I.基本的考え方

I-1 投資運用関係業務受託業者の監督に関する基本的考え方

投資運用関係業務(金融商品取引法(以下「金商法」という。)第2条第43項に規定する投資運用関係業務をいう。以下同じ。)は、投資運用業等(投資運用業(金商法第28条第4項に規定する投資運用業をいう。)、適格機関投資家等特例業務(金商法第63条第2項に規定する適格機関投資家等特例業務をいい、同条第1項第2号に掲げる行為を行うものに限る。)又は海外投資家等特例業務(金商法第63条の8第1項に規定する海外投資家等特例業務をいい、同項第1号に掲げる行為を行うものに限る。)をいう。以下同じ。)に関して行う、計理業務又は法令等遵守のための指導に関する業務をいうところ、我が国において投資運用業の新規参入が伸びていない要因の一つとして、登録要件を満たすための当該業務に関する体制整備の負担が重いことが指摘されていた。

投資運用関係業務受託業の任意的登録制度は、投資運用業等を行う者(以下「投資運用業者等」という。)が、投資運用関係業務受託業者(金商法第2条第45項に規定する投資運用関係業務受託業者をいう。以下同じ。)に投資運用関係業務を委託することで、その人的構成の要件の緩和を受けることを可能とするものであるが、そのような要件緩和を可能とするためには、投資運用関係業務受託業者が適切な品質が確保された者であることが前提となる。

投資運用関係業務受託業者の監督の目的は、このような投資運用関係業務受託業者の任意的登録制度及び投資運用業者等の人的構成要件の緩和の前提を実現するため、投資運用関係業務受託業者の業務の適切な運営を確保しつつ、その機能を適切に発揮させることで、日本において、投資運用業の高度化を図っていくことにある。

このため、監督部局においては、継続的なヒアリング等により投資運用関係業務受託業者の業務の状況を適切に把握することや、投資運用関係業務受託業者から提供された各種の情報の蓄積及び分析を行い、業務の適切性の確保等に向けた自主的な取組みを早期に促していくこと等により、投資運用関係業務受託業者に対して投資運用関係業務受託業に係る業務を適確に遂行するための業務管理体制の整備をはじめとする法令等遵守の徹底を求めていくことが、重要な役割となる。

この他、投資運用関係業務受託業者の監督に関する基本的考え方は、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」(以下「総合指針」という。)「I-1 金融商品取引業者等の監督に関する基本的考え方」を参照するものとする。

I-2 監督指針策定の趣旨

日本経済が持続的に発展するためには、間接金融に偏重している日本の金融の流れが直接金融や市場型間接金融にシフトする、いわゆる「貯蓄から投資へ」の動きを加速することが重要な課題である。こうした流れを実現するためには、金融行政として、適切な制度設計と併せて、投資運用業者等の業務の遂行にとって重要な役割を果たす投資運用関係業務受託業者が、委託者たる投資運用業者等への質の確保された投資運用関係業務の提供を意識した内部管理態勢を強化するよう、適切に動機付けていくことが必要となる。

こうしたことから、投資運用関係業務受託業者に対する日常の監督事務を遂行するため、監督の考え方や監督上の着眼点と留意点、具体的監督手法等を整備することとした。

本監督指針は、投資運用関係業務受託業者の実態を十分に踏まえ、様々なケースに対応できるように作成したものであり、本監督指針に記載されている監督上の評価項目の全てを各々の投資運用関係業務受託業者に一律に求めているものではない。

従って、本監督指針の適用に当たっては、各評価項目の字義通りの対応が行われていない場合であっても、公益又は投資者保護等の観点から問題のない限り、不適切とするものではないことに留意し、機械的・画一的な運用に陥らないように配慮する必要がある。一方、評価項目に係る機能が形式的に具備されていたとしても、公益又は投資者保護等の観点からは必ずしも十分とは言えない場合もあることに留意する必要がある。

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