VI .日本アクチュアリー会関係
VI -1 監督にあたっての基本的考え方
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(1)意義
日本アクチュアリー会は、アクチュアリーの専門職団体であり、私企業である保険会社とは異なる一般社団法人であるとともに、法第122条の2第1項の規定に基づく指定法人である。各保険会社が独自の経営判断で商品設計や戦略的な事業展開を行うなど、大きな転換を遂げている保険市場において、保険会社の経営の健全性確保のための責任準備金積立の評価、配当等における公正性及び衡平性の確保、利用者ニーズに応えられる多様で良質な商品の供給、各種統計資料の作成・分析など、アクチュアリーの高度な専門知識・技能は様々な分野で活用されており、今後ともアクチュアリーがその機能を果たすことが不可欠である。こうした観点から、これら人材の専門職団体であり、指定法人たる同会が法に規定された業務を適正に運営することを確保するための監督上の指針を明確化する。
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(2)日本アクチュアリー会との十分な意思疎通の確保
日本アクチュアリー会監督にあたっては、日本アクチュアリー会の業務に関する情報を的確に把握・分析し、必要に応じて、適時適切に監督上の対応につなげていくことが重要である。このため、監督部局においては、日本アクチュアリー会からの報告に加え、日本アクチュアリー会との健全かつ建設的な緊張関係の下で、日頃から十分な意思疎通を図り、積極的に情報収集する必要がある。具体的には、日本アクチュアリー会との定期的な面談や意見交換等を通じて、日本アクチュアリー会との日常的なコミュニケーションを確保し、業務に関する様々な情報についても把握するよう努める必要がある。
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(3)日本アクチュアリー会の自主的な努力の尊重
監督当局は、日本アクチュアリー会の自律的な意思決定に基づいて行われた業務運営を、法令等に基づき検証し、問題の改善を促していく立場にある。日本アクチュアリー会監督にあたっては、このような立場を十分に踏まえ、日本アクチュアリー会の業務運営に関する自主的な努力を尊重するよう配慮しなければならない。
VI -2 会の適切な運営
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(1)監督にあたっては、法令及び特例民法法人に対する監督に関する事務処理規程に規定するもののほか、特例民法法人の指導監督にあたっての留意事項について(事務ガイドライン)において掲げられた閣議決定及び公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会申合せに規定するもののほか、本指針に定めるところによることとする。
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(2)事務局等の確保
日本アクチュアリー会の事務を処理するため、事業の規模、内容等を考慮して事務局を設置し、所要の職員(事務局長1名の外に可能な限り常勤職員)を置いているか。また、これらの事務処理を行うために必要な事務所等の施設、物品等を確保しているか。
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(3)機関
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監事として独立して権限行使ができる人材が選任されているか。また、監事は、監査の趣旨が、違法、不正の摘発のみならず、業務の公益的妥当性をも含む広範なものであることを踏まえ、監査を実施しているか。
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評議員として独立して職務遂行ができる人材が選任されているか。また、評議員は、業務の公正さを確保し、適切な業務運営を実現する観点から、日本アクチュアリー会の独善的運営を防止するためのチェックに積極的に参加しているか。
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(4)会員が日本アクチュアリー会の業務及び活動を行うにあたっては、所属組織や依頼者から独立し、あくまで専門職能者として行動する職能団体であることが確保されるような方策がとられているか。
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(5)情報の開示
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日本アクチュアリー会がインターネットのホームページやパンフレット等で行う情報開示における各開示項目については、利用者の視点に立って、適切かつわかりやすい表示がなされているか。また、開示項目の内容は、最新のものに更新されているか。
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インターネットによるディスクロージャーを行う場合には、例えば、ホームページの運営に関するガイドラインを策定することなどにより、日本アクチュアリー会における情報の迅速かつ積極的なホームページへの掲載を図るとともに、ホームページの効率的かつ円滑な運用を図ることとしているか。
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公益法人の設立許可及び指導監督基準に定められた義務的な開示項目以外の情報を自主的・積極的に開示することは、何ら差し支えないことに留意する。
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VI -3 委託業務
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(1)日本アクチュアリー会が法第122条の2第2項第3号の規定による委託を受けて策定する、法第116条第2項の規定に基づく責任準備金の計算の基礎となる係数及び法第121条第1項各号に掲げる事項について、保険計理人が毎決算期において確認するための基準(以下、「係数及び基準」という。)については、以下のとおり取り扱うものとする。
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(2)係数及び基準の公開
係数及び基準については、ホームページへの掲載が継続的に行われ、国民等一般が容易にアクセスできるものとなっているか。また、係数及び基準に関する資料を最新の状態で、主たる事務所に常に備えて置き、原則として、一般の閲覧に供しているか。
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(3)係数及び基準の策定手続きに関する規定
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策定手続きは明確に定められているか。特に透明性確保の観点から、例えば、会員等からの意見募集の手続き、検討経過・参考資料の公表や係数及び基準の改定、廃止等の見直しの実施などに留意されたものとなっているか。また、必要に応じて学識経験者、公認会計士その他の専門家の意見を踏まえるものとしているか。
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係数及び基準は、理事会による承認を受けているか。
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(4)係数及び基準のレビューの仕組み
係数及び基準は、保険事業環境の変化その他の事情に応じて見直されているか。なお、係数については、毎年その水準の妥当性について確認を行うとともに、その結果を公表しているか。
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(注)当該係数及び基準の改廃手続きについては、上記の策定手続きに関する規定も参照のこと。
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VI -4 調査研究、統計作成、資料収集、情報提供
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(1)調査研究等の実施
保険数理の進歩、高度な保険数理の普及等を図るため、諸外国のアクチュアリー会や関連団体における先進的な研究成果の分析等を含む深度のある調査研究等を実施しているか。
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(2)調査研究活動の促進
会員の積極的な調査研究活動への参加を促進するための方策をとっているか。
VI -5 アクチュアリーの資格試験・資質の向上
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(1)高い水準の行動規範とその実効性の確保のための方策
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保険計理人が法令上定められた職務を行う場合はもとより、アクチュアリーが専門業務の実施にあたり、常に専門職能者としてその機能を十分に発揮して職責を全うし、社会的信頼を高めるために、行動規範を定めているか。また、行動規範は、単に倫理規定に止まらず、補足的ガイダンス・ケーススタディ等とあわせて、具体的な行動指針や基準を示しているか。
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行動規範の実効性の確保のため、充実した研修の実施、実効的かつ厳正・公正な手続き規定を含めた懲戒規定の整備などの方策がとられているか。
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(2)アクチュアリー資格試験制度
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アクチュアリー資格試験の内容は、確率・統計、生保数理・損保数理、年金数理等、アクチュアリーとしての実務等に必要とされる専門的知識の有無を適切に測れるものとなっているか。また、保険数理の進歩等に対応して、試験内容やテキストの見直しを適時適切に行っているか。
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アクチュアリー資格試験の公平かつ適切な運営が確保されているか。
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利用者ニーズの多様化等に応じて高度な保険機能の提供が求められているなどの環境変化に伴い、アクチュアリーの業務内容が複雑多岐にわたり、活動範囲が広範なものとなってきていることに対応して、資格試験制度のさらなる充実について、必要な見直しを適時適切に行っているか。
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(3)会員の資質の継続的維持・向上
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理事会等で定められた方針に基づいたアクチュアリーの専門職としての職務遂行能力の維持・向上を図るために、正会員資格取得のためには最低限の研修を要件とすることを含め、研修体制を整備しているか。
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会員が専門的知識及び技能の維持・向上を不断に図ることを確保するために、一定の研修等の義務付けその他の方策をとっているか。また、保険数理の進歩に対応して、教育・研修内容の見直しを適時適切に行っているか。
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【策定・改正】
平成17年 | 8月 | 12日 | 策定 | |
平成18年 | 2月 | 13日 | 改正 | (平成18年4月1日適用) |
平成18年 | 2月 | 28日 | 改正 | (平成18年4月1日適用) |
平成18年 | 3月 | 31日 | 改正 | (平成18年4月1日適用) |
平成18年 | 4月 | 14日 | 改正 | (平成18年5月1日適用) |
平成18年 | 4月 | 28日 | 改正 | (平成18年5月1日及び平成19年4月1日適用) |
平成18年 | 5月 | 1日 | 改正 | (同日適用) |
平成18年 | 6月 | 2日 | 改正 | (平成18年6月5日適用) |
平成19年 | 2月 | 22日 | 改正 | (同日及び平成19年4月1日適用) |
平成19年 | 7月 | 5日 | 改正 | (同日適用) |
平成19年 | 8月 | 13日 | 改正 | (平成19年9月30日適用) |
平成19年 | 12月 | 21日 | 改正 | (平成19年12月22日適用) |
平成20年 | 2月 | 29日 | 改正 | (平成20年3月1日適用) |
平成20年 | 3月 | 26日 | 改正 | (同日適用) |
平成20年 | 3月 | 31日 | 改正 | (同日適用)(平成20年3月26日公表) |
平成20年 | 11月 | 7日 | 改正 | (同日適用) |
平成20年 | 12月 | 26日 | 改正 | (平成21年4月1日適用) |
平成21年 | 1月 | 30日 | 改正 | (平成21年6月1日適用) |
平成21年 | 4月 | 28日 | 改正 | (同日適用) |
平成21年 | 6月 | 8日 | 改正 | (同日適用) |
平成21年 | 7月 | 3日 | 改正 | (同日適用) |
平成21年 | 9月 | 24日 | 改正 | (平成21年9月28日適用) |
平成21年 | 12月 | 4日 | 改正 | (同日適用) |
平成22年 | 3月 | 4日 | 改正 | (同日適用) |
平成22年 | 4月 | 9日 | 改正 | (平成22年4月20日及び平成24年3月31日適用) |
平成22年 | 6月 | 4日 | 改正 | (同日適用) |
平成22年 | 6月 | 4日 | 改正 | (同日、平成22年9月30日及び同年10月1日適用) |
平成22年 | 7月 | 28日 | 改正 | (同日適用) |
平成22年 | 12月 | 22日 | 改正 | (同日適用) |
平成23年 | 6月 | 9日 | 改正 | (同日適用) |
平成23年 | 9月 | 6日 | 改正 | (同日及び平成24年4月1日適用) |
平成23年 | 11月 | 22日 | 改正 | (平成23年11月24日適用) |
平成24年 | 3月 | 30日 | 改正 | (平成24年4月1日適用) |
平成24年 | 4月 | 18日 | 改正 | (同日適用) |
平成24年 | 4月 | 27日 | 改正 | (同日適用) |
平成24年 | 6月 | 1日 | 改正 | (同日適用) |
平成24年 | 6月 | 29日 | 改正 | (平成24年7月1日適用) |
平成24年 | 7月 | 6日 | 改正 | (平成24年7月9日適用) |
平成24年 | 7月 | 19日 | 改正 | (平成24年7月20日適用) |
平成24年 | 8月 | 10日 | 改正 | (同日適用) |
平成24年 | 11月 | 28日 | 改正 | (同日及び平成25年4月1日適用) |
平成24年 | 12月 | 13日 | 改正 | (平成25年4月1日及び同年7月1日適用) |
平成25年 | 3月 | 25日 | 改正 | (平成25年3月26日適用) |
平成25年 | 3月 | 29日 | 改正 | (平成25年4月1日適用) |
平成25年 | 8月 | 2日 | 改正 | (同日適用) |
平成26年 | 2月 | 28日 | 改正 | (同日適用) |
平成26年 | 3月 | 18日 | 改正 | (同日適用) |
平成26年 | 3月 | 31日 | 改正 | (平成26年4月1日適用) |
平成26年 | 6月 | 4日 | 改正 | (同日適用) |
平成26年 | 9月 | 12日 | 改正 | (同日適用) |
平成26年 | 11月 | 28日 | 改正 | (同日及び平成26年12月1日適用) |
平成27年 | 4月 | 21日 | 改正 | (平成27年4月22日適用) |
平成27年 | 4月 | 30日 | 改正 | (同日適用) |
平成27年 | 5月 | 27日 | 改正 | (同日及び平成28年5月29日適用) |
平成28年 | 2月 | 1日 | 改正 | (同日適用) |
平成28年 | 3月 | 1日 | 改正 | (同日適用) |