柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年10月2日(火)9時19分~9時40分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですけれども、最初に航空機へのテロ等により第三者被害が生じた時の賠償については、私的な民間の保険では非常に上限の保障額が下がってしまいまして、それで下がったままにしている飛行機は乗り入れを禁止するというような国も出てきましたので、急遽、他国の例に習って政府が賠償が可能となるような措置を講ずるということを閣議決定しました。

第4回APEC人材養成大臣会合というのが熊本であって、宣言が行われたというような話がございました。以上です。

【質疑応答】

問)

今日は最初に久しぶりにマクロ経済の情勢についてお伺いしたいのですけれども、昨日、日銀短観も出ましたし、大臣御自身は現時点でどう思っていらっしゃるのか、それから今後の金融情勢に対してどういう影響を感じていらっしゃるかお聞かせ下さい。

答)

これは塩川大臣も昨日、議会で答弁されていたようで、昨年の12月頃からアメリカのITを中心にして不況感、景気の減速感というものが顕著に表れはじめ、今回のニューヨークの同時多発テロが加わり、航空機産業とか海外旅行絡みの所を中心に非常に大きなダウン・ワードのプレッシャーがかかっていると思います。

ただ私もそういう話を一方で聞くのですけれども、私の友人達がニューヨークにいる人達の個人的な手紙ではですね、NYの市民生活は何ら変わっていないと、どこで何があったのかというようなことだということも片方で聞いていまして、アメリカの景気判断というか、これは今計数なんかも積み上げてやってますから、そういう日常の感覚だけでどうこう言うというのは、これは間違いの元だとは思うのですけれども、私の願わくばという気持ちも半ば入れながら、市民生活において大打撃というようなことは何とか避けて欲しいなと思うのですね。そういうことで景気の減速、これができるだけ小刻みで浅いことを祈るし、また立ち上がりの早いことを祈っております。期待すると、こういうところです。

それが金融にどういう影響を与えるかということですけれども、これは翻って日本にそれがどういう影響を与えるかという実態経済の話が先行するわけですけれども、やはり少し遅れるのかなということは言わざるを得ないところですね。私がアメリカに行った時はかなり皆さん強気でしてね、下期から何だかんだ言っても立ち上がりの兆しが見えますよと、年が改まれば3%を上回る成長軌道に乗りますよというようなところだったのですが、それが少し後ろにずれるということなのかなと思うのですね。だから日本経済の立ち上がりも回復も難航するということになれば、若干それが後ろにずれると、そういうことだというふうに思います。

まあいずれにせよデフレ下で我々はいろいろ不良債権等のそういう問題を抱えて、それを解決しながら経済を前進させていくことはもともとなかなか難しい問題ですけれども、客観情勢もそれだけ厳しくなってきたので、更に気を引き締めてこの問題に取り組んでいかなければいけないと、こういうふうに思っているところです。

問)

この9月末で上期が終了しましたけれども、主要行の決算について現時点では大臣御自身どのように、今のような形について感じていらっしゃいますか。

答)

これはですね、一部の銀行がですね、数字の概算、決算の概算を出しておられることは承知しておりますけれども、数字全体が出ているわけではないので、いろいろと批評するのは差し控える段階かと、このように思っています。

ただ昨日、長官も会見で言ったのでしょう。株価だけでは、まあこれも推計ですけれども、11%前後と言ったのでしょうか。それだけで言えばですね、株価の時価評価、株価の低下というようなものがどういうふうに自己資本比率に対して影響を与えるかという点について、私は別に長官と違う見解ではありません。

それに不良債権の処理損についても、多少影響があると思います。

問)

昨日、私的懇話会の初会合を開かれましたけど、冒頭、大臣の方から少し長めのお話があったと聞いておりますが、具体的にどんなことを懇話会の席上で問題点として大臣の方から指摘され、それから後、懇話会の中の議論を一通り聞かれ、大臣御自身どのような御感想を持たれましたか。

答)

私がどうしてこういうことをお願いするに至ったかということについて、私の気持ちの中にあったものも含めて、若干申し上げて、そしてまたその後、日々の業務で不良債権問題などにいろいろ対処していくためにもですね、将来ビジョンというものがあるのとないのでは随分違うので、将来ビジョンもやはり必要だと思いますということ、この二つが背景であるということを申し上げました。そして政治の場でですね、ビジョン絡みでどんなことが問題になるかということを中心に御紹介をして我々の問題意識みたいなものを申し上げたのです。

その後は不良債権の問題について議論をして頂くことになったようなので、我が国の不良債権問題についての我々の考え方とその考え方に基づいてとっている措置ということについて説明をしたということです。

それから、委員の意見を聞いた上での感じですけれども、非常に良い意見を聞かせて頂いたというふうに思って、その限りで私としては感謝しているところでございます。

問)

今の非常に良い意見というところの中でですね、公的金融などの問題がターゲットになっているような説明も昨日の会見でありましたが。

答)

全然それはミスリーディングです。

問)

また昨日の懇話会で邦銀の国際競争力不足について言及されているというふうに聞いていますけれども、大臣のお考えというのをお聞かせ頂けますか。

答)

私的な懇話会での発言なのでね、あまり詳細を申し上げない方がいいと思うのですよね。みんなもう、むしろ本当にブレーンストーミング的な発言が行われるということが非常に良いと思うのですね。裃を着て間違ってはいけないとか、世の中に出たらかっこ悪くていけないとか一切そういう思惑なく、喧々諤々やるのも私はいいと思っているのですけどね。

取り敢えずは、一通り皆さんに御意見を言って頂いたわけですが、私はそういうふうに思います。ですからこれはですね、なかなか委員の間で「あなた、こう言ったけど、ではこの問題どうなんですか。この問題はどうするんですか。」とやる審議会というのはなかなかないんですよね。そういうふうに皆こんなことを言って、あと事務局が一生懸命全部が成り立つような文章を作ってみたりというのが多いので、そういうのは私はだめだと思うんですね。「あなた、こう言ったけど、この問題はどういうふうに解決するんですか。」と、「この問題をやればどういう副次効果が現れるのですか、それをどう考えるのですか。」と、そういういろんな議論が現れる。その辺りのことは、まあ日本人の日本社会の風潮の中では、あまり外には出ない方がいいのではないかなと思って、私的懇話会にしたわけです。

問)

御議論の中では、大臣及び金融庁に対して耳が痛いというか、そういう御意見もあったのではないですか。

答)

もう耳も痛いし、心地好いし、いろいろです。

問)

御意見とかはもう遠慮なくということですか。

答)

そうですよ、そういうふうな人選でやっているわけですから、全くこちらの偏見なしで、本当に議論しておいてもらいたいという気持ちでやっていますからね。

問)

昨日の座長会見で、時期がちょっと遅きに失したのではないだろうかというような個人的な御意見があったのですが、その点については大臣はどのようにお考えですか。

答)

私が別に遅く発想したわけではないのですけどね、いろいろな仕事の忙しさとかそういうようなことで、こうなってしまったということで、私の指示というのは、すごく早い頃から出しています。

問)

昨日の長官会見の中でも話に出たのですけれども、首相が国会答弁でRCCの不良債権買取について時価が望ましいということで、長官からも同様なお答えがあったのですが、これに対しては技術的な問題があるという御説明がありまして、この件に対する大臣のお考えをお聞きしたいのですが。

答)

昨日の答弁というのは、時価を基本として検討していくというのがいいでしょうという答弁だったと思います。他方まあ、この間、鬼追社長も記者会見をされたようで、国民負担が出ることは極力そういうことがないようにということでしたが、大体まあ何というか、考えていることというのは収斂をしてきているのではないかなあと、それ以外のことも考えているのかもしれませんが、まあ大体そこに収斂してきているのではないかなあというように思っていますが、私としてはとにかく国民負担が、新たにそちらサイドでも発生するということが極力ないようにやっていくということが基本だろうと、こう思っています。

問)

入札制度の導入に関してはどのような御見解でしょうか。

答)

今までがその点は、私も言っていたことなのですけれども、今までは年2回、申出を受け付けると言ってですね、受け付けたらそれを審査して承認をすると、誠に荘厳な手続きが規定されておりまして、やはり今のいろいろな方が競争しているマーケットでの対応ということには、相当RCCが器用に機能を発揮できないという面が否めなかったと思うのですよね。ですからそれをもうちょっと普通に、しかしあくまでも先程言ったようなことを基本に買取も行い、またいろいろな諸措置も行えるということにしようと、こういうことで考えているということです。

まあ、今までがやはり役人というか、まさに行政機関的に過ぎたのではないかと思いますので、もうちょっと機能のことを考えると、今のマーケットメカニズムで行われているこのマーケットの一人という形、そういう位置付け、ポジショニングを取るのが非常にいいのではないかと、こういうふうに思い始めたところではないでしょうか。

(以上)

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