柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年10月19日(金)9時30分~9時49分)

【閣議案件等】

閣議ですが、アフガニスタン難民に係る物資協力の話がありました。次いで、「補助金等に関する行政評価・監視」の結果が出まして、関係省庁向けに指摘が行われた旨の報告がありました。ユネスコ総会に出席の文部科学大臣の報告がありました。小泉総理がAPECに行かれる間、福田官房長官が臨時代理をお務めになられるということでした。

以上が閣議でございまして、次いで閣僚懇に参りました。

狂牛病、BSEの関連で、18日から全頭検査が行われますので、今後市場に出回る牛については全く病気と関係のない安全な牛が提供されるということでした。特殊法人改革について、改革を進めるためには情報開示が必要であるという旨のお話があり、総理からもこの点を含め、「特殊法人改革については所管大臣も十分な協力をするように」というご指示がございました。

それから、人にBSEが、ヤコブ病ですが、発病しているというような例が一部報道に流れておるけれども、これはもう少し本人の容態が回復してから扁桃腺の検査をすると、いずれかが判明するというような状況になっているそうです。大体そういうことでございました。

【質疑応答】

問)

まず1点めは大手行への特別検査ですけれども、これは改革先行プログラムに盛り込むということで今月中に開始するというようなお話を大臣がされておられますけれども、もう具体的に何か始まっているとか、そういうふうにも伺います。先日の森長官の会見でも「場合によっては9月中間決算へ反映させる」というようなことで、もう10月も20日近くになりまして、秘匿性の高いものであるというのは十分承知いたしておりますが、規模であるとか、それからもう既に開始しているとか、場合によっては何社ぐらいが対象になるのかという点をお尋ねしたいと思います。

それからもう1点については、一方で地域の経済というのはどこも非常に疲弊しておりまして、全国の地方銀行、それから第二地方銀行の不良債権処理の現状について大臣はどのようにお考えなのか、そういうマンパワーの問題ももちろんあるとは思うのですけれども、例えばヒアリングを強化して行くとか、そういう見通し等がございましたらお願いします。

答)

まず特別検査ですが、特別検査は予て申し上げている通りで、着手と言うべきか準備段階と言うべきかですね、とにかく作業が始まっていることは確かだということは言えようかと思いますけれども、これが何らかの結論を伴った形で表れている段階かと言えば、それはまだそこに至っていないというふうに私としては認識をしています。

森長官が「9月中間決算において」というようなことも言われたようですけれども、これはまあむしろ何と言うか、双方の認識が問題なく一致するというようなケースが出る場合は、そういうことにもなることもあり得るということを申したのだろうと、こういうふうに思っています。ですから準備を含めて着手はしたということですが、重ねて申しますが、今現段階で何らかの具体的な結果の姿が見えているという段階ではないというのが私の認識であります。

それから地方銀行の方ですけれども、地方銀行の方については、これは予て申している通り、不良債権の最終処理について直接に政府の方から働きかけているというものではありません。しかし政府の施策の意図を汲み取って自主的に同様の努力、ことに地方銀行の場合、私が聞いているのはむしろ債権の劣化を防ぐというか、下の債務者区分に行くのを防ぐ、そういう方向での努力が行われていると、そういう例が多いというふうに認識をしています。

問)

特別検査ですけれども、検査体制の人員の規模とか、それから100億円以上の債権を対象にというような報道もありましたが、その辺についてはどうなのでしょうか。

答)

この辺は検査局長が、この問題が浮上して来た時に、自分のマンパワーの振り回しというものは、これは責任を持ってやっていただかなくてはならないわけで、そういう彼の責任の下で適切な人材を適切な目的に充てるという原則で、十分な成果が上がるように期してやってくれているのだろうと、こういうふうに考えています。

当然そこの、どういうマンパワーを差し向けられるかというようなことを考えるに当たっては、対象について無関心ではいられないわけで、画一的なそういうものが出ているのかどうかちょっと我々はそこまでここで申し上げるわけにはいかないわけですが、いろんな切り口と言うかメルクマールで、マンパワーに相応しいものについて検査を行うと、目的にあった成果が上がるような検査を行うという体制で臨んでいてくれると、このように確信をしています。

問)

地方銀行については、金融庁サイドから現時点において、例えば財務局を使ってヒアリングを強化するとかというようなお考えは今のところないと理解してよろしいのでしょうか。

答)

どういう意味のヒアリングですか。

問)

いわゆる不良債権処理を加速させる取り組みと言いますか、先ほど仰った「債権の劣化を防ぐ努力は行われている」というのは確かにあると思うのですが。

答)

むしろ、そちら側の努力が行われているという認識だということを申し上げたわけです。

問)

当局主導で地方銀行の不良債権処理についても何らかの具体的な促進策を進めて行くということは、現時点ではそういうことはまだお考えになっていないということですか。

答)

いろんなことは事実上、いろいろ財務局の方が来た時など、あるいはこちらが何かの格好で行った時は「どんな様子ですか」というような一般的な情報交換みたいなものもあろうかと思うのですけれども、それ以外に何か統一的な通達に基づいてそうしたことをしているということはございません。

問)

特別検査の関係で、国会でのご答弁もありましたけれども、経済財政諮問会議への報告の在り方と言いますか、どういった形で諮問会議と連携していくかというところの整理というのはついていらっしゃいますか。

答)

まだついていません。

問)

今後、そこら辺は諮問会議で検討していくという話になるのでしょうか。どういう形で報告をしていくかということについてですが。

答)

諮問会議のことは私はちょっと分かりませんけれども、全てのことについて改革先行プログラムなんかのことについては、それなりの結果の報告ということは必要になるだろうと思うんですね。それはそうなんですが、また他方、検査についてどういう報告が可能かということは、なかなかこれは難しいと思うんですけれども、それを今後検討して、できる範囲でそういう報告を…。どっち道全ての問題についてどういう状況になっているかということは言わなくてはならないので、今後どういう報告の形態・内容があり得るかということを、その時期が来るまでには考えておきたいと、こう思っています。

問)

今の話は、ある程度途中経過も含めて諮問会議の方に報告していくのか、それともある程度結果が出た段階で報告していくのですか。

答)

必要に応じてやりますよ。要するに行政内部のことなんだから。今のご質問に対しては否定も肯定もしないということです。

問)

RCCの機能拡充の問題で、与党間ではちょっとまだ完全合意がとれていないようですけれども、大臣としてはこの辺りの年数の問題についてはどういうふうにご覧になっていますか。

答)

まあ、いずれにしてもあそこで書いてあることで過不足がないのではないかと。「概ね」「目処」にするんだから。

問)

金融庁案通りで良いということでしょうか。

答)

金融庁案だなんて、とんでもないですよ。議員立法でございますから。

問)

最初の原案通りで良いのではなかろうかということでしょうか。

答)

いやもう、議員立法ですから、表現は自分の気持ちに、各党の代表の気持ちにしっくり来る表現を使われれば良いのではないかと。それが衆議院なり参議院の法制局で通れば、それで良いのではないかというふうに思います。

要するに、今でも「概ね」「目処」と書いてあるようでございますので。

問)

RCCに関連してですが、もちろん議員立法ということですけれども、火曜日の大臣の記者会見の一番最後のところで、時価という言葉を使っている法律として大臣は固定資産税のことを挙げられたと思うのですけれども、それは大臣の頭の中で時価という言葉に関して、例えば公示地価の7割程度とか、あるいは路線価とかそういうものを基準にすればできるのかということを仰っているのでしょうか。

答)

そんなことを言っているのではないんですよ。そんなことを言っているのではないんですが、時価という概念が法律上あるので、時価という概念を使うことは差し支えないのではないでしょうかと、こういうことを言ったわけです。

問題はその先なんですね。その先に実はあるということは、皆さんそれぞれにご案内の通りです。固定資産税であれ何であれ、時価というのは合目的的に解釈する時に、どう解すべきだろうかというのは、その法律の目的に応じて一つの時価というか、そういうものが出てくるということですね。

問)

債権の流動化の市場で、多くの取引参加者が価格を決める時に用いている方法というのは、会計士なり不動産鑑定士なりそういう人達がデューデリジェンスをした上で、いわゆるディスカウント・キッシュフロー法というのですか、収益還元法のようなものを用いて出す価格だと思うのですけれども、基本的にRCCもそういう形で時価を出すことが望ましいということも一つ考えられると思うのですけれども、大臣は如何でしょうか。

答)

今まだ、みんな勉強を改めて始めた段階かと思いますよ。いろいろな例を見て、今大体仰っていることが基本ベースですね。キャッシュフローというか、フローがある場合はキャッシュフローということになるし、それからフローがなくて、ある日突然、担保だけがあった場合にそれが売れると、そのキャッシュをいつ売れるかということを考えてディスカウントする方法とか。だから、キャッシュフローと言っていいのか、要するにキャッシュに変わった、変わる時を想定して、そのキャッシュをディスカウントしていく、現在価値に直すというのが、まあ何と言うか基本というか、それにどういうふうにいろいろ許されるバリエーションがあり得るかということ等かということを、今、研究・勉強しているというところではないでしょうか。

(以上)

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