III.監督上の評価項目と諸手続

III-1 経営管理

投資運用関係業務受託業者が金融・資本市場における機能を適切に発揮していくためには、投資運用関係業務受託業者自らが法令等遵守態勢の整備等に努め、質の確保された投資運用関係業務の提供等を意識した経営を行うことが重要である。

そのため、日常の監督事務においては、投資運用関係業務受託業者の業務執行に対する経営陣の監督が有効に機能しているか、経営陣に対する監視統制が有効に機能しているかといった観点から、望ましいと考えられる投資運用関係業務受託業者の経営管理のあり方について検証し、監督上の対応を行っていく必要がある。

このような経営管理の検証に当たっては、総合指針「III-1 経営管理(共通編)」及び総合指針「IV-1-1 金融商品取引業者の役員」に準じ、投資運用関係業務受託業者の業務の特性・規模・複雑性等に応じて、代表取締役、取締役・取締役会、監査役・監査役会、内部監査部門等の各機能が適切に発揮されているかどうかを検証することとする。

III-2 業務の適切性

III-2-1 業務管理体制の整備

投資運用関係業務受託業者は、金商法第66条の78において、投資運用関係業務受託業を適確に遂行するための業務管理体制を整備することが求められている。投資運用関係業務受託業者は、金融商品取引業等に関する内閣府令(以下「金商業等府令」という。)第358条各号において整備することが求められている業務管理体制の各項目につき、その行う投資運用関係業務(当該投資運用関係業務を行うことにつき金商法第66条の71の登録又は金商法第66条の75第4項の変更登録を受けているものに限る。III-2-1において同じ。)の特性・規模・複雑性等に応じた適切な水準・深度となるよう体制を整備する必要がある。

こうした点を前提に、投資運用関係業務受託業者の業務管理体制の整備状況については、金商業等府令第358条各号に規定する項目ごとに、例えば以下の点に留意して検証することとする。

  1. (1) 投資運用関係業務受託業を適確に遂行するための社内規則等の整備等

    1. ① 投資運用関係業務受託業を適確に遂行するため、投資運用関係業務受託業者が行う投資運用関係業務の内容・特性・規模・複雑性等を勘案した、適切な社内規則等が整備されているか。

    2. ② 社内規則等の遵守がコンプライアンスの一環であることを認識し、社内規則等について、役職員に対する研修等の措置が講じられているか。

  2. (2) 投資運用関係業務受託業者の業務の適正を確保するための措置

    1. ① 投資運用関係業務の遂行に係る情報の保存及び管理に関する体制の整備に係る措置として、例えば、以下のような措置がとられているか。

      1. イ.役職員が投資運用関係業務受託業に係る業務に関して得た情報に係る保存及び管理に関する規程が定められているか。

      2. ロ.イの規程に則った情報の保存及び管理について、これを検証・確保する体制が整備されているか。

      3. ハ.役職員に対し、情報の保存及び管理に関する指導・研修が徹底されているか。

    2. ② 投資運用関係業務の委託者(以下「委託者」という。)との間における当該投資運用関係業務の遂行に必要な連絡体制の整備に係る措置として、例えば、以下のような措置がとられているか。

      1. イ.当該投資運用関係業務について、委託者との間で連絡担当者及び連絡方法が定められているか。

      2. ロ.委託者との間で、当該投資運用関係業務の遂行に関して必要な頻度・方法による情報共有や連絡、報告等を行う体制が整備されているか。

      3. ハ.当該投資運用関係業務について、委託者からの求めがあった場合や当該投資運用関係業務に関する事項について問題があった場合には、速やかに委託者に対して必要な連絡及び報告を行う体制が整備されているか。

      4. ニ.当該投資運用関係業務の遂行に当たり必要な情報が委託者から提供される体制が構築されているか(委託者から提供された情報の正確性に疑義が生じた場合や、情報が不足している場合に、委託者に対して指摘し、必要な情報の提供を求めることができる体制を含む。)。

      5. ホ.当該投資運用関係業務を遂行した結果、得られた成果物(法令等及び委託者との委託契約の趣旨に照らして委託者において是正すべき点を指摘することを含む。)を委託者に対して確実に提供する体制が構築されているか。

      6. ヘ.上記イからホまでの事項について、委託者との委託契約書等において明確に定められているか。

    3. ③ 投資運用関係業務を適正かつ円滑に遂行し得る専門的知識及び技能を有する人員を十分に確保するための措置として、例えば、以下のような措置がとられているか。

      1. イ.投資運用関係業務を行う役職員の採用及び研修

        投資運用関係業務を適切かつ円滑に遂行し得る専門的知識及び技能を有する者を十分に確保できるよう、適切に採用及び研修を行っているか。
      2. ロ.受託する投資運用関係業務を遂行するための人員の配置

        受託する投資運用関係業務の内容及び性質等に応じ、これを適切かつ円滑に遂行するために必要な人員を適切に配置しているか。
      3. ハ.受託する投資運用関係業務の遂行を監督する責任を有する者の選任等

        投資運用関係業務の遂行に係る過程において、遂行する投資運用関係業務を監督する責任を有する者の権限及び責任を明確にし、その選任方法を適切に定めているか。また、投資運用関係業務を監督する責任を有する者は、監督する権限を適切に行使するなど、有効に機能しているか。
    4. ④ 投資運用関係業務の適正性を担保するための措置として、例えば、投資運用関係業務の実施に際して事前に、その適正性を検証するための方針及び手続(再鑑の体制を整えることや、委託者から提供された情報の正確性に疑義が生じた場合に委託者に必要な情報の提供を求めること等を含む。)を適切に定め、当該方針等に従って適切に検証を行っているか。また、当該方針等の妥当性及び実効性について適時・適切に検証を行い、必要に応じ見直しを行っているか。

    5. ⑤ 投資運用関係業務の適正性を担保するための措置として、例えば、実施した投資運用関係業務について、事後的に検証し、必要に応じて業務の方法等の見直しを実施するための方針及び手続を定め、当該方針等に従って適切に検証及び見直しを行っているか。また、当該方針等の妥当性及び実効性について適時・適切に検証を行い、必要に応じ見直しを行っているか。

    6. ⑥ 委託者による投資運用関係業務受託業者に対する適切な監督等を担保するための措置として、次に掲げる体制が整備されているか。

      1. イ.投資運用関係業務受託業者の登録を受けている投資運用関係業務の範囲について、委託者が把握できるように委託者に事前に説明するための体制

      2. ロ.受託する投資運用関係業務を第三者に再委託する場合、当該再委託につき、委託者に説明し承諾を得るための体制

  3. (3) 投資運用関係業務に係る行為のうち、委託者と投資運用関係業務受託業者又は第三者(当該委託者以外の委託者を含む。)との利益が相反する行為その他これに準ずる行為(以下「利益相反行為」という。)を適切な方法により特定し、これらの行為が投資運用関係業務の適正な遂行を害しないことを確保するための措置

    1. ① 利益相反行為を特定するための措置として、例えば、以下のような措置がとられているか。

      1. イ.あらかじめ、利益相反行為を適切な方法により特定し、類型化しているか。

      2. ロ.利益相反行為の特定に当たり、当該投資運用関係業務受託業者の行う業務の特性・規模・複雑性等を適切に反映しているか。

      3. ハ.特定し、類型化した利益相反行為の妥当性について適時・適切に検証を行い、必要に応じ見直しを行っているか。

    2. ② 利益相反行為が投資運用関係業務の適正な遂行を害しないことを確保するための措置として、例えば、以下のような措置がとられているか。

      1. イ.上記①イにより特定し、類型化した利益相反行為の特性に応じて、当該利益相反行為が投資運用関係業務の適正な遂行を害しないことを確保するための措置を適切に定めているか。

      2. ロ.投資運用関係業務を行うに際し、利益相反行為の該当性について、必要な確認が図られる態勢となっているか。利益相反行為に該当する場合には、投資運用関係業務の適正な遂行を害しないことを確保するための適切な措置を講じているか。

      3. ハ.上記①イにより特定した利益相反行為が投資運用関係業務の適正な遂行を害しないことを確保するための措置の妥当性及び実効性について適時・適切に検証を行い、必要に応じ見直しを行っているか。

    3. ③ 上記①イにより特定した利益相反行為が投資運用関係業務の適正な遂行を害しないことを担保するための措置として、例えば、当該利益相反行為が投資運用関係業務の適正な遂行を害しないことを確保するための措置に関する規程を整備し、当該規程に則った運用がされているか。また、当該規程の妥当性及び実効性について適時・適切に検証を行い、必要に応じ見直しを行っているか。

  4. (4) 投資運用関係業務受託業に係る業務以外の業務に係る行為が投資運用関係業務に不当な影響を及ぼさないための措置

    1. ① あらかじめ、自らが行う投資運用関係業務受託業に係る業務と当該業務以外の業務を明確化した上で、投資運用関係業務受託業に係る業務以外の業務に係る行為であって、投資運用関係業務に不当な影響を及ぼすおそれのあるものを適切な方法により特定し、類型化しているか。

    2. ② 投資運用関係業務受託業に係る業務以外の業務を特定し、類型化した行為の特性に応じ、例えば、部門の分離による管理を行うなど、当該行為が投資運用関係業務に不当な影響を及ぼさないための措置を適切に講じているか。また、当該措置の妥当性及び実効性について適時・適切に検証を行い、必要に応じ見直しを行っているか。

  5. (5) 投資運用関係業務に関して知り得た情報の管理及び秘密の保持を適切に行うための措置

    1. ① 投資運用関係業務受託業の業務に関して知り得た情報及び秘密の取扱いについて、具体的な基準を定め、役職員に周知徹底を図っているか。特に、当該基準において、当該情報及び秘密について、投資運用関係業務受託業を適確に遂行するために必要と認められる目的以外の目的に利用することを明確に禁止しているか。

    2. ② 受託する投資運用関係業務に応じて秘密の範囲及び業務上知り得る者を特定するとともに、秘密の管理のために、例えば、秘密へのアクセス管理、内部関係者による秘密の持ち出しの防止のための対策の策定、外部からの不正アクセスを防御するための情報管理システムの堅牢化などの方法により、秘密の漏えいの防止を図る態勢となっているか。また、当該情報及び秘密の管理状況を適時・適切に検証できる態勢となっているか。

    (注)
    その他、顧客等に関する情報管理態勢の整備に向けた取組みについては総合指針「III-2-4 顧客等に関する情報管理態勢」等に準じて、システムリスク管理態勢の整備に向けた取組みについては総合指針「III-2-8 システムリスク管理態勢」等に準じて、取り扱うものとする。

III-2-2 再委託の禁止

投資運用関係業務受託業者は、内閣総理大臣の承認を受けない限り、他の者に投資運用関係業務を委託することができない(再委託の禁止、金商法第66条の80第1項)。

投資運用関係業務の再委託の承認申請については、投資運用関係業務の再委託(二以上の段階にわたるものを含む。)を行うことが「承認申請者に当該投資運用関係業務を委託した者における投資運用業等の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき」に限り、承認しないものとされている(同条第2項)。

この点について、例えば、投資運用関係業務の再委託が「承認申請者に当該投資運用関係業務を委託した者における投資運用業等の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき」に該当し得る場合として、以下の場合が挙げられる。

  1. ① 投資運用関係業務受託業者以外の者にその受託する投資運用関係業務の全部を再委託する場合。

    (注)
    「その受託する投資運用関係業務の全部」については、例えば、III-3-1-1 (2) イ又はロに掲げる業務毎に判断するものとする。
  2. ② その受託する投資運用関係業務の再委託につき、委託者に説明し承諾を得るための体制を整備していない場合。

なお、再委託する業務が事務的な業務に留まる等、投資運用関係業務に付帯するにすぎない場合には、再委託に関する内閣総理大臣の承認は不要である。

(注)
投資運用関係業務受託業者が再委託を行う場合の外部委託管理態勢整備に向けた取り組みについては、総合指針「III-2-7 (2) 事務の外部委託について」等に準じて、取り扱うものとする。

III-2-3 監督手法・対応

日常の監督業務を通じて把握された上記の着眼点等に関する投資運用関係業務受託業者の業務上・財務上の課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第66条の88の規定に基づく報告を求めることを通じて、投資運用関係業務受託業者における自主的な改善状況を把握することとする。

また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第66条の84の規定に基づく業務改善命令を発出するなどの対応を行うものとする。

更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第66条の85第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

III-3 諸手続

III-3-1 登録

III-3-1-1 登録事務一般

  1. (1) 国内における代表者又は代理人及び国内における営業所又は事務所

    1. ① 外国法人である投資運用関係業務受託業者の国内における代表者又は代理人及び当該投資運用関係業務受託業者の国内における営業所又は事務所に駐在する役職員は、当該投資運用関係業務受託業者の業務の状況を的確に把握し、これを委託者及び当局に適切に説明できる能力を有している必要があることに留意する。

    2. ② 外国法人である投資運用関係業務受託業者の国内における営業所又は事務所においては、当該営業所又は事務所に駐在する役職員等が、当該投資運用関係業務受託業者の 業務管理体制の整備状況が確認できる資料(社内規則等)を確認可能な体制となっている必要があることに留意する。また、投資運用関係業務受託業に関する記録について、当該外国法人の国外拠点に保存されている場合であっても、当該国内における営業所又は事務所に駐在する役職員等が、当該記録を合理的期間内に確認可能な体制となっている必要があることに留意する。

  2. (2) 登録申請の対象となる投資運用関係業務受託業に係る投資運用関係業務の内容

    金商業等府令第348条第2項第1号に規定する登録申請の対象となる投資運用関係業務受託業に係る投資運用関係業務の内容の記載においては、登録申請の対象となる投資運用関係業務受託業に係る投資運用関係業務の具体的な内容として、例えば、下記に掲げる業務のうちどのような投資運用関係業務を行うかが明記されているか、確認する必要がある。なお、投資運用関係業務は、委託する業者における投資運用業の質を左右し得る一定の継続性・能動性を有するものであり、そのような性質を有しない業務は投資運用関係業務には該当しない。
    1. イ.金商法第2条第43項第1号に規定する投資運用関係業務の具体的な内容

      1. a.投資信託財産に係る計算及びその審査(投資信託財産の基準価額の算出及び当該算出に向けた投資信託の設定・解約の集計、資産の約定照合、利金・配当金等の計上等を含む。)

      2. b.上記aのほか、運用対象財産の評価額の計算及びその審査

    2. ロ.同項第2号に規定する投資運用関係業務の具体的な内容

      1. a.法令等遵守の観点から定期的な業務実態の把握、課題の指摘及び対応策の検討その他これに関連する業務

      2. b.コンプライアンスに関する社内規則その他マニュアル等の案文作成・管理

      3. c.コンプライアンス研修の定期的な企画・実施その他コンプライアンスに関する情報の提供

    3. なお、III-2-1 (2) ⑥イに記載のとおり、どのような投資運用関係業務につき投資運用関係業務受託業者の登録を受けているかについて委託者が把握できるように、委託者に対して事前に説明する体制が整備されているか、確認する必要がある。また、受託する投資運用関係業務に係る委託者との委託契約書等において、登録を受けた投資運用関係業務受託業に係る投資運用関係業務のうち、具体的にどの業務を受託するかにつき明記されているか、確認する必要がある。
  3. (3) 登録申請書の添付書類

    1. ① 住民票の抄本には、次の項目が記載されているものを提出させるものとする。

      1. イ.住所

      2. ロ.氏名

      3. ハ.生年月日

      4. ニ.本籍

    2. ② 国内に居住しない外国人が提出した本国の住民票の写し又はこれに準ずる書面(英語による登録手続の場合を除き、英文等の場合には訳文を添付)は、金商業等府令第350条第1項第2号ロ及び同項第3号ロに規定する「これに代わる書面」に該当する。

  4. (4) 登録番号の取扱い

    1. ① 登録番号は、財務局長ごとに一連番号を付す(ただし、4、9、13、42、83、103、893は欠番とする。)ものとし、投資運用関係業務受託業者登録簿に記載する登録番号は次のとおりとする。

      例)
      ○○財務局長(投受)第○○号
    2. ② 登録がその効力を失った場合の登録番号は欠番とし、補充は行わないものとする。

    3. ③ 登録番号の管理は、総合指針別紙様式III-2に準じて作成した投資運用関係業務受託業者登録番号台帳により行うものとする。

  5. (5) 登録申請者への通知

    投資運用関係業務受託業者登録簿に登録した場合は、総合指針別紙様式III-3に準じて作成した登録済通知書を登録申請者に交付するものとする。
  6. (6) 登録の拒否(総合指針「II-5-6 行政手続法等との関係等」も参照)

    1. ① 登録を拒否する場合は、拒否の理由並びに金融庁長官に対する審査請求及び国を相手方とする処分の取消しの訴えを提起できる旨等を記載した総合指針別紙様式III-4に準じて作成した登録拒否通知書を登録申請者に交付するものとする。

    2. ② 登録拒否通知書には、拒否の理由及び拒否の理由に該当する金商法第66条の74各号のうちの該当する号又は登録申請書及び添付書類のうち重要な事項についての虚偽の記載のある箇所若しくは重要な事実の記載の欠けている箇所を具体的に記載するものとする。

  7. (7) 投資運用関係業務受託業者登録簿

    1. ① 投資運用関係業務受託業者登録簿は、登録申請書の写しの第2面から第10面までにより作成するものとする。

    2. ② 登録申請書記載事項に係る変更届出書が提出された場合には、当該届出書に添付される登録申請書の変更面と投資運用関係業務受託業者登録簿の当該面を差し替えるものとする。

    3. ③ 投資運用関係業務受託業者から登録申請書記載事項に係る変更届出書の提出があった場合には、本庁は1ヵ月分を取りまとめて翌月20日までに、当該投資運用関係業務受託業者の登録を行った財務局に対して登録申請書の変更面を送付するものとする。

  8. (8) 投資運用関係業務受託業者登録簿の縦覧

    金商法第66条の73第2項及び金商業等府令第352条に規定する投資運用関係業務受託業者登録簿の縦覧については、次のとおり取り扱うものとする。
    なお、氏を改めた者が投資運用関係業務受託業者登録簿の縦覧に係る申請をする場合に  おいては、旧氏(住民基本台帳法施行令(昭和42年政令第292号)第30条の13に規定する旧氏をいう。)及び名を、申請者の氏名を記載した箇所に括弧書きで併せて記載することができることに留意する。
    1. ① 電子メール等による縦覧

      1. イ.電子メール等で投資運用関係業務受託業者登録簿の縦覧に係る申請を受け付けた場  合には、申請事項を確認のうえ、速やかに当該申請に係る投資運用関係業務受託業者登録簿を電子メール等で送付する。ただし、投資運用関係業務受託業者登録簿の整理その他必要がある場合は、送付が可能となった段階で、送付するものとする。

      2. ロ.投資運用関係業務受託業者登録簿の電子メール等による縦覧に係る申請は、以下の内容が記載された電子メール等によって受け付けるものとする。

        1. a.氏名

        2. b.住所

        3. c.電話番号

        4. d.投資運用関係業務受託業者登録簿の送付を希望するメールアドレス

        5. e.職業

        6. f.縦覧を希望する投資運用関係業務受託業者登録簿に係る投資運用関係業務受託業者の商号、名称又は氏名及び登録番号

        7. g.縦覧の目的

      3. ハ.当局の指示に従わない場合は、当該申請に係る投資運用関係業務受託業者登録簿の送付を拒否することができるものとする。

      4. ニ.他の財務局長が登録を行った投資運用関係業務受託業者に係る投資運用関係業務受託業者登録簿の縦覧の申請があった場合は、当該投資運用関係業務受託業者の登録を行った財務局に対する縦覧の申請が可能である旨を申請者に伝えるものとする。

    2. ② 財務局での縦覧

      1. イ.投資運用関係業務受託業者登録簿の縦覧日は、行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号)第1条に規定する行政機関の休日以外の日とし、縦覧時間は、財務局長が指定する時間内とする。ただし、投資運用関係業務受託業者登録簿の整理その他必要がある場合は、縦覧日又は縦覧時間を変更できるものとする。

      2. ロ.縦覧の申出があった場合には、総合指針別紙様式III-5に準じて作成した投資運用関係業務受託業者登録簿縦覧申請書に所定の事項を記入するよう求めるものとする。

      3. ハ.投資運用関係業務受託業者登録簿は、財務局長が指定する縦覧場所以外に持ち出してはならないものとする。

      4. ニ.縦覧者が次に該当する場合は、縦覧を停止又は拒否することができるものとする。

        1. a.上記イ.からハ.までその他当局の指示に従わない者

        2. b.投資運用関係業務受託業者登録簿を汚損若しくは破損し、又はそのおそれがあると認められる者

        3. c.他の縦覧者等に迷惑を及ぼし、又はそのおそれがあると認められる者

      5. ホ.他の財務局長が登録を行った投資運用関係業務受託業者に係る投資運用関係業務受託業者登録簿の縦覧の申出があった場合は、当該投資運用関係業務受託業者の登録を行った財務局において縦覧が可能である旨を申出者に伝えるものとする。

III-3-1-2 審査事項

  1. (1) 体制審査の項目

    金商法第66条の74第3号、第7号ハ及び第8号ハに規定する者であるか否かの審査にあたっては、登録申請書、同添付書類及びヒアリングにより、以下の事項を確認するものとする。なお、金商法第66条の74第4号に規定する投資運用関係業務受託業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者であるか否かについても、以下の事項を確認することを通じて審査するものとする。
    1. ① その行う業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人の確保の状況及び組織体制に照らし、当該業務を適正に遂行することができると認められるか否かに関しては、例えば、以下の事項。

      1. イ.経営者が、その経歴及び能力等に照らして、投資運用関係業務受託業者としての業務を公正かつ的確に遂行することができる十分な資質を有していること。

      2. ロ.常務に従事する役員が、金商法等の関連諸規制や本監督指針で示している経営管理の着眼点等の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び投資運用関係業務受託業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有すること。

      3. ハ.投資運用関係業務受託業を行う担当者として、受託する投資運用関係業務に必要とされる知識及び経験を有する担当者が確保されていること。

      4. ニ.投資運用関係業務受託業に係る業務の適確な遂行に必要な人員が配置され、内部管理等の責任者が適正に配置される組織体制、人員構成にあること。

      5. ホ.投資運用関係業務受託業に係る業務について、例えば、次に掲げる体制整備が可能な要員の確保が図られていること。

        1. a.投資運用関係業務受託業に関する記録・報告書等の作成、管理

        2. b.リスク管理

        3. c.利益相反管理

        4. d.情報管理

        5. e.内部監査

      6. ヘ.国内における代表者又は代理人として適切な者が選任されていること。例えば、投資運用関係業務受託業者と監督当局の間のやりとりを単に伝達するのではなく、投資運用関係業務受託業に係る金商法に係る知識等を一定程度有した上で、投資運用関係業務受託業者による監督当局に対する報告等を正確に伝えるとともに、監督当局による報告徴求等の内容を正確に理解し、投資運用関係業務受託業者と適切に連携を図りながら、当該報告徴求等に的確に対応できる者が選任されていること。

    2. ② 暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第2号に規定する暴力団をいう。以下同じ。)又は暴力団員(同条第6号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)との関係その他の事情として、以下の事項を総合的に勘案した結果、役員又は使用人のうちに、業務運営に不適切な資質を有する者があることにより、投資運用関係業務受託業に係る業務の信用を失墜させるおそれがあると認められることはないか。

      1. イ.本人が暴力団員であること(過去に暴力団員であった場合を含む。)。

      2. ロ.本人が暴力団と密接な関係を有すること。

      3. ハ. 金商法等日本の金融関連法令又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと。

      4. ニ. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定(同法第32条の2第7項の規定を除く。)若しくはこれに相当する外国の法令の規定に違反し、又は刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと。

      5. ホ.禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと(特に、刑法第246条から第250条まで(詐欺、電子計算機使用詐欺、背任、準詐欺、恐喝及びこれらの未遂)の罪に問われた場合に留意すること。)。

    (注)
    個人である投資運用関係業務受託業者の場合は、当該個人の資質等について上記①及び②に掲げる項目に照らし検証するものとする。
  2. (2) 財産的基礎の審査の項目

    金商法第66条の74第5号に規定する者であるか否かの審査にあたっては、登録申請書、同添付書類及びヒアリングにより、例えば以下の事項を確認することで、投資運用関係業務受託業を適確に遂行することができる財産的基礎を有するかどうかを確認するものとする。
    1. ① 登録申請者が法人の場合は、一定の資本金(投資運用業(その行おうとする投資運用業に関して、顧客から金銭又は有価証券の預託を受けず、かつ、金融商品取引法施行令第15条の4の2に規定する者に顧客の金銭又は有価証券を預託させない場合に限る。)に係る資本金要件(同施行令第15条の7第1項第4号参照)と同程度の水準)を有しているか。

    2. ② 登録申請者の純財産額(金商業等府令第 14 条に準じて計算したもの)が上記①で求められる水準と同程度であるか。

  3. (3) 監督手法・対応

    本監督指針III-3-1-2 (1)で規定する事項は、投資運用関係業務受託業者が投資運用関係業務受託業に係る業務を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者等と認められるか否かを審査するために総合的に勘案する要素の一部であり、特定の要素への該当をもって直ちにその人的構成の適否等を判断するものではない。まずは投資運用関係業務受託業者自身がその責任において、こうした要素を踏まえつつ、適切な人的構成の確保等に努めるべきである。
    ただし、投資運用関係業務受託業者の役員又は使用人の選任プロセス等において、こうした要素が十分に勘案されていないと認められる場合であって、投資運用関係業務受託業者の業務の運営に関し公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、当該人的構成等に関する投資運用関係業務受託業者の認識、及び役員又は使用人の選任プロセス等について深度あるヒアリングを行い、必要な場合には金商法第66条の88の規定に基づき報告を求めるものとする。
    報告徴求の結果、投資運用関係業務受託業者の経営管理態勢に重大な問題があると認められる場合であって、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、金商法第66条の84の規定に基づく業務改善命令等の処分を検討する。
    また、報告徴求の結果、投資運用関係業務受託業に係る業務を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない等と認められる場合には、金商法第66条の85第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
    なお、個人である投資運用関係業務受託業者の場合は、当該個人の資質等について上記着眼点に照らして検証し、法人の場合と同様、投資運用関係業務受託業に係る業務を適確に遂行するに足りる人的構成の有無等を判断し、必要な監督対応を講じるものとする。

III-3-2 届出

投資運用関係業務受託業者の廃業等の届出については、投資運用関係業務受託業者から金商法第66条の83第1項に基づく届出書を受理する際、当該投資運用関係業務受託業者に対して必要に応じてヒアリングを行うなどにより、金商法第66条の85第1項の規定による登録取消しの事由の存しないことについて確認するものとする。

III-3-3 記録の作成・保存

記録の作成・保存については 、以下の点に留意するものとする。

  1. (1) 基本的留意事項

    1. ① 社内規則等に、金商業等府令第360条に掲げる記録の作成及び保存の方法が具体的に定められているか。

    2. ② 一の記録が他の記録を兼ねたり、又はその一部を別帳としたりする場合には、業務の適切性の検証に支障の生じることのないよう、合理的な範囲にとどまっており、かつ、 それぞれの記録の種類に応じた記載事項がすべて記載されているか。

  2. (2) 記録の電子媒体による保存

    記録を電子媒体により保存する場合には、以下の点が確保されているか。
    1. ① 手書きにより作成された記録については、画像データとして保存すること。

    2. ② 保存に使用する電子媒体は金商業等府令第360条第2項に規定する保存期間の耐久性を有すること。

    3. ③ データ保存に使用する電子媒体の一つを「原本」として定め、その旨を明示すること(記録の保存状態の判定はこの「原本」に準拠して行うものとする。)。

    4. ④ 上記③の「原本」のバックアップを作成し、これを「副本」として保存すること。

    5. ⑤ 顧客の照会に対し、速やかに回答できるシステムとなっていること。

    6. ⑥ 保存されているデータにつき合理的期間内にハードコピーによる記録の作成が可能なシステムとなっていること。

    7. ⑦ 入力データの取消・修正を行った場合、その取消・修正記録がそのまま残されるシステムとなっていること。

    8. ⑧ 内部監査に対応できるシステムとなっていること。

    9. ⑨ 作成・保存に関する責任者をおき、当該作成・保存に関する社内規則が整備されていること。

    10. ⑩ 電算システムにより作成した記録のハードコピーに手書きによる追記・補完等を行った場合は、当該ハードコピーを画像データとして保存することとし、画像データとして 保存を行わないときは、当該ハードコピーを原本として保存すること。

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