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東副大臣記者会見の概要

(平成23年7月6日(水)16時30分~16時46分 場所:金融庁会見室)

【副大臣より発言】

このたび、銀行等による保険募集に係る弊害防止措置等について、その見直しの案を取りまとめました。

今般の見直しに当たっては、平成19年の全面解禁時の考え方に沿って、3年間の銀行窓販の実態に係るモニタリング結果等を踏まえ、現行の弊害防止措置等について、利用者利便の向上と、そして利用者保護の必要性の両面から検証したところであります。この結果から、一つは銀行等において、圧力募集を初めとする弊害の防止に向けた取組みが一定程度進展している一方で、引き続き利用者保護に配慮していく必要があると考えられます。

今般の見直し案は、このような状況を踏まえて取りまとめたものでありまして、そのポイントは次のとおりであります。

まず第1に、融資先募集規制等の現行規制の枠組みは、引き続き維持することとしております。

2つ目として、その上で、融資先募集規制の対象商品について、貯蓄性の高いものを対象から除外する。

さらに、弊害防止措置の遵守状況を踏まえ、預金との誤認防止措置等について実効性を図るための措置を講ずる等、個々の規制について実態に即した見直しを行うこととしております。

今後、関係する内閣府令等の改正案を速やかに作成し、パブコメに付することとしたいと考えております。

なお、保険募集の担い手である営業職員や銀行を含む代理店は、いずれも保険会社の指示又は委託を受けて、顧客にとって最善の保険商品をお勧めすることが期待されている立場でありまして、各チャネルの長所を活かして利用者の満足度を最大化することは、保険会社の使命であると考えます。こうした保険募集の担い手が、保険会社によって適切に管理されるのであれば、さまざまな弊害が生じるおそれも少なくなるのではないかと考えます。

保険業界に対しては、このような観点から、更なる努力を要請したところです。また、銀行等においても、適切な弊害防止措置の運用が図れるよう要請したところであります。

このような点も含めて、弊害防止措置の運用状況等については、今後とも注視してまいりたいと考えております。

以上です。

【質疑応答】

問)

一部の保険商品について、今回、規制対象から除外するということですけれども、これらに関しては、いわゆる優越的地位の乱用を防ぐという元々の規制の意義や必要性がなくなってしまったというご認識なのか。そのあたりのご認識はいかがでしょうか。

答)

関係者の方々にも、すべて申し上げてきたのですけれども、皆さんご案内のとおり、やはり日本と欧米諸国を比べた場合、基本的に金融機関に依存する中小・零細企業、これは資金調達の分野において、依存する度合いというのは極めて高い。そういう意味において、日本の間接金融の割合というのは相当なものがまだまだあるのです。諸外国を見れば、金融機関に融資先を求めるという場合も、もちろんありますけれども、基本的には、その他の資金調達が出来るための部分がたくさんある。そういう意味からいたしますと、その金融機関が持っている優越的立場というのは、圧倒的な存在である。そういう角度からして、第1番目の融資先企業に対しての募集というのは、50人以下の中小・零細企業でありますが、これに対しての基本的な枠組みというのは、やはり維持させていくことが肝要なのだろうと思っています。そこの機軸は、基本的に今回の見直しにおいて、変えることは、時期尚早なのだろうと思います。

ただし、その上で個々の商品を見たときに、基本的にある程度、貯蓄性の高い商品に関して、ある意味で窓販を利用した形でのパフォーマンスが、それなりの形で出てきている。その部分に関しては、すみ分けができるのではないのか、こう認識しているところであります。

問)

今後、何年後かに、また見直しということはあり得るのでしょうか。そのタイムスケジュール的なことを教えていただけたらと思うのですけれども。

答)

ざっくり言いますと、3年前に全面解禁したときから、その後のフォローアップをして、先ほど申し上げさせていただいたとおり、この3年強における状況というものを見せていただいた上で、基本的な枠組み、つまり融資先募集企業といいますか、その部分に関しては、それなりのデータというものは出ていますから、その部分の基本的な枠組みを変えないということであるならば、改めて時期を設定して見直すということにどれほどの意味があるのかと。だから、そういう意味では、時期そのものを改めて設定して、そして見直しますというよりも、それは今後の状況を注視させていただいて、必要とあれば、そのときに見直しさせて頂くという形をとらせて頂いているということです。

問)

まだ従業員50人以下のところを変えるのは時期尚早ということだったのですけれども、3年間のデータ、ヒアリング等を通じて状況を把握されてきたと思うのですが、やはりまだ問題が起こり得るという判断になるようなデータだったのですか。

答)

それは、もう皆さんご案内のとおり、あそこ(銀行等による保険募集に関する関係者等からのヒアリング)でも聞かれていたと思うのですけれども、あれは解禁されていました。だから、完全に弊害防止措置を取っ払えというのと、緩和すべきだというのと、それを死守せよという明確な意見の対立があるわけです。一方においては、全くそういうものはないと。他方においては、あるという話の中で、関係者の皆さん方に来ていただいて、そしてその辺のことをヒアリングさせていただきました。

先ほど申し上げさせていただいたとおり、私も江東区に住んでいて、中小・零細企業は多いです。そういう流れの中で、もし中小(企業)のトップの方に、「融資をしているのだから、それと引き換えに」、こういう直接的な言葉でなかったにしても、それを匂わすものをしたときに、果たしてそれに応えられるのか、つまり、拒否することができるのかといったときに、これは拒否できるという人も増えつつあると思いますが、他方において、まだ拒否できないという方々もたくさんいるという実感を得ています。

あるいはまた、具体的な例でいえば、金融機関においては「そういうことは一切していません。」と言っていたとしても、元銀行に勤められていて、現場で働いていた人の証言でありますが、「自分はそのときには、ちゃんとそれなりの誘導するような形でやっておりました。」という声も聞こえてきて、それを一概に否定することはできない。他方においては、「もう常にそういう要素というのは多々あります。」という意見も、一部の関係団体の方々から出てきているというのも事実で、これをどう斟酌するのかということが、最大のポイントだったと思うのです。アンケート調査を見る限りにおいても、(中小・零細企業の)15%強は、もしそういう形で「融資をしているから何とかおつき合いしてよ」と言われれば、断ることができないというデータも、こちらの独自の調査において出ているので、この部分は引き続き堅持していかなくてはいけないという気持ちになったことも事実であります。

以上です。

問)

弊害防止の措置が必要だといいながら、今回、貯蓄性の高いというか、今、すみ分けができてきているものについては外したとおっしゃられましたけれども、一方では、聞き方によっては、銀行で売りやすいものについてのみ、そういう弊害に目をつぶるとも聞こえたわけで、非常に保険会社にとって都合のよい制度改正ではないかとも見えるのですが、この辺はどうしょうか。

答)

それは、見方として色々な見方があるのだろうと思いますけれども、基本的には、ある意味で顧客のニーズにどう応えているかということで、弊害防止措置の基本的な枠組みは堅持されながらも、基本的に貯蓄性の高い商品に関しては、ある意味で生保の募集に関わっている方々と比べたときに、それなりにデータとしてきちんとすみ分けができていることが最大の、この部分に関しては、規制の対象から除外して構わないのではないのかと納得させるものだったということを僕は感じます。

問)

それは、保険会社を納得させただけであって、実際の顧客の方に対しての説明と、ちょっとずれている気がするのですが。無理やり(保険商品を)押しつけられてしまうおそれがあるという意味であれば、貯蓄性(が高い)商品であろうが何であろうが、銀行に押しつけられる可能性はあるという中で、保険会社が納得できるものだけを開くというやり方は、本当によいのかという指摘なのですが。

事務方)

この融資先については、一定の商品をそもそも売ってはいけないという規制は、保険独自のものでございまして、銀行が優越的な地位に立ち得るという銀行の特殊性と保険商品の特殊性、両方を考慮した上で、こういう事前の規制が設けられている。保険の特殊性というのは、物によっては非常に保障性、掛捨て性が強いものから、非常に掛捨て性の小さいものまでございます。掛捨て性の低いもの、補償性の低いものというものは、仮に圧力等によってニーズに反するような商品を買ったとしても、それほど被害は大きくないといったことを考慮して、現在でも規制に差をつけているわけです。現在でも、非常に貯蓄性の高い年金商品については、融資先にも売れると。一方で、掛捨て性の非常に強い定期保険のようなたぐいのものは、今回においても引き続き、融資先には売れないことにしている。一時払い終身等の貯蓄性の高い商品で、年金に近い性質を持っているというので、一つは何かが起きた場合の弊害が、非常に小さいということと、それから副大臣がおっしゃったように、銀行窓販での一定のニーズがあるということで、顧客利便にも資するであろうということで、今回、対象から除外するということです。

(以上)

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