「金融庁の1年(平成20事務年度版)」について
平成21年8月28日
金融庁
I . 趣旨
金融庁は、我が国の金融の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等の保護を図るとともに金融の円滑を図ることを任務として、透明かつ公正な行政の実施に努めています。
平成20事務年度(20年7月~21年6月)においては、世界的な金融危機に対応するため、金融仲介機能の維持・促進に向けた各般の施策を講ずるとともに、昨事務年度に引き続き、我が国金融・資本市場の競争力を強化するための取組みや金融規制の質的向上を目指すベター・レギュレーションへの取組みについても重点的に推進してまいりました。
世界的な金融危機の中、景気が悪化し、企業の業況や資金繰りが厳しさを増す状況の下で、金融機関による適切かつ積極的な金融仲介機能の発揮が一層重要との認識に基づき、金融の円滑化に向けた各般の施策を実施してきました。さらに、国際面では、金融危機の再発防止と金融システムの強化に向け、G20首脳会合や金融安定理事会(FSB)等での議論に積極的に参画してきました。
我が国金融・資本市場の魅力を高め、市場を活性化させるため、ファイアーウォール規制の見直しなどといった金融サービス業の活力と競争を促すビジネス環境の整備に加え、信頼と活力ある市場を構築する観点から、信用格付業者に対する規制の導入、裁判外紛争解決制度(金融ADR)の創設等の措置を内容とする金融商品取引法の改正を行いました。さらに、資金決済サービスの適切な実施を確保し利用者の保護等を図るため、資金移動業の創設等を内容とする資金決済に関する法律を制定しました。
ベター・レギュレーションについては、絶えず変化する金融規制環境の中、世界的な金融危機への対応等の重要課題に重点的に行政資源を投入するとともに、重要なリスクに焦点をあてたメリハリのある検査を推進するなど、質の高い規制環境の実現を目指し、その定着に向けた努力を継続してまいりました。
本冊子「金融庁の1年」は、こうした金融庁の平成20事務年度における様々な取組みを、制度の企画立案・検査・監督の各般にわたって取りまとめたものです。本冊子が、国民の皆さんにとって、金融庁並びに金融行政に対する理解を深めていただくきっかけとなれば幸いです。
II. 全体の構成
「金融庁の1年(平成20事務年度版)」は、本編及び資料編から成り立っています。本編は、
- 第1部 金融庁の組織及び行政運営
- 第2部 金融に関する制度の企画及び立案
- 第3部 金融監督等
- 第4部 金融検査
- 第5部 国際関係の動き
から構成されており、本編に関連する資料(報道発表資料等)を資料編としてまとめています。
III. 概要
第1部 金融庁の組織及び行政運営
第1部は、金融庁の組織とこの1年間の行政運営について記載しています。主なポイントとしては、
(1)金融庁の組織に関しては、所掌事務や組織編成の特徴、21年度の体制整備について記載しています。
(2)金融庁の行政運営に関しては、この1年間の行政運営として、ベター・レギュレーション(金融規制の質的向上)への取組みをはじめ、世界的な金融危機への対応、職員の任用、研究、研修、広報、情報公開、金融サービス利用者相談室、政策評価への取組み等について記載しています。
第2部 金融に関する制度の企画及び立案
第2部は、金融・資本市場等に関する制度の企画・立案等の取組み、預金取扱金融機関・保険会社その他の金融に関する制度の企画・立案、審議会等の活動状況、政府全体の施策における金融庁の取組み等について記載しています。主なポイントとしては、
(1)金融・資本市場等に関する制度の企画・立案等に関しては、以下の事項等について記載しています。
○金融商品取引法の改正(平成20年6月6日成立)に伴う関係政令・内閣府令の整備
○金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成21年6月17日成立)
○市場強化プラン(Better Market Initiative)
○ディスクロージャー制度の充実・運用
○金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令
○その他金融・資本市場等に関する各種施策
(2)審議会等の活動状況に関しては、金融庁に置かれた金融審議会、企業会計審議会、金融トラブル連絡調整協議会等の開催状況や審議内容について記載しています。
(3)政府全体の施策における金融庁の取組みに関しては、政府の経済財政政策における金融庁の取組み、政府の経済対策における金融庁の取組み、金融税制に関する取組みといった政府全体の経済政策において重要な政策として位置づけられている施策の概要や金融庁の具体的施策について記載しています。
第3部 金融監督等
第3部は、預金取扱金融機関、信託会社、保険会社、証券会社等に関する監督をめぐる動きのほか、法令適用事前確認手続(ノーアクションレター制度)、課徴金納付命令等について記載しています。主なポイントとしては、
(1)業務横断的な監督をめぐる動きに関しては、世界的な金融危機への対応、オフサイト・モニタリング、金融上の行政処分、反社会的勢力への対応、金融コングロマリット監督等について記載しています。
(2)預金取扱金融機関に関しては、監督指針・監督方針、20年度決算の概況や金融機関の再編等の状況、行政処分の内容、バーゼル II (自己資本比率規制)への対応、資本増強制度への対応(旧金融機能強化法、金融機能早期健全化法等)、地域密着型金融の推進、中小企業をはじめとした企業金融の円滑化(いわゆる「貸し渋り」問題)への対応、振り込め詐欺への対応等について記載しています。
(3)信託会社等に関しては、監督指針、新規参入、行政処分等について記載しています。
(4)保険会社に関しては、監督指針・監督方針、20年度決算状況、保険会社の再編等の状況、行政処分の内容、保険金等の不適切な不払い問題等への対応、少額短期保険業者への対応等について記載しています。
(5)証券会社等に関しては、監督指針・監督方針、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業、認定投資者保護団体等について記載しています。
(6)法令適用事前確認手続(ノーアクションレター制度)、一般的な法令解釈に係る書面照会手続に関しては、手続きの概要等について記載しています。
(7)課徴金納付命令に関しては、導入の経緯、課徴金納付命令等の状況について記載しています。
第4部 金融検査
第4部は、20事務年度の金融検査の実施状況や金融検査の透明性・実効性の向上等のための方策等について記載しています。主なポイントとしては、
(1)金融検査の実施状況に関しては、20事務年度検査基本方針に基づいた施策、金融円滑化のための集中検査について記載したほか、預金等取扱受入金融機関、保険会社等に対する検査の実施状況と検査結果の概要について記載しています。
(2)金融検査の透明性・実効性の向上等のための方策に関しては、検査におけるベター・レギュレーション推進のための取組み、検査マニュアルの整備、金融検査評定制度、検査モニター制度、金融検査指摘事例集等について記載しています。
第5部 国際関係の動き
第5部は、世界的な金融市場の混乱への国際的な対応、金融監督国際機構、金融に関するその他の国際的なフォーラム、海外の金融当局との連携強化について記載しています。主なポイントとしては、
(1)世界的な金融市場の混乱への国際的な対応に関しては、首脳・閣僚級の国際会議(金融サミット等)の概要、活動状況及び金融庁の対応のほか、金融安定化フォーラム、金融安定理事会の概要及び活動状況について記載しています。
(2)金融監督国際機構に関しては、バーゼル銀行監督委員会、証券監督者国際機構、保険監督者国際機構等の概要及び活動状況について記載しています。
(3)金融に関するその他の国際的なフォーラムに関しては、国際通貨基金、経済協力開発機構、世界貿易機関、経済連携協定等の概要及び活動状況について記載しています。
(4)海外の金融当局との連携強化に関しては、金融監督者間の2国間連携の強化、金融庁の技術支援の取組みについて記載しています。
連絡・問い合わせ先
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局政策課(内線3167、3231)