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柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年9月14日(金)10時38分~10時54分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日の閣議ですが、改革先行プログラムについて総理から正式なご指示がありました。二番目に、関連の規制改革の推進を前倒しで進めるようにとの発言がございました。これは担当の大臣です。

海外出張についてそれぞれの大臣からの報告がありました。なお、尾身大臣は直接アメリカからIAEAのウィーンに飛ぶと、こういうことで、臨時代理は引き続き坂口厚生労働大臣です。

それから閣僚懇に移りまして、アメリカの連続多発同時テロにつきまして、日本もこれから経済的な影響の点で大いに力を発揮しなければならない時期になったということで、そのためにも構造改革を早めに推進して行かなければならない責務があるという総理からのご発言がございました。

それから、小泉・ブッシュ電話会談について若干の内容のご披露がありましたけれども、報道でありますように、本件には自由世界への挑戦ということで、友邦の指導者からの激励を大変力強く思うということと、長期的な忍耐強い対応が必要といったようなことの会話があったというような話がありました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

米国のテロ事件に関連することですけれども、当日森長官から、東証を開けるということについてのご説明はあったのですけれども、改めて大臣の方から、いわゆる東京証券取引所のマーケットを開けたことについてのお考えをお願いします。その後ご存知のように株価下落というか、9000円台に落ちているわけで、マーケットを開けたことについての大臣のお考え、並びに、9月の中間決算を目前に控えた中での株価の下落というのは、シンクタンクによりますと、大手行だけでも含み損が5兆円を超えるというようなこともございます。それで、銀行への経営の影響と言いますか、相当大きいと思われるのですけれども、世界不況回避のためには金融システムの安定化というのも重要なお仕事だと思うのですけれども、その辺も含めてお考えをお願いいたします。

答)

取引所の開場をいたすという決定は、当日の午前2時頃までかかって、何回も確認したことですが、最終的には、当日午前7時から会議を開いて、7時30分まで、その時点までにもたらされた情報があれば、それを踏まえた所での最終の結論を出したわけです。7時30分に決断すれば、ぎりぎり東証でも対応できるというタイミングを聞いておりましたので、そのようなタイミングでの会議を持ちまして、私共としては最終的な判断をして、夜のうちの判断を変えなくてよろしいと、こういう認識に立ったわけでございます。

その理由は、基本的にマーケットというのは、これは投資家にとっては非常に自分たちの資産の流動性が常に確保されているということが大事なわけで、そういう意味で市場の維持というものを考えた時に、これは開けるのが原則ということです。では、そういう閉めるという例外は過去にどういうものがあったかというと、若干調査をしてくれたようですが、これは、天皇の大葬の礼でございますか、そういった国を挙げての式典が粛々と行われるという時、それから物理的に災害などで投資家がそうした施設を使えなくなるというか、具体的に言うと阪神大震災のような時にやはり止めたということがございますけれども、そういうことであって、今回の場合には、その両方には当たらないということで、私共としては原則に立った判断をしたと、こういうことでございます。

株価は下落しましたが、本日のところはちょっと私はまだ承知していませんけれども、当然ああいう有事がありますと、売りということになるということ、これもまあ我々は情報として当然受けておったわけですけれども、だからと言ってどうこうというのはやはりおかしいということで開きましたが、昨日、今日と徐々にまた回復をしているようでございまして、その意味では我々の判断が誤っていたということにはなっていないのではないかというのが私の評価でございます。

それから、この9月期の下落の影響ということでございますけれども、今日あたり国会でもいろいろな論議がなされるわけでございますが、この自己資本比率というようなものへの響きというのは、予て申し上げておりますように、限定的なものであって、皆さんご承知の通り、大手行で言いますと、13年3月末は11.7%ということで、これは試算ですけれども、11%台を維持できると、現在の株価水準でも維持できるという程度であるというふうに認識をいたしております。とりあえず事実だけを申し上げておきます。

問)

影響はないということですか。

答)

影響があったんです。11.7%が11%近くに落ちるという、こういう影響はあったわけです。

問)

公的資金の再注入だとか、国有化とか、そういうところについてはどうなのでしょうか。

答)

11%もあって、そう仰るのですか。

問)

一部の銀行についてはどうですか。

答)

一部の銀行について起こり得るのは、それ以前にそういう株価の評価損というものが載りますと、剰余金は片一方に存在するんですが、それが活用できなくなる、つまり、それが配当という形で社外に流出することを禁ずる条項に引っかかってくると、こういうことであるというふうに認識しております。こうした事態においては、仮に配当原資になるように資本注入をするというわけには参りません。資本注入をしてもそれをすぐ配当に回してしまうということは出来ないわけですから、そういった彼らが直面する問題の解決には何ら役立たないと、こういうことでございます。

問)

現在、値幅制限を強化されて継続されていますが、これはいつまで続くのか。それと、もう一方で東証の方で非公式ですが、できれば早めに解除していただきたいと。お考えいかがでしょうか。

答)

値幅制限をしているのは、東証の理事長としてのご判断であって、我方はそれを、まあ仮に不適切なことをやれば少し何か言うかもしれませんけれども、基本的に彼らの問題で我々もそれを今は是としていると、こういうことです。問題はニューヨークが開いた時にどうなるかということが全く不明なので、今そういうことをしているわけで、ニューヨークが開いて、その結果が分かれば、そこで判断がなされるということでございます。

問)

改革先行プログラムについてですが、総理の指示には不良債権処理についてRCCの機能拡充とか、そういったことはなかったのですか。

答)

別にございませんが、内容については、あそこはざくっと書いてあるわけですけれども、その内容については今後時間をかけて詰めようというようなことになっているわけです。

問)

株価がこれだけ下がると、銀行の不良債権の処理の費用にしている含み益というのは当然なくなって、むしろ含み損の状態になると言われていますけれども、そうなるとこの状況で不良債権処理のペースというのは、現下のスピード感で言うと進められることが可能なのかどうか、その辺のご見解を伺いたいのですが。

答)

この点は、既にもう2年、3年の対象債権というのは、変な話だけれども確定しているわけですね。もちろん不良債権の処理というのは、杓子定規に行われるものではないのですが、そこを敢えて杓子定規に我々が決めた所については決まっているわけです。8.3兆円と3.4兆円について、8.3兆円は2年間でやる、3.4兆円は3年間でやるということで決まっているわけでございます。もちろんそれ以外一文もやってはいけないとかそういうことは全くないのですけれども、そういうように基本の政策として進めるところは決まっておりまして、それの影響というものは極めて限定的なものだというふうにかねて皆さんにも申し上げている所でございまして、そのことを今ここで急に変更しなければならないというふうには私は考えておりません。

問)

日銀が新たな金融緩和策を今検討されているという一部報道がずっと続いておりますけれども、もう既に資金需要がないとかいろんなマイナス的な見方が出ている中でさらに、日銀の金融緩和に当たって効果というのは大臣はどういうふうにお考えですか。さらに、やる必要があるというお考えですか。

答)

私は、何と言うかマクロ金融政策について直接コメントをするということをこれまでにも避けてきましたが、今回も一般論としては避けておきたいと、こういうように思います。資金需要が非常に弱いというご指摘、これは銀行の貸出の状況等からいっても、その通りだろうというふうに思っています。

問)

景気に与える効果というのはどうですか。

答)

それはコメントしません。マクロ経済政策は私の担当ではないんですよ。マクロ・マネタリーポリシーも担当でないことなのです。担当でないということを知っていてコメントしろということであれば、それはコメントをしたくないということなんですね。担当ならば、絶対コメントをしなくてはいけないんですよね。それなら皆さんからけしからんことだと言われてもいいのですが、担当でないという意味では近接のことであることは認めますが、やはり担当でないことはあまりくしゃくしゃ言わない方がいいだろうというのが私の考えです。

問)

今日、金融・通貨会議というのは現実の問題になったのですか。経済財政諮問会議で一応上がった改革プログラムの件ですが。

答)

私まだ聞いてないのですよね。あれはどういう所から来るのでしょうね。あれは、まだ議論の問題提起があったということでしょ。会議が設置されたというのではなくて。

問)

なんだかよく分からないのですけど。

答)

分からないのですけど。設置されれば…設置されたのかな。

問)

大臣の名前が入っていましたから。

答)

設置されていないのでしょう。

(以上)

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