大塚内閣府副大臣記者会見の概要

(平成22年3月24日(水)9時33分~10時47分 場所:金融庁会見室)

【副大臣より発言】

おはようございます。

今日は、先ほど8時半から、亀井大臣と原口(総務)大臣から皆さんに発表させていただいた郵政改革に関する件と、改正貸金業法の完全施行に向けたPTのお話と、二つご報告させていただきます。

まず、郵政のほうですが、もう皆さんのお手元にお配りしているPDF資料(PDF:214K)のとおりでございますが、昨日、両大臣の最終的な打ち合わせをし、郵貯の預入限度額と簡保の加入限度額、加入後4年後の限度額を2,000万(円)と2,500万(円)にするというふうに、両大臣として合意をされましたので、今日、皆さんに公表をさせていただいた次第です。

それから、政府から親会社への出資比率、親会社から子会社への出資比率は、いずれも3分の1超ということで両大臣が合意された、ということであります。

その他、まだ幾つか詰めなければならない事項は残っておりますけれども、それらについては、今後、法案の最終的な策定の過程で、随時決めていきたいと思っております。

なお、お配りしたペーパーの最後に書きましたように、3月中に法案を提出することを目標としたいということでやってまいりましたが、現状の見通しでは、法案の閣議決定と国会への提出というのは4月の中旬ぐらいになるかなという見通しでございます。

それから、お配りした資料の別紙として、参照すべきデータとして幾つかお付けしております。読んでいただいたとおりなのですけれども、限度額については、やはり国民の皆さんの貯蓄動向、それから国民の皆さんの利便性、郵政事業の今後の経営等を勘案して、総合的に考えることが必要であるということに加えまして、日本郵政グループの特徴は、政府の出資があるということですとか、郵便局ネットワークを持っているということに加えて、当然、金融業務をやるわけですから、信金・信組等の中小地域金融機関や中小の生損保への影響等を勘案して、やはり合理的かつ総合的な判断をすることが必要ということで、両大臣、各方面のご意見を伺いつつ、今日の発表の水準に至ったということであります。

それから、貸金業法のほうですが、これも皆さんのお手元にPDFペーパー(PDF:321K)が行っていると思いますが、先週のPT(貸金業制度に関するプロジェクトチーム)で、完全施行に向けた10の対策のメニューとしてはお示しをした次第でございますが、それぞれの中身についてどういう方向で考えているか、というPTとしての最終的な報告書、今日は、結論のペーパーに至るための「座長試案」という形でお示しをさせていただきました。

今週の金曜日に多重債務者対策本部の有識者会議を開催する予定ですので、その会議で委員の皆さんのご意見等も伺いつつ、最終的な着地に向けて作業を進めたいと思っております。

最終的に確定すれば、内容について、一部、府令改正が必要なものですとか、関係機関に協力をしてもらう必要があることですとか、いろいろありますので、鋭意、6月18日に向けて作業を進めるということになります。

私のほうからは以上ですので、ご質問があればお答えをいたします。

【質疑応答】

問)

亀井大臣の質問ともかぶるのですけれども、具体的な出資比率の割合でありますとか、預入限度額のところは、なぜ3分の1超であったのか、あるいは、なぜ預入限度額が2,000万(円)であったのか、保険(の加入限度額)が2,500万(円)であったのかと。この辺りの根拠と申しますか、その辺りをお願いいたします。

答)

お手元にお配りしたペーパーをご用意いただきながら説明をさせていただきますが、先に出資比率のほうからご説明したほうが論理的にご理解いただけるのではないかと思いますが、2.の(2)にありますように、やはり親会社の経営の自主性を高める、あるいは、ここ(資料)には「自由度」という言葉は使われておりませんけれども、自由度を高めるということが、まず念頭にあります。それは、これまでの政策会議での議論でもお分かりいただけますように、今回は、政府の意思と独立した事業体である郵政グループの意思と、国民の皆さんが何を望んでいらっしゃるのかという意思の三つの意思を尊重するということでずっと議論を進めてきております。やはり、日本郵政グループの皆さんとしては、できるだけ自主的かつ自由な、公益性の高い民間企業として自立したい、というお気持ちが極めて強いと認識をしております。

その結果、出資比率については、ここ(資料)に書きましたように「必要最小限の政府の関与にとどめる」ということから、親から子に対しても、政府から親に対しても3分の1にとどめるということにさせていただきました。

そして、極力、自由度と自主性の高い独立した企業体なので、例えば、普通、業法下にある銀行や保険であれば限度額等に制限はないわけですから、子会社である銀行と保険、日本郵政グループのマキシマムな希望としては、上限を撤廃してほしいというお気持ちはあるわけであります。しかし、その一方で、今、申し上げましたように、出資の関係が残ります。銀行と保険に対しては、政府から直接(というわけ)ではありませんが、間接的な出資関係が残りますので、全く上限がないというわけにもいかないだろうと。それに加えて、先ほど、(資料の)2枚目のところで申し上げましたように、過去からの経緯があって、郵便局のネットワークが大変たくさんの数を持っているということに加えて、それらを通じて、信金・信組等の中小地域金融機関や中小生損保への影響もあるというふうに考えると、一定の制約は必要であろうということであります。

しからば、どのぐらいの水準が(良いのか)ということは、結論的には正真正銘、総合的に両大臣が判断をしたのですが、あくまで、そこに至る参照値として、例えば、別紙にお示ししたとおり、貯金のほうも保険のほうも、前回の限度額の変更から今日に至るまでの預貯金額と保険契約金額の、郵貯、簡保を含むベースと含まないベース、それぞれの伸び率を計算してみると、ご覧のような数字になるわけであります。それに現行の限度額を乗じてみると、ご覧のような金額になります。

一方で、各世帯がどのぐらいの金融資産を持っているのかというデータが発表されているわけでありますが、ご覧のような数字であります。また、同じ統計の中に、全世帯の貯蓄目標額…。(これは)あくまで希望ですからね、これだけ必ず貯められるということではありませんが、こういう数字もあります。ちなみに、貯蓄目標額は、「貯蓄を保有している世帯のみ」という統計はありませんでしたので、この「非保有世帯を含む全世帯」ということになります。

さらに、退職金についてはご覧のような金額になっております。もっと細かく申し上げればいろいろな数字があるのですが、ご覧いただいている民間の皆さんの退職金の水準というのは全体の数字でありますので、もう少し、例えば、企業規模、人数の少ないところとかで言うと、もっと小さくなったりしますので、もろもろ総合しますと、郵貯で2,000万(円)というのは、特段の富裕層を別にすれば、国民の皆さんの大多数をカバーできる水準であるということであります。

マル4にありますように、1,670万(円)という数字もありますので、1,600万(円)とか、1,500万(円)で良いのではないかとか…。あとは決めの問題ですので。そこは、今、申し上げましたように、これはもう大臣に聞いていただくしかないのですが、総合的に判断して2,000万(円)であればということだと思います。

それで、保険のほうも同様に、こういう数字はあるのですけれども、現行の1,000万(円)と1,300万(円)という差が合理的な差かどうかというのは、いろいろな考え方はあろうかと思うのですが、仮に、この1.3倍というものを維持しようとすると、2,000(万円)に対しての1.3倍であれば2,600万(円)ということになるわけでありますが、ここも、やはり最後は決めの問題ですので、区切りの良いところで2,500(万円)というふうにされたのではないかなと思いますが、繰り返しになって恐縮ですが、最終的には、両大臣で総合的に判断されたことですので、私が説明可能な考え方、参照データとしては以上のとおりです。

問)

限度額については、見直しの可能性を含んでいる内容かと思うのですが、確認なのですが、まず見直しの対象となり得るのは、郵貯、簡保両方を含んでいるのかということと…。

答)

「見直しの対象になり得る」というのはどういう意味ですか。

問)

つまり、施行段階で新しい限度額に移行して…。

答)

いや、施行ではないですよね、「成立に合わせて」です。

問)

「成立に合わせて」ですね。それで、「施行に合わせて所要の見直しを行う」と書かれているのですが、この「所要の見直しを行う」というのは、郵貯、簡保両方を含んでいるということですか。

答)

そうですね。だから、施行に合わせて、新しい限度額に移行した後の影響を見極めつつ、「必要であれば」という意味の「要」の字も含めて「所要の」と言っていますので、どこまでが第二段階としてあり得るのかというのは、現段階ではあまり予断は抱いていません。

問)

ちょっと基本的なことで恐縮なのですが、成立と施行の間というは、時間的にはどのぐらい空くのですか。

答)

これは、今、まさしく法案を作っているところなのですが、当然、成立は今国会中を目指しているわけですから、6月ぐらいですね。施行は、常識的に考えて、新年度からとなると、来年の4月とか再来年の4月ということになりますけれども、また、3社を合併させるといういろいろなプロセスの大変さを考えると、ちょっと来年の4月というのはショートノーティスかなという気はしますよね。そうすると、再来年かということは、今、一つ選択肢としては入っています。

ただ一方、「4月にこだわらずに下期からでも良いではないか」という議論も5年前にありましたので、そうすると、(平成)24年4月(施行)を中心としつつも、来年の10月とか、あるいは再来年の10月とか、大体、そのぐらいのゾーンが施行の時期になってくるのではないかなと思います。

問)

仮定の話になって恐縮なのですが、仮に、限度額をまた引き下げるということになったときに、それは…。

答)

「(限度額を)引き下げる」ですか。

問)

(限度額を)引き下げることもあり得るということではないのですか。「動向を見極めつつ、所要の見直しを行う」ということには、限度額の引下げの可能性はないのですか。

答)

いや、そこは先ほど申し上げたように、一切予断は抱いていませんので、その所要の見直しについて、今、内容について特段申し上げることはあまりありません。まずどんな影響が出るのか(ということを)、ちょっと見極めたいというのが全てですので。

問)

ただ、その利用者の心理として、限度額を見直すとすれば、仮に、引下げの可能性があると、また混乱が生じてしまうのではないかなという気もするのですけれども。

答)

そうならないことを望みますけれどもね。

例えば、割と、民間金融界の方も十分に周知されていない点で、郵貯の調達金利の面の優位性というのは、だいぶなくなっているのですよね。「だいぶ」というか、ないですよね。つまり、財投改革で利ざやがなくなった分、調達金利については民間とほぼ一緒ですから、果たして、今ご質問のような所要の見直しが必要な事態が生じるのかどうか、ちょっと様子を見てみないと分かりませんけれども、今は、そういう、利用者になるべく混乱の出ないような方向になることを期待しているとしか言いようがありません。

問)

確認ですけれども、くどいようですが、その可能性としては、引上げも引下げも含めて予断はないということですね。

答)

そういうことです。

問)

私の理解だと、従来は、限度額のところは本法ではなくて、政令とかそういうところで落とし込んでいた(記載されていた)と思うのですよね。おそらく、それは何かと言うと、(限度額を)変更するときに、本法だと変えるのが大変だから、ということだと思うのです。今回、一連の(郵政)改革の本法の骨格をお示しになるということであると思うのですけれども、本法(に記載される)ほかの部分よりも、政令でやってきた限度額のほうを先行してご発表になられたというのは、要するに、それだけ国民経済的に大きな項目だからこそということなのか、あるいは、今後、限度額を本法の中に盛り込んでいくということがあり得るからなのか、どういうことで、この限度額のところ(の発表)が先になったのか教えてください。

答)

まず、あなたとほかの方との認識のギャップ、あるいは私とのギャップもあるのですが、この局面では、法案の骨格をお示しするということで、皆さんの関心が高まってきたわけではないと思います。おそらく、皆さん大多数の方は、「出資比率と限度額のことが今日発表されるのではないかな」と思っておられたと思います。

大臣が非常に大らかな答弁をされるので、時々、混乱を呼ぶ部分が若干ありますが、法案そのもの(の国会提出)は、もともと3月中と申し上げていて、それまでの間に決めなければならない重要事項が幾つかあるので、それを決めると。その重要事項というのが、この出資比率と限度額なのですね。

その出資比率は法律に書き込むことになると思います。しかし、限度額を法律に書き込むのか、政省令でやるのか、そこは、今、最終的な詰めをやっております。現状、そういうことです。

問)

資料の2.の出資比率のところなのですが、政府から親会社への出資比率は3分の1超というふうに書いてありますけれども、いつまでに3分の1超に引き下げるのか、ちょっとお考えを聞きたいのと、実施時期を法律に明示するのかどうか、そこも含めてということ。

あと、2,000万円の郵貯の預入限度額についてなのですが、1,000万円を超える部分は、ペイオフの対象になり得ると考えてよろしいのかどうか、この2点を伺えればと思います。

答)

まず、後者(の質問)からお答えすると、そのペイオフの話は、大臣が、途中で、いろいろな各金融機関にそういう提案をしてヒアリングをしましたが、そういうご希望はあまりないということも踏まえて、大臣は、「それはしない」というふうに、もう決められましたので。あくまでも、今の預金保険法の中で行われるわけですから、預金保険法で保護されるのは1,000万円までだというふうに考えております。

それから、前段のご質問ですが、これは、今、検討しております。つまり、いつまでに3分の1超にするということを法律に書くのか、あるいは、そこはあくまで3分の1超であれば良いということにするのか、ここについては、まだ検討中です。

問)

実施時期を明示しないと…。例えば、ずっと100%が続いてしまうということも可能性としてはあり得ると思うのですが…。

答)

頭の体操としては分かりますけれども、現実的には、あまりそういうことは想定しておりません。

問)

海外の投資家から見ると、今回の決定は改革に逆行するというふうに見えるのですけれども、それについてどう考えていらっしゃるのかということと、完全に民営化して、国民が希望していることがなぜできないのか、ちょっとよく分からないのですけれども、なぜ政府が3分の1を持たなければいけないのか、なぜ民間でできないのか、その辺をちょっとお願いします。

答)

まず、質問の表現について少しコメントをさせていただきますが、「改革に逆行する」と言うときには、その「改革」という言葉の中に、ご質問の方の価値観が入っていると思いますが、別に、私たちは逆行するとは思っておりませんので、私たちの目指す改革に向けて着実に前進しているということであります。

それから、国民の皆さんが望んでいる完全な民営化がなぜできないのかというご質問ですが、やはり、これもご質問に価値観が入っていると思っておりまして、本当の完全民営化というものがどういうものであって、国民の皆さんがそれを望んでいられるのかというのは、難しい判断だと思います。例えば、現実に、ご記憶にあろうかと思いますが、5年前の総選挙のときは、もしシングルイシューの選挙であったという前提に立てば、実際は、郵政民営化に反対していた候補者に入った票数のほうが多いのですね。議席はああいうことになりましたけれども、確か、郵政民営化に反対していた候補者が取得した票数のほうが3,600万票ぐらいで、賛成をしていたほうが3,400万票ぐらいだったと思うのです。

だから、今のご質問自体に、若干、認識のギャップがありますから、ストレートにお答えすることにはなりませんが、先ほども冒頭で申し上げましたとおり、私たちは、公益性の高い民間企業として、しかも既に独立した事業体である日本郵政グループの意思を尊重しつつ、今、国民の皆さんが不満に思っていたり、あるいは不便だなと思う人が増えた点を是正するために、今回の改革をするわけでありますので、そのためには、一定の出資比率が残っていたほうが良いだろうという判断に基づいて、こういう方向で、今、検討を進めているわけです。

政府から親についての「3分の1」は、現行法も変わらないわけでありますので。ホールディングカンパニーだけですけれども、そういう意味では、イメージは変わっていないと思います。問題は、銀行と保険の(株の)完全売却のところが3分の1超という案になったということですが、ユニバーサルサービス、これは固有名詞ではありませんが、郵便と金融をパッケージにして、これに対するアクセス権を保証するのが郵政事業であるというふうに考えた場合に、その郵政事業から子会社である銀行と保険が完全に切り離されたら、そもそもそういう事業ができなくなりますので。そういう意味では、一定の出資関係を残すことは当然のことであろうという意味で、出資比率を残すということですので。その辺の考え方は、できれば素案をもう一度お読みいただくと、今、申し上げたようなことが、もう気持ちとしては2月8日の段階からしっかり反映されておりますので、よろしくお願いいたします。

問)

今回の郵政改革の肝のところは、3事業のユニバーサルサービスをいかに提供していくか、しかも、政府としてそれを提供してもらうということだったと思いますが、その一つの答が限度額の引上げで、収益拡大の可能性をつくったということだと思います。当初、構想として、残りの何らかの優遇措置というようなことがあったと思うのですけれども、その部分の結論というのは、まだ今回見えてきていませんが、ほかの部分の何らかの手当て、優遇、その措置はどういう方向になっていくのでしょうか。

答)

その優遇のところにお答えをする前に、そのユニバーサルサービスを維持していくために、限度額の引上げが必要で、その収益を高めるというご趣旨だったのですが、これも、ちょっと私たちの視点と微妙なずれがあるところがあって、それはどういうことかというと、必ずしも、収益を上げさせるということが主眼にあるわけではなくて、国民・利用者の立場に立った(視点)ということなのですね。

だから、冒頭も申し上げましたように、くどいようで恐縮ですが、株主である政府に対していろいろな責任を負っている政府の意思、独立した事業体である日本郵政グループの意思、利用者である国民の皆さんの意思というときに、別紙でお付けしましたように、多くの利用者の皆さんが…。それは、必ずしも1,000万円以上貯蓄を持っていらっしゃる方が多数派ではありませんけれども、例えば、退職金を一時的に貰われたりとか、住宅ローンを借りて一時的な振込みがそこに入るとか、いろいろな利便性を考えると、ちょっと、1,000万(円)、1,300万(円)という限度額は…。1,000万(円)については、平成3年にそうなってから、もう既に19年が経っており、そして1,300万(円)については、昭和61年に決められてから、もう24年が経っているということを考えると、国民の皆さんの利便性の面で、少し検討の余地があるのではないかということも大きな要素になっておりますので、そこのところは、ぜひ、改めてご理解をいただければと思います。

その上で、優遇のご質問がありましたが、これも政策会議で何度もご説明していますが、これは当然、論理的には、政府の責務を代わりにやってもらうという論理構造からすれば、その政府の責務の部分は、政府が一定のコスト負担をすることもおかしくはないという考え方で私たちはいます。

ただ、その一方で、日本郵政グループは、これまで独立した事業体でやってきて、自前で賄った、自前で上げた収益で事業をやってきたという現実もありますので、その状態が続けられるならば、そのほうが国民の皆さんにとって望ましいというのも事実だと思います。したがって、そこはまだ結論が出ておりません。

今日は、幾つかのメディアの皆さんが消費税の話を書いておられましたが、そういうことを決定したという事実は全くありません。そこは検討中です。

問)

検査・監督のことについて詳しく教えていただきたいのですけれども、要するに、郵貯・簡保から代理店業務として受託している部分の検査・監督を変えるのか、それとも、郵貯・簡保全体そのものの検査・監督のあり方を見直すということなのかということと、信金・信組の検査・監督を見直すということですが、そこも代理店に限る話なのか、信金・信組全体のことを見直すのかということ、第二地銀を含むのか含まないのか。多少、大臣のご発言が今までいろいろあったので、第二地銀まで含むのか、あるいは地銀まで含むのかということと、見直すときに、例えば、どういうところをどう甘くするとか。「甘くする」という表現は良くないのかもしれないですけれども。それによって、財務とかコンプライアンス上の問題はないのか。あと、業法で位置づけられているのに、ほかのメガバンクとかとの整合性とか、そういうところをちょっと詳しく教えてください。

答)

まず、この検査・監督のところと、今回の大きな枠組みとの関係ですけれども、さっき申し上げたように、ユニバーサルサービスというのは固有名詞ではなくて、いろいろなユニバーサルサービスがあるわけです。

例えば、ちょっと頭の体操のために申し上げると、もし、国民の皆さんが病院にアクセスできないような状況を政府が放置したとしたら、これは、やはり厚生労働省はいろいろ批判されるわけですよね。国民の皆さんが病院にある程度アクセスできるような環境を作るのが厚生労働省の職責であるとすると…。これは頭の体操ですが、病院が各地にそこそこあるとして、もし、「病院にはATMを置いておいたらどうですか」という事業体ができたとしたら、これも病院と金融に対するアクセスを保証するユニバーサルサービスのパッケージになるのですね。そういうふうに考えると、ユニバーサルサービスは固有名詞ではなくて、郵政事業の場合は、郵便と金融がパッケージになっているというふうに私たちは認識しています。

その上で、そうすると、郵便に対するアクセス権を職務としてちゃんと保証しなければいけない、これは多分、総務省の仕事だと思います。しかし、国民の皆さんが金融に対してアクセスできる環境を用意するということは、金融システムの安定性ということも含めて、これは、いわば金融庁の職責ではないかというふうに考えております。

その結果、例えば、金融庁として、片方では、もちろん金融システムの安定性のために、ずさんな経営をしないようにしなくてはいけないということを見ていく行政としての機能もありますが、もう片方では、国民の皆さんが金融にアクセスできるような環境をちゃんと形成していかなくてはいけないという職責も担っていると。そうすると、小規模な郵便局しかない地域に、その郵便局の経営実態や業務の実情に合わない、過度な検査をすることで、「これではやっていられない」として撤退するようなことがあれば、それはそれで、今、申し上げた考え方からすると、金融庁としてそんなことをやっていて良いのかというお叱りも受けるわけでありますので、その検査・監督の内容が合理的でなければならないということであります。

したがって、そのことは信金・信組に対しても同じことが言えるわけでありまして、過度な検査負担というのが、結果として、その店舗を維持するのが困難になるようなことであれば、それはやはりバランスを欠いているということでありますので、そういうことについて総合的に見直しを行っていくということを、大臣は申し上げているわけです。

第二地銀まで入るのかというのは、今、明確に定義はしておりませんけれども、その小規模な店舗といったときに、「何人ぐらいの店舗のことを言うのだろうか」という議論もありますが、第二地銀の店舗で(従業員が)10人を切るような店舗というのはそんなにはないと思いますが、あくまで、そういう、小規模であるかどうかということとの関連ですから。今、必ずしも業態で切り分けて議論をしているわけではありませんが、まだ結論が出ているわけでもありません。

問)

ちょっと全体像が見えていないのですけれども、限度額を引き上げていった場合、今の資産規模が実際どうなるのか。その増えた資産をどう運用するのかも含め、これだけ、倍まで上げるのであれば、やはり、(資産運用の)シミュレーションでやるとか、そういった経営の方向性を示さないと、肥大化の批判は免れないと思うのです。どのようなシミュレーションとか、どういう経営が成り立つのか。今でもこれだけ資産が大きいのに、どこまで膨らますつもりなのか、その辺りはどうシミュレーションしているのでしょうか。

答)

先ほどの方のご質問とも関係があるのですけれども、上限がこういう金額になったから、ではストレートに倍になるのかというと、ちょっとそういうイメージは、今、描いておりません。先ほど申し上げたように、調達面での付利構造も違いますので。ただ、では1割増えたらどうなるのか、とか、2割増えたらどうなるのかということについては、今、並行して検討を進めているところです。

例えば、1割増えて、かつ、利ざやがどうなるのかによって、当然、利益の水準も計算で出てくるわけですから、では2割だったらどうなのかと。そのときに、金融機関の全体の預金量を一定と考えるのか、あるいは、そうではなくて成長率並みに増えていく、あるいは、過去のトレンド並みに増えていくという前提で考えるのかによっても、だいぶ変わってきますので、一定の考え方はお示しするつもりであります。ただ、必ずこうなるという予測は難しいだろうなと思っています。

問)

法案を出すときに、郵政の将来像、グループの将来像みたいなものは、ある程度数字が入ったものが出てくると考えれば良いですか。

答)

いや、将来像というよりも、議論をする上でのケーススタディというのはあり得ると思っています。それも踏まえて議論をさせていただいて、最初のご質問と関係しますけれども、もし成立に至れば、これは、「成立にあわせて新しい限度額に移行する」と言っているわけですから、その後の動向を見極めつつ対応を検討するということであります。

問)

2005年の段階では、民主党さんは500万円限度額を引き下げ…。

答)

750万(円)ではなかったですか。

問)

750(万円)でしたかね。それと、簡保については完全売却というような案を出されていましたけれども、この5年間での状況変化というのを、もう少しご説明いただけますか。

答)

それは、非常に重要なご質問だと思うのですけれども、私たちは政治を担わせていただいているわけなので。民意というのは積み重ねだと思っておりますので、5年前も、去年の選挙の結果も民意だと思っています。

先ほど申し上げたとおり、5年前(の選挙のとき)、票数としては、我々の立場から見ればさっきのような解説もできるのですが、実際には、議席数はああいう形になり、その後、(郵政)民営化ということが行われ、既に、独立した株式会社として、独立した事業体として、もう日本郵政グループはスタートしてしまったのですね。だから、これを5年前に遡って元に戻すということは物理的にも無理ですし、過去の民意を否定するということもなかなか難しいだろうなと思っています。

ただ、その一方で、去年は去年でまた民意が示されたわけで、もちろん郵政がメインイシューであったとは思いませんけれども、我々としては、今の郵政事業のあり方には、その(民営化)後、幾つかの弊害が出ているのではないかということをしっかり主張させていただいて、その私たちが、今、政権を担わせていただいているわけですから、軌道修正は当然するべきであろうということで、今回の考え方に至っております。

そういう意味では、大臣が再三おっしゃっているように、元(の郵政)に戻す気は全くないと。要するに、これからの郵政事業が、国民のためにどうあるべきなのかという視点で考えたいとおっしゃっている大臣の発言は、私たちと共有している部分でありますので、そういう意味で、今回の内容に至っているということです。

問)

素案には、「3年程度経った後の見直し規定も検討する」と入っていましたけれども、これは(法案にも)入る方向で…。

答)

3年程度の見直しというのは、多分、限度額の話ですよね。

問)

いえ、「出資比率も含めて」というふうに素案には書いていらっしゃったと思うのですが…。

答)

いや、これは、今、検討している中では、また3年後に出資比率とか限度額について…。限度額はここ(資料)に書いてあるとおりですけれども、出資比率について見直すということは、今の検討の中では議論されておりません。それはなぜかというと、またくどいようですが、三つの意思を尊重する中で、日本郵政グループで実際に事業をしていらっしゃる方々、働いている皆さん、経営をしている皆さんからすると、もう大きな変化が何度も何度もあるというのは、やはり士気にも影響が出ますし、経営の安定性にも影響が出るので。ある程度、第3期の郵政事業として、安定した姿をつくってほしいというお気持ちが大変強いということを、我々も理解しておりますので、また3年後に何か大議論になるような見直しの想定はしておりません。

問)

先ほど、郵貯も1,000万(円)以上は保護されないということだったのですが、我々国民の感覚からすると、「郵便局だから安心だ」ということで、2,000万(円)まで預けられるのだったらそちらに預けようという人も増えると思うのですが、それで、いわゆる銀行に対する民業の圧迫にならないのかという心配があると思うのですけれども、それについてはどうお考えでしょうか。

答)

そこは、もし、そういう誤解が生じるようであれば、ちゃんと周知をしていかなければいけないと思っています。今、預金保険法を見直す、ペイオフの保護上限を見直すということは、もうアジェンダとしては残っておりませんので、限度額が引き上げられても同じ預金保険法のもとにおかれると。したがって、その誤解がなければ、今、おっしゃるようなことは起きないというふうに思っております。

それと同時に、よく「民業の圧迫」という言葉を我々も聞かされるのですが、これも政策会議の中で何度か申し上げているように、「金融システム」といったときに、これは、民間金融機関もゆうちょ銀行も、それから農協も含めて、国民の皆さん側から見れば、これ全体が金融システムなわけですから、私たちが政策担当者、また当局として常に意識しているのは、この全体としての金融システムの安定性なので、この郵政事業が、民間金融機関の経営を過度に不安定にさせることがあってもならないと思っていますし、その一方で、今、現実にこうやって国民の皆さんのインフラとして使われているゆうちょ銀行の経営が急激に脆弱(ぜいじゃく)になることがあってもならないと思っていますので、トータルとして考えています。したがって、ご指摘のようなことにならないように、動向を見極めつつ所要の対応を行うということを念頭に置いております。

問)

かつての民主党案の話も絡むのですけれども、要するに、「金融システム」というときに、当然、保険と銀行では機能が違う部分があると思うのですね。ペイメント、決済というのは、ある種の公共性がある部分なので、政府の関与が残るということは議論の余地があると思うのですが、保険に関して言えば、かつての民主党案でも「完全売却」と言っていたとおり、全く議論とは…。要するに、公共性を持って国が支えるということが、あまり理屈として成り立たないような気もするのですけれども、その辺はどう整理されているのか、教えてもらえますか。

答)

そこは、これもまた、素案の中にも書いてありますけれども、今、公的保険だけでは国民の皆さんが十分に安心できないという現実があるわけですね。

例えば、一昨日成立したアメリカの医療保険法を見ても、公的保険というのはメディケアとメディエイドだけで、あとは、民間の保険に代替してもらっているわけですよね。日本も、これまでの公的保険の管理のずさんさ等を考えると、また公的保険を拡大し過ぎることはあまりできないということも考えると、民間の保険に担ってもらう機能も大変大きいと思っているのです。そういう意味では、今回は、非常に簡便な保険として、国民の皆さんに定着している簡保というものについても、国民の皆さんにとっての基本的インフラとして、ある程度維持していく必要があるのではないかという判断をしているということであります。

問)

がん保険等の新規の保険(商品)については、何か結論が出ているのですか。

答)

これは、法案提出時までに検討を進める事項の中に含まれていますが、今、素案の中に書いてある考え方に大きな変化はありません。やはり、国民の皆さんにとって、大変重要な保険商品の種類だと思いますので。もちろん、今、既に販売している皆さんにもしっかり頑張っていただきたいと思いますが、国民の皆さんからすれば、選択肢が増えるということは、決して悪いことではないと思っておりますので、素案の内容と大きな変化はありません。

問)

出資比率の3分の1超に絡んでの質問なのですが、上場というのは、これはどういうふうに位置付けられているのでしょうか。

答)

これは、独立した事業体で、しかも、独立した株式会社であるという前提ですから、経営の自主性ということを考えると、上場するかどうかは日本郵政グループの判断です。だから、そのこと自身を何か法律に書き込むとか、そういうことは考えていません。

ただ、やはり実際に自分たちで経営を担われる方々にしてみると、それを目指すか目指さないかは、株主の意見も聞かなければいけないので、今、政府が100%株主である間は、何か明示的にそのことを申し上げるということを前提にした議論はしておりません。今後、株主が増えて、いろいろな株主が増えてくれば、その中で決まっていくものと思っておりますけれども。

問)

副大臣は、先ほども「私の目指す改革には前進している」と、再三、(郵政事業の)あり方についてもおっしゃっていただいているのですけれども、改めて、分かりやすく、5年後、10年後、この日本郵政というのをどういうふうにしていきたいのかというのを、ちょっと教えていただきたいのですけれども。

答)

「私の目指す」というふうにさっき申し上げたとしたら、そこは私個人の問題ではないので、「今の政権が目指す」ということでありますが、9月16日に鳩山政権がお示しした鳩山政権の基本方針というものは、今の政権運営のベースになっているわけなのですね。その中に書いてある方向に沿ってということなのですが、郵政改革については…。正確な表現は覚えておりませんけれども、「地域の発展に資する」というようなくだりがあったと思いますので、やはり国民の皆さんの利便性を高め、そして、資金のかなりの部分は地域で集められるわけですから、集めた資金の運用がその地域にちゃんと今まで以上に、「今までよりは」と言ったほうが良いかもしれませんが、還元できるような、そういう姿を想像しております。

ただ、先ほどの質問に対する回答とも関係がありますけれども、もう昔の郵政省時代の事業部門と違って、そのときは、まさしく政府の一部なので、政府が「こうしろ」ということによって、そうなるわけですね。ところが、今はもう独立した事業体で、公益性の高い民間企業を目指すということは、彼ら自身の意思というものもありますので、政府としては、その基本方針、内閣の基本方針に基づいた方向になっていただけるように誘導もしますし、そういう努力もしますが、片方では日本郵政グループ自身がどういう経営を目指すのかということとマージをして、5年後、10年後の姿が決まってくると思っておりますので、そういう姿を想定しております。

問)

二点あるのですが、一点は1.の(3)のところなのですが、「見直しを行う」というのは、見直した段階で、もはや、これでもう決めると。特にその後、3年後とか、再検討しないというお話だったと思うのですが、ただ、成立から施行まで多分2年とか、そのくらいのイメージをさっき伺ったところだと思うのですが、これは預金シフトの場合、金融システムが動揺したりとか、有事の際に大きく変動するというイメージだと、2年のうち(にそういうことが)起きなくても、もうちょっと長いスパンで起きる可能性はあると思うのですが、そういった場合に再検討する可能性というのを担保しないのかということが一点と、これは、今回のとは別だと思うのですが、民営化法には郵貯の新規事業については金融庁の認可が必要という…。貸出とかですね。これについて現時点で、これは、多分3.のところに入ってくるのだと思うのですが、今の時点で金融庁の関わりをどうするかということで、お考えがあったら教えていただきたいのですけれども。

答)

まず一点目は、確かにもうちょっと長いスパンで構造変化が起きる可能性はあるので、そのときどう対応するかということまで、今、何か決めているわけではありません。それに、施行に合わせて所要の見直しを行いますが、それで終わりかというと別にそうでもないですし、政策会議の中でもずっと、例のトライアングルの議論を皆さんにも傍聴していただいているのですが、出資比率と、それから政府がコストを持つのか持たないかということと、業務の自由度というのは関係していきますので、例えば、大きな地殻変動は起きなくても、出資比率が実際に3分の1超に近づいてどんどん下がってくれば、それだけ自由度は増すわけですし、逆に、出資比率が下がってきても、今のご質問のように、何か大きな変化が起きれば、「出資比率は下がったけれども、限度額はこれ以上上げられないね」という議論もあるかもしれませんし。それは予断を抱いていません。

それから、新規業務のところは、今、非常に悩んでいるところでありまして、例えば、子会社については業法のもとに置かれるわけですから、あくまで、業法の定めに基づいた新規業務の対応になってくると思います。親会社のほうは特別法に基づくわけですから、これは、我々も何か一定の決めをしなければいけないのですが、それは認可が良いのか、届出が良いのか、あるいは全く自由なのかとか、今、議論している最中です。

問)

では、子会社についてはフリーハンドというお考えですか。

答)

それは、業法のもとに置くということですから。ただ、そうは言っても、子会社に対して親会社の出資が残るわけですし、親会社に対して代理業務の契約を結ぶということになりますので、そういうことも含めた、総合的な判断をしますが、あくまで業法のもとに置かれるということです。

問)

資産運用についてお伺いしたいのですけれども、現状で、郵政グループで8割ぐらいが(日本)国債という、かなり偏った資産運用になっていると思うのですが、今後、その上限引上げなどで資産規模が更に拡大する可能性もあると思うのですけれども、そういった中でも、政府として、今の、こういう現状のスタンスを維持するのが望ましいと考えるのか、その辺りのお考えをちょっとお伺いさせていただきたいと思います。

答)

その点も、これまで大臣ほか、政務の皆さん等が随分発言をしておられますけれども、現状は、確かに貯金のほうは8割、簡保のほうが6割ぐらい(日本)国債になっています。これを、現状のものを、何か急にウエイトを下げるというのは、なかなか難しいことだと思います。ただ、仮に、これから資金量が増えていったときにどうするのかといったときに、「郵貯・簡保が(日本)国債の引受け機関であってはいけない」という意見は、これまでも何度も出ていますので、そういう意識はあります。だから、彼らが自主的な判断で(日本)国債を運用するということは、別に、否定するつもりはありませんけれども、そのために何か資金量を増やすということではないということです。そうすると、新たな運用方法をいろいろ考えなければいけないので、したがって、今、新規業務であるとか、そういう議論になっているわけですけれども、ただ、これも何度も申し上げていますけれども、例えば、貯金の場合で言うと、(日本)国債を除くと20兆(円)ぐらいで、その20兆(円)の中でも、もう地方債とか何かいろいろなものでほぼ固定化していますので、今は、ほとんど自由になるところはないわけですから、今後、(資金量が)増えてきたときに、そこをどうするのかというのは、まさしく彼らの経営の腕の見せどころだと思いますね。

問)

全体像がまだ見えないので、質問がちょっと抽象的になるかもしれませんけれども、出資比率が3分の1超、それから、経営の独立性ということを繰り返し言っておられて、自由度が非常に広がるのだなという印象を持つのですけれども、がん保険についても認めるというような方向感を示されておられますし、そうしますと、私などの目から見ると、小泉・竹中さんが進めた郵政民営化と一体どこが違うのだろうと。前国会では、株式売却の停止までしたわけですけれども、結局でき上がるものは、小泉政権のときとそう変わらないようにも見えるのですけれども、大塚さんの中で、「ここが違うのだ」というところをはっきりさせていただけないでしょうか。

答)

それは重要なご質問なのですが、ただ、小泉・竹中さんがおやりになったことと変わるのか変わらないのかというのは、かなり個人的な…。それぞれの心証もありますので、それを前提にしたお答えをするわけではないのですが、まず、「国民の皆さんの利便性が高まる」、「地域の皆さんには迷惑をかけない」と言っていたのが、小泉・竹中改革なわけです。実際には、一部、「接客が良くなった」とか、「にこやかになった」ということはありますよ。だけれども、今、「利便性は低下した」という人たちが結果として非常に多いと。

それから、「地域に迷惑をかけない」と言いながら、その地域の中で一定の役割をなかなか果たせなくなっているのですから。私たちの目指しているものは、この二点について、今回、国民の皆さんにしっかりお約束した形を実現するという点は根本的に違いますね。

それと同時に、ここから先は推測になりますけれども、小泉さんと竹中さんは、一体、もし政権が続いていたら、平成29年に株式完全売却ということになっていましたけれども、株式完全売却までの間、例えば、限度額等は一切引き上げないつもりだったのかなとか、その辺は、ちょっと想像の域を出ないのですけれども、もしそうだとしたら、今のトレンドから言うと、多分、事業体は維持できなくなっているのですね。そうすると、事業体を維持できなくなれば、その過程で、やはり彼らがおっしゃっていた「国民の皆さんに迷惑をかけない」ということとは、かなり矛盾するだろうなという気もしますので、そういった先の展開も含めて、根本的に、彼らが目指しているものと我々が目指しているものは違うと思っています。

問)

このペーパーベースで質問ですが、要するに、この親会社は事業持株会社ということですよね。純粋持株会社ではないということですよね。つまり、子会社が事業を委託するという。先ほど、そういうご説明をなさったということは、このペーパーでベースにしている親会社の前提というのは、事業持株会社ですね。

答)

はい。

問)

先ほどの副大臣のご説明の中で、日本郵政に対する優遇措置について、ユニバーサルサービスという国が負っている義務を負わせる見返りとして、論理的には考えられることもあるというふうにおっしゃったのですけれども、実際に、消費税の免除等々となれば、間接的な国民負担ということも言えるわけで、その場合、どういった水準が適当なのかということを示す必要があると思うのですが、その前提となるユニバーサルサービスにかかるコスト、これは、例えば1兆2,000億円とか、あるいは赤字局だけだったら数百億円とかいろいろ言われていますけれども、これについて、今現在、政府の中ではどのような算定をされているのか、あるいは、これからどういうふうにお示しされるのか教えてください。

答)

まず、そういう結論になるのかどうか、つまり、「コストを負担するのかどうかということは議論している最中だ」というのは、最初のほうで申し上げたとおりです。「仮になった場合に」ということですが、それは、これまでの政策会議でも申し上げていますように、もう独立した事業体なので、彼らが自らの意思で、つまり、収益事業として成り立つところをやっているところは、別に、国が関与する必要はないわけであります。ところが、金融へのアクセス権、郵便へのアクセス権を考えると、店舗として置いておいてほしいというようなことで、政府が望む店舗が特定できて、もしそこが赤字であれば、やはり、その赤字を独立した事業体に担ってもらうというのは、なかなか難しいだろうなという考え方は成り立ちます。

そこで、政策会議の中でも申し上げましたが、例えば、過疎法という法律が今国会で延長されましたけれども、過疎法のエリア内の店舗の中の赤字店舗の赤字を集約すると幾らぐらいになるのかとか、いろいろな計数のはじき方は工夫しております。ただ、その一方で、日本郵政グループの中には、できるだけ国民の皆さんに負担をかけず、これからも自分たちで収益を上げて、その中で公益性の高い企業として、その公益性を自ら担っていくのだというお気持ちもあるわけですから、ひょっとするとそういう結論になるかもしれません。頭の体操としては、今、申し上げたようなことはやっています。

問)

それは、計数として提示はしていただけないのですか。

答)

それは、コストを負担するということになれば、当然、提示をしなくてはいけないと思いますね。

問)

前回のPTのときに、副大臣のほうから10項目ご説明いただきましたけれども、今回の座長試案で更に変わったところとか、強調されたいところというのはございますか。

答)

変わったところというのは、それほどないですね。むしろ、その後、弁護士会とも話をして、弁護士会自身が、例えば、「弁護士会としての自主規制をやる」ということを我々のほうに説明しに来てくださったり、メガ3行も「銀行としての消費者金融事業に力を入れる」ということを表明してくださったりとか、そういう進展はありますけれども、対策そのものについては、1週間前にお話をした内容と大きくは変わっていません。

問)

まず、この座長試案が出て、この後、多重債務者対策本部有識者会議の意見等も踏まえるということなのですけれども、PTとしての最終案をまとめて、おそらく大臣に提出され、最終判断があり、それから内閣府令の改正と。これが、おそらく6月18日までの間に(行われる)ということだと思うのですが…。

答)

周知するためには、もうちょっと…。実際の公布は早くしなければいけないので。

問)

この、何となくのスケジュール感、何月ごろにというのはございますか。

答)

6月18日が期限ですから、府令の改正は、周知期間に1か月かかることを考えると、ゴールデンウィークも入りますし、できればゴールデンウィークまでには府令の改正等もできれば良いなとは思っています。もし、タイミング的に間違いがなければ、それで良いですよね。タイミング的には、そんなことです。

問)

ということは、PTとしての結論は…。

答)

もう来週ぐらいには出せるように頑張ります。

問)

月内にまとめて、大臣に提出して…。

答)

そうですね。さっき申し上げたように、金曜日に有識者会議をやりますので。これは、この改正自体がその過程で、有識者会議の皆さんのご意見を伺ったり、その後も議論されておりましたので、与党内からも、また野党からも「有識者会議の意見も聞くべきだ」という指摘もありますので、そのプロセスを経て、最終的なゴールに到達したいということです。

問)

(借り手の目線に立った10の方策の)1.の「総量規制の借入残高を段階的に減らしていくための」のと(いうところで)、前回、ある程度、その返済を猶予し、借換えをして月々の返済額を減らして無理なく返せるようにするということだと思うのですけれども、これは、こうした対策が…。年収の3分の1を超える、要するに、総量規制の対象となって引っかかってしまう人たちにとって、これでかなり解消できるというか、有効な対策になるのですかね。

答)

それは、有効な対策にするように努力するということですので…。

問)

相当な借入金額があったりすると、多少の延長とか借換えで済むものなのかなと、ちょっと思ったのですが…。

答)

そこは個人個人の差がありますよね。例えば、事業者の方ですと、急激に落とすということはなかなか難しいでしょうけれども、個人の中には、遊興費に使っていらっしゃる方もいて、こういう方はライフスタイルががらっと変わればカウンセリングを受けていただくわけですから、それは割と短期間で解消できるかもしれませんし、あまり全体としての傾向は言いにくいなとは思っています。

問)

同じく1.(の方策の部分)なのですが、この「段階的な返済のための借換えを例外とする(旨の)府令改正(を行う)」ということで、これは、前回というか、2006年の時点のときも例外規定で、「一方的に利用者にとって有利な借換えは総量規制の例外として認める」みたいなことが書かれていて、そことの違いというのはどんな違いがあるのでしょうか。

答)

まず、「利用者にとって有利な借換えは例外」という発想は、今回はないですよね。それから、残高は確実に減らしていくということが前提ですから、3分の1に向けて着実に、前に借りたときよりも今回条件変更で延長させてもらったときのほうが残高は減るということが常に前提ですから、減っていかないとまずいですよね。だから、そこはかなり発想が違うと思いますね。

問)

いただいている資料のほうの7ページ目、8ページ目にかけてのところで、二点お伺いしたいのですけれども、まず一点目で、「健全な消費者金融市場の形成」のところで、銀行や信金などに消費者金融市場への参加を促していくということで、8ページ目の方策のところに「監督指針の改正も」とあるのですけれども、ここ(方策の(注)の部分)には「保証機能の活用も踏まえた」とあるのですけれども、具体的に、どのような監督指針の改正を考えていらっしゃるのかどうかと。そうした何らかの制度改正、規制緩和によってインセンティブを働かせていくことで、どれだけ実効性を持って銀行等の消費者金融市場への参加を促すことができると見込んでいらっしゃるのか、本当にそれで十分なのかどうなのかというのがまず一点と。

あと、そこのところの次(7.の方策の部分)の「セーフティーネットの充実」のところなのですけれども、これを拝見していると、既存の枠組みとそれほど大きく外れないようなところなのかなと思うのですけれども…。

答)

既存の何とですか。

問)

既存の枠組み、セーフティーネットの。なかなか、総量規制によって健全な資金需要者ですとか生活困窮者側の影響が大きいというふうに言われていますけれども、今回の、このセーフティーネットの充実で、それは一定程度対応できるようなものなのかどうなのか、というのをちょっと改めてお伺いできますでしょうか。

答)

まず一点目ですけれども、貸金業者の保証というのは、皆さんもご存じの方は多いと思うのですが、銀行自身が消費者金融をやるときに、貸金業者の保証を受けているケースがあるのですね。つまり、審査自体は銀行にノウハウがないために、依頼があると審査そのものを貸金業者にやってもらって、貸金業者が「ここに貸していいよ」ということになったら、アカウントとしては銀行のブッキングで出しますけれども、保証はしてもらっていると。これを活用していくということになると…。これは、また無秩序に行われてもいけませんし、そういうことについて、監督指針等にしっかりと定めていくということを想定しています。

それから、セーフティーネットが本当にこれで十分なのかというのは、これもまた、十分になるように努力するということでありますが、実際、中に幾つか書いてありますけれども、例えば、生協がやっていらっしゃるものとか、ご存じない方もいるのですよね。そういうところにちゃんと誘導していくということで、今まで以上に機能を発揮する部分はありますし、「NPOバンクについては幾つかの義務を免除する」ということを書いてありますけれども、NPOバンクにも今まで以上にしっかり活動してもらうということは考えております。

それから、後段のほうの9から10ページにかけて、政策金融機関を含めた金融機関との連携を強化とか、そういう、労働金庫とかのサービスも、やはり十分に活用されていないところがありますので。だから、全体としては、セーフティーネットが今までより手厚くなるようにこれから頑張るという話ですね。頑張ります。

問)

全体的な話で恐縮なのですけれども、郵政もこれも、利害関係者が非常に多い話だと思うのですよね。それで、政治主導で決めるということなのですが、政策会議とか政務の会議の議事録もとられていないと。結局、どういうところで力学が働いてこういう見直しをするのか、郵政でもやるのかとか。審議会のやり方が良いとは思いませんが、情報公開を含めて、何らかの透明性を確保することをやらないと…。大塚さんとかは、貸金業界からお金を貰ったりということはあり得ないと思うのですが、実際、誰がどう判断して、どういう発言のもとに決定されたのかというのが、後から検証しようがないわけですよね。その透明性というのは、今後、民主党のやり方としてどうしていくのかというのは大きな課題になっていると思うのですけれども、どうお考えですか。

答)

そうですね。半年やってみた実際の感覚として、政策会議での議論、それから、例えば、貸金のようにPTができたものは、そのPTでの議論、あとは政務三役での議論と。我々として、まさしく議論する場としては、この3つ以外にはないのですね。だから、PTがあれば良いのですけれども、(それが)ないと、政策会議と政務の中での詰めの作業をやっているわけですから。政策会議は、大体オープンにさせていただいているつもりなので…。他所の省庁のことまではちょっと分かりませんけれども。

PTについては、これもまたPTをやるようなときには、極力、オープンにしなければいけないと思っていますので、今回の件もそうさせていただいているつもりであります。最後は、政務の中の議論、例えば、亀井さんに「ちょっと来い」という電話をいただいて、私が大臣室に行って、そこで「うーん、どう思う」とか聞かれていろいろ議論するわけですよ。そこまで全部残せるかといったら、それはなかなか難しいですね。だから、まさしくどういうロジックでそうなったのかということは、ちゃんと皆さんにご説明するというところで、政務の議論をお伝えするということになろうかと思います。

ただ、審議会について今後どうするのかというのは、まだ課題として残っていますが、我々は、審議会というインフラそのものが役に立たないと思っているわけではなくて、審議会行政というのが証拠作りのために使われる、つまり、単に証拠のために開かれるだけで、実際には、そこで発言された内容があまり反映されないということであってはいけないということで、今、少し見直しのプロセスにあるわけですから。本当にクリエイティブな審議会であって、しかも御用学者を囲い込むみたいな、それから、あえて反論を言う人を委員にして反論を言えなくするとか、そういうことのために使うのであるならば、それは良くないと思っていますので、今のご指摘は、政権全体の課題として、しっかり議論していきたいと思います。

問)

PTの事務局会議のほうで、例えば、今回の運用の見直しに入らない利息制限法が、今の利率でそもそも適正かどうかとか、そういった問題提起があったり、結構、民主党の先生方も貸金業のいろいろな問題にご興味があるようだったのですけれども、こういった問題提起された部分に関して、今後も議論を続けていかれるのか、それとも貸金業に関しての議論はここで一旦一区切りという感じになるのか。もし、続けていかれるのであれば、どういった形式でやられることを、今、お考えなのか。例えば、懇談会形式とか、そういったアイデアがあれば教えてください。

答)

今回の対応で終わりということではないですね。業界の実態とか産業の実態というのは常に変わっていきますから、ずっと不断の見直し、検討作業は続けていきます。ただ、改正貸金業法については、今回、きちんと完全施行するということであります。もっとも、その後、貸金業という産業がどうなっていくのかということを見ていく中で、当然、利限法であるとか出資法であるとか、いろいろなことについての議論は続くと思います。ただ、何かこれで、6月以降に、また何か新たな検討の場を設けるということは、今、特段決まっていません。

(以上)

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