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柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年8月28日(火)11時26分~11時47分)

【閣議案件等】

本日は10時から閣議がありまして、閣僚発言としては、ワールドカップサッカー大会の記念硬貨が発売されるので「皆さん買ってください」と、こういうお話です。それから、労働統計が出まして、7月の完全失業率ですが、5.0%、言うまでもなくプラス0.1ポイント雇用情勢が悪化しているということでございます。ただ、失業者330万人のうちには、自発的失業者が114万、若い人を中心として入っているということが若干話題になりました。これをどういうふうに捉えるべきなんだろうかということ等であります。7月の有効求人倍率は、0.60倍で、これも同じく対前月比マイナスの0.01ポイントでございます。それから、防災訓練の関連の話がございました。9月1日に東海地震、南関東直下型地震を想定した防災訓練が行われるということでございます。総理も少し外に出るというようなお話でした。公益法人のインターネットによる財務状況等のディスクロージャーを進めるという話がございました。大体そんなところでございます。

森山法相、坂口厚労相、平沼経産相が外国出張に伴い、森山大臣の臨時代理は遠山文科相、坂口、平沼両大臣の代理は尾身大臣が両方務められるということでございます。

4日の火曜日の閣議は取り止め。11日に知事との懇談があると、こういうことでございます。

それから少し、これはその後の都市再生本部の会があったのをきっと取り違えてここで発言したのかなとも思いますけれども、国際物流の話がありました。これはまあ都市再生の方で本来あるべき話だったわけです。

それから、最近における電気・IT関連の東芝、富士通、日立等の各会社におけるリストラ・雇用の削減の話が、しばし失業との関連で話題になりました。大体そんなところでございました。

【質疑応答】

問)

今大臣からもご紹介のありました失業率が5%ということですけれども、金融庁がこれから不良債権の最終処理にアクセルを吹かそうという時に、雇用情勢の一段の悪化を招く懸念は無いのかどうか、大臣のご見解をお願い致します。

答)

これはですね、一つ申しますと、直接に私共政府が働きかけをするのは、破綻懸念先以下ということでありますから、そんなに大きな雇用をまだ抱えているという状況にはないのではないかということが一つあります。それからもう一つは、その破綻懸念先でも、今日辺りの全銀協会長の新聞に表れた発言を見ましても、できるだけ再生可能なところは再生していくと。こういうスタンスでやってくださるということで、我々もそれを当初から期待をしておりますので、そういう意味では、逆に存続可能というか再生可能のところが本当に再生されていくということに繋がっていくことが期待されるので、私は雇用に関してはそんなに悲観的に、もちろん摩擦的に今ご指摘になったような事態がないとは言いませんけれども、基本的には我々の仕事というのは、むしろ若干時間をいただきさえすれば、むしろ雇用の増に繋がっていく、そういう仕事だろうと、このように思っています。

問)

雇用の話からもう少し広げましてマクロ経済全般を見ましても、生産所得支出等は押しなべて指標は悪化の方向を示していまして、9月7日発表の4~6月のQEに関しても市場では前期比マイナスを予想する声が多いように見受けられます。そもそも大臣が1月以降不良債権の最終処理ということを強調されてこられた背景には、不良債権の残高そのものを減らさないといけないんだというお考えがあったというように受け止めていますけれども、その目的に対する手段として、金融庁がこれから進める主要行の破綻懸念先以下の2~3年内の処理ですね、仮にこれを進めて行っても全体として見た時のリスク管理債権、あるいはその要管理以下の債権というものが、現下の経済情勢から見るとなかなか減らないのではないか、つまり、これからとり得る手段では当初の目的を達成するのが難しいのではないかと、やや懸念するわけですけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

答)

これはですね、当初の、例えば各銀行が出している経営健全化計画においても、一定の経済環境というものを前提にしているわけですね。そういうものから大幅にダウンワードで、それが予想と反してくるというようなことになれば、その限りにおいて影響が出て来るということは、これは否定できないというふうに私は思っています。

ただ全体として私共は、現状というか、必ずしも好調でない現状の経済状況というものを前提にいたしまして、いろいろ物を考えておるわけです。そういうことで言いますと、これはまた今日の経済財政諮問会議等の工程表の中でどういうご議論がそこにあるかということで、その後にむしろお答えした方が良いかと思うのですけれども、我々として今凄く目標としているところが、全く実現できない状況に置かれるというふうには考えていません。またそんなにならないような経済運営をしてもらいたいと、こういうように期待してます。

問)

後程お話した方が良いという話が出たばかりでちょっとお聞きしにくいのですが、今日の諮問会議で改革の工程表に関するヒアリングがあるかと思いますけれども、金融庁関連の施策としてはどういったところに重点を置かれてご説明されるのでしょうか。

答)

施策は前回までのところで、前回までというのは骨太までですね、我々はこれを出してますので、これを時系列的に展開するということでございます。

問)

改めてお聞きいたしますが、日曜日のテレビ番組の中で、「要注意先債権の引当について過去の貸倒実績に加えて、現在の指標を組み込められないのかなあ」という発言をされたと思いますけれども、どういうことをお考えになっているのか、改めて大臣のお言葉でお願いします。

答)

まずこれは議論があって、そこまで紹介したかどうか、どんな説明ぶりをしたかどうか、ちょっと覚えてないんですけれども、要するに引当が薄いのではないかという意見を言われる方が、我々の耳にも聞こえてきたわけです。

それは一概に言っているのではなくて、要注意先の引当のことを言っているというふうに私は受け止めて、その受け止め方は多分間違っていないと思うのですが、そういうふうに思っておりまして、そこに基本的に、これは会計基準というもので、引当というものは将来の損失だとか、将来の費用を腰だめで見積もってはいけませんよというのは、これは会計基準としては当然の基本原則ですね。そうではなくて、ちゃんとした客観的な根拠があって見積もって計上するということでないといけませんと、こう書いてあるわけです。

そういうことの中で現在処理が行われている、貸倒実績を基にしてというところは我々は、そこを譲るという気持ちではないのですね。そうではなくて、要注意先債権というものを、要注意先債権もかなりの金額ですから、それを全部一つのまとまりにして、「さあ、貸倒実績はどうでしたか。」というやり方もあるわけですが、もうちょっと細かく要注意先債権というものをグルーピングしてですね、そのグルーピングごとの貸倒実績というものを出して、それでグルーピングのそれぞれのウェイトが変われば、それで自ずと答えである要引当額は、あくまでも一般貸引の世界ですからね、最終的には一般貸引として出てくるわけですけれども、そういうプロセスなんですね。

そういう時にこのグルーピングの考え方の中に、例えば株価が額面を割っているような貸出先企業というものをグルーピングした場合に、その貸倒実績というのは対応して出てくるわけです。実績を過去に遡って調べてみると出てくるはずなんですけど、それでまたそういうもののウェイトが多くなれば、それはもし貸倒実績というものが高ければ、それは結果においてはトータルで出てくる一般貸引の引当金の額に影響があるだろうと、こういうふうに思うのですね。

そういうものでして、別段皆さんが、今日新聞で一部書くように増額要求とかですね、ちょっと皆びっくりしたのではないかと思うのですけれども、決してそういうことではなくて、グルーピングの作業をした方が良いですよ、それがベストプラクティスですよということが書いてあるので、そういうものを踏まえてグルーピングの中に、そういう市場のシグナルというものを入れるということを少し研究開発し、出来るならばそれを導入すると、こういうことを考えることによって、自分らの内部の信用格付だけに止どまらないで、外部の格付を導入してくると、こういうことをやって市場のシグナルをもっと取り入れていくということを考えたらいかがかと、こういうことを私は考えていたんですけれども、昨日でしたか長官が、なんか私の発言をフォローしてくれるということなんで、まだ聞いてませんけれども。そういうことでございます。

問)

今のお話は大臣の判断では引当金が要注意先については相当増えてくるというふうにお考えなのですか。

答)
いや、分からない、そんなことは。分かりません。
問)

分からないということは、要するにやってみないと分からないということですか。

答)

やってみないと分からない。というのは、現在でも50円割れのところもあって貸倒実績率というのは、除かれて貸倒実績率に出ているわけではないから、反映していないとは言えないのですね。

しかし、より即時的に反映してくるのではないかと、こういうふうに思うのですよ、最終的には。現在のものとそんなに違うかどうか、ちょっとよく分からないのですね、頭の中で考えても。やってみないと分からないというのは、やってみた後はものすごく変わるなんてそういう性質のものではないですね。対応が、変わるべき所のタイミングが早くなるということだろうと思います。

問)

その問題が公的資金の再注入問題まで発展するというふうな話にはならないということですか。

答)

当然ならないというふうに思っていますけどね。というのは、今も(貸倒実績率に)入っていると。除かれているわけではないでしょ。ただ、市場の現在の「at this point of time」というかこの時点でのことがすぐに反映するというスキームができるということだろうと。そこに市場の声を聞くという意味があるのではないかと思っているのですけれど。もうちょっと事務的にいろいろ検討した上で、事務方からその辺りのことについての答えについては的確にいたしたいと、こう思います。

問)

ここ数日間の銀行の株価がまた持ち直していますけれども、どのようにお考えですか。

答)

まあ持ち直しているという様子もうかがえるし、時にはまた売られたとかという話もあるので、別に一喜一憂してはいけないという人が多いので一喜一憂するつもりはありませんけれども、正直言って私の気持ちというのは、やはり下がれば心配だなあと思うし、上がれば嬉しいなあと思っているということです。このように正直に言ってはいけないのでしょうが。

問)

今日の閣議では、補正の話は話題にならなかったのでしょうか。

答)

ありませんでした。どっちみち都市再生本部の方からお話があるでしょうけれども、都市再生本部の話の中で案件みたいなもののリストが出てきたわけですけれども、財務大臣の方からは、かなり大きな規模の案件も出てきましたので、こういうものをすぐ出してそれをまた計画に乗せて予算化していくというふうには考えないでもらいたいみたいな感じでした。正確にはそちらから聞いてください。そういう話がありました。

問)

経済財政諮問会議なのですが、金融庁関連については時系列的に展開するということですが、今日の所では大臣はどのようなご説明をされるお考えですか。

答)

ですから、ポイントをお話して、5分か3分かの非常に短い時間ですから、主催者の方も細かい議論を聞こうということではなさそうなので、ポイントだけを拾ってお話してご理解をいただきたいと、こう思っています。

問)

それは不良債権問題の話と、この間発表した証券市場の構造改革プログラムの話でしょうか。

答)

そうですよ。不良債権の話と保有制限・取得機構の話と、それから証券市場の構造改革の3本ですね。

(以上)

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