柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年7月31日(火)10時38分~11時02分)

【閣議案件等】

閣議でございますが、東チモールの選挙監視のために要員の派遣が国連から要請されたということで、これを応諾することがそれぞれ関係閣僚から発表されました。それから、難民や災害の避難民の支援のための「ジャパン・プラットフォーム」というものがNPOとして設立されていますが、これに対する資金拠出の話がございました。外務大臣の一連の会議出張等の報告がございました。平成13年度普通交付税大綱のについての発言がありました。6月の失業率は4.9%、前月と同水準ということです。7月のCPI、東京ですけれども、▲0.9%で、これは23ヶ月連続してダウンと、こういうような話がありました。それから、6月の有効求人倍率は0.61倍でプラスマイナスゼロでございます。それから、COP6再開会合等の環境関係の会議の報告がありました。

以上で閣議が終了しまして閣僚懇に移りまして、財務大臣の方から概算要求基準の策定に至る今後の手続についてご発言がありました。中身については、正確を期して財務省における大臣の記者会見に譲りたいと思います。最後に総理から参議院選挙のお礼と、それから、問題が山積しているけれども、皆さんとご一緒に今後頑張りたいので健康に留意されて精励されたい旨のご発言がありました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

一昨日の参院選の結果ですけれども、一般には小泉改革への信認と受け止める向きが多いようですが、大臣ご自身はどのように受け止めていらっしゃるのか。あと今回の選挙の結果を受けて、金融庁の政策にどのように反映させていくお考えなのかという点についてお願いします。

答)

これは、文句無しに小泉首相の政治姿勢及び政策というものに対する国民の幅広い支持が表現されたというふうに見ておりまして、私共、この政治姿勢それからまた政策については、政治姿勢はこれを一貫して行かなければいけないと思うし、政策についてはですね、いよいよ具体的な実施の段階に入ってきたと、その責任は重いというように考えております。

特に金融庁の仕事への影響というか、これもまあ今一般的に申したことの一環というか、重要な一環というふうに考えていまして、中長期的な展望に立ちながらですね、一つ一つ問題を着実にこなして行くということで参りたいと、このように思ってます。

問)

経営健全化計画ですが、不良債権の処理額について各行に対してかなり上積みを求めているというように伺っています。現在までのところ、各行の出してきた計画案の中身について、当局として満足のいく内容なのかどうか、その辺りの感触について教えてください。

答)

私もですね、中間報告的にその段階その段階でこれまでも報告を聞いてきております。基本はですね、あくまでも健全化計画というのは、それぞれの金融機関の自己責任で提出されるものであって、政府側が何か計画を決めて、それを目標とせよというような強制というか、そういうようなものではないと。これはもうしっかり押さえておかないといけないと思います。これは健全化法全体がですね、そういうように仕込まれているということでして、この点はしっかり押さえておかないといけないと思います。

他方ですね、しかしながら、今回不良債権のオフバランス化、最終処理というものについて緊急経済対策、骨太の方針等でああいうことを謳ったと。それで総理も国際会議等でそのことの説明をされたということで、国際的な約束というか、約束という言葉が良いかどうか、国際的ないわば姿勢の明示ということをしておるわけですから、このことはですね、政府側の話ですけれども、そういうことをその具体的な健全化計画の策定の段階で、しっかりと伝えていかなければいけないと、こういうことを政府側は決めて、国際的な公約にもなっているんですよということを説明し、かつリマインドしながらですね、そういうことを踏まえての計画だとして、そういうものに相応しいものであって欲しいと、こういうことですね。そういう話し合いが若干行き交ったようであります。

その結果、満足すべきものかどうかというのはですね、これはやはり、こっちが満足と言うのかなあ、あくまでも自己責任で出されるものであるという前提ですけれども、それなりにこちらの側の、今言ったような点についての説明だとか、あるいは確認だとかというものを踏まえたものになりつつあると、こういうことだろうと思います。それが満足するべきレベルに達しているかどうかということについてまでは、私も今ここで申し上げる準備はありませんけれども。

問)

この間の外国特派員協会での講演に関連して伺いたいのですけれども、あの時、「金融危機でもないのに資本注入することはない」という趣旨のことを仰っていたと思うのですけれども、それはマネーセンターバンクに関わることなんでしょうか、それとも地銀も含めてのことなのでしょうか。

答)

頭にあったのは勿論マネーセンターバンクのことでございます。ああした一連の話全体がマネーセンターバンクの話ということを念頭に置いて、お話をしております。では、地方銀行のことはどう考えているのかということですけれども、法律がないこと、そういう法律的な準備がないというか、今は破綻金融機関を、勿論信用組合以外のものですけれども、そういう協同組織金融機関以外のものですけれども、それ以外のものでありますと、今は破綻金融機関を引き受けた場合に資本注入をするということが想定されている制度を持っているわけですが、それ以外にはありません。そういう前提で今のことにお答えするということになると、今ご指摘になられたようなことというのが今頭の中にあるかと言えば全くありません。

問)

フォローアップで伺いたいのですけれども、先日の大臣の講演はですね、金融危機以外に大手行に対して資本注入をすることはない。これは預金保険法第102条の全く厳密な解釈だと思うんですね。それは全くその通りだと思うのですけれども、あの法律では地域に関する条項というのが一つありまして、その点についてはネーションワイドな金融危機がなくても、理屈としては資本注入することは出来るのではないかと、現実にそういうことが起きているかどうかは別なんですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。

答)

地方銀行についてはですね、私ちょっと詳らかに今承知をしているわけではないのですが、一般的に法律の立て方というのは、地方経済への大きな影響というもう一つの柱がありましてね、だって地方銀行についてはもともとが金融システムの安定が害されているというようなことまでは及ばないわけですよね、地方銀行の相当のところが何か問題を起こしたとしてもですね。そこはまるっきり落っこちているのかと言われれば、いろいろなケースバイケースで、それに変わるような柱が立って、理念が立っていて、地方経済への影響ということで制度が成り立っておるというのは、先程来言っているように、これまでもあったことなんですが、今そこでですね、この資本注入についてどうなっているのかというと、ここでもやはり、二つ柱が立っていて、我が国の信用秩序というものと、その地域の信用秩序という二本立てですね。

問)

健全化計画の中間の報告を受けていると仰ったのですけれど、これはやはりまだ中間の報告の段階であるから、必ずしも満足できないという理解でよろしいのでしょうか。

答)

いやいや、そういうことではないんですよ。私が受けているのはですね、その都度その都度、まだ「最終の形はこうです」というような話を受けていたのではなくて、これまでにも「こういう状況です」というようなことの報告を受けてますと、こういうことで、まあ最終の姿は、いずれ最終の版ができた段階でまた報告をもらって、もし感想を申し上げるとしたらその段階の方がいいんじゃないかという程度の話です。

問)

小泉総理はですね、構造改革をこの選挙で信認を受けたということで進める一方、需要面での対策も少し匂わされていますが、大臣としてはこの需要面の対策というのは今、始めるべきだと思われますでしょうか。

答)

需要面の対策ということについては、私は念頭にありません。そうではなくて、構造改革をしていく時の考え方として、何というか構造改革というのは、かねてから申し上げている通り、成長があまり期待できない現に低生産性の分野から、資源を高い生産性の分野、またかつ成長が期待される分野に移動するということだろうと思うのです。その場合に生産性の低い分野みたいなところから資源を移動するということは分かっているんだけど、しからばその生産性が高い分野とかそういうところはどこなんだということについてですね、まあITがあったわけですが、ITがなんかちょっと必ずしもその受け皿になり得るか、これはまあ、あり得ないとも言えないんですね。今ちょっと躓いているようですけれども、そうなり得ないなどというふうに言い切る必要はないと思うんですけれども、まあそれにしても、もうちょっとどこが受け皿なんだということを、もっと明示していくというか、そういう努力は必要なんじゃないかと、これはまあ今回のこの世界同時不況みたいなことの兆しではないかという経済情勢が現れてきたので、そういって言うということよりも、私はかねてそういうふうに思ってきたのですが、特に最近のこういう経済情勢ということになると、そのことの重要さというものが増しているんじゃないかということを思っています。

問)

今の質問に関連してですが、受け皿がどこなんだということについて、産業全体の生産性を高めたいということだろうと思うのですけれども、大臣が春頃から不良債権問題の処理の一環としてですね、産業界の問題であるからというふうにとらえていたことがありますよね。国土交通省とか経済産業省とかと協議もされていましたが。

そうすると例えば、ゼネコン業界をどうするのかとかですね、そういうものが今いち見えてこないという状況だと思うんですけれども、この各省庁との協議とかいうものをこれからどういうふうに発展させて、日本の生産性を高めていくことにつなげていくのかということについて、改めてお伺いしたいのですけれども。

答)

まあ、何て言うか、私が1月から投げた問題というのが、その後、いろんな経緯を辿りながらですね、いまどこに転がって行ったかというと、例のガイドラインのところに転がって行っているわけですよね。これはまあ、かなり民間の話というのが我々の認識でですね、そこまで行ってることは私としては、これが実ることを強く期待するという立場です。

では、私の投げかけた問題は、そこに落着したことによって、その使命というか提起した問題が全て受け止められたと認識してるのかというとですね。まあ私としては、まだ判断がつかないところです、正直言って。これからそのガイドラインがまとまってですね、それがどういうふうに実際に実施適用されているかということを、もうちょっと見たいというように私としては考えます。

それで、まあそれはそういうことなんですよ。つまり、どっちかというと、この問題というのは、生産性の高いところを見つけろということではなくて、生産性の低いところについての、資源を引き上げる方の引き上げ方についての話が主として関心事項だったわけですよね。同時に新しい戦略産業分野というか、成長期待分野というものを、まあ別に計画経済じゃないんだ、もうマーケットメカニズムに任せるんだという雰囲気が非常に強く出てきたので、なかなかそこへもう一回産業行政というか、そういうようなものの人たちを引っ張ってくるというのは難しいかもしれないけれども、経済産業省もそれなりに15分野でしたかね、考えて言っておられるわけで、それについてもうちょっと、エラボレイトというか、売上高で言うといくら位とか、雇用で言うといくら位とかというようなことを政府として見通しを持っているよというようなことを明らかにできないのかなという感じがございます。今の話というのは、1月の問題提起とはちょっと違ったもう一つの次元、私はそのことについて無関心だったわけじゃないんですね、初めからそういうことを言っているのですけれども。

問)

最近のですね、ディスクロージャーがちょうど出ましたものですから、それに関連してお聞きしますが、例えばですね、有楽町そごうなんかの後処理でビックカメラさんとかですね、そこで企業として新しく再生をしていると。そういうものに対しては、個別行で取材しますとですね、かつての経営者がいて、非常にPRしにくいと言いいますか、IRがやりづらいと言いますか、そういった点があると。私らから見れば、非常に再生だなあという感じがするんですけれども、どうもギャップが非常に大きいと。その辺りのですね、何というかPRというか、説明というかですね、まあ時代なのかなあという感じはしますけれども、何か具体的にどこまでそういうものを踏み込んで、予定として評価されるのか、そういったお考えはあるのでしょうか。

答)

まあ、ちょっと個別的にですね、そこまで何か行政が、仮に応援であってもなかなかすることはどうかなあという、ちょっと突っ込み過ぎというか、そういう感がありますけれども、しかしそういうものがスムーズに行くということが大事だということは、ご指摘の点についてはかなり同感かなというふうに思います。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る