III.監督上の評価項目と諸手続

III-1 経営管理

多様な投資家が安心して参加できるような厚みのある市場の実現を図っていくためには、高速取引行為者自らが法令等遵守態勢の整備等に努め、適正な各種リスクの管理等を意識した経営を行うことが重要である。

そのため、日常の監督事務においては、高速取引行為者の業務執行に対する経営陣の監督が有効に機能しているか、経営陣に対する監視統制が有効に機能しているかといった観点から、望ましいと考えられる高速取引行為者の経営管理のあり方について検証し、監督上の対応を行っていく必要がある。

このような経営管理の検証及び対応に当たっては、高速取引行為者の業務の内容・特性・規模・複雑性等に応じて、総合指針III-1に準ずることとするほか、以下の点にも留意して検証した上で、監督上の対応を行うものとする。

III-1-1 高速取引行為者の役員

  • (1)主な着眼点

    高速取引行為者の役員(金商法第66条の63第2項に基づく解任命令の対象となる役員をいう。以下本III-1-1において「役員」という。)の選任議案の決定プロセス等においては、以下の要素が適切に勘案されているか。

    • マル1欠格事由(金商法第29条の4第1項第2号イからリまで)のいずれかに該当すること又は登録当時既に該当していたことがないこと。

      マル2高速取引行為に係る業務又はこれに付随する業務に関し法令又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反していないこと。

      マル3高速取引行為に係る業務に関し、不正又は著しく不当な行為をし、その情状が特に重いと認められることがないこと。

    (2)監督手法・対応

    高速取引行為者の役員が、金商法第29条の4第1項第2号イからリまでのいずれかに該当することとなったとき、金商法第66条の50の登録当時既に同号イからリまでのいずれかに該当していたことが判明したとき、又は金商法第66条の63第1項第3号若しくは第5号のいずれかに該当することとなったときは、金商法第66条の63第2項の規定に基づき当該役員の解任命令等の処分を検討するものとする。

    併せて、当該高速取引行為者の役員の選任議案の決定プロセス等について深度あるヒアリングを行い、必要な場合には金商法第66条の67の規定に基づき報告を求め、更に、当該高速取引行為者の経営管理態勢に重大な問題があると認められる場合であって、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、業務改善命令等の処分を検討するものとする。

III-1-2 高速取引行為に係る業務を適確に遂行するに足りる人的構成等

  • (1)主な着眼点

    本監督指針III-3-1-3で規定する事項等に照らし、高速取引行為に係る業務を適確に遂行するに足りる人的構成が確保されていると認められるか、また、高速取引行為に係る業務を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められるか。

    (2)監督手法・対応

    本監督指針III-3-1-3で規定する事項は、高速取引行為者が高速取引行為に係る業務を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者等と認められるか否かを審査するために総合的に勘案する要素の一部であり、特定の要素への該当をもって直ちにその人的構成の適否等を判断するものではない。まずは高速取引行為者自身がその責任において、こうした要素を踏まえつつ、適切な人的構成の確保等に努めるべきである。

    ただし、高速取引行為者の役員又は使用人の選任プロセス等において、こうした要素が十分に勘案されていないと認められる場合であって、高速取引行為者の業務の運営に関し公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、当該人的構成等に関する高速取引行為者の認識、及び役員又は使用人の選任プロセス等について深度あるヒアリングを行い、必要な場合には金商法第66条の67の規定に基づき報告を求めるものとする。

    報告徴求の結果、高速取引行為者の経営管理態勢に重大な問題があると認められる場合であって、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、金商法第66条の62の規定に基づく業務改善命令等の処分を検討する。

    また、報告徴求の結果、高速取引行為に係る業務を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない等と認められる場合には、金商法第66条の63第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

    なお、個人である高速取引行為者の場合は、当該個人の資質等について上記着眼点に照らして検証し、法人の場合と同様、高速取引行為に係る業務を適確に遂行するに足りる人的構成の有無等を判断し、必要な監督対応を講じるものとする。

III-2 業務の適切性

III-2-1 業務管理体制の整備

高速取引行為者の業務の適切性の検証及び対応については、高速取引行為者の業務の内容・特性・規模・複雑性等に応じて、総合指針III-2-1、III-2-2、III-2-7からIII-2-9まで、III-2-11及びIII-2-15に準ずることとするほか、以下の点にも留意して検証し、監督上の対応を行うこととする。

III-2-1-1 社内規則等の整備等

高速取引行為者には、金融商品取引業等に関する内閣府令(以下「金商業等府令」という。)第336条第1号において、高速取引行為に係る業務を適確に遂行するための社内規則等を整備し、当該社内規則等を遵守するための従業員に対する研修その他の措置を講じることが求められている。

かかる措置については、例えば、以下の点に留意して検証することとする。

  • マル1高速取引行為に係る業務を適確に遂行するため、高速取引行為者が行う業務の内容・特性・規模・複雑性等を勘案した、適切な社内規則等が整備されているか。

    マル2社内規則等の遵守がコンプライアンスの一環であることを認識し、社内規則等についても、III-2-1で準用する総合指針III-2-1(1)に即して、役職員に対する研修等の措置が講じられているか。

III-2-1-2 異常動作等の防止等の管理態勢

高速取引行為者には、金商法第66条の57第1号において、高速取引行為に係る電子情報処理組織その他の設備(以下「取引システム」という。)について、電子情報処理組織の異常な動作その他の事由(以下「異常動作等」という。)により金融商品市場の機能の十全な発揮に支障を及ぼさないようにするための管理が十分でないと認められる状況にならないように、高速取引行為に係る業務を行わなければならないことが求められているほか、金商業等府令第336条第2号において、取引システムについて、同号の管理を十分に行うための措置を講じることが求められている。

これらの点については、III-2-1で準用する総合指針III-2-8(1)に記載する着眼点に準ずることとするほか、例えば、以下の点に留意して検証するものとする。

  • マル1取引システムにおいて、異常動作等により高速取引行為者において予期しない注文その他金融商品市場に混乱等を生じるおそれのある注文(以下「異常注文」という。)がなされることのないような仕組みが採用されているか。例えば、高速取引行為者の行う取引の類型や規模等に応じた適切なハードリミット、ソフトリミットの設定を取引システムに組み込む等、異常注文を防止するため随時のモニタリングが行われるようなシステム対応が十分になされているか。

    マル2取引システムにおいて、異常注文がなされた場合には直ちに金融商品市場の混乱等を可及的速やかに防止するための仕組みが採用されているか。例えば、高速取引行為者の行う取引の類型、規模等に応じて、市場に伝達された異常注文をキャンセルする機能(いわゆるキルスイッチ)の設定を取引システムに組み込む等、異常注文がなされた場合の適切な措置を講じられるようなシステム対応が十分になされているか。   

    マル3上記マル1及びマル2の仕組みを適切に運用できるような態勢が整備されているか。例えば、以下のような体制の整備等がなされているか。

    • イ.取引システムに係るプログラムの作成者及び取引システムの管理者等の選任を含む人員配置や役職員に対する研修、管理体制に係る定期的な検査などを通じ、異常動作等・異常注文に係る管理体制の充実強化・機能維持が図られているか。

      ロ.取引システムに係るプログラムの実装過程において、運用を開始する前に、データ処理量の増大等を想定して負荷をかけたテストを行うなど、取引システムが十分な処理能力を有していることを確認しているか。

      ハ.ハードリミット、ソフトリミットやキルスイッチの設定・発動・解除等に関し、内部管理部門等の当該設定・発動・解除等の判断を適確に行うことができる者の関与が適切に果たされる体制となっており、また適切に実施されているか。

      ニ.大規模な異常注文等の異常動作等に対する危機対応策が策定され、役職員に対する周知、徹底が図られているか。

III-2-1-3 不公正取引等防止の管理態勢

高速取引行為者には、金商業等府令第337条において、法人関係情報を利用した取引や作為的相場形成等の不公正な取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じていない状況にならないように、高速取引行為に係る業務を行わなければならないことが求められている。

これらの点については、例えば、以下の点に留意して検証するものとする。

  • マル1投資判断の決定に係る業務の責任者や取引システムに係るプログラムの作成者等の選任を含む人員配置や役職員に対する研修、管理体制に係る定期的な検査などを通じ、不公正な取引の防止に係る管理体制の充実強化・機能維持が図られているか。

    マル2法人関係情報を用いた有価証券の売買その他の取引等が行われることのないよう、高速取引行為者が取得した法人関係情報を適切に管理する体制の整備がなされているか。例えば、役職員等が法人関係情報を取得した場合には、内部管理部門等に報告した上で、当該内部管理部門等において、当該法人関係情報に係る銘柄の取引を制限する等の措置を講じることができる体制になっているか。

    マル3例えば以下のように、作為的相場形成等に係る売買審査基準を策定し、その効果的活用が図られているか。

    • イ.高速取引行為の公正性を確保するため、個別銘柄について、その騰落率や自社の市場関与率及び特定の発注担当者による売買状況等を勘案した具体的な抽出基準を策定し、当該基準に基づく適正な抽出を行うことができる仕組みを取引システムに組み込む等して、適正な抽出を行っているか。

      ロ.抽出銘柄について、具体的な審査基準を策定し、作為的相場形成等の不公正取引を排除するために必要な措置(例えば、当該発注担当者に対する照会、注意喚起、取引停止等)を講ずる等適切な売買管理を行っているか。

      ハ.内部管理部門等においては、抽出基準、審査基準及び措置状況について、適時、実態との整合性の検証を行い、必要に応じ見直しを行う等、その実効性を確保する態勢を整備しているか。

III-2-2 監督手法・対応

日常の監督業務や、事故届出等を通じて把握された上記の着眼点等に関する高速取引行為者の業務上・財務上の課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第66条の67の規定に基づく報告を求めることを通じて、高速取引行為者における自主的な改善状況を把握することとする。

また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第66条の62の規定に基づく業務改善命令を発出するなどの対応を行うものとする。

更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第66条の63第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

III-3 諸手続

III-3-1 登録

III-3-1-1 登録事務一般

  • (1)登録申請書の記載等について

    登録申請書の記載については、総合指針III-3-1(1)から(4)まで、及び(6)に準ずるものとする。

    (2)登録申請書の添付書類について

    登録申請書の添付書類については、総合指針III-3-1(5)に準ずるものとするほか、業務方法書における取引戦略の概要(金商業等府令第328条第4号)については、高速取引行為者が採用する取引戦略の基本的な仕組みを把握するために必要な事項が分かりやすく記載されている必要があるところ、かかる記載がなされているか否かを判断するに当たっては、高速取引行為者が採用する取引戦略ごとに、以下のとおりの記載がなされているかに留意するものとする。

    • マル1取引戦略の概要の記載において、金商業等府令第328条第4号イからハまでに規定する事項が含まれているか。なお、同号イに規定する事項については、以下の分類による記載がなされているかに留意するものとする。

      • イ.マーケットメイク戦略

        売りと買いの両注文を市場に出し、他の投資家の取引相手となることで、両価格のスプレッド分の利益を得る戦略をいう。

        ロ.アービトラージ戦略

        価格変動に相関がある複数の銘柄(例えば、日経225の先物と日経225のETF)の価格差や、同一商品の市場間での価格差などに着目し、裁定取引を行うことで利益を得る戦略をいう。

        ハ.ディレクショナル戦略

        近い将来の価格の変動を予測して利益を得る戦略をいう。

        ニ.その他の戦略

        マーケットメイク戦略、アービトラージ戦略又はディレクショナル戦略のいずれにも該当しない戦略をいう。

        (注) 高速取引行為者が採用する取引戦略が、マーケットメイク戦略、アービトラージ戦略、ディレクショナル戦略又はその他の戦略のうち、いずれか二つ以上の戦略により構成される複合的なものである場合、当該複合された戦略のうちでメインとなる戦略をいずれか一つに絞ることができる場合には、当該戦略を当該取引戦略の類型として記載することとし、当該複合された戦略のうちでメインとなる戦略をいずれか一つに絞ることができない場合には、当該戦略をその他の戦略として記載するものとする。

      マル2金商業等府令第328条第4号イからハまでに規定する事項のほか、高速取引行為者が採用する取引戦略の基本的な仕組みを把握するために必要な事項が記載されているか。なお、かかる必要な事項については、高速取引行為者が採用する取引戦略の内容に応じて判断する必要があるが、当該事項には、少なくとも、当該取引戦略において利用する金融商品取引業者等及び取引所取引許可業者の名称又は商号に係る事項を含むものとする。

    (3)登録番号の取扱い

    • マル1登録番号は、財務局長ごとに一連番号を付す(ただし、4、9、13、42、83、103、893は欠番とする。)ものとし、高速取引行為者登録簿に記載する登録番号は次のとおりとする。

      例)〇〇財務局長(高速)第〇〇号

      マル2登録がその効力を失った場合の登録番号は欠番とし、補充は行わないものとする。

      マル3登録番号の管理は、総合指針別紙様式III-2に準じて作成した高速取引行為者登録番号台帳により行うものとする。

    (4)登録申請者への通知

    高速取引行為者登録簿に登録した場合は、総合指針別紙様式III-3に準じて作成した登録済通知書を登録申請者に交付するものとする。

    (5)登録の拒否(総合指針II-5-6も参照)

    • マル1登録を拒否する場合は、総合指針別紙様式III-4に準じて作成した登録拒否通知書を登録申請者に交付するものとする。

      マル2登録拒否通知書には、拒否の理由に該当する金商法第66条の53各号のうちの該当する号、又は登録申請書及び添付書類のうち重要な事項についての虚偽の記載のある箇所若しくは重要な事実の記載の欠けている箇所を具体的に記載するものとする。

    (6)高速取引行為者登録簿

    • マル1高速取引行為者登録簿は、登録申請書の写しの第2面から第8面までにより作成するものとする。

      マル2登録申請書記載事項に係る変更届出書が提出された場合には、当該届出書に添付される登録申請書の変更面と高速取引行為者登録簿の当該面を差し替えるものとする。

      マル3本庁監理高速取引行為者から登録申請書記載事項に係る変更届出書の提出があった場合には、本庁は1ヵ月分を取りまとめて翌月20日までに、当該高速取引行為者の登録を行った財務局に対して登録申請書の変更面を送付するものとする。

      マル4高速取引行為者登録簿の縦覧日は、行政機関の休日に関する法律第1条第1項各号に掲げる行政機関の休日以外の日とし、縦覧時間は、財務局長が指定する時間内とする。ただし、高速取引行為者登録簿の整理その他必要がある場合は、縦覧日又は縦覧時間を変更できるものとする。

      マル5高速取引行為者登録簿の縦覧者には、総合指針別紙様式III-5に準じて作成した高速取引行為者登録簿縦覧表に所定事項の記入を求めるものとする。

      マル6高速取引行為者登録簿は、財務局長が指定する縦覧場所以外に持ち出してはならないものとする。

      マル7縦覧者が次に該当する場合は、縦覧を停止又は拒否することができるものとする。

      • イ.上記マル4からマル6まで又は当局の指示に従わない者

        ロ.高速取引行為者登録簿を汚損若しくは破損し、又はそのおそれがあると認められる者

        ハ.他の縦覧者等に迷惑を及ぼし、又はそのおそれがあると認められる者

III-3-1-2 高速取引行為となる情報の伝達方法に関する留意点

金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第26条第2項第2号に規定する、他の伝達(有価証券の売買又は市場デリバティブ取引を行うために必要な情報の同条第1項に定める者に対する伝達をいう。)と競合することを防ぐための仕組みには、例えば、高速取引行為を行おうとする者が受託証券会社等との間で仮想サーバ等の専有に係る契約を締結している場合が含まれることに留意する。

III-3-1-3 審査事項

  • (1) 体制審査の項目

    金商法第66条の53第3号に規定する高速取引行為に係る業務を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者であるか否かの審査にあたっては、登録申請書、同添付書類及びヒアリングにより、以下の事項を確認するものとする。なお、金商法第66条の53第4号に規定する高速取引行為に係る業務を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者であるか否かについても、以下の事項を確認することを通じて審査するものとする。

    • マル1その行う業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人の確保の状況及び組織体制に照らし、当該業務を適正に遂行することができると認められるか否かに関しては、例えば、以下の事項。

      • イ.経営者が、その経歴及び能力等に照らして、高速取引行為者としての業務を公正かつ的確に遂行することができる十分な資質を有していること。

        ロ.常務に従事する役員が、金商法等の関連諸規制や本監督指針で示している経営管理の着眼点等の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び高速取引行為の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有すること。

        ハ.高速取引行為を行う者として、高速取引行為の取引対象となる有価証券等に関する知識及び経験その他高速取引行為に係る知識及び経験を有する者が確保されていること。

        ニ.高速取引行為に係る業務の適確な遂行に必要な人員が各部門に配置され、内部管理等の責任者が適正に配置される組織体制、人員構成にあること。

        ホ.高速取引行為に係る投資判断等を行う部門とは独立してコンプライアンス部門(担当者)が設置され、その担当者として必要とされる知識及び経験を有する者が確保されていること。

        ヘ.高速取引行為に係る業務について、例えば、次に掲げる体制整備が可能な要員の確保が図られていること。

        • a.帳簿書類・報告書等の作成、管理

          b.リスク管理

          c.電算システム管理

          d. 法人関係情報管理

          e.売買管理

          f.内部監査

        ト.国内における代表者又は国内における代理人として適切な者が選任されていること。例えば、高速取引行為者と監督当局の間のやりとりを単に伝達するのではなく、高速取引行為に係る金商法に係る知識等を一定程度有した上で、高速取引行為者による監督当局に対する報告等を正確に伝えるとともに、監督当局による報告徴求等の内容を正確に理解し、高速取引行為者と適切に連携を図りながら、当該報告徴求等に的確に対応できる者が選任されていること。

      マル2暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第2号に規定する暴力団をいう。以下同じ。)又は暴力団員(同条第6号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)との関係その他の事情として、以下の事項を総合的に勘案した結果、役員又は使用人のうちに、業務運営に不適切な資質を有する者があることにより、高速取引行為に係る業務の信用を失墜させるおそれがあると認められることはないか。

      • イ.本人が暴力団員であること(過去に暴力団員であった場合を含む。)。

        ロ.本人が暴力団と密接な関係を有すること。

        ハ.金商法等日本の金融関連法令又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと。

        ニ.暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定(同法第32条の2第7項の規定を除く。)若しくはこれに相当する外国の法令の規定に違反し、又は刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと。

        ホ.禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと(特に、刑法第246条から第250条まで(詐欺、電子計算機使用詐欺、背任、準詐欺、恐喝及びこれらの未遂)の罪に問われた場合に留意すること。)。

        (注) 個人である高速取引行為者の場合は、当該個人の資質等について上記マル1及びマル2に掲げる項目に照らし検証するものとする。

    (2)その他

    金商法第66条の53第5号ニ及び第6号ハの審査に当たっては、高速取引行為者たる外国法人又は外国に住所を有する個人の主たる営業所若しくは事務所又は高速取引行為に係る業務を行う営業所若しくは事務所の所在する外国の金商法第189条第1項に規定する外国金融商品取引規制当局(以下「海外当局」という。)が、IOSCO(証券監督者国際機構)が策定した枠組みである各国証券監督当局間の協議・協力及び情報交換に関する多国間覚書の署名当局になっていることを確認することとする。その結果、当該海外当局が署名当局となっていることの確認が取れれば、金商法第66条の53第5号ニ及び第6号ハに該当しないものとして取り扱うこととし、かつ、当該確認が取れない場合には、当該海外当局への連絡等を通じて、日本が行う調査協力の要請に応ずる旨の保証の有無を確認するものとする。

III-3-2 その他の諸手続

その他の諸手続に関する事項は、総合指針III-3-2、III-3-3及びIII-3-5に準ずるものとする。

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