第10回政策会議後大塚内閣府副大臣記者会見の概要

(平成22年4月14日(水)14時48分~15時26分 場所:衆議院第1議員会館)

【副大臣より発言】

今日は、議題が二つありまして、一つは、共済制度(共済事業の規制のあり方に係る検討について)でありますが、説明は皆さんにも聞いていただきましたので繰り返しません。それで、幾つか質問が出ました。例えば、ご覧いただいている紙(共済事業の規制のあり方についての方針(案)2.(1))の「対象となるもの」の中で、「一般社団法人又は一般財団法人であるという資格は、法人格を取らないといけないのか」というご質問とかがありましたけれども、これは、基本的に(法人格を)取っていただきたいという方向で考えています。一般社団、一般財団の資格を取ることは、前と違ってそんなに大変なことではありませんので。やはり、「結構大きな金額を預かって加入者を抱える組織であれば、一応の法人格を取っていただきたい」という方向で説明させていただきました。というのは、現行法(保険業法)で、少額短期とか少人数共済とかの適用除外もあるわけで、そこで収まる方々はそちらに行っていただきたいですし、それで収まらないということはそこそこの規模なわけですから。そうであれば、新しく考えている今回の枠組みの中に入っていただくのですが、そこそこの規模だということは、最低限、一番基礎的な法人格は取っていただきたいという説明をさせていただきました。

それから、次のページの2.の(3)の(ところで、)「責任準備金というのはどのぐらいか」とか、そういうご質問も出ました。これは、「当然、ある一定の基準は作りますけれども、何かこの責任準備金が負担になって、やはり辞めなければいけないということに軽々にならないように実態に合わせた対応を、とは思っている」という説明もさせていただきました。

それで、あとは、また2.の(1)に戻りますけれども、要するに、この保険業法改正が行われてから、改正法に合わせて組織を分割したりして今日に至っているものもあるわけでありますけれども、つまり、少額短期に合うように分割してしまったり。「そういうものが原状復帰した場合には、新しい枠組みのほうでやっていただけるような方向で考えている」ということもご説明しました。

あとは、ちょっと行ったり来たりで恐縮ですけれども、2枚目のほうの(4)のマル3、「認可特定保険業者に係る行政庁は、改正時に公益法人であったものについては、旧主務官庁とする」ということで、「これは、やはり金融庁が全部見たほうが良いのではないか」とか、あるいは、先ほど申し上げましたような「責任準備金とか、何か一定の基準を決めても、主務官庁が旧主務官庁になるということは、金融庁で決めた一定のルールを十分に守らせ切れないのではないか」という質問もありましたが、それは守っていただかないと困るわけで。しかし、「他の官庁に共済という金融業務について監督する能力があるのか」というご下問もあり、「金融庁と共管にできないのか」とか、そういうご指摘もありました。もうそんなに、あまり時間はかけられないとは思っていますが、いただいたようなご指摘を踏まえて、ちょっと、更に検討を進めていきたいと申し上げました。

大体、共済についてはそんなところでございます。結構、技術的な質問がいろいろ出て、共済だけで45分ぐらい(質疑応答を)やりましたので、ちょっと予想外の展開でありました。

それからもう一つは、貸金業法(「貸金業制度に関するプロジェクトチーム」での検討について)であります。

貸金業法は、基本的には、前回に引き続いて先生方のご意見をいろいろお伺いするということでありますが、前回、幾つか技術的な質問等を受けましたので、それについて事務方から簡単に説明した後にご意見を承る段階に入りました。最初にご指摘いただいたのが、NPOバンクへの対応策です。これについて、やはり、今回出ている資料2‐3では、「民主党が従来言っていたNPOに対する取組みから比べると、随分小出しではないか」と。それに、「本質的な対応になっていないのではないか」ということで、ベテランの先生から厳しくご意見をいただきました。一応、今回のNPOバンクの方針は、あくまで貸金業法完全施行をめぐって、当面、NPOバンクで、特に生活困窮者向けの対応をしている先に対してはこういうことです、ということなのですが、NPOバンク全体については、今、「新しい公共」の中で議論している最中でありますが、「議論」というよりも、その中で、やはり大きな「新しい公共」の担い手の一つであるので、しっかり活用していくという大方針の下で議論していますので、「その中でしっかり対応させていただく」とは申し上げました。ただ、結局、生活困窮者向け以外のさまざまな貸付けがあるわけです。まあ、皆さんのほうが詳しいと思いますが、例えば、環境問題に取り組んでいるNPOであれば、太陽光パネルを導入するために貸し付けるとか、「NPOのいろいろな目的に資した貸付けをするということは、民主党が従来から主張していたことでもあるのでしっかり取り組んでほしい」、あるいは「取り組め」ということでありましたので、「その方向で対応します」という回答をさせていただきました。

それから、貸金業法の完全施行に関しては、ちょっと時間が長引いたこともありまして、具体的に意見として出たのはお1人だけでありました。前回、内閣府の政策会議のときにもいろいろご心配を指摘していただいたうちのお一人から意見が出ましたが、要するに、「亀井大臣も(国会の)委員会で、あの後も「完全施行」とはっきり言っているわけですから、完全施行をなかなか変えられないということ自体は事実としては理解できるので、そういう中で、やはりこの善後策として更にどういう対策を打ち得るか、という対策について、更に議論を進めてほしい」というご指摘をいただきました。

貸金については、ちょっと最後は大変時間が長引いていたので、そのお一人の意見で終わりました。

私のほうからは以上です。どうぞ。

【質疑応答】

問)

共済のほうで確認なのですが、先日、亀井大臣と懇談した共済8団体は、今回の対象にはなっていないという理解でよろしいのでしょうか。

答)

8団体というのは…。

問)

(日本勤労者)山岳連盟とか…。

答)

みんな対象に入ると思いますよ。

問)

入りますか。

答)

はい。みんな入ります。

問)

貸金業についてなのですが、「内閣府令はゴールデンウイーク前にも出る」というお話なので、そうすると、今週、あるいは来週には、もう貸金業の問題については決着ということで、パブリックコメントに付す手続に入っていかないと間にあわなくなってくるのだと思うのですが、その辺のスケジュール感はどう考えていらっしゃいますか。

答)

今日の(政策会議の)結果も、また大臣に報告して、おっしゃるように、ゴールデンウィーク前にパブリックコメントに付さないと。概ね、2か月インターバルがあれば、という感じなので、ギリギリだとは思いますけれども、そんなタイミングですね。

問)

この(貸金業法の)問題は、もう政策会議では今日が最後になるという感じですか。

答)

さっき申し上げたように、対策そのものについてこれで十分か、ということは、「更に議論したほうが良い」というご指摘でしたので、引き続き議論することにはなると思います。ただ、大臣に報告して、もう一度お伺いしても、もし大臣の判断が最終的に変わらなければ、完全施行を止める、止めないという議論は、もう次はしないです。対策としてどうするかということです。

問)

そうすると、ある意味では完全施行後も睨みながら、まだ追加で何かできることがあるのかということを、今後、検討していくと。

答)

そうですね。それと、仮に、これで完全施行になって、完全施行した後にいろいろなことが起きた場合、エマージェンシーとしてどういうことができるのかとか、いろいろ考えなければいけないと思います。やはり、結局、「状況に対応していろいろやるべきだ」というご意見も分かる一方、例えば、共済(制度)について、私たちがなぜこういう柔軟な対応ができるのかというと、保険業法改正のとき、民主党は反対したのですね。こういう状況を懸念していたから反対したわけで。だから、共済制度についてこういう緊急対応をしようということなのですが、貸金業法のほうは、「そのときと状況が違う」とか、いろいろなご指摘はあると思うのですが、(国会で)多重債務者対策として全会一致で決まったものを、施行しないまま何か変え得るのかというと、立法府のオーソリティを守るという意味においても、これはなかなか悩ましいところもあると思います。

しかし、そうであったとしても、もちろん変えなければいけないときには変えなければいけないと思っておりますが、類似の検討や議論を経て、それでも担当大臣としての方針がはっきり示されれば、それはやはり担当大臣の権限でありますので、そういう方向でやります。そのときには、今、申し上げましたように、対策として更に何をし得るのか、施行した後にどういう事態が起きたときはどうするべきか、この議論は続けていくつもりであります。

問)

もうPT(貸金業制度に関するプロジェクトチーム)がなくなってしまっているのですが、その議論の受皿というのはどこになるのですか。

答)

それは、まだ考えていません。ここの政策会議になるかもしれないですし、また別の枠組みを作るかもしれません。

問)

共済事業についてなのですけれども、現状、対象となり得る団体数の把握がついているのかどうか教えてもらえますか。どれぐらいになりそうですか。

答)

これがたくさんあって…。だから、全体像が必ずしも見えないわけです。さっきご質問のあった(共済)8団体。ああいう大きなところは声を上げてきてくれていますから分かりますので、ちゃんと網にかかるようにやっていますけれども、トータルで幾つだったか、潜在的には700(団体)ぐらいと。ただ、分かっている範囲ですから。そのうちのかなりの部分がカバーされるようにはしたいとは思っています。

問)

貸金の今後のプロセスの確認なのですけれども、今後、内閣府令を、改正に盛り込んだ今回の対応を政務三役で決定するというプロセスがあると思うのですが、その決定プロセス、決定した後も、政策会議を開いて意見を聴取し続けるという意味なのか。それとも、まだ政策会議はやって、それを受けた上で政務三役が決めるというプロセスがあるのか、そのプロセスはどのような…。

答)

さっきのご質問と連動していますけれども、これはもうあまり日数がないですから。大臣に話をして、もう一回政策会議(を行う)というのも、日程的にそう簡単なことではないです。

問)

では、もう決めるという…。

答)

いえ。「日程的にそう簡単なことではない」と申し上げていますので、そういうことです。

問)

先ほど、まだ完全施行しないこともあり得る、というような表現に受け止められるようなご発言があったと思うのですけれども…。

答)

そうですかね。他の人にどう聞こえているのか分からないですけれども…。

問)

私だけかもしれませんが、私はそう受け止めたので、確実に理解したいと思っているのでお尋ねしたいのですけれども、今まで、大臣の意を受けて、副大臣も「完全施行が前提です」ということを常々おっしゃっていたと思うのですけれども、ここに来て、「変えなければいけないことは変える必要がある」と、先ほどおっしゃったと思うのですが、それは違うのですか。

答)

それは、ちょっとニュアンスが違うと思いますよ。正確に伝わっていなければお伝えしますけれども、結局、完全施行した後にいろいろな事態が起きた場合にどうするのか、ということは考えていかなければいけないですし、それから、今、完全施行を前提に、この10の方策を考えているのですけれども、この対策がこれで良いか、ということ、つまり、もっと、「いや、こんなこともできるのではないか」とか、そういうことは更に詰めていかなければいけないという意味です。

問)

例えば、「大臣の完全施行という考え方が変わらないのであれば、完全施行を止める、止めないの議論を次はしない」とおっしゃったと思うのですけれども、今までは変わる可能性があったということですか。

答)

いえ、大臣(の考え方は変わら)ないと思いますよ。だけど、現に、こうやって政策会議を開いているわけですから、「政策会議ではこういう感じでしたよ」ということは、もちろん大臣にもお伝えしています。それから、政策会議で発言された方とかも個別に大臣のところに訪問して、いろいろ意見を言っていますので。そういうことを受けて、先ほどのご質問にあったように、もうぼちぼちタイムリミットなので決めなければいけない時期に来ています、ということです。

問)

貸金のほうなのですが、10の方策の1.のところの「借換え可能」ということで、昨日の政策会議でも、具体的に、例えば、消費者金融とかも苦しくなって、最近はだんだん貸出を絞って、(貸付金を)回収して資金繰りに回すということもあるのですけれども、「具体的に誰が貸すのか」という質問が出ていたと思うのですが、その辺のめどというか、見通しはあるのでしょうか。

答)

もともと事業者数がどんどん減っていますからね。ただ、この改正貸金業法が施行されてから急に減ったわけではなくて、平成10年ぐらいからずっと減っていて、ここ2、3年で更に減っているという展開なので、必ずしも改正貸金業法の影響だけではないですが、結局、高い金利で貸すことによって、事故率をカバーしていたわけですよね。ところが、金利自体が利限法(利息制限法)の関係でどんどん下がってきているわけですから、それだけサプライヤーサイド(貸付側)の供給量が減ってきているわけです。それは、当然、誰に借りるべきか、という、その「誰」というものが減ってくるということは、もうこれは現に起きていることなので、そのときに、「では、誰に借りたら良いのだ」というときに、この中でも申し上げていますが、それは例えば、メガ(バンク)なども自分たちの系列のノンバンクの保証で個人融資を始めたりとか、いろいろなことをやっているわけです。

だから、そういうスピードオーバーする部分についても、そういうところが吸収できるようにしなければいけないと思っていますし、そもそも多重債務者対策で始まったわけですから、多重債務状態から抜けていただくためには…。やはりこの中で出てきていますけれども、セーフティネットのほうに回っていただく努力もしっかりしなければいけないですし、そもそも多重債務の原因が純粋な生活困窮であるならば、セーフティネットであったり他の社会保障制度、あるいは福祉制度の中でカバーしていくべき部分もありますが、そうではない理由で個人の多重債務者になっているケースであれば、やはり借入の原因となるような生活パターンを変えていただくという自己努力はしていただかなければいけないですよね。そのためのカウンセリングでもありますけれどもね。だから、なかなか簡単なことではありませんけれども、所期の方向性をしっかり認識しながら、影響を極小化するように最大限努力をするということだと思います。

問)

今のところまだ完全に、ある程度、もうシミュレーションというか、これくらいすればこの状態は脱してくれそうだ、というめどが立っている形ではない…。

答)

いえ。そんな完全なシミュレーションはできないです。

問)

(10の方策の)2.にある個人事業者の方の例外というか、計画のフォーマットを作って、計画したところを借りやすく、例外になりやすくといいますか…。

答)

いや、そこは、逆に皆さんにも正確に(記事を)書いてほしいのですが、「例外」ということではなくて、基本的に個人事業者は対象外なのです。つまり、個人事業者としてちゃんと活動しておられる方なら、非常に簡素な事業計画というか、「いや、こういうことなのです」と出していただければ借りられるということなので、「事業のために借りている方々は対象外だ」ということが十分に伝わっていないのです。

どういうことかというと、この間の内閣府政策会議はオープンだったから皆さんも聞いていただいたと思いますが、よく出る指摘の一つに、「新しく起業する人が、来月には銀行からお金が借りられるのだけれども、それまでの運転資金として貸金業者に借りていたのが借りられなくなったら起業もできない」という話をされるのですけれども、それは、「こういうことで起業します。来月にはどこどこ銀行から借りられます」ということをきちんと出していただければ。それは、そんなに大部な書類ではなく、非常に簡素なもので。それは、個人事業者として借りられるわけですから、そこのところがかなり誤解されている面があるので…。それは、「皆さんが」ということではなくて、一般にね。それは、我々としてしっかり周知していかなければいけないと思っています。

問)

そこも、多分、まだ不安が残っていて、「こういう対策がありますよ」と言っても、議員さんでも「不安だ」ということを、昨日、発言されていたので、要するに、ここに書いてあるフォーマットを「(日本貸金業)協会の自主規制規則に明示すべく依頼」という部分も、紙で書かれてから2週間ぐらい経っているのですけれども、そこのところをはっきり、今、副大臣がおっしゃった例みたいなもので、「本当にこんなに簡単なものですよ」というのを早めに出したほうが…。逆に言うと、出さない限り、「政府は簡素化すると言うけれども、基本例外だ、というのと違うのではないか」という、昨日の政策会議で出ているような不安はずっと残る気がするのですが…。

答)

それは、おっしゃるとおりです。だから、さっきの質問に戻るのですけれども…。

問)

それも併せて出るということですか。

答)

それも併せて出るのではなくて、それが決まらないことには…。片方では、「(完全)施行延期」という政策会議の意見もあるわけですから。いよいよ最終決定されたら、具体的にフォーマットを…。でも、非常にシンプルなもので良いということであれば、フォーマットというものがそもそも要るのかということですよね。

いずれにしても、ご指摘の点はよく分かりますので。

問)

共済のほうなのですけれども、前に、大塚副大臣は、新法で対応するようなお話もされていたのですけれども、こちら(資料1-3)の2.の「方針」のところで「当分の間」とあって、(注)で「改めて検討を行う」とあるのですけれども、先の話なのでなかなか分からないかもしれないのですけれども、どれぐらいの「当分の間」なのでしょうか。

答)

これは、今日もその質問が出ました。「これは恒久的なものか」と聞かれたので、恒久的ではないですが、次に、かなりこういう自主共済や、新しく少額短期とか、現行法でいろいろ出てきたものの実態をきちんとフォローアップして、平成17年のようなことがないような諸準備ができるまでにはちょっと時間がかかりますよね。だから、そんな、今回対応して、また来年、再来年とか、そんな短期間でもう一回ということはないと思います。

問)

今回、PTA共済とか子供会の共済というのは、結局どうなるのでしょうか。

答)

皆さんもご承知だと思いますが、当初、PTA共済は文科省が制度共済にするべく法律を作っていましたが、今は、党のほうで、何か議員立法でやる方向で動いていますので。そのPTA共済との平仄(ひょうそく)をどうするのかというのは、これからの政府・与党内調整の問題です。

問)

保険業法の改正に落ちついた経緯というのを、少し教えてください。

答)

経緯ですか。

問)

はい。ずっと1か月ぐらい、亀井大臣は「新法で」とおっしゃっていたので…。

答)

まあ、亀井大臣にとっては、改正法も「新法」という括りでおっしゃっていたのだと思います。

問)

貸金なのですけれども、エマージェンシー対策というのは、6月18日に(完全)施行して、非常に混乱が起きてしまったような場合に何か打てる手があるのかどうか、という類のものだと思うのですが、この場合、措置の仕方というのは、やはり、施行後にもう一回府令を改正するとか、そういうことは…。

答)

いや、まだ何も考えていません。そのこと自身、またこれから皆さんから意見を伺っていかなければいけないと思っていますので。今、何か特段アイデアがあるわけではありません。

問)

さっきの関連で、貸金の(10の方策の)1.の「借換えの推進」のところなのですが、例えば、中小企業金融円滑化法であれば検査マニュアルであるとか監督指針、あるいは、その後の金融検査というチェックの仕方もあったと思うのですけれども、この「推進」というのは、今回の場合はどうやって推進させるのですか。府令改正で物理的にできるようにした、という措置は分かるのですけれども、あとはどうやって推進させるのかということを…。

答)

それは良い質問ですよね。だから、円滑化法のときも、各地の財務局はそれなりに頑張って、あちこち浸透活動に努めたのですけれども。要するに、今回、(貸金業者の)登録は財務局等の単位でしていますから、財務局は相当頑張らないと駄目ですよね。各事業者に徹底していくということをやらないと。もちろん、借手側に周知するということでは政府広報とかいろいろなもので周知はできますけれども、事業者側にこういう対応をやってもらうためには、行政が相当汗をかかないと駄目ですね。

問)

「汗をかく」というのは、財務局ベースで、直接、事業者に対して「ちゃんとやりなさい」ということを伝えていく、ということでしょうか。

答)

まず、「こういう枠組みで議論が行われている」と。そして、これで実際に府令改正等を行った場合には、「そういうことだ」という内容を説明しなければいけないですね。まずは、そのことをしっかりやるということですね。

問)

共済の方針案についてなのですけれども、野党時代に出した議員立法と比べて、内容的にダブるというか、参考にしたというのは…。

答)

それも良いご質問なのですが、野党時代は、要するに、自主共済を三つぐらいに分類して、「明確な基準はないけれども、裁量で分けよう」という話だったわけです。それはそれで、良い意味でも悪い意味でも融通無碍で、自主共済をやっていらっしゃる方々にとっては安心できるようなものであったとは思うのですが、明確な基準がないまま「うーん」と睨んで、「これはこっち、これはこっち」と分けるというのは、実際にはかなり難しいということで、今回のこの内容に落ちついたということです。

だから、この内容は一言で言うと、事実上、平成17年の改正当時の原状復帰を認めるということですよね。だから、そこからどうするのかというのは、もう一回考えると。だから、金融庁は金融庁で、事務方としては一生懸命やってくれてはいるのですが、当時の野党時代の我々の気持ちに戻って言えば、原状復帰するということは、「ほーら、見たことか」ということですよね(笑)。だから、今度、それこそ見直すときにはどういう制度が良いのか、ちゃんとやらなければいけないと。

それから、今のご質問とも関係があるのですけれども、そうは言っても、では自主共済というものの中身はどうか、というと、やはり、中には「このままだと加入者に正しい情報が伝わっていないな」とか、「このままだと、ちょっと先々、加入者に不安を与える可能性があるな」という先も、なきにしもあらずなわけです。だから、そういうことはそういうことで放置はできないので、どこかの段階でしっかり対応はしなくてはいけないと思っています。

問)

二つの側面で、先ほどの借換えの話なのですけれども、これは、新しい貸付けにするということになると、そのままだと不良債権になってしまうかもしれないから、それが新規の貸付けになったということで、すぐに引当てにしなくて済んでいくという意見で貸金業としてもメリットがあるだろうし、それで円滑に返済が進んで過払金の請求に至らないということであれば、そういうことに応じるメリットが業界のほうにもあるのだろうとは理解しているのです。

ただ、新しい貸付けになると、その金利も下げなくてはいけないとか、要するに、100万円を超えたら、全部15%にしなくてはいけない。もともとリスクの大きい人に15%で貸出しているという状態に持っていかなくてはいけないとか、あるいは、複数の借手がいます(というときに)、自分のところはそれに応じたけれども、ほかのところはそれに応じませんでした、ということになったときに、ある意味で、結局、自分のところがそういう対応をして馬鹿を見てしまうということもあるかもしれないし、では、みんなの(お金)を全部おまとめで借り換えたらどうだ、という議論があるのかもしれないけれども、例えば、これも15%の金利で、ほかの抱えているリスクを全部自分のところに寄せるのかと。それは確かに、これで円滑に返済が進んでいって良いお客さんになっていくのだったら、そういう形で囲い込むというのも一つの手になるのかもしれないけれども、なかなか難しいのだろうなと。そういう問題はどう考えていらっしゃるかというのがまず一つです。

それと、もう一つは、今、過払金の返還請求が過熱している中で、総量規制に入っていきますと。これは、過払金の返還請求がまた相当増えるだろうと。例えば、今の専業大手の経営も非常に苦しくなっていくのは間違いないと。そうすると、完全施行で懸念されるのは、総量規制をやって、その総量規制の抵触者の資金が回らなくなって倒れてしまう、ということだけではなくて、貸金業から借りている人が1,000万人ぐらいいるわけですけれども、もしかすると、その人たちすべての資金供給が止まってしまうような事態にもなりかねないのではないか、というところを、私は懸念しているのです。そういう意味で、そういう問題に対してのご見解と、その過払金のほうなのですけれども、これはいろいろと、ある意味で非弁活動的なことをやっているような弁護士にペナルティーを科すとか、そういう対応をしてくれるように日弁連にも要請されているようなのですが、そこの実効性もまだ見えないところがあるので、そこを副大臣としてどのようにやっていくのかというのを、もう少し具体的にイメージを見せていただきたいと思うのですが。

答)

1点目、2点目(の質問)は、結局、共通した質問だったと思うのですけれども、実際、どうやって借り換えていってもらうのか。確かに、5社以上の(業者からお金を借りている)方が多重債務者なわけですから、7社、8社借りている人たちが、6社、7社分を全部返済して「おたくでまとめて借りるからよろしく」と言われても、それは言われるほうも困ってしまいますよね。だから、それはいきなりそういうことができないとすれば、それぞれ借りている先で毎月の返済額を何万円か返して、また5万円借りるとか、そういうことではなくて、実質、減少できるような返済計画に変えてもらうということを各社でやってもらうということだとは思うのですけれども。ただ、その一方で、貸金業者の皆さんは、15%でも低いということになるのですけれども、これは信金・信組にしてみたら、例えば地銀にしてみてもそうですけれども、もし15%で貸せたら、これは彼らにとっては大変なプラスなわけですよね。本当は、やはり本来の金融業の皆さんも、そういう消費者金融にはもうちょっと力を入れていただかないといけないと。

これは、郵政の問題とも微妙にリンクしてきますけれども…。リンクというか、関連している部分もあるのですけれども、集めたお金をどこで運用するのだという問題は普通の金融機関も同じであって、預貸率は非常に低いわけです。しかし、逆に言うと、貸金業で借りておられて、ちゃんと返済できている人たちは、通常の消費者ローンよりも高い金利で借りても返済能力のある方々ですから。もちろん全部は吸収できないですけれども、かなりそういうところに接点はあるのではないかなと思いますから、片方では、本来の金融機関もしっかり努力していただくということもやらなければいけないと。

ただ、先ほど来申し上げているように、個人事業者はとりあえず別で、全くの個人で、しかもまじめに働いているのですけれども、いろいろな事情で生活困窮という方々は、福祉の世界やセーフティネットの世界で対応すべき話であって、そうではなく、ご自分の生活パターンで、ということになると、それはそれで、やはり徐々に生活パターンを変えていくと同時に、そういう本来の金融機関のほうにスピルインしていってもらうということもやらなければいけないですし、それは口で言うほど簡単ではないということは、もう重々承知していますが、それは、行政当局として、関係当局や関係金融機関と協力してやらざるを得ないですよね。

だから、結局、今回、「完全施行を絶対するべし」という意見の人たちも、まだまだたくさんいるのです。何で意見が出てこないのかと言ったら、完全施行が方針として維持されているから誰も何も言わないわけですよね。これが「完全施行はやはり止めます」ということになったら、途端に、今度はそういう方々が声を上げ出すのですが、今は、方針がそういう方向でいっていますから、その方々が、特段意見を言わないだけの話であって。そうなると、そういう立場のご意見の方からしてみたら、やはり、「今回、そういう多重債務者問題ということでスタートしたこの対策をやらなかったら、結局、未来永劫できませんよ」というご意見の方も結構いるのです。だから、今申し上げたようなことを、行政としても汗をかいてやると。

同時に、最後のご質問ですが、そういう過払金請求のところは、法的には許されても、非弁行為をやってまで発掘してやるということが、弁護士の社会的責任に照らして本当に適切な行動なのかと言われると、私はちょっと問題があると思っていますので、引き続き、宇都宮(日弁連)会長とよく話をして、対応してみます。報酬規制をやったら良いとか、いろいろな話もありますけれども…。しかし、弁護士会という組織は、いわばその自治性が問われているわけですから、自治性を持った業界としてしっかり対応していただくように強く要請していくということを引き続きやります。

(以上)

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