衆議院財務金融委員会における伊藤金融担当大臣の所信表明

(平成16年10月22日)

(はじめに)

このたびの内閣改造で金融担当大臣に就任致しました伊藤でございます。よろしくお願い申し上げます。本日は、現下の金融行政について一言述べさせて頂きたいと思います。

最近の経済情勢を見ますと、企業収益が大幅に改善し、設備投資が増加するなど、景気は堅調に回復してきています。政府としては、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四」の早期具体化により構造改革の取組を加速・拡大し、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を目指しているところです。特に、金融行政においては、金融システムの安定・強化及び金融・資本市場の構造改革と活性化に強力に取り組んでいるところです。

(金融システムの安定・強化について)

まず、金融システムの安定・強化に関しては、平成十六年度末までに不良債権問題を正常化させ、平成十七年四月から予定通りペイオフ解禁拡大を実施することとしております。

不良債権処理につきましては、構造改革を支えるより強固な金融システムを構築する観点から、「金融再生プログラム」の諸施策の推進に全力を尽くしているところです。

主要行に関しては、不良債権比率が十四年三月期の八.四%から十六年三月期には五.二%と三.二%ポイント低下するなど、主要行の不良債権比率を本年度末までに十四年三月期の半分程度に低下させるとの目標の達成に向けて、着実に進捗しております。

また、中小・地域金融機関に関しては、中小企業の再生と地域経済の活性化を図ることで不良債権問題も同時に解決していくことを目指し、昨年三月に公表した「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」の諸施策を推進しております。

その一環として、中小企業の実態により即した検査を確保する観点から、本年二月に、「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」の改訂を行うとともに、中小・地域金融機関の業務の特性を踏まえた多面的な評価による総合的な監督体系の確立が必要との判断から、本年五月、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」を策定・公表しております。

各金融機関においても、早期事業再生や担保・保証に過度に依存しない融資への取組等、地域密着型金融の機能強化に向けた取組が進んできているものと認識しております。

なお、地域経済の活性化や金融システムの安定・強化を目的として、新たな公的資金制度を織り込んだ「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」を、本年八月一日から施行しているところです。

(金融・資本市場の構造改革と活性化について)

次に、金融・資本市場の構造改革と活性化について御説明致します。

我が国における資金仲介機能を強化し、経済の活性化を図るためには、国際的にも最高水準の金融機能が利用者のニーズに応じて提供されるような金融・資本市場を構築していく必要があります。

その一環として、信託業について、その受託可能財産の範囲や担い手の拡大を図るなど、信託制度の整備を行うこととしております。

また、金融先物取引をめぐる環境の変化に対応し、外国為替証拠金取引に基づく被害の拡大を防止する観点から、外国為替証拠金取引やこれに類似する取引を取り扱う業者を「金融先物取引業者」の定義に含め規制対象とするとともに、取引を行う顧客を保護するために必要な規制の整備を行うこととしております。

これらの施策を実現するため、本国会では、先の通常国会で提出した「信託業法案」が継続案件とされているほか、このたび新たに「金融先物取引法の一部を改正する法律案」を提出したところであります。

なお、「信託業法案」につきましては、誠に遺憾ではありますが、二箇所の誤りがございました。これらの誤りにつきましては、深くお詫び申し上げます。

(結び)

法律案の詳しい内容につきましては、今後、改めて御説明させて頂きますが、当委員会の委員長及び委員の皆様におかれましては、よろしくお願い申し上げます。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る