大塚内閣府副大臣記者会見の概要
(平成22年1月21日(木)17時16分~17時56分 場所:金融庁会見室)
【副大臣より発言】
皆さんのお手元には4つ資料(PDF:605K)がありますね。
それでは、今日の日付の「ポイント」と書いた3枚紙に従って簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
「金融・資本市場に係る制度整備についてのポイント」ということで、本日、金商法の改正に向けた基本方針を報告させていただきますので、この内容に従って、今後、金商法の改正案を作成していくことになります。
今日、お示ししている、この制度整備についてのレポートは、皆さんのお手元にもあります、昨年11月13日の政務三役のペーパーに基づいて作業が始まったものであります。12月17日に、その骨子を発表し、その骨子についてパブリックコメント等もいただきつつ、また、市場関係者からのヒアリング等も行いつつ、本日のこのレポートになったという次第であります。
このレポートの内容については、政務三役として了承済みでありますので、この内容が法案作成に向けたオフィシャルペーパーであるという位置づけになります。
内容的には、まず第1点( I .)として、店頭デリバティブ取引の決済の安定性・透明性の向上と。これの背景は、ご承知のとおり、CDS等の店頭取引が金融危機にも非常に影響を与えたということから、今後、同じようなことを抑止するための諸制度の整備を行うということであります。
そのうちの一つは、取引の決済、清算の集中及び清算機関の制度を整備するということであります。として、詳細は後でお読みいただきたいと思いますが、しからば、どのような清算機関に清算を集中するのかということに関しましては、我が国に新たに設立する清算機関、国内清算機関による清算集中が本来求められるところ、それがより望ましいとは思ってはおりますが、既に、我が国の多くの金融機関が国際的な取引をやっておりますことから、LCH(クリアネット 英国所在の清算機関)を使っているようなところもありますし、国内清算機関と外国清算機関との連携も念頭に置くということであります。また、実際にトレーディングをやっている皆さんの対応によっては、外国清算機関への清算集中を行うことも選択肢としてないわけではないということをご理解いただきたいと思います。
それから、今度はでありますが、新たに清算機関をつくるにしても、あるいは制度整備をするにしても、何か、既に行われている実務慣行を無視して行うということではなく、これまでの実務慣行を尊重するということをベースにしております。また、仮に国内清算機関を新たに設立するということになれば、その清算コストをどのように負担し合うかというようなこと、これらは、今後、市場関係者等とも十分な調整をして、具体的な要件を決めていく必要があるということであります。
でありますが、そもそも清算集中を安定的に行うためにはどのぐらいのポジションがマーケットで造成されているか、ということが非常に重要な情報となりますので…、については、保有ポジションの大きい業者等を対象とするということであります。
また、システム上、清算機関が重要なインフラであることを踏まえ、国内清算機関に対する主要株主規制や資本金規制を導入すると。
今、途中でちょっと、のところで申し上げかけたのは、そういう保有ポジションの情報が当局に十分に集まるようにする、ないしは清算機関に集約されるようにするということを、その次の(2)のところで申し述べております。
次に、大きな2点目( II .)として、国債の取引、それから貸株取引等の決済・清算態勢の強化ということであります。
JGB(日本国債)については、皆さんよくご承知のとおりでありますが、決済集中は行われておりますけれども、集中機関による決済・清算は約4割にとどまっておりますことから、これの集中をより進めたいということが背景として書いてあります。
それから、貸株については、DVP(証券の引渡しと資金の支払いを同時に履行する仕組み)がまだ十分に整備されていないので、それらの整備を行うということが背景のところに書いてあります。
今後の方針ですが、まず、国債決済については、これは市場関係者の自主的な意思というものもありますので、今後どういうふうに、この清算集中、決済集中を行っていくかということの工程表を、本年前半をめどに作成・公表するということを目指しているということが最初に書いてあります。その過程では、リーマンショックでフェイル(受渡し不履行)が随分発生したのですけれども、フェイル発生時のルール等の確立・普及も更に図っていくということが(1)に掲げてあります。
それから(2)について、貸株については、今、背景のところで申し上げたように、DVPそのものがまだ未整備の状況でありますので、これをどういうふうに整備していくかという工程表を早急に作成し、公表するということを目指します。
それから、(3)として、我が国の清算機関の体制のあり方ということで、現在は、金融商品ごとに清算機関が五つに分立しておりますので、これらの体制の整備、あるいは、場合によっては何らかの統合なりを図っていかなくてはならないというふうには考えていると。ここは、法律事項だけではないことも含まれておりますが、今後の対応方針が記載してあります。
次に、大きな3番( III .)ですが、証券会社の連結規制・監督等をどうするかということであります。
証券会社については、現行、単体ベースが規制・監督の基本ですが、これは連結ベースにしていく必要があるという問題意識で、今回の対応が方向感として定められました。(1)ですが、まず連結規制・監督の対象として、次の3ページの一番上の行になりますが、一定以上の総資産額を有する大規模な証券会社については、子会社を対象とした連結規制・監督を行うことにします。それから、親会社等を含むグループ全体のリスク把握が必要な場合には、そのような連結規制・監督を行うということが方針として、大体、固まっております。これらを法律事項としてどのように整備していくかということになります。
それから(2)、連結規制・監督の内容については、そこに記載してあるとおりですが、業務範囲規制のような事前規制の導入は避けるということで、過度な規制にならないような配慮はするということであります。
それから、この連結決算に関わることの2.でありますが、金融商品取引業者に対する主要株主規制の強化と。これは、金融商品取引業者の主要株主に対しては、今、十分な監督が及ばない態勢になっておりますので、今後は、主要株主のうち議決権の過半数を保有する者に対する業務改善等の措置命令を可能とするということを考えています。
3.でありますが、保険会社の連結財務規制であります。保険会社は、ソルベンシー・マージン基準なんかも、今、単体に対して設けられているだけであり、やはり保険会社も徐々にグループ全体の規模が大きくなっておりますので、やはりグループ全体を対象とする連結財務健全性基準を導入するということを行っていきたいと思っております。
以上が大きな3番で、連結規制の問題です。
次に、大きな4番( IV .)として、ヘッジ・ファンド規制でありますが、これは、背景は今さら申し上げませんが、次の4ページの(2)、我が国の現在の規制の枠組みということで、現在のファンド運用者に対する規制は、現行法上は、投資一任運用業者、投資信託運用業者、それから自己勘定で運用している集団投資スキームという、いずれかの規制が課されておりますが、全体として、国際合意で求められている「登録」に相当する規制実態を整えているということであります。
これを今後どうしていくかということでありますが、いわゆるヘッジ・ファンドは、今、申し上げた三つの事業者のうち最初の二つ、投資一任運用業者、投資信託運用業者の中にヘッジ・ファンドに該当する人たちがいるということでありますので、この人たちに対してはヘッジ・ファンドと同様の運用規制を課せられていると。ただ、現在、届出制のもとにあるプロ向けの集団投資スキーム、つまりさっき申し上げた3番目のカテゴリーでありますが、この人たちの中には、現行、現在の状態では、実態としてはヘッジ・ファンドに該当するものが確認されていないことから、現状の届出制のままとするということであります。ただ、外国投資信託を国内から直接設定・指図する運用形態は登録対象とするという方向を固めております。
なお、(2)でありますが、ファンドのリスク管理状況に対する報告事項等を拡充していくということも行いたいと思っております。
大きな5番目( V .)であります、投資家保護・取引の公正等の確保ということで、まず、その中の1.でありまして、これは結論だけ申し上げますが、地方公共団体は、「プロ」とは言えない運用主体だという認識のもとで、今後は、今の位置づけ、「『アマ』へ移行可能な『プロ』」から、「『プロ』へ移行可能な『アマ』」だと分類を変えるということであります。
それから次の2.でありますが、デリバティブ取引一般に対する不招請勧誘規制のあり方。不招請勧誘がFX等のデリバティブ商品で随分行われて、問題になっていることに対応した今回の措置でありますが、いろいろ、パブリックコメントや業界からのヒアリングに基づいて意見を整理してみると、両論あります。したがって、「考え方」のところでは両論が併記してありますが、つまり、「より厳格に予防的な対応をするべきだ」というご意見と、一方で、「あまり縛り過ぎると、我が国の金融サービスの発展を阻害する」という意見もありましたので、その下の○(丸)ですが、それらの両論を踏まえ、取引所取引を含むデリバティブ取引一般を不招請勧誘の禁止の対象とすべきかどうかについて、今後も、市場関係者や利用者と引き続き意見交換を行って、今年前半をめどに結論を得るように、更に検討を進めるという位置づけにさせていただきました。
それから、3.でありますが、金融商品取引業者全般に対する当局による破産手続開始の申立権の整備ということであります。これは、今、当局による破産手続開始の申立てができないことになっておりますので、実態に勘案すると、やはり不透明な業者も時としていることに鑑み、当局による破産手続開始の申立てを可能とするという方針で臨みたいと思います。
最後の4.でありますが、信託業の免許取消し等の際の当局による新しい受託者の選任の申立権についてです。これは、信託業を営んでいる事業者の免許・登録の取消し等に対して、受託者の解任については、当局の申立てで可能となっていますが、解任されると、今度、それに代わる新しい受託者が必要なのですが、その選任については利害関係人に委ねられている結果、なかなか決まらないということもあって、委託者の立場を不安定に置くということにも鑑みまして、当局による新しい受託者の申立ても可能となるような制度整備を行うということであります。
最後に、大きな6番( VI .)として、その他、空売り報告制度の整備と。現行の規制は、今年の1月末、つまり今月末までになっておりますが、これをどうするかということについては、今後も、国際的な状況やマーケットの状況も注視しながら方針を決めさせていただきたいと思っております。なお、将来どうするかということについては、これはまた、日本だけが少し歪(いびつ)なルールになってもまずいという観点から、国際的な動向も勘案しながら、総合的に検討をさせていただくということであります。
以上、概要だけで恐縮ですが、詳細についてはフルペーパーのほうをご覧いただきたいと思います。あと、参考資料がつけてありますので参考にしていただいて、何かご質問があれば、私でお答えできる範囲はお答えしますし、私でお答えできないところは、事務方のほうから補足させていただきます。
とりあえず以上です。
【質疑応答】
- 問)
-
証券会社と保険会社の連結規制のところなのですけれども、ポイント資料の3ページの一番上、「一定以上の総資産額を有する大規模な証券会社については」という形で書いてあるのですが、この「基準」というのはどの程度をイメージされているのか、決まっていないとすれば、今後、どのように決めていくのか。
- 答)
-
まだ決めているわけではありませんが、実際に、証券会社のグループの状況をこれから調査して、基準については決めていくことになると思います。事務方では、もう既に、ある程度の数字は把握していると思いますが、今、ここで申し上げることは、多分、適当ではないと思いますので、そういう回答にとどめさせていただきたいと思います。
- 問)
-
資料の1ページ目、清算機関の件なのですけれども、案の段階では入っていなかった、(1)ののところなのですが、「清算の要否の認定にあたっては、国際的に採用されている実務慣行を尊重するとともに」というような文面が、案の段階から新たに加わっていると思うのですけれども、これを入れた意味は、どういった配慮があって、というところなのか教えていただけますか。
- 答)
-
いや、これは当然、パブリックコメントをとる過程では、利害関係者がいろいろな意見を言ってくるわけですから。全く新しい国内清算機関をつくると、清算するときに…、今、既に、いわばゲームのルールとして成り立っている清算基準があるわけですよね。あるいはいろいろな、まさしく実務慣行があるわけで、「それと全然違うものになったら不利益だ」という人たち、あるいは「混乱する」というご意見もあったことを踏まえて、こういう一文が入っているということであります。
- 問)
-
パブリックコメントを反映させてということですか。
- 答)
-
まあ、そういうことです。パブリックコメント及びヒアリングの結果を反映してということであります。
- 問)
-
法案提出ということですけれども、今後のスケジュール感はどういった手順で進んでいくのかをお教えいただけますか。
- 答)
-
通常国会にこの関連法案を提出して、可決していくということを目指しますので、3月中には法案をまとめる方向で、これから更に作業をペースアップしていくということになると思います。
- 問)
-
先ほど、全体にわたってご説明いただいたと思うのですけれども、前回の骨子案と似通っているところが多々ありまして、今回、どの辺が新しくなったのか、あるいは進捗したのかというのが分かりにくいのですが、例えば、 V .の投資家保護・取引の公正等の確保のところでは、3.とか4.が加わったというのは見た目に分かりやすいのですけれども、その他のところで、ちょっと、この間との違いを…。
- 答)
-
(新しく)入れたところだけにシャドーをかけたペーパーでもお配りすれば良かったけれども、今、にわかに「思い出せ」と言われても…。
確かに、イメージとしては、フルペーパーのうち8割ぐらいは12月にお示しした段階のままです。2割ぐらいは加筆、ないしは修正をされているということであります。どこがそれに該当するかというのは、もし見比べる作業が大変だということであれば、場合によっては、事務方にごまをすると、シャドーをかけたものを貰えるかもしれません。イメージは、2割ぐらいだと思います。
- 問)
-
先ほどの清算機関のところで、追加でお聞きしたいのですけれども、私も、今、やはり清算の要否の認定のところがだいぶ変わったような印象を受けていまして、前は、「我が国の倒産法制に照らして」というところを随分と強調されているイメージがあったのですが、今回、実務慣行尊重ということで、これは例えば、この間から、我が国初だと思うのですけれども、アイフルの事例とか、具体的な動きがあったみたいなことも、ある程度踏まえて、ここのような書きぶりに変えていらっしゃるのでしょうか、ということが1点なのですけれども。
- 答)
-
そうですね。おっしゃるように、どういう事態をクレジット・イベントとして認定するかということについて、今は、実務者の中の代表者たちが集まって認定をやっているわけですが、その認定自身も、「ベンチマーク(基準)が明確であるか」と言われれば、必ずしも明確ではないところもあります。また、ルール化しようと思っても、それだけの件数がないので、客観性を担保するのがなかなか難しいという面もあるので、実務慣行とは別に、明確な基準をビシッと決めるというのも一つの案だとは思うのです。
ところが、逆に言えば、それだけクレジット・イベントのサンプル数がないということは、あまりビシッと決めてしまうと、実態に見合わないベンチマークを決めることにもなりかねないので。したがって、頭で考えるベンチマークは幾らでもつくれますけれども、やはりサンプル数が少ない、それから、既に、クレジット・イベントの認定に関わっている人たちがいるということを考えると、現時点の当局の案としては、ご覧のような表現にしていくのが適切ではないかということです。
- 問)
-
この清算機関への集中に関して、外国の機関への集中もないわけではないとか、いろいろと書いてあって非常にわかりにくいのですが、今の金融庁の考え、もしくは副大臣の考えでは、どのような方向に収れんするのが法案として望ましい、もしくは、あり得る形だと思われているのでしょうか。
- 答)
-
この分野の政策の基本的な姿勢としては、やはり日本のマーケットインフラを強化する、整備するという視点が非常に大事だと個人的には思っています。したがって、オリジナルな国内清算機関に清算が集中されるというふうになればいいなと思っていますけれども、ただ、さっきも申し上げたように、LCHとか先行している事業者がいて、また、国内に清算を閉じ込めておきたいと思っても、完全に把握しきれないわけですよね。実際にはボーダレスに清算が行われている可能性もあって、そういう実態を踏まえると、国内の市場インフラ整備のために、できるだけ国内清算機関を育てて集中させたいという当局としての思いとは別に、やはり実態もしっかり踏まえなければならないというその両面を勘案すると、現時点でお示しできる方針としては、ここに書いてあるように、我が国に設立する清算機関をうまく使うというのが1案。それと、外国清算機関との連携というのが2案。さらには、もし日本のインフラが不十分であれば、それは利用者が決めるわけですから、外国清算機関に集中していく可能性があるわけであって、そういうこと自身が、まさしく市場間の競争でありますので、現状においてはいずれもあり得るという趣旨です。
- 問)
-
デリバティブの不招請勧誘(規制)のところなのですが、これは、市場関係者や利用者と引き続き意見交換を行い、本年前半をめどにと。これは、何か議論する場みたいなものは、これのために特別に設けるというイメージでしょうか。
- 答)
-
いや、今のところは、そういうことは考えていませんが、そういうことが必要になってくれば、やるかもしれません。まだ、それが必要だという判断には至っていません。
- 問)
-
では、必ずしもそういう場を設けずに、事務方でヒアリングを通じて決めていくという…。
- 答)
-
はい。個別には、ヒアリングはこれまでもやっているわけですし、私自身もいろいろな事業者から聞いていることは聞いているので、材料は相当そろっていると。あとは判断の問題だけですよね。ただ、その最終的な判断に至る過程で、両方の意見の人たちがフィフティー・フィフティーでいるわけですから、「どこか見えるところで決めてよ」という要請が強ければ、そうするかもしれませんけれども、大体、意見の全貌は、ほぼ見えています。
- 問)
-
この全体の中で、例えば、清算機関は先ほど「三つぐらい選択肢がある」というお話で、不招請勧誘(規制)で言えば、「両論ある」というような感じだと思うのですが、今度、例えば、金商法の法改正という点を踏まえると、この清算機関はいつごろまでに結論を出して、不招請勧誘(規制)についてはいつごろまでに結論を出すというような、それぞれの選択肢の期限みたいなものというのはどうなっているのでしょうか。
- 答)
-
不招請勧誘(規制)については、どちらか一方に偏った法律をつくることももちろん可能ですけれども、多分、頭の体操としては、どのようなものが不招請勧誘に当たるかというような定性的な条件を書き込む法律にすることも可能ですよね。だから、どういう着地にするのが良いのかということを、これからまさしく、まずは事務方の皆さんでこれから案をつくられるということになります。
清算機関については、これは法律で「いついつまでにつくれ」と書いても、では、一体、それは政府が予算をつけてつくるのか、市場に合わせて市場の皆さんが自主的につくるのかとか、これまた幾つか考慮しなければならない流動的な点があるので、法律で「いついつまでにつくる」ということを明確に書けるかどうか、ちょっと、まだはっきりしません。ただ、今度つくる法律、ないしは法律事項ではない点も多々ありますので、行政指導ないしは行政の市場に対する働きかけによって動く部分もありますので、ここに書いてあるような方向で進むように、法的及び法律以外の対応を進めるということだと理解してください。
- 問)
-
保険会社の件なのですが、これは、今、単体でかかっているソルベンシーの基準を単純に連結に広げるのか、新しい財務健全性の基準を新たに導入するのか、これはどちらでしょうか。
- 答)
-
単純ではないと思います。
- 事務方)
-
私自身は所管ではありませんが、新しく連結ベースのソルベンシー・マージン比率の計算の仕方等も含めて施行時期を検討することになると担当室からは聞いております。詳しくは、保険企画室のほうにお聞きください。
- 問)
-
全体的な意義づけを聞きたいのですけれども、この前の会見でも、大塚さんは、「これは規制強化ではなくて制度の整備だ」というお話なのですが、大きな流れで見ると、リーマンとかサブプライム問題があって、それを何とか各国で手当てしていこうという中でこういうものが出てきたのだと思うのです。今回ので、大体、金融危機の再発防止に向けたものは、ある程度、もうパッチというか、手当てはできるという考えなのか、まだまだ、やっていかなければいけない部分というのはこういうものが残っているというものとか、全体像みたいなものをちょっと教えていただければと思います。
- 答)
-
リーマンショックに端を発して、金融サミット等で指摘されたり、関係当局間で認識された問題に関しては、今回の一連の対応を進めることで、ある程度カバーできるとは思っています。ただ、金融市場の実態そのものが進化するものですから、おそらく時間がたてば、今回の対応だけでは顕現化を抑止することが不十分なリスクがまた現れてくるとは思います。
したがって、現状においては、これで一段落だとは思っておりますけれども、十分かと問われれば、今後も適切に対応していくということだと思います。
- 問)
-
「規制緩和から規制強化へ」と舵が切られるような気もするのですが、そうではなくて、いわゆる緩和とか金融産業の育成みたいな部分は、これからまた、別に議論していくという感じになるのですか。
- 答)
-
もちろんそうですし、まさしく今、冒頭でおっしゃっていただいたように、以前も申し上げたとおり、これを規制強化と理解するのか、そうではなくて、より安全で信頼のできる市場とすることが、結果として投資家が参加しやすいマーケットをつくって、そのことが競争力を強化するのか、どちらととるかなのですね。両面あると思うのですけれども、それがバランスよく整備されることを目指しているというのが、より正確なところだと思います。
そして、もちろん、こういうこととは別に、東京の金融市場としての競争力を向上させたり、あるいは日本の金融産業そのものの競争力を強化するということには、引き続き、別の角度からももちろん取り組んでいきますので、これが何かすべてだということではありません。
- 問)
-
三つ質問がありまして、この(金融・資本市場に係る制度整備についての)概要の紙のほうなのですけれども、清算機関のところの、2ページですけれども、「認定の判断に対して、国内清算機関が、適切に関与するとともに、契約当事者として必要な主張を行うことができることとする必要」と。この下線の引いてある部分をもうちょっと具体的に、どういうイメージなのかということをおっしゃっていただきたいのが一つ。
それと、二つ目が、先ほどおっしゃった三つの選択肢、清算機関の集中の話ですけれども、外国清算機関への清算集中を行うことも選択肢とするということと、同じくこの概要の紙の上の四角の中にある「『破綻』に該当するか(クレジット・イベントの認定)に関し、我が国の倒産法制に則した判断がなされる等」がクレジット・イベントの認定に関してされると…。これは、外国清算機関に集中するとなると、明らかに矛盾するなということが一つ。
最後に、「この分野の政策の基本姿勢として」ということでおっしゃったのですけれども、「日本のマーケットインフラを整備するのが大切だ」とおっしゃった。この結果として、仮に市場が縮小することになっても、それはそれで構わないとお考えなのか、それとも市場を拡大することを最終的な目的として捉えていらっしゃるのか、そこのところをお伺いしたいと思います。
- 答)
-
まず1点目ですが、このアンダーラインのところ、箱に入っていないところ、「認定の判断に対して、国内清算機関が、適切に関与するとともに、契約当事者として必要な主張を行うことができることとする必要」と。これは、先ほどアイフルのことを取り上げていただきましたけれども、ああいうクレジット・イベントが発生したときに、契約当事者も、何がしか必要な主張をする機会がなければ、何か「お白州(しらす)」に出て、裁判所みたいなものが、一方的にドンと判断するのでは困るというのが後段の部分です。「契約当事者として必要な主張を行うことができる」と。やはり、何がクレジット・イベントに該当するのかということを、彼らも主張できるようにすると。
- 問)
-
これは、つまり参照体ということですか。CDSの参照体、リファレンス・エンティティ(CDSの参照企業)ということですか。
- 答)
-
そうですね。それから、国内清算機関が、これは実際に清算機関ができたときには、その清算機関として、もう、実際にそれがクレジット・イベントに該当するのかどうかということについては、やはり意見が言えるような、関与の仕方をつくらなければなりません。つまり、このアンダーラインのところは、利害関係者全員がコミットし得る機会を設けることが望ましいという意味で書かれています。
それから、2番目(の質問)の、その上の箱のところですけれども、「『破綻』に該当するかに関し、我が国の倒産法制に則した判断がなされる等、我が国の実情に照らした扱いが必要」と。これは、「我が国の実情に照らした扱いが市場の慣行と矛盾している場合は、市場の慣行も無視して良い」とは書いていないわけです。市場の慣行も重んじます。ただし、日本の免許事業者が、例えば、日本の倒産法制と全く関係のない形でクレジット・イベントを処理していくということになると、それは合法なのか非合法なのかという判断が問われてくるわけですよね。そういう意味では、当然、我が国の事業者で、我が国で行われた取引、ないしは我が国の事業者が関わった取引であれば、それを万が一、クレジット・イベントのときにどういう基準で処理するのかということについては、当然、我が国の法制上の主張もしなければならないけれども、逆に、我が国の法制が市場慣行とあんまり矛盾するような法制であれば、それ自身も見直すのか、あるいは調整するのかということを議論していかなければいけないですよね。だから、その双方が整合的になるような対応を図るという意味ですので、別に、記載自体が矛盾しているとは思っていません。
それから、最後の、今後どうするかということですが、それは、金融マーケットとしては、健全な取引が拡大していくのは望ましいことだとは思っています。ただ、ただ単に規模が膨らんでも、その中に不健全な取引や、あるいは過度にリスクを抱えた取引が随分とインプットされると、それだけマーケット全体のリスクを高めるので、そういう観点で考えると、必ずしも拡大するから良いとか、縮小するから良いという、規模だけで判断できない面があります。
- 問)
-
最初の質問に関してなのですけれども、そうすると、契約当事者というのは、例えば、アイフルのケースだとアイフルだと思うのですけれども、クレジット・イベントの認定に対してアイフルが意見を言えるような必要性という、そういう理解でよろしいのですか。
- 答)
-
もちろん、CDSを取引している買い手と売り手、この人たち自身がもちろん契約当事者ということですが。
- 問)
-
そうなのですか。
- 答)
-
ええ。そういうことですよ。
- 事務方)
-
申し上げているのは、CDSの買い手と売り手が、それぞれクレジット・イベントについて、これまでISDA(国際スワップデリバティブ協会)等で慣行をつくってきたことは尊重いたしますが、今後、CDSについて清算機関が債務の引受け手という場合には、清算機関が契約当事者になるわけでございます。したがって、契約当事者として、日本の法制に則って主張するべきは主張するべきだし、決してISDAの慣行を無視するわけではなくて、関与、要はコラボレートする形で調和していくということを申し上げているわけでございます。
- 答)
-
たしか12月のヒアリングのとき、あれは公開でしたよね。
- 事務方)
-
そうです。
- 答)
-
だから、ISDAの東京の責任者の方が言っておられましたけれども、あそこで私も質問しましたけれども、「一体、ISDAの判断のオーソリティというのは誰が担保できるのだ」みたいなことは質問したわけです。そういう観点では、既に、先行して実務をやっておられる皆さんのことももちろん配慮するけれども、しかし、我が国には、当然我が国の法制があるわけで、至らざる点があれば整備していくけれども、至らざるということではなくて、一つの法制として確立しているということであれば、それはそれでそういう主張もしなければいけないというのは、今、事務方がおっしゃったとおりです。ここで言う「契約当事者」というのは、さっき申し上げた意味ですから。
(以上)