「金融庁の1年(平成19事務年度版)」について

平成20年9月19日
金融庁

I . 趣旨

金融庁は、我が国の金融の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等の保護を図るとともに金融の円滑を図ることを任務として、透明かつ公正な行政の実施に努めています。

平成19事務年度(19年7月~20年6月)においては、我が国金融・資本市場の競争力強化と、その一部を構成するベター・レギュレーション(金融規制の質的向上)の推進、そしてサブプライム・ローン問題を契機とするグローバルな市場の混乱への対応などを通じ、引き続き、金融システムの安定、利用者の保護・利用者利便の向上、公正・透明で活発な市場の確立に向けた取組みを進めてまいりました。

まず、我が国金融・資本市場の競争力強化については、内外から資金・情報・人材が幅広く集積する、魅力ある質の高い金融・資本市場の構築に向け、「市場強化プラン」(金融・資本市場競争力強化プラン、平成19年12月公表)をとりまとめ、これを強力に推進しているところです。

また、ベター・レギュレーションの推進については、金融機関の自助努力を尊重し、金融機関へのインセンティブを重視する他、検査・監督等においてリスクを早期に認識し、重要課題に対して優先的に行政対応を行うとともに、行政対応の透明性・予測可能性の向上に努めています。

サブプライム問題を契機とする世界的な金融の混乱が我が国金融システムに及ぼす影響については、欧米と比較すれば相対的には限定されています。しかしながら、日本国内においても、原油・原材料価格の高騰等を背景に景気の下振れリスクが高まる中、中小企業の業況は厳しい状況にあり、民間金融機関においては、適切なリスク管理の下、金融仲介機能の適切な発揮が期待されているところです。

本冊子「金融庁の1年」は、こうした金融庁の平成19事務年度における様々な取組みを、制度の企画立案・検査・監督の各般にわたって取りまとめたものです。本冊子が、国民の皆さんにとって、金融庁並びに金融行政に対する理解を深めていただくきっかけとなれば幸いです。

II. 全体の構成

「金融庁の1年(平成19事務年度版)」は、本編及び資料編から成り立っている。本編は、

  • 第1部 金融庁の組織及び行政運営
  • 第2部 金融に関する制度の企画及び立案
  • 第3部 金融監督等
  • 第4部 金融検査
  • 第5部 国際関係の動き

から構成されており、本編に関連する資料(報道発表資料等)を資料編としてまとめている。

III. 概要

第1部 金融庁の組織及び行政運営

第1部は、金融庁の組織とこの1年間の行政運営について記載している。主なポイントとしては、

  • (1)金融庁の組織に関しては、所掌事務や組織編成の特徴、20年度の体制整備について記載している。

  • (2)金融庁の行政運営に関しては、この1年間の行政運営として、職員の任用、研究、研修、広報、情報公開、金融サービス利用者からの相談、政策評価への取組み等について記載している。

第2部 金融に関する制度の企画及び立案

第2部は、金融・資本市場等に関する制度の企画・立案等の概要、審議会等の活動状況、政府全体の施策における金融庁の取組み等について記載している。主なポイントとしては、

  • (1)金融に関する制度の企画・立案に関しては、以下の事項等について記載している。

    • 金融商品取引法の施行

    • ディスクロージャー制度の充実・運用

    • 公認会計士法等の改正に伴う関係政令・内閣府令等の整備

    • 市場強化プラン(Better Market Initiative)について

    • 金融商品取引法等の一部を改正する法律について

    • 投信法施行令及び投信法施行規則等の改正(ETFの多様化)について

    • その他金融・資本市場等に関する各種施策

    • 貸金業法等の改正に伴う関係政令・内閣府令の整備

    • 銀行等による保険販売の全面解禁について

    • 電子記録債権制度について

    • 犯罪収益移転防止法の施行への取組みについて

    • 振り込め詐欺救済法について

    • 決済システムの整備・強化に向けた取組みについて

  • (2)審議会等の活動状況に関しては、金融庁に置かれた金融審議会、企業会計審議会、金融トラブル連絡調整協議会等の開催状況や審議内容について記載している。

  • (3)政府全体の施策における金融庁の取組みに関しては、金融システムの改革に向けた取組み、及び規制改革に関する取組みといった政府全体の経済政策において重要な政策として位置づけられている施策の概要や金融庁の具体的施策について記載している。

第3部 金融監督等

第3部は、預金取扱金融機関、信託会社、保険会社、証券会社等に関する監督をめぐる動きのほか、法令適用事前確認手続、課徴金納付命令等について記載している。主なポイントとしては、

  • (1)業務横断的な監督をめぐる動きに関しては、監督におけるベター・レギュレーション推進のための取組み、金融コングロマリット監督と国際監督、サブプライムローン問題への対応等について記載している。

  • (2)預金取扱金融機関に関しては、監督指針・監督方針、19年度決算の概況や金融機関の再編等の状況、行政処分の内容、バーゼル II (新しい自己資本比率規制)への対応、金融危機への対応、資本増強制度への対応、地域密着型金融の推進、中小企業金融の円滑化(いわゆる貸し渋り問題)への対応等について記載している。

  • (3)信託会社等に関しては、監督指針、新規参入、行政処分等について記載している。

  • (4)保険会社に関しては、総合的な監督指針・監督方針、19年度決算状況、保険会社の再編等の状況、行政処分の内容、保険金等の不適切な不払い問題等への対応、少額短期保険業者への対応等について記載している。

  • (5)証券会社等に関しては、監督指針・監督方針、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業等について記載している。

  • (6)法令適用事前確認手続(ノーアクションレター制度)、一般的な法令解釈に係る書面照会手続に関しては、手続きの概要等について記載している。

  • (7)課徴金納付命令に関しては、導入の経緯、課徴金納付命令等の状況について記載している。

第4部 金融検査

第4部は、19事務年度の金融検査の実施状況や金融検査の透明性・実効性の向上等のための方策等について記載している。主なポイントとしては、

  • (1)19事務年度の金融検査の実施状況に関しては、リスク特性及び金融環境の変化を踏まえたリスク管理態勢等の構築、実効性のある利用者保護の実現、金融取引のグローバル化への適切な対処、地域金融を巡る構造の変化への対応についての検証について記載したほか、預金等取扱受入金融機関、保険会社等に対する検査の実施状況と検査結果の概要について記載している。

  • (2)金融検査の透明性・実効性の向上等のための方策に関しては、検査におけるベター・レギュレーション推進のための取組み、検査マニュアルの整備、金融検査評定制度、検査モニター制度等について記載している。

第5部 国際関係の動き

第5部は、金融監督国際機構や金融に関するその他の国際的なフォーラムの概況及び活動状況や、海外の金融当局との連携強化について記載している。主なポイントとしては、

  • (1)金融監督国際機構に関しては、バーゼル銀行監督委員会、証券監督者国際機構、保険監督者国際機構等の活動の現状と、それに対する金融庁の対応状況について記載している。

  • (2)金融に関するその他の国際的なフォーラムに関しては、金融安定化フォーラム、国際通貨基金、経済協力開発機構、世界貿易機関、経済連携協定、金融活動作業部会等での金融庁に関連する議論の現況について記載している。

  • (3)海外の金融当局との連携強化に関しては、金融監督者間の2国間連携の強化、金融庁の技術支援の取組み等について記載している。

連絡・問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局政策課(内線3167、3231)

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