X. 監督上の評価項目と諸手続(外国証券業者等)

X-1 外国証券業者に対する基本的考え方

X-1-1 外国証券業者に関する法令の基本的考え方

外国証券業者は、日本国内における有価証券関連業の本拠として設ける主たる営業所又は事務所について登録を受けない限り、国内にある者を相手方として金商法第28条第8項各号に掲げる行為(以下「有価証券関連業に係る行為」という。)を行うことはできない。

他方、国内に拠点を有しない無登録の外国証券業者であっても、有価証券関連業に係る行為についての勧誘をすることなく、あるいは金融商品取引業者(第一種金融商品取引業に限る。)による代理又は媒介により、国内にある者の注文を受けて外国からその者を相手方として有価証券関連業に係る行為を行うことについては許容されている。

また、外国証券業者は、金商法第60条第1項に基づく当局の許可を受けて、国内の金融商品取引所における取引を業として行うことができる。当該業者に対しては、X-2-1で示す留意点を踏まえて監督するものとする。

X-1-2 外国証券業者によるインターネット等を利用したクロスボーダー取引

外国証券業者がホームページ等に有価証券関連業に係る行為に関する広告等を掲載する行為については、原則として、「勧誘」行為に該当する。

ただし、以下に掲げる措置を始めとして、日本国内の投資者との間の有価証券関連業に係る行為につながらないような合理的な措置が講じられている限り、国内投資者に向けた「勧誘」には該当しないものとする。

  • (1)担保文言

    日本国内の投資者が当該サービスの対象とされていない旨の文言が明記されていること。

    上記措置が十分に講じられているかを判断する際には、以下に掲げる事項に留意する必要がある。

    • マル1当該担保文言を判読するためには、広告等を閲覧する以外の特段の追加的操作を要しないこと。

    • マル2担保文言が、当該サイトを利用する日本国内の投資者が合理的に判読できる言語により表示されていること。

  • (2)取引防止措置等

    日本国内にある投資者との間の有価証券関連業に係る行為を防止するための措置が講じられていること。

    上記措置が十分に講じられているかを判断する際には、以下に掲げる事項に留意する必要がある。

    • マル1取引に際して、投資者より、住所、郵送先住所、メールアドレス、支払い方法その他の情報を提示させることにより、その居所を確認できる手続を経ていること。

    • マル2明らかに日本国内の投資者による有価証券関連業に係る行為であると信ずるに足る合理的な事由がある場合には、当該投資者から注文に応ずることのないよう配意していること。

    • マル3日本国内に顧客向けのコールセンターを設置する、或いは国内投資者を対象とするホームページ等にリンクを設定する等を始めとして、日本国内にある投資者に対し有価証券関連業に係る行為を誘引することのないよう配意していること。

      また、以上に掲げる措置はあくまで例示であり、これらと同等若しくはそれ以上の措置が講じられている場合には、当該広告等の提供は、国内投資者向けの「勧誘」行為に該当しないものとする。

  • (3)なお、以上に掲げるような合理的な措置が講じられていない場合には、当該広告等の提供が国内投資者向けの「勧誘」行為に該当する蓋然性が極めて高いことから、当該外国証券業者は、日本国内の投資者との間で勧誘を伴う実際の有価証券関連業に係る行為が行われていない旨を証明すべきである。

X-2 業務の適切性

X-2-1 業務の適切性(取引所取引許可業者)

  • (1)当局の許可を得て取引所取引業務(金商法第60 条第1項に規定する業務をいう。以下同じ。)を行う外国証券業者(以下「取引所取引許可業者」という。)の業務の適切性については、III-2-1((1)マル5を除く。)、III-2-5(III-2-5-2及び III-2-5-3を除く。)、III-2-7、III-2-8、III-2-9、IV-3-1-1、IV-3-1-5、IV-3-2(IV-3-2-2、IV-3-2-3(2)(3)、IV-3-2-4、IV-3-2-5を除く。)に準じて検証することとする。なお、取引所取引許可業者は、基本的に海外当局の監督下にあることを踏まえ、実質的に国内で求められるものと同等の業務運営がなされていると認められる場合には、具体的な業務運営の方法は問わないことに留意する。

  • (2)事故等に対する監督上の対応

    事故等(金商業等府令第223条第10号に規定する法令等に反する行為をいう。以下(2)において同じ。)に対する監督上の対応については、以下のとおり取り扱うこととする。

    • マル1取引所取引許可業者から事故等にかかる届出書の提出があった場合は、以下の点を確認するものとする。

      • イ. コンプライアンス規程等に則り内部管理部門・内部監査部門への迅速な報告及び取締役会等への報告を行っているか。

      • ロ. 当該事故等の発生部署とは独立した部署(内部監査部門等)において当該事故等の調査・解明を実施しているか。

    • マル2事故等と、取引所取引許可業者の業務の適切性の関係については、以下の着眼点に基づき検証を行うこととする。

      • イ. 当該事故等への役員の関与はないか、組織的な関与はないか。

      • ロ. 当該事故等の内容が我が国金融商品市場にどのような影響を与えるか。

      • ハ. 内部牽制機能が適切に発揮されているか。

      • ニ. 再発防止のための改善策の策定や自浄機能が十分か、責任の所在が明確化されているか。

      • ホ. 当該事故等の発覚後の対応が適切か。

  • (3)監督手法・対応

    日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された取引所取引許可業者の業務上・財務上の課題については、国内における代表者を通じること等による深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第60条の11の規定に基づく報告を求めることを通じて、取引所取引許可業者における自主的な改善状況を把握することとする。また、日頃より、取引所取引許可業者が会員となっている金融商品取引所や、情報交換の取決めを締結している海外当局との情報交換等を積極的に行うことを通じ、取引所取引許可業者の課題の早期把握・解消に努めるものとする。なお、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第60条の8第1項の規定に基づく業務改善命令や業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

X-2-2 業務の適切性(電子店頭デリバティブ取引等許可業者)

  • (1)外国の法令に準拠し、外国において店頭デリバティブ取引等を業として行う者であって、当局の許可を得て電子店頭デリバティブ取引等業務(金商法第60条の14第1項に規定する業務をいう。以下同じ。)を行うもの(以下「電子店頭デリバティブ取引等許可業者」という。)の業務の適切性については、III-2-1((1)マル5を除く。)、III-2-4、III-2-5(III-2-5-2及びIII-2-5-3を除く。)、III-2-6、III-2-7、III-2-8、III-2-9、III-2-11、IV-3-1-1、IV-3-1-5、IV-3-1-6、IV-3-3-4(4)に準じて検証することとする。なお、電子店頭デリバティブ取引等許可業者は、基本的に海外当局の監督下にあることを踏まえ、実質的に国内で求められるものと同等の業務運営がなされていると認められる場合には、具体的な業務運営の方法は問わないことに留意する。

  • (2)事故等に対する監督上の対応

    事故等(金商業等府令第232条の8第10号に規定する法令等に反する行為をいう。以下(2)において同じ。)に対する監督上の対応については、以下のとおり取り扱うこととする。

    • マル1電子店頭デリバティブ取引等許可業者から事故等にかかる届出書の提出があった場合は、以下の点を確認するものとする。

      • イ. コンプライアンス規程等に則り内部管理部門・内部監査部門への迅速な報告及び取締役会等への報告を行っているか。

      • ロ. 当該事故等の発生部署とは独立した部署(内部監査部門等)において当該事故等の調査・解明を実施しているか。

    • マル2事故等と、電子店頭デリバティブ取引等許可業者の業務の適切性の関係については、以下の着眼点に基づき検証を行うこととする。

      • イ. 当該事故等への役員の関与はないか、組織的な関与はないか。

      • ロ. 当該事故等の内容が我が国金融商品市場にどのような影響を与えるか。

      • ハ. 内部牽制機能が適切に発揮されているか。

      • ニ. 再発防止のための改善策の策定や自浄機能が十分か、責任の所在が明確化されているか。

      • ホ. 当該事故等の発覚後の対応が適切か。

  • (3)監督手法・対応

    日常の監督事務や、事故届出等を通じて把握された電子店頭デリバティブ取引等許可業者の業務上・財務上の課題については、国内における代表者を通じること等による深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第60条の14第2項において準用する金商法第60条の11の規定に基づく報告を求めることを通じて、電子店頭デリバティブ取引等許可業者における自主的な改善状況を把握することとする。また、日頃より、情報交換の取決めを締結している海外当局との情報交換等を積極的に行うことを通じ、電子店頭デリバティブ取引等許可業者の課題の早期把握・解消に努めるものとする。なお、重大・悪質な法令等違反行為が認められる等の場合には、金商法第60条の14第2項において準用する金商法第60条の8第1項の規定に基づく業務改善命令や業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

X-3 諸手続

X-3-1 諸手続(取引所取引許可業者)

X-3-1-1 許可

金商法第60条の2の規定に基づく許可申請書の取扱い等にあたっては、III-3-1に準ずるほか、以下の点に留意するものとする。

  • (1)許可手続

    • マル1許可申請書の添付書類

      • イ. 住民票の抄本には、次の項目が記載されているものを提出させるものとする。

        • a. 住所

        • b. 氏名

        • c. 生年月日

      • ロ. 国内に在留する外国人が提出した在留カードの写し又は特別永住者証明書の写し及び国内に在留しない外国人が提出した本国の住民票の写し又はこれに準ずる書面(英文等の場合には訳文を添付)は、金商業等府令第221条第6号に規定する「これに代わる書面」に該当する。

    • マル2許可までの間の留意事項等

      • イ. 許可申請者に対しては、許可されるまでは取引所取引業務を行わないように注意喚起するものとする。

      • ロ. 許可申請者が金融庁所管の法令にかかわる他の事業を行っており、当該事業に係る行政処分が行われている場合には、その内容について確認するとともに、必要に応じ、ヒアリング等によりその改善措置の状況を確認するものとする。

        なお、当該行政処分が法令遵守態勢に係る場合には、X-2-1で準用するIII-2-1に留意するものとする。

    • マル3許可申請者への通知

      金商法第60条第1項の許可を行った場合は、許可通知書を許可申請者に交付するものとする。

    • マル4許可の条件

      自己の勘定による取引のみを行うために金商法第60条第1項の許可の申請を行う外国証券業者については、申請業務を適切に行うことができるかどうかを審査することとするが、当該外国証券業者が当該許可を受けた後に、新たに海外顧客の委託注文の取次ぎ業務を行おうとする場合には、当該業務を適切に行うことができるかについて、改めて審査する必要がある。したがって、自己の勘定による取引所取引業務のみを行う外国証券業者に対して許可を付与するときは、許可申請時に申請された業務以外を行おうとする場合には、あらかじめ当局の承認を必要とする旨の条件を付すこととする。

    • マル5許可の拒否(II-5-6参照)

      • イ. 許可を拒否する場合は、拒否の理由並びに金融庁長官に対して審査請求ができる旨及び国を相手方とする処分の取消しの訴えを提起できる旨等を記載した許可拒否通知書を許可申請者に交付するものとする。

      • ロ. 許可拒否通知書には、拒否の理由及び拒否の理由に該当する金商法第60条の3第1項各号のうちの該当する号又は許可申請書及び添付書類のうち重要な事項についての虚偽の記載のある箇所若しくは重要な事実の記載の欠けている箇所を具体的に明らかにするものとする。

  • (2)審査事項

    • マル1法人形態の項目

      金商法第60条の3第1項第1号イに規定する取締役会設置会社と同種類の法人であるか否かの審査にあたっては、許可申請書、同添付書類及びヒアリングにより次の点を確認するものとする。

      • イ. 意思決定機関として、複数の役職員からなる合議機関を設置しているか。

      • ロ. 意思決定機関の体制は、参加者それぞれの牽制が働き、外国証券業者の経営が特定の役員の意思に左右されることがないよう配慮されたものとなっているか。

      • ハ. 代表者は、複数の役職員による合議等により定めることとされているか。

      • ニ. 内部管理部門から営業部門等に対し、適切に牽制が働く体制が整備されているか。

      • ホ. 独立した内部監査部門又は外部監査人等により、監査が有効に行われる体制が整備されているか。

    • マル2体制審査の項目

      金商法第60条の3第1項第1号ルに規定する、取引所取引業務を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者であるか否かの審査にあたっては、許可申請書、同添付書類及びヒアリングにより次の点を確認するものとする。

      • イ. その行う業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人の確保の状況及び組織体制として、以下の事項に照らし、当該業務を適正に遂行することができると認められるか。

        • a. 経営者及び常務に従事する役員が、その経歴及び能力等に照らして、取引所取引業務を公正かつ的確に遂行することができる十分な資質を有していること。

        • b. 常勤役職員の中に、金融商品取引法等の関連諸規制や監督指針で示している業務運営の適切性の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び取引所取引業務の公正かつ適確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有する者が確保されていること。

        • c. 取引所取引業務の適確な遂行に必要な人員が適切な部門に配置され、内部管理等の責任者が営業部門から独立して配置されるなど、適正に業務を遂行できる組織体制、人員構成にあること。

        • d. 取引所取引店(金商法第60条の2第1項第3号に規定する取引所取引業務を行う営業所又は事務所をいう。以下同じ。)それぞれに、取引所取引と同種類の取引に係る業務を3年以上行っている常勤役職員が複数確保されていること。

        • e. 取引所取引業務について、次に掲げる体制整備が可能な要員の確保が図られていること。

          • i) 帳簿書類・報告書等の作成、管理

          • ii) 電算システム管理

          • iii) 売買管理

          • iv) 苦情・トラブル処理

          • v) 内部監査

          • vi) 研修

        • f. 委託による取引を行おうとする場合には、インサイダー取引や相場操縦等の不公正取引を未然に防止するための注文管理・売買審査体制が整備されていること。

        • g. 日本国内の投資者との間の有価証券関連業に係る行為を防止する観点から、 X-1-2(2)に掲げる措置を講じるための体制が整備されていること。

        • h. 日本における代表者として、監督当局による報告徴求等に対し、取引所取引店や本店と適切に連携を図り、的確に対応できる者が選任されていること。

      • ロ. 以下の事項を総合的に勘案した結果、役員又は取引所取引業務を行う使用人のうちに、取引所取引業務の運営に不適切な資質を有する者があることにより、取引所取引許可業者の信用を失墜させるおそれがあると認められることはないか。

        • a. 金商法等我が国の金融関連法令又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと。

        • b. 禁固以上の刑(相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと(特に、刑法第246条から第250条まで(詐欺、電子計算機使用詐欺、背任、準詐欺、恐喝、未遂罪)の罪に問われた場合に留意すること)。

    • マル3その他

      • イ. 金商業等府令第221条第10号に定める「不公正な取引の防止を図るために講じている措置を記載した書面」により、インサイダー取引を防止するための措置、発注制限措置、及び委託取引を行う場合には、不公正取引を未然に防止するための注文管理・売買管理体制が整備されていることを確認するものとする。

      • ロ. 金商法第60条の3第1項第1号ロの審査にあたっては、本店及び取引所取引店が所在するすべての国において登録等を受けていることを、添付資料や、必要に応じて、海外当局との情報の提供に関する取決めなどを用いて確認するものとする。

      • ハ. 金商法第60条の3第1項第2号の審査に当たっては、海外当局への連絡等を通じて、我が国が行う調査協力の要請に応ずる旨の海外当局による保証の実効性を確認するものとする。

      • ニ. 金商法第60条の3第1項第3号の審査に当たっては、我が国金融商品取引所に対し、外国金融商品取引市場開設者との間で締結される情報の提供に関する取決めの実効性の確認を求めるものとする。

        なお、当該「情報の提供に関する取決め」は、個別の取引所間での取決めに限定されるものではなく、市場間監視グループ(Intermarket Surveillance Group(ISG))その他取引所間での情報提供が適切に行われるものであれば、複数取引所間での情報交換の枠組みであっても認められる場合があることに留意する。

X-3-1-2 届出

取引所取引許可業者の届出については、III-3-2(3)に準ずるほか、以下の点に留意するものとする。

  • (1)変更等の届出に係る留意事項

    取引所取引許可業者から金商法第60条の5第1項及び第2項の規定に基づく届出書を受理した場合には、当該許可外国証券会社に対して、国内における代表者を通じること等による深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第60条の11の規定に基づく報告を求めることを通じて、その内容及び適切性を把握・確認することとする。また、重大・悪質な法令等違反行為があると認められる等の場合には、金商法第60条の8第1項に基づく許可の取消しや業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

  • (2)取引所取引店の追加等の届出に係る留意事項

    取引所取引許可業者から金商法第60条の5第1項の規定に基づき、取引所取引店の追加又は取引参加者となる金融商品取引所の追加に係る届出書を受理した場合には、当該取引所取引店の人的構成・業務の適切性について、金商法第60条の3第1項各号の規定による許可拒否の事由の存しないことについて確認するものとする。

X-3-1-3 業務に関する帳簿書類関係

業務に関する帳簿書類の作成・保存に関する取扱いについては、III-3-3に準ずるものとする。なお、III-3-3において「支店」とあるのは、「取引所取引店」と読み替えるものとする。

X-3-2 諸手続(電子店頭デリバティブ取引等許可業者)

X-3-2-1 許可

金商法第60条の14第2項において準用する金商法第60条の2の規定に基づく許可申請書の取扱い等にあたっては、III-3-1に準ずるほか、以下の点に留意するものとする。

  • (1)許可手続

    • マル1許可申請書の添付書類

      • イ. 住民票の抄本には、次の項目が記載されているものを提出させるものとする。

        • a. 住所

        • b. 氏名

        • c. 生年月日

      • ロ. 国内に在留する外国人が提出した在留カードの写し又は特別永住者証明書の写し及び国内に在留しない外国人が提出した本国の住民票の写し又はこれに準ずる書面(英文等の場合には訳文を添付)は、金商業等府令第232条の5第6号に規定する「これに代わる書面」に該当する。

    • マル2許可までの間の留意事項等

      • イ. 許可申請者に対しては、許可されるまでは電子店頭デリバティブ取引等業務を行わないように注意喚起するものとする。

      • ロ. 許可申請者が金融庁所管の法令にかかわる他の事業を行っており、当該事業に係る行政処分が行われている場合には、その内容について確認するとともに、必要に応じ、ヒアリング等によりその改善措置の状況を確認するものとする。

        なお、当該行政処分が法令等遵守態勢に係る場合には、X-2-2で準用するIII-2-1に留意するものとする。

    • マル3許可申請者への通知

      金商法第60条の14第1項の許可を行った場合は、許可通知書を許可申請者に交付するものとする。

    • マル4許可の拒否(II-5-6参照)

      • イ. 許可を拒否する場合は、拒否の理由並びに金融庁長官に対して審査請求ができる旨及び国を相手方とする処分の取消しの訴えを提起できる旨等を記載した許可拒否通知書を許可申請者に交付するものとする。

      • ロ. 許可拒否通知書には、拒否の理由及び拒否の理由に該当する金商法第60条の14第2項において準用する金商法第60条の3第1項各号のうちの該当する号又は許可申請書及び添付書類のうち重要な事項についての虚偽の記載のある箇所若しくは重要な事実の記載の欠けている箇所を具体的に明らかにするものとする。

  • (2)審査事項

    • マル1法人形態の項目

      金商法第60条の14第2項において準用する金商法第60条の3第1項第1号イに規定する取締役会設置会社と同種類の法人であるか否かの審査にあたっては、許可申請書、同添付書類及びヒアリングにより次の点を確認するものとする。

      • イ. 意思決定機関として、複数の役職員からなる合議機関を設置しているか。

      • ロ. 意思決定機関の体制は、参加者それぞれの牽制が働き、電子店頭デリバティブ取引等許可業者の経営が特定の役員の意思に左右されることがないよう配慮されたものとなっているか。

      • ハ. 代表者は、複数の役職員による合議等により定めることとされているか。

      • ニ. 内部管理部門から営業部門等に対し、適切に牽制が働く体制が整備されているか。

      • ホ. 独立した内部監査部門又は外部監査人等により、監査が有効に行われる体制が整備されているか。

    • マル2体制審査の項目

      金商法第60条の14第2項において準用する金商法第60条の3第1項第1号ルに規定する、電子店頭デリバティブ取引等業務を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者であるか否かの審査にあたっては、許可申請書、同添付書類及びヒアリングにより次の点を確認するものとする。

      • イ. その行う業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人の確保の状況及び組織体制として、以下の事項に照らし、当該業務を適正に遂行することができると認められるか。

        • a. 経営者及び常務に従事する役員が、その経歴及び能力等に照らして、電子店頭デリバティブ取引等業務を公正かつ的確に遂行することができる十分な資質を有していること。

        • b. 常勤役職員の中に、金融商品取引法等の関連諸規制や監督指針で示している業務運営の適切性の着眼点の内容を理解し、実行するに足る知識・経験、及び電子店頭デリバティブ取引等業務の公正かつ適確な遂行に必要となるコンプライアンス及びリスク管理に関する十分な知識・経験を有する者が確保されていること。

        • c. 電子店頭デリバティブ取引等業務の適確な遂行に必要な人員が適切な部門に配置され、内部管理等の責任者が営業部門から独立して配置されるなど、適正に業務を遂行できる組織体制、人員構成にあること。

        • d. 電子店頭デリバティブ取引等店(金商法第60条の14第2項において準用する金商法第60条の2第1項第3号に規定する電子店頭デリバティブ取引等店をいう。以下同じ。)それぞれに、電子店頭デリバティブ取引等と同種類の取引に係る業務を1年以上行っている常勤役職員が複数確保されていること。

        • e. 電子店頭デリバティブ取引等業務について、次に掲げる体制整備が可能な要員の確保が図られていること。

          • i) 帳簿書類・報告書等の作成、管理

          • ii) 電算システム管理

          • iii) 顧客管理

          • iv) 苦情・トラブル処理

          • v) 内部監査

          • vi) 研修

        • f. 日本における代表者として、監督当局による報告徴求等に対し、電子店頭デリバティブ取引等店や本店と適切に連携を図り、的確に対応できる者が選任されていること。

      • ロ. 以下の事項を総合的に勘案した結果、役員又は電子店頭デリバティブ取引等業務を行う使用人のうちに、電子店頭デリバティブ取引等業務の運営に不適切な資質を有する者があることにより、電子店頭デリバティブ取引等許可業者の信用を失墜させるおそれがあると認められることはないか。

        • a. 金商法等我が国の金融関連法令又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと。

        • b. 禁固以上の刑(相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられたこと(特に、刑法第246条から第250条まで(詐欺、電子計算機使用詐欺、背任、準詐欺、恐喝、未遂罪)の罪に問われた場合に留意すること)。

    • マル3その他

      • イ. 金商法第60条の14第2項において準用する金商法第60条の3第1項第1号ロの審査にあたっては、本店及び電子店頭デリバティブ取引等店が所在する全ての国において登録等を受けていることを、添付資料や、必要に応じて、海外当局との情報の提供に関する取決めなどを用いて確認するものとする。

      • ロ. 金商法第60条の14第2項において準用する金商法第60条の3第1項第2号の審査に当たっては、海外当局への連絡等を通じて、我が国が行う調査協力の要請に応ずる旨の海外当局による保証の実効性を確認するものとする。

X-3-2-2 届出

電子店頭デリバティブ取引等許可業者の届出については、III-3-2(3)に準ずるほか、以下の点に留意するものとする。

電子店頭デリバティブ取引等許可業者から金商法第60条の14第2項において準用する金商法第60条の5第1項及び第2項の規定に基づく届出書を受理した場合には、当該電子店頭デリバティブ取引等許可業者に対して、国内における代表者を通じること等による深度あるヒアリングを行うことや、必要に応じて金商法第60条の14第2項において準用する金商法第60条の11の規定に基づく報告を求めることを通じて、その内容及び適切性を把握・確認することとする。また、重大・悪質な法令等違反行為があると認められる等の場合には、金商法第60条の14第2項において準用する金商法第60条の8第1項に基づく許可の取消しや業務停止命令等の発出も含め、必要な対応を検討するものとする。

X-3-2-3 業務に関する帳簿書類関係

業務に関する帳簿書類の作成・保存に関する取扱いについては、III-3-3に準ずるものとする。なお、III-3-3において「支店」とあるのは、「電子店頭デリバティブ取引等店」と読み替えるものとする。

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