柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年7月6日(金)10時45分~11時01分)

【閣議案件等】

おはようございます。閣議の前に公害対策会議がありまして、私は財務大臣の代理として出席しましたけれども、新しく基本計画を作る地域が札幌以下5カ所決定をみたということでございました。

それから閣議になりまして10時からでございますけれども、お久方ぶりに総理ご出席の下での閣議がございましたが、海外出張中の大臣も結構多くて、何と申しますか、応接室での座り方も、少し我が方が少なかったということで船が向こう側に傾いたような気がしました。

閣議の内容ですけれども、まず「仕事と子育ての両立支援策」の方針が決定をされました。これは、総理ご自身の発言もございました。それから、新総合物流施策大綱の決定がありました。防衛白書、27回目だそうですが、これも報告がありました。労働白書は今年から、ちょっと理由を聞くのを忘れたのですが、「労働経済の分析」というふうに銘打たれて発表されました。それから、官房長官から法案成立の状況の説明があり、尾身沖縄・北方担当大臣の方から在沖縄米軍にかかる事件への対応についての報告がございました。総理の訪米、訪英、訪仏の状況の報告がありました。気候変動に関するオランダにおける非公式閣僚会合についての報告がありました。武部農林水産大臣の海外出張中は片山総務大臣が臨時代理に指定されました。

以上で、閣議案件は了しまして、次いで閣僚懇に移りました。尾身大臣から関西産・官・学界の関係者との懇談、あるいは関係施設の視察のお話がありました。これについては、厚生労働大臣からも是非関西の経済を活性化するべく、そちら方面でも頑張って欲しいとの発言がフォローされました。池田小学校への文部科学大臣の視察について報告がありました。危機管理のためのネットワーク網についての発言がありましたが、これは各秘書官が関係閣僚の連絡先のリストは持っておるということで、各大臣も了承しました。沖縄の先程の事件について、いま少し報告が、国民に対しての説明が必要ではないかといった視点の発言がありました。サンマ漁に関しての漁民が非常に東京にも繰り出してきているような状況なので、事態の変化があったら、それについて説明して欲しい旨の発言がございました。大体、以上でございます。

【質疑応答】

問)

週末のサミットの財務相会合と、それに先立ちます日米財務相会談ですけれども、水曜日に塩川財務大臣の記者会見の中で、おそらく米国側からは不良債権の問題が出てくるだろうと、質問があるだろうという見通しが示されています。特に公的資金の再注入論というものがくすぶる中で、特に米国側がそういうものを要求するのではないかという観測がある中で、大臣というか、日本側はどのような説明をされるお考えなのか、改めてお聞かせください。

答)

どうでしょう、そういう類の発言があるかないか、ちょっと私としては今ご指摘のような見通しを持っておりません。むしろアメリカ側は不良債権処理のいろいろな方式について自分たちの経験ということを役立たせたらどうかと、こういうことだろうと思います。その上に立って、どういう話の展開になるかということは、ちょっとこれはなかなか見通せないのですけれども、私が受けているところでは、やはりアメリカは自分たちの経験を活かしたらどうですかというところではないかと、こんなふうに思ってますけれども。

問)

つまり、RTC(整理信託公社)の経験というものが、「骨太の方針」に含まれたRCC(整理回収機構)の活用などのような施策に活かせるかどうか、そういうことを指しているのでしょうか。

答)

そうではないかと思うのですけれどもね。ちょっとこれについては、むしろ塩川大臣の方はああいう小規模な金融機関のケースと我が方のケースでは、かなりの違いがあるのではないかと、この方では、むしろ塩川大臣は非常に明確なご認識をお持ちだというふうに思います。

問)

月内にもまとまる公的資金注入行の各行の経営健全化計画ですけれども、どういった点に重点を置くのか、特に2年前と比べて、貸し渋りの是正というところから不良債権の最終処理ということに政策の力点も移っていると思いますけれども、中小企業向けの貸し出しですね、例えば経営の自由を奪うとか、あるいはリスクアセットの縮小に逆行しているのではないか、あるいは中小金融機関を圧迫しているのではないかといった様々な批判がある中で、位置付けを何か見直されるような考えはないのでしょうか、お聞かせください。

答)

当面はですね、やはりあくまでそれぞれの金融機関が判断されること、どうするかということは判断することだろうと思うのです。その過程でいろいろな相談があるのかどうか、ちょっと私、そこまで何と言うか、この経営健全化計画改定の進行状況というのは詳らかではないのですけれども、多分いろいろ話し合いもあろうかと思うのですが、その時に当庁の担当官がどんなことを言うのかということはあろうかと思うのですが、まず非常に大事なのは、やはり収益力の問題だと、私は思っております。

そういう中で中小企業貸し出しというものをどういうふうに位置付けるんだと。これはまあ各行それぞれに違うことにもなろうかと思うのですけれども、その辺りをよく聞いてですね、ただこれだけいろいろ話はあるんですね、貸し渋りが、あるいは貸し剥がしなんていう言葉を使う国会論議もありましたけれども、そういうことが非常にその兆しがある、あるいはそういうことが現実にあるというような指摘もありますが、また他方で、分析をする方は良い中小企業へはむしろ資金が流れていて、むしろ非常に問題を抱えているような中小企業の方々へのリスクに対する慎重な融資姿勢というのが、そういう声を生んでいるというようなことをデータを挙げて分析している向きもあって、なかなかこの点は難しいと思うのですけれども、その辺りのことを念頭に置いて我が方の担当官も対応するということだろうと思います。

だから、そう単純ではないということですね、問題は単純ではないと。あまり数字合わせみたいなこともすべきではないし、また実際にそこが収益源になるというようなこともあるので、そこはあまりないがしろにしてもまずいのではないか。その辺りのことをよく見極めてやってもらいたいと、こう思います。

問)

不良債権の最終処理の進み具合を計る物差しとして、「骨太の方針」の中に不良債権比率と与信費用比率という二つの新しい指標を活用するという方針を打ち出されていますけれども、経営健全化計画の中でもそういった考えは反映させるお考えでしょうか。

答)

これは経営健全化計画の中でも、それも計算しようと思えば出てくるわけで、今、所与の与えられた計数でもって簡単に出てくるわけなので、その辺りのことは、当然今度は経営健全化計画を出す方が自発的にそういったことを謳ってくるんだろうと、こういうように思います。

問)

先週、全銀協と経団連がまとめた「私的整理に関するガイドライン」の中間取り纏めですけれども、その中に具体的な再建計画の数値目標として、3年間を目途に実質債務超過解消、3年間で経常黒字の達成というのが盛り込まれていると思います。それで私的整理、債権放棄を既に受けている企業もあるわけなのですが、そういった企業の中で、今回のガイドラインに設けられた目標を達成できない、達成が困難である企業があるとして、そういった企業があるかないかは別として、再建計画がもっと3年間よりも長期の再建計画を立てているような企業があると思いますが、そういった企業は再建計画の練り直しをすべきかどうか、または金融機関を通じて、そういった働きかけをすべきかどうかということをお伺いします。

それと、先程申し上げたような困難な企業に対する債務者区分を、今までよりも厳格にする必要がこのガイドラインによって生じるのかどうか、お伺いできますでしょうか。

答)

まず第一の問題については、別に逃げるわけではないのですけれども、これは須らく民間の問題なので、我が方から民間同士で、民間の間で決まった契約についてどうすべきだ、こうすべきだというようなことを言うというのはそこまでまだ考えていません。むしろ、そういうのを受けて金融機関はどうするのかということですけれども、我が方が出ていって今度ガイドラインでこういうふうに決まったそうですねと、ついてはあなた前にやったこともこうやって改めたら如何ですかと、これはちょっとそこまではやはり考えてはいないということですが、ちょっと状況の進展というものを見て、必要なことが何かあれば、それは必要なことをやるにやぶさかではありませんが、今のところ、そういうことはないですね。

それから、ああいうことが決まったことで検査に何か影響があるかと言えば、これは現在のところ、全くそういうことは我々考えていませんし、ないというふうに考えています。

(以上)

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