II 主要行等の検査・監督に係る事務処理上の留意点
II -1 検査・監督事務に係る基本的考え方
前述(Ⅰ-1(1))の金融検査・監督の目的を達成するためには、金融庁においても、銀行に対し、個々の銀行の規模や特性に応じた対応を継続的に行っていくことが必要である。
このため、銀行の検査・監督事務を行うに当たっては、まずは、各行がどの様にしてビジネスモデルの構築、金融仲介機能の発揮、財務の健全性の確保、コンプライアンス・リスク管理態勢の構築等の課題に取り組もうとしているかの方針を理解し、その上で、当該方針がどの様なガバナンス体制の下で実施され、如何なる潜在的なリスクや課題を内包し、各行がこれらのリスク等をどの様に認識し対応しようとしているか、的確に把握することが不可欠である。
経営全体を見据えた重要課題に対応し、国民経済の健全な発展につなげていくには、各行が、当局から指摘されることなく自らベストプラクティスに向けて改善するよう、銀行自身で経営体制を変革していく必要がある。金融庁としては、実態把握や対話等を通じた継続的なモニタリングの過程で、より良い実務を追求する各行の取組みを促していく。
その上で、上記の過程で、業務の健全性・適切性の観点から重大な問題が認められる場合や銀行の自主的な取組みでは業務改善が図られないことが認められる場合は、法第26条に基づく業務改善命令等の行政処分(II-5)の発動等を検討することとする。
さらに、銀行の検査・監督事務を行うに当たっては、以下の点にも十分に留意した上で実施することとする。
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(1)銀行との十分な意思疎通の確保
検査・監督に当たっては、銀行の経営に関する情報を的確に把握・分析し、適時適切に対応していくことが重要である。このため、金融庁においては、銀行からの報告に加え、銀行との健全かつ建設的な緊張関係の下で、日頃から十分な意思疎通を図り、積極的に情報収集する必要がある。具体的には、経営陣や社外取締役、内部監査の担当者を含む銀行の様々な役職員との定期・適時の面談や意見交換等を通じて、銀行との日常的なコミュニケーションを確保し、財務情報のみならず、経営に関する様々な情報についても把握するよう努める必要がある。
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(2)銀行の自主的な努力の尊重
金融庁は、私企業である銀行の自己責任原則に則った経営判断を、法令等に基づき検証し、問題の改善を促していく立場にある。検査・監督に当たっては、このような立場を十分に踏まえ、銀行の業務運営に関する自主的な努力を尊重するよう配慮しなければならない。
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(3)効率的・効果的な検査・監督事務の確保
金融庁及び銀行の限られた資源を有効に利用する観点から、検査・監督事務は、銀行の規模や特性を十分に踏まえ、効率的・効果的に行われる必要がある。したがって、銀行に報告や資料提出等を求める場合には、検査・監督事務上真に必要なものに限定するよう配意するとともに、現在行っている検査・監督事務の必要性、方法等については常に点検を行い、必要に応じて改善を図るなど、効率性・有効性の向上を図るよう努めなければならない。
既報告や資料提出等については、銀行の事務負担軽減等の観点を踏まえ、年1回定期的に点検を行う。その際は、銀行の意見を十分にヒアリングすることに留意する。
また、銀行の小規模な営業所等に関して、銀行に報告や資料提出等を求める場合には、取り扱うサービスや商品などに関する当該営業所等の特性を十分に踏まえ、業務の円滑な遂行に支障が生じないよう配意する。
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(4)複数の業態を含む金融グループのリスク管理
我が国では、平成5年の金融制度改革による業態別子会社での相互参入の解禁や、平成10年の金融持株会社の解禁、金融システム改革法による子会社規定の整備等を経て、複数の業態を含む金融グループが形成されている。
こうした複数の業態を含む金融グループの形成は、金融機関の経営体質の強化やサービスの向上に寄与する可能性がある一方で、組織の複雑化による経営の非効率化、利益相反行為の発生、抱き合せ販売行為や優越的地位を濫用した取引の働きかけの誘因の増大、グループ内のリスクの波及、グループにおけるリスクの集中等が生じるおそれがある。
かかる特性を踏まえれば、銀行グループにおいては、個別の銀行の健全性等を確保するのみならず、銀行グループ全体の経営管理態勢やグループとしての財務の健全性、業務の適切性について実態把握を行うことが重要であり、業務の適切性の確保の観点から、銀行グループの一体的な管理を促していく必要がある。
また、銀行が他の業態の金融機関や外国の金融グループ、事業会社の子会社等である場合においても、銀行主要株主への監督権限のほか、深度あるヒアリング等により、銀行に上記で挙げたリスクの波及やリスクの集中等が生じるおそれがないか検証することが重要である。
なお、金融グループの態様は様々であって、グループが抱えるリスクの特性やリスクの波及の過程も異なる結果、グループにおける経営管理態勢も自ずと異なるため、各々の金融グループの実態を踏まえ、その態勢を検証する必要がある点には留意する。また、業態や適用法令が異なる場合であっても、同様の趣旨に基づく規制に関しては、同様の目線や着眼点で検査・監督を行う必要がある。特に金融グループ内における異なる業態の金融機関が一体的に提供する金融サービスについては、関係部局が連携して検査・監督対応を行うことが効果的である。こうした観点から、証券監督担当部局等の他の監督部局や証券取引等監視委員会といった関係部局間での連携強化を図ることが重要となる。
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(5)国際的な監督水準の確保
監督当局は、本監督指針の対象となる主要行等の多くが国際的に活動する金融機関であることを踏まえ、検査・監督に当たっては、バーゼル銀行監督委員会等において決定される国際的な銀行監督に関する諸原則・指針(注)等を可能な限り反映するよう努めることとする。
また、主要行等の海外における活動に関し、当該主要行等が拠点を有する国(ホスト国)の金融監督当局と密接に連携する必要がある。
(注)別紙1の監督上の検証プロセスに関するガイダンスを参照のこと。
II -1-1 検査・監督事務の進め方
銀行の検査・監督事務の基本は、実態把握や対話等を通じたモニタリング、監督上の措置、フィードバック、情報発信といった各手法を、各行の状況や抱えている問題の性質・重大性等に応じ適切に組み合わせることを通じて、各行に必要な改善を促していくことにある。
これに加えて、日常的なモニタリングを通じて、我が国の金融システム全体の安定確保や金融仲介機能の発揮等の観点から銀行を巡るグローバルな経済・市場環境の変化を的確に把握するとともに、各行における個別的状況についても、モニタリング・データや随時のヒアリング等の結果を踏まえ、銀行との対話の中で、リスク管理等に関するベストプラクティスの追求や、変化に柔軟に対応できる経営・ガバナンス態勢の整備等の課題の解決に向けた取組みを促していくことが求められる。
II -1-2 検査・監督事務の具体的手法
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(1)オン・オフ一体の継続的かつ重点的なモニタリング
金融庁は、各行の特性・課題を把握した上で、課題の性質・優先度に応じて立入検査を含むモニタリング手法を機動的に使い分け、改善状況をフォローアップする継続的なモニタリングを実施する。
モニタリング手法の使い分けについては、各行の個別具体的状況に加え、各手法における実態把握に係る有効性や当局側・銀行側における負担の程度、問題の緊急性等の観点も十分に踏まえるものとする。基本的には、まず、経営・財務・リスク計数等に係る資料の分析や、行内外の関係者からのヒアリングといったモニタリングを実施し、足下の健全性・適切性等に係る課題が見られるかどうか等の分析結果を踏まえて、法第25条に基づく立入検査の要否について判断するものとする。
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(2)具体的手法
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実態把握及び対話の実施に当たっての前提行為
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イ.情報収集・プロファイリング(特性把握)
金融庁は、各行の特性や課題、改善に向けた自主的な取組み状況等その時々における個別具体的状況を把握することを目的としてモニタリングを実施する。この中には、銀行を巡る環境変化が及ぼす経営への影響やこれへの各行の対応状況について把握することも含まれる。
また、内外の経済や金融・資本市場の動向と個々の銀行の行動は相互に影響を及ぼし得るため、その相互作用についても分析・把握する必要がある。
こうした情報収集やプロファイリングは、日常的なモニタリングの成果の集積であり、特定の形式にとらわれるものではないが、例えば以下のような視点で取組みを行っていく。
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a.マクロの視点
経済、金融市場、政治、社会等内外の環境変化が各行や金融システムに与える影響について分析・把握する必要がある。そのため、例えば、庁内の関係部署や財務局、関係省庁等と連携し、一般事業会社を含む国内外の不祥事、国内外の法令・制度の改正や判例の動向、海外当局や国際機関における議論の動向、経済・社会環境の変化(SDGsへの注目の高まり等)等の内外の環境変化に関する情報を収集した上で、同業他社や他業界、類似業務・商品、法制度等に潜む共通の課題を分析・把握することが有用となる。
こうした情報収集・分析を通じた、問題事象の横展開・広がりの分析を通じ、金融セクター全体に内在する課題の把握・特定に努めていく。
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b.ミクロの視点
銀行との実効性のある対話等を実現するためには、各行固有の実情についての深い知見の蓄積が不可欠である。特に、その出発点として、銀行が、それぞれの経営環境(顧客特性、競争環境等)の中でどのような姿を目指し、そのために何をしたいのかといった経営理念を確認することが必要となる。そのために、例えば次のような、当該銀行やそのステークホルダー(従業員、顧客、地域社会、株主等)からの情報収集が有用となる。
- 財務データやリスク計数データ等の定型資料のみならず、経営の意思決定に係る会議体の資料や議事録等を分析すること(金融仲介の機能発揮に関する戦略及び状況についての情報を含む)
- 決算やリスク管理に係る定期的なヒアリングのみならず、各部門の責任者をはじめとする各階層の者からビジネス動向や金融仲介機能の発揮の状況等について随時ヒアリングを行うこと
- 銀行自身のリスク認識や業務のあり方を把握するため、内部監査部門、監査(等)委員・監査役、社外取締役等と意見交換を行うこと
- 銀行の顧客特性・産業特性についての理解を高めるため、事業者や地域の関係者等と意見交換を行うこと
- 金融サービス利用者相談室に対して寄せられた相談・苦情等の情報や、融資先企業ヒアリングの結果など、様々なチャネルを活用して収集した金融サービス利用者の声のほか、メディア報道や外部からの照会等を含めた外部情報を分析すること
上記のような情報収集・分析やこれまでのモニタリングを通じて、銀行のビジネスモデル・経営戦略、業務運営及び組織態勢を理解した上で、それぞれの課題や特性、銀行を巡る環境変化による影響について把握する。
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ロ.優先課題の洗い出し及びモニタリング方針・計画策定
上記情報収集・特性把握を通じて特定された各行の課題や業態等に共通する横断的な課題については、銀行の経営陣と経営上の実質的な重要事項を議論するため、また、限られた行政資源を最大限有効活用するため、社会的要請など時々の重要度・緊急度も十分に踏まえ、優先順位を付ける必要がある。こうして特定された横断的な優先度の高い課題については、事務年度当初に年度単位の方針等で設定・公表する。
次に、各行特有の経営状況等を踏まえ、モニタリング方針・計画を策定し、優先課題への具体的な対応方針・計画を定め、適正な人員配置等の体制を構築する必要がある。その際、銀行が実質的な重要事項の改善に経営資源を集中できるよう、重点的な課題の性質に応じて立入検査とそれ以外のモニタリング手法、各行のモニタリングと水平的なモニタリング等を使い分ける。
なお、立入検査については、従来のように一定期間ごとに実施するのではなく、一連のモニタリングプロセスにおける実態把握のための手法の一つと位置付けられる。但し、長期間立入検査が実施されていない場合には、当局の予見困難な問題事象が生じている可能性が相対的に高まっていることも考えられ、そのことがリスク要素の一つとも捉えられる。
また、期中に新たな課題が発生・発覚した場合にはモニタリング計画を柔軟に見直すなど、その時々に応じた適切なモニタリングを心掛ける。
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各行の詳細な実態把握
実態把握のため、課題の性質又は対応の進捗、各行の実態に応じ、各種ヒアリングや任意の資料提出依頼、アンケート、法令上の報告徴求、立入検査などの中から、最も効率的かつ効果的な手法を選択することとする。
また、当局において、過去に情報を把握していたり、別途把握を行っている場合には、その内容を事前に確認の上、それらを最大限活用するなど銀行の負担軽減に配慮する。
更に、一旦行った分析に基づきモニタリングを実施している場合においても、情報収集や実態把握、対話に基づき新たに課題が判明した場合には、新たな課題の性質に応じて、適切な対応を行っていく。
選択された各手法については、それぞれ例えば次の点に留意して実施する。なお、いずれの手法を実施するにしても、当局がどのような課題を認識した上で、どのような議論を志向しているのかを、銀行に対して丁寧に説明していく。
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イ.各種ヒアリング
優先課題について銀行との相互理解を深めるため、課題の性質に応じて経営トップ、各部門や各支店の責任者、実務者レベル等との間で重層的にヒアリングを行っていく。
なお、ベストプラクティスの追求に向けた取組みについては、銀行が自らの置かれた環境と特性に応じ創意工夫を行うものであることを踏まえ、当局が特定の答えを押し付けることのないよう留意する必要がある。
また、こうした各種ヒアリングの一環として、銀行の施設内において、特定のテーマに関して一定期間集中的にヒアリングや対話を行う場合がある。
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ロ.任意の資料提出依頼
銀行の負担に配慮し、また、依頼趣旨が明確かつ正確に伝わるよう、当該依頼がどのような課題認識に基づくものか、そのためにどういった内容の資料が必要なのかといった点を明らかにし、銀行に対して丁寧に説明し理解を得るよう努める。その際、実施時期の分散、二重の依頼の回避、余裕をもった提出期限の設定といった銀行に課せられる負担の軽減に努めることとする。特に、アンケート等、複数の銀行を対象とする場合は、各行の特性・置かれた環境にも十分留意する。
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ハ.法第24条に基づく報告徴求
必要が認められる場合には法第24条に基づき報告を求める。その際、当該報告徴求が当局のどのような課題認識に基づくものか、銀行に対して丁寧に説明する。
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二.法第25条に基づく立入検査
足下の健全性・適切性等について詳細な検証が必要と判断された場合等、必要が認められる場合には法第25条に基づく立入検査を行う。その際、経営上重要な問題は何で、その根本的な原因は何かを常に念頭に置き、洗い出した優先課題の正確性について、経営陣との議論の中で再確認し、仮説を構築する。更にその仮説の立証のために更なる事実・実態の収集・把握を行い、収集した事実・実態に基づき、経営陣と議論を行うことで、安易な結論ではなく銀行の経営や金融行政上重要な課題について根幹に根差した議論を行うよう心掛ける。
なお、立入検査に係る基本的な手続きは、別紙2「立入検査の基本的手続」を参照。また、検査結果通知書を交付した場合は、その交付日から原則として一週間以内に銀行に対し、指摘事項についての事実確認、発生原因分析、改善・対応策等について、法第24条に基づき、1か月以内に報告することを求める。報告を求める事項については、様式・参考資料編 様式 II-1-3-3(2)を基本様式として参照するが、指摘の内容に応じ、個々に適切かつ十分な報告事項を定めるよう、十分検討することとする。
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対話
対話は、財務の健全性やコンプライアンス等に係る重大な問題発生の有無や蓋然性、銀行の経営や金融仲介機能の発揮の状況の改善に向けた自主的な取組み状況等その時々における個別具体的状況や、問題の性質に応じて実施される。
対話を実施する際は、当局側の思い込み、仮説の押し付けを排し、可能な限り、銀行が安心して自らの立場の主張をできるよう努めつつ、まずは、銀行側の考え方や方針を十分に把握し、その上で事実の提示を伴いつつ行うことを徹底する。
更に、対話に当たっては、それまで、当局が各行と行ってきたやりとり等を十分に踏まえ、対話の継続性に配慮した運営に努める必要がある。
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イ.当局による実態把握において、財務の健全性やコンプライアンス等に係る重大な問題発生の蓋然性が高まったことが認められた場合においても、まずは、銀行自らが課題・根本原因・改善策の妥当性について検証を行った上で、当局と銀行との間で改善策の策定・実行について深度ある対話を行うこととする。但し、既に上記問題が発生している等高度の緊急性が認められる場合においては、当局が考える要改善事項の明確な指摘を行った上で各行の対応方針を確認する。
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ロ.上記問題が発生する蓋然性が認められない銀行については、自らの置かれた状況に応じ多様で主体的な創意工夫を発揮することで、ビジネスモデルやリスク管理の高度化への努力を続けることが重要である。そこで、当局としては、日頃のモニタリングを通じた特性把握を基に、各行の置かれた経営環境や経営課題あるいは、各行の戦略、方針について深い理解を持った上で、特定の答えを前提とすることなく、銀行自身に「気付き」を得てもらうことを目的に、銀行との間で、ビジネスモデルやリスク管理、人材育成等について深度ある対話を行っていく(この過程でベストプラクティス等の他の参考事例を必要に応じて共有する)。
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多様な手法の柔軟かつ適切な組合せ
上記のとおり、金融庁が銀行に対する行政対応として用いる手法は様々なものがあるが、有効性や当局側・銀行側における負担・費用等の観点から、それぞれメリット・デメリットがある。そこで、金融庁としては、各行における課題や財務の健全性・コンプライアンス等に係る重大な問題発生の有無等その時々における個別具体的状況に応じて、各手法のメリットを最大限生かす柔軟な組み合わせを実現することで、有効かつ効率的な検査・監督事務の実現を目指す。例えば、既に述べた手法以外にも以下の方法が考えられる。
- 業界共通の状況や課題、特定分野における事例等をフィードバックすることは、銀行自身による創意工夫の発揮に資するものである。特に、これらの取組みを各行の有する課題に即してフィードバックを行うことで、当局・銀行間における高度の共通価値を構築した上での深度ある対話が可能となる。その場合においても、各行の自主的な経営判断を尊重し、個別取引の判断に当局として不適切な介入を行うことのないように配慮する必要がある。
- 銀行が自主的に開示する経営方針やその改善に向けた取組み、金融仲介機能の発揮状況といった情報は、銀行と当局との間の対話のみならず、顧客等の関係者との対話を深め、銀行による経営改善に向けた取組みに資する可能性がある。
- 各行の課題が金融仲介や顧客利便といった分野である場合は、当局・銀行間でのやり取りに終始するのではなく、取引先や利用者といった第三者にアンケートやヒアリングを実施し、その結果を当局・銀行間の対話の際にフィードバックすることで、対話の効果を高めることが可能となる。
- 必要に応じ、金融庁が、銀行以外の関係者と共通価値や目標を共有したり、金融庁としての各種分析や金融行政のスタンスを情報発信していくことで、銀行の経営環境に関係するステークホルダー等に働きかけることが考えられる。
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モニタリング結果を踏まえた対応
上記の金融モニタリング結果の還元については、従来の「検査結果通知」の形式に捉われることなく、認識が一致しない点については相違点を確認の上、継続的に議論を続けるなど、優先課題についての重点的な議論に適した進め方を工夫する。
例えば、以下のような形で銀行に還元し、継続的な議論や必要に応じて改善対応を求めるなど、適切なフォローアップを行っていく。
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イ.通年で実施したオン・オフのモニタリングの成果は、必要に応じ年間を通じた「フィードバックレター」として文書で交付する。
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ロ.立入検査を実施した際には、原則として、その都度、結果の還元を行う。その方法は、把握した事象や立入検査の内容により様々であるが、例えば、軽微な事象や上記③ロのような対応を行う項目については「講評」や「当局所見」のような形で、あるいは、重大な事象については「検査結果通知」のような形で行う。
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ハ.業界共通の課題については、上記「イ」又は「ロ」のほか、随時情報発信する。
モニタリングによって認められた問題点・収集した情報を
個別銀行限りのもの、
当該業態共通のもの、
他業態にも共通のもの、
当局の他の所掌業務や関係省庁その他業界団体等に影響するものに分類し、上記II-1-2(2)
イのプロセス等を通じて、次期の年度単位の方針やモニタリング計画に反映するほか、業態横断的な水平的モニタリングの検討、また、モニタリングのみに留まらない問題の広がりを踏まえ、当局の他の所掌業務や関係省庁その他業界団体等への働きかけを行っていく。
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II -1-3 品質管理
検査・監督事務の全過程において、実態把握及び対話を通じたモニタリングの質や深度について適切な判断が確保されるよう、組織として品質管理を行う。各行の経営環境や経営理念等各々の固有の実情を踏まえ、各行の創意工夫を尊重しているか、各行に対して不適切な負担を強いていないか等について、国民全体の厚生の最大化という幅広い視点に立ちつつ、金融機能が最大限発揮されるよう、検査・監督事務の品質の確保に努める。
そのため、総合政策局・監督局関係幹部において、例えば次の点について、銀行から寄せられた意見も踏まえ、多角的・重層的な検証を行い、継続的に必要な改善を図る。
- 情報収集やヒアリング、対話にあたり、銀行に重複徴求等の過大な負担をかけないよう、業態別・分野別モニタリングチームの間で実効的な連携・情報共有を行っているか。また、資料提出依頼にあたり、依頼内容が明確か、各行の違い・特性に留意しているか、余裕をもった期限が設定されているか。
- 特性把握にあたり、各行の経営環境や経営理念等各々の固有の実情を十分踏まえているか。また、当局担当者が思い込みに陥らないよう、客観的な資料・事実を踏まえているか。
- 優先課題の洗い出しにあたり、各行固有の実情に応じた経営上の実質的な重要課題に着目できているか。また、他の銀行や業態に広がりを持つ共通的な課題を見落としていないか。
- モニタリング方針・計画の策定にあたり、適切なモニタリングの対象や手法が選択されモニタリングの実施を行う体制が整備されているか。
- 報告徴求にあたり、当局の課題認識を銀行に丁寧に説明しているか。
- 上記II-1-2(2)
を踏まえ、適切な対話になっているか。また、対話が一方的な指導となっていないか。
- モニタリングの結果認められた課題や問題点について、根本原因分析が行われているか。
- モニタリング結果の還元にあたり、優先課題を重点的に議論するために最も適した方法が選択されているか。また、還元する内容について、問題の重要性に応じた的確な議論や改善の要請等ができているか、些末な問題を指摘していないか、不適切な経営介入を行う結果となっていないか。
その際、モニタリング全般に関する意見申出制度に加え、幹部が銀行を訪問し、銀行から直接モニタリングについての意見を聞くなど、銀行からの率直な意見や批判を受ける機会を充実させるよう努める。
また、銀行及び金融庁職員等へのヒアリング等を通じた金融行政に対する外部評価や有識者会議等を通じた外部有識者からの意見聴取を実施する。
II -1-4 財務局との連携
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(1)金融庁は、主要行等の営業地域を管轄する財務局に対し、当該地域経済・社会に大きな影響を及ぼす可能性のある経営戦略を主要行等が選択する場合には、それらに関して参考となる情報を提供するなど、密接な連携に努めるものとする。また、金融庁は、財務局の有する主要行等に関する情報や主要行等の監督事務に対する財務局の意見などについて、積極的な収集に努めるものとする。
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(2)銀行持株会社の子銀行に対する監督権限が財務局長に委任されている場合には、当該子銀行の適切な業務運営を確保するために財務局と密接な連携に努めるものとする。
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(3)上記に加え、モニタリングの実効性の強化を図る観点から、金融庁と財務局は、事例の集積を通じて得られたノウハウその他の参考となるべき情報があれば、適宜、互いに情報共有するなど、密接な連携に努めるものとする。
II -1-5 預金保険機構が行う検査との連携
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(1)預金保険機構(以下「機構」という。)が預金保険法に基づき実施した検査の検査結果通知事項に対する改善状況等の報告について以下のとおり行うものとする。
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機構が 被検査銀行に対し付保預金の円滑な払戻しのための整備状況等の検査又は保険料検査の検査結果を通知した旨の通知を機構から受理後速やかに、対象銀行に対し、当該通知書において指摘された事項(保険料検査においては、単純な計算ミスを除く。)についての事実確認、発生原因分析、改善・対応策、その他を取りまとめた報告書を1か月以内(法令違反の状態が継続しているとの指摘を受けた場合には2週間以内)に提出することを、必要に応じ、法第24条及び預金保険法第136 条に基づき求めるものとする(様式・参考資料編 様式 II -1-3-4(1)参照)。
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上記
の 報告書が提出された段階で、銀行から十分なヒアリングを行うものとする。ヒアリングに当たっては、機構とも緊密な連携を図るものとし、預金保険法第137 条に基づく立入検査チェック項目(「預金保険法第50条第1項関連チェック項目」、「預金保険法第55条の2第5項及び第58条の3第1項関連チェック項目」)を参考にするとともに、機構の出席を原則として確保するものとする(様式・参考資料編 資料1参照)。
(注)機構が報告書を共有しヒアリングに同席することについて、あらかじめ銀行に同意を得るものとする。
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機構から、保険料検査において法令違反の状態が継続しているという指摘を受け、機構の検査結果並びに法第24条及び預金保険法第136条に基づく報告書の内容等により、監督当局において問題ありと判断した場合には、法第26条に基づき業務改善命令を発出するものとする。
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機構から、 保険料検査において銀行の法令等遵守態勢に関する指摘を受け、又は付保預金の円滑な払戻しのための整備状況等の検査においてシステム開発の進捗状況、データ整備の進捗状況及び手順書・マニュアル整備の進捗状況(以下「各種進捗状況等」という。)に問題があるとの指摘を受け、機構の検査結果並びに法第24条及び預金保険法第136条に基づく報告書の内容等により、当該法令等遵守態勢又は各種進捗状況等の改善に一定の期間を要すると認められる場合には、法第24条及び預金保険法第136条に基づき期限を定めて報告を求めるものとする。その結果、自主的な改善努力に委ねたのでは当該銀行の各種進捗状況等の整備に支障を来すと認められる場合には、法第26条に基づく業務改善命令(付保預金の円滑な払戻しのための整備状況等については、法第26条に基づく業務改善命令及び預金保険法第58条の3第3項に基づく是正命令)を発出するものとする。
(注) 監督部局は、上記のほか、金融機関にかかる情報のうち、付保預金の円滑な払戻しのための整備状況等について、必要と考える場合は、随時、機構に対し、情報を提供するなど、適切な連携を行うものとする。
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(2)機構が犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(以下「振り込め詐欺救済法」という。)に基づき実施した検査の検査結果通知事項に対する改善状況等の報告について以下のとおり行うものとする。
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機構が被検査銀行に対し、犯罪利用預金口座等に係る預金等債権の消滅手続や、被害回復分配金の支払い手続等の検査結果を通知した旨の通知を機構から受理後速やかに、対象銀行に対し、当該通知書において指摘された事項についての事実確認、発生原因分析、改善・対応策、その他を取りまとめた報告書を1か月以内(法令違反の状態が継続しているとの指摘を受けた場合には2週間以内)に提出することを、必要に応じ、法第24条及び振り込め詐欺救済法第35条に基づき求めるものとする(様式・参考資料編 様式 II -1-3-4(1)参照)。
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上記
の報告書が提出された段階で、銀行から十分なヒアリングを行うものとする。ヒアリングに当たっては、機構とも緊密な連携を図るものとし、機構の出席を原則として確保するものとする。
(注)機構が報告書を共有しヒアリングに同席することについて、あらかじめ銀行に同意を得るものとする。また、監督部局は、上記のほか、銀行にかかる情報のうち、被害回復分配金の支払のための整備状況等について、必要と考える場合は、随時、機構に対し、情報を提供するなど、適切な連携を行うものとする。
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-
(3)機構が民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(以下「休眠預金等活用法」という。)に基づき実施した検査の検査結果通知事項に対する改善状況等の報告について以下のとおり行うものとする。
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機構が被検査銀行に対し、休眠預金等に係る資金の移管及び管理の手続や、支払等業務の委託又は再委託の状況の検査結果を通知した旨の通知を機構から受理後速やかに、対象銀行に対し、当該通知書において指摘された事項についての事実確認、発生原因分析、改善・対応策、その他を取りまとめた報告書を1か月以内(法令違反の状態が継続しているとの指摘を受けた場合には2週間以内)に提出することを、必要に応じ、法第24条及び休眠預金等活用法第43条に基づき求めるものとする(様式・参考資料編 様式 II -1-3-4(1)参照)。
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上記
の報告書が提出された段階で、銀行から十分なヒアリングを行うものとする。ヒアリングに当たっては、機構とも緊密な連携を図るものとし、機構の出席を原則として確保するものとする。
(注)機構が報告書を共有しヒアリングに同席することについて、あらかじめ銀行に同意を得るものとする。また、監督部局は、上記のほか、銀行にかかる情報のうち、休眠預金等に係る資金の移管及び管理、支払等業務の委託又は再委託のための整備状況等について、必要と考える場合は、随時、機構に対し、情報を提供するなど、適切な連携を行うものとする。
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II -1-6 個別銀行に関する行政報告等
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(1)決算等に関する提出資料
決算状況表及び日計表等については、銀行に対して提出を求めているが、提出期限等は別紙3のとおりとすることに留意する。
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(2)行政報告
財務局長が次の事項につき行政処理を行ったときは、その結果を遅滞なく監督局長に報告するものとする。
なお、銀行の本店所在地を管轄する財務局が行政処理を行った財務局とは別にある場合、銀行議決権大量保有者等に係る銀行の本店所在地を管轄する財務局が行政処理を行った財務局とは別にある場合、及び銀行を子会社とする持株会社の子銀行の本店所在地を管轄する財務局が行政処理を行った財務局とは別にある場合には、当該管轄する財務局にも報告するものとする。
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法第24条第1項及び第2項並びに第48条の規定による報告及び資料の提出の命令
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法第26条第1項、第52条の14第2項及び第52条の33第3項の規定による命令(業務の全部又は一部の停止の命令を除くものとし、改善計画の提出を求めることを含む。)
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法第52条の7の規定による報告及び資料の提出の命令
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法第52条の11の規定による報告及び資料の提出の命令
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法第52条の31の規定による報告及び資料の提出の命令
-
II -1-7 銀行等が提出する申請書等における記載上の留意点
本監督指針の対象となる銀行等が提出する申請書等において、役員等の氏名を記載する際には、氏を改めた者においては、旧氏(住民基本台帳法施行令第30条の13に規定する旧氏をいう。以下同じ。)及び名を括弧書で併せて記載することができることに留意する。
なお、様式・参考資料編各様式における役員等の氏名の記載欄について、既に旧氏及び名を併記した別の書類を提出している場合には、当該書類以外の様式を含め、旧氏及び名のみを記載することができることに留意する。
II -1-8 書面・対面による手続きについての留意点
銀行等による当局への申請・届出等及び当局から銀行等に対し発出する処分通知等については、それぞれ情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(以下「デジタル手続法」という。)第6条第1項及び第7条第1項の規定により、法令の規定において書面等により行うことその他のその方法が規定されている場合においても、当該法令の規定にかかわらず、電子情報処理組織を使用する方法により行うことができることとされている。
こうしたデジタル手続法の趣旨を踏まえ、同法の適用対象となる手続きに係る本監督指針の規定についても、当該規定の書面・対面に係る記載にかかわらず、電子情報処理組織を使用する方法により行うことができるものとする。
また、経済社会活動全般において、デジタライゼーションが飛躍的に進展している中、政府全体として、書面・押印・対面手続きを前提とした我が国の制度・慣行を見直し、実際に足を運ばなくても手続きができるリモート社会の実現に向けた取組みを進めている。
金融庁としても、こうした取組みを着実に進めるため、銀行等から受け付ける申請・届出等について、全ての手続きについてオンラインでの提出を可能とするための金融庁電子申請・届出システムを更改したほか、押印を廃止するための内閣府令及び監督指針等の改正を行うこと等により、行政手続きの電子化を推進してきた。
更に、民間事業者間における手続についても、「金融業界における書面・押印・対面手続の見直しに向けた検討会」を開催し、業界全体での慣行見直しを促すことにより、書面の電子化や押印の不要化、対面規制の見直しに取り組んできた。
このような官民における取組みも踏まえ、本監督指針の書面・対面に係る記載のうち、デジタル手続法の適用対象となる手続きに係るもの以外についても、顧客保護の観点から書面・対面が望ましい場合等として以下の(注)に掲げる場合を除き、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行うことができるものとする。
以上のような取扱いとする趣旨に鑑み、本監督指針の規定に基づく手続きについては、手続きの相手方の意向を考慮した上で、可能な限り、書面・対面によらない方法により行うことを慫慂するものとする。
(注)III-6-4に記載する自筆困難者等への対応を行う場合は、上記取扱いの対象外となることに留意する。
II -1-9 申請書等を提出するに当たっての留意点
-
(1)金融庁電子申請・届出システム
銀行等による当局への申請・届出等のうち、(2)に掲げる金融庁業務支援統合システム(以下「統合システム」という。)を利用して提出を求める手続を除いては、原則として、金融庁電子申請・届出システムを利用して法令に定める提出期限までに提出を求めることとする。
-
(2)金融庁業務支援統合システム
業務報告書(中間期にあっては中間業務報告書)については、原則として、統合システムを利用して提出を求めることとする。
(別紙2)「立入検査の基本的手続」
(別紙2-2)「重要事項一覧」
II -2 銀行に関する苦情・情報提供等
II -2-1 相談・苦情等を受けた場合の対応
銀行に関する相談・苦情等を受けた場合には、申出人に対し、当局は個別取引に関してあっせん等を行う立場にないことを説明する。
その上で、必要に応じ、銀行及び金融関係団体の相談窓口並びに指定ADR機関(法第2条第24項に規定する指定紛争解決機関をいう。以下同じ)を紹介するものとする。また、寄せられた相談・苦情等のうち、申出人が銀行側への情報提供について承諾している場合には、原則として、当該銀行への情報提供を行うこととする。
II -2-2 金融サービス利用者相談室との連携
-
(1)監督部局においては、金融サービス利用者相談室に寄せられた相談・苦情等の監督事務への適切な反映を図るため、以下の対応をとるものとする。
-
相談室から回付される相談・苦情等の分析
-
相談室との情報交換
-
-
(2)また、寄せられた相談・苦情等のうち、申出人が銀行側への情報提供について承諾している場合には、原則として、当該銀行への情報提供を行うこととする。
II -2-3 金融サービス利用者相談室で受け付けた情報のうち、いわゆる貸し渋り・貸し剥がしとして提供された情報に係る監督上の対応
-
(1)ヒアリング
金融サービス利用者相談室で受け付けた情報のうち、情報提供者からいわゆる貸し渋り・貸し剥がしとして提供された情報については、四半期毎に取りまとめ、銀行の対応方針、態勢面等のヒアリングを行うこととする。また、これらの情報のうち、情報提供者等が銀行側への企業名等の提示に同意している場合には、臨機に、事実確認等のヒアリングを行うこととする。
-
(2)報告徴求
-
上記(1)のヒアリングを行った結果、内部管理態勢の実効性等について確認する必要がある場合は、現状認識や今後の内部管理態勢の改善方針等を取りまとめた報告書を法第24条に基づき求めることとする。
-
金融サービス利用者相談室で受け付けた情報のうち、情報提供者からいわゆる貸し渋り・貸し剥がしとして提供された情報を参考とした検査の結果、問題のあった銀行に対しては、改善措置に関する報告書を法第24条に基づき求めることとする。
-
-
(3)業務改善命令
-
法第24条に基づく報告書の内容等により、更なる実態把握が必要な場合には検査において確認することとする。その結果、重大な問題が把握された場合には、必要に応じて法第26条に基づき業務改善命令を発出するものとする。
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法第24条に基づく報告書の内容等により、自主的な改善努力に委ねたのでは当該銀行の法令等遵守態勢の整備に支障を来すと認められる場合には法第26条に基づき業務改善命令を発出するものとする。
-
II -2-4 預金口座を利用した架空請求等預金口座の不正利用に関する情報を受けた場合の対応
預金口座の不正利用に関する情報(具体的には、当該口座に振込みを行うよう、架空請求がなされたとの情報等)について、情報入手先からの同意を得ている場合には、明らかに信憑性を欠くと認められる場合を除き、当該口座が開設されている銀行及び警察当局への情報提供を速やかに実施することとする。
なお、当該情報に関しては、原則として、顕名情報とし、根拠となる請求書等とともに、文書、ファックス又は電子メールにて受け付けるものとする。
II -3 法令解釈等の照会を受けた場合の対応
II -3-1 照会を受ける内容の範囲
銀行法等金融庁が所管する法令に関するものとする。なお、照会が権限外の法令等に係るものであった場合には、コメント等は厳に慎むものとする。
II -3-2 照会に対する回答方法
-
(1)本監督指針、審議会等の答申・報告等の既存資料により回答可能なものについては、適宜回答する。
-
(2)金融庁担当課室長は、当庁が所管する法令に関し、当庁所管法令の直接の適用を受ける事業者又はこれらの事業者により構成される事業者団体(注)から受けた、次の
及び
の項目で定める要件を満たす一般的な照会であって、書面による回答及び公表を行うことが法令適用の予測可能性向上等の観点から適切と認められるものについては、これに対する回答を書面により行い、その内容を公表することとする。
(注)事業者団体とは、当庁所管法令の直接の適用を受ける、業種等を同じくする事業者が、共通の利益を増進することを主たる目的として、相当数結合した団体又はその連合体(当該団体に連合会、中央会等の上部団体がある場合には、原則として、最も上部の団体に限る。)
-
本手続きの対象となる照会の範囲
本手続きの対象となる照会は、以下の要件の全てを満たすものとする。
-
イ.特定の事業者の個別の取引等に対する法令適用の有無を照会するものではない、一般的な法令解釈に係るものであること(ノーアクションレター制度の利用が可能でないこと。)。
-
ロ.事実関係の認定を伴う照会でないこと。
-
ハ.照会内容が、金融庁所管法令の直接の適用を受ける事業者(照会者が団体である場合はその団体の構成事業者)に共通する取引等に係る照会であって、多くの事業者からの照会が予想される事項であること。
-
二.過去に公表された事務ガイドライン等を踏まえれば明らかになっているものでないこと。
-
-
照会書面(電子的方法を含む。)
本手続きの利用を希望する照会者からは、以下の内容が記載された照会書面の提出を受けるものとする。また、照会書面のほかに、照会内容及び上記
に記載した事項を判断するために、記載事項や資料の追加を要する場合には、照会者に対して照会書面の補正及び追加資料の提出を求めることとする。
-
イ.照会の対象となる法令の条項及び具体的な論点
-
ロ.照会に関する照会者の見解及び根拠
-
ハ.照会及び回答内容が公表されることに関する同意
-
-
照会窓口
照会書面の受付窓口は、照会内容に係る法令を所管する金融庁担当課室とする。
-
回答
-
イ.金融庁担当課室長は、照会者からの照会書面が照会窓口に到達してから原則として2か月以内に、照会者に対して回答を行うよう努めることとし、2か月以内に回答できない場合には、照会者に対してその理由を説明するとともに、回答時期の目途を伝えることとする。
-
ロ.回答書面には、以下の内容を付記することとする。
「本回答は、照会対象法令を所管する立場から、照会書面に記載された情報のみを前提に、照会対象法令に関し、現時点における一般的な見解を示すものであり、個別具体的な事例への適用を判断するものではなく、また、もとより捜査機関の判断や司法判断を拘束しうるものではない。」
-
ハ.本手続きによる回答を行わない場合には、金融庁担当課室長は、照会者に対し、その旨及び理由を説明することとする。
-
-
公表
上記
の回答を行った場合には、金融庁は、速やかに照会及び回答内容を金融庁ホームページ上に掲載して、公表することとする。
-
-
(3)(2)に該当するもの以外のもので照会頻度が高いものなどについては、必要に応じ「応接箋」(様式・参考資料編 様式 II -3-2(3))を作成した上で、関係部局に回覧し、金融庁担当課室の法務担当係に保存するものとする。
-
(4)照会者が照会事項に関し、金融庁からの書面による回答を希望する場合であって、 II -3-3(2)に照らしノーアクションレター制度の利用が可能な場合には、照会者に対し、ノーアクションレター制度を利用するよう伝えることとする。
II -3-3 法令適用事前確認手続(ノーアクションレター制度)
法令適用事前確認手続(以下「ノーアクションレター制度」という。)とは、民間企業等が実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して、当該行為が特定の法令の規定の適用対象となるかどうかを、あらかじめ当該規定を所管する行政機関に確認し、その機関が回答を行うとともに、当該回答を公表する制度であり、金融庁では、法令適用事前確認手続きに関する細則を定めている。本項は、ノーアクションレター制度における事務手続きを規定するものであり、制度の利用に当たっては必ず様式・参考資料編 資料2「金融庁における法令適用事前確認手続に関する細則」を参照するものとする。
-
(1)照会窓口
照会窓口は、金融庁監督局総務課とする。
なお、照会窓口たる金融庁監督局総務課は、下記(2)
の記載要領に示す要件を満たした照会書面が到達した場合は速やかに受け付け、照会事案に係る法令を所管する担当課室に回付する。
-
(2)照会書面受領後の流れ
照会書面を回付された後は、担当課室において、回答を行う事案か否か、特に、以下の
ないし
について確認し、本制度の利用ができない照会の場合には、照会者に対しその旨を連絡する。また、照会書面の補正及び追加書面の提出等が必要な場合には、照会者に対し所要の対応を求めることができる。ただし、追加書面は必要最小限とし、照会者の過度な負担とならないよう努めることとする。
-
照会の対象
民間企業等が、新規の事業や取引を具体的に計画している場合において、当庁が本手続きの対象としてホームページに掲げた所管の法律及びこれに基づく政府令(以下「対象法令(条項)」という。)に関し、以下のような照会を行うものか。
-
イ.その事業や取引を行うことが、無許可事業等にならないか。
-
ロ.その事業や取引を行うことが、無届け事業等にならないか。
-
ハ.その事業や取引を行うことによって、業務停止や免許取消等(不利益処分)を受けることがないか。
-
二.その事業や取引を行うことに関し、直接に義務を課され又は権利を制限されることがないかどうか。
-
-
照会者の範囲
照会者は、実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して、対象法令(条項)の適用に係る照会を行う者及び当該者から依頼を受けた弁護士等であって、下記
の記載要領を満たした照会書面を提出し、かつ、照会内容及び回答内容が公表されることに同意しているか。
-
照会書面の記載要領
照会書面(電子的方法を含む。)は、以下の要件を満たしているものか。
-
イ.将来自らが行おうとする行為に係る個別具体的な事実が記載されていること。
-
ロ.対象法令(条項)のうち、適用対象となるかどうかを確認したい法令の条項が特定されていること。
-
ハ.照会及び回答内容が公表されることに同意していることが記載されていること。
-
ニ.上記ロ.において特定した法令の条項の適用に関する照会者の見解及びその根拠が明確に記述されていること。
-
-
回答
照会書面を回付された課室の長は、照会者からの照会書面が照会窓口に到達してから原則として30日以内に照会者に対する回答を行うものとする。ただし、次に掲げる場合には、各々の定める期間を回答期間とする。なお、いずれの場合においても、補正期間を含め、できるだけ早く回答することに努めることとする。
-
イ.高度な金融技術等に係る照会で慎重な判断を要する場合:原則60日以内
-
ロ.担当部局の事務処理能力を超える多数の照会により業務に著しい支障が生じるおそれがある場合:30日を超える合理的な期間内
-
ハ.他府省との共管法令に係る照会の場合:原則60日以内
照会書面の記載について補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、回答期間に算入しないものとする。また、30日以内に回答を行わない場合には、照会者に対して、その理由及び回答時期の見通しを通知することとする。
-
-
照会及び回答についての公開
金融庁は、照会及び回答の内容を、原則として回答を行ってから30日以内に全て金融庁ホームページに掲載して公開する。
ただし、照会者が、照会書に、回答から一定期間を超えた時期での公開を希望する理由及び公開可能とする時期を付記している場合であって、その理由が合理的であると認められるときは、回答から一定期間を超えた時期に公開することができる。この場合においては、必ずしも照会者の希望する時期まで公開を延期するものではなく、公開を延期する理由が消滅した場合には、公開する旨を照会者に通知した上で、公開することができる。また、照会及び回答内容のうち、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に定める不開示事由に該当しうる情報が含まれている場合、必要に応じ、これを除いて公表することができる。
-
II -3-4 グレーゾーン解消制度
産業競争力強化法(以下、「強化法」という。)第7条第1項は、新事業活動を実施しようとする者は、その実施しようとする新事業活動及びこれに関連する事業活動に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令(告示を含む。以下、この項において「法令」という。)の規定の解釈並びに当該新事業活動及びこれに関連する事業活動に対する当該規定の適用の有無について、その確認を求めることができる制度(以下、「グレーゾーン解消制度」という。)を規定している。本項は、グレーゾーン解消制度における事務手続きを規定するものであり、制度の利用に当たっては、「「グレーゾーン解消制度」、「規制のサンドボックス制度」及び「新事業特例制度」の利用の手引き」(令和4年7月15日経済産業省)(以下、同省による改正後のものを含め、この項において「利用の手引き」という。)を参照するものとする。
-
(1)照会窓口
照会窓口は、金融庁総合政策局総合政策課とする。
なお、照会窓口たる金融庁総合政策局総合政策課は、下記(2)
の記載要領に示す要件を満たした照会書が到達した場合は速やかに受け付け、当該照会書の提出先が二以上の主務大臣であるときは、他の主務大臣に対し、その確認を求めるものとする。
財務局所管の銀行は、財務局に照会する。財務局が照会を受けた場合には、金融庁総合政策局総合政策課に対し、照会書を速やかに送付する。
(注)財務局においては、照会書を金融庁総合政策局総合政策課に送付する際、当該照会書に記載された確認の求めのうち当庁が所管する法令に関するものに限り、原則として審査意見を付するものとする。
-
(2)照会書受領後の流れ
照会書を受け付けた後は、総合政策局総合政策課において、当該照会書を当該照会書に記載された確認の求めに係る法令を所管する担当課室に速やかに回付するとともに、当該担当課室と協議しつつ、回答を行う事案か否か、特に、以下の
から
について確認し、当制度の利用ができない確認の求めの場合には、当該照会書を提出した者(以下、この項において「提出者」という。)に対しその旨を連絡する。また、照会書の補正、追加書類の提出等が必要な場合には、提出者に対し所要の対応を求めることができる。ただし、追加書類は必要最小限とし、提出者の過度な負担とならないよう努めるものとする。
-
確認の求めの主体
以下のイ.及びロ.を満たすか。
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イ.提出者は、新事業活動を実施しようとする者であること。
(注)「新事業活動」とは、新商品の開発又は生産、新たな役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動のうち、当該新たな事業活動を通じて、生産性(資源生産性(エネルギーの使用又は鉱物資源の使用(エネルギーとしての使用を除く。)が新たな事業活動を実施しようとする者の経済活動に貢献する程度をいう。)を含む。)の向上又は新たな需要の開拓が見込まれるものであって、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがないものをいう(強化法第2条第4項、産業競争力強化法に基づく新技術等実証及び新事業活動に関する規制の特例措置の整備等及び規制改革の推進に関する命令(以下、「強化法命令」という。)第2条)。
-
ロ.提出者が、当庁所管の事業に係る新事業活動を実施しようとしている者であること。または、提出者が、その新事業活動及びこれに関連する事業活動に関する規制について規定する当庁が所管する法令の規定の解釈及び当該規定の適用の有無について、その確認を求めようとしている者であること。
-
-
照会の対象
提出者が、その実施しようとする新事業活動及びこれに関連する事業活動に関する規制について規定する当庁が所管する法令の規定の解釈及び当該規定の適用の有無について、その確認を求めるものであって、以下のような照会を行うものか。
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イ.その事業や取引を行うことが、無許可営業等にならないか。
-
ロ.その事業や取引を行うことが、無届け営業等にならないか。
-
ハ.その事業や取引を行うことによって、業務停止や免許取消等(不利益処分)を受けることがないか。
-
二.その事業や取引を行うことに関し、直接に義務を課され又は権利を制限されることがないかどうか。
-
-
照会書の記載要領
強化法命令様式第九に従い、また利用の手引きを踏まえ、以下の事項が記載されているか。
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イ.新事業活動及びこれに関連する事業活動の目標
-
ロ.新事業活動及びこれに関連する事業活動の内容
-
ハ.新事業活動及びこれに関連する事業活動の実施時期
-
二.解釈及び適用の有無の確認を求める法令の条項等
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ホ.具体的な確認事項
-
-
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(3)回答
照会書を回付された課室は、総合政策局総合政策課において回答を行う事案と判断した場合においては、提出者からの照会書が照会窓口に到達してから原則として1か月以内に提出者に対し強化法命令様式第十一による回答書を交付するものとする。
また、照会書を回付された課室は、当該照会書に記載された確認の求めに係る法令の規定の解釈及び適用の有無についての検討の状況に照らし、上記期間内に回答書を交付することができないことについてやむを得ない理由がある場合には、当該回答書を交付するまでの間1か月を超えない期間ごとに、その旨及びその理由を提出者に通知するものとする。
II -3-5 預金等に対する当局への照会等への対応
-
(1)預金等の取扱い
当局に対し、次の預金及び定期積金(法第13条の4に規定する特定預金等を除く。 II -3-5において「預金等」という。)について、その商品の定義等に係る照会があった場合には、一般法令や他商品の取扱いを定めた法令等での取扱いを勘案し、以下の点に留意のうえ対応するものとする。
なお、当局が上記の照会等に対応するに際しては、銀行における預金等の商品設計については、元本保証を前提に、原則として自由であり各行の経営判断によりこれを行うことができる点に留意するものとする。
-
譲渡性預金(外国で発行されるものを除く。)
譲渡性預金とは、「払戻しについて期限の定めがある預金で、譲渡禁止特約のないもの」をいう。なお、こうした商品性にかんがみ、以下のような取扱いについて留意する必要がある。
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イ.期限前解約及び買取償却
預入日に指定された満期日前の解約及び発行金融機関による買取償却は行われていないか。
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ロ.流通取扱
金融機関は、自己の発行した譲渡性預金の売買を行っていないか。また、金融機関は、譲渡性預金発行の媒介等を行っていないか。
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ハ.個別の相対発行ではなく、均一の条件で不特定多数の者に対して、公募といった形で大量に発行されていないか。
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-
期間の定めのある預金
以下の点に留意した取扱いとなっているか。
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イ.定期預金の預入期間については、「準備預金制度に関する法律(昭和32年法律第135号)」に定める区分(払出しについて期限の定めのある預金で、その払戻期限が当該預金を締結した日から起算して1か月を経過した日以後に到来するもの)との整合性が保たれているか。
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ロ.変動金利定期預金(預入時に満期日までの利率が確定しない定期預金)の利率は、基準となる指標及び一定の利率設定方法により設定し、この指標及び利率設定方法を満期日まで継続しているか。
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期間の定めのない預金
以下の点に留意した取扱いとなっているか。
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イ.据置期間のある預金
据置期間が1か月以上の場合又は据置期間内と据置期間後とで利率設定があらかじめ異なる場合には、据置期間内の取扱いについて、上記 II -3-5(1)
ロ.と同様の取扱いがなされているか。
-
ロ.貯蓄預金
貯蓄預金とは「受入対象を個人のみとする預金で、預入・払出について、給与、公的及び私的年金(財形年金を含む。)、株式・信託の配当金及び投資信託の分配金等並びに保護預りの国債及び社債等の元利金に係る自動振込入金、同時に百件以上の取扱いを行う総合振込入金、公共料金の払込み等契約に基づく継続的な自動振替及び振込出金、総合口座の取扱いが行われていないもの」をいい、当局は、本預金を官民トータルバランスの確保の際の基準となるべきベンチマークとするものとする。
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-
-
(2)長期信用銀行法に規定する預金受入先の範囲等について
長期信用銀行法に規定する預金受入先、預金に準ずるもの及び準備金の範囲について照会があった場合には、以下を参考に判断するものとする。
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長期信用銀行法第6条第1項第3号に規定する預金受入先
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イ.「国若しくは地方公共団体」には国家行政組織法第3条に規定する行政機関、地方自治法第1条の3に規定する各種地方公共団体(都道府県、市町村、特別市、特別区、地方公共団体の組合、財産区及び地方開発事業団)が含まれる。
-
ロ.「貸付先」及びこれに準ずる「取引先」には「貸付先」のほか次のものが含まれる。
-
a.貸付有価証券の貸付先、当座貸越の契約先及び日本政策投資銀行その他の代理人として行う貸付に係る貸付先
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b.融資確約書の発行先等貸付の予約先
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c.手形の割引先、引受先(輸出手形の買取先及び外貨手形等の買取先を含む。)及びその他手形の関係人
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d.保証先
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e.連帯債務者、保証人及び担保提供者
-
-
ハ.「社債の管理の委託会社」及びこれに準ずる取引先には社債(その他の債権を含む。以下同じ。)の募集又は管理の委託者の外、次のものが含まれる。
-
a.社債総額引受の委託会社
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b.社債担保の委託会社
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c.社債の担保提供者又は保証会社
-
d.受託の場合の引受金融商品取引業者
-
e.総額引受したものを売り出す場合の金融商品取引業者
-
f.その他委託の予約先
-
-
ニ.その他の「取引先」には次のものが含まれる。
-
a.債券応募者(債券募集の際における申込者をいう。)なお長期信用銀行の発行する金融債支払のためにのみ引き出される預金(いわゆる債券募集特約預金などの名称を以て呼ばれるもの。)は、債券応募者からの預金に含まれる。
-
b.金融機関であって長期信用銀行の発行する金融債に反復継続的に応募するもの。為替コルレス先、保護函貸付先及び保護預り先
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c.株式(出資証券を含む。以下同じ。)払込金受入事務取扱の委託先、株式配当支払事務取扱の委託先及び社債元利金支払事務取扱の委託先及び社債払込金受入事務取扱の委託先
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d.長期信用銀行の株式、社債等による投資先
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e.公社債等の登録委託先
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f.審査、評価、代理交換等の事務の委託契約先
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g.特別の法令等により長期信用銀行に預金することを指定されたもの。
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h.その他これに準ずるもの。
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-
-
長期信用銀行法第6条第2項の「預金及びこれに準ずるもの」のうち「これに準ずるもの」には次のものが含まれる。
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イ.債券募集金:金融債の払込金
-
ロ.証券募集金:公社債等若しくは株式の申込証拠金若しくは払込金
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ハ.証券支払基金:公社債等の元利金支払基金及び買入基金又は株式の配当支払基金
-
ニ.未決済為替借:内国における為替取引先との取引による受入為替金にして決済をなすまでのもの。
-
ホ.貸出受入金:財団組成等の関係で貸出金の引渡しが一時遅れた場合の受入金又は貸出金の元利金の内入金若しくは引当金
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へ.未払債券元利金:長期信用銀行の発行する金融債の償還期日において支払うべき元利金又はその未払金
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ト.未払配当金:株主(優先株主を含む。)配当金の未払金
-
チ.受入諸税:利子、利息、給与等支払の際源泉徴収した税金
-
リ.仮受金:引当金等預金に準ずる性格を有する仮受金
-
ヌ.調整勘定借:調整勘定の益金
-
ル.日本銀行借入金、日本銀行再割引手形、輸入手形決済資金借及びコール・マネー
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ヲ.その他これに準ずるもの。
-
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II -4 行政指導等を行う際の留意点等
II -4-1 行政指導等を行う際の留意点
銀行に対して、行政指導等(行政指導等とは行政手続法第2条第6号にいう行政指導に加え、行政指導との区別が必ずしも明確ではない情報提供、相談、助言等の行為を含む。)を行うに当たっては、行政手続法等の法令等に沿って適正に行うものとする。特に行政指導を行う際には、以下の点に留意する。
-
(1)一般原則(行政手続法第32条)
-
行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されているか。
例えば、以下の点に留意する。
-
イ.行政指導の内容及び運用の実態、担当者の対応等について、相手方の理解を得ているか。
-
ロ.相手方が行政指導に協力できないとの意思を明確に表明しているにもかかわらず、行政指導を継続していないか。
-
-
相手方が行政指導に従わなかったことを理由として不利益な取扱いをしてはいないか。
-
イ.行政指導に従わない事実を法律の根拠なく公表することも、公表することにより経済的な損失を与えるなど相手方に対する社会的制裁として機能するような状況の下では、「不利益な取扱い」に当たる場合があることに留意する。
-
ロ.行政指導を行う段階においては処分権限を行使するか否かは明確でなくても、行政指導を行った後の状況によっては処分権限行使の要件に該当し、当該権限を行使することがありうる場合に、そのことを示して行政指導をすること自体を否定するものではない。
-
-
-
(2)申請に関連する行政指導(行政手続法第33条)
申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしていないか。
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申請者が、明示的に行政指導に従わない旨の意思表示をしていない場合であっても、行政指導の経緯や周囲の客観情勢の変化等を勘案し、行政指導の相手方に拒否の意思表示がないかどうかを判断する。
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申請者が行政指導に対応している場合でも、申請に対する判断・応答が留保されることについても任意に同意しているとは必ずしもいえないことに留意する。
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例えば、以下の点に留意する。
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イ.申請者が行政指導に従わざるを得ないようにさせ、申請者の権利の行使を妨げるようなことをしていないか。
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ロ.申請者が行政指導に従わない旨の意思表明を明確には行っていない場合、行政指導を行っていることを理由に申請に対する審査・応答を留保していないか。
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ハ.申請者が行政指導に従わない意思を表明した場合には、行政指導を中止し、申請に対し、速やかに適切な対応をしているか。
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(3)許認可等の権限に関連する行政指導(行政手続法第34条)
許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合にもかかわらず、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従うことを余儀なくさせていないか。
例えば、以下の点に留意する。
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許認可等の拒否処分をすることができないにもかかわらず、できる旨を示して一定の作為又は不作為を求めていないか。
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行政指導に従わなければすぐにでも権限を行使することを示唆したり、何らかの不利益な取扱いを行ったりすることを暗示するなど、相手方が行政指導に従わざるを得ないように仕向けてはいないか。
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(4)行政指導の方式(行政手続法第35条)
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行政指導を行う際には、相手方に対し、行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示しているか。
例えば、以下の点に留意する。
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イ.相手方に対して求める作為又は不作為の内容を明確にしているか。
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ロ.当該行政指導をどの担当者の責任において行うものであるかを示しているか。
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ハ.個別の法律に根拠を有する行政指導を行う際には、その根拠条項を示しているか。
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ニ.個別の法律に根拠を有さない行政指導を行う際には、当該行政指導の必要性について理解を得るため、その趣旨を伝えているか。
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行政指導について、相手方から、行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を記載した書面の交付を求められた時は、行政上特別の支障がない限り、原則としてこれを交付しているか(ただし、行政手続法第35条第3項各号に該当する場合を除く。)。
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イ.書面の交付を求められた場合には、できるだけ速やかに交付することが必要である。
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ロ.書面交付を拒みうる「行政上の特別の支障」がある場合とは、書面が作成者の意図と無関係に利用、解釈されること等により行政目的が達成できなくなる場合など、その行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を書面で示すことが行政運営上著しい支障を生じさせる場合をいう。
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ハ.単に処理件数が大量であるだけの場合や単に迅速に行う必要がある場合であることをもって、「行政上特別の支障」がある場合に該当するとはいえないことに留意する。
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II -4-2 面談等を行う際の留意点
職員が、銀行の役職員等と面談等(面談、電話、電子メール等によるやりとりをいう。以下同じ。)を行うに際しては、以下の事項に留意するものとする。
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(1)面談等に参加する職員は、常に綱紀及び品位を保持し、穏健冷静な態度で臨んでいるか。
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(2)面談等の目的、相手方の氏名・所属等を確認しているか。
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(3)面談等の方法、面談等を行う場所、時間帯、参加している職員及び相手方が、面談等の目的・内容からみてふさわしいものとなっているか。
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(4)面談等の内容・結果について双方の認識が一致するよう、必要に応じ確認しているか。特に、面談等の内容・結果が守秘義務の対象となる場合には、そのことが当事者双方にとって明確となっているか。
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(5)面談等の内容が上司の判断を仰ぐ必要のある場合において、状況に応じあらかじめ上司の判断を仰ぎ、又は事後に速やかに報告しているか。また、同様の事案について複数の相手方と個別に面談等を行う場合には、行政の対応の統一性・透明性に配慮しているか。
II -5 行政処分等を行う際の留意点等
II -5-1 行政処分(不利益処分)に関する基本的な事務の流れについて
II -5-1-1 行政処分
監督部局が行う主要な不利益処分(行政手続法第2条第4号にいう不利益処分をいう。以下同じ。)としては、法第26条に基づく業務改善命令、
法第26条に基づく業務停止命令、
法第27条に基づく業務停止命令、
法第27条に基づく免許取消しがあるが、これらの発動に関する基本的な事務の流れを例示すれば、以下のとおりである。
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(1)法第24条に基づく報告徴求
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オンサイトの立入検査や、オフサイト・モニタリング(ヒアリング、不祥事件等届出書など)を通じて、銀行のリスク管理態勢、法令等遵守態勢、経営管理(ガバナンス)態勢等に問題があると認められる場合においては、法第24条第1項に基づき、当該事項についての事実認識、発生原因分析、改善・対応策その他必要と認められる事項について、報告を求めることとする。
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報告を検証した結果、さらに精査する必要があると認められる場合においては、法第24条第1項に基づき、追加報告を求めることとする。
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(2)法第24条第1項に基づき報告された改善・対応策のフォローアップ
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上記報告を検証した結果、業務の健全性・適切性の観点から重大な問題が発生しておらず、かつ、銀行の自主的な改善への取組みを求めることが可能な場合においては、任意のヒアリング等を通じて上記(1)において報告された改善・対応策のフォローアップを行うこととする。
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必要があれば、法第24条第1項に基づき、定期的なフォローアップ報告を求める。
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(3)法第26条第1項に基づく業務改善命令等
上記(1)の報告(追加報告を含む。)を検証した結果、例えば、業務の健全性・適切性の観点から重大な問題が認められる場合、又は、銀行の自主的な取組みでは業務改善が図られないと認められる場合などにおいては、法第26条第1項に基づき、業務の改善計画の提出とその実行を命じることを検討する。
なお、単独で、又は、下記(4)若しくは(5)の行政処分と同時に、制度改革等により可能となった新規業務への進出を一定期間行わせないこととする等の措置を命ずることが検討される場合がある。
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(4)法第26条第1項に基づく業務停止命令
上記(3)の業務改善命令を発出する際、業務の改善に一定期間を要し、その間、当該業務改善に専念させる必要があると認められる場合においては、法第26条第1項に基づき、改善期間を勘案した一定の期限を付して当該業務の停止を命じることを検討する。
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(5)法第27条に基づく業務停止命令
上記(1)の報告(追加報告を含む。)を検証した結果、重犯性や故意性・悪質性が認められる等の重大な法令等の違反又は公益を害する行為などに対しては、法第27条に基づき、当該業務の停止を命じることを検討する。併せて、銀行法第26条第1項に基づき、法令等遵守態勢に係る内部管理態勢の確立等を命じることを検討する。
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(6)法第27条に基づく免許の取消し
上記(1)の報告(追加報告を含む。)を検証した結果、重大な法令等の違反又は公益を害する行為が多数認められる等により、今後の業務の継続が不適当と認められる場合においては、法第27条に基づく免許の取消しを検討する。
なお、(3)から(6)の行政処分を検討する際には、以下の
から
までに掲げる要因を勘案するとともに、それ以外に考慮すべき要素がないかどうかを吟味することとする。
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当該行為の重大性・悪質性
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イ.公益侵害の程度
銀行が、例えば、顧客の財務内容の適切な開示という観点から著しく不適切な商品を組成・提供し、金融市場に対する信頼性を損なうなど公益を著しく侵害していないか。
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ロ.利用者被害の程度
広範囲にわたって多数の利用者が被害を受けたかどうか。個々の利用者が受けた被害がどの程度深刻か。
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ハ.行為自体の悪質性
例えば、利用者から多数の苦情を受けているのにもかかわらず、引き続き同様の商品を販売し続けるなど、銀行の行為が悪質であったか。
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ニ.行為が行われた期間や反復性
当該行為が長期間にわたって行われたのか、短期間のものだったのか。反復・継続して行われたものか、一回限りのものか。また、過去に同様の行為が行われたことがあるか。
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ホ.故意性の有無
当該行為が違法・不適切であることを認識しつつ故意に行われたのか、過失によるものか。
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ヘ.組織性の有無
当該行為が現場の営業担当者個人の判断で行われたものか、あるいは管理者も関わっていたのか。更に経営陣の関与があったのか。
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ト.隠蔽の有無
問題を認識した後に隠蔽行為はなかったか。隠蔽がある場合には、それが組織的なものであったか。
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チ.反社会的勢力との関与の有無
反社会的勢力との関与はなかったか。関与がある場合には、どの程度か。
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当該行為の背景となった経営管理態勢及び業務運営態勢の適切性
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イ.代表取締役や取締役会の法令等遵守に関する認識や取組みは十分か。
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ロ.内部監査部門の体制は十分か、また適切に機能しているか。
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ハ.コンプライアンス部門やリスク管理部門の体制は十分か、また適切に機能しているか。
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ニ.業務担当者の法令等遵守に関する認識は十分か、また、社内教育が十分になされているか。
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軽減事由
以上の他に、行政による対応に先行して、銀行自身が自主的に利用者保護のために所要の対応に取り組んでいる、といった軽減事由があるか。
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(7)標準処理期間
上記(3)から(6)の行政処分をしようとする場合には、上記(1)の報告書又は不祥事件等届出書(法第24条に基づく報告徴求を行った場合は、当該報告書)を受理したときから、原則として概ね1か月(処分が他省庁との共管法令に基づく場合は2か月)以内を目途に行うものとする。
(注1)「報告書を受理したとき」の判断においては、以下の点に留意する。
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複数回にわたって法第24条に基づき報告を求める場合(直近の報告書を受理したときから上記の期間内に報告を求める場合に限る。)には、最後の報告書を受理したときを指すものとする。
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提出された報告書に関し、資料の訂正、追加提出等(軽微なものは除く。)を求める場合には、当該資料の訂正、追加提出等が行われたときを指すものとする。
(注2)弁明・聴聞等に要する期間は、標準処理期間には含まれない。
(注3)標準処理期間は、処分を検討する基礎となる情報毎に適用する。
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II -5-1-2 法第26条に基づく業務改善命令の履行状況の報告義務の解除
法第26条に基づき業務改善命令を発出する場合には、当該命令に基づく銀行の業務改善に向けた取組みをフォローアップし、その改善努力を促すため、原則として、当該銀行の提出する業務改善計画の履行状況の報告を求めることとなっているが、以下の点に留意するものとする。
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(1)法第26条に基づき業務改善命令を発出している銀行に対して、当該銀行の提出した業務改善計画の履行状況について、期限を定めて報告を求めている場合には、期限の到来により、当該銀行の報告義務は解除される。
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(2)法第26条に基づき業務改善命令を発出している銀行に対して、当該銀行の提出した業務改善計画の履行状況について、期限を定めることなく継続的に報告を求めている場合には、業務改善命令を発出する要因となった問題に関して、業務改善計画に沿って十分な改善措置が講じられたと認められるときには、当該計画の履行状況の報告義務を解除するものとする。その際、当該報告や検査結果等により把握した改善への取組状況に基づき、解除の是非を判断するものとする。
II -5-2 行政手続法との関係等
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(1)行政手続法との関係
行政手続法第13条第1項第1号に該当する不利益処分をしようとする場合には聴聞を行い、同項第2号に該当する不利益処分をしようとする場合には弁明の機会を付与しなければならないことに留意する。
いずれの場合においても、不利益処分をする場合には同法第14条に基づき、処分の理由を示さなければならないこと(不利益処分を書面でするときは、処分の理由も書面により示さなければならないこと)に留意する。
また、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合には同法第8条に基づき、処分の理由を示さなければならないこと(許認可等を拒否する処分を書面でするときは、処分の理由も書面により示さなければならないこと)に留意する。
その際、単に根拠規定を示すだけではなく、いかなる事実関係に基づき、いかなる法令・基準を適用して処分がなされたかを明らかにすること等が求められることに留意する。
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(2)行政不服審査法との関係
不服申立てをすることができる処分をする場合には、行政不服審査法第82条に基づき、不服申立てをすることができる旨等を書面で教示しなければならないことに留意する。
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(3)行政事件訴訟法との関係
取消訴訟を提起することができる処分をする場合には、行政事件訴訟法第46条に基づき、取消訴訟の提起に関する事項を書面で教示しなければならないことに留意する。
II -5-3 意見交換制度
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(1)意義
不利益処分が行われる場合、行政手続法に基づく聴聞又は弁明の機会の付与の手続とは別に、銀行からの求めに応じ、監督当局と銀行との間で、複数のレベルにおける意見交換を行うことで、行おうとする処分の原因となる事実及びその重大性等についての認識の共有を図ることが有益である。
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(2)監督手法・対応
法第24条に基づく報告徴求に係るヒアリング等の過程において、自行に対して不利益処分が行われる可能性が高いと認識した銀行から、監督当局の幹部(注1)と当該銀行の幹部との間の意見交換の機会の設定を求められた場合(注2)であって、監督当局が当該銀行に対して聴聞又は弁明の機会の付与を伴う不利益処分を行おうとするときは、緊急に処分をする必要がある場合を除き、聴聞の通知又は弁明の機会の付与の通知を行う前に、行おうとする不利益処分の原因となる事実及びその重大性等についての意見交換の機会を設けることとする。
(注1)監督当局の幹部の例:金融庁の担当課長
(注2)銀行からの意見交換の機会の設定の求めは、監督当局が当該不利益処分の原因となる事実についての法第24条に基づく報告書等を受理したときから、聴聞の通知又は弁明の機会の付与の通知を行うまでの間になされるものに限る
II -5-4 関係当局・海外監督当局等への連絡
上記 II -5-1-1(3)から(6)の不利益処分をしようとする場合には、必要に応じて、関係当局・海外監督当局等への連絡を行うものとする。
II -5-5 不利益処分の公表に関する考え方
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(1)上記 II -5-1-1(4)から(6)の不利益処分のうち、業務停止・免許の取消しを命じたときは、法第56条第1項第1号又は第2号に基づき、官報に告示しなければならないことに留意する。
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(2)上記(1)以外の公表の取扱いについては、監督上の着眼点を明らかにするとともに、ノーアクションレター制度、意見交換制度等の適切な運用を通じ、監督行政の透明性の向上に努めることに留意する。
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(3)上記 II -5-1-1(3)から(6)の不利益処分については、他の金融機関等における予測可能性を高め、同様の事案の発生を抑制する観点から、財務の健全性に関する不利益処分等、公表により対象金融機関等の経営改善に支障が生ずるおそれのあるものを除き、処分の原因となった事実及び処分の内容等を公表することとする。
II -5-6 予備審査
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(1)銀行法施行規則(以下「施行規則」という。)第39条に基づく予備審査申請があった場合には、以下の要領により、審査等を行うものとする。
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提出:長官宛
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審査:本認可申請時に準じて行うこととするが、事柄の性質上、標準処理期間は定められていないことに留意する。
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回答:審査終了時に長官名により、文書で回答する。
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(2)審査・回答内容
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予備審査は申請者の事情や判断により行われることから、事案毎に認可等を受けるための準備の進捗状況等に大きな差があることに留意し、事案に応じ申請者の実態に相応しい審査内容を適切に検討することを基本とする。
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例えば、予備審査の結果、認可等を受けるために必要な準備がほぼ整っていることが確認された場合には、「○○○については、更に本認可申請がある場合には、改めて内容を審査した上で認可することと決定されたので、準備が整い次第、申請手続きをとられたい。」等の趣旨を回答する。
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例えば、予備審査の結果、認可等を受けるために必要な準備はまだ整っていない場合でも、いたずらに予備審査を継続することが申請者の利益に適うわけではないこと等から、例えば、充足すべき課題が明確に絞られていること等が確認された場合には、認可申請等に必要な留意事項を付して、予備審査を終了させることも検討する。
その場合には、「○○○については、別紙の内容に関する準備が整い、認可申請がある場合には、改めて内容を審査の上、認可することと決定されたので、通知する。」等の趣旨を回答する。
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