II. 金融商品取引業者等の監督に係る事務処理上の留意点
II-1 監督事務に係る基本的考え方
前述(Ⅰ-1(1))のとおり、金融商品取引業者等の監督の目的を達成するためには、監督部局においても、金融商品取引業者等に対し、個々の金融商品取引業者等の規模や特性に応じた対応を継続的に行っていくことが必要である。
このため、金融商品取引業者等の監督事務を行うに当たっては、まずは、各金融商品取引業者等がどの様にしてビジネスモデルの構築や市場の仲介機能の発揮、取引の公正性の確保、投資者の保護、コンプライアンス・リスク管理態勢の構築等の課題に取り組もうとしているかの方針を理解し、その上で、当該方針がどの様なガバナンス体制で実施され、如何なる潜在的なリスクや課題を内包し、各金融商品取引業者等がこれらのリスク等をどの様に認識し対応しようとしているか、的確に把握することが不可欠である。
経営全体を見据えた重要課題に対応し、国民経済の健全な発展及び投資者の保護につなげていくには、各金融商品取引業者等が、当局から指摘されることなく自らベストプラクティスに向けて改善するよう、金融商品取引業者等自身で経営体制を変革していく必要がある。金融庁としては、実態把握や対話等を通じた継続的なモニタリングの過程で、より良い実務を追求する各金融商品取引業者等の取組みを促していく。
その上で、上記の過程で、公益又は投資者保護上の観点から重大な問題が認められる場合や金融商品取引業者等の自主的な取組みでは業務改善が図られないことが認められる場合は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第51条等に基づく業務改善命令等の行政処分の発動等を検討することとする。
さらに、金融商品取引業者等の監督事務を行うに当たっては、以下の点にも十分に留意した上で実施することとする。
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(1)金融商品取引業者等との十分な意思疎通の確保
監督に当たっては、金融商品取引業者等の経営に関する情報を的確に把握・分析し、適時適切に対応していくことが重要である。このため、監督部局においては、金融商品取引業者等からの報告に加え、金融商品取引業者等との健全かつ建設的な緊張関係の下で、必要に応じ、日頃から十分な意思疎通を図り、積極的に情報収集する必要がある。具体的には、経営陣や社外取締役、内部監査の担当者を含む金融商品取引業者等の様々な役職員との定期・適時の面談や意見交換等を通じて、金融商品取引業者等との日常的なコミュニケーションを確保し、財務情報のみならず、経営に関する様々な情報についても把握するよう努める必要がある。
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(2)金融商品取引業者等の自主的な努力の尊重
監督部局は、私企業である金融商品取引業者等の自己責任原則に則った経営判断を、法令等に基づき検証し、問題の改善を促していく立場にある。監督に当たっては、このような立場を十分に踏まえ、金融商品取引業者等の業務運営に関する自主的な努力を尊重するよう配慮しなければならない。
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(3)効率的・効果的な監督事務の確保
監督部局及び金融商品取引業者等の限られた資源を有効に利用する観点から、監督事務は、金融商品取引業者等の規模や特性を十分に踏まえ、効率的・効果的に行われる必要がある。したがって、金融商品取引業者等に報告や資料提出等を求める場合には、監督事務上真に必要なものに限定するよう配意するとともに、現在行っている監督事務の必要性、方法等については常に点検を行い、必要に応じて改善を図るなど、効率性・有効性の向上を図るよう努めなければならない。
既報告や資料提出等については、金融商品取引業者等の事務負担軽減等の観点を踏まえ、年1回定期的に点検を行う。その際は、金融商品取引業者等の意見を十分にヒアリングすることに留意する。
また、金融商品取引業者等の監督において、金融商品取引法(以下「金商法」という。)上に規定されている自主規制機関である金融商品取引業協会(認可金融商品取引業協会又は認定金融商品取引業協会をいう。以下同じ。)や金融商品取引所は、金融商品取引業者等に対して市場の実情に精通している者として自らを律していくことにより投資者からの信頼を確保させる自主規制機能を担っており、監督上の連携を密接に行う必要がある。
併せて、金融商品仲介業者に対する監督に当たっては、基本的に、所属金融商品取引業者等への監督を通じて、金融商品仲介業者が営む金融商品仲介業に係る業務の健全かつ適切な運営が確保されるよう監督を行う必要がある。ただし、金融商品仲介業者に固有の問題がある場合や特定の金融商品仲介業者の間に共通の問題がある場合など、当局が直接に金融商品仲介業者を指導、監督する必要がある場合には、当該金融商品仲介業者の規模や特性を十分に踏まえ、事務負担の軽減に留意する必要がある。(注)金融商品取引業者等の小規模な営業所等に関して、金融商品取引業者等に報告や資料提出等を求める場合には、取り扱うサービスや商品などに関する当該営業所等の特性を十分に踏まえ、業務の円滑な遂行に支障が生じないよう配意する。
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(4)複数の業態を含む金融グループのリスク管理
我が国では、平成5年の金融制度改革による業態別子会社での相互参入の解禁や、平成10年の金融持株会社の解禁、金融システム改革法による子会社規定の整備等を経て、複数の業態を含む金融グループが形成されている。
第一種金融商品取引業者又は投資運用業者による複数の業態を含む金融グループの形成は、金融機関の経営体質の強化やサービスの向上に寄与する可能性がある一方で、組織の複雑化による経営の非効率化、利益相反行為の発生、抱き合せ販売行為の誘因の増大、グループ内のリスクの波及、グループにおけるリスクの集中等が生じるおそれがある。
かかる特性を踏まえれば、特に、国際的に活動する指定親会社グループ(Ⅳ-5に定義するものをいう。)及び特別金融商品取引業者グループ(Ⅳ-6に定義するものをいう。)においては、個別の金融機関の健全性等を確保するのみならず、グループ全体の経営管理態勢やグループとしての財務の健全性、業務の適切性について実態把握を行うことが重要であり、業務の適切性の確保の観点から、金融グループの一体的な管理を促していく必要がある。
また、第一種金融商品取引業者又は投資運用業者が他の業態の金融機関や外国の金融グループ、事業会社の子会社等である場合においても、金融商品取引業者の主要株主への監督権限のほか、深度あるヒアリング等により、金融商品取引業者に上記で挙げたリスクの波及やリスクの集中等が生じるおそれがないか検証することが重要である。
なお、金融グループの態様は様々であって、グループが抱えるリスクの特性やリスクの波及の過程も異なる結果、グループにおける経営管理態勢も自ずと異なるため、各々の金融グループの実態を踏まえ、その態勢を検証する必要がある点には留意する。複数の業態を含む金融グループやグループが一体となって総合的な金融サービスの提供を行う金融グループに対するモニタリングについては、異なる業態や異なる金融機関による同様の又は一体的な行為及びそれらに係る規制に関して、同様の水準でモニタリングを行う必要があり、銀行監督担当部局等の他の監督部局や検査部局といった関係部局間での連携強化を行うことも重要となる。 -
(5)多様性を踏まえた監督事務の遂行
金融商品取引業者等は、第一種金融商品取引業者に加え、第二種金融商品取引業者、投資運用業者、投資助言業者等といった様々な種類の業者が含まれており、その規模や特性、金商法等の法令等遵守態勢の状況等は様々である。そのため、金融商品取引業者等について、本監督指針に記載している監督事務を行うに際しては、かかる金融商品取引業者等の多様性を踏まえつつ、個々の金融商品取引業者等の規模や特性等に即した手法を選択していく必要がある点に特に留意するものとする。
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(6)検査部局との連携
検査部局との間では、モニタリングを通じて把握された情報をタイムリーに交換すること等によって情報を共有し、相互の問題意識を共有するなど、連携を図ることに留意する。
Ⅱ-1-1 監督事務の進め方
金融商品取引業者等の監督事務の基本は、実態把握や対話等を通じたモニタリング、監督上の措置、フィードバック、情報発信といった各手法を、各金融商品取引業者等の状況や抱えている問題の性質・重大性等に応じ適切に組み合わせることを通じて、各金融商品取引業者等に必要な改善を促していくことにある。
これに加えて、日常的なモニタリングを通じて、金融商品取引業者等を巡るグローバルな経済・市場環境の変化を的確に把握するとともに、金融商品取引業者等の規模や特性を十分に踏まえたモニタリングを行い、その結果を踏まえ、金融商品取引業者等との対話の中で、リスク管理等に関するベストプラクティスの追求や、変化に柔軟に対応できる経営・ガバナンス態勢の整備等の課題の解決に向けた取組みを促していくことが求められる。
Ⅱ-1-2 監督事務の具体的手法
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(1)オン・オフ一体の継続的かつ重点的なモニタリング
監督部局は、各金融商品取引業者等の特性・課題を把握した上で、課題の性質・優先度に応じて、検査部局による立入検査を含むモニタリング手法を機動的に使い分け、改善状況をフォローアップする継続的なモニタリングを実施する。
モニタリング手法の使い分けについては、各金融商品取引業者等の個別具体的状況に加え、各手法における実態把握に係る有効性や当局側・金融商品取引業者等側における負担の程度、問題の緊急性等の観点も十分に踏まえるものとする。基本的には、まず、経営・財務・リスク計数等に係る資料の分析や、金融商品取引業者等内外の関係者からのヒアリングといったモニタリングを実施し、足下の健全性・適切性等に係る課題が見られるかどうか等の分析結果を踏まえて、検査部局による立入検査の要否について判断するものとする。 -
(2)具体的手法
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実態把握及び対話の実施に当たっての前提行為
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イ.情報収集・プロファイリング(特性把握)
金融庁は、各金融商品取引業者等の特性や課題、改善に向けた自主的な取組み状況等その時々における個別具体的状況を把握することを目的としてモニタリングを実施する。この中には、金融商品取引業者等を巡る環境変化が及ぼす経営への影響やこれへの各金融商品取引業者等の対応状況について把握することも含まれる。
また、内外の経済や金融・資本市場の動向と個々の金融商品取引業者等の行動は相互に影響を及ぼし得るため、その相互作用についても分析・把握する必要がある。
こうした情報収集やプロファイリングは、日常的なモニタリングの成果の集積であり、特定の形式にとらわれるものではないが、例えば以下のような視点で取組みを行っていく。a.マクロの視点
経済、金融市場、政治、社会等内外の環境変化が各金融商品取引業者等や金融システムに与える影響について分析・把握する必要がある。そのため、例えば、庁内の関係部署や財務局、検査部局、関係省庁等と連携し、一般事業会社を含む国内外の不祥事、国内外の法令・制度の改正や判例の動向、海外当局や国際機関における議論の動向、経済・社会環境の変化(SDGsへの注目の高まり等)等の内外の環境変化に関する情報を収集した上で、同業他社や他業界、類似業務・商品、法制度等に潜む共通の課題を分析・把握することが有用となる。
こうした情報収集・分析を通じた、問題事象の横展開・広がりの分析を通じ、金融セクター全体に内在する課題の把握・特定に努めていく。b.ミクロの視点
金融商品取引業者等との実効性のある対話等を実現するためには、各金融商品取引業者等固有の実情についての深い知見の蓄積が不可欠である。特に、その出発点として、金融商品取引業者等が、それぞれの経営環境(顧客特性、競争環境等)の中でどのような姿を目指し、そのために何をしたいのかといった経営理念を確認することが必要となる。そのために、例えば次のような、当該金融商品取引業者等やそのステークホルダー(従業員、顧客、地域社会、株主等)からの情報収集が有用となる。
- ・ 財務データやリスク計数データ等の定型資料のみならず、経営の意思決定に係る会議体の資料や議事録等を分析すること
- ・ 決算やリスク管理に係る定期的なヒアリングのみならず、各部門の責任者をはじめとする各階層の者からビジネス動向等について随時ヒアリングを行うこと
- ・ 金融商品取引業者等自身のリスク認識や業務のあり方を把握するため、内部監査部門、監査(等)委員・監査役、社外取締役等と意見交換を行うこと
- ・ 金融サービス利用者相談室に対して寄せられた相談・苦情等の情報など、様々なチャネルを活用して収集した金融サービス利用者の声のほか、メディア報道や外部からの照会等を含めた外部情報を分析すること
上記のような情報収集・分析やこれまでのモニタリングを通じて、金融商品取引業者等のビジネスモデル・経営戦略、業務運営及び組織態勢を理解した上で、それぞれの課題や特性、金融商品取引業者等を巡る環境変化による影響について把握する
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ロ.優先課題の洗い出し及びモニタリング方針・計画策定
上記情報収集・特性把握を通じて特定された各金融商品取引業者等の課題や業態等に共通する横断的な課題については、金融商品取引業者等の経営陣と経営上の実質的な重要事項を議論するため、また、限られた行政資源を最大限有効活用するため、社会的要請など時々の重要度・緊急度も十分に踏まえ、優先順位を付ける必要がある。こうして特定された横断的な優先度の高い課題については、事務年度当初に年度単位の方針等で設定・公表する。
次に、各金融商品取引業者等特有の経営状況等を踏まえ、モニタリング方針・計画を策定し、優先課題への具体的な対応方針・計画を定め、適正な人員配置等の体制を構築する必要がある。その際、金融商品取引業者等が実質的な重要事項の改善に経営資源を集中できるよう、重点的な課題の性質に応じて、検査部局による立入検査とそれ以外のモニタリング手法、各金融商品取引業者等のモニタリングと水平的なモニタリング等を使い分ける。
また、期中に新たな課題が発生・発覚した場合にはモニタリング計画を柔軟に見直すなど、その時々に応じた適切なモニタリングを心掛ける。
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各金融商品取引業者等の詳細な実態把握
実態把握のため、課題の性質又は対応の進捗、各金融商品取引業者等の実態に応じ、各種ヒアリングや任意の資料提出依頼、アンケート、法令上の報告徴求、検査部局による立入検査などの中から、最も効率的かつ効果的な手法を選択することとする。
また、当局において、過去に情報を把握していたり、別途把握を行っている場合には、その内容を事前に確認の上、それらを最大限活用するなど金融商品取引業者等の負担軽減に配慮する。
更に、一旦行った分析に基づきモニタリングを実施している場合においても、情報収集や実態把握、対話に基づき新たに課題が判明した場合には、新たな課題の性質に応じて、適切な対応を行っていく。
選択された各手法については、それぞれ例えば次の点に留意して実施する。なお、いずれの手法を実施するにしても、当局がどのような課題を認識した上で、どのような議論を志向しているのかを、金融商品取引業者等に対して丁寧に説明していく。-
イ.各種ヒアリング
優先課題について金融商品取引業者等との相互理解を深めるため、課題の性質に応じて経営トップ、各部門や各支店の責任者、実務者レベル等との間で重層的にヒアリングを行っていく。
なお、ベストプラクティスの追求に向けた取組みについては、金融商品取引業者等が自らの置かれた環境と特性に応じ創意工夫を行うものであることを踏まえ、当局が特定の答えを押し付けることのないよう留意する必要がある。
また、こうした各種ヒアリングの一環として、金融商品取引業者等の施設内において、特定のテーマに関して一定期間集中的にヒアリングや対話を行う場合がある。ロ.任意の資料提出依頼
金融商品取引業者等の負担に配慮し、また、依頼趣旨が明確かつ正確に伝わるよう、当該依頼がどのような課題認識に基づくものか、そのためにどういった内容の資料が必要なのかといった点を明らかにし、金融商品取引業者等に対して丁寧に説明し理解を得るよう努める。その際、実施時期の分散、二重の依頼の回避、余裕をもった提出期限の設定といった金融商品取引業者等に課せられる負担の軽減に努めることとする。特に、アンケート等、複数の金融商品取引業者等を対象とする場合は、各金融商品取引業者等の特性・置かれた環境にも十分留意する。
ハ.法令上の報告徴求
必要が認められる場合には法令に基づき報告を求める。その際、当該報告徴求が当局のどのような課題認識に基づくものか、金融商品取引業者等に対して丁寧に説明する。
二.法令に基づく立入検査
足下の健全性・適切性等について詳細な検証が必要と判断された場合等、必要が認められる場合には、検査部局に対し、法令に基づく立入検査の要請を行う。
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対話
対話は、取引の公正性の確保、投資者の保護やコンプライアンス等に係る重大な問題発生の有無や蓋然性、金融商品取引業者等の経営や市場の仲介機能の発揮の状況の改善に向けた自主的な取組み状況等その時々における個別具体的状況や、問題の性質に応じて実施される。
対話を実施する際は、当局側の思い込み、仮説の押し付けを排し、可能な限り、金融商品取引業者等が安心して自らの立場を主張できるよう努めつつ、まずは、金融商品取引業者等の考え方や方針を十分に把握し、その上で事実の提示を伴いつつ行うことを徹底する。
更に、対話に当たっては、それまで、当局が各金融商品取引業者等と行ってきたやりとり等を十分に踏まえ、対話の継続性に配慮した運営に努める必要がある。-
イ.当局による実態把握において、取引の公正性の確保、投資者の保護やコンプライアンス等に係る重大な問題発生の蓋然性が高まったことが認められた場合においても、まずは、金融商品取引業者等自らが課題・根本原因・改善策の妥当性について検証を行った上で、当局と金融商品取引業者等との間で改善策の策定・実行について深度ある対話を行うこととする。但し、既に上記問題が発生している等高度の緊急性が認められる場合においては、当局が考える要改善事項の明確な指摘を行った上で各金融商品取引業者等の対応方針を確認する。
ロ.上記問題が発生する蓋然性が認められない金融商品取引業者等については、自らの置かれた状況に応じ多様で主体的な創意工夫を発揮することで、ビジネスモデルやリスク管理の高度化への努力を続けることが重要である。そこで、当局としては、日頃のモニタリングを通じた特性把握を基に、各金融商品取引業者等の置かれた経営環境や経営課題あるいは、各金融商品取引業者等の戦略、方針について深い理解を持った上で、特定の答えを前提とすることなく、金融商品取引業者等自身に「気付き」を得てもらうことを目的に、金融商品取引業者等との間で、ビジネスモデルやリスク管理、人材育成等について深度ある対話を行っていく(この過程でベストプラクティス等の他の参考事例を必要に応じて共有する)。
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多様な手法の柔軟かつ適切な組合せ
上記のとおり、監督部局が金融商品取引業者等に対する行政対応として用いる手法は様々なものがあるが、有効性や当局側・金融商品取引業者等側における負担・費用等の観点から、それぞれメリット・デメリットがある。そこで、監督部局としては、各金融商品取引業者等における課題や取引の公正性の確保・投資者の保護・コンプライアンス等に係る重大な問題発生の有無等その時々における個別具体的状況に応じて、各手法のメリットを最大限生かす柔軟な組み合わせを実現することで、有効かつ効率的な検査・監督事務の実現を目指す。例えば、既に述べた手法以外にも以下の方法が考えられる。
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・ 業界共通の状況や課題、特定分野における事例等をフィードバックすることは、金融商品取引業者等自身による創意工夫の発揮に資するものである。特に、これらの取組みを各金融商品取引業者等の有する課題に即してフィードバックを行うことで、当局・金融商品取引業者等間における高度の共通価値を構築した上での深度ある対話が可能となる。その場合においても、金融商品取引業者等の自主的な経営判断を尊重し、個別取引の判断に当局として不適切な介入を行うことのないように配慮する必要がある。
・ 金融商品取引業者等が自主的に開示する経営方針やその改善に向けた取組み、市場の仲介機能の発揮状況といった情報は、金融商品取引業者等と当局との間の対話のみならず、顧客等の関係者との対話を深め、金融商品取引業者等による経営改善に向けた取組みに資する可能性がある。
・ 各金融商品取引業者等の課題が市場仲介や顧客利便といった分野である場合は、当局・金融商品取引業者等間でのやり取りに終始するのではなく、取引先や利用者といった第三者にアンケートやヒアリングを実施し、その結果を当局・金融商品取引業者等間の対話の際にフィードバックすることで、対話の効果を高めることが可能となる。
・ 必要に応じ、金融庁が、金融商品取引業者等以外の関係者と共通価値や目標を共有したり、金融庁としての各種分析や金融行政のスタンスを情報発信していくことで、金融商品取引業者等の経営環境に関係するステークホルダー等に働きかけることが考えられる。
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モニタリング結果を踏まえた対応
上記のモニタリング結果の還元については、認識が一致しない点については相違点を確認の上、継続的に議論を続けるなど、優先課題についての重点的な議論に適した進め方を工夫する。
例えば、以下のような形で金融商品取引業者等に還元し、継続的な議論や必要に応じて改善対応を求めるなど、適切なフォローアップを行っていく。-
イ.通年で実施したオン・オフのモニタリングの成果は、必要に応じ年間を通じた「フィードバックレター」として文書で交付する。
ロ.業界共通の課題については、上記「イ」のほか、随時情報発信する。
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モニタリングによって認められた問題点・収集した情報を①個別金融商品取引業者等限りのもの、②当該業態共通のもの、③他業態にも共通のもの、④当局の他の所掌業務や関係省庁その他業界団体等に影響するものに分類し、上記Ⅱ-1-2(2)①イのプロセス等を通じて、次期の年度単位の方針やモニタリング計画に反映するほか、業態横断的な水平的モニタリングの検討、また、モニタリングのみに留まらない問題の広がりを踏まえた当局の他の所掌業務や関係省庁その他業界団体等への働きかけを行っていく。
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II-1-3 品質管理
監督事務の全過程において、実態把握及び対話を通じたモニタリングの質や深度について適切な判断が確保されるよう、組織として品質管理を行う。各金融商品取引業者等の経営環境や経営理念等各々の固有の実情を踏まえ、各金融商品取引業者等の創意工夫を尊重しているか、各金融商品取引業者等に対して不適切な負担を強いていないか等について、国民全体の厚生の最大化という幅広い視点に立ちつつ、各金融商品取引業者等の業務運営が市場の公正及び投資者保護を確保するものとなるよう、監督事務の品質の確保に努める。
そのため、監督局関係幹部等において、例えば次の点について、金融商品取引業者等から寄せられた意見も踏まえ、多角的・重層的な検証を行い、継続的に必要な改善を図る。
・ 情報収集やヒアリング、対話にあたり、金融商品取引業者等に重複徴求等の過大な負担をかけないよう、業態別・分野別モニタリングチームの間で実効的な連携・情報共有を行っているか。また、資料提出依頼にあたり、依頼内容が明確か、各金融商品取引業者等の規模・特性に留意しているか、余裕をもった期限が設定されているか。
・ 特性把握にあたり、各金融商品取引業者等の経営環境や経営理念等各々の固有の実情を十分踏まえているか。また、当局担当者が思い込みに陥らないよう、客観的な資料・事実を踏まえているか。
・ 優先課題の洗い出しにあたり、各金融商品取引業者等固有の実情に応じた経営上の実質的な重要課題に着目できているか。また、他の金融商品取引業者等や業態に広がりを持つ共通的な課題を見落としていないか。
・ モニタリング方針・計画の策定にあたり、適切なモニタリングの対象や手法が選択されモニタリングの実施を行う体制が整備されているか。
・ 報告徴求にあたり、当局の課題認識を金融商品取引業者等に丁寧に説明しているか。
・ 上記Ⅱ-1-2(2)③を踏まえ、適切な対話になっているか。また、対話が一方的な指導となっていないか。
・ モニタリングの結果認められた課題や問題点について、根本原因分析が行われているか。
・ モニタリング結果の還元にあたり、優先課題を重点的に議論するために最も適した方法が選択されているか。また、還元する内容について、問題の重要性に応じた的確な議論や改善の要請等ができているか、些末な問題を指摘していないか、不適切な経営介入を行う結果となっていないか。
その際、幹部が金融商品取引業者等を訪問し、金融商品取引業者等から直接モニタリングについての意見を聞くなど、金融商品取引業者等からの率直な意見や批判を受ける機会を充実させるよう努める。
また、金融商品取引業者等及び金融庁職員等へのヒアリング等を通じた金融行政に対する評価や有識者会議等を通じた外部有識者からの意見聴取を実施する。
II-1-4 一般的な監督事務
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(1)モニタリング調査表の提出について
オフサイト・モニタリングの一環として、金融商品取引業者等に対して、以下の事項に関し、金商法第56条の2第1項の規定に基づき、モニタリング調査表の提出を求めることとする。
財務局長(福岡財務支局長及び沖縄総合事務局長を含む。以下同じ。)は、モニタリング調査表の提出を受けた場合は、金融庁長官が示す取扱要領により、オフサイト・モニタリング報告に係る事務を行うものとする。また、具体的な事務については、財務局担当課室は、金融庁担当課室との十分な連携によりこれを行うものとする。 -
【第一種金融商品取引業を行う者へのモニタリング】
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自己資本規制比率の状況
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業務、経理の状況
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顧客資産の分別管理の状況
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市場リスク
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取引先リスク
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オペレーショナル・リスク
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流動性リスク
【一定規模以上のファンド等の運用を行う者へのモニタリング(ファンド又は顧客資産ごとに実施)】
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ファンド等の名称
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業者区分
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ファンド等の形態
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運用期間に関する事項
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権利者(投資主を含み、個人を除く。)に関する事項
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運用財産額に関する事項
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純財産額に関する事項
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投資対象に関する事項
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商品分類に関する事項
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借入状況に関する事項
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取引先リスクに関する事項
取引先リスクに関する事項
(注) モニタリング調査表の提出を求める対象となる「一定規模以上のファンド等の運用を行う者」とは、毎年6月末日における直近の事業年度終了時点において、以下に該当し、かつ1ファンド又は1契約あたりの純資産額が500億円以上のファンド又は顧客資産を運用する者をいう。
・金商法第2条第8項第12 号に掲げる行為を業として行う者
・金商法第2条第8項第14 号に掲げる行為を業として行う者
・金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に関する投資として、金商法第2条第8項第15号ハに掲げる権利を有する者から出資又は拠出を受けた金銭その他の財産の運用を業として行う者 -
(2)行政処分に係る公告の留意事項
金商法第54条の2の規定に基づき行政処分の公告を行う場合は、次の事項を掲載するものとする。
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商号、名称又は氏名
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本店等の所在地
(注) 本店等とは、本店その他の主たる営業所又は事務所(外国法人又は外国に住所を有する個人にあっては、国内における主たる営業所又は事務所。但し、国内における主たる営業所又は事務所が無い場合には、本店。)をいう。以下同じ。
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登録番号
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登録年月日
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行政処分の年月日
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行政処分の内容
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(3)無登録業者等及び類似商号使用者の実態把握等
投資者からの苦情、捜査当局からの照会、金融商品取引業者・金融商品取引業協会等からの情報提供又は新聞広告等から、無登録・無届けで金融商品取引業等を行っている者及び金融商品取引業者と誤認されるおそれのある商号又は名称を使用している者を把握した場合は、警察や地域の消費者センター等への照会、直接の電話確認等の方法により、積極的にその実態把握に努めるものとする。
特に、投資者から苦情等があった場合や捜査当局から照会があった場合は、その対応のみに留まることのないよう十分留意するものとする。
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(4)無登録業者等に係る対応について
無登録業者等に関する情報を入手した場合は、被害の拡大を防ぐ観点から下記のような対応に努めることとする。
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苦情等の受付
投資者等から無登録で金融商品取引業を行っている者に関する情報提供があったときは、極力詳細な内容(業者名、所在地、代表者名、電話番号、営業の実態、申出人氏名、申出内容を捜査当局へ連絡することの可否等)を聴取した上、次により対応する。
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イ他の財務局に本拠地のある無登録業者の情報を受け付けた場合には、申出内容について聴取したうえで、本拠地のある財務局へ情報を連絡する(その後の対応は連絡を受けた財務局で対応することを基本とする)。
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ロ連絡先が判明しない業者については、更なる情報収集に努める。
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ハ情報提供者から業者及び他の機関に連絡しないように求められた場合には、情報提供者に不利益が及ばないよう留意する。
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ニ無登録が疑われる場合には申出人においても捜査当局へ情報提供をするよう慫慂する。
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ホ「管理台帳(別紙様式 II-6)」を作成し、投資者からの苦情・照会の内容及び当該業者に対する当局の指導内容、相手方の対応等を時系列的に整理・記録しておく。
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無登録で金融商品取引業を行っているおそれが認められた場合
直接受理した情報や金融庁・他局から提供された情報等により、業者名及び連絡先が判明しており、かつ、営業実態もある程度判明している業者については、直接、当該業者に電話する等の方法により実態把握に努め、その結果、当該業者が無登録で金融商品取引業を行っているおそれがあると認められた場合(不在等で連絡が取れない場合も含む。)には、別紙様式 II-5による文書の発出を行い、次により対応する。
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イ無登録に至った原因に故意性・悪質性がなく、投資者保護の観点から問題のある業者でない場合には、直ちに金融商品取引業の登録を求める。
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ロ無登録に至った原因に故意性・悪質性があると認められる場合、その他投資者保護上必要と認められる場合には、捜査当局に連絡するとともに、かかる行為を直ちに取り止めるよう別紙様式 II-4により文書による警告を行う。
なお、別紙様式 II-5による文書の発出を行うまでもなく、無登録で金融商品取引業を行っていることが判明している場合にあっては、直ちに別紙様式 II-4により文書による警告を行うこととする。
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ハ無登録で金融商品取引業を行っているとまでは認められないものの、金融商品取引業を行う旨の表示又は金融商品取引業を行うことを目的として金融商品取引契約の締結について勧誘を行っていると認められる場合は、別紙様式 II-4に代えて、別紙様式 II-13により、警告を行うこととする。
(注)無登録業者等に係る対応にあたっては、無登録業者等が、無償で有価証券の価値等に関する助言等を提供するといった、一見してそれ自体では金融商品取引業を行う旨の表示又は金融商品取引契約の締結についての勧誘(以下本②において「金融商品取引業を行う旨の表示等」という。)に該当しないかのような広告その他の表示(以下本②において「広告等」という。)を行う場合であっても、当該広告等を入口として、その閲覧者を誘導した先のウェブサイトやSNS等において金融商品取引業に該当する行為(例えば、有価証券の売買の媒介、有償での有価証券の価値等に関する助言、外国為替証拠金取引など)の提供がなされる旨が表示され、又は当該行為に係る契約の締結についての勧誘が行われている場合には、これらの一連の広告等及び表示又は勧誘は、金商法第31条の3の2第1号又は第2号に規定する金融商品取引業を行う旨の表示等に該当し得ることに留意する。
また、無登録業者等が、一見してそれ自体では金融商品取引業に該当しないかのような広告等を入口として、その閲覧者を誘導した先のウェブサイトやSNS等において金融商品取引業に該当する行為を行う場合には、これらの一連の行為は、無登録で行う金融商品取引業に該当し得ることにも留意する。 -
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警告を発したにもかかわらず是正しない場合
別紙様式 II-4又はII-13による警告を発したにもかかわらず是正しない者については、必要に応じ捜査当局に対し告発を行うものとする。
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公表等
「警告」、「告発」の措置をとった場合は、これらの措置の対象となった業者の商号、名称又は氏名(法人の場合は代表取締役又はこれに相当する者の氏名を含む。)、所在地又は住所(個人の場合は都道府県名及び市町村名又は特別区名とし、非居住者にあってはこれらに相当するもの)及び無登録で行っていた金融商品取引業の内容等について、ホームページで公表を行うとともに、「管理台帳」及び「警告文書」等の写しを速やかに金融庁長官へ送付する。報告を受けた金融庁においては、公表を行った業者をリスト化し、金融庁ホームページで公表を行うものとする。
なお、警告の対象となった業者の所在地が虚偽であることが明らかな場合や、業者の所在地が不明な場合等、警告書の交付が困難な場合には、警告書の発出を行うことなく上記の公表等を行うものとする。
(注)無登録業者等に係る対応については、捜査当局による捜査に支障が出る場合を除くこととする。なお、捜査当局より当該業者に係る登録の有無の照会等を受けたことをもって、直ちに、捜査当局による捜査に支障が出る場合と判断するものではないことに留意するものとする。
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(5)類似商号使用者に係る対応について
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明らかに類似商号に該当すると認められる者(例えば、「○○証券」、「○○第△種金融商品取引業者」、「○○投資法人」等)については、別紙様式 II-1により文書で警告を行うとともに、直接、電話や面談等により接触し是正を求めるものとする。また、捜査当局に連絡し情報交換等を行うものとする。
なお、類似商号に該当すると認められる者であって、無登録で金融商品取引業を行っているおそれがあると認められた者については、原則として、上記(4)の手続きにより対応するものとする。
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金融商品取引業者と紛らわしい商号(注)を使用している者については、別紙様式 II-2により文書で警告を行うとともに、警察や地域の消費者センター等への照会、直接の電話確認等の方法により業務内容を調査するものとする。
調査の結果、当該業者の業務が金融商品取引業者とは明らかに異なる場合を除き、別紙様式 II-3により再度文書で警告を行うとともに、直接、電話や面談等により接触し是正を求めるものとする。
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別紙様式 II-1及び別紙様式 II-3による警告を発したにもかかわらず是正しない者については、捜査当局に対し必要に応じ告発を行うものとする。
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財務局長は、上記からまでの措置をとった場合は、業者名、 代表者名、店舗等の所在地、業務内容及び規模等について速やかに金融庁長官へ報告するものとする。報告を受けた金融庁においては、警告を行った者の名称等について、金融庁ホームページで公表を行うものとする。
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財務局長は、類似商号使用者等については、管理台帳(別紙様式 II-6)を作成し、当該業者に対する投資者等からの苦情・照会の内容及び当該業者に対する当局の指導内容、相手方の対応等を時系列的に整理・記録しておくものとする。
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(注)「金融商品取引業者と紛らわしい商号例」
金融商品取引業者で、金商法施行時に旧証券取引法第28条の登録を受けている者(みなし登録第一種業者)及び金商法施行後に有価証券関連業を行う者は、その商号中に「証券」という文字を使用することができる。商号中に「証券」という文字を用いるこれらの者(以下「特例証券会社等」という。)と紛らわしい商号に関しては、一般に「特例証券会社等と誤認されるおそれ」の有無により個別に検討するものとするが、使用例を掲げれば次のとおりである。
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(a)「証券」という文字に他の文字を組み合わせているが、その商号から特例証券会社等と紛らわしいもの。
〔例示〕
○○証券取引、○○証券売買、○○証券取次、○○証券投資、○○証券商事、○○証券短資、○○証券委託、○○証券媒介、○○証券代理
ただし、「○○証券印刷」のように明らかに特例証券会社等と異なるものは除く。
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(b)「証券」という文字は使用していないが、その商号から特例証券会社等と紛らわしいもの。
〔例示〕
○○株式委託、○○株式投資、○○株式取次、○○株式売買、○○株式取引、○○株式代理(債券でも同様)、○○金融商品取引
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II-1-5 監督部局間の連携
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(1)金融庁と財務局における連携
金融庁と財務局との間では、金融商品取引業者等を監督する上で必要と考えられる情報について、適切に情報交換等を行い、リスクの存在や問題意識の共有を通じたモニタリングの実効性の強化を図る必要がある。そのため、II-1-7に掲げる内部委任事務に係る協議等以外の情報等についても、適宜適切な情報提供や積極的な意見交換、事例の集積を通じて得られたノウハウの共有を行う等、連携の強化に努めることとする。また、財務局間においても、他の財務局が監督する金融商品取引業者等について、公表されていないリスクの存在や問題等を把握したときは、適宜監督する財務局や金融庁への情報提供を行い、連携の強化に努めることとする。
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(2)管轄財務局長との連絡調整
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金融庁長官又は財務局長は、他の財務局長が管轄する区域における金融商品取引業者の営業所の設置、位置の変更、名称の変更、廃止、業務の休止及び再開に係る届出書を受理した場合は、その写しを当該営業所の所在地を管轄する財務局長に送付するものとする。
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金融庁長官又は財務局長は、所管する金融商品取引業者等の他の財務局長が管轄する区域に所在する営業所に対して、金商法第51条から第54条までの規定に基づく処分をした場合は、速やかに当該営業所の所在地を管轄する財務局長にその処分内容を連絡するものとする。
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財務局長は、金融庁長官又は他の財務局長が所管する金融商品取引業者の主要株主から、金商法第32条の規定に基づく届出を受理した場合は、当該届出書の本紙を速やかに、金融庁長官又は当該他の財務局長に送付するものとする。また、金商法第32条の3の規定に基づく届出を受理した場合も同様に取り扱うものとする。
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金融庁長官又は財務局長は、所管する金融商品取引業者の主要株主に対して、金商法第32条の2の規定に基づく命令を行った場合は、当該主要株主の本店又は主たる事務所(当該主要株主が個人の場合にあっては、その住所又は居所)を管轄する財務局長(当該主要株主が非居住者である場合は関東財務局長)にその命令内容を連絡するものとする。
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金融庁長官又は財務局長は、自らが所管する金融商品取引業者等のうち、他の財務局長が管轄する区域に所在する金融商品仲介業者等(金融商品仲介業者及び金融サービス仲介業者(金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(以下「金融サービス提供法」という。)第11条第6項に規定する金融サービス仲介業者をいい、有価証券等仲介業務(同条第4項に規定する有価証券等仲介業務(同条第4項に規定する有価証券等仲介業務をいう。以下同じ。)を行う者に限る。以下同じ。)をいう。以下同じ。)に業務の委託を行っている金融商品取引業者等がある場合においては、当該金融商品仲介業者等を所管する財務局長に、当該金融商品仲介業者等の監督に資するため必要な情報を提供するなど、連携に努めるものとする。
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II-1-6 自主規制機関との連携
金融商品取引業者等の監督に当たっては、法令上の規制と併せて各自主規制機関の定める規則を重視する必要があることに留意する。また、自主規制機関との間では、取引の公正性の確保や投資者保護を図る目的の範囲において、金融商品取引業者等を監督する上で必要と考えられる情報についての情報交換を適切に行うとともに、積極的な意見交換等を通じたリスクの存在や問題意識の共有を図るよう努めることとする。また、各自主規制機関の間の連絡調整のための会議等に参加するなど、横断的な自主規制機能の発揮に向けた取組みを、当局としても積極的に支援することとする。
なお、金融商品取引業からの暴力団等の排除に関し、証券保安連絡会を通じた関係機関との連携を適切に図ることとする。
II-1-7 内部委任
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(1)金融庁長官への協議
財務局長は、金融商品取引業者等の監督事務に係る財務局長への委任事項等の処理にあたり、次に掲げる事項については、あらかじめ金融庁長官に協議するものとする。
なお、協議の際は、財務局における検討の内容及び処理意見を付するものとする。
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金商法第29条の規定による登録業務の登録又は同法第31条第4項の規定による変更登録(いずれも金商法第30条第1項ただし書の規定により行う金商法第2条第8項第10号に規定する業務に係るものに限る。)
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金商法第29条の4第1項又は第33条の5の規定による登録の拒否
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金商法第30条第1項の規定による認可業務の認可
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金商法第32条の2の規定による主要株主に対する行政処分(金商法第32条の4で準用する場合を含む。)
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金商法第44条の3第1項ただし書又は第2項ただし書の規定による弊害防止措置に関する適用除外の承認
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金商法第51条、第51条の2、第52条第1項又は第52条の2第1項の規定による業務改善・停止命令、登録取消又は認可取消の行政処分
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金商法第52条第2項及び第52条の2第2項の規定による役員(外国法人にあっては、国内における営業所若しくは事務所に駐在する役員又は国内における代表者に限る。)の解任処分
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金商法第53条の規定による自己資本規制比率に係る業務改善等処分
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金商法第54条の規定による長期業務休止金融商品取引業者等に対する登録取消処分
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金商法第187条の規定による調査に必要な処分
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金融商品取引業者の市場リスク相当額、取引先リスク相当額及び基礎的リスク相当額の算出の基準等を定める件(以下「自己資本規制告示」という。)第7条第1項の規定による金利感応度の分析の承認
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自己資本規制告示第10条の規定による内部管理モデル方式の承認
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自己資本規制告示第14条第5項の規定による承認取消処分
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(2)金融庁長官への報告
財務局長は、金融商品取引業者等の監督事務に係る財務局長への委任事項等の処理にあたり、次に掲げる事項については、当該事務処理後金融庁長官に報告等を行うものとする。
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財務局長は、本庁監理金融商品取引業者等が金商法第29条の3第1項又は金商法第33条の4第1項の規定による登録を行った場合は、速やかに登録申請書の正本及び添付書類を金融庁長官へ送付すること。
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財務局長は、各四半期末現在における主要株主(金商法第29条の4第2項に規定する主要株主をいう。)の状況について、別紙様式 II-7により各四半期末の翌月20日までに金融庁長官へ報告すること。
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財務局長は、事故確認に関する事務(金商法第39条第3項ただし書)について、別紙様式 II-8(確認事務処理状況報告書)により半期ごとに取りまとめ、各半期末の翌月15日までに金融庁長官へ報告すること。
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財務局長は、次の書類の提出を受けた場合には、速やかにその写しを金融庁長官へ送付すること。
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イ. 国際業務に関する報告書(金融商品取引業等に関する内閣府令(以下「金商業等府令」という。)第173条第2号)
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ロ. 駐在員事務所の設置又は廃止の届出書(金商業等府令第199条第11号チ)
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財務局長は、金商法第50条の2第1項又は第7項の規定による届出を受理したときは、速やかにその写しを金融庁長官へ送付すること。
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財務局長は、金商法第57条第3項の規定に基づき通知をしたとき(金商法第194の4第1項の規定に基づく財務大臣への通知を要する場合に限る。)は、速やかに通知書の写しを金融庁長官へ送付すること。
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財務局長は、本庁監理金融商品取引業者等となる者から、金商法第63条の9第1項の規定による届出を受理した場合は、速やかに届出書の正本及び添付書類を金融庁長官へ送付すること。
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財務局長は、本庁監理金融商品取引業者等となる者から、金商法附則第3条の3第1項(同条第7項において準用する場合を含む。以下Ⅱ-6において同じ。)の規定による届出を受理した場合は、速やかに届出書の正本及び添付書類を金融庁長官へ送付すること。
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財務局長は、自己資本規制告示第14条第1項又は第2項の規定による届出を受理したときは、速やかにその写しを金融庁長官へ送付すること。
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財務局長は、財務局監理金融商品取引業者等の前事業年度における登録免許税(登録免許税法第2条に規定する登録免許税)の納付状況を調査し、毎年4月30日までに金融庁長官へ報告すること。
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(3)財務事務所長等への再委任
財務局長は、金融商品取引法施行令(以下「金商法施行令」という。)第42条の規定により財務局長に委任された事務のうち、次に掲げるものについては、申請者及び金融商品取引業者等の本店等の所在地を管轄する財務事務所長、小樽出張所長又は北見出張所長に再委任することができる。
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金商法第29条の2第1項及び第33条の3第1項に規定する登録申請書の受理に関する事務
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金商法第30条の3第1項に規定する認可申請書の受理に関する事務
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金商法第35条第4項に規定する承認申請書の受理に関する事務
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金商法第31条第1項及び第3項又は金商法第33条の6第1項及び第3項、金商法第31条の2第5項及び第8項、金商法第35条第3項及び第6項、金商法第46条の6第1項、金商法第50条第1項並びに金商法第50条の2第1項及び第7項の規定による届出の受理に関する事務
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金商法第32条第1項及び第3項、金商法第32条の3、金商法第32条の4、第57条の26第1項の規定による届出の受理に関する事務
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金商法第46条の3第1項及び第2項、金商法第47条の2、金商法第48条の2第1項及び第2項、金商法第49条の3第1項及び第2項の規定により提出される書類の受理に関する事務
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(4)留意点
登録金融機関の監督事務に係る事務処理については、II-1-7(1)①、③、④、⑧及び⑪から⑬まで、(2)②、④及び⑨、(3)②、③及び⑤は適用しない。
II-1-8 金融商品取引業者等が提出する書類等における記載上の留意点
本指針の各様式における役員等の氏名の記載欄について、氏を改めた者においては、旧氏(住民基本台帳法施行令(昭和42年政令第292号)第30条の13に規定する旧氏をいう。以下同じ。)及び名を括弧書で併せて記載することができることに留意する。
なお、別紙様式Ⅲ-1、別紙様式Ⅵ-11、別紙様式Ⅵ-12、別紙様式Ⅵ-13、別紙様式Ⅵ-14及び別紙様式Ⅵ-15においては、法第29条の2第1項の登録申請書又は法第31条第1項の規定による届出書に旧氏及び名を併せて記載して提出した者について、これらの書類に記載した当該旧氏及び名を変更する旨を届け出るまでの間、当該旧氏及び名のみを記載することができることに留意する。
II-1-9 書面・対面による手続についての留意点
金融商品取引業者等による当局への申請・届出等及び当局から金融商品取引業者等に対し発出する処分通知等については、それぞれ情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(以下「デジタル手続法」という。)第6条第1項及び第7条第1項の規定により、法令の規定において書面等により行うことその他のその方法が規定されている場合においても、当該法令の規定にかかわらず、電子情報処理組織を使用する方法により行うことができることとされている。
こうしたデジタル手続法の趣旨を踏まえ、同法の適用対象となる手続に係る本監督指針の規定についても、当該規定の書面・対面に係る記載にかかわらず、電子情報処理組織を使用する方法により行うことができるものとする。
また、経済社会活動全般において、デジタライゼーションが飛躍的に進展している中、政府全体として、書面・押印・対面手続を前提とした我が国の制度・慣行を見直し、実際に足を運ばなくても手続ができるリモート社会の実現に向けた取組みを進めている。
金融庁としても、こうした取組みを着実に進めるため、金融商品取引業者等から受け付ける申請・届出等について、全ての手続についてオンラインでの提出を可能とするための金融庁電子申請・届出システムを更改したほか、押印を廃止するための内閣府令及び監督指針等の改正を行うこと等により、行政手続の電子化を推進してきた。
更に、民間事業者間における手続についても、「金融業界における書面・押印・対面手続の見直しに向けた検討会」を開催し、業界全体での慣行見直しを促すことにより、書面の電子化や押印の廃止、対面規制の見直しに取り組んできた。
このような官民における取組みも踏まえ、本監督指針の書面・対面に係る記載のうち、デジタル手続法の適用対象となる手続に係るもの以外についても、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行うことができるものとする。
以上のような取扱いとする趣旨に鑑み、本監督指針の規定に基づく手続については、手続の相手方の意向を考慮した上で、可能な限り、書面・対面によらない方法により行うことを慫慂するものとする。
II-1-10 申請書等を提出するに当たっての留意点
Ⅱ-1-9を踏まえ、金融商品取引業者等による当局への申請・届出等(公的機関が発行する添付書類(住民票の写し、身分証明書、戸籍謄本等)を含む。)については、原則として、以下(1)、(2)に掲げる方法により提出を求めることとする。
なお、公的機関が発行する添付書類については、デジタルカメラ、スキャナ等を用いて記録した事項が不鮮明である等確認に支障がある場合には、原本送付を求めることとする。また、税・手数料等の納付が必要な手続において、電子納付以外により納付を受け付ける場合には、別途、税・手数料等の納付を証する書類の原本送付を求めることとする。
(1)金融庁電子申請・届出システム
金融商品取引業者等による当局への申請・届出等のうち、(2)に掲げる金融庁業務支援統合システム(以下「統合システム」という。)を利用して提出を求める手続を除いては、原則として、金融庁電子申請・届出システムを利用して法令に定める提出期限までに提出を求めることとする。
(2)金融庁業務支援統合システム
金商法第46条の3第1項に規定する事業報告書、金商法第46条の6第1項に規定する自己資本規制比率に関する届出書、同法第47条の2に規定する事業報告書、同法第48条の2第1項に規定する事業報告書、同条第2項に基づく金商業等府令第188条第2号に規定する業務又は財産の状況に関する報告書及び同法第63条の4第2項に規定する事業報告書及び同法第63条の12第2項(同法附則第3条の3第4項(同条第7項において準用する場合を含む。以下同じ。)において適用する場合を含む。)に規定する事業報告書については、原則として、統合システムを利用して提出を求めることとする。
II-2 相談・苦情等への対応
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(1)基本的な対応
金融商品取引業者等及び金融商品取引に関する相談・苦情等に対しては、金融庁にあっては金融サービス利用者相談室が、各財務局にあっては担当課室が、第一義的な受付窓口となるが、申出人に対しては、当局は個別取引に関してあっせん等を行う立場にないことを説明するとともに、必要に応じ、金商法に基づき相談・苦情等への対応を行う機関として、指定ADR機関(金商法第156条の38第1項に規定する指定紛争解決機関をいう。以下同じ。)、金融商品取引業協会又は認定投資者保護団体を紹介するものとする。
なお、寄せられた相談・苦情等のうち、申出人が金融商品取引業者等側への情報提供について承諾している場合には、原則として、監督部局において、当該金融商品取引業者等への情報提供を行うこととする。
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(2)情報の蓄積
各財務局においては、金融商品取引業者等に関する相談・苦情等のうち、金融商品取引業者等に対する監督上、参考になると考えられるものについては、その内容を記録(別紙様式 II-9)するものとし、特に有力な情報と認められるものについては、速やかに金融庁担当課室に報告するものとする。
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(3)金融サービス利用者相談室との連携
監督部局においては、金融サービス利用者相談室に寄せられた相談・苦情等の監督事務への適切な反映を図るため、以下の対応をとるものとする。
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相談室から回付される相談・苦情等の分析
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相談室との情報交換
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II-3 法令解釈等外部からの照会への対応
II-3-1 法令照会
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(1)照会を受ける内容の範囲
照会を受ける内容の範囲は、金商法及びこれに関連する法令であって金融庁が所管する法令に関するものとする。なお、照会が権限外の法令等に係るものであった場合には、コメント等は厳に慎むものとする。
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(2)照会に対する回答方法
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本監督指針、審議会等の答申・報告等の既存資料により回答可能なものについては、適宜回答するものとする。
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財務局が照会を受けた際、回答に当たって判断がつかないもの等については、「連絡箋」(別紙様式 II-10)を作成し、金融庁担当課室と電子メール等により協議するものとする。
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金融庁担当課室長は、当庁が所管する法令に関し、当庁所管法令の直接の適用を受ける事業者又はこれらの事業者により構成される事業者団体(注)から受けた、次のイ及びロの項目で定める要件を満たす一般的な照会であって、書面による回答及び公表を行うことが法令適用の予測可能性向上等の観点から適切と認められるものについては、これに対する回答を書面により行い、その内容を公表することとする。
(注) 事業者団体とは、当庁所管法令の直接の適用を受ける、業種等を同じくする事業者が、共通の利益を増進することを主たる目的として、相当数結合した団体又はその連合体(当該団体に連合会、中央会等の上部団体がある場合には、原則として、最も上部の団体に限る。)をいう。
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イ. 本手続の対象となる照会の範囲
本手続の対象となる照会は、以下の要件の全てを満たすものとする。
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a. 特定の事業者の個別の取引等に対する法令適用の有無を照会するものではない、一般的な法令解釈に係るものであること(法令適用事前確認手続制度の利用が可能でないこと。)。
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b. 事実関係の認定を伴う照会でないこと。
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c. 照会内容が、金融庁所管法令の直接の適用を受ける事業者(照会者が団体である場合はその団体の構成事業者)に共通する取引等に係る照会であって、多くの事業者からの照会が予想される事項であること。
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d. 過去に公表された事務ガイドライン等を踏まえれば明らかになっているものでないこと。
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ロ. 照会書面(電子的方法を含む。)
本手続きの利用を希望する照会者からは、以下の内容が記載された照会書面の提出を受けるものとする。また、照会書面のほかに、照会内容及び上記イに記載した事項を判断するために、記載事項や資料の追加を要する場合には、照会者に対して照会書面の補正及び追加資料の提出を求めることとする。
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a. 照会の対象となる法令の条項及び具体的な論点
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b. 照会に関する照会者の見解及び根拠
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c. 照会及び回答内容が公表されることに関する同意
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ハ. 照会窓口
照会書面の受付窓口は、照会内容に係る法令を所管する金融庁担当課室又は照会者を所管する財務局担当課室とする。財務局担当課室が照会書面を受領した場合には、速やかに金融庁担当課室に電子メール等により照会書面を送付することとする。
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ニ. 回答
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a. 金融庁担当課室長は、照会者からの照会書面が照会窓口に到達してから原則として2ヵ月以内に、照会者に対して回答を行うよう努めることとし、2ヵ月以内に回答できない場合には、照会者に対してその理由を説明するとともに、回答時期の目途を伝えることとする。
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b. 回答書面には、以下の内容を付記することとする。
「本回答は、照会対象法令を所管する立場から、照会書面に記載された情報のみを前提に、照会対象法令に関し、現時点における一般的な見解を示すものであり、個別具体的な事例への適用を判断するものではなく、また、もとより捜査当局の判断や司法判断を拘束しうるものではない。」
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c. 本手続きによる回答を行わない場合には、金融庁担当課室は、照会者に対しその旨及び理由を説明することとする。
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ホ. 公表
上記ニの回答を行った場合には、金融庁は、速やかに照会及び回答内容を金融庁ホームページ上に掲載して、公表することとする。
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上記に該当するもの以外のもので照会頻度が高いもの等については、必要に応じ「応接箋」(別紙様式 II-11)を作成した上で、関係部局に回覧し、金融庁担当課室又は財務局担当課室の企画担当係に保存するものとする。
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照会者が照会事項に関し、金融庁からの書面による回答を希望する場合であって、II-3-2(2)に照らし法令適用事前確認手続の利用が可能な場合には、照会者に対し、法令適用事前確認手続を利用するよう伝えることとする。
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II-3-2 法令適用事前確認手続(ノーアクションレター制度)
法令適用事前確認手続(以下「ノーアクションレター制度」という。)とは、民間企業等が実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して、当該行為が特定の法令の規定の適用対象となるかどうかを、あらかじめ当該規定を所管する行政機関に確認し、その機関が回答を行うとともに、当該回答を公表する制度であり、金融庁では、法令適用事前確認手続きに関する細則を定めている。本項は、ノーアクションレター制度における事務手続きを規定するものであり、制度の利用に当たっては必ず「金融庁における法令適用事前確認手続に関する細則」を参照するものとする。
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(1)照会窓口
照会窓口は、金融庁監督局総務課とする。
なお、照会窓口たる金融庁監督局総務課は、下記(2)の記載要領に示す要件を満たした照会書面が到達した場合は速やかに受け付け、照会事案に係る法令を所管する担当課室に回付する。
財務局所管の金融機関等は、財務局に照会する。財務局が照会を受けた場合には、金融庁監督局総務課に対し、照会書面を原則として速やかに電子メール等により送付する。
(注) 財務局においては、照会書面を金融庁監督局総務課に送付する際、原則として審査意見を付するものとする。
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(2)照会書面受領後の流れ
照会書面を回付された後は、担当課室において、回答を行う事案か否か、特に、以下ないしについて確認し、当制度の利用ができない照会の場合には、照会者に対しその旨を連絡する。また、照会書面の補正及び追加書面の提出等が必要な場合には、照会者に対し所要の対応を求めることができる。ただし、追加書面は必要最小限とし、照会者の過度な負担とならないよう努めることとする。
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照会の対象
民間企業等が、新規の事業や取引を具体的に計画している場合において、当庁が本手続の対象としてホームページに掲げた所管の法律及びこれに基づく政府令(以下「対象法令(条項)」という。)に関し、以下のような照会を行うものか。
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イ. その事業や取引を行うことが、無許可業務等にならないかどうか。
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ロ. その事業や取引を行うことが、無届け業務等にならないかどうか。
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ハ. その事業や取引を行うことによって、業務停止や免許取消等(不利益処分)を受けることがないかどうか。
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ニ. その事業や取引を行うことに関し、直接に義務を課され又は権利を制限されることがないかどうか。
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照会者の範囲
照会者は、実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して、対象法令(条項)の適用に係る照会を行う者及び当該者から依頼を受けた弁護士等であって、下記の記載要領を満たした照会書面を提出し、かつ、照会内容及び回答内容が公表されることに同意しているか。
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照会書面の記載要領
照会書面(電子的方法を含む。)は、下記の要件を満たしているものか。
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イ. 将来自らが行おうとする行為に係る個別具体的な事実が記載されていること。
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ロ. 対象法令(条項)のうち、適用対象となるかどうかを確認したい法令の条項が特定されていること。
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ハ. 照会及び回答内容が公表されることに同意していることが記載されていること。
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ニ. 上記ロにおいて特定した法令の条項の適用に関する照会者の見解及びその根拠が明確に記述されていること。
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回答
照会書面を回付された課室の長は、照会者からの照会書面が照会窓口に到達してから原則として30日以内に照会者に対する回答を行うものとする。ただし、次に掲げる場合には、各々の定める期間を回答期間とする。なお、いずれの場合においても、補正期間を含め、できるだけ早く回答するよう努めることとする。
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イ. 高度な金融技術等に係る照会で慎重な判断を要する場合 原則60日以内
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ロ. 担当部局の事務処理能力を超える多数の照会により業務に著しい支障が生じるおそれがある場合 30日を超える合理的な期間内
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ハ. 他府省との共管法令に係る照会の場合 原則60日以内
照会書面の記載について補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、回答期間に算入しないものとする。また、30日以内に回答を行わない場合には、照会者に対して、その理由及び回答時期の見通しを通知することとする。
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照会及び回答についての公開
金融庁は、照会及び回答の内容を、原則として回答を行ってから30日以内に全て金融庁ホームページに掲載して公開する。
ただし、照会者が、照会書に、回答から一定期間を超えて公開を希望する理由及び公開可能とする時期を付記している場合であって、その理由が合理的であると認められるときは、回答から一定期間を超えて公開することができる。この場合においては、必ずしも照会者の希望する時期まで公開を延期するものではなく、公開を延期する理由が消滅した場合には、公開する旨を照会者に通知した上で、公開することができる。また、照会及び回答内容のうち、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条各号に規定する不開示情報が含まれている場合、これを除いて公表することができる。
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II-3-3 グレーゾーン解消制度
産業競争力強化法(以下、「強化法」という。)第7条第1項は、新事業活動を実施しようとする者は、その実施しようとする新事業活動及びこれに関連する事業活動に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令(告示を含む。以下、この項において「法令」という。)の規定の解釈並びに当該新事業活動及びこれに関連する事業活動に対する当該規定の適用の有無について、その確認を求めることができる制度(以下、「グレーゾーン解消制度」という。)を規定している。本項は、グレーゾーン解消制度における事務手続きを規定するものであり、制度の利用に当たっては、「「グレーゾーン解消制度」、「規制のサンドボックス制度」及び「新事業特例制度」の利用の手引き」(令和4年7月15日経済産業省)(以下、同省による改正後のものを含め、この項において「利用の手引き」という。)を参照するものとする。
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(1)照会窓口
照会窓口は、金融庁総合政策局総合政策課とする。
なお、照会窓口たる金融庁総合政策局総合政策課は、下記(2)の記載要領に示す要件を満たした照会書が到達した場合は速やかに受け付け、当該照会書の提出先が二以上の主務大臣であるときは、他の主務大臣に対し、その確認を求めるものとする。
財務局監理金融商品取引業者等は、財務局に照会する。財務局が照会を受けた場合には、金融庁総合政策局総合政策課に対し、照会書を速やかに送付する。
(注) 財務局においては、照会書を金融庁総合政策局総合政策課に送付する際、当該照会書に記載された確認の求めのうち当庁が所管する法令に関するものに限り、原則として審査意見を付するものとする。
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(2)照会書受領後の流れ
照会書を受け付けた後は、総合政策局総合政策課において、当該照会書を当該照会書に記載された確認の求めに係る法令を所管する担当課室に速やかに回付するとともに、当該担当課室と協議しつつ、回答を行う事案か否か、特に、以下のからについて確認し、当制度の利用ができない確認の求めの場合には、当該照会書を提出した者(以下、この項において「提出者」という。)に対しその旨を連絡する。また、照会書の補正、追加書類の提出等が必要な場合には、提出者に対し所要の対応を求めることができる。ただし、追加書類は必要最小限とし、提出者の過度な負担とならないよう努めるものとする。
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確認の求めの主体
以下のイ.及びロ.を満たすか。
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イ. 提出者は、新事業活動を実施しようとする者であること。
(注)「新事業活動」とは、新商品の開発又は生産、新たな役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動のうち、当該新たな事業活動を通じて、生産性(資源生産性(エネルギーの使用又は鉱物資源の使用(エネルギーとしての使用を除く。)が新たな事業活動を実施しようとする者の経済活動に貢献する程度をいう。)を含む。)の向上又は新たな需要の開拓が見込まれるものであって、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがないものをいう(強化法第2条第4項、産業競争力強化法に基づく新技術等実証及び新事業活動に関する規制の特例措置の整備等及び規制改革の推進に関する命令(以下、「強化法命令」という。)第2条)。
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ロ.提出者が、当庁所管の事業に係る新事業活動を実施しようとしている者であること。または、提出者が、その新事業活動及びこれに関連する事業活動に関する規制について規定する当庁が所管する法令の規定の解釈及び当該規定の適用の有無について、その確認を求めようとしている者であること。
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照会の対象
提出者が、その実施しようとする新事業活動及びこれに関連する事業活動に関する規制について規定する当庁が所管する法令の規定の解釈及び当該規定の適用の有無について、その確認を求めるものであって、以下のような照会を行うものか。
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イ. その事業や取引を行うことが、無許可営業等にならないか。
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ロ. その事業や取引を行うことが、無届け営業等にならないか。
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ハ. その事業や取引を行うことによって、業務停止や免許取消等(不利益処分)を受けることがないか。
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ニ. その事業や取引を行うことに関し、直接に義務を課され又は権利を制限されることがないか。
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照会書の記載要領
強化法施行規則様式第九に従い、また利用の手引きを踏まえ、以下の事項が記載されているか。
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イ. 新事業活動及びこれに関連する事業活動の目標
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ロ. 新事業活動及びこれに関連する事業活動の内容
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ハ. 新事業活動及びこれに関連する事業活動の実施時期
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ニ. 解釈及び適用の有無の確認を求める法令の条項等
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ホ. 具体的な確認事項
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(3)回答
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照会書を回付された課室は、総合政策局総合政策課において回答を行う事案と判断した場合においては、提出者からの照会書が照会窓口に到達してから原則として1ヵ月以内に提出者に対し強化法施行規則様式第十一による回答書を交付するものとする。
また、照会書を回付された課室は、当該照会書に記載された確認の求めに係る法令の規定の解釈及び適用の有無についての検討の状況に照らし、上記期間内に回答書を交付することができないことについてやむを得ない理由がある場合には、当該回答書を交付するまでの間1ヵ月を超えない期間ごとに、その旨及びその理由を提出者に通知するものとする。
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II-4 行政指導等を行う際の留意点等
II-4-1 行政指導等を行う際の留意点等
金融商品取引業者等に対して、行政指導等(行政指導等とは行政手続法第2条第6号にいう行政指導に加え、行政指導との区別が必ずしも明確ではない情報提供、相談、助言等の行為を含む。)を行うに当たっては、行政手続法等の法令等に沿って適正に行うものとする。特に行政指導等を行う際には、以下の点に留意する。
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(1)一般原則(行政手続法第32条)
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行政指導等の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されているか。
例えば、以下の点に留意する。
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イ. 行政指導等の内容及び運用の実態、担当者の対応等について、相手方の理解を得ているか。
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ロ. 相手方が行政指導等に協力できないとの意思を明確に表明しているにもかかわらず、行政指導等を継続していないか。
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相手方が行政指導等に従わなかったことを理由として不利益な取扱いをしてはいないか。
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イ. 行政指導等に従わない事実を法律の根拠なく公表することも、公表することにより経済的な損失を与えるなど相手方に対する社会的制裁として機能するような状況の下では、「不利益な取扱い」に当たる場合があることに留意する。
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ロ. 行政指導等を行う段階においては処分権限を行使するか否かは明確でなくても、行政指導等を行った後の状況によっては処分権限行使の要件に該当し、当該権限を行使することがありうる場合に、そのことを示して行政指導等をすること自体を否定するものではない。
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(2)申請に関連する行政指導等(行政手続法第33条)
申請者が当該行政指導等に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導等を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしていないか。
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申請者が、明示的に行政指導等に従わない旨の意思表示をしていない場合であっても、行政指導等の経緯や周囲の客観情勢の変化等を勘案し、行政指導等の相手方に拒否の意思表示がないかどうかを判断する。
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申請者が行政指導等に対応している場合でも、申請に対する判断・応答が留保されることについても任意に同意しているとは必ずしもいえないことに留意する。
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例えば、以下の点に留意する。
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イ. 申請者が行政指導等に従わざるを得ないようにさせ、申請者の権利の行使を妨げるようなことをしていないか。
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ロ. 申請者が行政指導等に従わない旨の意思表明を明確には行っていない場合、行政指導等を行っていることを理由に申請に対する審査・応答を留保していないか。
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ハ. 申請者が行政指導等に従わない意思を表明した場合には、行政指導等を中止し、申請に対し、速やかに適切な対応をしているか。
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(3)許認可等の権限に関連する行政指導等(行政手続法第34条)
許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使することができない場合又は行使する意思がない場合にもかかわらず、当該権限を行使し得る旨を殊更に示すことにより相手方に当該行政指導等に従う事を余儀なくさせていないか。
例えば、以下の点に留意する。
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許認可等の拒否処分をすることができないにもかかわらず、できる旨を示して一定の作為又は不作為を求めていないか。
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行政指導等に従わなければすぐにでも権限を行使することを示唆したり、何らかの不利益な取扱いを行ったりすることを暗示するなど、相手方が行政指導等に従わざるを得ないように仕向けてはいないか。
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(4)行政指導等の方式(行政手続法第35条)
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行政指導等を行う際には、相手方に対し、行政指導等の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示しているか。
例えば、以下の点に留意する。
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イ. 相手方に対して求める作為又は不作為の内容を明確にしているか。
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ロ. 当該行政指導等をどの担当者の責任において行うものであるかを示しているか。
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ハ. 個別の法律に根拠を有する行政指導等を行う際には、その根拠条項を示しているか。
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ニ. 個別の法律に根拠を有さない行政指導等を行う際には、当該行政指導等の必要性について理解を得るため、その趣旨を伝えているか。
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行政指導等について、相手方から、行政指導等の趣旨及び内容並びに責任者を記載した書面の交付を求められた時は、行政上特別の支障がない限り、原則としてこれを交付しているか(ただし、行政手続法第35条第3項各号に該当する場合を除く。)。
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イ. 書面の交付を求められた場合には、できるだけ速やかに交付することが必要である。
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ロ. 書面交付を拒みうる「行政上の特別の支障」がある場合とは、書面が作成者の意図と無関係に利用、解釈されること等により行政目的が達成できなくなる場合など、その行政指導等の趣旨及び内容並びに責任者を書面で示すことが行政運営上著しい支障を生じさせる場合をいう。
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ハ. 単に処理件数が大量であるだけの場合や単に迅速に行う必要がある場合であることをもって、「行政上特別の支障」がある場合に該当するとはいえないことに留意する。
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II-4-2 面談等を行う際の留意点
職員が、金融商品取引業者等の役職員等と面談等(面談、電話、電子メール等によるやりとりをいう。以下同じ。)を行うに際しては、下記の事項に留意するものとする。
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面談等に参加する職員は、常に綱紀及び品位を保持し、穏健冷静な態度で臨んでいるか。
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面談等の目的、相手方の氏名・所属等を確認しているか。
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面談等の方法、面談等を行う場所、時間帯、参加している職員及び相手方が、面談等の目的・内容からみてふさわしいものとなっているか。
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面談等の内容・結果について双方の認識が一致するよう、必要に応じ確認しているか。特に、面談等の内容・結果が守秘義務の対象となる場合には、そのことが当事者双方にとって明確となっているか。
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面談等の内容が上司の判断を仰ぐ必要のある場合において、状況に応じあらかじめ上司の判断を仰ぎ、又は事後にすみやかに報告しているか。また、同様の事案について複数の相手方と個別に面談等を行う場合には、行政の対応の統一性・透明性に配慮しているか。
II-4-3 連絡・相談手続
面談等を通じて行政指導等を行うに際し、行政手続法に照らし、行政指導等の適切性について判断に迷った場合等には、金融庁担当課室に連絡し、必要に応じその対応を協議することとする。
II-5 行政処分を行う際の留意点
II-5-1 検査結果等への対応
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(1)検査結果への対応
検査部局が実施した金融商品取引業者等に対する検査については、以下のとおり、その結果を監督業務に適切に反映させることとする。
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検査報告書において指摘のあった法令に抵触する行為、その他金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況、登録金融機関の業務の運営に関し、公益又は投資者保護の観点から問題のある行為又は状況、及び前回検査で指摘を受けた重要な事項で改善が認められない場合のうち、必要かつ適当と認められる場合には、金融商品取引業者等に対し、当該報告書で指摘された事項についての事実確認、発生原因分析、改善・対応策、その他を取りまとめた報告書を1ヵ月以内(必要に応じ、項目ごとに短縮するものとする。)に提出することを、金商法第56条の2第1項の規定に基づき命ずるものとする。
また、合併等によりシステム統合等を予定している金融商品取引業者等において、システム統合リスクの管理態勢に関する指摘がある場合のうち、必要かつ適当と認められる場合には、当該システム統合等の計画を的確に履行するための方策、システムリスクに係る内部管理態勢(内部監査を含む。)等についても、同項の規定に基づき報告書の提出を命ずるものとする。
上記の報告書の提出命令は、別紙様式 II-12により行うものとする。
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報告書が提出される段階においては、金融商品取引業者等から十分なヒアリングを行うこととする。ヒアリングに当たっては、検査部局とも緊密な連携を図るものとする。
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報告書に記載された改善・対応策の実施状況、指摘事項の改善状況について、一定の期間を要すると認められる場合には、定期的なヒアリングを実施する等フォローアップに努めるものとする。
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立入検査の結果等を踏まえ、証券取引等監視委員会より、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき「行うべき行政処分その他の措置」について勧告があった場合には、監督部局においては、その内容についての検討を行った上で、金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告徴求命令、金商法第51条から第52条の2までの規定に基づく行政処分、その他の適切な措置を検討することとする。
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(2)オフサイト・モニタリング等に基づく報告徴求
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オフサイト・モニタリング等を通じて、金融商品取引業者等のリスク管理態勢、法令等遵守態勢、経営管理態勢等に問題があると認められる場合においては、金商法第56条の2第1項の規定に基づき、当該事項についての事実認識、発生原因分析、改善・対応策その他必要と認められる事項について、報告を求めることとする。
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報告を検証した結果、さらに精査する必要があると認められる場合においては、金商法第56条の2第1項の規定に基づき、追加報告を求めることとする。
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上記報告を検証した結果、公益又は投資者保護の観点から重大な問題が発生しておらず、かつ、金融商品取引業者等の自主的な改善への取組みを求めることが可能な場合においては、任意のヒアリング等を通じて、報告された改善・対応策のフォローアップを行うこととする。
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必要があれば、金商法第56条の2第1項の規定に基づき、定期的な報告を求め、フォローアップを行うこととする。
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II-5-2 金商法第51条から第52条の2第1項までの規定に基づく行政処分(業務改善命令、業務停止命令等)
金融商品取引業者等からの報告又は証券取引等監視委員会からの勧告等の内容について、本監督指針に掲げた評価項目等に照らして総合的に検証した結果、公益又は投資者保護の観点から重大な問題が認められる場合、以下(1)から(3)までに掲げる要素を勘案するとともに、それ以外に考慮すべき要因がないかどうかを吟味した上で、
- 改善に向けた取組みを金融商品取引業者等の自主性に委ねることが適当かどうか、
- 改善に相当の取組みを要し、一定期間業務改善に専念・集中させる必要があるか、
- 業務を継続させることが適当かどうか、
等の点について検討を行い、行政処分の内容を決定することとする。
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(1)当該行為の重大性・悪質性
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公益侵害の程度
金融商品取引業者等が、例えば、顧客の財務内容の適切な開示という観点から著しく不適切な商品を組成・提供し、金融市場に対する信頼性を損なうなど公益を著しく侵害していないか。
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利用者被害の程度
広範囲にわたって多数の利用者が被害を受けたかどうか。個々の利用者が受けた被害がどの程度深刻か。
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行為自体の悪質性
例えば、利用者から多数の苦情を受けているのにもかかわらず、引き続き同様の商品を販売し続けるなど、金融商品取引業者等の行為が悪質であったか。
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当該行為が行われた期間や反復性
当該行為が長期間にわたって行われたのか、短期間のものだったのか。反復・継続して行われたものか、一回限りのものか。また、過去に同様の違反行為が行われたことがあるか。
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故意性の有無
当該行為が違法・不適切であることを認識しつつ故意に行われたのか、過失によるものか。
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組織性の有無
当該行為が現場の個人の判断で行われたものか、あるいは管理者もかかわっていたのか。更に経営陣の関与があったのか。
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隠蔽の有無
問題を認識した後に隠蔽行為はなかったか。隠蔽がある場合には、それが組織的なものであったか。
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反社会的勢力との関与の有無
反社会的勢力との関与はなかったか。関与がある場合には、どの程度か。
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(2)当該行為の背景となった経営管理態勢及び業務運営態勢の適切性
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代表取締役や取締役会の法令等遵守に関する認識や取組みは十分か。
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内部監査部門の体制は十分か、また適切に機能しているか。
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コンプライアンス部門やリスク管理部門の体制は十分か、また適切に機能しているか。
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業務担当者の法令等遵守に関する認識は十分か、また、社内教育が十分になされているか。
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(3)軽減事由
上記(1)及び(2)の他に、行政による対応に先行して、金融商品取引業者等自身が自主的に利用者保護のために所要の対応に取り組んでいる、といった軽減事由があるか。特に、金融商品取引業者等が、行政当局と共有されたプリンシプルに基づき、自主的な対応を的確に行っている場合は、軽減事由として考慮するものとする。
II-5-3 登録金融機関に対する処分に係る留意点
登録金融機関が行う有価証券関連業務について不適切な事例が見られた場合においては、金商法に基づく投資者保護等の観点に加え、銀行法等に基づく経営の健全性の観点も踏まえ、銀行監督担当部局等と連携して、報告徴求を行い、必要に応じ業務改善命令等を発出することとする。
II-5-4 検査結果に基づく監督上の処分に係る標準処理期間
金商法第51条から第52条の2までの規定に基づき監督上の処分を命ずる場合には、
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検査部局から勧告書若しくは検査報告書(写)を受理したときから、1ヵ月(財務局長から金融庁長官への協議を要する場合又は処分が他省庁との共管法令に基づく場合は2ヵ月)以内を目途に行うものとする。
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なお、当該勧告書若しくは検査報告書において指摘された事項につき、事実確認等のため金融商品取引業者等やその他の者に対して報告徴求を行った場合は、報告書を受理したときから1ヵ月(財務局長から金融庁長官への協議を要する場合又は処分が他省庁との共管法令に基づく場合は2ヵ月)以内を目途に行うものとする。
(注1) 「報告書を受理したとき」の判断においては、以下の点に留意する。 (a) 複数回にわたって、金商法第56条の2第1項の規定に基づき報告を求める場合(直近の報告書を受理したときから上記の期間内に報告を求める場合に限る。)には、最後の報告書を受理したときを指すものとする。 (b) 提出された報告書に関し、資料の訂正、追加提出等(軽微なものは除く。)を求める場合には、当該訂正、資料の追加提出等が行われたときを指すものとする。 (注2) 弁明・聴聞等に要する期間は、標準処理期間に含まれない。 (注3) 標準処理期間は、処分を検討する基礎となる情報ごとに適用する。
II-5-5 金商法第51条又は金商法第51条の2の規定に基づく業務改善命令の履行状況の報告義務の解除
金商法第51条又は金商法第51条の2の規定に基づき業務改善命令を発出する場合には、当該命令に基づく金融商品取引業者等の業務改善に向けた取組みをフォローアップし、その改善努力を促すため、原則として、当該金融商品取引業者等の提出する業務改善計画の履行状況の報告を求めることとなっているが、以下の点に留意するものとする。
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(1)金商法第51条又は金商法第51条の2の規定に基づき業務改善命令を発出している金融商品取引業者等に対して、当該業者の提出した業務改善計画の履行状況について、期限を定めて報告を求めている場合には、期限の到来により、当該金融商品取引業者等の報告義務は解除される。
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(2)金商法第51条又は金商法第51条の2の規定に基づき業務改善命令を発出している金融商品取引業者等に対して、当該業者の提出した業務改善計画の履行状況について、期限を定めることなく継続的に報告を求めている場合には、業務改善命令を発出する要因となった問題に関して、業務改善計画に沿って十分な改善措置が講じられたと認められるときには、当該計画の履行状況の報告義務を解除するものとする。その際、当該報告等により把握した改善への取組状況に基づき、解除の是非を判断するものとする。
II-5-6 行政手続法等との関係等
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(1)行政手続法との関係
業務改善命令・業務停止命令を発出する又は登録・認可を取り消す等の不利益処分をしようとする場合には、金商法第57条第2項の規定に基づき聴聞を行わなければならないことに留意する。
また、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合には行政手続法第8条に基づき、不利益処分をする場合には同法第14条に基づき、処分の理由を示さなければならないこと(処分を書面でするときは、処分の理由も書面により示さなければならないこと)に留意する。
その際、単に根拠規定を示すだけではなく、いかなる事実関係に基づき、いかなる法令・基準を適用して処分がなされたかを明らかにすること等が求められることに留意する。
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(2)行政不服審査法との関係
申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合及び報告徴求命令、業務改善命令若しくは業務停止命令を発出する又は登録・認可を取り消す等の処分をしようとする場合には、行政不服審査法第82条に基づき、金融庁長官に対して審査請求ができる旨等を書面で教示しなければならないことに留意する。
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(3)行政事件訴訟法との関係
申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合及び報告徴求命令、業務改善命令若しくは業務停止命令を発出する又は登録・認可を取り消す等の処分をしようとする場合には、行政事件訴訟法第46条に基づき、取消訴訟の提起に関する事項を書面で教示しなければならないことに留意する。
II-5-7 意見交換制度
不利益処分が行われる場合、行政手続法に基づく聴聞又は弁明の機会の付与の手続きとは別に、金融商品取引業者等からの求めに応じ、監督当局と金融商品取引業者等との間で、複数のレベルにおける意見交換を行うことで、行おうとする処分の原因となる事実及びその重大性等についての認識の共有を図ることが有益である。
金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告徴求に係るヒアリング等の過程において、自社に対して不利益処分が行われる可能性が高いと認識した金融商品取引業者等から、監督当局の幹部(注1)と当該金融商品取引業者等の幹部との間の意見交換の機会の設定を求められた場合(注2)であって、監督当局が当該金融商品取引業者等に対して聴聞又は弁明の機会の付与を伴う不利益処分を行おうとするときは、緊急に処分する必要がある場合を除き、聴聞の通知又は弁明の機会の付与の通知を行う前に、行おうとする不利益処分の原因となる事実及びその重大性等についての意見交換の機会を設けることとする。
(注1) | 監督当局の幹部の例:金融庁・財務局の担当課室長 |
(注2) | 金融商品取引業者等からの意見交換の機会の設定の求めは、監督当局が当該不利益処分の原因となる事実についての金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告書等を受理したときから、聴聞の通知又は弁明の機会の付与の通知を行うまでの間になされるものに限る。 |
II-5-8 関係当局・海外監督当局等への連絡
報告徴求命令、業務改善命令若しくは業務停止命令を発出する又は登録・認可を取り消す等の不利益処分をしようとする場合には、必要に応じて、関係当局・海外監督当局等への連絡を行うものとする。
II-5-9 不利益処分の公表に関する考え方
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(1)業務停止、登録・認可の取消しを命じたときは、金商法第54条の2の規定に基づき、官報に告示しなければならないことに留意する。
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(2)業務改善命令等の不利益処分については、他の金融商品取引業者等における予測可能性を高め、同様の事案の発生を抑制する観点から、財務の健全性に関する不利益処分等、公表により対象金融商品取引業者等の経営改善に支障が生ずるおそれのあるものを除き、処分の原因となった事実及び処分の内容等を公表することとする。
II-6 準用
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(1)適格機関投資家等特例業務等を行う者、海外投資家等特例業務又は移行期間特例業務への準用
適格機関投資家等特例業務等(適格機関投資家等特例業務(金商法第63条第2項に規定する適格機関投資家等特例業務をいう。以下同じ。)又は特例投資運用業務(証券取引法等の一部を改正する法律(平成18年法律第65号。以下、VI-2-11-1を除いて「改正法」という。)附則第48条第1項に規定する特例投資運用業務をいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)、海外投資家等特例業務(金商法第63条の8第1項に規定する海外投資家等特例業務をいう。以下同じ。)、移行期間特例業務(金商法附則第3条の3第5項に規定する移行期間特例業務をいう。以下同じ。)又は金商法附則第3条の3第7項に規定する行為に係る業務(移行期間特例業務と併せて、以下「移行期間特例業務等」という。)を行う者に係る事務処理については、II-1-4(2)から(4)まで、II-1-5(1)、II-1-7(1)及び、(2)、II-1-8、II-2、II-3、II-4並びにII-5の各規定に準ずるものとするほか、II-1-7(3)に規定する財務事務所長等への再委任については、以下の事項を再委任事項と読み替えて適用するものとする。なお、別紙様式については、字句を適宜読み替えるものとする。なお、別紙様式については、字句を適宜読み替えるものとする。
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金商法第63条第2項、第8項及び第13項、金商法第63条の2第2項から第4項まで(これらの規定を金商法第63条の3第2項において準用する場合又は改正法附則第48条第3項、第5項若しくは第7項において適用する場合を含む。以下、IXにおいて同じ。)並びに金商法第63条の3第1項の規定による届出の受理に関する事務
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金商法第63条第9項及び第10項(これらの規定を金商法第63条の3第2項において準用する場合を含む。以下、IXにおいて同じ。)の規定による契約書の写しの受理に関する事務
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金商法第63条の4第2項(金商法第63条の3第2項において準用する場合又は改正法附則第48条第3項、第5項若しくは第7項において適用する場合を含む。)の規定により提出される書類の受理に関する事務
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金商法第63条の9第1項、第7項及び第10項、金商法第63条の10第2項から第4項まで(これらの規定を金商法第63条の11第2項において準用する場合又は同法附則第3条の3第4項において適用する場合を含む。以下Ⅵ-3-3において同じ。)、金商法第63条の11第1項並びに金商法附則第3条の3第1項の規定による届出の受理に関する事務
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金商法第63条の12第2項(金商法第63条の11第2項において準用する場合又は同法附則第3条の3第4項において適用する場合を含む。)の規定により提出される書類の受理に関する事務
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(2)金融商品仲介業者への準用
金融商品仲介業者に係る事務処理については、II-1-4(3)及び(4)、II-1-7、II-1-8、II-2、II-3、II-4並びに II-5の各規定に、金融商品仲介業者の監督事務に係る管轄財務局長との連絡調整については、II-1-5(2)及びの規定に準ずるほか、以下の点に留意するものとする。なお、別紙様式については、字句を適宜読み替えるものとする。
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財務局長は、金融庁長官及び他の財務局長が所管する金融商品取引業者等を所属金融商品取引業者等とする金融商品仲介業者の監督にあたっては、当該所属金融商品取引業者等を所管する金融庁長官又は財務局長に、当該所属金融商品取引業者等の監督に資するため必要な情報を提供するなど、連携に努めるものとする。
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財務局長は、管轄する区域に、他の財務局長が所管する金融商品仲介業者の営業所又は事務所が所在する場合には、当該金融商品仲介業者を所管する財務局長に、当該金融商品仲介業者の監督に資するため必要な情報を提供するなど、連携に努めるものとする。
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(3)証券金融会社への準用
証券金融会社に係る事務処理については、II-1-8、II-2、II-3、II-4及び II-5に準ずるものとする。
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(4)投資法人への準用
投資法人に係る事務処理については、II-1-4(3)及び(4)、II-1-8、II-2、II-3、II-4並びに II-5に準ずるものとする。なお、別紙様式については、字句を適宜読み替えるものとする。
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(5)商品投資販売業者への準用
商品投資販売業者に係る商品投資に係る事業の規制に関する法律に基づく事務処理については、II-1-5(1)及び(2)、II-1-6、II-1-7(1)、II-1-8、II-2、II-3、II-4並びに II-5(II-5-9(1)を除く。)に準ずるものとする。なお、別紙様式については、字句を適宜読み替えるものとする。