平成13年1月6日

金融担当大臣談話

-中央省庁再編に当たって-

中央省庁再編に伴い、内閣機能強化の観点から新設された特命担当大臣として、金融庁所管事項等について掌理することとなった。

金融庁は、昨年7月1日、全体の中央省庁再編に先行して、金融再生委員会におかれていた金融監督庁と大蔵省金融企画局を統合して設立された。さらに、本日の中央省庁再編に当たり、改めて内閣府の外局として設置されるとともに、金融再生委員会の廃止に伴い、金融再生委員会が担ってきた破綻処理や資本増強等による金融安定化に向けた役割を引き継ぐこととなった。

金融庁は、金融制度の企画立案機能から検査・監督・監視の実施機能までを一貫して担うとともに、銀行、保険、証券等の分野の全てを監督する立場(いわゆるIntegrated Regulator)として、我が国金融の機能の安定を確保し、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等の保護を図るとともに金融の円滑化を図ることを任務としている。金融庁は、その与えられた役割を的確に遂行することにより、その任務を果たして行く。

我が国金融システムは、金融再生法に基づく破綻金融機関の迅速な処理や早期健全化法に基づく公的資本増強の実施等に加え、金融機関に対する厳正な検査・監督等により、不良債権の処理や金融機関の再編等も進んできていることから、一時期と比較して格段に安定性を取り戻してきている。景気回復の足取りがなお本格化しないこと等から、不良債権残高は横這いで推移しているが、各金融機関は引当など適切な処理を行っており、金融機関の健全性についてかつてのような問題があるわけではない。こうした状況を踏まえつつ、平成14年4月のペイオフ解禁を控えて、さらに揺るぎない金融システムの構築に向けて努力する必要がある。

また、このような金融安定化の努力と並行して、経済活動の基盤をなす金融システムが国民経済の活性化に資するよう、金融システム改革の理念を踏まえ、競争を促進し、活力ある金融システムの構築を図るとともに、国民が多様な金融サービスの便益を安心して享受するための枠組みや、産業に円滑な資金供給を可能とする直接金融市場等を整備していくことが重要である。

さらに、金融技術や情報通信技術の発達、金融・経済のグローバル化の進展等に伴い、業態間の垣根を越えた多様な金融商品・サービスの開発が急速に進んでいるほか、大量の資金がより利便性の高い金融市場を目指し国境を越えて移動しており、この傾向は今後ますます加速するものと考えられる。このような展望を踏まえ、国際的なルールづくりに積極的に貢献するとともに、利用者にとって一層利便性が高く、国際的にも重要かつ安定的な地位を保持し、新世紀をリードする金融インフラの整備を図る必要がある。

今回の中央省庁再編により金融システム全体に対し一元的に責任を持つこととなった金融庁としては、これまで金融再生委員会が積み重ねてきた実績や方針も引き継ぎ、今後とも、安定的で活力ある金融システムを構築し、市場規律と自己責任原則を基軸とした、明確なルールに基づく透明かつ公正な金融行政の遂行に全力を挙げて取り組んで参りたい。

(以上)

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