英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年8月10日(金)10時05分~10時27分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日は閣議から出席しまして、閣議での閣僚発言は、人事院勧告が出ましたということでございますが、これらはこれから給与担当閣僚会議で検討をするということでございます。「えひめ丸」の引き揚げ作業について、「ちはや」という船を現地に差し向けるというお話がありました。2002年のワールドカップサッカーの際に、知的障害者の世界選手権の試合を行う。これはワールドカップ後に、そうしたパラリンピックみたいな形で健常者のオリンピックに続いてやるというようなことを、サッカーについても行うのはこれが初めてであるというお話がありました。

それから閣僚懇に行きまして、H- II Aロケットの打ち上げを8月25日に行うということの発表がありました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

まず始めに、昨日の経済財政諮問会議で来年度予算の概算要求の大枠が決まりまして、今日正式決定という運びだと思いますけれども、新しい予算決定のプロセス等の評価も含めて、どのようにご覧になったのでしょうか。

答)

これだけの改革をやるということで、自ずと中身が改革されるということであれば、やはり、そのプロセスも改革をするというのが、何と言うか、それをやり易くするということでは必要だったのだろうと思いまして、私としては、ある意味で行政改革の趣旨が生かされたそういうプロセスになってきたなと、こういう感じを持ちました。

問)

要求はこれからの作業だと思いますけれども、金融庁としてはどういったことがありますか。

答)

金融庁の話になりますと、実はこれは非常に苦しいところに追いやられておりまして、実はまだあれだけ概算要求の段階でのキャップをしたのですけれども、あれで全部3兆3千億揃うというわけではないんですね。12月の本当の予算折衝のまとめの段階で、あと多分1兆5千億近くだったと思うんですけれども、追加的な削減をしないと3兆3千億の出っ張りの削減の完成というわけにはいかないということもあって、さらに大変なんでございます。

その中で我々の役所の特殊な性格ですね、つまり人件費は義務的経費でこれはまあいいわけですけれども、その人間が動くための足代だとかというものが全て一般政策経費に分類されて、20%削減にひっかかってしまうわけなんですね。それは非常に私共のような性格の役所にとってはきついことだということは、予て申し上げて、既に発言しておいているわけでございますが、それらを最後の調整の段階で、全体が削減ですからなかなか難しいということですけれども、何とか調整して、我々の役所として十分な国民から期待される活動ができるような、そういう予算を獲得したい、確保したいと、このように思っているということでございます。

問)

先日、「証券市場の構造改革プログラム」というものが発表されましたけれども、大臣から改めて狙い等ございましたらお願いします。

答)

これは、まず一つはパッケージで、まさに証券市場の構造改革について私達が考えて改革しなくてはいけないということを、重要な点はほとんど提起できたというふうに思っています。それは皆さんご覧の通りでございます。

そういう中で、工程表云々というような話もあるわけですけれども、これはもう我々の方は、そういうふうに言われるまでもなく、あれを各々の段階で成すべきことを成して実現していくと、こういう構えなのでございますけれども、特にいろんな各方面の調整が必要なのは言うまでもなく税制でございます。

税制については、私共、もちろん従来の個別株式取引についての要望も致しておりますけれども、お気付きだとは思いますけれども、投資信託について一定率以上の株式を投資先にするというようなものについては、これを株式取引に準ずるような形で、つまり今までのようにどちらかと言うと預金的な税制の取り扱いということではなくて、株式取引にむしろ鞘寄せするような引き寄せて税制を仕組むということを問題提起というか、要望しておるわけでございます。

これは、株式市場に個人投資家を引き寄せると、もっと個人投資家に株式市場にアクセスしてもらいたいということでございますけれども、やはり個別銘柄からいきなり入って、個別の株式取引から入るというよりも、いろいろ総合的に世論調査やアンケート調査の結果を踏まえて考えると、やはり一足飛びにそこまで行くということよりも、投信を通じて、まず投信から入ると。投信にむしろ投資をお願いするということの方が現実的だというふうにも思いまして、むしろ我々としては、新規の個人投資家に資本市場に来て頂くためには投信が大事なんだと、こういう判断から投信についての税制を一つそういう観点から見直してもらいたいと、こういう要望を致したわけでございます。

非常に投信の税制というのは難しいわけでございますけれども、あえて少し元々前広のというか、早めの審議がお願いできそうだというようなこともあるようにも見受けるので、是非そういうようなところの議論を進めてもらいたい、深めてもらいたいと。そしてしっかりした成果を上げたいと、こういうように思っているということでございます。あえてちょっと申し上げますと、そのことを少し皆さんにもご協力頂いて、要望が実現できるように持って行きたいと、こういうように思っております。

問)

9月上旬に英国、米国を訪問されると思いますけれども、訪問の狙いと、今日の段階でどのような方々とお会いになる予定なのか教えてください。

答)

何と言っても、金融行政でやっていることを説明すると、それから我々が日本の金融市場というか、金融機関の現在立っている状況というものをどういうふうに見ているかというようなことを説明するということが第一です。それで、国際金融界の人達の理解を私が直接説明することによって得ておきたいと、これが何と言っても第一の眼目でございます。

それから第二番目は、イギリスは前から「いらっしゃい、いらっしゃい。」というようなことを言われておりましたので出かけるんですが、今度は向こうのFSAですか、そういうようなところに出かけまして、特に日本で、またもう一回行政の単位をいろいろセグメンテーションというか、業態的に分割した方が良いかのごとき、そういうところに繋がるかのごとき議論も見聞きしますので、その辺り、ちょうど我々と同じような総合的な、ユニバーサルなアプローチをしている、コングロマリットに対するアプローチを我々は良いと思って実施しているんですが、同じような形をとっているイギリス辺りと意見交換をしたり、あるいは場合によって、アメリカのSECともいろいろ話をしていきたいなと。特に証券ですね、証券市場に対する行政のあちらの政府側の構え方について両国非常に対照的なので、ちょっとそういった話も機会があれば聞いて来たいと、これがあえて言うと次の狙いと、こういうことです。

問)

靖国神社の参拝ですけれども、前回の記者会見の時にはまだ考えているということでしたが。

答)

まだ考えてます。今度は凄く賑やかになりそうなので、大混雑の中でというのもちょっと気になるなと思ったりしているんですけれども、まだちょっと考えております。

問)

先程の証券税制の件ですが、自民党内でかなり今度の臨時国会でやるのか、それとも、先にするのかと内部で意見が分かれているようですが、大臣としてはいかがお考えでしょうか。

答)

私の考え方は、要するにかなり本格的なことをやりたいわけですね。つまり、やはり資金が預金に非常に偏っているというようなことを本当に21世紀の金融資本市場のあり方として、そこを動かしたいわけでございます。ですから、狙いは極めて中長期的な展望の下に立っている訳だし、それだけにもっと腰の据わった、かなり安定的な制度としてその制度を実現したいということを考えておりますので、率直に言ってそういう意味では私は年度改正でやるのが良いというふうにも思っているわけです。

ところが、年度改正ということになると、二つほどあって、敢えて言うとちょっとどうかなと思うことがあって、年度改正というのはいくら中長期的なことだからと言っても、「いや、もう今年は時間がないから間に合わない」と言って、時間切れ、打ち切りみたいな扱いにされることが多い訳で、そういう意味ではやはり年度改正にかけていくというのには、ある種リスクもあるというふうに思うわけです。

それともう一つは、これはいろんな方の意見ですけれども、折角やるのなら早くやって市場にそういうメッセージを早く送るべきではないかという議論もあって、これもまた耳を傾けるべき議論だと私は思っていまして、そういう意味で本格的なので本当は年度改正なのだけれども、この臨時国会向けの改正というか、そういうこともやはり頭に入れた取り組みをせざるを得ない等々ですね。

なかなか我々の考えている所と、今いろいろな所に作られている審議のフレームワークというのが、うまくピタッと行かないということなのですね。そこの所を良く理解をしていただいて、構造改革であるし、中長期的な展望に立った安定的な税制を作るという狙いを持ったものですけれども、前倒しでやっていただければありがたいと、こういうふうに思っていると、こういうことです。

問)

税制改正の全てを臨時国会でやるということか、それとも多少は先送りでもいいということでしょうか。

答)

それをやると、ちょっと何と言うか、また細かく分かれるということで、やはりパッケージとして我々の考えている所をご審議いただいて、できればその通り要望通り実現していただきたいということで、ちょっとそれがちぎられるというのはあまり芳しくないというふうに思っています。

問)

訪米とイギリスの視察についてですが、具体的な日程と、あとアメリカでどのような方と会われるのですか。SECとかそれ以外の人と会われるのですか。

答)

まだちょっとアポイントメント先は調整をしていただいているので、ここで言及するのは待っていただきたいと思います。

問)

今の海外の視察なのですが、この時期に行くというのはどういうご判断からなのですか。

答)

それは何と言うか、国会が一応空いているし、従ってこの時期を利用して、先程言った我々の施策の説明だとか、あるいは外国の行政当局の考え方を聞くといったようなことの機会としては良い時期だと、こういうように思っているということですね。

問)

靖国のことで追加の質問なのですが、15日には追悼式の方もありますけれどそちらの方のご予定と、もう一点は総理の参拝の意向に対して諸外国からいろいろな反応が出ていますが、そのことについての大臣の今の率直なお考えを教えていただきたいと思います。

答)

全国戦没者追悼式には当然私、出席をさせていただくつもりでおります。出席します。それとの関係ということですけれども、別に靖国の参拝というのは先程来言っているように、もうちょっと考えさせていただきたいということでございます。

また、総理の靖国の参拝については、私はこの前の会見で申し上げたことは、私の参拝も私自身がいろいろ考えさせていただいて、判断させていただきたいと思っているのですけれども、総理の参拝については、「総理というのは更にまた高い立場に立っている方ですから、そういう大きな高い立場から判断がなされるでしょう」と申し上げたのでございまして、「判断されなければならない」というふうに書かれた所もあるやに見受けましたけれども、ちょとそうなると、そういう表現だと私の真意とちょっと違うかなと、その記事を見た時に思いました。私は「なされるであろう」と、こう言って申し上げたわけでございまして、言いたいことはこの前と同じ、そのことに尽きております。

問)

先程の海外視察の件ですけれども、当然不良債権の問題に関しても、大臣としてはイギリスやアメリカに対して自ら説明するということをお考えになっているのですよね。

答)

まあ当然それには含まれますね。

問)

それは、従来からのこういった会見等、あるいは国会等で述べてきた範囲内なのですか。それとも今度の9月の中間決算を控えて、もうちょっと踏み込んだような発言をされるのですか。

答)

状況の説明ということを申し上げたのは、3月決算を踏まえての我々の所見を申し上げると、こういうことですね。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る