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柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年9月11日(火)10時19分~10時42分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日の閣議ですが、最初、私の方から破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する国会報告について閣議決定を求めました。また、訪英訪米の報告も引き続いて私から申しました。

概算要求額の取りまとめについて報告がありました。同じく機構・定員要求につきましても報告がありました。

石原行革担当大臣、片山総務大臣、田中外務大臣、塩川財務大臣、武部農水大臣、川口環境大臣からそれぞれ海外の出張及び会議出席の報告がありました。

カンボジア洪水災害に対する緊急援助の報告がありました。

この9月15日が敬老の日でございまして、それにちなみまして祝状と言うんですか、お祝いの賞状と銀杯がそれぞれ送られるということです。該当者は8,805名で、この4月から来年3月までに100歳になられる方を対象とするということでした。

閣僚懇に移りまして、狂牛病の問題、食品のリサイクル問題について発言があった後、改革プログラムにつきまして、そこに掲げられるプログラムが依然としてまだ国民の皆さんに印象付けられていないということもありまして、もっと見せる努力をしようということで、例えば例として、学校に社会人が教えに行くんでしたかな、そういったことについてテレビ等でもっと見せて、それが全国の学校に来年度からは普及するんだというようなことを、もっと国民に理解し易いような形で知らせていく必要があるといった話がありました。

規制改革を改革プログラムの柱として掲げるようにといった発言がございました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

英米訪問についてですが、閣議ではどのような反響、受け止め方でしたでしょうか。

答)

淡々として受け止められたということでございます。別段それについて発言はございません。

問)

英米訪問についてですけれども、成果を含め全体の総括みたいなものをお聞かせください。

答)

そうですね、私から私共が金融安定化のために取っている諸措置、不良債権処理の問題、あるいは保有株式の問題等について、直接会って説明をするということをいたしたわけでございますが、これはですね、それぞれに理解を得られたというふうに思っております。その他それぞれの国の経済状況、あるいは日本を含めての世界の経済の状況といったような観点からの意見交換を行ったわけでございまして、全体として非常に有意義なものであったというふうに思っております。以上です。

問)

先週、あさひ銀行と大和銀行が統合交渉に入ったことが明らかになったんですけれども、大臣としての評価、受け止め方をお聞かせください。

答)

これは、先般来の日本の金融機関の再編ということの中で、ちょっとその動きに参加しなかった両行が、今回改めてそうした統合の動きに出たというふうに受け止めております。

それぞれの地域性等を考えますと、両者が相補完するというようなこともあって、全体として良い組み合わせというふうに評価できるのではないかと。いずれにせよ、一般論的に言っても、顧客基盤、それから間接部門の合理化等を考えると、これは積極的に評価できることではないかと、こういうふうに思っております。

問)

英米で理解を得られたと仰られたのですが、これで英米の当局者は今の2~3年なり、7年の期間で日本の金融システムが磐石になるというお考えを示されたのですか。

答)

私がですか。

問)

いや、その英米の当局がです。

答)

理解が得られたということについてもうちょっと詳しくというか、少し補完をして言いますと、要するに今の問題というのは大体どこの国もこうした問題に取り組んだ経験があるわけで、それぞれに大変な苦労をしているということがあるわけです。だからそういう意味で、これは全く苦労の多いというか難しい仕事なんだねえと、こういうある種の共感ですね、そういうことがまず基本にあるというふうに私は受け止めました。そしてそれについて日本政府も、一歩一歩前進というか、前へ解決に向けて進んでいると、こういう理解を得られたと、こういうことでございます。

問)

その中で、例えば不良債権問題について、例えば米国の方は今の政策で不良債権の問題が解決されるというお考えを示したのですか。

答)

まあ解決されると言うか、私の言うことを聞いてくれましたし、全体として先程申したように一歩一歩前進していると、そういうことを評価するという感じ、そういう感じです。

問)

先週発表になりましたGDPなんですが、実質でマイナス0.8%、不良債権問題を考えると名目の方が良いのかもしれませんが、年率換算だとマイナス10%とか、そういう数字が出ておりますが、これに対する率直な受け止め方と、不良債権処理のシュミレーションを発表されましたけれども、これは十分に予想の範囲の数字だったのかと、何らかの対策を打たなければいけないと考えられているかどうかを教えてください。

答)

我々のプロジェクション、モデル推計というものは、特に経済成長率との関係で何かそれをパラメーターとして使っているということは、ご承知の通りないわけでございます。むしろ実績値を基にして、それにさらに厳しい想定を前提にしていると、こういうことでありますから、この前発表されたGDPの特に名目値との関係で何か考えることはないのかと言われれば、それほどリンクしている、強いリンケージがあるわけではありませんので、今そういうことを何か改めなければならないということは全く念頭にありません。我々もかなり厳しい前提を置いているということで、お察しをいただければいいのではないかと、こういうように思います。

それ自体についての感想如何ということでありますが、我々もここは低成長の時期ということを言われて、それを前提にしたプロジェクションもしているわけでございますが、できるならば、少しでも上振れしてもらいたいというふうに期待いたしております。

問)

先日、塩川大臣が中国で一部発言されたようなんですけれども、株価下落に関連して、「民間と政府が一体となって株式を買い上げる新たな資金を開拓しなければならない」という発言をされたようなんですけれども、銀行株の取得機構との絡みもあるのですけれども、この発言についてのお考えといいますかご感想というか、そういうのはございますでしょうか。

答)

これはまあ、私は全然確認できませんから、ここで何か私がコメントするという気持ちはありません。

問)

昨日の講演で産業再生委員会の関係で大臣はいろいろとお話されていると思いますけれども、大臣は金融再生委員会の時のご経験があるわけですね。今度、樋口特別顧問、あるいは自民党の渡辺代議士辺りが、産業再生委員会が重要になってくるんだと仰られているようですが、これに敢えて反対するところをもうちょっと分かりやすくお話できないでしょうか。

答)

私は、別に反対しているとかということを言うつもりは毛頭なかったのですね。ただ、あの話を聞いて一点、何と言うか、つまり私としては我々がやっている最終処理の一環で銀行がそれぞれの貸出先について、まさに産業再生と金融再生は一体である、表裏の関係にあるという基本的な考え方の下でそうしたことをやろうとしているわけでありまして、その重要性というか必要性というものを返って樋口特別顧問のああいう構想が裏打ちしてくれた、縁通ししてくれたと思っているわけです。

そういう意味では、我々がやっていることと問題の関心の持ち方というものが重なっている部分があるねということをまず思うわけでございまして、それをああいう特別な委員会を作ってというところでちょっと分かれるわけで、私は民・民の問題なのだから金融機関と貸出先の間で一生懸命お互いに考えて結論を出していくというのが、マーケットメカニズムに沿った形でのこの問題への対処の仕方だと、こういうように思っている。ところが一方、それと別のところでそうしたことをやろうということを仰っているわけですので、それについて若干のコメントをしたというに留まります。

問)

要するに法的な枠組みを作ってそういう委員会を作るということで、何か無理なことが行われる、民・民以上の行政からの圧力がかかっていくということですか、懸念されていることは。

答)

つまり、当事者以外の人に依存するという形になるわけですけれども、これはどうなのだろうかというコメントですね。

問)

株価がまた1万円割れに近づいていますけれども、この水準だと大手行の含み損が3兆円を超えるという試算もありますが、改めてこの水準での銀行経営に与える影響をどうお考えかということが一点と、その株価下落の要因として持ち合い解消に伴う売り圧力の増加ということが言われていますが、こういう株価水準になってもなお持ち合い解消は進めるべきとお考えかどうか2点お伺いします。

答)

銀行経営に対して、昨今の株安がどう影響するかと言えば、これはもう言うまでもなくあまりいい影響があるということは全く言えなくて、悪い影響があると、こういうことです。ただ昨日、森長官が記者会見で言ったように、例えば自己資本比率に対する影響というのは現在の段階だとこれこれと言われたと思うのですが、その数字には間違いがないということでございます。

そういうことで、決して芳しいことではないので、我々も例えば証券市場の構造改革というものを打ち出しているわけなので、これを早急に実行に移すという決意をしているので、その辺りのことを市場の皆さんが早くもっと深く認識していただいて、その上に立っての投資というものを考えて頂ければありがたいと、こういうように思っているということでございます。

持ち合いについては、一つ一つの取引について私はコメントをしないのですけれども、ここまで下がってくると持ち合いで益出しをする、あるいは売りっ放しにするというようなことは、双方ともそれが原因になってとかいうことではいのだろうと思います。そういう要因にはなり得ないのではないかと。なかなか上がらないというのが持ち合い解消のためだということは、これはよく言われて私どももそういうものとして理解できますけれども、下げる方向でどんどん下がるというのが持ち合い解消がもたらすところという理解はしておりません。

問)

今の株価水準も含めまして、日本の金融システムの現状が危機的な状況だと見ていらっしゃるのか、それとも安定に向けた、健全化に向けた一つの過程を順調に進んでいるというように見ていらっしゃるのかということと、やはりまだ公的資金の資本注入議論というのが一部で根強く残っているのですけれども、これに対して大臣はどうお考えですか。

答)

株価のレベルというのがどこまで行くのか率直に言って心配であります。我々は、事務方としては非常に低い所まで実はシュミレーションをしているわけですけれども、それ自体としては何と言うか、大体昨日長官が言ったようなラインの話ということで、これは連動率も非常に予想外に低いものですから、そういったことでそれのみによってはシリアスな状況にならないということも事実でございます。ただ、それはそういうシミュレーションであって、更にこれに不良債権とか、デフレ経済によって不良債権の増額が当然予想されるわけですが、それはまたプロジェクションで片方を押さえているわけでありますけれども、そういうことが重畳的に作用することによってどうなのかということは注意深く見ていかなくてはいけない問題だというふうに私自身思っております。

資本注入の問題はどう考えるのかということでございますけれども、これはかねて言っている通りのことで、ここで改めて繰り返すことはないのではないかというように思うのでございます。それでは不満だというか、皆さんの表情にあるので申し上げますけれども、私が前から言っているのは、一行一行の個別行の問題と、全般的な経済の状況あるいは株価の状況というもので、先程仰られたような望ましくない事態が生まれた時にどうするかというのは、これは法律の建前等から言っても当然違う問題ということとして前から申しているわけでございます。我々としては、慎重にとにかくこの事態の推移を見ていると、こういうことでございます。

問)

大臣は、現行の法制度で十分だというお考えにお変わりございませんか。現行の改正預金保険法の枠組みで、危機対応あるいは金融危機に対する備えは十分であるということなのですが。

答)

今、ちょっと法律の要件も読んでいないので具体的にもう一回目を通してみないと今の質問に的確に答えられないと思いますけれども、まあ我々が心配するような事態はカバーしてもらっているのではないかというふうに思いますよ。心配した事態が起これば、それはカバーされるように作られているのではないかと思いますよ。

(以上)

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