本としてどういうふうに世界に訴えていくとか、例えば、優先株は求めていくのだとか、そういったことになるのでしょうか。

答)

そもそも、コア・ティア1から何を除くかという、その控除項目については、私は、まだコンファーム(確認)されたというふうには思っておりません。確かに、市中協議の取りまとめは今年中にやって、それをたたき台に、来年、交渉するわけでありますが、まだ流動的だと思っておりますので、そこは、日本として主張するべきことはしっかり主張していくという姿勢を、これまで以上に強く出していくつもりであります。

やはり、各国の実情、実際の、バーゼルのルールの適用の実情は、実は、相当まちまちでありまして、その辺もしっかり踏まえてやっていかなくてはならないと思っております。

それから、世界経済にとって日本の経済規模、これは中国に抜かれて3位になりますけれども、しかし、その日本経済、それだけの規模を持った日本経済が疲弊するということは、世界経済にとってもプラスにはならないということを、しっかり自己主張していくということだと思います。だから、「特別扱いしろ」と言うつもりはないのですが、そういうロジックというのは、これまで何か、あまり十分に主張していなかったのではないかという気もするので、ちゃんと主張していきたいと思います。

問)

自己資本の話で、少し変わるのですけれども、「国際的に活動する銀行に対して強化する」ということなのですが、国内基準について、大臣は、「柔軟に対応する」というようなお話をされていますけれども、それについて、何か質問なり、「整合性はどうなのだ」というような話は…。

答)

いや、それについては、質問は全くなかったです。今日は、国内基準の話は特段出ていないです。

問)

先ほどご説明の中で、「バーゼルのルール適用は、各国によって実情は相当まちまちである」というご説明で、その辺り、「そこも踏まえないといけない」というふうにおっしゃっていましたけれども、どう踏まえるのか、もう少しかみ砕いて…。

答)

つまり、それは、今の、国内銀行の取扱いですよね。各国の実情、大体、インターナショナルな活動をしているメジャーな金融機関、欧米の金融機関も大体分かりますけれども、それ以外の金融機関は、皆さんもほとんど知らないでしょう。私も、十分に知っているとは言えない面があるので、そういうことをしっかり精査した上で、交渉の場で主張していくべき内容を固めていきたいという意味です。

問)

一部のメガ(バンク)なんかは、国際行の中でも、先ほども議論がありましたけれども、優先株が多くてコア・ティア1を充実させるのが大変だ、というところがあると思うのですけれども、そういったところでの、例えば、公的資金の(金融機能)強化法で使っている優先株みたいに、強制転換型のものは普通株と同等に扱ってくれという、従来どおり、金融庁は主張しているかと思うのですけれども、それを9月のG20で普通株と剰余金と固まりましたが、それでもなおかつ、それを押していくのか、それをあきらめたのかということなのですけれども、その辺のスタンスを教えていただければ。

答)

それは、今後、決めていきますけれども、個人的にはあきらめていません。

これまでの交渉の経緯があるので、9月までは、9月15日までは旧政権下でやっていたわけですから。旧政権下で、どれだけの政治のグリップが効いて交渉していたのか、まだ、私は、十分に把握をできていないので、新政権下においては、政治として明確な意思を持って、交渉担当者にはそれを踏まえた交渉に臨んでもらいたいと思っていますから、これから調整します。

問)

そうすると、再確認なのですけれども、要するに(普通株式)強制転換(権付)優先株に関しては、ねじ込んでいくという方法で…。

答)

いやいや、個人的にはそういうことも念頭にあるけれども、当局としての交渉スタンスはこれから決めていくということです。

問)

今の関連で、先ほど話があったように、これからの交渉では、実際の交渉の主戦場というか、主な焦点は、やっぱり控除項目をどこまでになるかということが、具体的な交渉の観点になるという理解でよろしいでしょうか。

答)

控除項目もそうですし、それから、2012年からの適用の条件に関しても、私が着任したときには、「景気回復を前提として」という文言だったのですが、その前に「「サステイナブル(持続可能である)」というコンセプトを入れてくれ」というふうに要請をしました。つまり、これだけリーマン・ショックで落ち込んだわけですから、2012年というのは、2011年の景気の数字が出てくるわけですよね。そうすると、2009年対比で2010年、2011年というのが自然に上がっていく確率のほうが高いわけですよ。しかし、それはリーマン・ショックからの相対的な景気回復であって、本当にサステイナブルな景気回復かどうか分からないわけであって、やはり、そういう文言一つでも、対応というのは変わってくるので、控除項目だけではなくそのほかのことも含めて、しっかりと交渉に臨んでいくべきだと思っています。

問)

税制について、ISAについては、今日の政策会議の議論を経て、どういうスタンスで、峰崎(財務副大臣)さんとの交渉に当たっていくということになってくるのですか。

答)

いろんな意見は出ましたが、やはり、基本的には、「この環境を考えると導入をしていただきたい」と。ただし、導入をしないのだったら、いっそのこと、例えば、株式市場を活性化するための税率を本則に盛り込むとか、もっと「本質的に株式市場の梃子入れのための構造的枠組みを作ってもらいたい」と、基本的にはそういう主張になります。

問)

「導入してもらいたい」という要望は基本的に持ちつつ、もし、それが難しいのであれば本質的なという…。

答)

そういうことです。おっしゃるとおりです。

問)

貸金業制度のほうの話なのですけれども、今日、質問は出なかったということなのですが、来週以降、精力的にヒアリングとかを進めていかれるという(田村大臣)政務官のお話もあったので、今後、どのように進めていくのか、どのあたりが焦点になってくるのか。特に、運用面で、配慮なり改善する可能性が、どのようなことがあり得るのかというのを教えていただけませんか。

政務官)

スケジュール的には、また、ちゃんとご案内しますけれども、今度の金曜日の17時から、そして、来週、月曜日の17時からという、それはどちらも2時間を考えています。それ以降は、まだ、ヒアリング先を含め、今、調整中ではありますが、今のところ火曜日の11時頃からと、月曜日の17時から辺りにしようかなと、それ以降(の日程について)は考えています。

今度の金曜日と来週の月曜日は、引き続き、関係団体から聞きますので。ちなみに次回は、今のところの予定では、クレジット協会ですとか、全銀協ですとか、あるいはクレサラ(全国クレジット・サラ金)被害者連絡協議会ですとか、国民生活センターですとか、そういった各種団体ですね。それは、来週の月曜日も一緒です。来週の火曜日以降は、有識者、学者さんですとか、それから各分野の有識者の方をお呼びしようと。来週、火曜日以降は、1時間にしようかなと、今のところはイメージを持っています。

今後、どういうところが論点になるかというのは、まさにどういう意見が出るかによってですので、それは別に決まっていません。

問)

「国会閉会中も政策会議を開く」というようなお話を冒頭されていましたけれども、というと12月、来月かなという気がするのですが、具体的に、今、何か課題みたいなものというのは、既に考えていらっしゃるのでしょうか。

答)

今のBISの話なんかは、今日もご覧いただいて分かるように、相当、知見を持った新人議員も多いのですよね。だから、実際に、我々だけの頭で考えているよりも、彼らのご意見も聞かせていただきたいと思っていますから、そういうこともやりたいですし、それから、やがて郵政の検討が本格化しますので、もちろん、これは内閣府の政策会議でもやりますが、しかし、これは、ゆうちょ銀行と簡保をどうするかという問題で、金融行政としても関係のある話なので、そういうことも少し議論をしていただくことも考えてはいます。

(以上)

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