III . 貸金業者の監督に係る事務処理上の留意点

III -1 検査・監督事務に係る基本的考え方

前述(Ⅰ-1)の貸金業者の検査・監督の目的を達成するためには、監督当局においても、貸金業者に対し、個々の貸金業者の規模や特性に応じた対応を継続的に行っていくことが必要である。

このため、貸金業者の検査・監督事務を行うに当たっては、まずは、各業者がどの様にしてビジネスモデルの構築、円滑な資金調達への寄与、コンプライアンス・リスク管理態勢の構築等の課題に取り組もうとしているかを理解し、その上で、当該方針がどの様なガバナンス体制の下で実施され、如何なる潜在的なリスクや課題を内包し、各業者がこれらのリスク等をどの様に認識し対応しようとしているか、的確に把握することが不可欠である。

経営全体を見据えた重要課題に対応し、貸金業を営む者の業務の適正な運営の確保及び資金需要者等の利益の保護を図るとともに国民経済の適切な運営に資するためには、各業者が、監督当局から指摘されることなく自らベストプラクティスに向けて改善するよう、貸金業者自身で経営体制を変革していく必要がある。監督当局としては、実態把握や対話等を通じた継続的なモニタリングの過程で、より良い実務を追求する各業者の取組みを促していく。

その上で、上記の過程で、業務の適正な運営及び資金需要者等の利益の保護の観点から重大な問題が認められる場合や貸金業者の自主的な取組みでは業務改善が図られないことが認められる場合は、法第24条の6の3等に基づく業務改善命令等の行政処分(Ⅲ-5)の発動等を検討することとする。

さらに、貸金業者の検査・監督事務を行うに当たっては、以下の点にも十分に留意した上で実施することとする。 

  • (1)貸金業者との十分な意思疎通の確保

    検査・監督に当たっては、貸金業者の経営に関する情報を的確に把握・分析し、適時適切に対応していくことが重要である。このため、監督当局においては、貸金業者からの報告に加え、貸金業者との健全かつ建設的な緊張関係の下で、日頃から十分な意思疎通を図り、積極的に情報収集する必要がある。具体的には、経営陣や社外取締役、内部監査の担当者を含む貸金業者の様々な役職員との定期・適時の面談や意見交換等を通じて、貸金業者との日常的なコミュニケーションを確保し、財務情報のみならず、経営に関する様々な情報についても把握するよう努める必要がある。

  • (2)貸金業者の自主的な努力の尊重

    監督当局は、私企業である貸金業者の自己責任原則に則った経営判断を、法令等に基づき検証し、問題の改善を促していく立場にある。検査・監督に当たっては、このような立場を十分に踏まえ、貸金業者の業務運営に関する自主的な努力を尊重するよう配慮しなければならない。

  • (3)効率的・効果的な検査・監督事務の確保

    監督当局及び貸金業者の限られた資源を有効に利用する観点から、検査・監督事務は、貸金業者の規模や特性を十分に踏まえ、効率的・効果的に行われる必要がある。したがって、貸金業者に報告や資料提出等を求める場合には、検査・監督事務上真に必要なものに限定するよう配意するとともに、現在行っている検査・監督事務の必要性、方法等については常に点検を行い、必要に応じて改善を図るなど、効率性・有効性の向上を図るよう努めなければならない。

    既報告や資料提出等については、貸金業者の事務負担軽減等の観点を踏まえ、年1回定期的に点検を行う。その際は、貸金業者の意見を十分にヒアリングすることに留意する。

    また、小規模な貸金業者等に報告や資料提出等を求める場合には、当該貸金業者等の特性を十分に踏まえ、業務の円滑な遂行に支障が生じないよう配意する。

  • (4)貸金業者に係る情報の積極的な収集

    貸金業者の検査・監督に当たっては、資金需要者等からの苦情等を含め、貸金業者の経営に関する情報を的確に把握・分析し、必要に応じて、適時適切に検査・監督上の対応につなげていくことが重要である。このため、貸金業者からの報告だけではなく、資金需要者等から寄せられる苦情にも注意を払い、さらに協会や貸金業者との日頃からの十分な意思疎通を通じて積極的に情報収集する必要がある。

  • (5)貸金業協会との連携及び非協会員に対する厳正な検査・監督

    協会は、当庁による認可と監督の下で、協会員に適用される自主規制規則の制定と、その遵守を確保するための監査等を通じ、協会員の業務の適正性を確保することを責務としている。このため、協会員に対して効率的で実効性ある検査・監督を行うためには、法に基づく検査・監督責任は監督当局にあることに留意しつつ、協会との間で適切な役割分担と緊密な連携を図る必要がある。一方、非協会員である貸金業者については、当局が協会の自主規制規則の水準に則した適切な社内規則等の制定を命ずるとともに、協会による監査が機能しないことに留意して、オンサイト及びオフサイトのモニタリングをより強化して業務実態の把握に努め、その業務の厳正な検査・監督に当たる必要がある。

III -1-1 一般的な監督事務

  • (1)オフサイト・モニタリング

    財務局は、資金需要者等の利益の保護や貸金業者の業務の健全かつ適切な運営の確保のため、以下に示すヒアリング等を通じ、オフサイト・モニタリングを実施し、貸金業者の業務の実態把握に努めるものとする。

    なお、オフサイト・モニタリングの具体的な実施に当たっては、監督局金融会社室から事務年度当初に監督に係る重点事項等を財務局に示すこととし、これを踏まえ、行うものとする。

    • マル1経営実態に関するヒアリング

      事業報告書、業務報告書からの情報に加え、必要に応じ、詳細な報告を求めた上で、貸付けの動向、資金調達の状況、純資産の状況等について、深度あるヒアリングを行う。

    • マル2法令等遵守等に関するヒアリング

      財務局は、検査の指摘事項に対する改善報告などの各種報告や貸金業者に対する苦情等の状況等から、貸金業者に対して、法令等遵守状況に関する深度あるヒアリングを行うものとする。また、必要に応じ、経営管理態勢、内部管理態勢、内部監査態勢のヒアリングを行うものとする。

    • マル3トップヒアリング

      必要に応じ、財務局幹部が直接、経営陣に対し、経営管理態勢、内部管理態勢、内部監査態勢等に関するトップヒアリングを実施するものとする。

    • マル4非営利特例対象法人である貸金業者へのヒアリング

      非営利特例対象法人である貸金業者については、これらの者が登録又は貸付けにあたり特例措置の適用を受けている場合があることにかんがみ、貸付けの実態等について、定期的にヒアリングを実施するものとする。

    • マル5随時のヒアリング

      貸金業者の業況の変化や貸金業者に対する利用者の姿勢の変化をはじめ、貸金業者の業務の適正な運営に影響を及ぼしかねない事象が生じるなど、監督上の必要が認められる場合には、随時ヒアリングを実施することとする。

    • マル6個別貸金業者に関するデータの整備

      財務局管内の貸金業者について貸金業者台帳(別紙様式2参照)を3月末日現在にて作成するものとし、その写1部を7月末までに監督局金融会社室に提出する。また、記載事項に変更があった場合(軽微なものを除く。)にも遅滞なくその写1部を提出するものとする。

      なお、各財務局の創意・工夫による様式の変更、項目の追加を妨げるものではない。

  • オフサイト・モニタリングに当たっての留意点

    オフサイト・モニタリングの実施により、貸金業者が抱える経営実態や法令等遵守態勢等の問題点を早期に把握し、当該問題点を踏まえ、貸金業者の自主的な改善を促すことも含め行政上必要な対応の検討につながるよう十分配意するものとする。また、問題点がどのような背景や土壌から発生し、どのようなリスクを有しているかなど、問題の本質を探究することにも留意するものとする。

    なお、財務局は、貸金業者の規模・特性、地域に与える影響等も踏まえ、その効率的・効果的な実施に努めるものとする。

  • (2)法24条の6の10に基づく立入検査

    資金需要者等の利益の保護のため詳細な検証が必要と判断された場合等、必要が認められる場合には法に基づく立入検査を行う。その際、経営上重要な問題は何で、その根本的な原因は何かを常に念頭に置き、経営陣と議論を行うことで、安易な結論ではなく貸金業者の経営や金融行政上重要な課題について根幹に根差した議論を行うよう心掛ける。

    なお、立入検査に係る基本的な手続きは、別紙1「立入検査の基本的手続」を参照。また、検査結果通知書を交付した場合は、その交付日から原則として一週間以内に貸金業者に対し、指摘事項についての事実確認、発生原因分析、改善・対応策等について、法第24条の6の10に基づき、1か月以内に報告することを求める。

  • (3)対話

    対話は、コンプライアンス等に係る重大な問題発生の有無や蓋然性、貸金業者の経営状況の改善に向けた自主的な取組み状況等その時々における個別具体的状況、問題の性質、貸金業者の規模や業務特性に応じて実施される。

    対話を実施する際は、当局側の思い込み、仮説の押し付けを排し、可能な限り、貸金業者が安心して自らの立場の主張をできるよう努めつつ、まずは、貸金業者側の考え方や方針を十分に把握し、その上で事実の提示を伴いつつ行うことを徹底する。

    更に、対話に当たっては、それまで、当局が各業者と行ってきたやりとり等を十分に踏まえ、対話の継続性に配慮した運営に努める必要がある。

    イ. 当局による実態把握において、コンプライアンス等に係る重大な問題発生の蓋然性が高まったことが認められた場合においても、まずは、貸金業者自らが課題・根本原因・改善策の妥当性について検証を行った上で、当局と貸金業者との間で改善策の策定・実行について深度ある対話を行うこととする。但し、既に上記問題が発生している等高度の緊急性が認められる場合においては、当局が考える要改善事項の明確な指摘を行った上で各業者の対応方針を確認する。

    ロ. 上記問題が発生する蓋然性が認められない貸金業者については、自らの置かれた状況に応じ多様で主体的な創意工夫を発揮することで、ビジネスモデルやリスク管理の高度化努力を続けることが重要である。そこで、当局としては、日頃のモニタリングを通じた特性把握を基に、各業者の置かれた経営環境や経営課題あるいは、各業者の戦略、方針について深い理解を持った上で、特定の答を前提とすることなく、貸金業者自身に「気付き」を得てもらうことを目的に、貸金業者との間で、ビジネスモデルやリスク管理、人材育成等について深度ある対話を行っていく(この過程でベストプラクティス等の他の参考事例を必要に応じて共有する)。

  • (4)苦情対応等

    貸金業者に関する苦情等(違法又は不適切な行為に係る「苦情」、債務整理等に係る「相談」、登録の有無に係る「照会」、制度改正意見などの「要望」を含む。以下 III において同じ。)の対応については、資金需要者等の利益の保護の観点に立って対応するとともに、監督当局として、苦情等が貸金業者の法令等遵守状況、業務運営の適切性、内部管理態勢の有効性等を判断する重要な情報であるとの視点をもって対応する必要がある。

    なお、苦情等の申出人への対応においては、当局は個別取引に関してあっせん等を行う立場にないことを説明するとともに、必要に応じ、指定ADR機関、協会、弁護士会又は警察等当該苦情等の内容から判断して適切と思われる機関を紹介するものとする。

    • マル1金融庁から回付される苦情等への対応

      金融庁金融サービス利用者相談室に寄せられた苦情等など、監督局金融会社室から回付された苦情等については、財務局が直接受理した苦情等と同様に取り扱うものとし、内容を分析したうえで情報として集約するとともに、必要に応じて、以下に定める規定に従って必要な措置を取るものとする。

    • マル2苦情対応等

      • イ. 苦情等の申出があったときは、苦情等の申出人から事情を聴取し、貸金業者(無登録業者を含む。)の違法又は不適切な行為に係る苦情等と認められた場合は、別紙様式3-1による「貸金業関係苦情受付対応状況票」に所要の事項を記録するものとする。

      • ロ. 苦情等の対応に当たっては、法に基づく権限の範囲内において申出人に必要な助言を行うとともに、申出人が貸金業者への申出内容の提供を承諾している場合には、原則として、当該貸金業者に対し、その内容を連絡するものとする。

      • ハ. 他の財務局の登録業者に関する苦情等の申出を受けた財務局は、申出人名や具体的な申出内容の聴取に努めるとともに、申出内容に応じ、当該貸金業者の登録をした財務局に対し、把握した苦情内容等必要事項を連絡するなど、相互に連携を図るものとする。

        ただし、貸金業者から譲り受けた債権の取立てに係る苦情等の申出を受けた場合の連絡先は、以下のとおりとする。

        a. 当該譲受人が貸金業者の場合   当該貸金業者の登録をした財務局又は都道府県。
        b. 当該譲受人が上記a.以外の場合   当該譲受人に対する監督権限を有する都道府県。

        なお、当該申出に係る債権の譲受人が債権管理回収業に関する特別措置法に基づき法務大臣の許可を受けた債権回収会社であるときは、別途、監督局金融会社室を経由して、法務省に情報提供するものとする。

      • ニ. 無登録営業に係る苦情等を含め、犯罪の疑いのある旨の情報を入手した際は、明らかに信ぴょう性を欠くと認められる場合を除き、原則として情報入手先の同意を得た上で、当該情報を捜査当局に提供するなど、捜査当局との連携に努めるものとする。

      • ホ. 苦情等の申出を受けて、無登録業者がインターネットのホームページにおいて貸金業を営む旨の広告を行っていることが確認された際も、上記ニ.と同様とする。この場合において、捜査当局に対する情報提供を行うときは、監督局金融会社室を経由して(下記マル3イ.に該当する場合には直接)行うものとする。

      • へ. 都道府県・協会等から提供された無登録営業等に係る情報については、情報の内容に応じ、都道府県・協会等と密接な連携の下、適切な対応を行うものとする。

      • ト. 苦情等の対応結果については、別紙様式3-2により、「貸金業関係苦情等対応総括表」を毎月作成するとともに、当該総括表を財務局分及び都道府県分に取りまとめのうえ、毎四半期の翌月末日までに、監督局金融会社室あて報告するものとする。

    • マル3無登録業者への対応

      上記マル2ニ.及びホ.における捜査当局との連携に当たり、無登録業者に関する情報を把握した場合は、以下の対応を行うこととする。

      • イ. 財務局登録番号詐称業者への対応

        • a. 苦情等において、財務局登録番号を詐称する業者に関する情報を把握した場合は、自局の登録番号を詐称する業者に対しては、直接、電話又は文書等により、実態把握に努めるとともに警告を行う。

        • b. 他局の登録番号を詐称する業者に関する情報を把握した場合、情報を把握した財務局は、当該詐称に係る財務局に情報提供を行うこととし、情報提供を受けた財務局は、電話又は文書等により、実態把握に努めるとともに警告を行う。

        • c. 財務局を特定できない詐称業者に関する情報を把握した場合、当該情報を把握した局は、注意喚起のために必要な措置を行う。

      • ロ. 上記イ.のほか、特に、無登録業者による違法な貸付けや取立ての被害を内容とする苦情等の申出を受けた場合は、財務局登録番号詐称の有無にかかわらず、早急に以下の措置をとることとする。

        • a. 当該業者に対し、電話又は別紙様式4-1による文書照会等により、具体的な業務内容等の実態把握に努める。

        • b. 上記a.により電話等で調査した結果、当該業者が無登録で貸金業を営んでいる疑いがあると判断される場合には、電話又は別紙様式4-2の文書等により警告を行う。

          なお、上記a.による照会に対する回答がなく、かつ、引き続き同種の苦情等を受けるなど、当該業者が無登録で貸金業を営んでいる疑いがあると認められる場合も同様の取扱いとする。

        • c. 上記a.及びb.の措置をとった場合は、業者名、代表者名、店舗等の所在地、業務内容及び規模、被害の状況、当局が調査に至った端緒、当局が無登録で貸金業を営んでいる事実を確認した方法等について、速やかに監督局金融会社室あて報告する。

      • ハ. 上記イ.ロ.の場合において、預金口座の不正利用に関する情報(具体的には、当該口座に返済資金の振込みを行うよう、指示がなされたとの情報等)が含まれ、情報入手先からの同意を得ている場合には、明らかに信ぴょう性を欠くと認められる場合を除き、当該口座が開設されている銀行等の監督部局及び警察当局への情報提供を速やかに実施することとする。

        なお、当該情報に関しては、原則として、顕名情報とし、根拠となる請求書等とともに、文書、ファックス又は電子メールにて受け付けるものとする。

        (注)都道府県から提供を受けた場合についても、従前同様、上記の対応をしていくものとする。

III -1-2 貸金業協会の協会員でない貸金業者に対する監督

非協会員に対する監督に当たっては、以下の点に留意する必要がある。

  • (1)非協会員の社内規則等については、「 II .貸金業者の監督に当たっての評価項目」の各項目の主な着眼点に加え、協会の自主規制規則の水準に則った適切な社内規則等の作成・変更を命じることとする。なお、自主規制規則の水準に満たない内容等の社内規則等に係る承認申請があった場合、その理由等について法第24条の6の10の規定に基づき報告を求め、当該非協会員の規模や特性を踏まえ、資金需要者等の利益の保護の観点から問題がないかどうか検証することとする。

  • (2)非協会員については、協会による調査・監査が機能しないことに留意し、オンサイト及びオフサイトのモニタリングをより強化して業務実態の把握に努め、協会員との衡平性を確保した厳正な監督にあたるものとする。

  • (3)非協会員について、資金需要者等の利益の保護の観点から問題が認められた場合、協会による改善指導が機能しないことに留意し、行政処分の内容を検討するものとする。

  • (4)非協会員の広告については、 II -2-15(2)マル5により取扱うものとする。

III -1-3 業務提携を行う貸金業者等に対する効果的な監督のための当局間の連携

貸金業者間で、あるいは貸金業者と貸金業者でない者との間で債権譲渡や保証等を通じ業務提携が行われている場合には、資金需要者等の利益の保護に問題が生じても、いずれかの業者のみを対象とする報告徴収では、問題点を正確に把握できず、適切に対処しえないおそれがある。このため、必要な場合には、業務提携先の貸金業者を監督する他の財務局や都道府県にも協力を求め、積極的に監督情報の共有や監督方法についての意見交換等を行うこととする。

特に、貸金業者が人的、資本的に密接な関係にある貸金業者との間で実質的に分業体制を構築しているような場合には、あらかじめ当該貸金業グループに係る監督情報の共有を行うなど、緊密な連携を図るための態勢を確保することとする。

なお、都道府県との連携については、日常の監督事務を通じて把握した情報の交換等のほか、 III -7に定める貸金業監督者会議において、定期的に監督情報の共有や監督方法についての意見交換等を行うこととする。

III -1-4 監督当局間の連携

  • (1)金融庁と財務局における連携

    金融庁と財務局との間では、財務局登録の貸金業者を監督する上で必要と認められる情報について、適切に情報交換等を行い、問題意識の共有を図る必要がある。そのため、III-1-8に掲げる内部委任事務に係る調整等以外の情報等についても、適宜適切な情報提供や積極的な意見交換を行う等、連携の強化に努めることとする。また、財務局間においても、他の財務局が監督する貸金業者について、公表されていない問題等を把握したときは、適宜、監督する財務局や金融庁への情報提供を行い、連携の強化に努めることとする。

  • (2)管轄財務局長との連絡調整

    • マル1財務局長(福岡財務支局長及び沖縄総合事務局長を含む。以下同じ。)は、他の財務局長が管轄する区域に貸金業者の営業所等が所在する場合、法第24条の6の2に規定する届出書(施行規則第26条の25第1項第3号及び4号を除く。)の写しを当該営業所等の所在地を管轄する財務局長に送付するものとする。

    • マル2管轄する貸金業者に対して法第24条の6の7に基づく処分を行った場合は、速やかに、当該貸金業者の営業所等の所在地を管轄する他の財務局長にその処分内容を連絡するものとする。

III -1-5 貸金業協会との連携等

協会は、貸金業者の業務の適正な運営を確保し、もって貸金業の健全な発展と資金需要者等の利益の保護を図るとともに、国民経済の適切な運営に資するため、自主規制規則の制定、協会員に対する法令等遵守状況等の調査・指導、資金需要者等からの苦情解決など、重要な役割を担っている。

貸金業者の監督に当たっては、協会と適切な連携を図る必要があることから、以下に留意するものとする。

  • (1)協会員である貸金業者に対して、効率的かつ実効性のある監督を行う観点から、協会が実施した協会員に対する調査、監査及び改善指導等について、随時、ヒアリングを行う。

  • (2)必ずしも法令違反とはいえない軽微な事項のうち、協会が改善指導等を行う方が適当かつ効果的であると認められるものについては、協会と密接な連携のもと、当局の監督権に留意しつつ、協会による改善指導等を要請し、監査上の留意事項とするよう依頼することができる。

  • (3)協会が受け付けた苦情等及び苦情等処理状況並びに苦情等の動向等について、協会から定期的にヒアリング及び意見交換を行う。

  • (4)非協会員を含めた貸金業者に対し、適切かつ効率的な監督を行う観点から、自主規制規則の制定、変更及び運用状況について、協会と密接に連携を図る。

III -1-6 指定信用情報機関との連携

信用情報の取扱いの重要性に鑑み、指定信用情報機関と適切な連携を図る必要があることから、以下に留意するものとする。

  • (1)信用情報の不適切な取扱いが疑われるなど財務局と指定信用情報機関との間で情報を共有すべきと判断される事案がある場合は、指定信用情報機関との間で情報の共有化を図る。

  • (2)貸金業者における信用情報の取扱いに関し、財務局が適正な監督を実施する上で必要と認められるときは、指定信用情報機関に対し、同機関が保有する情報の提供を求めることとする。

  • (3)貸金業者と指定信用情報機関との信用情報提供契約の終了に関する指定信用情報機関の公表情報を随時確認し、得られた情報を検査・監督に活用する。

III -1-7 内部委任

  • (1)金融庁長官との調整

    財務局長は、貸金業者の監督事務に係る財務局長への委任事項等の処理に当たり、以下に掲げる事項(その他の事項についても必要に応じ金融庁長官と調整することを妨げない)については、あらかじめ金融庁長官と調整するものとする。なお、調整の際は、財務局における検討の内容( III -5-1(3)の検討内容を含む)及び処理意見を付するものとする。

    • マル1法第24条の6の3の規定による業務改善命令。

    • マル2法第24条の6の4第1項の規定による登録の取消し又は業務の停止。

    • マル3法第24条の6の4第2項の規定による役員の解任命令。

    • マル4法第24条の6の5の規定による登録の取消し。

    • マル5法第24条の6の6第1項第2号の規定による登録の取消し。

  • (2)財務事務所長等への再委任

    登録申請者及び貸金業者の主たる営業所等の所在地が財務事務所又は小樽出張所若しくは北見出張所の管轄区域内にある場合においては、財務局長に委任した権限のうち、登録申請者又は貸金業者が提出する申請書、届出書及び報告書の受理に関する権限は、当該財務事務所長又は出張所長に行わせることができるものとする。

    なお、これらの事項に関する申請書等は、登録申請者又は貸金業者の主たる営業所等の所在地を管轄する財務局長宛提出させるものとする。

(別紙1)「立入検査の基本的手続」

(別紙1-2)「重要事項一覧」

III -2 法令解釈等外部からの照会への対応

III -2-1 法令照会

  • (1)照会を受ける内容の範囲

    照会を受ける内容の範囲は、貸金業法等金融庁が所管する法令に関するものとする。

    なお、照会が権限外の法令等に係るものであった場合には、コメント等は厳に慎むものとする。

  • (2)照会に対する回答方法

    • マル1本監督指針、審議会等の答申・報告等の既存資料により回答可能なものについては、適宜回答するものとする。

    • マル2財務局が照会を受けた際、回答に当たって判断がつかないもの等については、「連絡箋」(別紙様式5)を作成し、金融庁担当課室と電子メール等により協議するものとする(送り状は財務局担当課長から金融庁担当課室総括課長補佐宛とする。)。

    • マル3金融庁で照会を受けた課室の長は、当庁が所管する法令に関し、当庁所管法令の直接の適用を受ける事業者又はこれらの事業者により構成される事業者団体(注)から受けた、次のイ.及びロ.の項目で定める要件を満たす一般的な照会であって、書面による回答及び公表を行うことが法令適用の予測可能性向上等の観点から適切と認められるものについては、これに対する回答を書面により行い、その内容を公表することとする。

      (注)  事業者団体とは、当庁所管法令の直接の適用を受ける、業種等を同じくする事業者が、共通の利益を増進することを主たる目的として、相当数結合した団体又はその連合体(当該団体に連合会、中央会等の上部団体がある場合には、原則として、最も上部の団体に限る。)をいう。
      • イ. 本手続の対象となる照会の範囲

        本手続の対象となる照会は、以下の要件の全てを満たすものとする。

        • a. 特定の事業者の個別の取引等に対する法令適用の有無を照会するものではない、一般的な法令解釈に係るものであること(法令適用事前確認手続(以下、「ノーアクションレター制度」という。)の利用が可能でないこと)。

        • b. 事実関係の認定を伴う照会でないこと。

        • c. 照会内容が、金融庁所管法令の直接の適用を受ける事業者(照会者が団体である場合はその団体の構成事業者)に共通する取引等に係る照会であって、多くの事業者からの照会が予想される事項であること。

        • d. 過去に公表された事務ガイドライン、監督指針等を踏まえれば明らかになっているものでないこと。

      • ロ. 照会書面(電子的方法を含む)

        本手続きの利用を希望する照会者からは、以下の内容が記載された照会書面の提出を受けるものとする。また、照会書面のほかに、照会内容及び上記イ.に記載した事項を判断するために、記載事項や資料の追加を要する場合には、照会者に対して照会書面の補正及び追加資料の提出を求めることとする。

        • a. 照会の対象となる法令の条項及び具体的な論点。

        • b. 照会に関する照会者の見解及び根拠。

        • c. 照会及び回答内容が公表されることに関する同意。

      • ハ. 照会窓口

        照会書面の受付窓口は、照会内容に係る法令を所管する金融庁担当課又は照会者を所管する財務局担当課とする。財務局担当課が照会書面を受領した場合には、速やかに金融庁担当課室に電子メール等により照会書面を送付することとする。

      • ニ. 回答

        • a. 金融庁担当課室長は、照会者からの照会書面が照会窓口に到達してから原則として2ヶ月以内に、照会者に対して回答を行うよう努めることとし、2ヶ月以内に回答できない場合には、照会者に対してその理由を説明するとともに、回答時期の目途を伝えることとする。

        • b. 回答書面には、以下の内容を付記することとする。

          「本回答は、照会対象法令を所管する立場から、照会書面に記載された情報のみを前提に、照会対象法令に関し、現時点における一般的な見解を示すものであり、個別具体的な事例への適用を判断するものではなく、また、もとより捜査機関の判断や司法判断を拘束しうるものではない。」

        • c. 本手続きによる回答を行わない場合には、金融庁担当課室は、照会者に対し、その旨及び理由を説明することとする。

      • ホ. 公表

        上記ニ. の回答を行った場合には、金融庁は、速やかに照会及び回答内容を金融庁ホームページ上に掲載して、公表することとする。

    • マル4マル3に該当するもの以外のもので照会頻度が高いもの等については、必要に応じ「応接箋」(別紙様式6)を作成した上で、関係部局に回覧し、金融庁担当課室又は財務局担当課の企画担当係に保存するものとする。

    • マル5照会者が照会事項に関し、金融庁からの書面による回答を希望する場合であって、 III -2-2に照らし、ノーアクションレター制度の利用が可能な場合には、照会者に対し、ノーアクションレター制度を利用するよう伝えることとする。

III -2-2 法令適用事前確認手続(ノーアクションレター制度)

法令適用事前確認手続(以下「ノーアクションレター制度」という。)とは、民間企業等が実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して当該行為が特定の法令の規定の適用対象となるかどうかを、あらかじめ当該規定を所管する行政機関に確認し、その機関が回答を行うとともに、当該回答を公表する制度であり、金融庁では、法令適用事前確認手続に関する細則を定めている。本項は、ノーアクションレター制度における事務手続を規定するものであり、制度の利用に当たっては必ず「金融庁における法令適用事前確認手続に関する細則」を参照するものとする。

  • (1)照会窓口

    照会窓口は、金融庁監督局総務課とする。

    なお、照会窓口たる金融庁監督局総務課は、下記(2)マル3の記載要領に示す要件を満たした照会書面が到達した場合は速やかに受け付け、照会事案に係る法令を所管する担当課室に回付する。

    財務局所管の貸金業者は、財務局に照会する。財務局が照会を受けた場合には、金融庁監督局総務課に対し、照会書面を原則として速やかに電子メール等により送付する。

    (注)  財務局においては、照会書面を金融庁監督局総務課に送付する際、原則として審査意見を付するものとする。
  • (2)照会書面受領後の流れ

    照会書面を回付された後は、担当課室において、回答を行う事案か否か、特に、以下のマル1からマル3について確認し、当制度の利用ができない照会の場合には、照会者に対しその旨を連絡する。また、照会書面の補正及び追加書面の提出等が必要な場合には、照会者に対し所要の対応を求めることができる。ただし、追加書面は必要最小限とし、照会者の過度な負担とならないよう努めることとする。

    • マル1照会の対象

      民間企業等が、新規の事業や取引を具体的に計画している場合において、当庁が本手続の対象としてホームページに掲げた所管の法律及びこれに基づく政府令(以下「対象法令(条項)」という。)に関し、以下のような照会を行うものか。

      • その事業や取引を行うことが、無許可営業等にならないかどうか。
      • その事業や取引を行うことが、無届け営業等にならないかどうか。
      • その事業や取引を行うことによって、業務停止や免許取消等(不利益処分)を受けることがないかどうか。
    • マル2照会者の範囲

      照会者は、実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して、対象法令(条項)の適用に係る照会を行う者及び当該者から依頼を受けた弁護士等であって、下記マル3の記載要領を満たした照会書面を提出し、かつ、照会内容及び回答内容が公表されることに同意しているか。

    • マル3照会書面の記載要領

      照会書面(電子的方法を含む。)は、下記の要件を満たしているものか。

      • イ. 将来自らが行おうとする行為に係る個別具体的な事実が記載されていること。

      • ロ. 対象法令(条項)のうち、適用対象となるかどうかを確認したい法令の条項が特定されていること。

      • ハ. 照会及び回答内容が公表されることに同意していることが記載されていること。

      • ニ. 上記ロ.において特定した法令の条項の適用に関する照会者の見解及びその根拠が明確に記述されていること。

    • マル4回答

      照会書面を回付された課室の長は、照会者からの照会書面が照会窓口に到達してから原則として30日以内に照会者に対する回答を行うものとする。ただし、次に掲げる場合には、各々の定める期間を回答期間とする。なお、いずれの場合においても、補正期間を含め、できるだけ早く回答するよう努めることとする。

      • イ. 高度な金融技術等に係る照会で慎重な判断を要する場合  原則60日以内。

      • ロ. 担当部局の事務処理能力を超える多数の照会により業務に著しい支障が生じるおそれがある場合  30日を超える合理的な期間内。

      • ハ. 他府省との共管法令に係る照会の場合  原則60日以内。

      照会書面の記載について補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、回答期間に算入しないものとする。また、30日以内に回答を行わない場合には、照会者に対して、その理由及び回答時期の見通しを通知することとする。

    • マル5照会及び回答についての公開

      金融庁は、照会及び回答の内容を、原則として回答を行ってから30日以内に全て金融庁ホームページに掲載して公開する。

      ただし、照会者が、照会書面に、回答から一定期間を超えて公開を希望する理由及び公開可能とする時期を付記している場合であって、その理由が合理的であると認められるときは、回答から一定期間を超えて公開することができる。この場合においては、必ずしも照会者の希望する時期まで公開を延期するものではなく、公開を延期する理由が消滅した場合には、公開する旨を照会者に通知した上で、公開することができる。また、照会及び回答内容のうち、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に定める不開示事由に該当し得る情報が含まれている場合、必要に応じ、これを除いて公表することができる。

III -2-3 グレーゾーン解消制度

産業競争力強化法(以下、「強化法」という。)第7条第1項は、新事業活動を実施しようとする者は、その実施しようとする新事業活動及びこれに関連する事業活動に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令(告示を含む。以下、この項において「法令」という。)の規定の解釈並びに当該新事業活動及びこれに関連する事業活動に対する当該規定の適用の有無について、その確認を求めることができる制度(以下、「グレーゾーン解消制度」という。)を規定している。本項は、グレーゾーン解消制度における事務手続きを規定するものであり、制度の利用に当たっては、「「グレーゾーン解消制度」、「規制のサンドボックス制度」及び「新事業特例制度」の利用の手引き」(令和4年7月15日経済産業省) (以下、同省による改正後のものを含め、この項において「利用の手引き」という。)を参照するものとする。

  • (1)照会窓口

    照会窓口は、金融庁総合政策局総合政策課とする。

    なお、照会窓口たる金融庁総合政策局総合政策課は、下記(2)③の記載要領に示す要件を満たした照会書が到達した場合は速やかに受け付け、当該照会書の提出先が二以上の主務大臣であるときは、他の主務大臣に対し、その確認を求めるものとする。

    財務局所管の貸金業者は、財務局に照会する。財務局が照会を受けた場合には、金融庁総合政策局総合政策課に対し、照会書を速やかに送付する。

      (注)   財務局においては、照会書を金融庁総合政策局総合政策課に送付する際、当該照会書に記載された確認の求めのうち当庁が所管する法令に関するものに限り、原則として審査意見を付するものとする。
  • (2)照会書受領後の流れ

    照会書を受け付けた後は、総合政策局総合政策課において、当該照会書を当該照会書に記載された確認の求めに係る法令を所管する担当課室に速やかに回付するとともに、当該担当課室と協議しつつ、回答を行う事案か否か、特に、以下の①から③について確認し、当制度の利用ができない確認の求めの場合には、当該照会書を提出した者(以下、この項において「提出者」という。)に対しその旨を連絡する。また、照会書の補正、追加書類の提出等が必要な場合には、提出者に対し所要の対応を求めることができる。ただし、追加書類は必要最小限とし、提出者の過度な負担とならないよう努めるものとする。

    • マル1確認の求めの主体

      以下のイ.及びロ.を満たすか。

      • イ.提出者は、新事業活動を実施しようとする者であること。

        • (注)「新事業活動」とは、新商品の開発又は生産、新たな役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動のうち、当該新たな事業活動を通じて、生産性(資源生産性(エネルギーの使用又は鉱物資源の使用(エネルギーとしての使用を除く。)が新たな事業活動を実施しようとする者の経済活動に貢献する程度をいう。)を含む。)の向上又は新たな需要の開拓が見込まれるものであって、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがないものをいう(強化法第2条第4項、産業競争力強化法に基づく新技術等実証及び新事業活動に関する規制の特例措置の整備等及び規制改革の推進に関する命令(以下、「強化法命令」という。)第2条)。

      • ロ.提出者が、当庁所管の事業に係る新事業活動を実施しようとしている者であること。または、提出者が、その新事業活動及びこれに関連する事業活動に関する規制について規定する当庁が所管する法令の規定の解釈及び当該規定の適用の有無について、その確認を求めようとしている者であること。

    • マル2照会の対象

      提出者が、その実施しようとする新事業活動及びこれに関連する事業活動に関する規制について規定する当庁が所管する法令の規定の解釈及び当該規定の適用の有無について、その確認を求めるものであって、以下のような照会を行うものか。

      • イ.その事業や取引を行うことが、無許可営業等にならないか。

      • ロ.その事業や取引を行うことが、無届け営業等にならないか。

      • ハ.その事業や取引を行うことによって、業務停止や免許取消等(不利益処分)を受けることがないか。

      • 二.その事業や取引を行うことに関し、直接に義務を課され又は権利を制限されることがないか。

    • マル3照会書の記載要領

      強化法命令様式第九に従い、また利用の手引きを踏まえ、以下の事項が記載されているか。

      • イ.新事業活動及びこれに関連する事業活動の目標

      • ロ.新事業活動及びこれに関連する事業活動の内容

      • ハ.新事業活動及びこれに関連する事業活動の実施時期

      • 二.解釈及び適用の有無の確認を求める法令の条項等

      • ホ.具体的な確認事項

  • (3)回答

    •   照会書を回付された課室は、総合政策局総合政策課において回答を行う事案と判断した場合においては、提出者からの照会書が照会窓口に到着してから原則として1か月以内に提出者に対し強化法命令様式第十一による回答書を交付するものとする。
      また、照会書を回付された課室は、当該照会書に記載された確認の求めに係る法令の規定の解釈及び適用の有無についての検討の状況に照らし、上記期間内に回答書を交付することができないことについてやむを得ない理由がある場合には、当該回答書を交付するまでの間1か月を超えない期間ごとに、その旨及びその理由を提出者に通知するものとする。

III -3 貸金業法等に係る諸手続

III -3-1 登録の申請、届出書等の受理

貸金業の登録の申請並びに変更及び登録簿の閲覧等の事務処理については、以下のとおり取り扱うものとする。

  • (1)登録申請書、届出書の受理

    • マル1登録申請書並びに変更の届出書及び廃業等の届出書等の提出は、原則として、財務局に対して直接提出する。ただし、法第41条の8の規定に基づき、協会員について、協会が当該申請書、届出書等の受理につき財務局に協力することとされている場合には、協会員においては、主たる営業所等の所在地をその区域に含む協会支部(以下「協会支部」という。)を通じて提出する。

      また、施行規則第32条第1項に規定する「登録、指定、認可又は承認に関する申請がその事務所に到達」した日とは、財務局長が当該申請書を受理した日とする。なお、協会を経由せずに、直接、財務局に登録申請書等の提出があった場合は、正式に受理をする前に書式、記載事項及び添付書類等を慎重に点検し、明らかに不備がある場合は補正を求めるものとする。

    • マル2登録申請書及び変更の届出の受理に当たっては、次の事項に留意し、不適切な場合にはその是正を求めるものとする。

      • イ. 資金需要者等に公的機関又は金融機関のごとき誤解を与え、取引の公正を害するおそれのある商号又は名称を使用していないこと。

      • ロ. 2以上の商号又は名称を使用して、2以上の登録の申請をしていないこと。

      • ハ. 復代理店及び代理店の支店等の設置をしていないこと。

      • ニ. 代理店契約の内容について、次に掲げる事項を記載していること。

        • a. 貸金業法等を遵守する旨の文言。

        • b. 代理業務の範囲に関する事項。

        • c. 代理店手数料の決定及び支払に関する事項。

        • d. 代理業務の取扱いに必要な経費の分担に関する事項。

        • e. 営業用の施設及び設備の設置主体等。

    • マル3施行規則第4条第3項に規定する「営業所又は事務所の所在地に関する登記事項証明書その他の当該所在地を証する書面」については、次によるものとする。

      • イ. 営業所等(自動契約受付機及び現金自動設備を除く。)に係る登記事項証明書(登記事項証明書の徴収が困難な場合はそれに代わる書面)、地図及び見取図。

      • ロ. 非協会員については、上記イ.に加え、営業所等の写真及び営業所等を賃借する場合にあっては、所有者からの使用承諾書又は賃貸借契約書等(貸金業の営業所等として使用されることを承諾する旨の記載のあるもの)。

      • ハ. 協会員については、登録申請者が設置する自動契約受付機及び店舗外現金自動設備(営業所等(現金自動設備を除く。)の同一敷地内(隣接地を含む。)以外に設置されるものをいう。以下同じ。)については、施行規則別紙様式第1号「10 営業所等の名称及び所在地」(第4面)をもって所在地を証する書面とすることができる。

    • マル4法人であって、施行規則第4条第4項第11号に規定するものを有しない者に対する同項第10号に規定する「貸借対照表又はこれに代わる書面」の内容の確認又は個人に対する同項第12号に規定する「財産に関する調書」(以下「財産調書」という。)の内容の確認に当たっては、必要に応じ、例えば、以下のような書面によるものとする。

      • イ. 預金が計上されている場合にあっては、取引先の金融機関が発行する残高証明書。

      • ロ. 有価証券が計上されている場合にあっては、取引先の証券会社が発行する取引残高報告書。

      • ハ. 土地又は建物が計上されている場合にあっては、市区町村が発行する固定資産評価証明書又は不動産鑑定士が作成した鑑定評価書の写し。

      • ニ. 法人にあっては、法人税の確定申告書及び確定申告書に添付した貸借対照表の写し。

      • ホ. 個人で青色申告している場合にあっては、所得税の確定申告書(所得税青色申告決算書及び収支内訳書を含む。)の写し。

    • マル5施行規則別紙様式第4号(記載上の注意)5の「算出日の適正な評価価格に基づき算出した価額」とは、土地及び建物の取得価額、固定資産評価証明書に記載された価額又は鑑定評価書に記載された価額とする。

  • (2)登録の申請の審査

    • マル1適切な業務を運営することに疑義がある場所を営業所等として記載することや、他人に成りすます又は他人の名義を借りて貸金業登録を行うなど、登録行政庁を欺き貸金業の登録を受けることは、虚偽記載又は不正な手段による登録となるため、特に、新規の登録申請又は過去に貸出実績のない者からの登録の更新申請に当たり、登録申請者(法人の役員を含む。)や重要な使用人を財務局に招聘してヒアリングを行い又は営業所等の現地調査を行うなど、不適切な登録申請を排除するよう努めるものとする。

    • マル2法第6条第1項第11号の「暴力団員等がその事業活動を支配する者」は、暴力団員等が自己又は他人の名義で多額の出資をし、これを背景として事業活動に相当の影響力を及ぼしている法人のほか、例えば、融資関係、人的派遣関係又は取引関係等を通じて、結果的に暴力団員等が事業活動に相当程度の影響力を有するに至っているものが含まれ、具体的には、次の事由を有する者がこれに該当すると考えられる。

      • イ. 暴力団員等の親族(事実上の婚姻関係にある者を含む。)又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者が、登録申請者(法人の役員を含む。)又は重要な使用人であることのほか、多額の出資又は融資を行い、事業活動に相当程度の影響力を有していること。

      • ロ. 暴力団員等が、事業活動への相当程度の影響力を背景にして、名目のいかんを問わず、多額の金品その他財産上の利益供与を受けていること又は売買、請負、委任その他の多額の有償契約を締結していること。

    • マル3申請者が法人である場合、法第6条第1項第14号の財産的要件の審査に当たっては、施行規則第4条第4項第11号若しくはIII-3-1(1)マル4に規定する書類又は必要に応じて申請者に対するヒアリングにより、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従って作成された貸借対照表に基づく純資産額であるかを確認するものとする。

    • マル4申請者が個人である場合、法第6条第1項第14号の財産的要件の審査に当たっては、前年度の課税・所得証明等を確認することにより、一時的に資金等を取得することで登録を受けようとする者を排除するよう努めるものとする。

    • マル5法第6条第1項第14号に規定する「資金需要者等の利益を損なうおそれがないものとして内閣府令で定める事由がある者」のうち施行規則第5条の6及び第5条の8に規定する者であるかどうかの審査に当っては、登録申請書及び同添付書類等をもとに、ヒアリング及び実地調査等により検証するものとする。

    • マル6法第6条第1項第15号に規定する「貸金業を的確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者」であるかどうかの審査に当たっては、登録申請書及び同添付書類をもとに、ヒアリング及び実地調査等により検証し、特に以下の点に留意するものとする。

      • イ. 申請者の社内規則等は協会の自主規制規則と同等の社内規則等となっているか。

      • ロ. 社内規則等及び監督指針 II -1(経営管理等)並びに II -2(業務の適切性)に掲げた主な着眼事項について、当該貸金業者の規模・特性等からみて、適切に対応するための態勢が整備されているか。

        特に、組織態勢の確認に当たっては、法令等遵守のための態勢を含め、相互牽制機能が有効に機能する内部管理部門の態勢(業容に応じて、内部監査態勢)が整備されているか。

      • ハ. 営業所等に個人情報の保管のための適切な設備、資金需要者等からの苦情対応及び帳簿の閲覧のための場所等が確保されるなど、当該貸金業者の規模・特性等に応じて、貸金業の適正な業務運営を行うための必要かつ十分な設備が整っているか。

      • ニ. 申請者が法人(人格のない社団又は財団を含む。)の場合、法人の定款又は寄付行為等に法人の目的として貸金業を営むことが含まれているか。

        • (注1)施行規則第5条の7第1項第2号の「常務に従事」しているかどうかは、貸金業者の通常の業務執行の内容及び態様を基本的に把握できるだけの実態が認められるか否かで判断される。必ずしも「常勤」までは求められないが、例えば取締役会の開催日だけ出勤している程度では常務に従事しているということはできない。

        • (注2)施行規則第5条の7第1項第3号の「常勤」については、貸金業者の営業時間内にその営業所等に常時駐在することまでは求められないものの、当該貸金業者の営業の実態及び社会通念に照らし、相応の勤務実態が必要である。

      • ホ. 施行規則第5条の7第1項第2号の規定に基づき、「常務に従事する役員のうちに貸付けの業務に3年以上従事した経験を有する者であること」を審査するに当たっては、必要に応じて、3年以上従事した経験があることを客観的に明らかにできる資料等の提出を受け、検証するものとする。

    • マル7申請者がパチンコその他設備を設けて客の射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業を兼業している場合は、以下の適切な措置が講じられているか。

      • イ. 兼業する業務を営む当該営業所の同一敷地内に貸金業の店舗、自動契約受付機又は現金自動設備を設置していないこと。

      • ロ. 兼業する業務を営む当該営業所の利用者を対象とした貸付けの勧誘又は広告を行わないこと。

    • マル8登録申請時において協会に加入する予定がない者に対しては、法第24条の6の12の規定に関し、以下の事項を通知して周知するとともに適切な対応を求めることとする。

      • イ. 協会の定款、業務規程その他の規則を考慮した社内規則等が整備されている必要があること。

      • ロ. 協会の業務規程等の変更があった場合、財務局長から社内規則等の作成又は変更を命ぜられること。

      • ハ. 社内規則等の作成又は変更を命ぜられた場合には、30日以内に当該社内規則等の作成又は変更を行い、財務局長の承認を受ける必要があること。

      • ニ. 社内規則等の変更又は廃止をしようとする場合、財務局長の承認を受ける必要があること。

      • ホ. 協会による調査、監査及び改善指導等が機能しないことを考慮し、当局が直接、業務の実態把握や指導等を行うこと。

  • (3)登録の申請の処理

    • マル1施行規則第4条の2第2項の規定による登録済通知書については、次により取扱うものとする。

      • イ. 登録済通知書の交付は、原則として、財務局から直接行う。ただし、法第41条の8の規定に基づき、協会員について、協会が当該通知書の交付につき財務局に協力することとされている場合には、協会員においては、協会支部を通じて行う。

      • ロ. 登録番号は、財務局長ごとに決裁を終了した順で00001号から一連番号とすること。

      • ハ. 登録番号の( )書きには、登録の回数を記入すること。ただし、完全施行前の出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律(昭和58年法律第33号、以下「出資法」という。)附則第9項に規定する日賦貸金業者における登録番号については、( )内に「N」の文字及びその次に登録回数を記入すること。また、施行規則第26条の29の2の規定に基づき、別紙様式第8号の2又は第8号の3により事業報告書を提出しなければならない非営利特例対象法人である貸金業者の登録番号については、( )内に「T」の文字及びその次に登録回数を記入すること(なお、登録番号の( )書きに「T」の文字の記入のある非営利特例対象法人である貸金業者から、施行規則第26条の25の2に掲げる場合のいずれかに該当することとなったとして、法第24条の6の2により届出がなされた場合であって、かつ当該非営利特例対象法人である貸金業者が施行規則第26条の29の2の規定の適用を受けないこととなった場合には、当該「T」の文字を削除すること)。

      • ニ. 登録がその効力を失った場合の登録番号は欠番とし、補充は行わないこと。

      • ホ. 財務局の管轄区域を越える主たる営業所等の位置の変更の届出を受理した場合の登録番号は、新たな登録をした財務局長において上記ロ.に従い一連番号とするが、( )書きは、従前の登録番号の登録回数を引き続き使用する。

    • マル2登録を拒否する場合は、拒否理由等を記載した施行規則第4条の3第1項の規定に基づく登録拒否通知書を登録申請者に交付するものとする(III-5-2参照)。

    • マル3登録の更新を拒否した場合又は登録申請書を受け付けた後に登録申請者から当該登録申請書の取下げがあった場合は、登録更新手数料の返還を要しない。

    • マル4施行規則第6条の規定に基づき、貸金業者から登録換えの申請書等の提出があった場合には、次により取扱うものとする。

      • イ. 当該申請等を受けたときは、別紙様式7により作成した意見書、従前の登録申請書の写し及び当該申請の直前に行った検査の報告書の写し等を添付して新たな登録に係る財務局長又は都道府県知事に送付するものとする。

      • ロ. 施行規則第6条第2項に基づく登録換通知書を受領したときは、当該貸金業者の登録を抹消するものとする。

  • (4)変更届出の処理等

    • マル1法第8条の規定に基づく登録変更の届出があった事項が財務局の管轄区域を越える主たる営業所等の位置の変更である場合には、次により取扱うものとする。

      • イ. 当該変更届出等の提出を受けた財務局長は、上記(3)のマル4イに準じて、変更後の主たる営業所等の所在地を管轄する財務局長に当該変更届出書等を送付するものとする。

      • ロ. 新たな登録をした財務局長は、従前の登録をした財務局長に対し施行規則第6条第2項に規定する登録換通知書に準じて、登録をした旨を通知するものとし、従前の登録をした財務局長は、当該通知があったときは、当該貸金業者の登録を抹消するとともに、必要な書類を新たな登録をした財務局長に送付するものとする。

      • ハ. 新たな登録をした財務局長は、当該変更届出をした者に対し施行規則第4条の2第2項に規定する登録済通知書に準じて、新たな登録をした旨を通知するものとする。当該通知は、原則として、財務局から直接届出者に通知するものとする。ただし、法第41条の8の規定に基づき、協会員について協会が当該通知につき財務局に協力することとされている場合には、協会員においては、営業所等の所在地をその区域に含む協会支部を通じて届出者に通知するものとする。

    • マル2法第8条の規定に基づく登録変更の届出により、完全施行前の出資法(以下「旧出資法」という。)に規定する日賦貸金業者から日賦貸金業者以外の貸金業者への変更は可能であるが、この場合、完全施行後に貸付けを行う場合には、当該貸付けに係る金利は法第12条の8が適用される。また、完全施行前にした利息の契約によって旧出資法の上限金利の特例による金利に基づき利息の受領又は要求することは、出資法違反(高金利)となることに留意するものとする。

  • (5)相続人による登録申請の処理

    貸金業者が死亡した場合において、法第10条第3項の規定により、相続人が被相続人の死亡後60日間の期間内に登録の申請をしたときの登録番号は、その商号又は名称に変更がないときに限り従前の番号とするものとする。ただし、登録回数は、(1)とするものとする。

  • (6)登録証明書の発行

    登録を受けた貸金業者又は貸金業者であった者から公的機関に提出する必要がある等の理由により、その者の登録証明の申請があったときは、別紙様式9による貸金業者登録証明を行うものとする。ただし、登録申請書類が保存年限を経過していることにより破棄されている場合については、この限りでない。

  • (7)貸金業者登録簿の閲覧

    施行規則第9条の規定に基づく貸金業者登録簿の閲覧については、次により取り扱うものとする。

    • マル1閲覧の申出があった場合には、別紙様式10による貸金業者登録簿閲覧表に所定事項の記入を求めるものとする。

    • マル2登録簿の閲覧日及び閲覧時間は、次のとおりとするものとする。

      • イ. 閲覧日は、土曜日及び日曜日、国民の祝日に関する法律第3条に規定する休日、1月2日及び同月3日並びに12月29日から同月31日までの日以外の日とする。

      • ロ. 閲覧時間は、財務局長が指定する時間内とする。

      • ハ. 登録簿の整理その他必要がある場合は、上記の閲覧日又は閲覧時間を変更することができるものとする。

    • マル3登録簿は、財務局長が指定する閲覧場所の外に持ち出すことができないものとする。

    • マル4次に該当する者の閲覧を停止又は拒否することができるものとする。

      • イ. 係員の指示に従わない者。

      • ロ. 登録簿等を汚損若しくはき損し又はそのおそれがあると認められる者。

      • ハ. 他人に迷惑を及ぼし又はそのおそれがあると認められる者。

  • (8)登録等実績報告

    • マル1毎月末の登録等の状況について別紙様式11により作成し、毎月末の翌月15日までに監督局金融会社室あて報告するものとする。

      また、管内都道府県から毎月末の登録状況表の送付を受けたときは、速やかに監督局金融会社室あて送付するものとする。

III -3-2 登録等に関する意見聴取

法第44条の2の規定に基づく、登録等に関する意見聴取については、以下のとおり取扱うものとする。なお、同条の規定に基づく登録等に関する意見聴取のうち都道府県に係るものについては、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4の規定に基づき、各都道府県知事に対して、その事務の運営について、同趣旨の助言、勧告を行っているので参考とされたい。

III -3-2-1 登録に関する意見聴取

法第5条第1項の規定による登録(更新を含む。)について、法第44条の2第1項の警察庁長官の意見を聴取するときは、次により取扱うものとする。

  • (1)警察庁長官への意見聴取は、監督局金融会社室を経由して、次の各号に掲げるものをそれぞれ当該各号に掲げるところにより、警察庁暴力団対策主管課に送付することにより行うものとする。

    • マル1別紙様式12により作成した文書  郵送等による送付。

    • マル2登録申請書(施行規則別紙様式第1号に係る部分に限る。)の写し  郵送等による送付(マル1の文書に添付するものとする。)。

    • マル3施行規則別紙様式第3号の2(記載上の注意)4により作成されたCSV形式(エクセル等)の電磁的記録  電子メールの送信(フロッピーディスク、電子メール等においては、マル1の文書の文書番号のほか、法第3条の登録を受けようとする者の商号、名称又は氏名を明らかにするものとする。)。

  • (2)(1)マル3の電磁的記録は、施行規則別紙様式第3号の2(記載上の注意)4により、法第4条の規定による登録申請者が作成したものがあるときは、これに代えることができる。

  • (3)監督局金融会社室は、財務局から(1)マル1からマル3までに掲げるものについて提出を受けたときは、遅滞なく、これらを警察庁暴力団対策主管課に送付するものとする。

  • (4)該当する事由の有無については、別紙様式13又は14により、警察庁長官から監督局金融会社室を経由して、意見が陳述されることとなる。なお、当該意見に関する問合せがある場合は、財務局から警察庁暴力団対策主管課に対して問い合わせるものとする。

  • (5)意見陳述がなされた場合にあっては、財務局は、監督局金融会社室経由により、概ね3か月ごとに別紙様式15により登録又は登録拒否の結果を警察庁暴力団対策主管課に通知するものとする。

III -3-2-2 変更登録に関する意見聴取

法第8条第2項の変更登録について、法第44条の2第1項の警察庁長官の意見を聴取するときは、 III -3-2-1の例により行うものとする。

III -3-2-3 処分又は登録の取消しに関する意見聴取

法第24条の6の4の規定による命令又は同条第1項若しくは第24条の6の5第1項の規定による登録の取消しについて、法第44条の2第3項の警察庁長官の意見を聴取するときは、次により取扱うものとする。

  • (1)法第44条の2第3項の意見聴取は、貸金業者(法人の役員を含む。)又は貸金業の業務に従事する使用人その他の従業者のうちに同条第1項の意見陳述事由(以下単に「意見陳述事由」という。)又は同条第3項の意見陳述事実(以下単に「意見陳述事実」という。)に係る者(以下「照会対象者」という。)がいるおそれがある場合に行うものとする。

  • (2)警察庁長官への意見聴取は、次の各号に掲げるものをそれぞれ当該各号に掲げるところにより、監督局金融会社室を経由して、警察庁長官に送付することにより行うものとする。

    • マル1別紙様式16により作成した文書  郵送等による送付。

    • マル2登録申請書(施行規則別紙様式第1号に係る部分に限る。)の写し  郵送等による送付(マル1の文書に添付するものとする。)。

    • マル3施行規則別紙様式第3号の2(記載上の注意)4により、照会対象者について、CSV形式(エクセル等)で作成された電磁的記録  電子メールの送信(フロッピーディスク、電子メール等においては、マル1の文書の文書番号のほか、貸金業者の商号、名称又は氏名を明らかにするものとする。)。

  • (3)監督局金融会社室は、財務局から(2)マル1からマル3までに掲げるものの提出を受けたときは、遅滞なく、これらを、次の各号に掲げる事項に応じて、それぞれ当該各号に掲げる警察庁担当課に送付するものとする。

    • マル1意見陳述事由に係るもの  暴力団対策主管課。

    • マル2意見陳述事実に係るもの  生活経済主管課。

  • (4)警察庁長官からは、監督局金融会社室を経由して、該当する事由又は事実の有無について、別紙様式17、18又は19により、文書で意見が陳述される。

  • (5)財務局は、意見陳述事由又は意見陳述事実があることを理由として、法第24条の6の4又は法第24条の6の5の登録の取消しを行うときは、必要に応じ、警察庁に対して監督局金融会社室を経由して、聴聞時における警察官の同席を求めることができる。

  • (6)意見陳述がなされた場合にあっては、財務局は、監督局金融会社室を経由して、別紙様式20により法第24条の6の4又は法第24条の6の5の規定により命令又は登録の取消しをした結果をその都度警察庁暴力団対策主管課及び生活経済主管課に通知するものとする。

III -3-2-4 警察庁長官等からの意見

  • (1)法第44条の3の警察庁長官からの意見は、監督局金融会社室を経由して、別紙様式21又は22により行われる。

  • (2)意見陳述がなされた場合にあっては、財務局は、監督局金融会社室を経由して、別紙様式20により法第24条の6の4又は法第24条の6の5の規定により命令又は登録の取消しをした結果をその都度警察庁暴力団対策主管課及び生活経済主管課に通知するものとする。

III -3-3 登録不更新等の取扱い

  • (1)貸金業者が登録の有効期間満了の日の2月前までに当該登録の更新の申請をしなかった場合は、法第24条の6の10の規定に基づき、別紙様式23による残貸付債権の状況等に係る報告(以下「登録不更新に係る残貸付債権状況報告書」という。)を求めるものとする。また、法第24条の6の4又は法第24条の6の5により登録を取り消す場合についても、当該報告を求めるものとする。

  • (2)登録不更新に係る残貸付債権状況報告書の提出があったときは、同報告書「1.残貸付債権の状況及び債権回収方針」中の「残貸付債権」合計額が「うち施行令第1条の2第6号該当」合計額と等しい場合を除き、法第24条の6の10の規定に基づき、当該貸金業者が締結した貸付けの契約に基づく取引の全てが結了する場合(残貸付債権合計額が施行令第1条の2第6号に該当する債権合計額と等しくなる場合を含む。)及びそれまでの間に連絡先若しくは氏名・商号等又は取立委託先の変更、債権譲渡先の追加がある場合には遅滞なくその旨報告することを命ずるとともに、当該貸金業者に対し、次の内容の書面を交付するものとする。

    • マル1法第43条に基づき、当該貸金業者が締結した貸付けの契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において、なお貸金業者とみなされ、法令が適用されること。

    • マル2顧客名簿等の資金需要者等の個人情報について、違法業者等に売却又は譲渡することは、厳に控えること。

    • マル3貸金業者が貸付債権の譲渡を行う場合は、法第24条第3項(暴力団員等への譲渡、委託の禁止)が適用されるほか、当該譲受人には法第12条の7、第16条の2第3項及び第4項、第16条の3、第17条(第6項を除く)、第18条から第22条まで、第24条第1項(再譲渡先に対する適用法令通知義務)、第24条の6の10が適用される旨を当該譲受人に対して通知する義務(第24条第1項)が生じること。また、あわせて、これらに違反した場合は刑事罰の適用がある旨を通知すること。

  • (3)上記(1)の報告書等により債権譲渡等に係る情報を確認した場合は、当該情報を譲受人に対して監督権限を有する財務局又は都道府県に提供するものとする。

III -3-4 財産的要件を満たさない場合の対応

登録期間中に純資産額が最低純資産額を下回った貸金業者については、法第24条の6の4第1項第1号の規定により登録取消処分の対象となることを踏まえて、以下の対応を行なうこととする。

  • マル1貸金業者から法第24条の6の9の規定に基づき、事業報告書の提出があったときは、施行規則第26条の29第3項に基づく参考資料により純資産額を確認し、財産的要件を満たしていない貸金業者については、以下の内容について、法第24条の6の10に基づく報告を求めるものとする。

    • イ.純資産額(最終事業年度の末日後に、増減資や贈与等があればその額を反映した額)

    • ロ.上記純資産額の算出根拠

    • ハ.財産的要件を満たしていない場合は、「純資産額を回復させる計画」

    ※一般に公正妥当と認められる会計の慣行に照らし、上記イの純資産額の妥当性に関して疑義が認められる場合は、貸金業者の見解及び算出根拠等について報告を求めるものとする。

  • マル2上記マル1の報告があった場合は、報告内容の妥当性について検証を行なうこととする。

    特に、「純資産額を回復させる計画」については、計画の実現可能性について十分に検証を行うこととする。検証の結果、純資産額を速やかに、かつ、確実に回復させる計画と認められる場合は、処分を保留し、ヒアリング又は報告徴収により計画の実施状況をフォローアップすることとする。

  • マル3検証の結果、財産的要件を満たす実現可能性のない貸金業者(廃業の場合を除く)については、法第24条の6の4に基づき登録取消処分を行なうこととする。

  • マル4財産的要件を満たさない貸金業者から法第24条の6の2に基づく届出があった場合は、上記マル1マル3と同様の対応を行なうこととする。ただし、届出の添付書類(規則第26条の27第2号)により上記マル1イ・ロについて確認できる場合は、ハ「純資産額を回復させる計画」についてのみ報告徴求することも可能とする。

III -3-5 事業報告書に係る留意点

  • (1)施行規則別紙様式第8号、第8号の2及び第8号の3に規定する事業報告書を処理する場合には、以下の点に留意するものとする。

    • マル1「貸金業務の概要」欄に海外進出状況や海外での活動等が記載されている場合は、必要に応じてヒアリングを実施するなど、その実態を把握するものとする。また、あわせて現地での監督規制やその他参考となる資料を可能な限り収集するものとする。

    • マル2「社内規則等の整備及び改正状況」欄については、登録申請後の貸金業者の社内規則等の改正状況について確認することとし、特に、非協会員について協会の自主規制規則を考慮した内容となっているか確認するものとする。

    • マル3「従業者に対する研修の実施状況」及び「内部監査の実施状況」欄については、当局の検査において不適切な取扱い等の指摘を受けた貸金業者や業務改善命令等の処分を受けている貸金業者の場合、研修及び内部監査の実施目的・重点事項等が、当局の指摘等の内容に照らし、合理的なものとなっているか検証するものとする。
       Ⅱ-1(1)⑥に基づき、内部監査において、自己検証を行っている貸金業者については、適切な自己検証が行われているか添付された自己検証の記録で確認するものとする。

  • (2)金融庁への送付

    貸金業者から法第24条の6の9の規定に基づき事業報告書及び参考書類を提出させる場合、原則として、財務局に直接提出させる。ただし、法第41条の8の規定に基づき、協会員について、協会が当該報告書及び参考書類の受理につき財務局に協力することとされている場合には、協会員においては営業所等の所在地をその区域に含む協会支部を通じて提出させる。

    また、事業報告書の副本及び参考書類各1部並びに上記(1)マル1からマル3に関し、意見を付す貸金業者があれば意見書を、提出期限後1ヶ月以内に監督局金融会社室あて送付するものとする。また、管内都道府県知事から事業報告書の副本及び参考書類の送付を受けたときは、速やかに監督局金融会社室あて送付するものとする。

    法第43条に規定するみなし貸金業者については、III-3-3(1)に規定するときであって登録不更新に係る残貸付債権状況報告書「1.残貸付債権の状況及び債権回収方針」中の「残貸付債権」合計額が「うち施行令第1条の2第6号該当」合計額と等しいとき、又はIII-3-8(1)に規定するときであって法第10条第1項の規定による届出(以下「廃業等届出書」という。)「2.残貸付債権の状況及び債権回収方針」中の「残貸付債権」合計額が「うち施行令第1条の2第6号該当」合計額と等しいときを除き、以下のとおり取り扱うものとする。

    • マル1事業報告書の提出に代えて法第24条の6の10の規定に基づき、当該貸金業者が締結した貸付けの契約に基づく取引の全てが結了する(残貸付債権合計額が施行令第1条の2第6号に該当する債権合計額と等しくなる場合を含む。)まで、毎事業年度末における残貸付債権の状況(別紙様式23-2)の提出(事業年度経過後3月以内に徴収するものとする)を命ずるものとする。

    • マル2残貸付債権の状況等に係る報告書の写しについては、速やかに監督局金融会社室あて送付するものとする。なお、管内都道府県知事から残貸付債権の状況等に係る報告書の写しの送付を受けたときは、速やかに監督局金融会社室あて送付するものとする。

    • マル3当該報告書により債権譲渡等に係る情報を確認した場合は、当該情報を譲受人に対して監督権限を有する財務局又は都道府県に提供するものとする。

III -3-6 業務報告書の徴収

  • (1)貸金業者に対して、法第24条の6の10の規定に基づき、毎年3月末における業務報告書を別紙様式24により毎年5月末までに徴収するものとする。

    なお、貸金業者が施行規則第1条の2の4第2項に定める特定非営利金融法人である場合、同規則第5条の6第1項の規定により法第6条第1項第14号に規定する内閣府令で定める事由があると認められて法第3条第1項の登録を受けている場合又は同規則第5条の8第1項の規定により同規則第5条の7第1項各号に掲げる基準に適合しているとみなされて法第3条第1項の登録を受けている場合にあっては、法第24条の6の10の規定に基づき、毎年3月末における業務報告書を別紙様式24-2により毎年5月末までに徴収するものとする。

  • (2)業務報告書は、原則として、財務局に直接提出する。ただし、法第41条の8の規定に基づき、協会員について、協会が当該報告書の受理につき財務局に協力することとされている場合には、協会員においては、協会支部を通じて提出する。

  • (3)貸金業者の業務報告書の写しについては、毎年6月末までに、監督局金融会社室あて送付するものとする。

    また、管内都道府県知事から業務報告書の写しの送付を受けたときは、速やかに監督局金融会社室あて送付するものとする。

III -3-7 非協会員に対する広告の写し等の徴収

非協会員に対しては、法第24条の6の10の規定に基づき、各年の四半期毎に、前四半期に出稿した広告等( II -2-15(2)マル2の「広告」及びマル3の「勧誘」をいう。)の写し又はその内容がわかるものを遅滞なく徴収するものとする。

III -3-8 廃業等の取扱い

  • (1)廃業等届出書の提出があったときは、同届出書「2.残貸付債権の状況及び債権回収方針」中の「残貸付債権」合計額が「うち施行令第1条の2第6号該当」合計額と等しい場合を除き、法第24条の6の10の規定に基づき、当該貸金業者が締結した貸付けの契約に基づく取引の全てが結了する場合(残貸付債権合計額が施行令第1条の2第6号に該当する債権合計額と等しくなる場合を含む。)及びそれまでの間に連絡先若しくは氏名・商号等又は取立委託先の変更、債権譲渡先の追加がある場合には遅滞なくその旨報告することを命ずるとともに、当該貸金業者に対し、次の内容の書面を交付するものとする。

    • マル1法第43条に基づき、当該貸金業者が締結した貸付けの契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において、なお貸金業者とみなされ、法令が適用されること。

    • マル2顧客名簿等の資金需要者等の個人情報について、違法業者等に売却又は譲渡することは、厳に控えること。

    • マル3貸金業者が貸付債権の譲渡を行う場合は、法第24条第3項(暴力団員等への譲渡、委託の禁止)が適用されるほか、当該譲受人には法第12条の7、第16条の2第3項及び第4項、第16条の3、第17条(第6項を除く)、第18条から第22条まで、第24条第1項(再譲渡先に対する適用法令通知義務)、第24条の6の10が適用される旨を当該譲受人に対して通知する義務(第24条第1項)が生じること。また、あわせて、これらに違反した場合は刑事罰の適用がある旨を通知すること。

  • (2)廃業等届出書及び施行規則第26条の25第1項第3号に規定する債権譲渡届出書等により債権譲渡等に係る情報を確認した場合は、当該情報を譲受人に対して監督権限を有する財務局又は都道府県に提供するものとする。

III -3-9 債権譲渡届出書等の取扱い

施行規則第26条の25第1項第3号に規定する債権譲渡届出書を受理した場合は、譲受人に対して監督権限を有する財務局又は都道府県に届出書(写)を送付するものとする。

III -3-10 貸金業者が提出する報告書における記載上の留意点

様式編における氏名の記載欄について、氏を改めた者においては、旧氏及び名を括弧書で併せて記載することができることに留意する。

なお、法第4条第1項の登録申請書又は法第8条第1項の規定による届出書に旧氏及び名を併せて記載して提出した者については、これらの書類に記載した当該旧氏及び名を変更する旨を届け出るまでの間、当該旧氏及び名のみを記載することができることに留意する。

III -3-11 書面・対面による手続きについての留意点

貸金業者による当局への申請・届出等及び当局から貸金業者に対し発出する処分通知等については、それぞれ情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(以下「デジタル手続法」という。)第6条第1項及び第7条第1項の規定により、法令の規定において書面等により行うことその他のその方法が規定されている場合においても、当該法令の規定にかかわらず、電子情報処理組織を使用する方法により行うことができることとされている。

こうしたデジタル手続法の趣旨を踏まえ、同法の適用対象となる手続きに係る本監督指針の規定についても、当該規定の書面・対面に係る記載にかかわらず、電子情報処理組織を使用する方法により行うことができるものとする。

また、経済社会活動全般において、デジタライゼーションが飛躍的に進展している中、政府全体として、書面・押印・対面手続きを前提とした我が国の制度・慣行を見直し、実際に足を運ばなくても手続きができるリモート社会の実現に向けた取組みを進めている。

金融庁としても、こうした取組みを着実に進めるため、貸金業者から受け付ける申請・届出等について、全ての手続きについてオンラインでの提出を可能とするための金融庁電子申請・届出システムを更改したほか、押印を廃止するための内閣府令及び監督指針等の改正を行うこと等により、行政手続きの電子化を推進してきた。

更に、民間事業者間における手続きについても、「金融業界における書面・押印・対面手続の見直しに向けた検討会」を開催し、業界全体での慣行見直しを促すことにより、書面の電子化や押印の不要化、対面規制の見直しに取り組んできた。

このような官民における取組みも踏まえ、本監督指針の書面・対面に係る記載のうち、デジタル手続法の適用対象となる手続きに係るもの以外についても、Ⅲ-3-12に掲げる原本送付を求める場合を除き、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行うことができるものとする。

以上のような取扱いとする趣旨に鑑み、本監督指針の規定に基づく手続きについては、手続きの相手方の意向を考慮した上で、可能な限り、書面・対面によらない方法により行うことを慫慂するものとする。

III -3-12 申請書等を提出するに当たっての留意点

Ⅲ-3-11を踏まえ、貸金業者による当局への申請・届出等については、原則として、金融庁電子申請・届出システムを利用して法令に定める提出期限までに提出を求めることとする。
 ただし、公的機関が発行する添付書類(住民票の写し、身分証明書、戸籍謄本、税・手数料等の納付を証する書類等)については、原本送付を求めることとする。
 なお、金融庁がホームページにおいて掲載するe-Govを利用して申請書等の提出が可能な手続については、当面の間、金融庁電子申請・届出システムを利用した提出と並行して、e-Gov を利用した提出についても可能とする。

III -4 行政指導等を行う際の留意点等

III -4-1 行政指導等を行う際の留意点等

貸金業者に対して、行政指導等(行政指導等とは行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第6号にいう行政指導に加え、行政指導との区別が必ずしも明確ではない情報提供、相談、助言等の行為を含む。)を行うに当たっては、行政手続法等の法令等に沿って適正に行うものとする。特に行政指導を行う際には、以下の点に留意する。

  • (1)一般原則(行政手続法第32条)

    • マル1行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されているか。

      例えば、以下の点に留意する。

      • イ. 行政指導の内容及び運用の実態、担当者の対応等について、相手方の理解を得ているか。

      • ロ. 相手方が行政指導に協力できないとの意思を明確に表明しているにもかかわらず、行政指導を継続していないか。

    • マル2相手方が行政指導に従わなかったことを理由として不利益な取扱いをしてはいないか。

      • イ. 行政指導に従わない事実を法律の根拠なく公表することも、公表することにより経済的な損失を与えるなど相手方に対する社会的制裁として機能するような状況の下では、「不利益な取扱い」に当たる場合があることに留意する。

      • ロ. 行政指導を行う段階においては処分権限を行使するか否かは明確でなくても、行政指導を行った後の状況によっては処分権限行使の要件に該当し、当該権限を行使することがありうる場合に、そのことを示して行政指導をすること自体を否定するものではない。

  • (2)申請に関連する行政指導(行政手続法第33条)

    申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしていないか。

    • マル1申請者が、明示的に行政指導に従わない旨の意思表示をしていない場合であっても、行政指導の経緯や周囲の客観情勢の変化等を勘案し、行政指導の相手方に拒否の意思表示がないかどうかを判断する。

    • マル2申請者が行政指導に対応している場合でも、申請に対する判断・応答が留保されることについても任意に同意しているとは必ずしもいえないことに留意する。

    • マル3例えば、以下の点に留意する。

      • イ. 申請者が行政指導に従わざるを得ないようにさせ、申請者の権利の行使を妨げるようなことをしていないか。

      • ロ. 申請者が行政指導に従わない旨の意思表明を明確には行っていない場合、行政指導を行っていることを理由に申請に対する審査・応答を留保していないか。

      • ハ. 申請者が行政指導に従わない意思を表明した場合には、行政指導を中止し、申請に対し、速やかに適切な対応をしているか。

  • (3)許認可等の権限に関連する行政指導(行政手続法第34条)

    許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合にもかかわらず、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導に従う事を余儀なくさせていないか。

    例えば、以下の点に留意する。

    • マル1許認可等の拒否処分をすることができないにもかかわらず、できる旨を示して一定の作為又は不作為を求めていないか。

    • マル2行政指導に従わなければすぐにでも権限を行使することを示唆したり、何らかの不利益な取扱いを行ったりすることを暗示するなど、相手方が行政指導に従わざるを得ないように仕向けてはいないか。

  • (4)行政指導の方式(行政手続法第35条)

    • マル1行政指導を行う際には、相手方に対し、行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示しているか。

      例えば、以下の点に留意する。

      • イ. 相手方に対して求める作為又は不作為の内容を明確にしているか。

      • ロ. 当該行政指導をどの担当者の責任において行うものであるかを示しているか。

      • ハ. 個別の法律に根拠を有する行政指導を行う際には、その根拠条項を示しているか。

      • ニ. 個別の法律に根拠を有さない行政指導を行う際には、当該行政指導の必要性について理解を得るため、その趣旨を伝えているか。

    • マル2行政指導について、相手方から、行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を記載した書面の交付を求められた時は、行政上特別の支障がない限り、原則としてこれを交付しているか(但し、行政手続法第35条第4項各号に該当する場合を除く。)。

      • イ. 書面の交付を求められた場合には、できるだけ速やかに交付することが必要である。

      • ロ. 書面交付を拒みうる「行政上の特別の支障」がある場合とは、書面が作成者の意図と無関係に利用、解釈されること等により行政目的が達成できなくなる場合など、その行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を書面で示すことが行政運営上著しい支障を生じさせる場合をいう。

      • ハ. 単に処理件数が大量であるだけの場合や単に迅速に行う必要がある場合であることをもって、「行政上特別の支障」がある場合に該当するとはいえないことに留意する。

III -4-2 面談等を行う際の留意点

職員が、貸金業者の役職員と面談等(面談、電話、電子メール等によるやりとりをいう。以下同じ。)を行うに際しては、下記の事項に留意するものとする。

  • (1)面談等に参加する職員は、常に綱紀及び品位を保持し、穏健冷静な態度で臨んでいるか。

  • (2)面談等の目的、相手方の氏名・所属等を確認しているか。

  • (3)面談等の方法、面談等を行う場所、時間帯、参加している職員及び相手方が、面談等の目的・内容からみてふさわしいものとなっているか。

  • (4)面談等の内容・結果について双方の認識が一致するよう、必要に応じ確認しているか。特に、面談等の内容・結果が守秘義務の対象となる場合には、そのことが当事者双方にとって明確となっているか。

  • (5)面談等の内容が上司の判断を仰ぐ必要のある場合において、状況に応じあらかじめ上司の判断を仰ぎ、又は事後にすみやかに報告しているか。また、同様の事案について複数の相手方と個別に面談等を行う場合には、行政の対応の統一性・透明性に配慮しているか。

III -4-3 連絡・相談手続

面談等を通じて行政指導等を行うに際し、行政手続法に照らし、行政指導等の適切性について判断に迷った場合等には、監督局金融会社室に連絡し、必要に応じその対応を協議することとする。

III -5 行政処分を行う際の留意点

III -5-1 行政処分の基準

監督部局が行う主要な不利益処分(行政手続法第2条第4号にいう不利益処分をいう。以下同じ。)としては、マル1法第24条の6の3に基づく業務改善命令、マル2法第24条の6の4に基づく業務停止命令、マル3法第24条の6の4に基づく登録取消し等があるが、これらの発動に関する基本的な事務の流れを例示すれば、以下のとおりである。

  • (1)法第24条の6の10に基づく報告徴収命令

    • マル1オンサイトの立入検査や、オフサイト・モニタリング(ヒアリング、不祥事件届出など)を通じて、法令等遵守態勢、経営管理(ガバナンス)態勢等に問題があると認められる場合においては、法第24条の6の10第1項に基づき、当該事項についての事実認識、発生原因分析、改善・対応策その他必要と認められる事項について、報告を求めることとする。

    • マル2報告を検証した結果、さらに精査する必要があると認められる場合においては、法第24条の6の10第1項に基づき、追加報告を求めることとする。

  • (2)法第24条の6の10第1項に基づき報告された改善・対応策のフォローアップ

    • マル1上記報告を検証した結果、業務の健全性・適切性の観点から重大な問題が発生しておらず、かつ、貸金業者の自主的な改善への取組みを求めることが可能な場合においては、任意のヒアリング等を通じて上記(1)において報告された改善・対応策のフォローアップを行うこととする。

    • マル2必要があれば、法第24条の6の10第1項に基づき、定期的なフォローアップ報告を求める。

  • (3)法第24条の6の3又は法第24条の6の4に基づく業務改善命令、業務停止命令、登録取消し等

    検査結果やオフサイト・モニタリング等への対応として、報告内容(追加報告を含む。)を検証した結果、資金需要者等の利益の保護に関し重大な問題が認められる場合等においては、以下マル1からマル3に掲げる要素を勘案するとともに、他に考慮すべき要素がないかどうかを吟味した上で、

    • 改善に向けた取組みを貸金業者の自主性に委ねることが適当かどうか、
    • 改善に相当の取組みを要し、一定期間業務改善に専念・集中させる必要があるか、
    • 業務を継続させることが適当かどうか、

    等の点について検討を行い、最終的な行政処分の内容を決定することとする。

    • マル1当該行為の重大性・悪質性

      • イ. 公益侵害の程度

        貸金業者が、貸金市場に対する信頼性を大きく損なうなど公益を著しく侵害していないか。

      • ロ. 被害の程度

        広範囲にわたって多数の利用者が被害を受けたかどうか。個々の利用者が受けた被害がどの程度深刻か。

      • ハ. 行為自体の悪質性

        例えば、利用者から多数の苦情を受けているのにもかかわらず、引き続き、違法な督促を続けるなど、貸金業者の行為が悪質であったか。

      • 二. 当該行為が行われた期間や反復性

        当該行為が長期間にわたって行われたのか、短期間のものだったのか。反復・継続して行われたものか、一回限りのものか。また、過去に同様の違反行為が行われたことがあるか。

      • ホ. 故意性の有無

        当該行為が違法・不適切であることを認識しつつ故意に行われたのか、過失によるものか。

      • へ. 組織性の有無

        当該行為が現場の営業担当者個人の判断で行われたものか、あるいは管理者も関わっていたのか。更に経営陣の関与があったのか。

      • ト. 隠蔽の有無

        問題を認識した後に隠蔽行為はなかったか。隠蔽がある場合には、それが組織的なものであったか。

      • チ. 反社会的勢力との関与の有無

        反社会的勢力との関与はなかったか。関与がある場合には、どの程度か。

    • マル2当該行為の背景となった経営管理態勢及び業務運営態勢の適切性

      • イ. 経営陣の法令等遵守に関する認識や取組みは十分か。

      • ロ. 内部監査部門の体制は十分か、また適切に機能しているか。

      • ハ. 業務担当者の法令等遵守に関する認識は十分か、また、社内教育が十分になされているか。

    • マル3軽減事由

      以上マル1及びマル2の他に、行政による対応に先行して、貸金業者が自主的に資金需要者等の利益の保護のために所要の対応に取り組んでいる等、といった軽減事由があるか。

  • (4)標準処理期間

    法第24条の6の3、法第24条の6の4又は法第24条の6の5に基づき監督上の処分を命ずる場合には、上記(1)の報告書又は不祥事件届出(法第24条の6の10に基づく報告徴収を行った場合は、当該報告書)を受理したときから、原則として概ね1か月(金融庁との調整を要する場合は概ね2か月)以内を目途に行うものとする。

    (注1) 「報告書を受理したとき」の判断においては、以下の点に留意する。
     
    • イ. 複数回にわたって、法第24条の6の10に基づき報告を求める場合(直近の報告書を受理したときから上記の期間内に報告を求める場合に限る。)には、最後の報告書を受理したときを指すものとする。

    • ロ. 提出された報告書に関し、資料の訂正、追加提出等(軽微なものは除く。)を求める場合には、当該資料の訂正、追加提出等が行われたときを指すものとする。

    (注2) 弁明・聴聞等に要する期間は、標準処理期間には含まれない。
    (注3) 標準処理期間は、処分を検討する基礎となる情報ごとに適用する。
  • (5)法第24条の6の3の規定に基づく業務改善命令の履行状況の報告義務の解除

    法第24条の6の3の規定に基づき業務改善命令を発出する場合には、当該命令に基づく貸金業者の業務改善に向けた取組みをフォローアップし、その改善努力を促すため、原則として、当該貸金業者の提出する業務改善計画の履行状況の報告を求める。その際、以下の点に留意するものとする。

    • マル1法第24条の6の3の規定に基づき業務改善命令を発出している貸金業者に対して、当該業者の提出した業務改善計画の履行状況について、期限を定めて報告を求めている場合には、期限の到来により、当該貸金業者の報告義務は解除される。

    • マル2法第24条の6の3の規定に基づき業務改善命令を発出している貸金業者に対して、当該業者の提出した業務改善計画の履行状況にいて、期限を定めることなく継続的に報告を求めている場合において、業務改善命令を発出する要因となった問題に関して、業務改善計画に沿って十分な改善措置が講じられたと認められるときは、当該計画の履行状況の報告義務を解除するものとする。その際、当該報告等により把握した改善への取組状況に基づき、解除の是非を判断するものとする。

III -5-2 行政手続法等との関係等

  • (1)行政手続法との関係

    行政手続法第13条第1項第1号に該当する不利益処分をしようとする場合には聴聞を行い、同項第2号に該当する不利益処分をしようとする場合には弁明の機会を付与しなければならないことに留意する。

    いずれの場合においても、不利益処分をする場合には同法第14条に基づき、処分の理由を示さなければならないこと(不利益処分を書面でするときは、処分の理由も書面により示さなければならないこと)に留意する。

    また、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合には同法第8条に基づき、処分の理由を示さなければならないこと(許認可等を拒否する処分を書面でするときは、処分の理由も書面により示さなければならないこと)に留意する。

    その際、単に根拠規定を示すだけではなく、いかなる事実関係に基づき、いかなる法令・基準を適用して処分がなされたかを明らかにすること等が求められることに留意する。

  • (2)行政不服審査法との関係

    不服申立てをすることができる処分をする場合には、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第82条に基づき、不服申立てをすることができる旨等を書面で教示しなければならないことに留意する。

  • (3)行政事件訴訟法との関係

    取消訴訟を提起することができる処分をする場合には、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)第46条に基づき、取消訴訟の提起に関する事項を書面で教示しなければならないことに留意する。

III -5-3 意見交換制度

不利益処分が行われる場合、行政手続法に基づく聴聞又は弁明の機会の付与の手続きとは別に、貸金業者からの求めに応じ、監督当局と貸金業者との間で、複数のレベルにおける意見交換を行うことで、行おうとする処分の原因となる事実及びその重大性等についての認識の共有を図ることが有益である。

法第24条の6の10に基づく報告徴収に係るヒアリング等の過程において、自社に対して不利益処分が行われる可能性が高いと認識した貸金業者から、監督当局の幹部と当該貸金業者の幹部との間の意見交換の機会の設定を求められた場合(注)であって、監督当局が当該貸金業者に対して聴聞又は弁明の機会の付与を伴う不利益処分を行おうとするときは、緊急に処分する必要がある場合を除き、聴聞の通知又は弁明の機会の付与の通知を行う前に、行おうとする不利益処分の原因となる事実及びその重大性等についての意見交換の機会を設けることとする。

(注)  貸金業者からの意見交換の機会の設定の求めは、監督当局が当該不利益処分の原因となる事実についての法第24条の6の10に基づく報告書を受理したときから、聴聞の通知又は弁明の機会の付与の通知を行うまでの間になされるものに限る。

III -5-4 営業所等の所在の確知

法第24条の6の6第1項第1号の規定により営業所等の所在を確知するため必要な場合には、法第24条の6の10第1項の規定に基づき、別紙様式25による営業所等の所在報告書、営業所等の所在地を証する書面又はその写し等又は営業所等の地図等の報告を求めるものとする。

III -5-5 不利益処分の公表に関する考え方

  • (1)法第24条の6の8の規定に基づき不利益処分の公告を行う場合は、次の事項を掲載するものとする。

    • マル1商号又は名称。

    • マル2代表者の氏名。

    • マル3主たる営業所等の所在地。

    • マル4登録番号。

    • マル5登録年月日。

    • マル6処分の年月日。

    • マル7処分の内容。

  • (2)上記(1)以外の公表の取扱いについては、監督上の着眼点を明らかにするとともに、ノーアクションレター制度、意見交換制度等の適切な運用を通じ、監督行政の透明性の向上に努めることに留意する。

    すなわち、業務改善命令等の不利益処分については、他の貸金業者における予測可能性を高め、同様の事案の発生を抑制する観点から、公表により対象貸金業者の経営改善に支障が生ずるおそれのあるものを除き、処分の原因となった事実及び処分の内容等を公表することとする。

III -5-6 登録取消し処分に係る聴聞の通知後、当該処分に係る決定までの間に廃業等の届出があった場合等の連絡

施行規則第5条の3に該当する者があった場合における関係官署への関係資料の送付については、次により取扱うものとする。

  • (1)施行規則第5条の3に係る該当者があった場合には、監督局金融会社室、管内都道府県及び他の財務局あて別紙様式26を送付するものとする。また、当該別紙様式26の送付を受けた財務局は、その管内の都道府県あて当該別紙様式26の写しを送付するものとする。

  • (2)都道府県から、施行規則第5条の3に係る該当者の関係資料の送付を受けた場合には、監督局金融会社室、管内都道府県及び他の財務局あて当該資料の写しを送付するものとする。また、当該関係資料の写しを受けた財務局は、その管内の都道府県あて当該関係資料の写しを送付するものとする。

III -5-7 行政処分の連絡

行政処分を行った場合の関係官署への関係資料の送付については、次により取扱うものとする。

  • (1)登録を拒否した場合(法第6条)

    • マル1登録(更新を含む。)の拒否を行った場合には、監督局金融会社室、管内都道府県及び他の財務局あて関係資料を送付するものとする。また、当該関係資料の送付を受けた財務局は、その管内の都道府県あて当該関係資料の写しを送付するものとする。

    • マル2都道府県から登録の拒否を行った関係資料の送付を受けた場合には、監督局金融会社室、管内都道府県及び他の財務局あて関係資料の写しを送付するものとする。また、当該関係資料の写しの送付を受けた財務局は、その管内の都道府県あて当該関係資料の写しを送付するものとする。

  • (2)業務改善命令の場合(法第24条の6の3)

    • マル1業務改善命令を行った場合には、監督局金融会社室、当該貸金業者の営業所等の所在地を管轄する他の財務局長及び当該貸金業者の営業所等の所在する都道府県(当該営業所等が他の財務局の管内に所在する場合には、当該財務局経由)あて関係資料を送付するものとする。

    • マル2業務改善命令の理由となる貸金業者の行為に、登録を受けた主任者が関与していた場合には、監督局金融会社室に対し、法第24条の30に規定する「主任者登録の取消し」の検討に必要な関係資料の写しを送付するものとする。

    • マル3都道府県から業務改善命令を行った関係資料の送付を受けた場合には、監督局金融会社室あて当該関係資料の写しを送付するものとする。

  • (3)業務停止処分の場合(法第24条の6の4)

    • マル1業務停止処分を行った場合には、監督局金融会社室、当該貸金業者の営業所等の所在地を管轄する他の財務局長及び当該貸金業者の営業所等の所在する都道府県(当該営業所等が他の財務局の管内に所在する場合には、当該財務局経由)あて関係資料を送付するものとする。

    • マル2業務停止処分の理由となる貸金業者の行為に、登録を受けた主任者が関与していた場合には、監督局金融会社室に対し、法第24条の30に規定する「主任者登録の取消し」の検討に必要な関係資料の写しを送付するものとする。

    • マル3都道府県から業務停止処分を行った関係資料の送付を受けた場合には、監督局金融会社室あて当該関係資料の写しを送付するものとする。

  • (4)登録取消し処分の場合(法第24条の6の4、法第24条の6の5、法第24条の6の6)

    • マル1登録の取消し処分を行った場合には、監督局金融会社室、管内都道府県及び他の財務局あて関係資料を送付するものとする。また、当該関係資料の送付を受けた財務局は、その管内の都道府県あて当該関係資料の写しを送付するものとする。なお、当該貸金業者が法人である場合には、当該取消しの日前30日以内並びに当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内の役員の氏名(法人にあっては、商号又は名称)に関する資料もあわせて送付するものとする。

    • マル2登録取消し処分の理由となる貸金業者の行為に、登録を受けた主任者が関与していた場合には、監督局金融会社室に対し、法第24条の30に規定する「主任者登録の取消し」の検討に必要な関係資料の写しを送付するものとする。

    • マル3都道府県から登録の取消し処分を行った関係資料の送付を受けた場合には、監督局金融会社室、管内都道府県及び他の財務局あて当該関係資料の写しを送付するものとする。また、当該関係資料の写しの送付を受けた財務局は、その管内の都道府県あて当該関係資料の写しを送付するものとする。

III -6 貸金業関係連絡会等

  • (1)法の円滑な施行を確保するためには、国と都道府県の間における緊密な協力と事務処理の統一を推進するほか、監督当局と警察当局の連携を図ることが必要である。このため、以下の「貸金業関係連絡会・幹事会設置要綱」に基づき、財務局又は財務事務所(小樽出張所及び北見出張所を含む。以下同じ。)、都道府県及び都道府県警察本部三者間の事務連絡体制を設けるものとする。また、都道府県において、法の円滑な施行の観点から、同趣旨の会議が設けられている場合には、財務局又は財務事務所においては、同会議の開催に積極的に協力されたい。

    貸金業関係連絡会・幹事会設置要綱

    • マル1目的

      法の円滑な施行を確保するため、国及び都道府県の監督当局間における緊密な協力と事務処理の統一を推進するほか、監督当局と警察当局の連携を図ることを目的とする。

    • マル2名称

      貸金業関係連絡会・貸金業関係幹事会

    • マル3構成

      財務(支)局理財部長又は財務事務所長等
      都道府県主管部長等
      警視庁主管部長等
      道府県警察本部主管部長等

    • マル4協議内容

      貸金業者の営業の実態等に関する情報及び意見の交換を行い、的確な実情の把握に努めるとともに、法施行に伴う事務処理上の問題点その他法の適正な運用を図るために必要な事項について協議するものとする。

    • マル5会議

      • イ. 会議は、各都道府県の実情に応じ、原則として年1回以上、定期的に開催するほか、必要に応じ随時開催する。

      • ロ. 財務(支)局理財部長又は財務事務所長の主催会議を連絡会とし、金融担当課長等の主催会議を幹事会とする。

      • ハ. 会議には、必要に応じて消費生活センター、協会又は弁護士会等の関係団体等の代表者を出席させることができるものとする。

      • ニ. その他会議の運営については、財務局又は財務事務所、都道府県及び都道府県警察本部が協議して定めるものとする。

      • ホ. 会議の庶務は、原則として財務局又は財務事務所が行うものとする。

  • (2)貸金業関係連絡会、幹事会の開催状況について、別紙様式27により毎年度末の翌月末日までに、監督局金融会社室あて報告するものとする。都道府県が同趣旨の会議を設けている場合においては、当該会議の開催状況についても報告するものとする。

III -7 貸金業監督者会議

  • (1)法を円滑に施行する観点、更には、債権譲渡又は保証等に関して業務提携を行っている貸金業者や複数の監督当局に監督権限が及ぶ貸金業グループ等に対する効果的な監督を行う観点等から、これまで以上に財務局・財務事務所と都道府県の監督当局間の緊密な連携が求められる。このため、以下の通り「貸金業監督者会議」を設置し、財務局・財務事務所と都道府県との間の緊密な連絡体制を設けるものとする。

    マル1目的    法の円滑な施行及び複数の監督当局に監督権限が及ぶ貸金業グループ等の効果的な監督の推進を図ることを目的とする。
    マル2名称    貸金業監督者会議
    マル3構成    原則として、
     財務(支)局貸金業監督担当課長
     財務事務所貸金業監督担当課長
     都道府県貸金業監督担当課長
     必要に応じて、監督局金融会社室担当者
    マル4議題    各回の議題については、次に掲げる事項について、監督局金融会社室から指示するものの外、財務局・財務事務所と都道府県との間で貸金業監督上、必要と認められるものとする。
       
    • イ. 法の円滑な施行に係る監督上の留意事項等についての意見交換。

    • ロ. 債権譲渡又は保証等の業務提携を行っている貸金業者や複数の監督当局に監督権限が及ぶ貸金業グループ等に対して、効果的な監督を行うための監督情報の共有や監督方法の意見交換。

    マル5会議の運営  
    • イ. 会議は、財務局・財務事務所と個別の都道府県との間で、当該都道府県の実情を踏まえ、原則として年1回1以上、定期的に開催するほか、必要に応じ随時開催する。なお、効果的な監督の観点から、必要に応じ、財務局・財務事務所と財務局管内の各都道府県が集まって会議を開催することとする。

    • ロ. その他会議の運営については、財務局・財務事務所、都道府県が協議して定めるものとする。

    • ハ. 会議の庶務は、原則として財務局・財務事務所が行うものとする。

  • (2)貸金業監督者会議を開催した場合には、会議の概要について、速やかに、監督局金融会社室あて報告するものとする。

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