柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年9月18日(火)11時20分~11時39分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日は閣議がありまして、最初、秋の全国交通安全運動が9月21日から始まるというお話がございました。

次にマケドニアの難民等に対する緊急援助のお話がありました。

閣僚懇に移りまして、狂牛病の問題について農水大臣の方から、やや釈明的な報告とともに、今後はしっかりやって行きたいと、こういう発言がございました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

閣議終了後に小泉総理と約1時間ほどお話をする機会があったと思いますけれども、昨日の自民党の幹事長、政調会長との会談の報告と聞いておりますが、首相の反応を含め、内容について差し支えなければお聞かせ下さい。

答)

先般、政府・与党懇談会みたいなことで、例の改革プログラム絡みの話の機会が官邸であったわけでございます。その時の機会に、党側からもいろんな意見があり、また質問があったということを総理が聞いておられまして、私に対して、党側の3党の方とよく打合せをしておいた方が良いのではないかと、こういうご指示がございまして日程を取ったところ、昨日、山崎幹事長、麻生政調会長の党3役のお2人、それから今朝程、野田保守党党首、二階幹事長のお2人に同じくお会いすることができまして、それからさらに、冬柴幹事長とは昨夜電話でお話をすることができたということで、大体お話はできたわけでございます。

要はRCCの機能拡充の問題でして、これについて結論を言うと、大枠これはもう大いにやろうということで、その内容についてこれから党と政府の間でいろいろ議論をして行くということでございます。

問)

RCCの機能拡充については、不良債権を買い取る際に、簿価から引当金を差し引いた金額で買い取る案も浮上しておりますが、このような案に対しては大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

いやまあ、そういう話も出ているという程度で、まだその方向でとかそういうことは一切ありませんので、この段階で私がどう考えるかなどというようなことは言わない方が良いと思っています。他にもいろいろな議論があるということです。

問)

株式市場についてですけれども、再開されたニューヨークの方では大幅安となったものの、欧州、日本については反発しております。市場は落ち着きを取り戻したのかどうか、株安の連鎖に歯止めがかかったのかどうか、大臣の見解をお聞かせ下さい。

答)

ニューヨークの、特に証券取引所を中心として、取引所が同時テロ以降初めて開いたわけで、その推移がどうなるかということは世界中が注目をしていたわけでございます。それで、私はいろいろなことをテレビや、直接役所の方の連絡で、本当にアメリカの当局者が全力を挙げて市場の安定化を図ったということを知らされておりました。

例えばFRBのフェデラルファンドレート、あるいは公定歩合、さらにはSECの金庫株、自社株買いに対する規制の緩和等々ですね、またオニール長官が場の開始の時にきちっと理事長と一緒にバルコニーに立つとか、そういうようなことで本当にきめ細かく、細心の注意を払って市場の安定ということに寄与したわけでございます。確か結果は9,000ドル割れ、7%台でしたか、そのくらいの下落ということになったのですが、推移を見ていても崩落というような感じではなかったというふうに私は思いまして、これは本当に米当局者、あるいは関係投資家等も非常に冷静な、また場合によっては愛国的な対応をした成果だったのではないかと思っておりまして、特にそうした環境整備と言うか安定化のための努力をされた当局者の努力には、非常に敬意を感じた次第でございます。

同時並行で開いておりましたヨーロッパは、プラスというような株式相場の展開を示しておりまして、これも非常に良いサポーティングファクターとして、いろいろ作用したのではないかと思いまして、これはECBの金利の引き下げというようなことで、やはりそこでも非常に当局者のご努力があったということを感じまして、これもまた敬意を感じた次第でございます。

日本の株式相場も、今日は割と順調に推移しているようでございますが、では総じてこれで安定を取り戻したかということですけれども、まあ私としてはそう思いたいと、正直言って、思いたいということです。何かまた、アメリカ経済が変なテロ絡みでダメージを被ったというようなことが出て来ないことを祈るし、出て来なければこういうことで後は経済の実勢を反映すると言うか、あるいは先行きを反映するというような形で、株式相場本来の相場展開になって行くのではないかと、こういうように期待をしたいと、こういうように思っています。

問)

RCCの機能拡充は法改正が必要かどうかということと、その手続きやスケジュールについては今のところどのように御覧になられているでしょうか。

答)

まあ中身によるということですね。中身によるということですけれども、まだ本当に検討も何と言うか走りの段階ですから、あまりそこは詰めておりません。何かここで物を言う段階ではないということでございます。

まあかなりの部分は法改正がなくてもできるというようなことではないかというふうに思いますし、ちょっとまだ検討が進んでいないという段階です。

問)

そのRCCですけれども、総理からは何か具体的に指示等が、柳澤大臣にあったのかということと、それからRCCの機能拡充についていろいろな議論があるのですが、大臣御自身は何が最大のポイントというふうにお考えか、お聞かせ下さい。

答)

まあ難しい質問ですが、まず第一にですね、総理には私から昨日会ったことを、報告をしたと、閣議の前に野田党首ともお会いしたこと、そういうものを全部ひっくるめて御報告したということで、私の報告を「ああ、そういうことか。」というふうに言って頂いているというような反応でございました。それ以外に別に、そんなに御指示というようなことは・・・・・、もちろんいろいろ話はします。「ああそうですか。」と言って何にもそのことについて話が出ないということはなくて、いろいろ確認してこれはどうだということがあるのですけれども、何か格別に御指示があったというふうには、私は今記憶していません。

そこで、私自身がどう考えるかということでございますが、まあ愚痴みたいになるんですけど、私は、前から言っているように、この不良債権問題というか過剰な債務問題というようなことは、まず借入れをしている企業、それからその資金を出している銀行、こういうところが、自らの努力で解決するというのが最も望ましいということは、これはもう言うまでもないというふうに思います。

ただまあ、いろんなことでですね、それがなかなか円滑に行かないというのであったら、RCCという仕組みをかねて作って頂いているわけですから、それを活用すると、こういうことも止むを得ないという言い方では少し消極的過ぎますが、あってもよろしいのではないかというふうに考えています。まあポイントはですね、結局は自主的に行くのが主流になっていくということであって欲しいなあというふうに思っているということを申し上げておきたいと思います。

問)

RCCに二次ロスを認めるということに対しての御見解というのを改めて教えて頂きたいのですが。

答)

私は現行法はですね、かねて申し上げている通り、そっちの方にも相当のお金を注ぎ込むという考え方を取っていないというふうに私は解しているんです、現行法は。そこのところは非常にアメリカの法の成り立ちというかそういうものとは法の体系、筋道というものが随分違っているというふうに思っているわけです。現状の認識はそうです。

問)

今のような二次ロスへの見解ですとか、その前の消極的過ぎるまでもなくも自主的に行くのが主流であって欲しいというようなお考えは、総理に仰ったのか、それについて総理はどう仰っていたのか、教えて頂けますか。

答)

総理とはそこのところは、むしろそういう私のプレゼンテーションもそういったプレゼンテーションではなくて、ちょっと総理にその関連での御感想というか、そういう発言をして頂けるような話の展開ではなかったというのが実状です。

それから別の党の関係者とはそういう問題提起を私がしてまして、そこでいくらかの論議が行われたということですが、大変申し訳ないですがまだこの段階で中身を申し上げるというのはちょっと適当でないと思っています。

問)

作業の進め方なのですが、RCCが案を持ってきたり、各党が案を持っていたりしていますが、そういったものを肉付けしたり加工したりしていくのか、あるいは金融庁が内閣の方から、一から作れと言われているのか、その辺はどうなっているのでしょうか。

答)

これはですね、基本的に内容によると思います。我が方がやるという必要があればやらなくてはならないでしょうし、これは元々議員立法だったから、その延長で考えるということであれば、それは我が方はもう裏方に回るというか、サポーティングパワーというか、サポーティングの立場に立つと、こういうことだろうと思います。

問)

特に事務方にはそういう指示はされていらっしゃるのでしょうか。

答)

していません。

問)

大臣のお考えとして、不良債権処理、あるいは金融システムの安定に対する追加的な公的支援のあり方というのは、個別行への資本の再注入ではなくて、RCCのようなものへの資金の投入であると、そういうお考えなのでしょうか。

答)

まだどうなるか分からないのだから、私がここでこの道はとうせんぼしたいとかですね、そういうことをやはり今、ちょっと言うべきではないように私は思います。大体御想像にお任せしますけれども、どっちが望ましいかということについてはこれまで言ってきたことで、忖度して頂くしかないのですが、それはまあそんなこと言っても何もはかどらないではないかと言って、今世間からそう言われているのが現実で、私が信奉してきた流儀で上手く進んでいれば…、そこまで言う必要もないか、まだ早過ぎます、いずれにしても。

(以上)

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