10 信託契約代理店

10-1 行政報告

  • (1)財務局長は、各四半期末現在における信託契約代理店の状況について、別紙様式23により各四半期末の翌月20日までに監督局長へ報告することとする。

  • (2)財務局長は、次に掲げる委任事項について行政処理を行ったときは、その結果を遅滞なく監督局長に報告するものとする。

    • マル1法第70条の規定による登録の拒否

    • マル2法第80条第1項の規定による報告及び資料の提出の命令

    • マル3法第81条の規定による業務改善命令

    • マル4法第82条第1項の規定による登録の取消し及び業務の全部又は一部の停止命令

    • マル5法第82条第2項の規定による役員の解任命令

10-2 登録に際しての留意事項

10-2-1 登録の要否

以下のいずれかの業務を行う者は、法第67条第1項に規定する信託契約代理店の登録を受ける必要があることに留意する。

  • マル1信託契約の締結の勧誘

  • マル2信託契約の締結の勧誘を目的とした信託商品の内容説明

  • マル3信託契約の締結に向けた条件交渉

  • マル4信託契約の申込みの受領(単に契約申込書の受領・回収又は契約申込書の誤記・記載漏れ・必要書類の添付漏れの指摘のみを行う場合を除く。)

  • マル5信託契約の承諾

    • (注) 登録の要否については、一連の行為の中で当該行為の位置付けを踏まえた上で総合的に判断する必要があるが、例えば、次に掲げる行為のみを行う者は、基本的に上記登録は不要であると考えられる。

      • イ.信託会社、外国信託会社、信託兼営金融機関、信託契約代理店の指示を受けて行う、商品案内チラシの単なる配布

      • ロ.金融商品説明会における、一般的な信託商品の仕組み、活用法等についての説明

10-2-2 登録申請に係る代理申請について

  • (1)信託契約代理店は、法第68条の規定による登録の申請、法第71条第1項及び第3項並びに第79条の規定による届出について、所属信託会社(所属信託兼営金融機関を含む。以下同じ。)を代理人として行わせることが可能であることに留意するものとする。

    また、所属信託会社が代理人として登録の申請・届出を行う場合、信託契約代理店が2以上の所属信託会社を有する代理店である場合には、所属信託会社のうちの1つを代理人として行わせるものとする。

    なお、所属信託会社が代理人として登録の申請・届出を行う場合には、申請書類又は届出書は、信託契約代理店の主たる営業所又は事務所の所在地を管轄する財務局長に提出させることとする。

  • (2)所属信託会社による代理申請・届出が行われた際には、委任状等により代理権の有無及び代理権の範囲について確認するものとし、代理権の範囲が申請書の補正依頼、登録済通知の送付等に及んでいる場合、当該依頼又は通知等は、代理人に対して行うことができることに留意するものとする。

10-2-3 登録申請書及び添付書類の受理に当たっての留意事項

3-2-1(1)及び(2)並びに(4)から(6)までに掲げる事項に準じるほか、以下の点に留意するものとする。

  • (1)法第68条第2項第1号に掲げる「第70条第1号又は第2号に該当しないことを誓約する書面」には、同条第1号又は第2号に該当しないことを誓約する旨のほか、「当該誓約が虚偽の誓約であることが判明した場合には、法第82条第1項第2号に掲げる登録取消し事由に該当すること及び法第91条第9号の規定による罰則の適用があり得ることを認識している」旨が記載されたものを提出させるものとする。

  • (2)申請者が法人又は信託契約代理業務を行う使用人のある個人(以下10-2において「使用人のある個人」という。)である場合には、規則第71条第5号に掲げる「申請者が信託契約代理業務に関する知識を有する者であることを証する書面」において、信託業務又は信託契約代理業務(以下10-2において「信託業務等」という。)に関する知識を有する者並びに信託業務等及び信託関係法令に関する知識を有する者の知識を習得した方法(知識を有することを証する書面がある場合には当該書面を含む。)並びに当該者の配置予定先を記載するものとする。

    • (注) 「信託業務に関する知識」及び「信託関係法令に関する知識」の具体的内容については、3-2-1(8)マル1(注)に準じるものとする。

      また、「信託契約代理業務に関する知識」とは、信託契約代理業を営む上で必要となる基礎的な知識のことをいい、例えば、「信託業務に関する知識」のうち、信託契約締結の代理又は媒介を行う上で必要となるもの(部分)についての基礎知識が考えられる。

      なお、「知識を有することを証する書面」とは、例えば、信託業務等の経験を示す履歴書や信託業務等・信託関係法令に関する知識習得研修の受講証明書などが考えられる。

10-2-4 登録の手続き

5-2-3(5-2-3(1)マル2を除く。)に準じるものとする。ただし、登録番号は別紙様式23により管理するものとし、信託契約代理店登録簿に記載する登録番号は次のとおりとする。

・〇〇財務局長(代信)第〇〇号

10-2-5 登録拒否事由の審査

法第70条各号に掲げる事由に該当しないことを確認するものとする。なお、同条第3号に掲げる信託契約代理業務を的確に遂行するための必要な体制が整備されているか否かの審査に当たっては、以下の点に留意するものとする。

  • (1)業務方法書の審査

    法第68条第2項第2号に掲げる業務方法書については、その記載内容が所属信託会社との間の信託契約代理業に係る業務委託契約書の写しの記載内容と整合的であるかを確認するとともに、規則第72条第1項各号に掲げる必要記載項目ごとに、以下の点に留意するものとする。

    • マル1取り扱う信託契約の種類

      規則第6条第1項各号に掲げる財産の区分に準じ、取り扱う信託契約に係る信託財産の種類が分かるように記載されているか(例えば、「金銭信託に係る信託契約」、「金銭信託以外の金銭の信託に係る信託契約」、「有価証券信託に係る信託契約」など)。

    • マル2信託契約代理業務の実施体制

      法令等を遵守した適正な営業を行うための体制として、以下の事項が記載されているか。

      • イ.申請者が法人である場合には、行おうとする信託契約代理業務の規模、特性に応じて、顧客管理、苦情・紛争処理、社内教育・研修、法令等遵守の管理(誤認防止体制の確保を含む。)、内部監査等を的確に行うための体制が記載されているか。また、内部監査部門は、信託契約代理業務を行う全ての部門に対して十分な牽制機能が働く独立した体制となっているか。

        なお、信託契約代理業務を担当する組織及びその事務分掌について、業務方法書に詳細を記載していない場合には、社内規則に規定する旨が定められるとともに当該社内規則が整備されているか。

        • (注) 顧客管理については、所属信託会社に帳票作成事務等を依頼し、信託契約代理店が管理することも可能とする。また、苦情・紛争処理、社内教育・研修、法令等遵守の管理及び内部監査については、申請者が行おうとする信託契約代理業務の規模、特性に応じて、所属信託会社により適正に実施される体制が整備されている場合には所属信託会社に行わせることも可能であるが、その場合には、その旨が業務方法書に記載されていることを確認するものとする。なお、個人である申請者が、顧客管理のための帳票作成事務等、苦情・紛争処理を所属信託会社に行わせる場合も同様とする。

      • ロ.規則第72条第2項各号に掲げる誤認防止のための体制が記載されているか。

      • ハ.所属信託会社における当該信託契約代理店の管理、指導等の担当部門が記載されているか。また、所属信託会社から定期的に監査を受けることとしているか。

      • ニ.所属信託会社に対して、必要に応じて法令照会等を行うこととしているか。

      • ホ.信託契約代理業務に係る法令違反等について、所属信託会社に直ちに報告を行うこととしているか。

      • ヘ.法令等を遵守し、信託商品の適切な説明を顧客に行えるよう、営業の担当者に適切に研修等を実施することとしているか。なお、申請者が個人である場合には、所属信託会社から十分な頻度で研修等を受けることとしているか。

        • (注) 申請者が使用人のある個人である場合には、法人に準じて取り扱うものとする。

  • (2)業務遂行能力の審査

    業務遂行能力については、具体的には以下の役員又は従業員の確保の状況等により判断するものとする。

    なお、これらはあくまで例示であり、その行うべき体制整備等は、申請者が行おうとする信託契約代理業務の規模・特性により異なることに留意し、申請者が以下の基準を満たしていない場合には、満たす必要がない合理的理由について聴取するものとする。

    • マル1申請者が法人である場合

      • イ.役員又は従業員の確保の状況

        • a.営業の本部機能を有する部門に、信託業務等に関する知識を有する者を複数名配置することとなっているか。

        • b.内部監査を行う部門に、信託業務等に関する知識を有する者を配置することとなっているか。

        • c.法令等遵守の管理部門に、信託業務等及び信託関係法令に関する知識を有する者を配置することとなっているか。

        • d.信託契約代理業務に係る営業の担当者は、信託業務等に関する知識を有する者であるか。

      • ロ.申請時点において所属信託会社が作成した業務マニュアル等が配布されており、業務開始までに内容について所属信託会社からの研修等を受けることとなっているか。

    • マル2申請者が個人である場合

      • イ.信託業務等に関する知識を有する者であるか。

      • ロ.申請時点において所属信託会社が作成した業務マニュアル等が配布されており、業務開始までに内容について所属信託会社からの研修等を受けることとなっているか。

        • (注) 申請者が使用人のある個人である場合には、法人に準じて取り扱うものとする。

10-2-6 登録事項の変更の届出に係る留意事項

5-2-5に準じるものとする。

10-3 監督に係る事務処理上の留意事項

信託契約代理店の監督に当たっては、まず所属信託会社等に対する監督を基本とする。また、信託契約代理店の監督に係る一般的な事務処理の流れを示すと別紙のとおりである。

10-3-1 標識の掲示

信託契約代理店による標識の掲示については、法第72条の趣旨等に鑑み、標識に記載されている文字が明りょうであるかどうかを確認する。

10-3-2 信託契約代理業に関する報告書に関する留意事項

法第77条第2項に規定する信託契約代理業務に関する報告書の縦覧については、5-2-3(4)マル4からマル7までに準じて取り扱うものとする。

10-4 業務運営の状況に関して報告・改善を求める場合の留意事項

信託契約代理店の業務運営の適切性、健全性に疑義が生じた場合には、必要に応じ、法第80条に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第81条に基づく命令を行うことが必要となる。その際の着眼点については、法令及び本監督指針に規定する登録申請の際の審査基準を満たしているか、法令、定款、業務方法書、社内規則等を遵守した適切な業務運営が行われているか否かのほか、以下の点に留意するものとする。

10-4-1 届出受理の際の留意事項

3-5-3に準じるものとする。

10-4-2 業務の執行方法を定めた社内規則の整備

  • (1)顧客属性等に即した勧誘・説明の執行方法

    法人である信託契約代理店については、顧客への勧誘・説明に関する社内規則に、顧客への勧誘、説明の方法が具体的に定められ、顧客の属性に照らした適切な信託契約の締結の代理又は媒介を行うこととしているか。また、その遵守状況について適切に検証することとしているか。

  • (2)分別管理の執行方法

    法人である信託契約代理店が信託契約の締結の代理又は媒介に関して顧客から財産の預託を受ける場合には、分別管理に係る社内規則に、分別管理の執行方法が具体的に定められ、固有財産と預託財産が明確に区分され、当該預託財産に係る預託者を直ちに判別できることとしているか。また、その遵守状況について適切に検証することとしているか。

10-4-3 顧客情報管理

  • (1)規則第77条第6号に規定する「必要かつ適切な措置」とは、保護法ガイドライン第10条、第11条及び第12条並びに実務指針 I 、 II 、 III 及び別添2の規定に基づく措置とする。

  • (2)規則第77条第7号に規定する「その他の特別の非公開情報」とは、労働組合への加盟、民族又は性生活に関する情報をいい、「適切な業務の運営の確保その他必要と認められる目的」とは、保護法ガイドライン第6条第1項各号に列挙する場合をいう。

10-4-4 取引時確認等の措置

犯収法上の取引時確認義務及び疑わしい取引の届出義務は、信託会社に課せられているが、所属信託会社等から委任を受けて信託契約代理店が取引時確認を行なっている場合には、所属信託会社等と同様に適切に行なう必要があることから、3-5-9に準じるものとする。

10-4-5 反社会的勢力による被害の防止

3-5-10に準じるものとする。

10-4-6 障害者への対応

3-5-12に準じるものとする。
 

10-5 行政処分を行う際の留意事項

3-6-1から3-6-3までに準じるものとする。

10-6 立入検査に関する留意事項

3-8に準じるものとする。

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