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- 金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針(VI. 監督上の評価項目と諸手続(投資運用業))
VI. 監督上の評価項目と諸手続(投資運用業)
VI-1 経営管理(投資運用業)
金融商品取引業者(投資運用業を行う者に限る。VI において同じ。)の経営管理に関しては、以下の点に留意して検証することとする。
VI-1-1 金融商品取引業者の役員
(1)主な着眼点
金融商品取引業者の役員の選任議案の決定プロセス等においては、以下の要素が適切に勘案されているか。
欠格事由(金商法第29条の4第1項第2号イからリまで)のいずれかに該当すること又は登録当時既に該当していたことがないこと。
金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し法令又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反していないこと。
投資助言・代理業又は投資運用業の運営に関し、投資者の利益を害する事実がないこと。
金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をし、その情状が特に重いと認められることがないこと。
(2)監督手法・対応
金融商品取引業者の役員が、金商法第29条の4第1項第2号イからリまでのいずれかに該当することとなったとき、第29条の登録当時既に同号イからリまでのいずれかに該当していたことが判明したとき又は第52条第1項第7号、第9号若しくは第10号のいずれかに該当することとなったときは、金商法第52条第2項の規定に基づき当該役員の解任命令等の処分を検討するものとする。
併せて、当該金融商品取引業者の役員の選任議案の決定プロセス等について深度あるヒアリングを行い、必要な場合には金商法第56条の2第1項の規定に基づき報告を求め、更に、当該業者の経営管理態勢に重大な問題があると認められる場合であって、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、業務改善命令等の処分を検討するものとする。
VI-1-2 金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成等
(1)主な着眼点
VI-3-1に規定する事項に照らし、金融商品取引業(投資運用業に限る。VIにおいて同じ。)を適確に遂行するに足りる人的構成が確保されていると認められるか、また、金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められるか。
(2)監督手法・対応
VI-3-1に規定する事項は、金融商品取引業者が金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者等と認められるか否かを審査するために総合的に勘案する要素の一部であり、特定の要素への該当をもって直ちにその人的構成の適否等を判断するものではない。まずは金融商品取引業者自身がその責任において、こうした要素を踏まえつつ、適切な人的構成等の確保に努めるべきである。
ただし、金融商品取引業者の役員又は使用人の選任プロセス等において、こうした要素が十分に勘案されていないと認められる場合であって、金融商品取引業者の業務の運営に関し公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、当該人的構成等に関する金融商品取引業者の認識、及び役員又は使用人の選任プロセス等について深度あるヒアリングを行い、必要な場合には金商法第56条の2第1項の規定に基づき報告を求めるものとする。
報告徴求の結果、金融商品取引業者の経営管理態勢に重大な問題があると認められる場合であって、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令等の処分を検討する。
また、報告徴求の結果、金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない等と認められる場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2 業務の適切性(投資運用業)
VI-2-1 法令等遵守態勢
投資者の資産運用において重要な役割を担っている金融商品取引業者は、運用を委託した投資者に対して受託者責任を負っており、金商法においても、忠実義務、善管注意義務、分別管理義務等が課せられている。また、金融商品市場における市場プレイヤーとしても健全かつ適切に業務を運営することが求められる。
こうした金融商品取引業者のコンプライアンス態勢については、基本的には III-2-1における態勢整備の着眼点及び監督手法をもって対応することとするが、それ以外にも、自主規制ルールの遵守状況も含めた幅広い検証を行うこととする。
VI-2-2 投資一任業に係る業務の適切性
投資一任業者(投資一任契約(金商法第2条第8項第12号ロに規定する契約をいう。以下同じ。)に基づき、同号に掲げる行為を業として行う者をいう。以下同じ。)の業務の適切性に関しては、以下の点に留意して検証することとする。
VI-2-2-1 業務執行態勢
(1)運用財産の運用・管理
投資一任業者が運用財産の運用及びその管理を適切に行っているかどうかについて、以下のような点に留意して検証することとする。なお、以下の点については、その行う業務の内容、規模等を踏まえた上で総合的に判断する必要があり、評価項目の一部を充足していないことのみをもって、直ちに不適切とするものではない。
運用方針を決定する社内組織に関する事項(具体的な意思決定プロセスを含む。)が、適切に規定されているか。
運用部門における運用財産(金商法第35条第1項第15号に規定する運用財産をいう。以下同じ。)の運用方法が、具体的に定められているか。
運用財産相互間又は運用財産と自己若しくは第三者の資産相互間における有価証券等の取引に関する管理態勢整備が適切に行われているか。
金商法第42条の3の規定により権利者(金商法第42条第1項に規定する権利者をいう。以下同じ。)のための運用を行う権限の全部又は一部を他の者に委託する場合(当該他の者が委託された権限の一部を再委託する場合を含む。)に、金商業等府令第131条第2項に規定する措置が講じられているか。なお、同項第3号に規定する委託先が当該委託に係る業務を適正に遂行することができないと認められる場合の対応策としては、業務の改善の指導、委託の解消等が考えられる。
発注先や業務委託先等の選定に関し、当該者に係る取引執行能力、法令等遵守状況、信用リスク及び取引コスト等に関する事項が、勘案すべき事項として適切に定められているか。
投資判断に係るプロセスの適切性を含め、運用財産が投資一任契約及び運用ガイドライン等に則り、適切に運用されているか(運用状況の記録を保存しているかを含む。)どうかについて、運用部門から独立した部門により定期的な検証が行われる体制が整備されているか。
運用財産の正確な評価を行うための社内体制が整備されているか。特に、運用財産に非上場の株式・債券等が組み入れられている場合、適正な時価を把握する体制を整備しているか。
運用財産の管理について権利者(特定投資家を除く。以下
~
までにおいて同じ。)が信託会社等への信託をする場合において、対象有価証券(金商業等府令第130条第3項に規定する対象有価証券をいう。以下
~
までにおいて同じ。)に投資する際、信託会社等が対象有価証券の真正な価額を知るために必要な措置として、(i)当該信託会社等が対象有価証券の価額について、当該価額の算出を行う者から直接に通知を受けることを確保するための措置、または、(ii)当該信託会社等が当該対象有価証券の価額について、当該価額の算出を行う者に対し直接に確認することができることを確保するための措置が講じられるよう適切な態勢整備が行われているか。また、投資一任業者が、当該対象有価証券への投資後においても、かかる措置が確保されているかを定期的に確認しているか。
運用財産の管理について権利者が信託会社等への信託をする場合において、対象有価証券に投資する際、当該対象有価証券に係る権利を有する者から出資又は拠出を受けた資産に係るファンド監査(金商業等府令第130条第4項に規定するファンド監査をいう。以下同じ。)が行われるよう適切な態勢整備が行われているか。また、投資一任業者が、当該対象有価証券への投資後においても、当該ファンド監査が行われているかを定期的に確認しているか。さらに、投資一任業者がファンド監査に係る外部監査人の選任に関与する場合にあっては、その監査の独立性・実効性の確保に努めているか。
運用財産の管理について権利者が信託会社等への信託をする場合において、対象有価証券に投資する際、信託会社等がファンド監査の真正な監査報告書等の提供を受けるために必要な措置が講じられるよう適切な態勢整備が行われているか。また、投資一任業者が、当該対象有価証券への投資後においても、かかる措置が確保されているかを定期的に確認しているか。
(2)取引の執行
投資一任業者は、取引の執行に当たり、取引価格、その他執行コストを総合的に勘案して、最も顧客の利益に資する取引形態を選択することが求められている。金融技術の発達により取引形態の多様化が進んでいる現状にかんがみ、投資一任業者の取引の執行状況について、例えば、以下のような点に留意して検証することとする。
平均単価による取引(約定日・受渡日が同一の取引につき、銘柄ごと・売買別に、単価の異なる複数の約定を合算し、平均単価を単価とする取引をいう。)
イ. 部門の分離
投資判断を行う部門と、注文を発注する部門は分離されているか。組織的な分離が困難な場合、少なくとも両者の役割を担当者レベルで分離しているか。
ロ. 取引の検証
管理部門等が、平均単価による取引に係る一連の業務プロセス等について、適切に検証できる態勢となっているか。
ハ. 顧客への開示及び顧客の同意
顧客への事前開示及び顧客の同意の下、平均単価による取引を行っているか。また、複数の運用財産に係る約定配分を伴う発注を行う場合には、顧客に対して、内出来時の配分基準について適切に説明しているか。
一括発注による取引
複数の運用財産について、銘柄、売買の別を同一にする注文を一括して発注し、その約定内容を銘柄ごと・売買別に合算した後に、投資一任業者が予め定めた配分基準により、各運用財産への約定配分を行う場合には、顧客間の公平性を確保する観点から、上記
に準じた態勢整備等が行われているか。
運用財産相互間における取引
運用財産相互間取引は、一方のファンドの投資者に不利益となるおそれがあり、ファンド間の利益の付け替えといった投資者保護上問題がある行為にも用いられ得ることから、原則として禁止されている。
他方、金商業等府令第129条第1項第1号に規定する取引については、運用財産相互間取引の禁止の適用除外が認められているところ、運用財産相互間取引を行うに当たっては、管理部門等が同号イ及びロに掲げる要件の全てを満たしていることを適切に検証できる態勢が求められる。
金商業等府令第129条第1項第1号イ(4)に規定する「必要かつ合理的と認められる場合」とは、投資一任業者が運用財産相互間取引を行う場合に、顧客間における公平性の確保及び顧客に対する最良執行義務又は忠実義務上の要請が満たされている場合をいうところ、運用財産相互間取引を行う両ファンドそれぞれにおける当該「売り」又は「買い」の投資判断に必要性・合理性があり、かつ、当該投資判断に基づく最良執行のために運用財産相互間取引が行われる(又は最良執行のために行った取引が結果的に運用財産相互間で対当する)場合は、これに該当する。
投資判断の必要性・合理性の有無の判断に当たっては、各ファンドの投資方針(投資一任業者がリスク管理等の観点から社内で設定している投資制限を含む)、ファンドの解約・設定に伴う資金の流出入(各ファンドのポートフォリオ維持のために売買を行う必要性等を含む)等の事情が考慮される。
他方、最良執行の観点からは、取引の価額に加えて、取引コストやマーケットインパクト軽減等の事情が考慮される。
こうした観点からすれば、以下のような取引についても、ファンド間の公平性・公正な価格形成が図られており、「必要かつ合理的と認められる場合」に該当すると考えられる(ただし、これらは例示に過ぎず、当該例示に限られるものではない。)。
イ. 異なるファンドマネージャーの投資判断に基づく売りと買いの注文についてトレーダーが執行する取引(当該銘柄に係る流動性等を勘案して価格形成に影響を与えるおそれが無く、かつ、同一トレーダーによる取引の場合は、当該トレーダーに執行についての裁量が与えられていないもの。)
ロ. 寄付前に、売りと買いの注文の双方を成行注文で発注する取引(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
ハ. ザラ場における売りと買いの注文について、その発注時刻に相当程度の間隔がある取引(当該銘柄の流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
ニ. 契約又は信託約款等の規定に基づきシステム的に運用するインデックスファンドに係る取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
ホ. 個別の取引に係る発注のタイミング及び価格等が、投資一任業者以外の第三者に委ねられることとなる、VWAP取引や計らい取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
ヘ. 銘柄数が少ないため、同一銘柄の注文を避けることが困難な先物取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
(3)監督手法・対応
日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された投資一任業者の業務執行態勢に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、投資一任業者における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2-2-2 勧誘・説明態勢
(1)誇大広告の禁止等
運用の実績、内容又は方法が他の金融商品取引業者よりも著しく優れている旨の表示を根拠を示さずに行っていないか。
運用の実績を掲げて広告を行う場合に、その一部を強調すること等により、投資者に誤解を与える表示を行っていないか。(運用の実績を掲げて広告を行う場合には、投資者保護の観点から、適切かつ分かりやすい表示がなされている必要がある。例えば、運用の評価方法、使用ベンチマーク等に係る根拠が明確に示されているか、運用の実績は過去のものであり将来の運用成果を約束するものでない旨が適切に表示されているか、等について必要な確認を行うものとする。
運用のシミュレーションを掲げて広告を行う場合に、恣意的な前提条件を置くこと等により、投資者に誤解を与える表示を行っていないか。(運用のシミュレーションを掲げて広告を行う場合には、投資者保護の観点から、適切かつ分かりやすい表示がなされている必要がある。例えば、シミュレーションの前提条件等に係る根拠が明確に示されているか、シミュレーションは所定の前提条件を元にしたものであり将来の運用成果を約束するものでない旨が適切に表示されているか、等について必要な確認を行うものとする。)
(2)契約締結前の書面交付又は当該書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係る留意事項
投資一任業者が投資一任業に係る業務以外の業務を行う場合で、投資一任業に係る業務の報酬と当該業務以外の業務に係る手数料等を同一契約において一体として徴収するときは、金商法第37条の3第1項第4号の「当該金融商品取引契約に関して顧客が支払うべき対価に関する事項」には、投資一任に係る業務に対する報酬の額と当該業務以外の業務に対する手数料等の額との区分を明確にすること。
金商業等府令第96条第1項第1号の「投資の方法及び取引の種類」には、具体的運用の方法の種類(個別運用、同一運用(複数の顧客資産について、運用の対象とする有価証券等の銘柄、売付け又は買付けの別及び時期を同一にする運用であって、同一の資産管理機関において、顧客ごとに個別に管理されるものをいう。以下同じ。)、合同運用(複数の顧客の資産を合同して運用し、かつ、合同して管理されるものをいう。以下同じ。)、その他具体的運用方法の種類)を含み、また、同一運用又は合同運用する場合には、次に掲げる区分に応じ、当該各号に掲げる事項を含む。
イ. 同一運用する場合
a. 同一運用する資産を管理する機関に関する事項
b. 同一運用により取得した資産の配分基準に関する事項
ロ. 合同運用する場合
a. 合同運用する顧客の属性及び顧客資産の種類並びにその合同運用する基準に関する事項
b. 合同運用する資産を管理する機関に関する事項
c. 合同運用により取得した資産の配分基準に関する事項
d. 合同運用する資産の評価の方法及び合同運用する資産に係る各顧客の持分の計算方法(合同運用から中途脱退する場合を含む。)に関する事項
金商業等府令第96条第1項第4号の「投資判断の一任の範囲及び投資の実行に関する事項」には、金商法施行令第16条の12各号に掲げる者の商号、住所、代表者氏名及び委託の範囲を含む。
金商業等府令第96条第1項第6号に規定する「財務又は投資一任契約に係る業務に関する外部監査」には、以下のもの(これらに相当するものを含む。)が該当する。
- 金商法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明に係るもの(VI-3-2-3(1)
において「財務諸表監査」という。)及び同第2項の規定に基づく監査証明に係るもの(VI-3-2-3(1)
において「内部統制監査」という。)
- 会社法に基づく会計監査人による監査
- 監査・保証実務委員会実務指針第86号「受託業務に係る内部統制の保証報告書」(日本公認会計士協会)、Statement on Standards for Attestation Engagements (SSAE) No.16「Reporting on Controls at a Service Organization」(米国公認会計士協会)、International Standard on Assurance Engagements (ISAE) No. 3402 「Assurance Reports on Controls at a Service Organization」(国際監査・保証基準審議会)等の基準に基づく受託企業の内部統制に関する保証業務(VI-3-2-3(1)
において「内部統制保証業務」という。)
- 資産運用業務を行う会社のパフォーマンス開示がグローバル投資パフォーマンス基準(GIPS)に準拠しているかに関する検証
- 金商法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明に係るもの(VI-3-2-3(1)
金商業等府令第96条第2項第3号に規定する「当該金融商品取引業者等とファンド関係者との間の資本関係」については、ファンド関係者が金融商品取引業者等の金商業等府令第1条第3項第14号に規定する親法人等、同項第16号に規定する子法人等又は第126条第3号に規定する関係外国法人等に該当する場合に、その旨を提供する。
金商業等府令第96条第2項第3号に規定する当該金融商品取引業者等とファンド関係者との間の「人的関係」については、合理的と認められる一定の時点における役職員の兼職状況を提供する。
金商業等府令第96条第1項第3号に掲げる事項について、投資一任契約に基づく投資判断を行う者の氏名又は当該投資判断を行うとともに、これに基づく投資を行う者の氏名に代わり、当該投資判断又は投資を行う部署の名称を提供する場合において、「照会に対して速やかに回答できる体制」としては、例えば、当該投資判断又は投資を行う者の氏名に係る記録が、投資一任業者において適切に作成・保存されることにより、顧客からの照会に対して、速やかに当該記録を確認し、回答できる態勢となっていることが考えられる。
(3)契約締結時の書面交付又は当該書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係る留意事項
金商業等府令第107条第1項第6号の「投資一任契約に係る顧客の資産の内容及び金額」について、合同運用する場合は、合同運用開始時の合同運用する資産の総額及び合同運用する資産に係る当該顧客の資産の割合を含む。
金商業等府令第107条第1項第8号の「投資の方法及び取引の種類」には、具体的運用の方法の種類(個別運用、同一運用、合同運用、その他具体的運用方法の種類)を含み、また、同一運用又は合同運用する場合には、次に掲げる区分に応じ、当該各号に掲げる事項を含む。
イ. 同一運用する場合
a. 同一運用する資産を管理する機関に関する事項
b. 同一運用により取得した資産の配分基準に関する事項
ロ. 合同運用する場合
a. 合同運用する資産の規模に関する事項
b. 合同運用する顧客の属性及び顧客資産の種類並びにその合同運用する基準に関する事項
c. 合同運用する資産を管理する機関に関する事項
d. 合同運用により取得した資産の配分基準に関する事項
e. 合同運用する資産の評価の方法及び合同運用する資産に係る各顧客の持分の計算方法(合同運用から中途脱退する場合を含む。)に関する事項
金商業等府令第107条第1項第8号の「投資の方法及び取引の種類」には、金商法施行令第16条の12各号に掲げる者の「投資の方法及び取引の種類」を含む。
金商業等府令第107条第1項第7号に掲げる事項について、投資一任契約に基づく投資判断を行う者の氏名又は当該投資判断を行うとともに、これに基づく投資を行う者の氏名に代わり、当該投資判断又は投資を行う部署の名称を提供する場合において、「照会に対して速やかに回答できる体制」としては、例えば、当該投資判断又は投資を行う者の氏名に係る記録が、投資一任業者において適切に作成・保存されることにより、顧客からの照会に対して、速やかに当該記録を確認し、回答できる態勢となっていることが考えられる。
(4)監督手法・対応
日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された投資一任業者の勧誘・説明態勢に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、投資一任業者における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2-2-3 弊害防止措置・忠実義務
(1)二以上の種別の業務を行う場合の留意事項について
投資一任業者が二以上の業務の種別(金商法第29条の2第1項第5号に規定する業務の種別をいう。)に係る業務を行う場合の弊害防止措置については、利益相反行為の防止など業務の適切性を確保する観点から、その業容に応じて、例えば次のような点に留意して検証することとする。
異なる種別の業務間における弊害防止措置として、業務内容に応じた弊害発生防止に関する社内管理体制を整備するなどの適切な措置が講じられているか。
金商業等府令第147条第2号の「非公開情報」について、管理責任者の選任及び管理規則の制定等による情報管理措置等が整備されているとともに、当該情報の利用状況の適正な把握・検証及びその情報管理方法の見直しが行われる等、情報管理の実効性が確保されているか。
(2)投資運用業における利益相反等の未然防止に係る留意事項について
特定の権利者の利益を図るため他の業務の権利者の利益を害することとなる行為等を未然に防ぐため、業務内容に応じた弊害発生防止に関する社内管理体制を整備するなどの適切な措置が講じられているか。
(3)権利者への忠実義務
運用財産の運用において事務ミス等の自己の過失により権利者に損害を与え、その損害について権利者に損害賠償を行わない場合、忠実義務違反に該当する可能性があることに留意する。これは、事務ミス等が業務委託先で発生した場合であっても、権利者に対して責任がある投資一任業者がその損害について権利者に損害賠償を行わないときは同様である。
(4)監督手法・対応
日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された投資一任業者の弊害防止措置等に関する課題については、権利者に直接不利益を与えるおそれがあり、場合によっては忠実義務違反又は善管注意義務違反等の法令違反に該当する可能性があることから、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、投資一任業者における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2-2-4 代理・媒介業者の法令違反に係る防止措置
投資一任業者が代理・媒介業者(代理・媒介業(金商法第2条第8項第13号に規定する業務をいう。以下同じ。)を行う者をいう。以下同じ。)に業務の委託を行う際には、顧客属性等に則した適正な投資勧誘の履行を確保する観点から、当該代理・媒介業者に対し、顧客の属性等及び取引実態を的確に把握し得る顧客管理態勢の確立につき指導するとともに、当該代理・媒介業者の投資勧誘実態を把握したうえで法令遵守の徹底を求めることが重要である。その法令違反に係る防止態勢については、以下の点に特に留意して検証することとする。
VI-2-2-4-1 代理・媒介業者の選定等
(1)代理・媒介業者の選定に係る留意事項
代理・媒介業を委託する契約を締結するに際して、経営管理上の位置付けや業務を委託することに伴う各種リスクの把握及びリスク管理の方法等について、十分に検討が行われているか。
代理・媒介業者が、当該業務を健全かつ適切に運営できる資質を有しているか否かについて、十分に検討が行われているか。特に、代理・媒介業者が兼業業務を行う場合にあっては、当該兼業業務の内容について、代理・媒介業者としての社会的信用を損なうおそれがないこと等に係る検討を行うことに留まらず、所属業者(代理・媒介業者の代理又は媒介によって投資一任契約を締結する投資一任業者をいう 。VI において同じ。)のレピュテーション等の観点からも十分な検討が行われているか。
(2)監督手法・対応
日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された所属業者による代理・媒介業者の選定に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、所属業者等における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2-2-4-2 所属業者による代理・媒介業者の業務の適切性等を確保するための措置
(1)代理・媒介業者の監督のための内部管理態勢の整備
代理・媒介業に係る業務の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講ずる責任を有する部署を設置し又は担当者を配置する等、代理・媒介業者の適切な監督を行うための態勢が整備されているか(代理・媒介業者に対する業務監査態勢を含む。)。
それらの部署又は担当者によって、各代理・媒介業者の代理・媒介業に係る業務の適切性等を確保するための措置が適切に講じられているかを検証するための内部管理態勢が整備されているか。
(2)代理・媒介業者に対して必要かつ適切な監督等を行うための措置に係る留意事項
所属業者は、代理・媒介業者の代理・媒介業に係る業務の健全かつ適切な運営を確保するため、次に掲げる措置を講じるとともに、その実施状況についてモニタリングを実施しているか。
イ. 代理・媒介業者及びその代理・媒介業者の従事者に対し、代理・媒介業に係る業務の指導、代理・媒介業に関する法令等を遵守させるための研修の実施等の措置
ロ. 代理・媒介業者における代理・媒介業に係る投資勧誘の実態、その他業務の実施状況等について、定期的に又は必要に応じて確認すること等により、代理・媒介業者が当該代理・媒介業を的確に遂行しているかを検証し、必要に応じ改善させる等、代理・媒介業者に対する必要かつ適切な監督等を行うための措置
上記モニタリングの結果等について、所属業者の責任ある部署において検証が行われ、必要に応じて経営陣に報告が行われるなど、所属業者の適切な業務指導や代理・媒介業者の適切な業務運営に反映させるなどの態勢整備が図られているか。
(3)代理・媒介業委託契約の解除のための措置
代理・媒介業者に対するモニタリング等の結果、問題が発見された場合には、代理・媒介業者への指導、委託契約の解除等適切な措置を講じる態勢が整備されているか。また、委託契約の解除を行う際には、適切な顧客保護が図られる態勢が整備されているか。
(4)苦情処理のための措置
代理・媒介業者が行う代理・媒介業に係る顧客からの苦情受付窓口の明示、苦情処理担当部署の設置、苦情案件処理手順等の策定等の苦情対応体制が整備されているか。
(5)監督手法・対応
日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された所属業者による代理・媒介業者の業務の適切性等を確保するための措置に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、所属会社等における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2-2-5 その他留意事項
(1)取引決済のための口座
投資一任業者は、自己の計算で行う取引について、金商法第42条の5ただし書の行為による取引の決済のための口座を利用してはならないことに留意する。
投資一任業者が、顧客から一任された投資判断に基づく投資に係る取引と自己の計算で行う取引を一括して発注するために当該決済口座を利用することは、金商業等府令第130条第1項第11号の「当該取引の決済以外の目的で当該口座を利用」することとなることに留意する。
(2) 現金担保の再投資についての留意事項
証券の貸し手(及び/又はその代理業者)である投資一任業者は、担保付きで行う証券の貸借取引の際に受領した現金担保を再投資する場合には、それがレバレッジをかけて運用していると認められる場合に限り、金融安定理事会「シャドーバンキングの監視と規制の強化:証券貸借・レポ取引のシャドーバンキングリスクに対処するための政策提言」(平成25年8月)の提言6を踏まえ、以下のような点に留意することとする。
ハイレベル原則
イ.現金担保の再投資に係る戦略や投資ガイドラインを策定するにあたっては、証券の借り手によっていつでも現金担保の払戻し請求がされ得る可能性に鑑み、合理的に予想される現金担保の払戻し請求に応じるに足る十分な流動性を有する資産を保有しているかを検討のうえ、関連する流動性リスクを管理する措置を講じることとしているか。
ロ. 現金担保を再投資するにあたっては、元本の保全を主な目的の一つとして実施することとしているか。特に、現金担保の再投資に係る投資ガイドラインを策定するにあたっては、現金担保の再投資の対象資産の市場の流動性が低下し、当該資産の流動化が損失を招くような状況において、予期せぬ多額の現金担保の払戻し請求があった場合に当該請求に応じることができるか否かを勘案することとしているか。
ハ. 現金担保の再投資は、証券の貸し手である投資一任業者が定め、社内で承認を受けた投資方針に沿って実施されることで、当該投資一任業者のリスクプロファイルに重大な追加的リスクが生じないようにすることとしているか。現金担保の再投資に係る投資ガイドラインを策定・承認するにあたっては、自社の活動全体に対する当該活動の規模を勘案することとしているか。
ニ. 現金担保の再投資に係る投資ガイドラインが、正式に文書化され、現金担保の実質保有者に通達されることとしているか。
ホ. 現金担保の再投資に係る投資ガイドラインを、明示的に承認し、正式に文書化し、定期的に見直しを行うこととしているか。当該ガイドラインは、
のハイレベル原則に沿った内容となっているか。証券の貸し手の代理業者である投資一任業者は、全ての顧客がこのような現金担保の再投資に係る投資ガイドラインを備えていることを確認しているか。
ヘ. 現金担保の払戻し請求に備えて保有する資産は、非常に流動性の高い、透明性のある価格設定がされたものであり、少なくとも日次で値洗いされ、必要な場合には売却前の評価額に近い価格での売却が可能か。
流動性リスク、信用リスク、及びその他のリスク
イ.現金担保を再投資するにあたって、次のような点に留意することとしているか。
a. 内在する満期ミスマッチを抑制する措置を講じているか。
b. 合理的に予想される現金担保の払戻し請求に応じるに足る十分な流動性を有し、かつリスクの低い資産(ストレスシナリオに備えるためのバッファーを含む。)を保有しているか。
c. 現金担保の再投資に係る投資ガイドラインに基づくリスク管理態勢を構築しているか。
ロ. 現金担保の再投資に係るポートフォリオ制限や、現金担保の払戻し請求に備えた流動性バッファーについて、次のような要件を策定し、継続的に遵守しているか。
a. 合理的に予想される現金担保の払戻し請求に応じるべく、短期間(例えば、「一日」や「一週間」)で容易に換金可能な再投資先として、次のようなポートフォリオに最低限の割合を設定しているか。
・ 短期預金(信用力の高い金融機関に預け入れられるものに限る。)
・ 極めて流動性の高い短期金融資産(例えば、信用力の高い短期国債や債券)
・ 短期取引(例えば、極めて流動性の高い資産を裏付とするオーバーナイトのリバースレポ取引)b. 再投資先のポートフォリオについて、WAM(加重平均満期)及び/又はWAL(加重平均残余期間)に一定の上限を設定しているか。
c. 再投資先の個々の組入資産の残存期間について、流動性に応じた資産区分によって異なる上限を設定しているか。
ストレステスト
イ.合理的に予想される、及び予期せぬ現金担保の払戻し請求に応じることができるかを評価すべく、継続的にストレステストを実施することとしているか。
ロ.上記イのストレステストは、現金担保の再投資先のポートフォリオの流動性を評価するにあたって、次のようなストレスシナリオを設定しているか。
a. 金利変動
b. 想定を超える金額の現金担保の払戻し請求
c. 貸付証券を含むファンドの投資家からの想定を超える償還請求
d. 現金担保の再投資先のポートフォリオにおける信用力の変動
開示
イ.証券の貸し手の代理業者である投資一任業者は、証券の実質保有者である顧客に対し、十分な頻度で、貸付証券のポートフォリオ及び現金担保の再投資先のポートフォリオの構成銘柄及び評価額に係る開示を行っているか。
ロ.上記イの開示事項として、少なくとも次のようなものが含まれているか。
a. 現金、又は流動性ホライズンが「一日」や「一週間」の現金同等物で保有している資産の割合
b. 現金担保の再投資先のポートフォリオのWAM(加重平均満期)及び/又はWAL(加重平均残余期間)
c. 個別投資の最長残存期間
d. 「流動性の低い証券」(その定義の仕方を含む。)で保有している資産の割合
e. 貸付証券を含むファンドにおける以下の項目の最大エクスポージャー
・ 個別証券
・ 発行体
・ 資産の種類f. 有担保エクスポージャーと無担保エクスポージャーの配分
g. リバースレポ取引で受領した担保の配当
h. 現金担保の再投資先のポートフォリオの平均利回り
i. ストレステストの結果
(3) レポ形式の取引についての留意事項
投資一任業者が担保付きで行う証券の貸借取引及び証券の買戻又は売戻条件付売買(以下「レポ形式の取引」という。)を行うとき(その代理業者である場合を含む。)には、金融安定理事会「シャドーバンキングの監視と規制の強化:証券貸借・レポ取引のシャドーバンキングリスクに対処するための政策提言」(平成25年8月)の提言9を踏まえ、担保の評価及び管理について、以下のような社内規定等を策定しているか。
担保の種類
レポ形式の取引に係る担保としては、取引相手の破綻時であっても次のような要件を満たすものだけを認めることとしているか。
イ. 法令等に反することなく一定期間保有することが可能であること。
ロ. 評価が可能であること。
ハ. 適切なリスク管理が可能であること。
コンティンジェンシープラン
イ.市場で最大規模の取引相手が破綻した場合(市場のストレス時を含む。)のコンティンジェンシープランを策定しているか。
ロ. 上記イのコンティンジェンシープランには、次のような項目が含まれているか。
a. デフォルト後の担保の管理方法
b. 秩序ある方法での担保の流動化の可否
マージンコール
イ.担保及び貸付証券の値洗いを少なくとも日次で行うこととしているか。
ロ.マージンコール(値洗いにより生じた担保金の過不足を期間内にいつでも請求することができる権利のことをいう。)を少なくも日次で行うこととしているか。
(4)監督手法・対応
日常の監督事務や事故届出等を通じて把握された、取引決済のための口座、現金担保の再投資及びレポ形式の取引に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、投資一任業者における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
(5)金商法第2条第8項第12号ロの解釈について
金商業等府令第123条第1項第13号ロからホまでに規定する契約は、金商法第2条第8項第12号ロに規定する投資一任契約に該当しない。
(6)厚生年金保険法の規定による投資一任契約についての留意事項
顧客である存続厚生年金基金(公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成25年法律第63 号)附則第3条第11号に規定する存続厚生年金基金をいう。以下同じ。)が、公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(平成26年政令第74号)第3条第2項の規定によりなおその効力を有するものとされる公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成26年政令第73号)第1条の規定による廃止前の厚生年金基金令(以下「廃止前厚生年金基金令」という。)第39条の15第1項の規定により、特定の運用方法に集中しない方法により年金給付等積立金を運用するよう努めなければならないとされていること(以下「分散投資義務」という。)を踏まえ、存続厚生年金基金により分散投資義務が履行されていないおそれがあることを認識した場合に、当該存続厚生年金基金に対してその旨を通知するための適切な態勢が整備されているか。また、当該通知を行ったにもかかわらず、なお分散投資義務に違反するおそれが解消しない場合において、例えば運用指針の変更の検討を当該存続厚生年金基金に対して求める等、協議を行っているか。更に、当該協議を経てもなお分散投資義務に違反するおそれが解消しない場合においては、最終的に投資一任契約の解除を含めて検討を行う等、当該存続厚生年金基金が分散投資義務を履行することを確保するための必要な方策を講じることとしているか。
存続厚生年金基金の知識、経験、財産の状況及び投資一任契約を締結する目的等について把握し、当該存続厚生年金基金から運用指針が示された際、これらの事情に照らして必要と認められる場合には、当該存続厚生年金基金に対し、当該運用指針に基づき運用を行った場合に発生する可能性のあるリスクの説明を行うための適切な態勢が整備されているか。
存続厚生年金基金から、廃止前厚生年金基金令第30条第3項の規定に違反して、運用財産の運用に関して、特定の債券・株式・受益証券等を取得又は処分する等の指図(以下「個別指図」という。)がなされた場合に、当該指示に基づく運用に応じないこととする等、金商業等府令第130条第1項第13号を遵守できるよう適切な態勢が整備されているか。また、存続厚生年金基金による個別指図を促すような商品勧誘や説明を行わないよう適切な態勢が整備されているか。
なお、以下の行為は、金商業等府令第130条第1項第13号に反しない。
- 存続厚生年金基金から、(i)投資一任業者の自社系ファンド(ファンドの設定者又は運用会社が、当該投資一任業者、金商業等府令第1条第3項第14号に規定する親法人等、同項第16号に規定する子法人等又は第126条第3号に規定する関係外国法人等であるファンドをいう。)の取得等に関する指図(運用指針や契約書等に明記する場合を含む。)、(ii)特定の銘柄の有価証券の取得の禁止に関する指図、(iii)1銘柄または1業種に対する投資比率制限等の運用方針に関する指図を受けた場合に、これに応じること
- 投資一任業者が、投資一任契約の勧誘に際し、当該契約の締結後に当該契約に基づき特定の銘柄の対象有価証券(金商業等府令第96条第4項に規定する対象有価証券をいう。)を投資の対象とする方針である場合において、存続厚生年金基金に対する契約締結前交付書面の交付又は当該書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供により、当該有価証券について情報提供し、説明する行為
投資一任業者が、運用成績の説明等のため、金融商品取引業を行う者を帯同して顧客である存続厚生年金基金を訪問する際、当該訪問における説明等が、実質的に当該金融商品取引業を行う者の組成する商品等の勧誘となり、存続厚生年金基金の個別指図を促すようなものとならないよう適切な態勢が整備されているか。
年金給付等積立金の運用に関して、存続厚生年金基金に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げることのないよう適切な態勢が整備されているか。
金商業等府令第96条第2項第2号に規定するファンド資産及びその運用に係る重要な業務を行う者に係るデューディリジェンス及び継続的なモニタリングを行うに当たり、その具体的な基準及び手法を定めた社内規則や業務マニュアル等を整備するとともに、コンプライアンス部門やリスク管理部門が当該デューディリジェンス及びモニタリングの実施状況につき検証を行う等、必要に応じた適切な態勢が整備されているか。
(注)投資一任業者は、顧客である存続厚生年金基金に対し、必要なリスク説明等を行うことが求められているが、当該リスク説明等を行ったことのみによって、投資一任業者としての善管注意義務を免れるわけではないことに留意するものとする。
VI-2-3 投資信託委託業等に係る業務の適切性
投資信託委託会社等(投資信託委託業等(金融商品取引業のうち、金商法第2条第8項第12号イに規定する契約に基づく同号に掲げる行為又は同項第14号に規定する行為(外国投資信託を国内から直接設定・指図する行為を除く。)を業として行うことをいう。)を行う者をいう。以下同じ。)の業務の適切性に関しては、以下の点に留意して検証することとする。
VI-2-3-1 業務執行態勢
(1)運用財産の運用・管理
家計におけるライフサイクルに応じた中長期の資産形成を後押しするとともに、家計の金融資産等が資本市場を通じて成長企業へ供給されるためには、これらを繋ぐ投資信託等が重要な役割を担うものと考えられる。よって、投資信託委託会社等は、顧客のニーズを踏まえて安定的な資産形成に資する商品の開発・提供を積極的に行っていくことが期待される。
このような点も踏まえつつ、投資信託委託会社等が運用財産の運用及びその管理を適切に行っているかどうかについて、以下のような点に留意して検証することとする。なお、以下の点については、その行う業務の内容、規模等を踏まえた上で総合的に判断する必要があり、評価項目の一部を充足していないことのみをもって、直ちに不適切とするものではない。
運用方針を決定する社内組織に関する事項(具体的な意思決定プロセスを含む。)が、適切に規定されているか。
運用部門における運用財産の運用方法が、具体的に定められているか。また、投資信託の運用体制の状況に関し、受益者等に対し、それぞれの投資信託の特性に応じて、例えば以下のような点について分かりやすい明示に努めているか。さらに、ファンド・オブ・ファンズ方式での運用を行う投資信託については、受益者等に対し投資先ファンドの概要(主な投資対象等)や投資先ファンドの運用管理費用を含めた実質的な負担率について分かりやすい明示に努めるとともに、販売する金融商品取引業者等に対して運用管理費用を説明するための情報を提供しているか。
イ.運用担当者に係る事項(運用責任者の運用経験年数・経歴等、運用チームの概要等)
ロ.運用基本方針を踏まえた具体的な運用に当たっての投資判断の決定プロセス
運用財産相互間又は運用財産と自己若しくは第三者の資産相互間における有価証券等の取引に関する管理態勢整備が適切に行われているか。
金商法第42条の3の規定により権利者のための運用を行う権限の全部又は一部を他の者に委託する場合(当該他の者が委託された権限の一部を再委託する場合を含む。)に、金商業等府令第131条第2項に規定する措置が講じられているか。なお、同項第3号に規定する委託先が当該委託に係る業務を適正に遂行することができないと認められる場合の対応策としては、業務の改善の指導、委託の解消等が考えられる。
発注先や業務委託先等の選定に関し、当該者に係る取引執行能力、法令等遵守状況、信用リスク及び取引コスト等に関する事項が、勘案すべき事項として適切に定められているか。
投資判断に係るプロセスの適切性を含め、運用財産が投資信託約款、資産運用契約又は運用ガイドライン等に則り、適切に運用されているか(運用状況の記録を保存しているかを含む。)どうかについて、運用部門から独立した部門により定期的な検証が行われる体制が整備されているか。
MRF(投信法施行規則第25条第2号に規定する公社債投資信託をいう。以下
及び
において同じ。)については、保有債券の突発的な価値の下落等により基準価額が1口1円を割り込むことで個人投資家の証券取引等に支障が生じることを回避するため、元本に生じた損失の全部又は一部を補
することが例外的に認められるが(金商法第42条の2第6号、金商業等府令第129条の2)、これによりMRFの安定運用や投資信託委託会社等の健全性を害する事態とならないよう、MRFの運用に当たっては、投資信託協会自主規制規則「MRF及びMMFの運営に関する規則」を遵守しているか。特に、当該規則に基づき金融庁に提出される緊急時対応策(以下「コンティンジェンシープラン」という。)については、MRFの安定運用を害する事態を十分に想定し、その事態に対する対応策が実効的なものとなっており、コンティンジェンシープランの実効性の検証を定期的に行い、必要に応じた見直しが行われているか。
MMF(投資信託財産の計算に関する規則第59条第1項第2号に規定する公社債投資信託のほか、基準価額が1口1円となるように運用している公社債投資信託(MRFを除く)をいう。以下
において同じ。)については、保有債券の突発的な価値の下落等により基準価額が1口1円を割り込む又はその蓋然性が高まることで、投資家による大量の解約請求が行われ混乱が発生する可能性がある。これによりMMFの安定運用や金融システムの健全性を害する事態とならないよう、MMFの運用に当たっては、投資信託協会自主規制規則「MRF及びMMFの運営に関する規則」を遵守しているか。特に、当該規則に基づき金融庁に提出されるコンティンジェンシープランについては、MMFの商品特性等を踏まえ、MMFの安定運用を害する事態を十分に想定し、その事態に対する対応策が実効的なものとなっているか。また、コンティンジェンシープランの実効性の検証を定期的に行い、必要に応じたコンティンジェンシープランや商品性の見直しが行われているか。
運用財産の正確な評価を行うための社内体制が整備されているか。特に、運用財産に非上場の株式・債券等が組み入れられている場合、適正な時価を把握する体制を整備しているか。
正確な基準価額の算出が行われるよう、その算出過程を適切に管理しているか。また、基準価額の算出に係る妥当性を適切に確認し、重大な問題が認められた場合には、内部管理部門や取締役会等へ報告を行う等しているか。
⑪ 基準価額の計算過誤等に関し、過誤等が一定の閾値を超える重大な場合における対応方針(以下「マテリアリティポリシー」という。)を策定する場合には、当該閾値が投資家保護上、適切な水準となっているか。また、マテリアリティポリシーの策定・運用にあたっては、経営陣がマテリアリティポリシーの趣旨を認識した上で、経営陣の関与の下、その考え方を決定し、運用しているか。更に、策定・運用するマテリアリティポリシーの基本的な考え方について、ウェブサイトへの掲載等を通じて開示しているか。加えて、上記⑩に鑑み、マテリアリティポリシーを策定することにより、基準価額の計算過誤の発生が助長されることのないよう基準価額算出過程を適切に管理し、基準価額算出過程の見直しを行っているか。。
(2)取引の執行
投資信託委託会社等は、取引の執行に当たり、取引価格、その他執行コストを総合的に勘案して、最も権利者の利益に資する取引形態を選択することが求められている。金融技術の発達により取引形態の多様化が進んでいる現状にかんがみ、投資信託委託会社等の取引の執行状況について、例えば、以下のような点に留意して検証することとする。
平均単価による取引(約定日・受渡日が同一の取引につき、銘柄ごと・売買別に、単価の異なる複数の約定を合算し、平均単価を単価とする取引をいう。)
イ. 部門の分離
投資判断を行う部門と、注文を発注する部門は分離されているか。組織的な分離が困難な場合、少なくとも両者の役割を担当者レベルで分離しているか。
ロ. 取引の検証
管理部門等が、平均単価による取引に係る一連の業務プロセス等について、適切に検証できる態勢となっているか。
ハ. 権利者への開示及び権利者の同意(投資法人との資産運用契約に係る場合に限る。)
権利者への事前開示及び権利者の同意の下、平均単価による取引を行っているか。また、複数の運用財産に係る約定配分を伴う発注を行う場合には、権利者に対して、内出来時の配分基準について適切に説明しているか。
一括発注による取引
複数の運用財産について、銘柄、売買の別を同一にする注文を一括して発注し、その約定内容を銘柄ごと・売買別に合算した後に、投資信託委託会社等が予め定めた配分基準により、各運用財産への約定配分を行う場合には、運用財産間の公平性を確保する観点から、上記
に準じた体制整備等が行われているか。
運用財産相互間における取引
運用財産相互間取引は、一方のファンドの投資者に不利益となるおそれがあり、ファンド間の利益の付け替えといった投資者保護上問題がある行為にも用いられ得ることから、原則として禁止されている。
他方、金商業等府令第129条第1項第1号に規定する取引については、運用財産相互間取引の禁止の適用除外が認められているところ、運用財産相互間取引を行うに当たっては、管理部門等が同号イ及びロに掲げる要件の全てを満たしていることを適切に検証できる態勢が求められる。
金商業等府令第129条第1項第1号イ(4)に規定する「必要かつ合理的と認められる場合」とは、投資信託委託会社等が運用財産相互間取引を行う場合に、顧客間における公平性の確保及び顧客に対する最良執行義務又は忠実義務上の要請が満たされている場合をいうところ、運用財産相互間取引を行う両ファンドそれぞれにおける当該「売り」又は「買い」の投資判断に必要性・合理性があり、かつ、当該投資判断に基づく最良執行のために運用財産相互間取引が行われる(又は最良執行のために行った取引が結果的に運用財産相互間で対当する)場合は、これに該当する。
投資判断の必要性・合理性の有無の判断に当たっては、各ファンドの投資方針・投資計画(投資信託委託会社等がリスク管理等の観点から社内で設定している投資制限を含む)、ファンドの解約・設定に伴う資金の流出入(各ファンドのポートフォリオ維持のために売買を行う必要性等を含む)等の事情が考慮される。
他方、最良執行の観点からは、取引の価額に加えて、取引コストやマーケットインパクト軽減等の事情が考慮される。
こうした観点からすれば、以下のような取引についても、ファンド間の公平性・公正な価格形成が図られており、「必要かつ合理的と認められる場合」に該当すると考えられる(ただし、これらは例示に過ぎず、当該例示に限られるものではない。)。
イ. 異なるファンドマネージャーの投資判断に基づく売りと買いの注文についてトレーダーが執行する取引(当該銘柄に係る流動性等を勘案して価格形成に影響を与えるおそれが無く、かつ、同一トレーダーによる取引の場合は、当該トレーダーに執行についての裁量が与えられていないもの。
ロ. 寄付前に、売りと買いの注文の双方を成行注文で発注する取引(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
ハ. ザラ場における売りと買いの注文について、その発注時刻に相当程度の間隔がある取引(当該銘柄の流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
ニ. 契約又は信託約款等の規定に基づきシステム的に運用するインデックスファンドに係る取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
ホ. 個別の取引に係る発注のタイミング及び価格等が、投資信託委託会社等以外の第三者に委ねられることとなる、VWAP取引や計らい取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
ヘ. 銘柄数が少ないため、同一銘柄の注文を避けることが困難な先物取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
(3)特定資産以外の資産を投資対象の一部とする投資信託等の組成に係る留意事項
投資信託及び投資法人に関する法律において、投資信託や投資法人は、主として特定資産に対する投資として運用することを目的とするとされており、国民の長期・安定的な資産形成手段として特別の制度的位置付けを与えられたものである。こうした投資信託・投資法人制度の趣旨に照らすと、以下のような商品を組成することは適切ではないことから、当該商品の組成が行われていないかについて留意して監督を行うものとする。
特定資産以外の資産(以下本(3)において「非特定資産」という。)や非特定資産を投資対象とするファンド出資持分等実質的に非特定資産と同等の性格を有する特定資産(以下本(3)において「非特定資産等」という。)が投資目的となっているような商品(ただし、非特定資産等が、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に規定する「公共施設等」等、公共的な性質を有するものである場合には、この限りではない。)
ファンドの投資目的以外の資産への投資に当たり、本来の投資目的である特定資産のリスクに比べて、価格変動や流動性等のリスクが高い非特定資産等に投資するような商品
なお、ファンドの投資目的以外の資産への投資に当たり、価格変動や流動性等のリスクの低い非特定資産等に投資するような商品であっても、投資信託・投資法人制度の趣旨に照らして、以下のような商品の組成が行われていないか、特に留意するものとする。
イ.非特定資産を連想させるような名称を付した商品を組成すること。(4)監督手法・対応
日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された投資信託委託会社等の業務執行体制に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、投資信託委託会社等における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2-3-2 受益者等に対する勧誘・説明態勢
(1)誇大広告の禁止等
運用の実績、内容又は方法が他の金融商品取引業者よりも著しく優れている旨の表示を根拠を示さずに行っていないか。
運用の実績を掲げて広告を行う場合に、その一部を強調すること等により、投資者に誤解を与える表示を行っていないか。(運用の実績を掲げて広告を行う場合には、投資者保護の観点から、適切かつ分かりやすい表示がなされている必要がある。例えば、運用の評価方法、使用ベンチマーク等に係る根拠が明確に示されているか、運用の実績は過去のものであり将来の運用成果を約束するものでない旨が適切に表示されているか、等について必要な確認を行うものとする。)
運用のシミュレーションを掲げて広告を行う場合に、恣意的な前提条件を置くこと等により、投資者に誤解を与える表示を行っていないか。(運用のシミュレーションを掲げて広告を行う場合には、投資者保護の観点から、適切かつ分かりやすい表示がなされている必要がある。例えば、シミュレーションの前提条件等に係る根拠が明確に示されているか、シミュレーションは所定の前提条件を元にしたものであり将来の運用成果を約束するものでない旨が適切に表示されているか、等について必要な確認を行うものとする。)
(2)利益相反のおそれがある場合の受益者等への書面の交付
投信法第13条第1項の規定による受益者への書面の交付に当たっては、用語の解釈は次のとおりとし、その照会等があったときは、適切に対応するものとする。
「同種の資産」の解釈
投信法第13条第1項第1号、第2号及び投資信託及び投資法人に関する法律施行令(以下「投信法施行令」という。)第19条第1項に規定する「同種の資産」には、投資信託約款又は投資法人の規約において投資の対象とする特定資産の内容に制限が付されていることにより、当該特定資産の内容と他の委託者指図型投資信託又は投資法人の投資の対象とする特定資産の内容が競合しない場合を含まない。
「管理の委託」の解釈
投信法施行令第19条第3項第1号の「管理の委託」とは、不動産に係るテナントとの賃貸借契約の更改や賃料の収受のテナント管理業務を委託するものをいい、建物の警備や保守等を外部の専門業者に委託する場合を含まない。
(3)利益相反のおそれがある場合の投資法人等への書面の交付
投信法第203条第2項の規定による投資法人等への書面の交付に当たっての留意事項は、上記(2)に準ずるものとする。
(4)監督手法・対応
日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された受益者に対する勧誘・説明態勢に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、投資信託委託会社等における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2-3-3 弊害防止措置・忠実義務
(1)二以上の種別の業務を行う場合の留意事項について
投資信託委託会社等が二以上の業務の種別(金商法第29条の2第1項第5号に規定する業務の種別をいう。)に係る業務を行う場合の弊害防止措置については、利益相反行為の防止など業務の適切性を確保する観点から、その業容に応じて、例えば次のような点に留意して検証することとする。
異なる種別の業務間における弊害防止措置として、業務内容に応じた弊害発生防止に関する社内管理体制を整備するなどの適切な措置が講じられているか。
金商業等府令第147条第2号の「非公開情報」について、管理責任者の選任及び管理規則の制定等による情報管理措置等が整備されているとともに、当該情報の利用状況の適正な把握・検証及びその情報管理方法の見直しが行われる等、情報管理の実効性が確保されているか。
(2)投資運用業における利益相反等の未然防止に係る留意事項について
特定の権利者の利益を図るため他の業務の権利者の利益を害することとなる行為等を未然に防ぐため、業務内容に応じた弊害発生防止に関する社内管理体制を整備するなどの適切な措置が講じられているか。
(3)権利者への忠実義務
運用財産の運用において事務ミス等の自己の過失により権利者に損害を与え、その損害について権利者に損害賠償を行わない場合、忠実義務違反に該当する可能性があることに留意する。これは、事務ミス等が業務委託先で発生した場合であっても、権利者に対して責任がある投資信託委託会社等がその損害について権利者に損害賠償を行わないときは同様である。
(4)監督手法・対応
日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された投資信託委託会社等の弊害防止措置等に関する課題については、権利者に直接不利益を与えるおそれがあり、場合によっては忠実義務違反又は善管注意義務違反等の法令違反に該当する可能性があることから、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、投資信託委託会社等における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2-3-4 投資信託委託会社の業務継続体制(BCM)
(1)意義・対応
金融商品市場の仲介者として、重要な役割を果たしている投資信託委託会社においては、危機発生時において、迅速な復旧対策を講じ、必要最低限の業務の継続を確保する等適切な対応を行うことが、国民生活・経済にとっても極めて重要であることから、平時より業務継続体制(Business Continuity Management;BCM)を構築し、危機管理(Crisis Management;CM)マニュアルの策定等を行っておくことが必要である。こうした観点から、投資信託委託会社の監督に当たっては、その業容に応じ、例えば以下の点に留意して、その適切性について検証することとする。
(2)主な着眼点
業務継続計画(BCP)においては、テロや大規模な災害等の事態においても早期に被害の復旧を図り、金融システムの機能の維持にとって必要最低限の業務の継続が可能となっているか。その際、金融商品取引業協会、証券会社等及び関係機関等と連携し対応する体制が整備されているか。また、業務の実態等に応じ、国際的な広がりを持つ業務中断に対応する計画となっているか。
例えば、
災害等に備えた顧客データ等の安全対策(紙情報の電子化、電子化されたデータファイルやプログラムのバックアップ等)は講じられているか。
コンピュータシステムセンター等の安全対策(必要に応じたバックアップセンターの配置、要員・通信回線確保等)は講じられているか。
これらのバックアップ体制は、地理的集中を避けているか。
顧客の生活、経済活動及び金融商品市場の機能維持の観点から重要な業務(投資信託(MMF、MRFを含む。)の解約注文に伴う解約口数の集計、連絡業務(販売会社からの解約連絡受付、集計、受託銀行への連絡等)、基準価額の算出、発表業務、既存ポジションの把握、必要最小限の運用指図業務及び直販顧客に係る解約業務(直販顧客からの解約受付等窓口業務)並びにこれらの業務を遂行するための法令対応(有価証券届出書等の作成・提出等も含む。)、組織管理、システム管理及び危機管理業務等(顧客説明業務を含む。))を、暫定的な手段(手作業、バックアップセンターにおける処理等)により再開(リカバリー)するまでの目標時間が具体的に計画されているか。
業務継続計画の策定及び重要な見直しを行うに当たっては、取締役会による承認を受けているか。また、業務継続体制が、内部監査、外部監査など独立した主体による検証を受けているか。
(参考)「金融機関における業務継続体制の整備について」(日本銀行、2003年7月)
「業務継続のための基本原則」(ジョイント・フォーラム、2006年8月)
このほか、基本的に、III-2-9に基づき、対応することとする。
VI-2-3-5 ESG考慮に関する留意事項
(1)意義
名称や投資戦略にESG(Environmental・Social・Governance)を掲げるファンドが国内外で増加しており、運用実態が見合っていないのではないかとの懸念(グリーンウォッシング問題)が世界的に指摘されている。こうした中、名称や投資戦略にESGを掲げる我が国の公募投資信託について、市場の信頼性を確保し、ESG投資の促進を通じた持続可能な社会構築を図る必要がある。このため、投資家の投資判断に資するよう、ESGに関する公募投資信託の情報開示や投資信託委託会社の態勢整備について、以下の点に留意して検証することとする。
(2)ESG投資の範囲
本監督指針において、ESG投信は、以下に該当する公募投資信託とする。
ESGを投資対象選定の主要な要素としており、かつ、
交付目論見書の「ファンドの目的・特色」に
の内容を記載しているもの
なお、外部委託運用(ファンド・オブ・ファンズ形式を含む。以下同じ。)の場合は、投資戦略やポートフォリオ構成を踏まえ、投資信託委託会社が適切に判断することとする。
(3)開示
投資家の誤認防止
投資家に誤解を与えることのないよう、ESG投信に該当しない公募投資信託の名称又は愛称に、ESG、SDGs(Sustainable Development Goals)、グリーン、脱炭素、インパクト、サステナブルなど、ESGに関連する用語が含まれていないか。
投資対象の選定において、財務指標など他の要素と並ぶ要素としてESGも考慮する公募投資信託について、交付目論見書や販売用資料、広告等のESGに関する記載が、当該公募投資信託がESGを投資対象選定の主要な要素にしていると投資家に誤認されるような説明となっていないか。
ESG投信に該当しない公募投資信託のうち、2023年3月末までに設定されたものについて、その名称又は愛称にESGに関連する用語が含まれている場合には、ESGを投資対象選定の主要な要素としているものではない旨を交付目論見書に明記しているか。なお、上記の場合には、ESGに関連する用語をできる限り速やかに名称又は愛称から除外することが望ましい。
投資戦略
ESG投信の交付目論見書の「ファンドの目的・特色」(ハにおいては、「ファンドの目的・特色」又は「投資のリスク」)に、以下の事項を記載しているか。
イ.ESGの総合評価又は環境や社会の特定課題等、投資対象選定の主要な要素となるESGの具体的内容
ロ.主要な要素となるESGの運用プロセスにおける勘案方法(関連する基準や指標、評価方法等の説明を含む)
ハ.主要な要素となるESGを運用プロセスにおいて勘案する際の制約要因やリスク
ニ.持続可能な社会の構築に向けて、環境や社会のインパクト創出を目的としているESG投信について、その目的、インパクトの内容、及び目標とする指標・数値、方法論などインパクトの評価・達成方法
ホ.投資信託委託会社として、ESGを主要な要素とする投資戦略に関連する個別の公募投資信託固有の方針又は全社的なスチュワードシップ方針がある場合には、当該方針の内容
ヘ.イ~ホについて、更に詳細をウェブサイト等で開示する場合には、その参照先ポートフォリオ構成
ESG投信の純資産額のうち、ESGを主要な要素として選定する投資対象への投資額(時価ベース)の比率について目標や目安を設定している場合、又は、ESG投信の投資対象の選定において主要な要素となるESGのポートフォリオ全体の評価指標の達成状況について、目標や目安を設定している場合、交付目論見書の「ファンドの目的・特色」に、当該比率やその他の計数を記載しているか。また、こうした目標や目安を設定していない場合、その理由を説明しているか。
参照指数
公募投資信託の運用において、ESG指数への連動を目指す場合、交付目論見書の「ファンドの目的・特色」に、参照指数におけるESGの勘案方法や当該ESG指数を選定した理由を記載しているか。
定期開示
ESG投信の交付運用報告書(上場投資信託の場合には継続的な開示書類。以下同じ。)の交付又は交付運用報告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供により、以下の事項を継続的に提供しているか。
イ.純資産額のうち、ESGを主要な要素として選定した投資対象への投資額(時価ベース)の比率について、目標や目安を設定している場合には、実際の投資比率
ロ.投資対象の選定において主要な要素となるESGのポートフォリオ全体の評価指標の達成状況について、目標や目安を設定している場合には、その達成状況
ハ.持続可能な社会の構築に向けて、環境や社会のインパクト創出を目的としているESG投信について、インパクトの達成状況
ニ.投資信託委託会社として、ESGを主要な要素とする投資戦略に関連する個別の公募投資信託固有の方針又は全社的なスチュワードシップ方針がある場合、当該方針に沿って実施した行動
ホ.イ~二について、更に詳細をウェブサイト等で開示する場合には、その参照先
外部委託
ESG投信の運用を外部委託する場合、外部委託先に対する適切なデューディリジェンスや運用状況の確認を行い、交付目論見書や交付運用報告書の交付又は交付運用報告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供により、外部委託運用の②~⑤の内容を反映した開示がなされているか。また、これらの開示が困難な場合には、その理由を説明しているか。
(4)態勢整備等
組織体制
ESGに関連するデータやITインフラの整備、人材の確保等、投資戦略に沿った運用を適切に実施し、実施状況を継続的にモニタリングするためのリソースを確保しているか。
運用を外部委託する場合には、上記のリソースの状況を把握する等、外部委託先に対するデューディリジェンスや(3)~
の内容の確認を行うための体制を整備しているか。
ESG評価・データ提供機関の利用
公募投資信託の運用プロセスにおいて第三者が提供するESG評価を利用する場合や自社のESG評価に第三者が提供するデータを利用する場合、ESG評価・データ提供機関の組織体制や評価の対象、手法、制約及び目的を理解する等、デューディリジェンスを適切に実施しているか。VI-2-3-6 その他留意事項
VI-2-2-5(2)(3)(4)の規定は、投資信託委託業等に係る業務の適切性について準用するものとする。
VI-2-4 外国投資信託委託業に係る業務の適切性
外国投資信託を国内から直接設定・指図する運用業に係る業務の適切性の検証は、VI-2-3(VI-2-3-2(2)及び(3)、VI-2-3-4並びにVI―2-3-5を除く。)に準ずるものとする。
VI-2-5 ファンド運用業に係る業務の適切性
ファンド運用会社(ファンド運用業(金融商品取引業のうち、金商法第2条第8項第15号に掲げる行為を業として行うことをいう。以下同じ。)を行う者をいう。以下同じ。)の業務の適切性に関しては、以下の点に留意して検証することとする。
VI-2-5-1 業務執行態勢
(1)運用財産の運用・管理
ファンド運用会社が運用財産の運用及びその管理を適切に行っているかどうかについて、以下のような点に留意して検証することとする。なお、以下の点については、その行う業務の内容、規模等を踏まえた上で総合的に判断する必要があり、評価項目の一部を充足していないことのみをもって、直ちに不適切とするものではない。
運用方針を決定する社内組織に関する事項(具体的な意思決定プロセスを含む。)が、適切に規定されているか。
運用部門における運用財産の運用方法が、具体的に定められているか。
運用財産相互間又は運用財産と自己若しくは第三者の資産相互間における有価証券等の取引に関する管理態勢整備が適切に行われているか。
金商法第42条の3の規定により権利者のための運用を行う権限の全部又は一部を他の者に委託する場合(当該他の者が委託された権限の一部を再委託する場合を含む。)に、金商業等府令第131条第2項に規定する措置が講じられているか。なお、同項第3号に規定する委託先が当該委託に係る業務を適正に遂行することができないと認められる場合の対応策としては、業務の改善の指導、委託の解消等が考えられる。
発注先や業務委託先等の選定に関し、当該者に係る取引執行能力、法令等遵守状況、信用リスク及び取引コスト等に関する事項が、勘案すべき事項として適切に定められているか。
投資判断に係るプロセスの適切性を含め、運用財産が金商法第2条第2項第5号に規定する出資者との出資契約又は運用ガイドライン等に則り、適切に運用されているか(運用状況の記録を保存しているかを含む。)どうかについて、運用部門から独立した部門により定期的な検証が行われる体制が整備されているか。
(2)取引の執行
ファンド運用会社は、取引の執行に当たり、取引価格、その他執行コストを総合的に勘案して、最も顧客の利益に資する取引形態を選択することが求められている。金融技術の発達により取引形態の多様化が進んでいる現状にかんがみ、ファンド運用会社の取引の執行状況について、例えば、以下のような点に留意して検証することとする。
平均単価による取引(約定日・受渡日が同一の取引につき、銘柄ごと・売買別に、単価の異なる複数の約定を合算し、平均単価を単価とする取引をいう。)
イ. 部門の分離
投資判断を行う部門と、注文を発注する部門は分離されているか。組織的な分離が困難な場合、少なくとも両者の役割を担当者レベルで分離しているか。
ロ. 取引の検証
管理部門等が、平均単価による取引に係る一連の業務プロセス等について、適切に検証できる態勢となっているか。
ハ. 顧客への開示及び顧客の同意
顧客への事前開示及び顧客の同意の下、平均単価による取引を行っているか。また、複数の運用財産に係る約定配分を伴う発注を行う場合には、顧客に対して、内出来時の配分基準について適切に説明しているか。
一括発注による取引
複数の運用財産について、銘柄、売買の別を同一にする注文を一括して発注し、その約定内容を銘柄ごと・売買別に合算した後に、金融商品取引業者が予め定めた配分基準により、各運用財産への約定配分を行う場合には、顧客間の公平性を確保する観点から、上記
に準じた体制整備等が行われているか。
運用財産相互間における取引
運用財産相互間取引は、一方のファンドの投資者に不利益となるおそれがあり、ファンド間の利益の付け替えといった投資者保護上問題がある行為にも用いられ得ることから、原則として禁止されている。
他方、金商業等府令第129条第1項第1号に規定する取引については、運用財産相互間取引の禁止の適用除外が認められているところ、運用財産相互間取引を行うに当たっては、管理部門等が同号イ及びロに掲げる要件の全てを満たしていることを適切に検証できる態勢が求められる。
金商業等府令第129条第1項第1号イ(4)に規定する「必要かつ合理的と認められる場合」とは、ファンド運用会社が運用財産相互間取引を行う場合に、顧客間における公平性の確保及び顧客に対する最良執行義務又は忠実義務上の要請が満たされている場合をいうところ、運用財産相互間取引を行う両ファンドそれぞれにおける当該「売り」又は「買い」の投資判断に必要性・合理性があり、かつ、当該投資判断に基づく最良執行のために運用財産相互間取引が行われる(又は最良執行のために行った取引が結果的に運用財産相互間で対当する)場合は、これに該当する。
投資判断の必要性・合理性の有無の判断に当たっては、各ファンドの投資方針(ファンド運用会社がリスク管理等の観点から社内で設定している投資制限を含む)、ファンドの解約・設定に伴う資金の流出入(各ファンドのポートフォリオ維持のために売買を行う必要性等を含む)等の事情が考慮される。
他方、最良執行の観点からは、取引の価額に加えて、取引コストやマーケットインパクト軽減等の事情が考慮される。
こうした観点からすれば、以下のような取引についても、ファンド間の公平性・公正な価格形成が図られており、「必要かつ合理的と認められる場合」に該当すると考えられる(ただし、これらは例示に過ぎず、当該例示に限られるものではない。)。
イ. 異なるファンドマネージャーの投資判断に基づく売りと買いの注文についてトレーダーが執行する取引(当該銘柄に係る流動性等を勘案して価格形成に影響を与えるおそれが無く、かつ、同一トレーダーによる取引の場合は、当該トレーダーに執行についての裁量が与えられていないもの。)
ロ. 寄付前に、売りと買いの注文の双方を成行注文で発注する取引(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
ハ. ザラ場における売りと買いの注文について、その発注時刻に相当程度の間隔がある取引(当該銘柄の流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
ニ. 契約又は信託約款等の規定に基づきシステム的に運用するインデックスファンドに係る取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
ホ. 個別の取引に係る発注のタイミング及び価格等が、ファンド運用会社以外の第三者に委ねられることとなる、VWAP取引や計らい取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
ヘ. 銘柄数が少ないため、同一銘柄の注文を避けることが困難な先物取引等(当該銘柄に係る流動性等を勘案して、価格形成に影響を与えるおそれの無いもの。)
(3)監督手法・対応
日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握されたファンド運用会社の業務執行体制に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、ファンド運用会社における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2-5-2 勧誘・説明態勢
(1)誇大広告の禁止等
運用の実績、内容又は方法が他の金融商品取引業者よりも著しく優れている旨の表示を根拠を示さずに行っていないか。
運用の実績を掲げて広告を行う場合に、その一部を強調すること等により、投資者に誤解を与える表示を行っていないか。(運用の実績を掲げて広告を行う場合には、投資者保護の観点から、適切かつ分かりやすい表示がなされている必要がある。例えば、運用の評価方法、使用ベンチマーク等に係る根拠が明確に示されているか、運用の実績は過去のものであり将来の運用成果を約束するものでない旨が適切に表示されているか、等について必要な確認を行うものとする。)
運用のシミュレーションを掲げて広告を行う場合に、恣意的な前提条件を置くこと等により、投資者に誤解を与える表示を行っていないか。(運用のシミュレーションを掲げて広告を行う場合には、投資者保護の観点から、適切かつ分かりやすい表示がなされている必要がある。例えば、シミュレーションの前提条件等に係る根拠が明確に示されているか、シミュレーションは所定の前提条件を元にしたものであり将来の運用成果を約束するものでない旨が適切に表示されているか、等について必要な確認を行うものとする。)
(2)契約締結前の書面交付又は当該書面に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係る留意事項
ファンド運用会社が投資運用業に係る業務以外の業務(兼業業務)を行う場合であって、投資運用業に係る報酬と兼業業務に係る手数料等を同一契約において一体として徴収する場合は、金商法第37条の3第1項第4号の「当該金融商品取引契約に関して顧客が支払うべき対価に関する事項」には、投資運用業に対する報酬の額と兼業業務に対する手数料等の額との区分を明確にすること。
(3)監督手法・対応
日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握されたファンド運用会社の勧誘・説明態勢に関する課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、ファンド運用会社における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2-5-3 弊害防止措置・忠実義務
(1)二以上の種別の業務を行う場合の留意事項について
ファンド運用会社が二以上の業務の種別(金商法第29条の2第1項第5号に規定する業務の種別をいう。)に係る業務を行う場合の弊害防止措置については、利益相反行為の防止など業務の適切性を確保する観点から、その業容に応じて、例えば次のような点に留意して検証することとする。
異なる種別の業務間における弊害防止措置として、業務内容に応じた弊害発生防止に関する社内管理体制を整備するなどの適切な措置が講じられているか。
金商業等府令第147条第2号の「非公開情報」について、管理責任者の選任及び管理規則の制定等による情報管理措置等が整備されているとともに、当該情報の利用状況の適正な把握・検証及びその情報管理方法の見直しが行われる等、情報管理の実効性が確保されているか。
(2)投資運用業における利益相反等の未然防止に係る留意事項について
特定の権利者の利益を図るため他の業務の権利者又の利益を害することとなる行為等を未然に防ぐため、業務内容に応じた弊害発生防止に関する社内管理体制を整備するなどの適切な措置が講じられているか。
(3)権利者等への忠実義務
運用財産の運用において事務ミス等の自己の過失により権利者に損害を与え、その損害について権利者に損害賠償を行わない場合、忠実義務違反に該当する可能性があることに留意する。これは、事務ミス等が業務委託先で発生した場合であっても、権利者に対して責任があるファンド運用会社がその損害について権利者に損害賠償を行わないときは同様である。
(4)監督手法・対応
日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握されたファンド運用会社の弊害防止措置等に関する課題については、権利者又は運用財産に直接不利益を与えるおそれがあり、場合によっては忠実義務違反又は善管注意義務違反等の法令違反に該当する可能性があることから深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、ファンド運用会社における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2-5-4 その他留意事項
VI-2-2-5(2)(3)(4)の規定は、ファンド運用業に係る業務の適切性について準用するものとする。
VI-2-6 不動産関連ファンド運用業者に関する特に留意すべき事項
不動産投資信託をはじめ、不動産関連ファンドは、個人投資家を含む幅広い投資家からの資金を、不動産(原資産を不動産とする金融商品を含む 。VI において同じ。)を主たる投資対象として運用する仕組みの金融商品である。これらを運用する金融商品取引業者(以下「不動産関連ファンド運用業者」という。)に係る監督は、投資者の保護と、不動産市場における適正な価格形成機能の発揮の前提となる、デュープロセスの履行、情報開示の実施、利益相反取引防止の取組み等の適切性を確保し、もって投資者に対し忠実に職務を遂行すること及び善良な管理者としての注意をもって職務を遂行することを求めるものである。
不動産関連ファンド運用業者の監督にあたっては、VI-2-2から VI-2-5までに示された監督上の着眼点及び監督手法・対応をその運用形態に応じて適用するが、追加的に以下の項目についても留意する必要がある。その際、当該業者は、不動産の他の一般の諸財と異なる特性及び投資する際にその特性により生じるリスクについて十分理解・把握した上で健全かつ適切に職務を遂行する必要があることから特に留意して検証することとする。なお、こうした監督は個別の不動産価格に影響を与えること等を企図するものではないことに留意する必要がある。
VI-2-6-1 法令等遵守態勢
不動産関連ファンド運用業者の法令等遵守態勢については、基本的には、III-2-1における態勢整備の着眼点及び監督手法をもって対応することとするが、それ以外にも、不動産関連ファンドの業務において特有の利益相反取引防止のための施策等を含めた幅広い検証を行うことが必要である。
VI-2-6-2 内部管理態勢
不動産関連ファンド運用業者には、善管注意義務及び忠実義務を課せられていることから、十分な法令等遵守態勢及びリスク管理態勢を構築することが求められている。不動産関連ファンド運用業者の経営陣は、法令遵守を徹底するための諸規程、並びに不動産投資に係るリスクを分析・評価し、適切なリスク管理が行われるような各種リスク管理規程を作成するとともに、その遵守状況を確認する必要がある。
その際、不動産の特性を踏まえたデューディリジェンス態勢を含めた内部管理態勢を構築する必要があることに留意することとする。
VI-2-6-3 不動産関連ファンド運用業者の業務に係る評価項目
(1)不動産の取得及び売却の際のデューディリジェンス態勢に係る評価項目
不動産のデューディリジェンスは、不動産の適正な投資価値を把握するための重要な作業であることから、その適切性について、特に以下の点に留意して検証することとする。
なお、経営陣は、デューディリジェンスのプロセス及びその内容に係る記録の保存を含めたデューディリジェンスの適切性を確保するための方策の実施状況及び審査機能の実効性について、問題認識を持ちつつ、内部監査を通して常に把握できる状況でなければならない。
将来キャッシュフローに与える影響の大きさに鑑み、各種修繕・更新費用等の見積りについて、適切に調査し不動産の評価額に反映させることとしているか。
DCF法は、キャッシュフローに基づく価値を求める方法であり、不動産の評価においては代表的で有効な評価手法であるが、将来予測に基づく前提条件が多く、内容が不明確になるおそれがある。そのため、DCF法を採用する際には、以下について必要な確認を行うこととしているか。
イ. 適用数値(特に将来予測に基づくもの)の妥当性及び判断の根拠
ロ. シナリオ全体の妥当性及び判断の根拠
ハ. DCF法の適用結果と他の方法・手法の適用結果の比較衡量
エンジニアリング・レポート(以下「ER」という。)及び鑑定評価書の作成を委託及び受領する場合には、以下の点に留意することとする。
イ. ER作成業者及び不動産鑑定業者については、客観的基準に基づいた選定や不適切な働きかけを排除する態勢の構築等により第三者性及び独立性が確保されているか。
ロ. ER及び不動産鑑定評価を依頼する際に、ER作成業者及び不動産鑑定業者に対して必要な情報等を提供しているか。また、情報等の提供状況の管理は適切に行われているか。
ハ. 作成を依頼したERを受領する際に、上記ロの情報等の反映状況について必要な検証を行うとともに、以下の観点についての確認が行われているか。
a. 土壌汚染や有害物質の調査においては、必要な調査がなされその調査結果が客観的な根拠により担保されているか。
b. 建物の個別の部位の各種修繕・更新費用等の見積もりにおいて、如何なる修繕が如何なる根拠に基づいて算定されているかについて確認しているか。
c. 対象物件の遵法性の検証に当たっては、法律のみならず地区計画等の条例等まで必要な検証が行われているか。
ニ. 評価を依頼した鑑定業者から鑑定評価書を受領する際に、上記ロの情報等の反映状況について必要な検証を行うとともに、以下の観点についての確認が行われているか。
a. ERの考え方を考慮・反映されたものであるか。また反映していない事項については、その理由及び根拠を確認しているか。
b. DCF法を採用する場合において、将来収支及び稼働率等については、客観的なデータに基づき見積もった上で、妥当性を検証しているか。また、前提条件となるディスカウント・レートやターミナル・レートの見積りも同様に、その水準の妥当性を検証しているか。
c. 不動産そのものの流動性及び不動産の生み出すキャッシュフローに影響を与える可能性のある項目について必要な調査が行われているか。
ホ. デューディリジェンスの結果を踏まえ取得・売却価格を算定する際、ER及び鑑定評価書の記載内容等を活用しない場合には、採用した数値等の妥当性を検証することとしているか。
(2)利益相反取引防止態勢
経営陣は、利益相反取引が起こり得るリスクを認識し、法令上定められている利害関係人のみならず、利益相反取引が起こり得る可能性のある取引相手方を把握した上で、それらの者との取引に係る適切な管理態勢を構築する必要があり、例えば、以下の点に留意して検証することとする。
物件取得に係る取引価格に関し、鑑定評価額を基準として一定の幅を加減した額であれば公正であるとの方針である場合は、当該加減をする幅が市況に鑑み適切であるかについて、定期的に見直しを行う態勢となっているか。また、こうした方針(当該方針を見直した場合は、その理由を含む。)において、適切に公表(私募ファンドにあっては、契約者への通知)を行う態勢となっているか。
物件情報(売買に係る折衝状況等を含む。)について、一元的に管理できる態勢を構築し、利益相反取引防止の観点から、売買に係る折衝状況等をコンプライアンス担当者が管理できることとなっているか。
不動産関連ファンドが、第三者が所有する不動産をその売主の希望する時期に取得できない場合において、ウェアハウジング機能を利用するときは、利益相反が発生するリスクが大きいことを認識し、折衝及び役割分担の明確化並びにデューディリジェンスを適切に行っているか。
④ 上記①~③のほか、利益相反取引が起こり得る可能性のある者との取引については、その妥当性について事後的な検証が行えるよう、例えば、社内での検討資料や当該者との面談記録等を適切に作成・保存しているか。
(3)同一の不動産関連ファンド運用業者が複数ファンドからの不動産関連資産の運用受託を行っている場合の留意事項
不動産関連ファンド運用業者が複数のファンドからの運用を受託している場合には、物件情報を入手した時点で、運用する各ファンドで取得が競合することのないような措置を講じているか、各ファンドごとに独立した意思決定が行えるための態勢が整備されているかといった点に留意するものとする。
(4)海外不動産保有法人の株式取得を行う場合の留意事項
投資法人が海外不動産の取得を行おうとする場合、当該不動産が所在する国の法令の規定、慣行、その他やむを得ない理由によって、投資法人自らが当該不動産の取得等ができない場合においては、当該不動産を保有する法人(以下「海外不動産保有法人」という。)の発行する株式に係る議決権の総数の過半を取得することができる。その際は、以下の点が全て満たされている必要があることに留意するものとする。
海外不動産保有法人が、その所在する国において専ら不動産の取得や譲渡等の取引を行うことをその目的としていること。
海外不動産保有法人の各事業年度の配当可能な額のうち、投資法人の保有する当該海外不動産保有法人の有する株式の数又は出資の額に応じて按分した額(又は当該海外不動産の所在する国における法令若しくは慣行により、割り当てることができる額)の金銭を当該投資法人に支払うこととしていること。
海外不動産保有法人が、その財務書類について他人の求めに応じ報酬を得て監査又は証明をすることを業とする者による監査又は証明を受けていること。
(5)その他
「不動産の取得」等の範囲について
投信法第193条第1項第3号に規定する「不動産の取得」には、投資法人が自ら宅地の造成又は建物の建築を行うことは含まない一方、投資法人が宅地の造成又は建物の建築に係る請負契約の注文者になることを含む。
ただし、例えば以下のような場合など、投資法人が宅地の造成又は建物の建築に係る請負契約の注文者になることがふさわしくない場合は、当該行為は「不動産の取得」に含まれないことに留意する。
イ. 大規模修繕・改修工事等を行う際には、一定期間テナントの退去が必要になることがあり、その場合のキャッシュフローの変動がポートフォリオ全体に過大な影響を与える場合。
ロ. 投資法人が更地を購入し、新たな建物を建築するときは、不動産の開発にかかる各種リスク(開発リスク、許認可リスク、完工リスク、テナントリスク、価格変動リスク、開発中の金利変動リスク及び大規模な自然災害発生リスク等)を投資者に負わせることとなること及び直ちにキャッシュフローを生まない投資であることに鑑み、ポートフォリオ全体に過大な影響を与える場合。
投資法人によるフォワード・コミットメント等について
投資法人がフォワード・コミットメント等(先日付での売買契約であって、契約締結から1月以上経過した後に決済・物件引渡しを行うこととしているものその他これに類する契約をいう。以下
において同じ。)を行う場合には、以下の点に留意するものとする。先日付の買付け意向表明等を行う場合も、当該意向表明が取引への実質的な拘束力を持つ場合は、これに準じた取扱いを行うこととする。
イ. 解約条件を適切に公表するなど、フォワード・コミットメント等を履行できない場合における投資法人の財務への影響が明らかにされているか。
ロ. 市場環境、資金調達環境及び個別の投資法人の事情等を勘案した上で、フォワード・コミットメント等をした物件の取得額及び契約締結から物件引渡しまでの期間の上限並びに決済資金の調達方法等についてのルールを策定し、当該ルールを遵守しているか。特に上場投資法人については、上場廃止要件も踏まえ、配当原資に比して過大な解約違約金を要するフォワード・コミットメント等を慎重に検討する態勢となっているか。
ハ. フォワード・コミットメント等をした物件は決済までの間はオフバランスであるが、当該期間中の当該物件の価格変動リスクは投資法人に帰属することに鑑み、保有物件の継続鑑定等と併せて、当該物件の継続鑑定等の結果(当該物件が未竣工建造物であり、鑑定評価が取得できない場合は、価格調査の結果)を公表しているか。
投資法人による劣後投資法人債の発行について
投資法人が劣後投資法人債を発行する場合には、発行条件(利回り等)によっては投資主の利益を損ねるおそれがあることを踏まえ、当該発行による資金調達の必要性や発行条件の妥当性等について慎重に検討するとともに、それらの情報を適切に公表しているかどうかに留意することとする。
外部委託管理態勢
不動産関連ファンド運用業者は、当該ファンドから投資運用の一任を受けながら、ER業者、鑑定業者、信託銀行、プロパティ・マネジメント業者、ビル・マネジメント業者等、様々な業者に業務の一部を外部委託している。よって、運用業者が忠実義務等を果たすためには、当該外部委託先に対する適切な監督は必要不可欠である。その監督に実効性を持たせるためには、外部委託先の選定基準を含めた各種規程・基準を策定したうえで、外部委託先から直接又は信託銀行等を経由して受ける各種報告を充実させ、実効性あるモニタリングを定期的に実施すること等により、適切な外部委託管理態勢を構築する必要がある。なお、運用業者と委託先との役割分担の明確化が適切な外部委託管理態勢の前提であることに留意する。
開発SPCに対する出資等について
不動産の開発にかかる各種リスク(開発リスク、許認可リスク、完工リスク、テナントリスク、価格リスク、開発中の金利変動リスク及び大規模な自然災害発生リスク等)について、分析及びリスク管理が適切に行われているか。また、事業進捗のモニタリングについては適切に行われているか。なお、開発型案件への出資に特化したファンド以外による当該開発SPCに対する出資については、直ちにキャッシュフローを生まないことに鑑み、ポートフォリオ全体に過大な影響を与えることのないように留意すること。
情報管理態勢
上場不動産投資法人を運用する不動産関連ファンド運用業者における情報管理については、資産運用委託契約等に基づく投資判断等(取得及び売却にかかる意思決定等)の意思決定前・取引行為前・開示前の情報の機密性確保のための施策が講じた上で、適切に管理する必要がある。
(6)監督手法・対応
上記評価項目に関して、日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、不動産関連ファンド運用業者における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2-7 適格投資家向け投資運用業に関する特に留意すべき事項
適格投資家向け投資運用業者(金商法第29条の5第1項に規定する適格投資家向け投資運用業を行う者をいう。以下同じ。)の業務の適切性は、VI-2-2からVI-2-6までに準ずるほか、以下の点に特に留意して検証することとする。
VI-2-7-1 業務執行態勢に関する留意事項
(1)取引の執行態勢に関する留意事項
適格投資家向け投資運用業者にあっては、投資判断を行う部門(担当者)と、注文を発注する部門(担当者)が分離されていない場合、これに代わるものとして、運用の方針、運用財産の額その他適格投資家向け投資運用業の状況に照らし、投資運用業に係る禁止行為を防止するための措置が講じられているか。
(2)コンプライアンス業務を外部委託している場合の留意事項
適格投資家向け投資運用業者が、コンプライアンス業務を外部委託している場合には、例えば以下の点に留意する必要がある。
なお、以下の点はあくまで一般的な着眼点であり、適格投資家向け投資運用業の業務の状況に照らし、追加的な検証を必要とする場合があることに留意する。
委託先の選定に関する方針・手続が明確に定められているか。
国内外のグループ法人にコンプライアンス業務を委託する場合には、当該法人のコンプライアンス機能の具備状況や委託業務の執行状況等からみて、適格投資家向け投資運用業者のコンプライアンスに関する体制が構築されていると評価できるか。
弁護士又は弁護士法人その他これに準ずる者(以下この
及びVI-3-1-2において「弁護士等」という。)にコンプライアンス業務を委託する場合には、以下の点に留意しているか。
イ. 業務を委託している弁護士等は、金融商品取引業に関し法令等を遵守するために必要な指導等を適正に遂行することができると認められる者であるか。
ロ. 当該弁護士等との間で締結している委託契約において、次に掲げる事項について規定しているか。
a. 法令等遵守の観点から業務実態の把握及び検証
b. コンプライアンス・マニュアルの作成・管理や、コンプライアンス研修の定期的な実施
c. コンプライアンスに関する報告書の定期的な作成、保管、委託者への提供
d. 委託者と委託先との連絡体制(トラブル発生時の対応を含む。)
e. aからdまでに掲げる事項のほか適格投資家向け投資運用業に係るコンプライアンス業務に必要な事項
VI-2-8 海外投資家等特例業務に関する特に留意すべき事項
海外投資家等特例業者の業務の適切性については、Ⅵ-2-5及びⅥ-2-7に準ずるほか、以下の点に特に留意して検証することとする。
VI-2-8-1 業務執行態勢に関する留意事項
(1)海外投資家等特例業務の要件
海外投資家等特例業者(海外投資家等特例業務を行う者をいう。以下同じ。)は、海外 投資家等特例業務に係る出資対象事業持分を取得する者が、海外投資家等特例業務の相手方とすることができる海外投資家等(金商法第63条の8第2項に規定する海外投資家等をいう。以下Ⅵ-2-8及びⅥ-3-3において同じ。)に該当すること、その他海外投資家等特例業務の要件を充足することを確認し記録する必要があるところ、届出書類の確認及び事業報告書の確認等を通じて行う実態把握に際しては、例えば以下のような点に留意して検証することとする。
Ⅵ-1-2の着眼点に準じて、海外投資家等特例業務を適確に遂行するに足りる人的構成が確保されていると認められるか、また、海外投資家等特例業務を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められるか。
海外投資家等のうち非居住者(外国為替及び外国貿易法第6条第1項第6号に規定する非居住者をいう。以下同じ。)の出資割合がファンドの総出資額の2分の1超となっているか。
顧客からの自己申告の書面及び顧客が任意に提供した資料(取引残高報告書又は通帳の写し等)、又は金商業等府令第246条の15第1項第5号ハに規定する書面等を活用することにより、海外投資家等特例業務に係る出資対象事業持分を取得する外国に住所を有する個人である顧客が、金商業等府令第246条の10第1項各号に掲げる要件のいずれかに該当する者であることを十分に確認した上で、確認結果及びその根拠を記載した書面を管理・保存するなど、社内記録を適切に作成及び保存しているか。
出資要件を満たさない顧客に出資をさせるため、顧客に事実と異なる資産状況等の申告を誘導していないか、必要に応じて検証を行うなど、適正な勧誘に努めているか。特に、海外投資家等のうち特定投資家以外の者が顧客となる場合は、契約締結前交付書面等の金商法上の書面交付等の義務その他の行為規制も適切に遵守しているか。
(2)監督手法・対応
日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された海外投資家等特例業者の課題については、深度あるヒアリングを行い、必要に応じて金商法第63条の14(同法第63条の11第2項において準用する場合を含む。以下Ⅵ-3-3において同じ。)の規定に基づく報告を求める。特に、海外投資家等特例業務においては、当該業務の相手方が主として非居住者になるため、海外当局との協力の枠組みも積極的に活用し、課題の早期把握・解消に努めるものとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第63条の13第1項(同法第63条の11第2項において準用する場合を含む。以下Ⅵ-3-3において同じ。)の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令違反行為が認められる等の場合には、金商法第63条の13第2項(同法第63条の11第2項において準用する場合を含む。以下Ⅵ-3-3において同じ。)の規定に基づく業務停止命令又は金商法第63条の13第3項(同法第63条の11第2項において準用する場合を含む。以下Ⅵ-3-3において同じ。)の規定に基づく業務廃止命令の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2-9 移行期間特例業務等に関する特に留意すべき事項
移行期間特例業者(移行期間特例業務等を行う者をいう。以下同じ。)の業務の適切性については、Ⅵ-2-2、Ⅵ-2-4及びⅥ-2-8の各規定に準ずるほか、以下の点に特に留意して検証することとする。
VI-2-9-1 業務執行態勢に関する留意事項
(1)移行期間特例業務等の要件
移行期間特例業者は、顧客が移行期間特例業務の相手方とすることができる海外投資家等(金商法附則第3条の3第6項に規定する海外投資家等をいう。以下Ⅵ-2-9において同じ。)に該当すること、その他移行期間特例業務等の要件を充足することを確認し記録する必要があるところ、届出書類の確認及び事業報告書の確認等を通じて行う実態把握に際しては、例えば以下のような点に留意して検証することとする。
移行期間特例業務を行う者が、顧客が海外投資家等のみであることを適切に確認し、確認結果についての社内記録を作成及び保存しているか。
移行期間特例業務を行う者が、顧客が投資運用業を行う金商業者及び登録金融機関である場合、当該金商業者及び登録金融機関の商号、登録番号、所在地等を確認し、確認結果についての社内記録を作成及び保存しているか。
外国投資運用業者について、我が国と同等の水準にあると認められる投資運用業を行う者に関する制度を有する国又は地域において、投資運用業を行うことについて金商法上の登録と同種類の登録を受けているか。
外国投資運用業者について、外国の法令に準拠し、当該外国において投資運用業を開始してから3年以上の業務実績があるか。また、業務実績の期間算定に休業期間等を含めていないか。
主な運用対象が、国内企業等に対する議決権のある株式、新株予約権、新株予約権付社債や、これらを信託財産とする信託受益権となっていないか。
(2)監督手法・対応
移行期間特例業務等は、我が国資本市場の国際金融センターとしての機能発揮に向けて、海外投資運用業者等の受入れを促進する観点から、時限措置として、簡素な手続きによる業務開始を可能としたものである。こうした制度趣旨に鑑み、例えば、以下のような点に留意して監督を行うものとする。
移行期間特例業務等を行うことができるのは、届出の日から5年を経過したとき、又は当該期間が経過するまでの間に、金融商品取引業者等(投資運用業を行う者に限る。)、特例業務届出者若しくは海外投資家等特例業務届出者となった場合には、当該金融商品取引業者等、特例業務届出者若しくは海外投資家等特例業務届出者となったときまでとされているところ、当該5年間の時限措置期間内に、日本において、金融商品取引業者等、特例業務届出者又は海外投資家等特例業務届出者となることが予定されているか。
金融商品取引業者等、特例業務届出者又は海外投資家等特例業務届出者について、登録又は届出を行う場合には、それぞれの業態に応じた要件を満たす必要があることについて検討が行われているか。
VI-2-10 投資法人の業務の適切性
VI-2-10-1 投資法人の機関運営等に関する事項
(1)役員会運営においての留意事項
役員会が形骸化していないか。例えば、実際に役員が参集せず、いわゆる持ち廻りによる決議を行っていないか等に留意すること。
役員会での審議の実効性を確保するため、資産運用会社から適切な資料の交付及び十分な説明を受けているか。
役員会において、一般事務受託者、資産運用会社の委託業務の内容について業務分担が明確に区分され、当該区分に応じた適切な手数料となっているかについて確認されているか。
(2)執行役員の役割
執行役員は役員会で決議するべき事項を把握し、当該事項について漏れのないよう役員会に付議しているか。
(3)監督役員の役割
監督役員は投信法第111条第1項の規定のとおり、執行役員を監督するために存在していることを認識し、役員会に出席するだけでなく、執行役員の業務執行内容を監督しているか。
また、状況に応じて執行役員、一般事務受託者、資産運用会社及び資産保管会社に対し、報告を求め、又は必要な調査を行っているか。
(4)監督手法・対応
日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された機関運営等に係る課題については、深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて投信法第213条の規定に基づく報告を求めることを通じて、投資法人における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、投信法第214条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。更に、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、投信法第216条第1項の規定に基づく登録取消しの発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-2-11 その他留意事項
VI-2-11-1 投信法及び信託法に関する留意事項
新信託法の施行前に信託された投資信託についての適用法令に関する留意事項は次のとおり。なお、VI-2-11-1における用語の定義は以下のとおりとする。
「新信託法」
: 信託法(平成18年法律第108号) 「信託法整備法」
: 信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号) 「新投信法」
: 改正法第5条の規定による改正後の投信法 「旧投信法」
: 信託法整備法第25条の規定による改正前の投信法 「新法信託」
: 新投信法及び新信託法の施行後に信託された投資信託 「旧法信託」
: 新投信法及び新信託法の施行前に信託された投資信託 旧法信託は、信託法整備法第3条又は第26条第1項の規定により新法信託とすることが可能であるが、これを行わない場合は信託法整備法第2条の規定が適用される。その結果、旧法信託については、新信託法及び信託法整備法により制度整備が図られた受益権原簿、信託の併合、投資信託に関する公告の方法を委託者における公告の方法とすること並びに投資信託約款変更等に係る書面決議及び当該書面決議において反対した受益者の買取請求等に関する新投信法等の規定(新投信法第4条第2項第17号、第6条第7項、第16条第2号、第17条、第18条、第20条、第25条、第49条第2項第18号、第50条第4項、第54条第1項において準用する第16条第2号、第17条及び第18条、第57条及び第59条において準用する第16条第2号、第17条、第20条及び第25条並びにこれらの規定に関する罰則及び金商法施行令・内閣府令)は適用されず、これらの規定に改正される前の関係する旧投信法、金商法施行令・内閣府令が適用されることに留意する。
VI-2-11-2 委託者非指図型投資信託に関する留意事項
投信法第54条第1項において準用する同法第13条第1項の規定に基づく受益者等への書面の交付に当たっての留意事項は VI-2-3-2(2)に準ずるものとする。
VI-2-11-3 投資法人の合併に関する留意事項
吸収合併をする場合において、吸収合併消滅法人の投資主に交付する吸収合併存続法人の投資口の算定にあたって、合併比率調整等のために合併比率調整金又は分配代り金等の金銭(以下「合併交付金」という。)を交付することとする場合には、投信法第147条第1項第2号に掲げる事項として、合併交付金の額又はその算定方法及び吸収合併消滅法人の投資主の有する投資口の口数に応じて割り当てる合併交付金の額に関する事項が含まれることに留意する。
VI-2-11-4 分別管理等に関する留意事項
(1)暗号等資産の管理等に係る留意事項
投資運用業において暗号等資産を運用財産として管理する場合には、金商法第42条の4及び金商業等府令第132条第1項が準用する同第125条第2号ニに基づき、暗号等資産に係る分別管理についての適切な取扱いが確保される必要がある。また、運用財産たる暗号等資産が不正アクセス等により流出すれば、投資者保護が図られないおそれがあるため、平時より、分別管理やシステムリスク管理等の内部管理態勢(業容に応じた内部監査態勢を含む。)の構築を通じて、かかる流出リスクに対して適切に対応することが求められる。
かかる管理の状況については、Ⅴ-2-1-4を準用して監督するものとする。
(2)電子記録移転有価証券表示権利等の管理等に係る留意事項
投資運用業において電子記録移転有価証券表示権利等を運用財産として管理する場合には、金商法第42条の4及び金商業等府令第132条第2項第5号又は第6号並びに金商法第43条の2及び金商業等府令第136条第1項第5号又は第6号に基づき、電子記録移転有価証券表示権利等に係る分別管理についての適切な取扱いが確保される必要がある。また、運用財産たる電子記録移転有価証券表示権利等が不正アクセス等により流出すれば、投資者保護が図られないおそれがあるため、平時より、分別管理やシステムリスク管理等の内部管理態勢(業容に応じた内部監査態勢を含む。)の構築を通じて、かかる流出リスクに対して適切に対応することが求められる。
かかる管理の状況については、IV-3-7-6及びIV-3-7-7を準用して監督するものとする。
VI-2-12 協会未加入業者に関する監督上の留意点
(1)主な着眼点
金融商品取引業協会に加入しない金融商品取引業者(VI-2-12において「協会未加入業者」という。)は、協会規則に準ずる内容の社内規則を適切に整備しているか。
社内規則の適正な遵守を確保するための態勢整備(役職員への周知、従業員に対する研修等やその遵守状況の検証など)が図られているか。
協会規則に改正等があった場合には、それに応じて直ちに社内規則の見直しを行うこととしているか。
(2)監督手法・対応
協会未加入業者の社内規則の策定・改正・遵守状況等に関して問題が認められる場合には、深度あるヒアリングや、必要に応じて金商法第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めることを通じて、金融商品取引業者における自主的な改善状況を把握することとする。また、公益又は投資者保護の観点から重大な問題があると認められる場合には、金商法第51条の規定に基づく業務改善命令を発出する等の対応を行うものとする。さらに、報告徴求の結果、協会規則に準ずる内容の社内規則を作成していると認められない場合又は当該社内規則を遵守するための体制を整備していないと認められる場合には、金商法第52条第1項の規定に基づく業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。
VI-3 諸手続(投資運用業)
VI-3-1 登録
VI-3-1-1 投資運用業
(1)体制審査の項目
金商法第29条の4第1項第1号ホ及び第1号の2に規定する要件の審査にあたっては、登録申請書、同添付書類及びヒアリングにより次の点を確認するものとする。なお、金商法第29条の4第1項第1号ヘに規定する金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者であるか否かについても、以下の事項を確認することを通じて審査するものとする。
その行う業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人の確保の状況及び組織体制として、以下の事項に照らし、当該業務を適正に遂行することができると認められるか。
イ. 経営者が、その経歴及び能力等に照らして、投資運用業者としての業務を公正かつ的確に遂行することができる資質を有していること。
ロ. 常務に従事する役員が、金商法等の関連諸規制や監督指針で示している経営管理の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有すること。
(注)「金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験」とは、金融商品取引業の公正かつ的確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する意思決定を適切に行うことができる知識・能力をいい、過去に投資運用業に関する業務に従事していた経験は必ずしも問わない。
ハ. 権利者のために資産運用を行う者として、運用を行う資産に関する知識及び経験を有する者が確保されていること。また、運用権限を委託する場合にあっては、当該委託に係る業務の監督を行う部門を統括する者として、運用を行う資産に関する知識及び経験を有する者が確保されていること。
ニ. 資産運用部門とは独立してコンプライアンス部門(担当者)が設置され、その担当者として十分な知識及び経験を有する者が十分に確保されていること。ただし、投資運用関係業務(金商法第2条第43項に規定する投資運用関係業務をいう。)のうちⅥ-3-1-1(7)①ロaからcまでに掲げる投資運用関係業務について、投資運用関係業務受託業者(同条第45項に規定する投資運用関係業務受託業者をいい、受託する投資運用関係業務を行うことにつき金商法第66条の71の登録又は第66条の75第4項の変更登録を受けている者に限る。以下同じ。)に、いずれも委託する場合にあっては、当該投資運用関係業務の監督を適切に行う能力を有する者(投資運用関係業務受託業者に委託する投資運用関係業務の内容を理解し把握するとともに、当該投資運用関係業務受託業者に対して適確に指示を行う能力がある者をいい、当該投資運用関係業務を直接遂行するにあたって必要な知識及び経験並びに過去に投資運用業に関する業務に従事していた経験は問わない。以下この①において同じ。)が確保されていれば足りる。
(注)Ⅵ-3-1-1(7)①ロaからcまでに掲げる投資運用関係業務のいずれかを投資運用関係業務受託業者に委託する場合にあっては、当該投資運用関係業務については、当該投資運用関係業務の監督を適切に行う能力を有する者が確保されていれば足りる。
ホ. 上記ハ及びニのほか、行おうとする業務の適確な遂行に必要な人員が各部門に配置され、内部管理等の責任者が適正に配置される組織体制、人員構成にあること。
ヘ. 行おうとする業務について、次に掲げる体制整備が可能な要員の確保が図られていること。
a. 帳簿書類(VI-3-2-4に規定する帳簿書類を含む。)・報告書等の作成、管理
b. ディスクロージャー
c. 運用財産の分別管理
d. リスク管理
e. 電算システム管理
f. 管理部門による運用状況管理、顧客管理
g. 法人関係情報管理
h. 広告審査
i. 顧客情報管理
j. 苦情・トラブル処理
k. 運用部門による資産運用業務の執行
l. 内部監査
m. 運用対象財産(金商法第2条第43項第1号に規定する運用対象財産をいう。)に係る計算及びその審査(ただし、Ⅵ-3-1-1(7)①イa又はbに掲げる投資運用関係業務を投資運用関係業務受託業者に委託する場合にあっては、当該投資運用関係業務については、当該投資運用関係業務の監督を適切に行う能力を有する者が確保されていれば足りる。)
(注)法令等の遵守が適切になされるような体制が整備されると認められる場合には、上記ロにおいて確保される者が上記ニにおいて確保される者と同一人となることを妨げない。また、当該場合には、上記ニにおいて確保される者が上記ヘにおいて確保される者と同一人となることを妨げない。
暴力団又は暴力団員との関係その他の事情として、以下の事項を総合的に勘案した結果、役員又は使用人のうちに、業務運営に不適切な資質を有する者があることにより、金融商品取引業の信用を失墜させるおそれがあると認められることはないか。
イ. 本人が暴力団員であること(過去に暴力団員であった場合を含む。)。
ロ. 本人が暴力団と密接な関係を有すること。
ハ. 金商法等我が国の金融関連法令又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと。
ニ. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定(同法第32条の2第7項の規定を除く。)若しくはこれに相当する外国の法令の規定に違反し、又は刑法若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと。
ホ. 拘禁刑以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと(特に、刑法第246条から第250条まで(詐欺、電子計算機使用詐欺、背任、準詐欺、恐喝及びこれらの未遂)の罪に問われた場合に留意すること。)。
(注)なお、金融商品取引業者の主要株主における上記
イからホまでの事項等を総合的に勘案した結果、当該主要株主がその影響力を不当に行使することで、結果的に金融商品取引業の信用を失墜させるおそれがあると認められる場合も、当該金融商品取引業者は「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない」と認められる可能性があることに留意する必要がある。
(2)業務の内容及び方法を記載した書類
業務の内容及び方法を記載した書類には以下の点が適切に記載されていることを確認するものとする。
業として行う金融商品取引行為の種類
金商業等府令第8条第9号に掲げる事項
業務運営に関する基本原則
イ. 投資運用業者の業務の基本方針及び業務運営の原則に関する事項
ロ. 資産運用の基本方針に関する事項
ハ. 運用する資産の種類
ニ. 運用権限の委託に関する事項(すべての運用財産につき、運用権限の全部を委託する場合はその旨を含む。)
ホ. 投資運用業者の財務の健全化に関する事項
業務執行の方法
イ. 運用の方法に関する事項
ロ. 顧客の勧誘及び契約の締結等に関する事項
ハ. 運用財産の管理に関する事項
業務分掌の方法
投資運用業者の組織に関する事項
苦情解決のための体制
加入する金融商品取引業協会の名称及び協会自主規制等の遵守に関する事項
(3)金商業等府令第9条第1号の書類(業務に係る人的構成及び組織等業務執行体制を記載した書面)の記載事項
投資運用業の開始時における役職員の構成(役員については、各人ごとに運用の指図又は運用を行う資産に関する知識及び経験の記載を含む。)、組織図及び各組織が担当する業務の概略
資産の運用に係る業務運営体制
イ. 資産の運用に係る投資方針の決定を行う社内組織に関する事項
ロ. 資産の運用を行う部門における運用体制(運用権限を委託する場合にあっては、委託した運用業務の監督を行う体制を含む。)
ハ. 運用を外部委託(再委託する場合を含む。)する場合には、外部委託先の選定及び外部委託先との資産の運用に関する事務連絡体制に関する事項
資産の運用を行う者の知識及び経験
資産の運用を行う者について、各人ごとに運用を行う資産に係る知識及び経験が記載されていること。運用権限を委託する場合にあっては、委託に係る業務の監督を行う部門を統括する者について、各人ごとに運用を行う資産に係る知識及び経験が記載されていること。
コンプライアンス担当者のコンプライアンス業務に係る知識及び経験
コンプライアンス担当者のコンプライアンス業務に係る知識及び経験が記載されていること(投資運用関係業務(金商法第2条第43項第2号に規定する投資運用関係業務に限る。)を投資運用関係業務受託業者に委託し、金商法第29条の4第1項第1号の2ただし書に規定する当該投資運用関係業務の監督を適切に行う能力を有する者を確保する場合には、当該者の当該投資運用関係業務の監督に係る知識及び経験が記載されていること。
資産の運用その他に関する内部検査等の社内管理体制
運用の指図(外部委託する場合にあっては当該外部委託先の運用の指図又は運用を含む。)その他各部門に関する内部検査等を担当する部門及び各事務処理体制等細則に関する事項
法人関係情報の管理体制
イ. 管理責任者が社内規則等において定められており、当該者の記載があること。
ロ. 管理体制が社内規則等において定められており、当該規則が十分に機能する体制となっていること。
投資信託財産の運用を行う場合(投資信託財産の運用権限の全部を委託する場合であって、投資信託財産の計算の事務を行うときを含む。)にあっては、投資信託財産の計算の事務を行う者の当該事務に関する知識及び経験
イ. 投資信託財産の計算の事務を行う者について、各人ごとに当該事務に関する知識及び経験が記載されていること。
ロ. 投資信託財産の計算事務を第三者に委託して行う場合にあっては、当該第三者の当該事務に関する知識及び経験が記載されていること(Ⅵ-3-1-1(7)①イaに掲げる投資運用関係業務を投資運用関係業務受託業者に委託する場合は、その旨で足りる。)。
(4)金融商品取引業協会に加入する予定がない業者に係る留意事項
登録申請時において金融商品取引業協会に加入する予定がない業者に対しては、以下の事項を通知し、適切な対応を求めることとする。
登録後に、協会規則に準ずる内容の社内規則を作成していない又は当該社内規則を遵守するための体制を整備していない場合はVI-2-12に準じた監督上の対応がとられること。
協会規則に改正等があった場合にそれに応じて社内規則の見直しを行わない場合には、上記
に該当する場合があること。
(5)登録が不要である場合
金商法第61条第2項又は第3項に該当する場合(外国の法令に準拠して設立された法人で外国において投資運用業を行う者が、金融商品取引業者(投資運用業を行う者)等のみを相手方として投資運用業を行おうとする場合)には、金商法第29条の規定にかかわらず、投資運用業を行うことができる。
(6)新規登録申請に係る留意事項
新規に登録を申請する業者に対しては、原則として、以下の書類の提出を求めることにより、登録拒否要件等に該当しないか確認することとする。
なお、疎明資料のうち金融機関が発行する預金等の残高証明書については、デジタルカメラ、スキャナ等を用いて記録した事項が不鮮明である等確認に支障がある場合には、原本送付を求めることとする。
純財産額(金商法第29条の4第1項第5号ロに規定する純財産額をいう。)を算出した書面の疎明資料
直近月の純財産額を算出した書面の疎明資料
(7)投資運用関係業務を委託する業者に関する留意事項
投資運用関係業務を委託する業者については、登録申請書において、投資運用関係業務を委託する旨並びに委託先の商号、名称又は氏名及び当該委託先に委託する投資運用関係業務の内容等が記載されていることを確認する必要がある(金商法第29条の2第1項第12号)。このうち、投資運用関係業務の内容については、その具体的な内容として、例えば、次に掲げる業務のうちどの業務を委託するかについて明記されているか、確認する必要がある。なお、投資運用関係業務は、委託する業者における投資運用業の質を左右し得る一定の継続性・能動性を有するものであり、そのような性質を有しない業務は投資運用関係業務には該当しない。
イ. 金商法第2条第43項第1号に規定する投資運用関係業務の具体的な内容
a. 投資信託財産に係る計算及びその審査(投資信託財産の基準価額の算出及び当該算出に向けた投資信託の設定・解約の集計、資産の約定照合、利金・配当金等の計上等を含む。)
b. 上記aのほか、運用対象財産の評価額の計算及びその審査
ロ. 同項第2号に規定する投資運用関係業務の具体的な内容
a. 法令等遵守の観点から定期的な業務実態の把握、課題の指摘及び対応策の検討その他これに関連する業務
b. コンプライアンスに関する社内規則その他マニュアル等の案文作成・管理
c. コンプライアンス研修の定期的な企画・実施その他コンプライアンスに関する情報の提供
投資運用関係業務を投資運用関係業務受託業者に委託する業者に係る体制審査に当たっては、Ⅲ-2-7(2)に準ずるほか、例えば、以下の点に留意する。
イ. 委託先の投資運用関係業務受託業者に対し、委託した投資運用関係業務の遂行に関して必要な情報を適時に提供する体制が整備されているか。
ロ. 委託先の投資運用関係業務受託業者から受けた指摘等を適切に反映する体制が整備されているか。
ハ. 上記Ⅵ-3-1-1(1)①ニただし書及び同ヘmただし書において確保される者が、投資運用関係業務受託業者に委託した投資運用関係業務を適切に監督し、委託先の投資運用関係業務受託業者に必要に応じて適切な指示等を行うことができる体制が整備されているか。
VI-3-1-2 適格投資家向け投資運用業
(1)登録審査に際しての基本的留意事項
適格投資家向け投資運用業は、投資運用業の参入を促進する観点から、顧客を適格投資家に限定した小規模な投資運用業について、登録要件が一部緩和されたものである。こうした制度趣旨に鑑み、その登録審査に当たっては、透明性・迅速性に留意しつつ、運用の方針、運用財産の額その他行おうとする適格投資家向け投資運用業の状況に応じた審査を行うこととし、画一的な審査に陥ることのないよう留意するものとする。
(2)体制審査の項目
適格投資家向け投資運用業の体制審査に当たっては、原則としてVI-3-1-1(1)に準ずるほか、以下の点に留意するものとする。
権利者のために資産運用を行う者については、運用を行う資産に関する知識及び経験を有する者として、次のいずれかに該当する者が1名又は2名以上確保されているか。
イ. 運用を行おうとする資産に関し、少なくとも1年以上、助言又は運用を行う業務に従事していた者
ロ. イに準ずる者
独立したコンプライアンス部門(担当者)の設置については、コンプライアンスを担当する者として、次のいずれかに該当する者が1名又は2名以上確保されているか(コンプライアンス業務を外部委託する場合は、当該外部委託先を監督する者を確保することで足りる。)。
イ. 金融商品取引業に関し、少なくとも1年以上、法令等を遵守させるための指導に関する業務に従事していた者
ロ. イに準ずる者
行おうとする業務について、VI-3-1-1(1)
ヘaからmまでに掲げる体制整備(運用の方針、運用財産の額その他適格投資家向け投資運用業の状況に照らして、行おうとする業務の適確な遂行に必要とならないものを除く。)に必要な要員が1名又は2名以上確保されているか。
(注)法令等の遵守が適切になされるような体制が整備されると認められる場合には、
において確保される人員と
において確保される人員が同一人となることを妨げない。
(3)適格投資家向け投資運用業の該当性に係る審査の項目
適格投資家向け投資運用業の審査に当たっては、(2)に掲げる留意事項のほか、全ての運用財産の総額や、全ての運用財産に係る権利者(金商法第2条第8項第12号イに掲げる契約の相手方である登録投資法人の投資主及び金商法施行令第15条の10の6各号に掲げる者を含む。以下このVI-3-1-2において同じ。)の管理等に関して、以下の確認を行うものとする。
適格投資家向け投資運用業者について、全ての運用財産の総額が、金商法施行令第15条の10の7に規定する金額を超えることとならないような措置を講じているかを確認する。
適格投資家向け投資運用業者は、業務の運営状況が金商法第40条第2号に基づく金商業等府令第123条第13号の2に掲げる「金融商品取引業者が適格投資家向け投資運用業を行う場合において、権利者又は権利者となろうとする者の属性の確認及び権利者の有価証券の売買その他の取引の動向の把握その他の方法により、適格投資家以外の者が権利者となることを防止するための必要かつ適切な措置を講じていないと認められる状況」に該当することのないように業務を行わなければならないこととされている。
そのため、適格投資家向け投資運用業について、次に掲げる措置を講じているかを確認する。
イ. 次に掲げる事項を社内規程として定めていること。
a. 適格投資家向け運用業者が自ら販売する場合には、勧誘する顧客の属性を事前に確認するとともに、有価証券に転売制限が付されていることを顧客に説明すること。
b. 第三者が販売する場合には、勧誘する顧客の属性を事前に確認するとともに、有価証券に転売制限が付されていることを顧客に説明する旨を確認すること。
c. 権利者の属性や転売制限の実施状況を継続的に確認すること(これに違反していることが判明した場合の事後対応を含む。)。
ロ. 上記の社内規程に従い、勧誘する顧客属性の事前確認や、転売制限が付されている旨の説明が行われていることを継続的に確認していること。
ハ. 上記の社内規程に従い、実際の権利者の分布状況を継続的に確認していること。
ニ. 上記の社内規程に従い、違反した場合の事後対応が適切に行われていること。
ホ. 上記イからニまでの措置が適切に行われているかどうかを内部監査等により検証することとしていること。
適格投資家向け投資運用業を行おうとする者が、金融商品取引業者又は金商法の届出を行い適格機関投資家等特例業務若しくは特例投資運用業務を行っている者である場合には、次に掲げる項目についても確認するものとする。
イ. 全ての運用財産の総額が、金商法施行令第15条の10の7に規定する金額を超えないこと。
ロ. 全ての運用財産に係る権利者の中に適格投資家以外の者がいないこと。
(4)業務の内容及び方法を記載した書類
業務の内容及び方法を記載した書類の記載事項は、VI-3-1-1(2)に準ずるものとする。
ただし、「
業務執行の方法」については、運用財産の管理に関する事項として、全ての運用財産の総額の管理等に関する事項を含めて記載されていることを確認するほか、全ての運用財産に係る権利者の管理等に関する事項が記載されていることを確認するものとし、「
業務分掌の方法」については、投資運用業者の組織に関する事項として、コンプライアンスなど業務の外部委託に関する事項(委託先の商号、名称又は氏名を含む。)が記載されていることを確認するものとする。
(5)金商業等府令第9条第1号の書類(業務に係る人的構成及び組織等業務執行体制を記載した書面)の記載事項
業務に係る人的構成及び組織等業務執行体制を記載した書面の記載事項は、VI-3-1-1(3)に準ずるものとする。
ただし、「
コンプライアンス担当者のコンプライアンス業務に係る知識及び経験」について、コンプライアンス業務を国内外のグループ法人や弁護士等に外部委託する場合には、次に掲げる事項が記載されているか確認するものとする。
イ. 委託先の商号、名称又は氏名
ロ. 委託先の住所又は所在地
ハ. 委託先が行っている業務の概要
ニ. 業務委託契約の概要
ホ. 委託者である適格投資家向け投資運用業者が行おうとする業務の状況に照らし、委託先のコンプライアンスに係る業務体制(担当者の知識及び経験を含む。)
(6)その他
VI-3-1-1(4)から(6)までの事項は、適格投資家向け投資運用業の登録に関する事務において準ずるものとする。
VI-3-1-3 投資法人
(1)投資法人設立届出書の受理等に際しての留意事項
財務局長は、投信法第69条第1項の規定に基づく投資法人設立届出書の受理等に当たっては、次の点に留意する。
設立届出書の審査に係る留意事項
イ. 設立届出書第2面の1.設立しようとする投資法人の商号
投資者に公的機関と誤認されるおそれのある商号となっていないか。
ロ. 設立届出書第2面の3.(4)設立に際して出資される金銭の額
投資口の発行価額の総額は、投信法施行令第57条に規定する出資総額を下回っていないか。
ハ. 設立届出書第2面の3.(7)当該投資法人の資産運用の概要
資産を主として特定資産に対する投資として運用することとなっているか。
設立届出書の添付書類の審査に関する事項
国内に居住しない外国人が提出した本国の住民票に相当する書面又はこれに準ずる書面は、投信法施行規則第108条第2項第1号に規定する「これらに代わる書面」に該当する。
設立届出書の受理手続等
イ. 受理手続
財務局長は、投信法第69条第1項の規定に基づく投資法人設立届出書を受理したときは、届出書の副本及び規約1通に受理番号、受理日及びその他必要事項を第1面右下に記入した上で、届出者に還付しなければならない。
ロ. 財務局長は、投資法人設立届出書を受理した後、投資法人設立届出書等整理簿(別紙様式 VI-1)にその内容を記載しなければならない。
(2)投資法人の不成立に関する届出書の受理等に際しての留意事項
財務局長は、投信法施行規則第110条第1項の規定に基づく投資法人の不成立に関する届出書の受理等に当たっては、以下の手続を行わなければならない。
設立企画人に対して、投資口の申込みをなしたる者に対する対応を聴取し、その事績を記録しておくこと。
投資法人設立届出書等整理簿に投資法人の不成立に関する届出書の受理年月日を記載し、投資法人が成立しなかった理由を摘要欄に簡記すること。
(3)投資法人の登録申請書の受理等に際しての留意事項
財務局長は、投信法第188条第1項の規定に基づく登録申請書(投信法施行規則別紙様式第9号(以下(3)において同じ。))の受理等に当たっては、次の点に留意する。
登録申請書の審査に係る留意事項
イ. 登録申請書第2・3面の2.(5)常時保持する最低純資産額
最低純資産額は、投信法施行令第55条に規定する額を下回ることとなっていないか。
ロ. 登録申請書第2・3面の2.(6)資産運用の対象及び方針
資産を主として特定資産に対する投資として運用することとなっているか。
ハ. 登録申請書第6面の9.(1)出資総額
投資法人の成立時の出資総額は、投信法施行令第57条に規定する額を下回っていないか。
登録申請書の添付書類の審査に関する留意事項
国内に居住しない外国人が提出した本国の住民票に相当する書面又はこれに準ずる書面は、投信法施行規則第215条第4号に規定する「これに代わる書面」に該当する。
登録申請書の受理等に係るその他の留意事項
イ. 財務局長は、投資法人登録申請書を受理したときは、投資法人設立届出書等整理簿に投資法人登録申請書の受理年月日を記載しなければならない。
ロ. 財務局長は、投資法人設立届出書に記載されている設立の際発行する投資口の募集期間を経過した後、投資法人登録申請書の提出に係る通常必要とされる期間を経過した後においてなお当該投資法人登録申請書又は投資法人の不成立に関する届出書が提出されない場合には、当該投資法人設立届出書を提出した設立企画人に照会をし実体把握を行うものとする。
登録の手続等
イ. 登録番号
a. 登録番号は、財務局ごとに一連番号を付す。ただし、4、9、13、42、83、103、893は、欠番とする。
b. 登録がその効力を失った場合の登録番号は欠番とし、補充は行わないものとする。
c. 登録番号を別紙様式 VI-2による登録投資法人登録番号台帳により管理するものとする。
ロ. 登録申請者への通知
財務局長は、投資法人登録申請書の審査終了後、当該投資法人登録申請書及び添付書類に不備がなく、登録拒否要件に該当しない場合には、速やかに、登録申請者に投信法施行規則別紙様式第14号により通知するものとする。
金融庁長官への報告
財務局長は、投資法人の登録を行った場合には、別紙様式 VI ‐3により1月ごとに取りまとめて、翌月15日までに金融庁長官に報告するものとする。
登録の拒否(II-5-6参照)
財務局長は、登録を拒否する場合には、投信法施行規則別紙様式第15号に、拒否の理由及び拒否の理由に該当する投信法第190条第1項各号のうち該当する号の番号又は登録申請書及び添付資料のうち虚偽の記載のある箇所若しくは重要な事実の記載の欠けている箇所を具体的に明らかにすること。
登録申請書等の保存
設立届出書、不成立に関する届出書及びこれらの添付書類は、当該届出書の提出を受けた財務局長が、登録申請書、変更届出書、解散届出書及びこれらの添付書類は、登録投資法人が現に登録を受けている財務局長が保存する。
登録投資法人登録簿
登録投資法人登録簿の縦覧(投信法第189条第3項及び投信法施行規則第217条)の取扱いについては、Ⅲ-3-1(10)に準ずるものとする。なお、Ⅲ-3-1(10)②ロ.において「別紙様式Ⅲ-5による金融商品取引業者登録簿縦覧申請書」とあるのは「別紙様式Ⅵ-4による登録投資法人登録簿縦覧申請書」と読み替えるものとする。
VI-3-2 承認及び届出等
VI-3-2-1 承認
金商法第35条第4項の規定に基づくその他業務の承認に当たっては、次の点に留意するものとする。
当該業務が関係する法令に抵触するものとなっていないか。
申請する金融商品取引業者の純財産額が5千万円(適格投資家向け投資運用業者(第一種金融商品取引業を行う者を除く。)、又は、その行おうとする投資運用業に関して顧客から金銭又は有価証券の預託を受けず、かつ、金商法施行令第15条の4の2に規定する自己と密接な関係を有する者に顧客の金銭又は有価証券を預託させない投資運用業者(第一種金融商品取引業を行う者を除く。)が申請する場合にあっては、1千万円)を下回るおそれはないか。
顧客との契約締結等を伴う業務については、当該契約締結等に当たって投資者保護に必要な利益相反防止の方策等が具体的に整備されているか。
当該業務に係る社内規則が整備されているか。
VI-3-2-2 届出
金商法に定める各種届出の受理又は処理に関しては、以下の点に留意して取り扱うこととする。特に、金商法第35条第2項に規定する業務の届出の受理に当たっては、当該業務を規制する法令上必要となる手続きがとられているか留意するほか、次の業務については、その内容及び方法等が次の内容に合致するものとなっているか留意するものとする。この場合において、書面の交付又は書面による手続については、当該書面の交付等に代えて、顧客の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により提供することができるものとする。なお、合致しない業務については、金商法第35条第4項の規定による承認申請を行わせるものとする。
(1)民法第667条に規定する組合契約の締結又はその媒介、取次ぎ若しくは代理に係る業務及び商法第535条に規定する匿名組合契約の締結の媒介、取次ぎ若しくは代理に係る業務(金商法第2条第8項第9号に掲げる行為を行う業務を除く。)
金融商品取引業者又は金融商品取引業者の役員若しくは使用人は、顧客に対し組合契約の締結等の勧誘を行うに当たっては、契約内容につき十分な説明を行うとともに、顧客の意向、当該組合に関する知識及び経験並びに資力及び資金の性質等に応じた適正な勧誘が行われているか。また、契約の締結に当たっては、当該契約内容に関し、書面を作成し顧客に交付しているか。
(2)貸出参加契約の締結又はその媒介、取次ぎ若しくは代理に係る業務
取扱対象
貸出参加契約とは、平成7年6月1日に日本公認会計士協会が公表した「ロ-ン・パ-ティシペ-ションの会計処理及び表示」において想定されるものをいう。
業務の運営等
業務の運営等について、以下の諸点が遵守されているか。
イ. 業務遂行に当たっては、原債務者及び譲受者の保護に十分に配慮すること。
ロ. 取扱債権等の性格・内容等について譲受者に対し十分な説明を行うこと。
ハ. 取扱債権等に対する評価体制を整え、適正な価格形成を行うこと。
ニ. 譲受者の意向、経験及び資力に照らして適切な勧誘を行うこと。
ホ. 契約の締結に当たっては、当該契約内容に関し、書面を作成し譲受者に交付すること。
VI-3-2-3 運用状況に係る情報の提供
(1)投資一任業に係る運用状況の情報提供内容
金商法第42条の7第1項に規定する運用状況に係る情報の提供事項について、金商業等府令第134条第3項第2号に規定する事項には、複数の顧客の資産を合同運用する場合は、合同運用している資産の総額並びに当該資産を構成する金銭及び有価証券等の銘柄、数、価格及び当該資産に係る当該顧客の持分並びに持分に相当する金額を含む。
金商業等府令第134条第3項第3号ニ(1)に規定する「有価証券の売買その他の取引」のうち、レポ形式の取引については、その取引に係る運用手法が顧客のポートフォリオにレバレッジをかけて運用していると認められるものである場合に限り、金融安定理事会「シャドーバンキングの監視と規制の強化:証券貸借・レポ取引のシャドーバンキングリスクに対処するための政策提言」(平成25年8月)の提言5を踏まえ、次の事項を提供するものであること。
イ. グローバル・データ:貸付可能資産合計額、運用財産に占める貸付証券の金額、及びレポ形式の取引の帳簿価格
ロ. 集中度に関するデータ:発行体が受け取った受入担保証券の上位10件、及びレポ形式の取引の取引相手の上位10件
ハ. レポ形式の取引のデータ内訳:
a. 担保種類別
b. 通貨別
c. 満期別(取引自体)
d. 地理別(取引相手)
e. 現金担保と非現金担保
f. 満期別(非現金担保)
g. 決済・清算の方法別(三者間/中央清算機関/相対)ニ. 再利用及び再担保のデータ:再利用及び再担保に供した受入担保があれば、承認された最大額に占める割合。証券の種類について制限があれば、その情報
ホ. 収益のデータ内訳:
a. 証券の買戻又は売戻条件付売買
b. 担保付きで行う証券の貸借取引
c. 現金担保の再投資へ. カストディアンの数及び各カストディアンが保管する資産の額
ト. 取引相手が受領した証券の保管方法(分別勘定/合同運用勘定)
金商業等府令第134条第3項第4号に規定する事項には、投資一任契約に係る業務と有価証券関連業務を一体として契約した場合において、投資一任契約に係る報酬とは別に、売買委託手数料や口座管理料等の費用を徴収した場合は、これらの内訳を提供するものであること。
金商業等府令第134条第3項第6号に規定する情報提供すべき取引の内容については、約定した全ての取引ごとに価額、数量等を提供する必要は無く、当該取引の目的及び性質に照らし簡略化することも可能であり、例えば、行われた運用財産相互間取引の類型(金商業等府令第129条第1項各号に規定する要件等)を提供することでも足りるものとする。
金商業等府令第134条第3項第11号に規定する「財務又は投資一任契約に係る業務に関する外部監査」には、以下のもの(これらに相当するものを含む。)が該当する。
- 財務諸表監査及び内部統制監査
- 会社法に基づく会計監査人による監査
- 内部統制保証業務
- 資産運用業務を行う会社のパフォーマンス開示がグローバル投資パフォーマンス基準(GIPS)に準拠しているかに関する検証
金商業等府令第134条第4項に基づき、金商業等府令第96条第2項各号に掲げる事項を提供する場合、同項第3号の「当該金融商品取引業者等とファンド関係者との間の資本関係」については、ファンド関係者が金融商品取引業者等の金商業等府令第1条第3項第14号に規定する親法人等、同項第16号に規定する子法人等又は第126条第3号に規定する関係外国法人等に該当する場合に、その旨を提供する。
また、金商業等府令第96条第2項第3号の当該金融商品取引業者等とファンド関係者との間の「人的関係」については、合理的と認められる一定の時点における役職員の兼職状況を提供する。
(注)投資一任業者が権利者に提供する情報の対象期間を、金商業等府令第134条第5項に定める期間(6月(権利者が存続厚生年金基金又は国民年金基金である場合は3月)。以下この注において「法定期間」という。)より短く設定した場合、当該権利者に対するすべての運用報告書の交付又は運用報告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供において、法定の情報提供事項のすべてを提供する必要はなく、法定期間内に提供されるすべての運用報告書の記載事項又は運用報告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供における情報提供事項を総合的に見て、法定の情報提供事項が網羅されていれば足りるものとする。
(2)投資信託財産運用報告(全体版)の情報提供内容
投信法第14条第1項の規定により交付される投資信託財産に係る運用報告書(全体版)又は電磁的方法により提供される運用報告書(全体版)に記載すべき事項(以下Ⅵ-3-2-6(1)において「投資信託財産運用報告(全体版)」という。)は、投資者が理解しやすいように配慮して表示されるべきものであり、投資信託財産の計算に関する規則(以下「投信財産計算規則」という。)第58条第1項各号に掲げる事項の具体的な表示要領は、以下のとおりであることに留意し、その照会等があったときは、適切に対応するものとする。
当該投資信託の仕組み(運用方針を含む。)
スキーム、運用手法、投資制限、分配方針など当該投資信託の目的・特色が投資者にとって理解しやすいように表示されていること。
当該投資信託財産の計算期間中における資産の運用の経過
イ. 期初の基準価額、期末の基準価額及び期中における基準価額の状況が表示されていること。併せて、当該投資信託の投資信託財産における運用方針及び前期の運用報告に表示された「今後の運用方針」との関連(たとえば運用方針に従った投資行動が行われたかについての検証結果等)が表示されていること。
ロ. 今後の運用方針が当該投資信託の投資信託財産における運用方針を基に、具体的に表示されていること。
ハ. 当期の収益分配金については、分配金の決定の根拠と留保益の今後の運用方針が表示されていること。
運用状況の推移
イ. 下記の区分に応じ、当該下記に定める期間の運用実績(基準価額、分配金、期中騰落率、受益者利回り、株価指数、主要な運用対象資産の構成比率又は元本残存率等、投資信託財産の状態を的確に判断することができる実績をいう。)が、表示されていること。
a. 単位型投資信託投資信託財産の信託開始時から当該投資信託財産の計算期間の末日(以下(2)において「当期末」という。)現在まで
b. 追加型投資信託(下記c又はdに該当するものを除く。)当期以前5期以上(ただし、投信財産計算規則第59条第1項による場合は、当作成期間以前5作成期間以上)
c. 追加型公社債投資信託(下記dに該当するものを除く。)当期以前3期以上(ただし、投信財産計算規則第59条第1項による場合は、当作成期間以前3作成期間以上)
d. 計算期間が1日の追加型公社債投資信託 1作成期間以上
ロ. 当期中の基準価額と市況との比較として、信託の計算期間の騰落率のほか、当該投資信託の投資信託財産の運用方針において、特定の指数等に連動する運用をその方針としているときは、当該指数等の推移が表示されていること。
計算期間中における投資信託委託会社及び受託会社に対する報酬等並びに当該信託財産に関して受益者が負担するその他の費用並びにこれらを対価とする役務の内容
投資者が計算期間中に負担する信託報酬その他の費用及びその対価として享受するサービスの内容が、投資者にとって理解しやすいように表示されていること。
株式につき、銘柄ごとに、当該投資信託財産の計算期間の直前の計算期間の末日(以下(2)において「前期末」という。)及び当期末現在における株式数並びに当期末現在における時価総額並びに当該投資信託財産の計算期間中における株式の売買総数及び売買総額
イ. 株式には新株予約権証券を含むこと。この場合において、「株数」とあるのは「口数」と読み替える。
ロ. 通貨の種類ごとに表示されていること。(通貨の種類がユーロの場合は、国別に表示されていること。)
ハ. 銘柄別に表示されていること。なお、国内株式(新株予約権証券を除く。)については、業種別に表示し、当期末現在における国内株式時価総額に対する業種別の比率があわせて表示されていること。
ニ. 当期末現在における国内株式時価総額及び国内新株予約権証券時価総額については、投資信託財産純資産総額に対するそれぞれの比率が表示されていること。
ホ. 当期末現在における外国株式時価総額及び外国新株予約権証券時価総額については、投資信託財産純資産総額に対するそれぞれの比率が表示されていること。
ヘ. 当該計算期間中における株式の売買総数及び売買総額は、それぞれ売付け及び買付けに区分して表示され、増減資、株式分割及び額面変更等による増減は括弧外書として表示され、かつ、その旨が表示されていること。
ト. 当該計算期間中における株式の売買比率及び受益権一口当たりの売買委託手数料が表示されていること。
公社債につき、種類及び銘柄ごとに、当期末現在における時価総額及び当該投資信託財産の計算期間中における売買総額
イ. 通貨の種類ごとに表示されていること。(ただし、投信財産計算規則第59条第1項による場合は、通貨の種類にかかわらず、その合計額が表示されていても差し支えない。通貨の種類がユーロの場合は、国別に表示されていること。)
ロ. 種類は、国債証券、地方債証券、特殊債証券、新株予約権付社債券及びその他の社債券の区分によりなされていること。
ハ. 銘柄別に表示されていること。
ニ. 当該計算期間中における売買総額は、売付け及び買付けに区分して表示され、新株予約権付社債券の割当て、償還及び新株予約権の行使等による増減は括弧外書として表示され、かつ、その旨が注記されていること。
ホ. 公社債の売買がレポ形式の取引に該当する場合は、上記(1)
の情報提供事項を準用していること。
投資信託の受益証券(親投資信託の受益証券を除く。(2)において同じ。)、親投資信託の受益証券及び投資法人の投資証券につき、銘柄ごとに、投信財産計算規則第58条第1項第7号に掲げる事項
イ. 通貨の種類ごとに表示されていること。(通貨の種類がユーロの場合は、国別に表示されていること。)
ロ. 当該計算期間中における親投資信託の受益証券一口当たりの売買委託手数料が表示されていること。この場合において、当該親投資信託受益証券を組入れる投資信託(以下「子投資信託」という。)に係る売買委託手数料については、親投資信託の当該子投資信託に対応する部分について表示されていること。
当期末現在において有価証券の貸付けを行っている場合には、種類ごとに、総株数又は券面総額
イ. 株式及び公社債に区分され、株式については総株数を、公社債については券面総額が表示されていること。
ロ. 有価証券の貸付がレポ形式の取引に該当する場合は、上記(1)
の情報提供事項を準用していること。
デリバティブ取引(金商法第2条第20項に規定するデリバティブ取引をいう。以下同じ。)につき、種類ごとに、当期末現在における取引契約残高又は取引残高及び当該投資信託財産の計算期間中における取引契約金額又は取引金額
デリバティブ取引のうち有価証券関連デリバティブ取引(金商法第28条第8項第3号に規定する有価証券関連デリバティブ取引をいう。以下同じ。)については、当期末現在における取引契約残高又は取引残高及び当該投資信託財産の計算期間中における取引契約金額又は取引金額は、株式に係る取引、債券に係る取引等に区分して表示されていること。(ただし、投信財産計算規則第59条第1項による場合は、上記にかかわらず各月の最終の営業日の前日現在における取引契約残高又は取引残高及び当該投資信託財産の計算期間中における取引契約金額又は取引金額が表示されていても差し支えない。)
デリバティブ取引のうち有価証券関連デリバティブ取引以外のものについては、当期末における資産残高及び当該投資信託財産の計算期間中における運用状況が投資者にとって理解しやすいように配慮され、表示されていること。
不動産、不動産の賃借権又は地上権ごとに、投信財産計算規則第58条第1項第10号に掲げる事項
当期末現在における資産残高及び当該投資信託財産の計算期間中における運用状況が不動産、不動産の賃借権又は地上権ごとに区分して表示されていること。
投信法施行令第3条第6号に規定する約束手形につき、当期末現在における債権額及び当該投資信託財産の計算期間中における売買総額
当期末現在における資産残高及び当該投資信託財産の計算期間中における運用状況が投資者にとって理解しやすいように配慮され、表示されていること。
投信法施行令第3条第7号に規定する金銭債権につき、種類ごとに、当期末現在における債権の総額及び当該投資信託財産の計算期間中における債権の種類ごとの売買総額
当期末現在における資産残高及び当該投資信託財産の計算期間中における運用状況が投資者にとって理解しやすいように配慮され、表示されていること。
投信法施行令第3条第8号に規定する匿名組合出資持分につき、種類ごとに、当期末現在における運用対象資産の主な内容
当期末現在における資産残高及び当該投資信託財産の計算期間中における運用状況が投資者にとって理解しやすいように配慮され、表示されていること。
投信法施行令第3条第9号に規定する商品につき、種類ごとに、前期末及び当期末現在における数量並びに当期末現在における時価総額並びに当該投資信託財産の計算期間中における商品の売買総額
イ. 通貨の種類ごとに表示されていること。(通貨の種類がユーロの場合は、国別に表示されていること。)
ロ. 当該計算期間中における商品の売買総額は、それぞれ売付け及び買付けに区分して表示されていること。
ハ. 当該計算期間中における商品の売買比率及び受益権一口当たりの売買委託手数料が表示されていること。
商品投資等取引につき、種類ごとに、当期末現在における取引契約残高及び当該投資信託財産の計算期間中における取引契約金額又は取引金額
当期末現在における資産残高及び当該投資信託財産の計算期間中における運用状況が投資者にとって理解しやすいように配慮され、表示されていること。
特定資産以外の資産につき、種類ごとに、当期末現在における当該資産の主な内容
当期末現在における資産残高及び当該投資信託財産の計算期間中における運用状況が投資者にとって理解しやすいように配慮され、表示されていること。
当期末現在における投信法施行令第3条第1号若しくは第3号から第9号までに掲げる特定資産又はその他の資産のそれぞれの総額の投資信託財産総額に対する比率
比率は、各資産(親投資信託受益証券にあっては銘柄ごと)のそれぞれの総額の投資信託財産総額に対する比率が表示されていること。なお、当期末現在における外貨建資産に係る純資産総額の投資信託財産総額に対する比率が注記されていること。
投信法第11条第1項の規定に基づき、特定資産の価格等の調査が行われた場合には、当該調査を行った者の氏名又は名称並びに当該調査の結果及び方法の概要
調査の結果及び方法の概要については、当該調査を行った特定資産の種類、事項、行った者の資格等を含み、投資者にとって理解しやすいように配慮され、表示されていること。
当期末現在における資産、負債、元本及び受益証券の基準価額の状況並びに当該投資信託財産の計算期間中の損益の状態
投信財産計算規則に定める注記事項がある場合には、当該事項が注記されていること。
当該投資信託財産の計算期間中における利害関係人等との取引の状況及び当該利害関係人等に支払われた売買委託手数料の総額
取引状況は、有価証券及びデリバティブ取引その他取引の種類ごとに、買付額及び売付額に区分され、利害関係人との取引額及びそれぞれの総額に対する比率が表示されていること。
投資信託委託会社等が第一種金融商品取引業又は第二種金融商品取引業を行っている場合にあっては、当該投資信託財産の計算期間中における当該投資信託委託会社等との間の取引の状況及び当該投資信託委託会社等に支払われた売買委託手数料の総額
取引状況は、有価証券及びデリバティブ取引の種類ごとに、買付額及び売付額に区分され、自己との取引額及びそれぞれの総額に対する比率が表示されていること。
投資信託委託会社等が宅地建物取引業を営んでいる場合にあっては、当該投資信託財産の計算期間中における宅地建物取引業者である投資信託委託会社等との間の取引の状況及び当該投資信託委託会社等に支払われた手数料の総額
取引状況は、不動産の種類ごとに、売買及び賃貸借等に区分され、自己との取引額及びそれぞれの総額に対する比率が表示されていること。
投資信託委託会社等が不動産特定共同事業を営んでいる場合にあっては、当該投資信託財産の計算期間中における不動産特定共同事業者である投資信託委託会社等との間の取引の状況
取引状況は、不動産の種類ごとに、売買及び賃貸借等に区分され、自己との取引額及びそれぞれの総額に対する比率が表示されていること。
当該投資信託財産に係る信託契約期間が終了した場合には、投資信託財産運用総括表
当該信託財産の信託の開始時から前期末までの運用の経過の概略があわせて表示されていること。なお、上記
において当該運用の経過の概略が表示されている場合には当該運用の経過の概略を省略することができるものとする。
投信財産計算規則第59条第1項による場合は、投信財産計算規則別紙様式第2号中「毎計算期末の状況」については、「毎作成期間末の状況」と読み替えて作成しても差し支えない。
投資信託委託会社等が商品取引受託業務を行っている場合にあっては、当該投資信託財産の計算期間中における当該投資信託委託会社等との間の取引の状況及び当該投資信託委託会社等に支払われた売買委託手数料の総額
取引状況は、商品及び商品投資等取引の種類ごとに、買付額及び売付額に区分され、自己との取引額及びそれぞれの総額に対する比率が表示されていること。
(3)投資信託財産に係る重要な情報提供事項
投信法第14条第2項の規定による交付運用報告書の交付又は交付運用報告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供においては、投資者が運用状況等を正しく把握するために必要な情報を提供するという観点から、運用状況に関する極めて重要な事項が提供されるべきものである。
かかる趣旨を踏まえ、投信財産計算規則第58条の2第1項各号に掲げる事項の具体的な表示については、投資信託協会自主規制規則「投資信託及び投資法人に係る運用報告書等に関する規則」を遵守する必要がある上、グラフや図を積極的に活用する、文章による説明は平易かつ簡易な表現で行うなど、投資者から見て正確な理解が容易に得られるよう創意工夫が求められる点に留意し、その照会等があったときは、適切に対応するものとする。
(4)委託者非指図型投資信託の運用状況に係る情報提供事項
投信財産計算規則第62条において準用する投信財産計算規則第58条第1項各号及び第58条の2第1項各号に掲げる事項の具体的な表示要領は上記(2)及び(3)にそれぞれ準ずるものとする。
(5)投資法人に係る資産運用報告の表示事項
投信法第129条第2項の規定により表示すべき資産運用報告は、投資者が理解しやすいように配慮して表示されるものであり、投資法人の計算に関する規則(以下「投資法人計算規則」という。)第71条に掲げる事項の具体的な表示要領は、上記(2)に準じて表示するものとする。ただし、投資法人の財産及び損益の状態を的確に判断することができなくなるおそれがあるときは、この限りでない。
なお、資産運用委託契約を締結した投資信託委託会社等が投資法人の資産を他の投資法人と合同して運用する場合には、投資法人計算規則第73条第1項第26号に規定するその他当該営業期間中における投資法人の運用状況を明らかにするために必要な事項として当該投資信託委託会社等が合同運用している資産の総額、当該資産の種類、当該資産に係る当該投資法人の持分並びに持分に相当する金額を表示するものとする。
VI-3-2-4 投資信託財産等に関する帳簿書類関係
投信法に基づき作成・保存する帳簿書類(以下、VI-3-2-4において、「帳簿書類」という。)については、III-3-3(1)(、
、
、
及び
を除く。)に準ずるほか、次の点に留意するものとする。
(1)投信法に基づき作成・保存する帳簿書類のうち、電磁的方法等による保存の対象となる帳簿書類は、投信法施行規則第26条第1項、第254条第1項及び第255条第1項に掲げる帳簿書類とする。
帳簿書類のマイクロフィルムによる作成・保存の留意事項
イ. 保存に使用するマイクロフィルムは、次の区分に応じ、次に定める保存期間の耐久性を有していること。
a. 投資信託財産に関する帳簿書類投信法施行規則第26条第2項に規定する当該投資信託財産の計算期間の終了後又は信託契約期間の終了後10年間
b. 投資法人の帳簿書類投信法施行規則第254条第2項に規定する当該投資法人の決算の承認後(商業帳簿については、その帳簿の閉鎖の時より)10年間
c. 資産保管会社の帳簿書類投信法施行規則第255条第2項に規定する当該投資法人の決算の承認後10年間
ロ. データ保存に使用するマイクロフィルムの一つを「原本」として定め、その旨を明示していること。
ハ. 上記ロの「原本」のバックアップを作成し、「副本」として保存することとなっていること。
ニ. 検査部局による検査等において、合理的期間内に書面による帳簿の作成が可能であること。
ホ. マイクロフィルムの作成・保存に関する責任者をおき、管理の手続が整備されていること。
帳簿書類の電磁的方法による作成・保存の留意事項
イ. 保存に使用する媒体の耐久性は、上記
イに準ずるものとする。
ロ. データ入力に当たって、ID、パスワード等を管理するシステムとなっているなどにより、改ざん、混同を防止するシステムとなっていること。
ハ. 上記イ及びロのほか、III-3-3(6)
、
、
及び
から
までに準ずるものとする。
VI-3-2-5 外国投資信託に関する届出書の記載要領
外国投資信託に関する届出書の投信法第58条第1項各号及び投信法施行規則第96条第2項各号に掲げる事項の記載要領は、以下のとおりとする。
(1)委託者(委託者指図型投資信託に類するものの場合に限る。)、受託者及び受益者に関する事項
委託者に関する事項
委託者(外国投資信託を管理する会社から投資信託財産の運用を委託される運用会社がある場合には、当該外国投資信託を管理する会社及び運用会社)の名称、資本金の額、事業の内容及び業務の概要を記載すること。
受託者に関する事項
受託者(保管会社)の名称、資本金の額、事業の内容及び業務の概要を記載すること。
受益者に関する事項
分配金受領権、償還金の受領権、当該外国投資信託の買戻し請求権その他の権利に関しその内容(権利の発生及び消滅時期を含む。)及び権利行使の手続を記載すること。
(2)受益証券に関する事項
当該外国投資信託の名称
外国投資信託の形態
記名・無記名の別、額面・無額面の別、オープン・エンド型・クローズド・エンド型の別、記名式及び無記名式の引換、記名式受益証券の名義書換及び受益証券の再発行について記載すること。
発行(売出)数
発行(売出)価額の総額
「発行価格」又は「売出価格」を記載しないで外国投資信託に関する届出書を提出する場合には、当該届出書提出日現在におけるこれらの総額の見込額を記載し、その旨を注記すること。
発行(売出)価格
「発行価格」又は「売出価格」を記載しないで外国投資信託に関する届出書を提出する場合には、その決定予定時期及び具体的な決定方法を注記すること。
申込手数料
イ. 手数料が申込取扱場所ごとに異なる場合には、その申込取扱場所ごとに手数料を記載すること。なお、手数料につき、やむを得ない事情により開示できない場合には、その旨を記載すること。
ロ. 手数料が申込みの数量又は金額に応じて変動する場合には、その段階ごとに当該数量又は金額及び手数料を記載すること。
申込単位
申込期間
その他
イ. 申込みの方法、申込証拠金の利息、申込証拠金の投資信託財産への振替、その他申込み等に関し必要な事項を記載すること。
ロ. 本邦以外の地域において当該外国投資信託の募集の取扱い等が行われる場合には、その発行(売出)数、発行(売出)価額の総額等について記載すること。
(3)信託の管理及び運用に関する事項
信託の管理
イ. 受託者に信託された資金の償還までの管理に関する事項
投資信託財産に関する報告書の作成、利益の処理方法、一部解約に関する事項等を記載すること。
ロ. その他
約款の変更、関係会社との契約の更改等に関する手続、変更した場合の開示方法に関する事項その他の重要事項を記載すること。
信託の運用
イ. 運用の基本方針
投資信託財産の運用に関する基本的態度について具体的に記載すること。
ロ. 投資対象
投資対象とする資産の種類、投資基準及び種類別地域別等による投資予定がある場合にはその割合を記載すること。
ハ. 投資制限
a. 法令、約款等に記載されたすべての投資制限についてその根拠を記載すること。
b. 有価証券の引受け、信用取引、借入れ、集中投資、他のファンドへの投資及び流動性に欠ける資産への投資についてその制限の有無並びに制限がある場合にはその根拠及び内容を記載すること。
ニ. 分配方針
約款等に規定された分配方針を記載すること。
ホ. 資産の貸付け
投資信託財産で取得した資産を貸し付ける場合は、その内容
(4)信託の計算及び収益の分配に関する事項
信託の計算に関する事項
イ. 資産の評価
外国投資信託の受益証券1単位当たりの純資産額についてその算出方法(投資の対象とする資産の評価を含む。)、算出頻度、公表の方法、公表の頻度及び公表場所を記載すること。
ロ. 管理報酬等
外国投資信託の投資信託財産から支払われるすべての報酬及び手数料について支払先ごとに、その算出方法、支払額、支払方法及び支払時期を記載すること。
ハ. その他
外国投資信託の存続時期、信託の計算期間、追加設定又は一部解約に関する制限償還条件等について記載すること。
収益の分配に関する事項
イ. 収益分配可能額の算出方法に関する事項を記載すること。
ロ. 償還時の収益金の支払い又は収益金の分配について、受託者から委託者(委託者指図型投資信託に類するものの場合に限る。)への交付、受託者の免責、および委託者(委託者指図型投資信託に類するものの場合に限る。)から受益者への交付について、時期、場所、方法を記載すること。
(5)委託者(委託者指図型投資信託に類するものの場合に限る。)の事業の全部又は一部の譲渡に関する事項、事業譲渡の手続、受益者への通知の方法及び事業譲渡に対し受益者が異議申し立てができる場合はその内容を記載すること。
(6)受託者の辞任及び解任並びに新受託者の選任に関する事項
受託者の辞任及び新受託者の選任に関する手続を記載すること。
(7)委託者が運用の指図に係る権限を他の者に委託する場合(委託者指図型投資信託に類するものの場合に限る。)又は受託者が運用に係る権限を他の者に委託する場合(委託者非指図型に類するものの場合に限る。)におけるその委託の内容
委託する権限の具体的な内容及び委託に係る費用を記載すること。
(8)国内において募集の取扱い等を行う金融商品取引業者等の名称
募集の取扱い等を行うすべての金融商品取引業者等の名称を記載すること。
VI-3-2-6 外国投資信託の運用報告
投信法第59条において準用する投信法第14条の規定による投資信託財産運用報告書は、投資者が理解しやすいように配慮して表示されるものであり、投信財産計算規則第63条第1項に掲げる事項の具体的な表示要領は、以下のとおりであることに留意し、その照会等があったときは、適切に対応するものとする。
(1)投資信託財産運用報告(全体版)の表示要領
投信法第59条において準用する投信法第14条の規定による投資信託財産運用報告(全体版)は、投資者が理解しやすいように配慮して表示されるべきものであり、投信財産計算規則第63条第1項に掲げる事項の具体的な表示要領は、以下のとおりであることに留意し、その照会等があったときは、適切に対応するものとする。
当該外国投資信託の仕組み(運用方針を含む。)
スキーム、運用手法、投資制限、分配方針など当該投資信託の目的・特色が投資者にとって理解しやすいように表示されていること。
当該外国投資信託に係る投資信託財産の計算期間中における資産の運用の経過
イ. 期初の基準価額、期末の基準価額及び期中における基準価額の状況が表示されていること。併せて、当該外国投資信託の投資信託財産に係る運用方針との関連が表示されていること。
ロ. 今後の運用方針が当該外国投資信託の投資信託財産における運用方針を基に表示されていること。
ハ. 当期中に権利が確定した1単位当りの収益分配金が表示されていること。
ニ. 信託終了時の投資信託財産運用報告については、当該信託の開始時から前期末までの運用の経過の概略が表示されていること。
運用状況の推移
イ. 当期以前10期の運用実績(基準価額、分配金等)が表示されていること。
ロ. 当期中の基準価額と市況との比較として、当該外国投資信託の投資信託財産の運用方針において特定の指数等に連動する運用をその方針としているときは、当該指数等の推移が表示されていること。
当該外国投資信託の投資信託財産の計算期間の末日(以下 VI-3-2-6において「当期末現在」という。)における貸借対照表並びに当該計算期間中の損益及び剰余金計算書並びにこれらの注記表
イ. 当期末現在における貸借対照表及びその注記表が表示されていること。
ロ. 当該計算期間中における損益及び剰余金計算書並びにこれらの注記表が表示されていること。なお、損失金額を表示する場合は、△印又は負号を付記又は括弧書きすること。
計算期間中における全ての信託報酬その他の手数料及び当該外国投資信託に係る投資信託財産に関して受益者が負担するその他の費用並びにこれらを対価とする役務の内容
投資者が計算期間中に負担する信託報酬その他の費用及びその対価として享受するサービスの内容が、投資者にとって理解しやすいように表示されていること。
当期末現在における純資産額計算書
イ. 当期末現在における当該外国投資信託の発行済み単位数を明記し、同時点における純資産総額を当該発行済み単位数により除して得られた当該外国投資信託の受益証券の1単位当りの純資産価額が表示されていること。
ロ. 上記
における貸借対照表において当該項目が表示されている場合には、当該貸借対照表をもって純資産額計算書に代えることができる。
投資の対象とする有価証券の主な銘柄
イ. 当期末現在又は投資信託財産運用報告作成時点の最近日における投資株式のうち評価額上位30位について発行地又は上場金融商品取引所の区分により地域別に区分し、当該銘柄の名称、数量、時価総額及び投資比率について表示すること。
ロ. 上記イ.に代えて、当期末又は投資信託財産運用報告作成時点の最近日における投資株式及び株式以外の有価証券について、有価証券の種類別及び発行地又は上場金融商品取引所等の地域別ごとに、金額及び投資比率を表示することができる。
投資の対象とするデリバティブ取引に係る権利の主な種類
当期末現在における資産残高及び当該投資信託財産の計算期間中における運用状況がデリバティブ取引の種類ごとに区分して表示されていること。
投資の対象とする不動産、不動産の賃借権又は地上権の主な種類
当期末現在における資産残高及び当該投資信託財産の計算期間中における運用状況が不動産、不動産の賃借権又は地上権ごとに区分して表示されていること。
投資の対象とする金銭債権の主な種類
当期末現在における資産残高及び当該投資信託財産の計算期間中における運用状況が投資者にとって理解しやすいように配慮され、表示されていること。
投資の対象とする手形の主な種類
当期末現在における資産残高及び当該投資信託財産の計算期間中における運用状況が投資者にとって理解しやすいように配慮され、表示されていること。
投資の対象とする投信法施行令第3条第8号に掲げる特定資産又はこれらに類似する資産の主な種類
当期末現在における資産残高及び当該投資信託財産の計算期間中における運用状況が投資者にとって理解しやすいように配慮され、表示されていること。
投資の対象とする商品の主な種類
当期末現在又は投資信託財産運用報告作成時点の最近日において投資している商品のうち評価額上位30種類について通貨の種類ごとに区分し、当該商品の種類、数量、時価総額及び投資比率について表示すること。
投資の対象とする商品投資等取引に係る権利の主な種類
当期末現在における資産残高及び当該投資信託財産の計算期間中における運用状況が商品投資等取引の種類ごとに区分して表示されていること。
前各号に掲げるもののほか、当該外国投資信託が設定された外国の法令に基づき作成される運用報告の表示事項(当該外国投資信託が設定された外国の法令に基づき作成される運用報告につき特段の定めのない場合においては、投信財産計算規則第58条第1項各号に掲げる表示事項に準ずる事項)
投信財産計算規則第58条第1項に準じて表示する場合には、VI-3-2-3(2)に準じて表示すること。
(2)投資信託財産に係る重要な情報提供事項の表示要領
投信法第59条において準用する投信法第14条第2項の規定による交付運用報告書の交付又は交付運用報告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供においては、投資者が運用状況等を正しく把握するために必要な情報を提供するという観点から、運用状況に関する極めて重要な事項が提供されるべきものであり、可能な限り、投資信託に係る重要な情報提供事項(Ⅵ-3-2-3(3)参照)において提供される情報と同程度の情報が提供されるべきである。
かかる趣旨を踏まえ、投信財産計算規則第63条第3項各号に掲げる事項の具体的な表示については、設定された外国の法制やファンドの実態に照らしつつ、投資信託協会自主規制規則「投資信託及び投資法人に係る運用報告書等に関する規則」の内容を参考にした上(設定された外国の法制やファンドの実態に照らし、やむを得ない事情により同規則において規定された事項の表示ができない場合は、当該事項に準じた表示をするなど、柔軟に対応すること)、グラフや図を積極的に活用する、文章による説明は平易かつ簡易な表現で行うなど、投資者から見て正確な理解が容易に得られるよう創意工夫が求められる点に留意し、その照会等があったときは、適切に対応するものとする。
VI-3-2-7 外国投資法人に関する届出書の記載要領
外国投資法人に関する届出書の投信法第220条第1項各号及び投信法施行規則第261条第2項各号に掲げる事項の記載要領は、以下のとおりとする。
(1)目的、商号及び住所
目的
イ. 外国投資法人の規約又はこれに相当する書類に記載された目的を記載すること。
ロ. 発行(売出)数、発行(売出)価額の総額、発行(売出)価格、申込手数料、申込単位、申込期間及びその他については 、VI-3-2-5(2)に準じて記載すること。
商号及び住所
外国投資法人の登記簿又はこれに相当するものに記載された商号又は住所(原語名等を付記すること。)を記載すること。
(2)組織及び役員に関する事項
組織に関する事項
イ. 当該外国投資法人の組織の名称及びその内容を記載すること。
ロ. 当該外国投資法人の外国投資証券の発行会社のほか、当該外国投資法人の運営に関与する関係法人(資産運用会社に相当する者、資産保管会社又はこれに相当する者及び一般事務受託者又はこれに相当する者等)についてその名称及び関係業務の概要を記載すること。
役員に関する事項
当該外国投資法人の役員の氏名、住所及び担当業務(投資法人の執行役員又は監督役員に相当する者の業務内容)を記載すること。
(3)資産の管理及び運用に関する事項
資産の管理に関する事項
イ. 当該外国投資法人の解散までの資産の管理に関する事項を記載すること。
ロ. 資産保管会社又はこれに相当する者については、名称、資本金の額及び事業の内容並びに業務の概要を記載すること。
ハ. その他
規約又はこれに相当する書類の変更、関係会社との契約の更改等に関する手続、変更した場合の開示方法に関する事項その他の重要事項を記載すること。
資産の運用に関する事項
イ. 運用の基本方針
資産の運用に関する基本的態度について具体的な内容を記載すること。
ロ. 投資対象
投資対象とする資産の種類、投資基準及び種類別地域別等による投資予定がある場合にはその割合を記載すること。
ハ. 投資制限
a. 法令、規約又はこれに相当する書類等に記載されたすべての投資制限についてその根拠を記載すること。
b. 有価証券の引受け、信用取引、借入れ、集中投資、他のファンドへの投資及び流動性に欠ける資産への投資についてその制限の有無並びに制限がある場合にはその根拠及び内容を記載すること。
ニ. 配当方針
規約又はこれに相当する書類等に規定された配当方針を記載すること。
ホ. 資産運用会社又はこれに相当する者については、名称、資本金の額及び事業の内容並びに業務の概要を記載すること。
(4)計算及び利益の分配に関する事項
計算に関する事項
イ. 資産の評価
外国投資証券1単位当たりの純資産額についてその算出方法(投資の対象とする資産の評価を含む。)、算出頻度、公表の方法、公表の頻度及び公表場所を記載すること。
ロ. 管理報酬等
外国投資法人の資産から支払われるすべての報酬及び手数料について、支払先ごとに、その算出方法、支払額、支払方法及び支払時期を記載すること。
ハ. その他
外国投資法人の存続時期、事業年度、追加出資又は出資の払戻しに関する制限、解散条件等を記載すること。
利益の分配に関する事項
解散時の利益の支払い又は毎決算時の利益の分配について、資産保管会社から外国投資法人への交付、資産保管会社の免責、および委託者から投資主又はこれに相当する者への交付について、時期、場所、方法を記載すること。
(5)外国投資証券が表示する権利に関する事項
議決権、投資主又はこれに相当する者に関する権利、配当受領権、清算金の受領権の内容(権利の発生及び消滅時期を含む。)及び権利行使の手続を記載すること。
(6)外国投資証券の払戻し又は買戻しに関する事項
当該外国投資法人の払戻し又は買戻し請求権に関しその内容(権利の発生及び消滅時期を含む。)及び権利行使の手続を記載すること。
(7)資産運用会社に相当する者の事業の全部又は一部の譲渡に関する事項
事業譲渡の手続、投資主又はこれに相当する者への通知の方法及び事業譲渡に対し投資主又はこれに相当する者が異議申し立てができる場合はその内容を記載すること。
(8)資産保管会社に相当する者の辞任及び新たな資産保管会社又はこれに相当する者の選任に関する事項
資産保管会社に相当する者の辞任及び新たな資産保管会社又はこれに相当する者の選任に関する手続を記載すること。
(9)資産運用会社に相当する者が資産の運用に係る権限を他の者に委託する場合におけるその委託の内容
委託する権限の具体的な内容及び委託に係る費用を記載すること。
VI-3-3 海外投資家等特例業務に係る事務処理上の留意点
VI-3-3-1 主な着眼点
(1)主な着眼点
届出が必要とされる事項について、記載漏れ等はないか。届出の要件は充足されているか。
添付が必要とされる書類について、添付漏れ等はないか。また、届出事項と添付書類の内容との間に齟齬等はないか。
届出者が法人である場合は、当該法人の代表者と連絡が取れる状態にあるか。届出者が外国法人である場合は、当該外国法人の国内における代表者と連絡が取れる状態にあるか。
主たる営業所又は事務所(外国法人にあっては、国内における主たる営業所又は事務所を含む。)及び海外投資家等特例業務を行う営業所又は事務所が、いわゆるバーチャルオフィスとなっていないか(届け出られた営業所等が、例えば短期間の契約によるレンタルオフィスである場合など、当該営業所等以外の場所で海外投資家等特例業務を行っていることが想定される場合には、ヒアリングや関係資料の徴求などにより、実態把握に努めるものとする。)。
海外投資家等特例業者から金商法第63条の10第3項第2号の規定に基づく海外投資家等特例業務の廃止の届出があった場合には、当該海外投資家等特例業者による顧客取引の結了並びに顧客から預託を受けた財産及びその計算において自己が占有する財産の返還が行われているか等について確認を行うこととする。
(2)監督手法・対応
海外投資家等特例業務については、届出書の受理に当たって、海外投資家等特例業務の要件に不備がないか、届出事項に関して必要な確認を行う。その結果、届出事項に関し、不備や届出内容の疑義等が認められる場合は、届出を受理する前に是正を求めることとする。
また、届出を受理した後、不備や届出内容の疑義等が認められた場合には、必要に応じて金商法第63条の14の規定に基づく報告を求め、是正状況を把握し、状況に応じて業務改善命令や業務停止命令など必要な対応を検討する。
具体的な是正策が提示されない場合や、金商法第63条の9第6項各号に規定する欠格事由のいずれかに該当すると認められた場合は、原則として、金商法第63条の13第3項の規定に基づく業務廃止命令を発出するものとする。
VI-3-3-2 届出者リストの作成及び公表等
(1)届出者リストの作成及び公表等
投資者が各海外投資家等特例業者に関する情報を把握できるよう、各海外投資家等特例業者の金商法第63条の9第4項(同法第63条の11第2項において準用する場合を含む。)に基づいて公衆縦覧すべき事項等((4)に規定する事項とし、以下「海外投資家等特例業務届出者リスト等記載事項」という。)を掲載したリスト(以下「海外投資家等特例業務届出者リスト」という。)を作成し、金融庁ホームページにおいて公表する。
このため、金融庁は1月ごとに、財務局における届出の受理状況等を確認のうえ、海外投資家等特例業務届出者リストを作成・更新し、金融庁ホームページにおいて公表するものとする。
(2)業務廃止命令を発出した届出者リストの作成及び公表等
金商法第63条の13第3項の規定に基づく業務廃止命令が発出された海外投資家等特例 業者を投資者が把握できるよう、業務廃止命令を発出した海外投資家等特例業務届出者リスト(以下「業務廃止命令を発出した海外投資家等特例業務届出者リスト」という。)を作成し、金融庁ホームページにおいて公表する。
このため、金融庁は、海外投資家等特例業者に金商法第63条の13第3項の規定に基づ く業務廃止命令が発出された場合には、当該海外投資家等特例業者について、海外投資家等特例業務届出者リスト又は連絡が取れない海外投資家等特例業務届出者リスト((3)において定義されるものをいう。)から海外投資家等特例業務届出者リスト等記載事項を削除し、当該海外投資家等特例業務届出者リスト等記載事項を業務廃止命令を発出した海外投資家等特例業務届出者リストに掲載して、金融庁ホームページにおいて公表することとする。
(3)連絡が取れない海外投資家等特例業務届出者リストの作成及び公表等
監督当局から連絡を取ることができず、その営業所又は事務所を確知できない海外投資家等特例業者を投資者が把握できるよう、連絡が取れない海外投資家等特例業務届出者リスト(以下「連絡が取れない海外投資家等特例業務届出者リスト」という。)を作成し、金融庁ホームページにおいて公表する。
このため、金融庁は、日常の監督事務等を通じて、監督当局から連絡を取ることができず、その営業所又は事務所を確知できない海外投資家等特例業者が認められた場合には、当該海外投資家等特例業者の届出者リスト等記載事項を海外投資家等特例業務届出者リストから削除し、当該海外投資家等特例業務届出者リスト等記載事項を連絡が取れない海外投資家等特例業務届出者リストに掲載し、金融庁ホームページにおいて公表する。掲載・公表するに当たっては、届出を受けた営業所又は事務所を確知できないこと、確知できない旨を金融庁ホームページに公表した日から30日以内に海外投資家等特例業務届出所管金融庁長官等(金商業等府令第246条の20第1項に規定する海外投資家等特例業務届出所管金融庁長官等をいう。以下(4)において同じ。)に申出をすること及び当該期間中に申出がないときは、別途、聴聞等の行政手続を行った上で業務廃止命令を発出することがあることを明示する。
なお、営業所又は事務所を確知できた海外投資家等特例業者については、連絡が取れない海外投資家等特例業務届出者リストから削除した上で、海外投資家特例業務届出者リストに掲載することとし、金商法第63条の13第3項の規定に基づく業務廃止命令を行った海外投資家等特例業者については、連絡が取れない海外投資家等特例業務届出者リストから削除した上で、業務廃止命令を発出した海外投資家等特例業務届出者リストに掲載することとする。
(4)海外投資家等特例業務届出者リスト等記載事項
海外投資家等特例業務届出者リスト等記載事項については、以下の事項とする(但し、ワ.については、連絡が取れない海外投資家等特例業務届出者リストに係る海外投資家等特例業務届出者リスト等記載事項からは除くものとし、また、レ.については、連絡が取れない海外投資家等特例業務届出者リストに限るものとする。)。
イ. 商号、名称又は氏名及び法人番号
ロ. 海外投資家等特例業務届出所管金融庁長官等
ハ. 代表者、他の役員及び政令で定める使用人の氏名又は名称及び役職
ニ. 政令で定める使用人の種別
ホ. 業務の種別
ヘ. 主たる営業所又は事務所(外国法人にあっては、国内における主たる営業所又は 事務所を含む。)の名称、所在地及び電話番号
ト. 海外投資家等特例業務を行う営業所又は事務所の名称、所在地及び電話番号
チ. ホームページアドレス
リ. 他に行っている事業の種類
ヌ. 資本金の額又は出資の総額
ル. 金融商品取引業者としての登録の有無
ヲ. 金商法第63条の9第1項の届出の日又は同条第7項の規定に基づく直近の届出の日
ワ. 行政処分等の状況
カ. 出資対象事業持分の名称
ヨ. 出資対象事業持分の種別
タ. 出資対象事業の内容
レ. 営業所又は事務所が確知できない旨を公表した日
上記①ワ.に規定する行政処分等の状況の記載について
イ. 金商法第63条の13第1項の規定に基づく業務改善命令若しくは同条第2項の規定に基づく業務停止命令を発出した海外投資家等特例業者については、当該行政処分の状況を記載することとする。
ロ. この監督指針に基づく警告を行った海外投資家等特例業者や、金商法第63条の14に基づく報告命令に応じない等の問題が認められた海外投資家等特例業者については、当該問題の内容を記載することとする。
VI-3-3-3 無届業者に関する留意点
投資者からの苦情、捜査当局からの照会、金融商品取引業者・金融商品取引業協会等からの情報提供又は新聞広告等から、金商法第63条の9第1項に規定する届出を行うことなく海外投資家等特例業務を行っている業者を発見した場合には、当該業者に対し、かかる行為を直ちに取り止める又は直ちに届出を行うよう文書で警告を行うこととする。
VI-3-3-4 海外投資家等特例業者に対する監督上の処分等に関する留意点
(1)海外投資家等特例業務に該当しないことが疑われる場合の留意点
海外投資家等特例業者が行う業務が、海外投資家等特例業務の要件に該当しない場合は、当該業者は金商法第29条に基づく登録を行うことが必要となる旨の周知に努めるものとする。
日常の監督事務等を通じ、海外投資家等特例業者について上記の要件に該当しない疑いが把握された場合には、金商法第63条の14の規定に基づく報告を求め、その結果として必要な場合には、金商法63条の13第3項の規定に基づく業務廃止命令の発出も含め、必要な対応をとるものとする。また、立入検査等において上記の要件に該当しないことが認められた場合にも、同様の対応を行うものとする。
(2)海外投資家等特例業務に該当しなくなった場合の留意点
海外投資家等特例業者が行う業務について、海外投資家等のうち非居住者以外の投資家の増加等の要因により海外投資家等特例業務に該当しなくなった場合には、投資者保護の観点から、以下の対応を行うものとする。
金商法第63条の9第9項の命令
金商法第63条の9第9項(同法第63条の11第2項において準用する場合を含む。)の「海外投資家等特例業務届出者が海外投資家等特例業務として開始した前条第一項第一号に掲げる行為に係る第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利が前条第一項第一号に規定する権利に該当しなくなつたとき、又は当該権利を有する海外投資家等(同条第二項に規定する海外投資家等をいう。)から出資され、若しくは拠出された金銭が主として非居住者から出資若しくは拠出を受けた金銭に該当しなくなつたとき」は、海外投資家等特例業務開始時には海外投資家等特例業務に該当していたが、海外投資家等特例業者の責に帰さない何らかの理由で海外投資家等特例業務に該当しなくなったときを想定しており、この場合は、海外投資家等特例業者が行う業務を他の金融商品取引業者に移管させる等の措置を命ずる必要がある。
上記①以外の場合
上記①以外の場合には、金商法第63条の8の特例は適用されず、海外投資家等特例業者は金商法の登録を受けずに投資運用業を行うことになることから、当該海外投資家等特例業者に対しては、金商法第63条の13第3項の規定に基づく業務廃止命令の発出を含め、必要な対応を行うこととする。
(3)営業所又は事務所を確知できない海外投資家等特例業者への対応についての留意点
日常の監督事務等を通じて、監督当局から連絡を取ることができず、その営業所又は事務所を確知できない海外投資家等特例業者が認められた場合には、Ⅵ-3-3-2(3)に基づき、連絡が取れない海外投資家等特例業務届出者リストに掲載し、届出を受けた営業所又は事務所を確知できないこと等を明示し、これを金融庁ホームページにおいて公表した上で、当該公表の日から30日を経過しても当該海外投資家等特例業者から申出がないときは、当該海外投資家等特例業者に対しては、金商法第63条の13第3項の規定に基づく業務廃止命令を発出することとする。
(4)業務廃止命令を発出する際の留意点
海外投資家等特例業者の業務の適切性に関する問題について、投資者等に与える影響や行った行為の悪質性などが重大又は深刻であり、金商法第63条の13第1項の規定に基づく業務改善命令又は同条第2項の規定に基づく業務停止命令を行ったとしても当該海外投資家等特例業者に係る問題の改善が期待されない場合においては、同条第3項の規定に基づく業務廃止命令を発出することとする。
また、金商法第63条の13第3項に規定する「他の方法により監督の目的を達成することができないとき」とは、必ずしも、同項の規定に基づく業務廃止命令に先立って業務改善命令又は業務停止命令を発出することを要求する趣旨ではない。例えば、海外投資家等特例業者について、金融商品取引業者等であれば登録の取消しとなるような重大な法令違反が認められた場合、「他の方法により監督の目的を達成することができないとき」に該当することから、直ちに業務廃止命令を発出することとする。
なお、海外投資家等特例業者に対して業務廃止命令を発出した場合には、当該海外投資家等特例業者による顧客取引の結了並びに顧客から預託を受けた財産及びその計算において自己が占有する財産の返還を確認した上で、金商法第63条の10第3項第2号に規定する海外投資家等特例業務の廃止の届出を求めることとする。
Ⅵ-3-4 移行期間特例業務等に係る事務処理上の留意点
移行期間特例業務等に係る事務処理上の留意点については、Ⅵ-3-3に準ずるものとする。
VI-3-5 投資法人に係る事務処理上の留意点
VI-3-5-1 登録投資法人の変更及び解散の届出
(1)登録投資法人変更届出
登録投資法人変更届出は、VI-3-1-3(3)
及び
に準じて取り扱う。
財務局長は、投信法第191条第1項の規定に基づく登録投資法人変更届出書を受理した場合(財務局の管轄区域を超えて本店の所在地を変更する場合の変更届出書を除く。)には、別紙様式 VI-5により1月ごとに取りまとめて、翌月15日までに金融庁長官に報告するものとする。
変更届出書により、新たに執行役員となった者が投信法第98条第2号から第5号までのいずれかに該当することが明らかとなった場合、新たに監督役員となった者が投信法第100条各号のいずれかに該当することが明らかとなった場合又は新たに会計監査人となった者が投信法第102条第3項各号のいずれかに該当することが明らかとなった場合は、速やかに改善を指示し、速やかに改善が見られない場合は、投信法第216条第1項の規定により、登録を取り消すものとする。
(2)財務局の管轄区域を超えて本店の所在地を変更する場合の変更届出書
財務局の管轄区域を超えて本店の所在地を変更する変更届出書を受理した財務局長は、投信法施行規則第275条第1項に規定する移管手続に併せて、当該変更届出書に別紙様式 VI-6による財務局の意見書及び直前に行った検査の報告書の写しを添付して、新たに登録の権限を有することとなる財務局長に送付する。
新たに登録の権限を有することとなった財務局長は、投信法施行規則第275条第2項の規定に基づく変更の登録をしたときは従前の登録を行った財務局長に変更登録をした旨を電子メール等によりただちに連絡する。
新たに登録の権限を有することとなった財務局長から投信法施行規則第275条第2項の規定に基づく変更の登録をした旨の連絡を受けた財務局長は、当該投資法人の登録を抹消する。
新たに登録の権限を有することとなった財務局長は、変更の登録を行った場合には、別紙様式 VI-7により1月ごとに取りまとめて、翌月15日までに金融庁長官に報告するものとする。
(3)投資法人解散届出書
財務局長は、投資法人解散届出書(投信法施行規則別紙様式第17号)を受理した場合には、別紙様式 VI-8により1月ごとに取りまとめて、翌月15日までに金融庁長官に報告するものとする。
VI-3-5-2 臨時報告書
財務局長が行う手続きは次のとおりとする。
(1)金融庁長官への報告
投信法第215条第1項の規定に基づく臨時報告書を受理した場合には、金融庁長官に対して、ただちに臨時報告書の写しを送付する。
(2)投資法人への通告
財務局長は、投信法第215条第2項に規定する通告を投資法人に対し行う場合には、あらかじめ金融庁に協議をすること。
なお、協議の際には、財務局における検討の結果及び意見を付すること。
VI-3-5-3 投資法人等への許可等又は行政処分等の金融庁への協議等
(1)投資法人等への許可等の金融庁への協議等
財務局長は、投資法人の監督事務に係る財務局長への委任事項の処理にあたり、次に掲げる許可又は承認については、あらかじめ金融庁に協議するものとする。
イ. 投信法第73条第4項において準用する会社法第81条第4項の規定に基づく許可
ロ. 投信法第73条第4項において準用する会社法第82条第4項の規定に基づく許可
ハ. 投信法第90条第3項において準用する会社法第297条第4項の規定に基づく許可
ニ. 投信法第94条第1項において準用する会社法第318条第5項の規定に基づく許可
ホ. 投信法第115条第1項において準用する会社法第371条第2項又は第4項(同条第5項において準用する場合を含む。)の規定に基づく許可
ヘ. 投信法第128条の3第2項において準用する会社法第433条第3項の規定に基づく許可
ト. 投信法第132条第2項において準用する会社法第442条第4項の規定に基づく許可
チ. 投信法第154条の3第2項において準用する会社法第371条第2項又は第4項(同条第5項において準用する場合を含む。)の規定に基づく許可
リ. 投信法第157条第3項において準用する会社法第500条第2項の規定に基づく許可
財務局長は、投資法人の監督事務に係る財務局長への委任事項の処理にあたり、次に掲げる権限の行使については、あらかじめ金融庁に協議するものとする。
イ. 投信法第94条第1項において準用する会社法第307条第1項の規定に基づく命令
ロ. 投信法第108条第2項の規定に基づく一時役員の職務を行うべき者の選任
ハ. 投信法第110条第2項において準用する会社法第359条第1項の規定に基づく命令
ニ. 投信法第162条の規定に基づく命令
ホ. 投信法第144条において準用する会社法第824条第1項の規定に基づく投資法人に対する解散の命令を求める裁判所への請求
ヘ. 投信法第144条において準用する会社法第825条第1項の規定に基づく管理人の選任等の処分を求める裁判所への請求
ト. 投信法第151条第3項の規定に基づく清算執行人又は清算監督人の選任
チ. 投信法第151条第4項の規定に基づく清算執行人及び清算監督人の選任
リ. 投信法第151条第5項の規定に基づく清算執行人及び清算監督人の選任
ヌ. 投信法第153条第1項の規定に基づく清算執行人又は清算監督人の解任
ル. 投信法第153条第1項の規定に基づく清算執行人又は清算監督人の選任
ヲ. 投信法第154条第2項の規定に基づく清算執行人の報酬の額の決定又は投信法第154条の2第2項において準用する投信法第154条第2項の規定に基づく清算監督人の報酬の額の決定
ワ. 投信法第157条第3項において準用する会社法第501条第1項の規定に基づく価額の不確定な債権の鑑定人の選任
カ. 投信法第161条において準用する会社法第508条第2項の規定に基づく帳簿書類を保存する者の選任
ヨ. 投信法第153条第2項において準用する投信法第108条第2項の規定に基づく一時清算執行人又は一時清算監督人の職務を行うべき者の選任
タ. 投信法第84条第2項、第139条の9第8項、第139条の10第2項、第141条第3項、第144条、第149条の3第4項、第149条の8第4項、第149条の13第4項、第150条及び第163条において準用する会社法第872条の規定に基づく即時抗告
財務局長は、上記
の事項について、許可又は承認をすることとした場合には、別紙様式 VI-9により、許可又は承認をしないこととした場合には、別紙様式 VI-10により、許可又は承認申請者に通知するものとする。
(2)行政処分等の金融庁への協議
財務局長は、投資法人の監督事務に係る財務局長への委任事項の処理に当たり、次に掲げる事項については、あらかじめ金融庁に協議するものとする。
なお、協議の際には、財務局における検討の内容及び処理意見を付するものとする。
イ. 投信法第214条第1項の規定による業務改善命令
ロ. 投信法第216条の規定による登録の取消し
財務局長は、設立企画人又は投資法人等に対して行政処分を行う場合には、設立中の投資法人の設立企画人若しくは投資法人又は当該投資法人の資産運用会社、当該資産運用会社から投信法第202条第1項の規定により再委託を受けた者、資産保管会社若しくは一般事務受託者が、他の財務局長の管轄区域内に所在する場合には、原則として、当該財務局長に対し、あらかじめ意見を聴くとともに、その処理結果についても連絡すること。
(3)関係行政機関の長への通知
投信法施行令第132条第6項及び第135条第1項の規定に基づき関係行政機関の長に対する通知を行う場合には、以下の点に留意することとする。
投信法第187条の登録申請について通知を行う場合には、登録申請を受理後速やかに関係行政機関担当部局担当課室宛に通知を行うものとする。
投信法施行令第132条第3項各号の届出について通知を行う場合には、当月中に受理した届出内容を翌月末日までに速やかに関係行政機関担当部局担当課室宛に通知を行うものとする。
(4)財務事務所長等への再委任
財務局長は、投信法施行令第135条の規定により財務局長に委任された事務のうち、次に掲げるものについては、申請者及び投資法人の所在地を管轄する財務事務所長、小樽出張所長又は北見出張所長に再委任することができる。
投信法第69条第1項に規定する設立に係る届出の受理に関する事務
投信法第152条第1項の規定による届出の受理に関する事務
投信法第188条第1項に規定する登録申請書の受理に関する事務
投信法第191条第1項に規定する変更届出の受理に関する事務
投信法第192条第1項の規定による届出の受理に関する事務
VI-3-5-4 証明書の発行
(1)信託会社等に対する証明書の発行
所有権の移転の登録免許税の軽減に係る証明書の発行
信託会社等の租税特別措置法第83条の2の2第2項の規定に基づく登録免許税軽減のための租税特別措置法施行規則第31条の5第2項に規定する証明書の発行等については、以下のとおり取り扱うものとする。
なお、信託会社等が租税特別措置法第83条の2の2第2項の規定の適用を受けることができる日は、特定資産取得後1年以内であることに留意するものとする。
イ. 信託会社等からの所有権の移転の登録免許税の軽減に係る証明申請書及び金融庁長官が発行する証明書は、別紙様式 VI-11によるものとする。
ロ. 当該申請者に、証明申請書の所定の事項の記入を求めるとともに、申請書に記載された売買契約締結日及び不動産の取得日を確認するため、不動産売買契約書写し等の添付を求めるものとする。
ハ. 証明申請書の提出があった場合には、申請書の記載事項につき、添付書類等により以下の事項について確認し、証明書を発行するものとする。
a. 投資信託約款に投資信託の運用の方針として、特定不動産(租税特別措置法第83条の2の2第2項第1号に定める特定不動産をいう。)の価額の合計額の当該投資信託の信託財産のうち特定資産の価額の合計額に占める割合(以下この(1)において「特定不動産の割合」という。)を百分の七十五以上とする旨の記載があること。
b. 資金の借入がなされている場合は、当該借入が金商法第2条第3項第1号の適格機関投資家からのものであること。
c. 次に掲げる要件のいずれかを満たすものであること。
i ) 特定不動産の割合が百分の七十五以上であること。
(提出を受けた資産運用報告により、特定不動産の割合が百分の七十五以上であることが確認できる場合は、当該要件を満たしているものとする。)
ii ) 信託会社等が本申請により適用を受けようとする不動産を取得することにより、特定不動産の割合が百分の七十五以上になると見込まれること。
(本項により要件を満たす場合においては、別紙様式 VI-12により、申請日現在における特定資産の状況等の添付を求めるものとし、これにより確認するものとする。)
ニ. 証明申請書に記載された建物の種類欄に倉庫と記載があり、かつ、当該建物の所有権の取得日が所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9号)附則第1条本文に規定する日(平成27年4月1日)前である場合は、以下の対応を行うこと。
a.申請書に、倉庫以外の床面積の割合の記載があることを確認するものとする。
b.倉庫以外の床面積の割合を確認するため、国土交通大臣の証明書の添付を求めるものとする。
(注)建物の種類が倉庫のみの場合には、租税特別措置法第83条の2の2第2項の規定の適用が無いため、証明書の発行は行わないことに留意すること。
不動産取得税の軽減に係る証明書の発行
信託会社等の地方税法附則第11条第4項に基づく不動産取得税の軽減のための地方税法施行令附則第7条第5項に規定する証明書の発行等については、以下のとおり取り扱うものとする。
イ. 信託会社等からの不動産取得税の軽減に係る証明申請書及び金融庁長官が発行する証明書は、別紙様式 VI-13によるものとする。
ロ. 証明申請書の提出があった場合には、申請書の記載事項につき、添付書類等により以下の事項について確認し、証明書を発行するものとする。
a. 投資信託約款に投資信託の運用の方針として、特定不動産の割合を百分の七十五以上とする旨の記載があること。
b. 資金の借入がなされている場合は、当該借入が金商法第2条第3項第1号の適格機関投資家のうち、総務省令で定めるものからのものであること。
c. 当該投資信託において運用されている特定資産が、次に掲げる要件のいずれかに該当するものであること。
i ) 特定不動産の割合が百分の七十五以上であること。
(提出を受けた運用報告により、特定不動産の割合が百分の七十五以上であることが確認できる場合は、当該要件に該当しているものとする。)
ii ) 信託会社等が本申請により適用を受けようとする不動産を取得することにより、特定不動産の割合が百分の七十五以上になると見込まれること。
(本項の要件に該当する場合においては、別紙様式 VI-12により、申請日現在における特定資産の状況等の添付を求めるものとし、これにより確認するものとする。)
(2)投資法人に対する証明書の発行
所有権の移転の登録免許税の軽減に係る証明書の発行
投資法人の租税特別措置法第83条の2の2第3項の規定に基づく登録免許税軽減のための租税特別措置法施行規則第31条の5第3項に規定する証明書の発行等については、以下のとおり取り扱うものとする。
なお、投資法人が租税特別措置法第83条の2の2第3項の規定の適用を受けることができる日は、特定資産取得後1年以内であることに留意するものとする。
イ. 投資法人からの所有権の移転の登録免許税の軽減に係る証明申請書及び財務局長が発行する証明書は、別紙様式 VI-14によるものとする。
ロ. 申請者に、証明申請書の所定の事項の記入を求めるとともに、申請書に記載された売買契約締結日及び不動産の取得日を確認するため、不動産売買契約書写し等の添付を求めるものとする。
ハ. 証明申請書の提出があった場合には、申請書の記載事項につき、添付書類等により以下の事項について確認し、証明書を発行するものとする。
a. 規約に資産運用の方針として、特定不動産(租税特別措置法第83条の2の2第3項第1号に定める特定不動産をいう。)の価額の合計額の当該投資法人の有する特定資産の価額の合計額に占める割合(以下この(2)において「特定不動産の割合」という。)を百分の七十五以上とする旨の記載があること。
b. 当該申請者が投信法第187条の登録を受けた者であること。
c. 資金の借入がなされている場合は、当該借入が金商法第2条第3項第1号の適格機関投資家からのものであること。
d. 次に掲げる要件のいずれかを満たすものであること。
i ) 特定不動産の割合が百分の七十五以上であること。
(提出を受けた資産運用報告により、特定不動産の割合が百分の七十五以上であることが確認できる場合は、当該要件を満たしているものとする。)
ii ) 投資法人が本申請により適用を受けようとする不動産を取得することにより、特定不動産の割合が百分の七十五以上になると見込まれること。
(本項により要件を満たす場合(初年度を含む。)においては、別紙様式 VI-12により、申請日現在における特定資産の状況等の添付を求めるものとし、これにより確認するものとする。)
ニ. 証明申請書に記載された建物の種類欄に倉庫と記載があり、かつ、当該建物の所有権の取得日が所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9号)附則第1条本文に規定する日(平成27年4月1日)前である場合は、以下の対応を行うこと。
a.申請書に、倉庫以外の床面積の割合の記載があることを確認するものとする。
b.倉庫以外の床面積の割合を確認するため、国土交通大臣の証明書の添付を求めるものとする。
(注)建物の種類が倉庫のみの場合には、租税特別措置法第83条の2の2第3項の規定の適用が無いため、証明書の発行は行わないことに留意すること。
不動産取得税の軽減に係る証明書の発行
投資法人の地方税法附則第11条第5項の規定に基づく不動産取得税の軽減のための地方税法施行令附則第7条第7項に規定する証明書の発行等については、以下のとおり取り扱うものとする。
イ. 投資法人からの不動産取得税の軽減に係る証明申請書及び財務局長が発行する証明書は、別紙様式 VI-15によるものとする。
ロ. 証明申請書の提出があった場合には、申請書の記載事項につき、添付書類等により以下の事項について確認し、証明書を発行するものとする。
a. 規約に資産運用の方針として、特定不動産の割合を百分の七十五以上とする旨の記載があること。
b. 資金の借入がなされている場合は、当該借入が金商法第2条第3項第1号の適格機関投資家のうち、総務省令で定めるものからのものであること。
c. 当該投資法人が運用する特定資産が、次に掲げる要件のいずれかに該当するものであること。
i ) 特定不動産の割合が百分の七十五以上であること。
(提出を受けた資産運用報告により、特定不動産の割合が百分の七十五以上であることが確認できる場合は、当該要件に該当しているものとする。)
ii ) 投資法人が本申請により適用を受けようとする不動産を取得することにより、特定不動産の割合が百分の七十五以上になると見込まれること。
(本項の要件に該当する場合(初年度を含む。)においては、別紙様式 VI-12により、申請日現在における特定資産の状況等の添付を求めるものとし、これにより確認するものとする。)
(1)主な着眼点
届出が必要とされる事項について、記載漏れ等はないか。届出の要件は充足されているか。
イ. 金商法第63条の13第1項の規定に基づく業務改善命令若しくは同条第2項の規定に基づく業務停止命令を発出した海外投資家等特例業者については、当該行政処分の状況を記載することとする。
ロ. この監督指針に基づく警告を行った海外投資家等特例業者や、金商法第63条の14に基づく報告命令に応じない等の問題が認められた海外投資家等特例業者については、当該問題の内容を記載することとする。
イ. 商号、名称又は氏名及び法人番号
ロ. 投海外投資家等特例業務届出所管金融庁長官等
ハ. 代表者、他の役員及び政令で定める使用人の氏名又は名称及び役職
ニ. 政令で定める使用人の種別
ホ. 業務の種別
ヘ. 主たる営業所又は事務所(外国法人にあっては、国内における主たる営業所又は 事務所を含む。)の名称、所在地及び電話番号
ト. 海外投資家等特例業務を行う営業所又は事務所の名称、所在地及び電話番号
チ. ホームページアドレス
リ. 他に行っている事業の種類
ヌ. 資本金の額又は出資の総額
ル. 金融商品取引業者としての登録の有無
ヲ. 金商法第63条の9第1項の届出の日又は同条第7項の規定に基づく直近の届出の日
ワ. 行政処分等の状況
カ. 出資対象事業持分の名称
ヨ. 出資対象事業持分の種別
タ. 出資対象事業の内容
レ. 営業所又は事務所が確知できない旨を公表した日
投資戦略
ESG投信の交付目論見書の「ファンドの目的・特色」(ハにおいては、「ファンドの目的・特色」又は「投資のリスク」)に、以下の事項を記載しているか。
イ.ESGの総合評価又は環境や社会の特定課題等、投資対象選定の主要な要素となるESGの具体的内容
ロ.主要な要素となるESGの運用プロセスにおける勘案方法(関連する基準や指標、評価方法等の説明を含む)
ハ.主要な要素となるESGを運用プロセスにおいて勘案する際の制約要因やリスク
ニ.持続可能な社会の構築に向けて、環境や社会のインパクト創出を目的としているESG投信について、その目的、インパクトの内容、及び目標とする指標・数値、方法論などインパクトの評価・達成方法
ホ.投資信託委託会社として、ESGを主要な要素とする投資戦略に関連する個別の公募投資信託固有の方針又は全社的なスチュワードシップ方針がある場合には、当該方針の内容
ヘ.イ~ホについて、更に詳細をウェブサイト等で開示する場合には、その参照先ポートフォリオ構成
ESG投信の純資産額のうち、ESGを主要な要素として選定する投資対象への投資額(時価ベース)の比率について目標や目安を設定している場合、又は、ESG投信の投資対象の選定において主要な要素となるESGのポートフォリオ全体の評価指標の達成状況について、目標や目安を設定している場合、交付目論見書の「ファンドの目的・特色」に、当該比率やその他の計数を記載しているか。また、こうした目標や目安を設定していない場合、その理由を説明しているか。