「金融庁の1年(平成17事務年度版)」について
平成18年9月15日
金融庁
I .趣旨
金融庁は、我が国の金融の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等の保護を図るとともに金融の円滑を図ることを任務として、透明かつ公正な行政を行っています。
平成17事務年度(17年7月~18年6月)においては、不良債権問題が正常化する中で、金融機関が積極的にリスクを取っていけるような「正常な金融」の復活に向けて、金融・資本市場の構造改革と活性化を一層図るとともに、金融商品・サービスの利用者が安心感と信頼感を持って取引できる環境を整備するための、各般の取組みを進めてまいりました。
例えば昨年10月には、金融機関の販売チャネルを多様化し、顧客の金融サービスへのアクセス改善と金融機関の業務の効率化を図る制度設計として、銀行法等の改正により銀行代理店制度を見直しました。また、本年6月には、金融・資本市場を取り巻く環境の変化に対応し、投資者保護を拡充するための横断的な法制として、証券取引法を改組して「金融商品取引法」(いわゆる投資サービス法制)とする法律等が成立しました。
さらに、金融商品・サービスを巡る苦情・トラブルや金融犯罪の急増、金融・資本市場の公正・信頼を損なうような不正取引やシステム不具合の頻発など、金融システムの安全・安心という点に照らして看過できない問題が多発したことを踏まえ、利用者の安心を確保し、市場の信頼性向上を図るための各種施策にも取り組んでまいりました。
本「金融庁の1年」は、こうした金融庁の平成17事務年度における様々な取組みを、制度の企画立案・検査・監督の各般にわたって取りまとめたものです。本冊子が、国民の皆さんにとって、金融庁並びに金融行政に対する理解を深めていただくきっかけとなれば幸いです。
II .全体の構成
「金融庁の1年(平成17事務年度版)」は、本編及び資料編から成り立っている。本編は、
- 第1部 金融庁の組織及び行政運営
- 第2部 金融に関する制度の企画及び立案
- 第3部 金融監督等
- 第4部 金融検査
- 第5部 国際関係の動き
から構成されており、本編に関連する資料(報道発表資料等)を資料編としてまとめている。
III .概要
第1部 金融庁の組織及び行政運営
第1部は、金融庁の組織とこの1年間の行政運営について記載している。主なポイントとしては、
(1)金融庁の組織に関しては、所掌事務や組織編成の特徴、18年度の体制整備について記載している。
(2)金融庁の行政運営に関しては、この1年間の行政運営として、職員の任用、研究、研修、広報、情報公開・政策評価への取組み等について記載している。
(3)金融サービス利用者相談室の開設について記載している。
第2部 金融に関する制度の企画及び立案
第2部は、預金取扱金融機関、保険、証券市場等に関する制度の企画・立案の概要、審議会等の活動状況、政府全体の施策における金融庁の取組み等について記載している。主なポイントとしては、
(1)金融に関する制度の企画・立案に関しては、以下の事項等について記載している。
○銀行法等の一部を改定する法律(銀行代理業制度創設等)について
○預金保険制度(ペイオフ解禁)について
○保険業法等の一部を改正する法律の施行に伴う政令・府令等の整備
○金融商品取引法の制定
○ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた取組み
○信託法の改正に伴う信託業法の整備
○会社法制の現代化と金融関係法令の整備
○新しい電子的支払サービスの検討
(2)審議会等の活動状況に関しては、金融庁に置かれた金融審議会、企業会計審議会、金融トラブル連絡調整協議会等の開催状況や審議内容について記載している。
(3)政府全体の施策における金融庁の取組みに関しては、金融システムの改革に向けた取組み、及び、規制改革・民間開放に関する取組みといった政府全体の経済政策において重要な政策として位置づけられている施策の概要や金融庁の具体的施策について記載している。
第3部 金融監督等
第3部は、預金取扱金融機関、信託会社、保険会社、証券会社等に関する監督をめぐる動きのほか、法令適用事前確認手続、疑わしい取引の届出制度等について記載している。主なポイントとしては、
(1)業態横断的な監督業務に関しては、金融改革プログラム等を踏まえた新たな金融監督の取組みについて記載している。
(2)預金取扱金融機関に関しては、監督指針・監督方針、17年度決算の概況や金融機関の再編等の状況、行政処分の内容、バーゼル II (新しい自己資本比率規制)への対応、金融危機への対応、資本増強制度への対応、地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム、中小企業金融の円滑化(いわゆる貸し渋り問題への対応)、偽造・盗難キャッシュカード問題等への対応、口座不正利用問題への対応等について記載している。
(3)信託会社等に関しては、新規参入や外国系信託銀行の退出等について記載している。
(4)保険会社に関しては、17年度決算の概要や保険会社の再編の状況、少額短期保険業者への対応等新たな課題への対応等について記載している。
(5)証券会社等に関しては、17年度決算の概要や証券会社の数の推移、顧客資産の分別保管の徹底及び投資者保護基金、行政処分の内容等について記載している。
(6)法令適用事前確認手続(ノーアクションレター制度)、一般的な法令解釈に係る書面照会手続に関しては、導入の経緯、利用手続等について記載している。
(7)疑わしい取引の届出制度に関しては、疑わしい取引の届出制度、届出と提供の状況等について記載している。
(8)課徴金制度に関しては、導入の経緯、課徴金納付命令等の状況について記載している。
第4部 金融検査
第4部は、17事務年度の金融検査の実施状況や金融検査の透明性・実効性の向上等のための方策について記載している。主なポイントとしては、
(1)17事務年度の金融検査の実施状況に関しては、金融検査に関する基本指針と金融検査評定制度、利用者保護への対応、中小企業の事業再生や地域の再生・活性化への対応について記載したほか、預金取扱金融機関、保険会社等に対する検査の実施状況と検査結果の概要について記載している。
(2)金融検査の透明性・実効性の向上等のための方策に関しては、金融機関等から業務の委託を受けたものに対する検査、検査マニュアルの整備、検査モニター、意見申出制度等について記載している。
第5部 国際関係の動き
第5部は、金融監督に関する国際機構や金融に関するその他の国際的なフォーラムの活動状況や、金融庁と各国の金融検査監督当局との連携強化に向けた取組み、アジア金融資本市場とわが国市場の発展に関する共同研究、ヘッジファンドに関する調査について記載している。主なポイントとしては、
(1)金融監督に関する国際機構に関しては、バーゼル銀行監督委員会、証券監督者国際機構、保険監督者国際機構等の活動の現状と、それに対する金融庁の対応状況について記載している。
(2)金融に関するその他の国際的なフォーラムに関しては、金融安定化フォーラム、国際通貨基金、世界貿易機関及び経済連携協定交渉、金融活動作業部会等での金融庁に関連する議論の現況について記載している。
(3)海外の金融検査監督当局との連携強化に関しては、金融監督者間の2国間連携の強化、金融庁の技術支援の取組み等について記載している。
連絡・問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局政策課政策評価企画係
総務企画局政策課政策評価開発係
(内線3714、3231、3160)