II . 少額短期保険業者の監督にあたっての評価項目

II -1 経営管理

II -1-1 意義

少額短期保険業者については、様々な態様、規模等が予想されるが、少額短期保険業者自らが様々なリスクを的確に把握・管理し、自己責任原則に基づく業務の健全かつ適切な運営を確保していく為には、経営に対する規律付けが有効に機能し、適切な経営管理(ガバナンス)が行われることが重要であると考えられる。

II -1-2 主な着眼点

経営管理が有効に機能するためには、代表取締役、取締役会、監査役、保険計理人及び全ての職階における職員が自らの役割を理解しそのプロセスに十分関与することが重要となる。その中でも、代表取締役、取締役・取締役会、監査役・監査役会、管理者、内部監査部門、外部監査機能、保険計理人及び総代会が果たす責務が重大であることから、経営管理のモニタリングにあたっては、「総合指針 II -1-2 <経営管理> 主な着眼点」に準じ、少額短期保険業者の特性及び規模に応じて、その機能が適切に発揮されているかどうかを検証することとする。

また、着眼点を検証する場合には、少額短期保険業者のみならず、主要株主や持株会社についても、経営に影響を与える場合が想定されるため、その関与状況について留意する必要がある。

II -1-3 監督手法・対応

下記のヒアリング及び通常の監督事務等を通じて、経営管理態勢について検証することとする。

  • (1)オフサイト・モニタリング

    継続的に財務会計情報及びリスク情報等について報告を求め、少額短期保険業者の経営の健全性の状況を常時把握することとする。また、少額短期保険業者から徴求した各種の情報の蓄積及び分析を迅速かつ効率的に行うこととする。

  • (2)経営管理の状況等に関するヒアリング

    経営上の課題、経営戦略及びその諸リスク、取締役会・監査役会の機能発揮の状況等に関しヒアリングを行うこととする。

  • (3)内部監査に関するヒアリング等

    内部監査の機能発揮状況等を把握する観点から、必要に応じ、少額短期保険業者の内部監査部門に対し、内部監査の体制、内部監査の実施状況及び問題点の是正状況等についてヒアリングを実施することとする。

    また、特に必要があると認められる場合には、少額短期保険業者の監査役、社外取締役に対してもヒアリングを実施することとする。

  • (4)通常の監督事務を通じた経営管理態勢の検証

    経営管理態勢については上記(1)から(3)のヒアリング等に加え、例えば、検査結果通知のフォローアップ、不祥事件届、早期警戒制度、早期是正措置などの通常の監督事務を通じても、経営管理態勢の有効性について検証することとする。

  • (5)モニタリング結果の記録

    モニタリングの結果、事務年度途中において特筆すべき事項が生じた場合は、都度記録を更新することとする。

  • (6)監督上の対応

    経営管理態勢の有効性等に疑義が生じた場合には、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを行い、必要な場合には法第272条の22(主要株主・持株会社にあってはその必要の限度において法第272条の34第1項において準用する法第271条の12又は法第272条の40第2項において準用する法第271条の27)に基づき報告を求めることを通じて、着実な改善を促すものとする。また、重大な問題があると認められる場合には、法第272条の25又は法第272条の26(主要株主・持株会社にあっては法第272条の34第1項において準用する法第271条の14若しくは法第271条の16又は法第272条の40第2項において準用する法第271条の29若しくは法第271条の30)に基づき行政処分を行うものとする。

II -2 財務の健全性

II -2-1 責任準備金等の積立の適切性

II -2-1-1 意義

少額短期保険業者は、保険契約者等に将来支払うこととなる保険金等に対して保険業法に基づく責任準備金等の積立の確保に努めなければならないことになっている。当局としては、自己責任原則の下で行われる責任準備金等の積立の確保を補完する役割を果たすものとして、オフサイト・モニタリングや下記に掲げる指針を通じ、保険財務の健全性の確保のための自主的な取組みを促していく必要がある。

II -2-1-2 保険料算出及び責任準備金積立又は配当若しくは事業継続困難性の確認

法第272条の18において準用する法第121条各号において保険計理人が確認する事項については、保険業法施行規則(以下、「規則」という。)第211条の51各号に規定する基準のほか、以下に掲げる基準に基づいて確認されているか留意するものとする。

  • (1)法第121条第1項第1号(保険料及び責任準備金の健全性)の確認

    • マル1保険料

      • ア. 保険料の計算方法及びその計算基礎率(予定死亡率、予定危険率等)が、法第272条の2第2項第4号に掲げる書類(以下、「算出方法書」という。)に規定された内容と一致しているか。

      • イ. 法第272条の24第1項第1号の規定に基づき、保険料の算出方法が、保険金等割合その他の収支状況に照らし、保険数理に基づき合理的かつ妥当なものかの確認にあたっては以下に留意しているか。

        • (ア)保険商品ごとに、確認されているか。

        • (イ)規則第211条の58の保険料から、実績の事業費を控除した純保険料ベースにおいても確認を行っているか。

    • マル2普通責任準備金

      • ア. 未経過保険料の計算方法及びその計算基礎率が、算出方法書に規定された内容と一致しているか。

      • イ. 算出された未経過保険料が、決算書類に適正に反映されているか。

      • ウ. 規則第211条の46第1項第1号ロに掲げる額が、算出方法書に規定された内容と一致しているか。

    • マル3異常危険準備金

      • ア. 異常危険準備金の積立て及び取崩しが、算出方法書に規定された内容と一致しているか。

      • イ. 規則第211条の55第1項第8号に規定する届出がなされた場合にあっては、その内容が、少額短期保険業者の業務又は財産の状況等に照らし、やむを得ない事情に基づいて、届出がなされていたか。また、取崩しが行なわれた場合は、計画的に積み増しが行なわれているか。

      • ウ. 算出された異常危険準備金が決算書類に適正に反映されているか。

  • (2)法第121条第1項第2号(契約者配当等の分配の公正かつ衡平性)に関する確認

    • マル1契約者配当等(契約者配当若しくは社員に対する剰余金の分配及び契約者配当準備金若しくは社員配当準備金をいう。)が算出方法書及び規則第30条の2又は規則第211条の41に規定された方法により適切に算出されているか。

    • マル2契約者配当等を行うにあたっては、普通責任準備金及び異常危険準備金が適切に積立てられ、ソルベンシー・マージン比率の200%以上の確保及び供託金の適切な供託が行われるなど、少額短期保険業者の財務の健全性の確保が適切になされたうえで行われているか。

  • (3)法第121条第1項第3号(事業継続の困難性)に関する確認

    次のマル1に掲げるシナリオ等に留意し、マル2及びマル3に掲げる額の算出を行い、マル2に掲げる額がマル3に掲げる額を上回ることを確認しているか。この場合において、経営政策の変更を前提に確認している場合は、分析を行う期間内に実行可能であり、かつ合理的かつ妥当な内容となっているか。

    • マル1シナリオ等

      • ア. 分析期間(規則第211条の51第3号に規定する将来の時点をいう。)は、保有する保険契約の残存期間等から、合理的かつ妥当な期間となっているか。

      • イ. 資産配分及び資産構成比、資産運用利回り、新契約高、事業費、死亡率等の保険事故発生率、配当金その他のシナリオの各要素については、過去の実績平均値等から、必要に応じて補正を行うなど、合理的かつ妥当なものとなっているか。

    • マル2将来の時点における資産の額として合理的な予測に基づき算定される額

      マル1に掲げるシナリオ等に留意し、分析期間の決算期末時点の資産を全て時価ベースで評価した額となっているか。

    • マル3将来の時点における負債の額として合理的な予測に基づき算定される額

      マル1に掲げるシナリオ等に留意し、分析期間の決算期末時点の負債から、以下に掲げるものを控除した額となっているか。

      • ア. 異常危険準備金

      • イ. 価格変動準備金

      • ウ. 配当準備金未割当額

      • エ. 評価差額金に係る繰り延べ税金負債

II -2-1-3 事業方法書等に定めた事項の変更命令

法第272条の24第1項の規定の適用にあたって、保険料及び責任準備金の算出方法の、保険数理に基づき合理的かつ妥当であるかの確認は、原則として、保険計理人の意見書を活用することにより行うものとする。ただし、保険計理人の意見書の記載内容では、その十分な確認ができないと判断される場合は、別途、少額短期保険業者に対して、報告徴求を行うものとする。

II -2-1-4 収益等の計上

少額短期保険業者の収益等の計上については、下記のとおり取り扱うこと。

ただし、一般に公正妥当と認められる会計基準に照らし、より合理的かつ妥当な計上方法がある場合には、下記にかかわらず、当該計上方法により取り扱うことができる。

  • (1)元受保険料の計上

    決算締切日までに入金報告書及び申込書その他保険料計上に必要な書類が到着している契約については、すべて当該事業年度の収入に計上すること。

    ただし、上記書類が決算締切日までに到着したもので、内容不備のため保険料率の審査決定、保険責任の有無の確認ができなかったものについてはこの限りでないこと。

    なお、決算処理にあたっては、上記書類の遅延ないし内容の不備の解消に特に留意し、計上保険料の翌年度へのずれ込み、又は計上洩れを極力防止するよう努めること。

  • (2)回払保険料の計上

    回払保険料の計上については、初回保険料は(1)に準じて取扱うものとし、次回以後保険料については、決算締切日までに当該契約の約款に定める保険料支払期日応当月が到来しているものは当該事業年度の収入として計上すること。

  • (3)求償権及び残存物の経理

    保険金の支払いにより契約者から取得した求償権又は残存物については、当該求償権の行使(裁判の判決又は当事者間の合意がないものは除く。)又は残存物の売却によって回収が見込まれる金額を当該事業年度の支払備金から控除して経理すること。

II -2-1-5 再保険を付した少額短期保険業者の経営の健全性を損なうおそれがない外国保険業者

規則第211条の52において準用する規則第71条第1項第4号に規定する「少額短期保険業者の経営の健全性を損なうおそれがない者」とは、例えば、次に該当する外国保険業者をいうものであること。

  • (1)保険契約を再保険に付した少額短期保険業者(以下、「出再会社」という。)の総資産に占める外国保険業者が当該出再会社から引き受けた一の再保険契約に係る一の保険事故により当該外国保険業者の支払う再保険金の限度額の割合が1%未満である当該外国保険業者(当該外国保険業者が再保険金の支払を停止するおそれがあること又は再保険金の支払を停止したことが明らかな場合を除く。)

  • (2)出再会社が再保険に付した部分に相当する責任準備金を積み立てなかったことがある当該再保険を引き受けた外国保険業者(当該外国保険業者が、再保険金の支払を停止するおそれがあること又は再保険金の支払を停止したことが明らかな場合を除く。)

II -2-1-6 再保険料又は再保険金の額が事後的に調整される再保険の取扱い

少額短期保険業者が保険契約を再保険料又は再保険金の額が事後的に調整される再保険に付した場合において、再保険料の追加支払又は再保険金の返戻(以下、「再保険料の追加支払等」という。)が確定した場合、再保険料の追加支払等に相当する負債が当該決算期において全額計上(将来における再保険料の追加支払等の発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合に、所要の引当が行われていることを含む。)されているか(当該再保険契約において、事後的な調整が重要な要素でない場合を除く。)。

II -2-1-7 出再責任準備金及び出再支払備金の貸借対照表の注記について

出再責任準備金及び出再支払備金の業務報告書(規則別紙様式第16号の17ほか)等の「貸借対照表」の注記については、以下に留意するものとする。

  • (1)出再責任準備金

    出再責任準備金の貸借対照表の注記については、未経過保険料の計算上差し引かれた再保険に付した部分(以下、「出再部分」という。)に相当する金額を注記するものとする。

    この場合において、出再部分を控除した計数を基に未経過保険料を計算しており、かつ、出再部分に相当する未経過保険料(以下、「出再未経過保険料」という。)の把握が困難な場合は、次の算式により計算した金額を出再未経過保険料の金額として注記することができる。

    [出再未経過保険料 =

    未経過保険料×(出再正味保険料÷正味収入保険料)]

    ただし、一般に公正妥当と認められる会計基準に照らし、より合理的かつ妥当な計算方法がある場合には、上記算式にかかわらず、当該計算方法により計算した金額を出再未経過保険料の金額として注記することができる。

  • (2)出再支払備金の開示

    出再支払備金の貸借対照表の注記については、支払備金(規則第73条第1項に規定する支払備金)の計算上差し引かれた出再部分に相当する金額を記載するものとする。

    なお、規則第73条第1項第2号に規定する支払備金(以下、「既発生未報告支払備金」という。)の金額を平成18年3月10日金融庁告示第17号(以下、「支払備金告示」という。)第2条において計算を行い、かつ、出再部分に相当する既発生未報告支払備金の金額の把握が困難な場合は、次の算式により計算した額を出再既発生未報告支払備金として計算を行うことができる。

    [出再既発生未報告支払備金 =

    既発生未報告支払備金×(出再支払備金÷支払備金)]

    ※ 計算式中「出再支払備金」と「支払備金」は、規則第73条第1項第1号に規定する支払備金のことをいう。

    ただし、一般に公正妥当と認められる会計基準に照らし、より合理的かつ妥当な計算方法がある場合には、上記算式にかかわらず、当該計算方法により計算した金額を出再既発生未報告支払備金の金額とすることができる。

II -2-1-8 保険契約に関する指標等の開示

規則別表(第211条の37第1項第3号ハ関係(少額短期保険業者))保険契約に関する指標等の項第3号に規定する「発生損害額及び損害調査費の合計額の既経過保険料に対する割合」等を計算する際に必要となる出再控除前の責任準備金及び出再控除前の支払備金の計算にあたっては、 II -2-1-7で定めるところによるものとする。

II -2-1-9 開示の際の保険種目の区分

規則別表(第211条の37第1項第3号ハ関係(少額短期保険業者))に規定する「保険種目の区分」は、原則として以下に掲げる区分に応じて開示を行うものとする。ただし、更に詳細な開示区分を行う場合については、以下に掲げる区分の内訳として開示を行うものとする。

また、複数の給付の組み合わせによる保険契約で、保険料を区分できないものは、保険料の比率が大きい区分で開示を行うものとし、主要な保険給付について内訳を別途注記する。

  • (1)死亡保険(保険業法施行令(以下、「令」という。)第1条の6第1号に規定する保険)

  • (2)火災保険

  • (3)賠償責任保険(自動車保険含む。)

  • (4)傷害保険(令第1条の6第5号に規定する保険含む。)

  • (5)医療保険(傷害保険以外の法第3条第4項第2号に規定する保険)

  • (6)その他

II -2-2 ソルベンシー・マージン比率の適切性(早期是正措置)

II -2-2-1 意義

少額短期保険業者は、保険契約者等の信認を確保するため、資本の充実や内部留保の確保を図り、リスクに応じた十分な財務基盤を保有することは極めて重要である。財務内容の改善が必要とされる少額短期保険業者にあっては、自己責任原則に基づき主体的に改善を図ることが求められている。当局としても、それを補完する役割を果たすものとして、少額短期保険業者の経営の健全性を確保するため、「ソルベンシー・マージン比率」という客観的な基準を用い、必要な是正措置命令を迅速かつ適切に発動していくことで、少額短期保険業者の経営の早期是正を促していく必要がある。

II -2-2-2 監督手法・対応

少額短期保険業者の経営の健全性を確保していくための監督手法である早期是正措置については、「保険業法第272条の25第2項に規定する区分等を定める命令」(平成18年3月10日内閣府・財務省令第1号。以下、 II-2-2において、「区分等を定める命令」という。)において、具体的な措置内容等を規定しているところであるが、その運用基準については下記のとおりとする。

  • (1)命令発動の前提となるソルベンシー・マージン比率

    「区分等を定める命令」第2条第1項の表の区分に係るソルベンシー・マージン比率は以下によるものとする。

    • マル1決算状況表(中間期にあっては中間(決算)状況表)により報告されたソルベンシー・マージン比率(ただし、業務報告書(中間期にあっては中間業務報告書)の提出後は、これにより報告されたソルベンシー・マージン比率)

    • マル2上記マル1が報告された時期以外に、当局の検査結果等を踏まえた少額短期保険業者と監査法人等との協議の後、当該少額短期保険業者から報告されたソルベンシー・マージン比率

  • (2)「区分等を定める命令」第2条第1項の表の区分に基づく命令

    • マル1第1区分の命令及び第2区分の命令の相違

      第1区分の「経営の健全性を確保するための合理的と認められる改善計画の提出の求め及びその実行の命令」は、経営の健全性が確保されている基準としてソルベンシー・マージン比率200%以上の水準の達成を着実に図るためのものである。したがって、計画全体として経営の健全性が確保されるものであることを重視し、その実行にあたっては、基本的に少額短期保険業者の自主性を尊重することとする。

      第2区分の「次の各号に掲げる保険金等の支払能力の充実に資する措置に係る命令」は、ソルベンシー・マージン比率が、経営の健全性を確保する水準をかなり下回っており、これを早期に改善するためのものである。したがって、個々の措置は、当該少額短期保険業者の経営実態を踏まえたものにする必要があることから当該少額短期保険業者の意見は踏まえるものの、当局の判断によって措置内容を定めることとする。なお、少額短期保険業者が当該措置を実行するにあたっては、基本的に個々の措置毎に命令を達成する必要がある。

    • マル2第1区分に係る改善計画の内容

      「経営の健全性を確保するための合理的と認められる改善計画」とは、当該改善計画を実行することにより、原則として1年以内にソルベンシー・マージン比率が200%以上の水準を達成する内容の計画とする。

    • マル3第2区分に係る改善計画の内容

      「保険金等の支払能力の充実に資する措置」とは、ソルベンシー・マージン 比率が、原則として1年以内に少なくとも100%以上の水準を達成するための措置とする。

    • マル4改善までの期間

      ソルベンシー・マージン比率を改善するための所要期間については上記マル2及びマル3を目処とするが、少額短期保険業者が策定する経営改善のための計画等が、当該少額短期保険業者に対する保険契約者等、投資家、市場の信認を維持・回復するために十分なものでなければならないことは言うまでもない。したがって、当該少額短期保険業者の市場との関係の程度等によっては、市場の信認を早急に回復する必要があるため、上記の期間を大幅に縮減する必要がある。なお、少額短期保険業者が、「区分等を定める命令」第3条第1項の規定により、そのソルベンシー・マージン比率を当該少額短期保険業者が該当する「区分等を定める命令」第2条第1項の表の区分に係るソルベンシー・マージン比率の範囲を超えて確実に改善するための合理的と認められる計画を提出した場合であって、当該少額短期保険業者に対し、当該少額短期保険業者が該当する同表の区分に係るソルベンシー・マージン比率の範囲を超えるソルベンシー・マージン比率に係る同表の区分に掲げる命令を発出するときは、上記マル2及びマル3のソルベンシー・マージン比率を改善するための所要期間には、下記 II-2-2-3のソルベンシー・マージン比率が当該少額短期保険業者が該当する同表の区分に係るソルベンシー・マージン比率の範囲を超えて確実に改善するための期間は含まないものとする。

II -2-2-3 「区分等を定める命令」第3条第1項に規定する合理性の判断基準

「区分等を定める命令」第3条第1項の「保険金等の支払能力の充実の状況を示す比率の範囲を超えて確実に改善するための合理的と認められる計画」の合理性の判断基準は、次のとおりとする。

少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を図り当該少額短期保険業者に対する保険契約者等の信頼をつなぎ止めることができる具体的な資本増強計画等を含み、ソルベンシー・マージン比率が、原則として3ヵ月以内に当該少額短期保険業者が該当する「区分等を定める命令」第2条第1項の表の区分に係るソルベンシー・マージン比率の範囲を超えて確実に改善する内容の計画であること。

(注) 増資等の場合は、出資予定者等の意思が明確であることが必要である。

II -2-2-4 命令区分の根拠となるソルベンシー・マージン比率

「区分等を定める命令」第3条第1項の適用にあたり「実施後に見込まれる当該少額短期保険業者の保険金等の支払能力の充実の状況を示す比率以下の保険金等の支払能力の充実の状況を示す比率に係る同表の区分(非対象区分を除く。)に掲げる命令」は、原則として3ヵ月後に確実に見込まれるソルベンシー・マージン比率の水準に係る区分(非対象区分を除く。)に掲げる命令とする。

II -2-2-5 計画の進捗状況の報告等

計画の進捗状況は、毎期(中間期を含む。)報告を求めることとし、その後の実行状況が計画と大幅に乖離していない場合は、原則として計画期間中新たな命令は行わないものとする。ただし、第2区分の命令を行った少額短期保険業者にあっては、その後ソルベンシー・マージン比率が100%以上200%未満の範囲に達したときは、当該時点において第1区分の命令を行うことができるものとする。

また、少額短期保険業者が、「区分等を定める命令」第3条の規定により、そのソルベンシー・マージン比率を当該少額短期保険業者が該当する「区分等を定める命令」第2条第1項の表の区分に係るソルベンシー・マージン比率の範囲を超えて確実に改善するための合理的と認められる計画を提出し、当該少額短期保険業者に対し、当該少額短期保険業者が該当する同表の区分に係るソルベンシー・マージン比率の範囲を超えるソルベンシー・マージン比率に係る同表の区分に掲げる命令を発出した場合においては、原則として増資等の手続に要する期間の経過後直ちに、当該少額短期保険業者のソルベンシー・マージン比率が、当該少額短期保険業者が発出を受けた命令が掲げられた同表の区分に係るソルベンシー・マージン比率以上の水準を達成していないときは、当該時点におけるソルベンシー・マージン比率に係る同表の区分に掲げる命令を発出するものとする。

II -2-2-6 その他

  • (1)「区分等を定める命令」第2条から第3条の規定に係る命令を行う場合は、行政手続法等の規定に従うこととし、同法第13条第1項第2号に基づく弁明の機会の付与等の適正な手続きを取る必要があることに留意する。

  • (2)早期是正措置は、ソルベンシー・マージン比率が少額短期保険業者の財務状況を適切に表していることを前提に発動されるものであることから、早期是正措置の発動を免れるための意図的なソルベンシー・マージン比率の操作を行うといったことがないよう少額短期保険業者に十分留意させることとする。

II -2-3 早期警戒制度

II -2-3-1 意義

少額短期保険業者の経営の健全性を確保していくための手法としては、法第272条の25第2項に基づき、ソルベンシー・マージン比率による「早期是正措置」が定められているところであるが、本措置の対象とはならない少額短期保険業者であっても、その健全性の維持及び一層の向上を図るため、継続的な経営改善への取組みがなされる必要がある。

特に、少額短期保険業者は、その純資産額が1,000万円に満たない場合は、法第272条の26第1項第1号に基づき、業務停止命令や登録取消しの要件となることに留意し、以下による行政上の予防的・総合的な措置を講ずることにより、少額短期保険業者の早め早めの経営改善を促していくものとする。

II -2-3-2 監督手法・対応

  • (1)収益性改善措置

    基本的な収益指標やその見通しを基準として、収益性の改善が必要と認められる少額短期保険業者に関しては、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを行い、必要な場合には法第272条の22に基づき報告を求めることを通じて、着実な改善を促すものとする。

  • (2)資金繰り改善措置

    契約動向や資産の保有状況等を基準として、流動性リスクの管理態勢について改善が必要と認められる少額短期保険業者に関しては、契約動向や資産の保有状況等について、頻度の高い報告を求めるとともに、原因及び改善策等について、深度あるヒアリングを行い、必要な場合には法第272条の22に基づき報告を求めることを通じて、着実な改善を促すものとする。

  • (3)業務改善命令

    以上の措置に関し、改善計画を確実に実行させる必要があると認められる場合には、法第272条の25に基づき業務改善命令を発出するものとする。

II -2-4 再保険に関するリスク管理

II -2-4-1 保有・出再に関するリスク管理

少額短期保険業者が行う元受保険契約において引き受けるリスクの保有・出再について、以下の点に留意する(保有するリスクに対する出再の割合が軽微な場合を除く。)。

  • (1)保有するリスクの規模・集中度を出再を通じて適正に管理するため、取締役会等において、的確な保有・出再政策が策定されているか。

  • (2)保有・出再政策には、引受リスクの特性に応じた一危険単位及び集積危険単位の保有限度額、出再先の健全性、一再保険者への集中の管理に関する基準が含まれているか。

  • (3)保有・出再政策上の保有限度額を超える引受リスクが、手配された再保険によって適切にカバーされているか。

    • (注)手配された再保険が、意図したとおりに引受リスクを軽減するものであることを確認する必要がある。

  • (4)再保険金の回収状況及び将来の回収可能性並びに出再保険の成績が確認されているか。

  • (5)保有・出再政策の遵守状況を確認する体制はとられているか。

II -2-4-2 再保険に係る方針の開示

規則第211条の37第1項第4号イに掲げるリスク管理の体制を開示するにあたっては、以下に掲げる事項についても分かりやすく開示しているか。

  • (1)再保険先会社名

  • (2)再保険を付す際の方針

  • (3)再保険カバーの入手方法

  • (4)主要な集積リスクである地震災害リスク及び台風災害リスクについて、当該リスクが発生した場合に適用される再保険の種類、再保険スキーム上の上限額設定にあたっての考え方等具体的な再保険の内容

II -2-4-3 監督手法・対応

再保険に関するリスク管理について問題があると認められる場合には、必要に応じて法第272条の22に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第272条の25又は法第272条の26に基づき行政処分を行うものとする。

II -2-5 商品開発に係る内部管理態勢

II -2-5-1 意義

保険商品の内容は「普通保険約款」及び「事業方法書」に、料率については「保険料及び責任準備金の算出方法書」に記載されており、新商品の開発、商品内容の変更は、これらの変更を通じて行われている。

少額短期保険業者より商品の届出が行われた場合、各少額短期保険業者の特性や事情等を踏まえ、機械的な運用を行うことがないように配慮する必要がある。その上で、監督当局としては、契約内容が保険契約者等の保護に欠けるおそれがないか、不当な差別的取扱いをするものでないか、契約内容が公序良俗を害するものではないか等の法第272条の4に定める登録の拒否要件に該当するか審査を行い、適当と認められたものについて、これを届出があったものとすることとしている。

少額短期保険業者が商品開発を行うにあたっては、保険業法等の法令等を踏まえ、自己責任原則に基づき、リスク面、財務面、募集面、法制面等あらゆる観点から検討する内部管理態勢の整備が求められているところである。

II -2-5-2 主な着眼点

  • (1)商品開発に係る取締役の認識及び取締役会等の役割

    • マル1取締役会において、少額短期保険業者の経営計画・経営方針に沿った商品開発に係る方針を明確に定めているか。

    • マル2取締役は、商品開発に係る内部管理が健全性維持や適切な業務運営の確保に重大な影響を与えることを十分認識しているか。

    • マル3取締役会は、商品開発に係る内部管理について統合的に管理できる体制を整備しているか。

    • マル4経営上の観点から重要なものについては、商品内容の概略決定にあたり、 収支予測、保険引受リスク、コンプライアンス、販売計画、システム開発、保険商品特有の道徳的危険等についての課題及び検討内容等を取締役会等において議論することが確保されているか。

    • マル5保険料及び責任準備金の算出方法その他の保険数理に関する事項について、保険計理人自らによりその合理性・妥当性等について確認が行われているか、また、その確認のために必要かつ十分な当該少額短期保険業者の社内情報を適時適切に保険計理人に伝えているか。

  • (2)取締役会等への付議体制

    経営に重大な影響を与える新保険商品の開発又は既存保険商品の改廃に際し、当局への届出が必要なものについては、当局への届出前に取締役会等の付議を要することとしているか。

  • (3)社内における検討

    • マル1取締役会において定めた商品開発に関する方針に沿っているか、開発負荷はどの程度かといった点等を勘案して、開発案件の選定を適切に実施しているか。

    • マル2商品内容の概略決定にあたり、収支予測、保険引受リスク、コンプライアンス、販売計画、システム開発、保険商品特有の道徳的危険等についての課題及び検討内容等を社内において議論しているか。

      なお、収支予測については、商品ごとに少額短期保険業者の経営実態を踏まえた実現可能性の高い保険事故発生率並びに事業費その他のシナリオに基づき問題ないものとなっていることを確認しているか。

    • マル3社内において、販売量拡大や収益追及のみを重視することなく、商品に伴うリスク、販売上の留意点等の商品の課題に対する検討を行っているか。また、検討内容等について、取締役会等に対し、直接、必要に応じ随時報告を行っているか。

    • マル4商品内容については、既存の各種規程等との整合性がとれているか、表現は適当か、使用データに誤りはないか等、健全性維持や適切な業務運営の確保に対するチェックの観点は明確となっているか。

    • マル5社内態勢の整備にあたっては、募集時のみならず、保険金支払いに至るまで、保険契約者・被保険者・被害者等に対し、適切な対応が図られるよう検討を行っているか。

    • マル6保険約款の作成については、保険契約者等の視点に立って、分かりやすい内容となるよう努めているか。なお、専門用語や法律用語の安易な使用が保険契約者等の保険約款に対する理解を困難なものにすることに留意しているか。

    • マル7保険契約の内容に影響を与える法令等の改正履歴及び改正予定について、遺漏なく把握すべく態勢を整備しているか。

      また、保険法においては、介入権、被保険者による解除請求、危険の増減、保険料の未経過期間に対応した合理的かつ適切な金額の返還など保険契約に係る制度が改正及び新設されており、当該制度に適切に対応できる態勢を整備しているか。

    • マル8保険商品の開発等に係るシステム開発時のチェック及びシステム開発後のチェック・管理については、「 II -3-12 システムリスク管理態勢」も参照のこと。

  • (4)届出手続きのための検討体制

    • マル1届出関係書類(当局の審査に必要と認められる資料を含む。)を作成する場合に、事前に十分な検討を行っているか。また、充分な募集体制整備が図られるよう、できるだけ早期に計画的に準備し、時間的余裕をもって届出を行うことができるよう努めているか。

    • マル2社内において適切なチェックを実施しているか。また、チェックを統括する責任者は明確となっているか。

  • (5)当局審査における指摘事項等に対する対応

    • マル1主な指摘事項に対する検討状況や検討結果を事後的に確認可能であるように記録しているか。

    • マル2取締役会等で議論の前提となっていた収支予測、保険引受リスク、コンプライアンス、販売計画、システム開発等へ影響を及ぼすなど、特に重要な指摘事項については取締役会等において議論しているか。

  • (6)書類全体に係る正確性確保のための体制

    書類の作成に際して、申請書類作成担当者以外の職員(メンバー)による読み合わせの励行等、複層的チェックを行う態勢の確立などにより、記載内容に係る正確性確保のための措置を講じているか。

  • (7)商品販売開始前の体制

    • マル1法令上の引受可能額を超えて引受けを行うことを防止するため、定期的に検証を行うための体制を整備しているか。

    • マル2販売商品に係る業務規程の整備、販売資料の作成・確認、契約データ管理、必要なシステム対応等の態勢が整備されるよう準備期間をとっているか。

    • マル3従業員(募集人、代理店等含む。)に対し、業務規程の内容、顧客への説明方法等の募集時の留意事項について充分に周知が図られるよう準備期間をとっているか。

    • マル4規則第211条の30により求められる業務運営に関する措置その他必要な体制を整備しているか。

  • (8)商品販売開始後のフォローアップ

    • マル1リスク管理を適切に行うために、商品開発プロセスの中にフォローアップが組み込まれているか。

    • マル2販売後のフォローアップについて、その視点、担当部署、時期、手法、結果の利用方法は明確に定められているか。

    • マル3フォローアップを販売開始後の適切な時点で実施しているか。

    • マル4フォローアップ結果は取締役会等に対して直接、必要に応じ随時報告されているか。また、報告の内容は分かりやすく、かつ、正確なものとなっているか。

    • マル5保険契約の引受けが業務規程に則って行われていることのチェックを実施しているか。

    • マル6保険種類別などの適切な単位ごとに収支分析や保険料及び責任準備金の計算基礎率の妥当性の検証を実施しているか。

    • マル7上記マル6の検証結果等を踏まえ、必要に応じて基礎率の改定を実施しているか。

    • マル8想定外の収支の悪化やリスクの増大を防ぐために、定期的にモニタリングを行い、販売方針の変更、商品内容や価格の改定、売り止め等の対応を適時に検討するための基準を設定しているか。

    • マル9商品に対する顧客、代理店等からの意見収集などによるフォローアップの結果を、今後の商品開発に反映させることとしているか。

II -2-5-3 監督手法・対応

商品開発に係る内部管理態勢について問題があると認められる場合には、必要に応じて法第272条の22に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第272条の25に基づき行政処分を行うものとする。

II -2-6 保険引受リスク管理態勢

II -2-6-1 意義

保険引受リスクとは、経済情勢や保険事故の発生率等が保険料設定時の予測に反して変動することにより、少額短期保険業者が損失を被るリスクをいう。少額短期保険業者においては、このような保険引受リスクを適切に管理するための態勢整備が重要である。

II -2-6-2 主な着眼点

「総合指針 II -3-10-2 <保険引受リスク管理態勢> 主な着眼点」に準じて取扱うものとする。

II -2-6-3 監督手法・対応

保険引受リスク管理態勢について問題があると認められる場合には、必要に応じて法第272条の22に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第272条の25又は法第272条の26に基づき行政処分を行うものとする。

II -2-7 資産運用リスク管理態勢

II -2-7-1 意義

少額短期保険業者の資産運用については財務の健全性の確保の観点から預金等の安全資産に限定した運用が求められる。このような資産運用の内容を踏まえた資産運用リスク管理態勢の整備が必要である。

II -2-7-2 主な着眼点

法第272条の12、規則第211条の26、規則第211条の27及び規則第211条の28に規定する資産運用になっているか。また、その管理態勢は構築されているか。

II -2-7-3 監督手法・対応

資産運用リスク管理態勢について問題があると認められる場合には、必要に応じて法第272条の22に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第272条の25又は法第272条の26に基づき行政処分を行うものとする。

II -2-8 流動性リスク管理態勢

II -2-8-1 意義

保険料収入等の状況により資金繰りに支障をきたした場合、経営に重大な影響を及ぼす可能性があることから、日頃から資金繰り状況に注視し、適切にリスク管理していくことが重要である。

II -2-8-2 主な着眼点

「総合指針 II -3-13-2 <流動性リスク管理態勢> 主な着眼点」に準じて取扱うものとする。

II -2-8-3 監督手法・対応

流動性リスク管理態勢について問題があると認められる場合には、必要に応じて法第272条の22に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第272条の25又は法第272条の26に基づく行政処分を行うものとする。

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