柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年10月30日(火)9時30分~9時49分)

【閣議案件等】

閣議ですけれども、総理の方からテロ対策の法律が昨日成立したので、今後、実施の準備をしていくので協力方お願いすると、こういう話がありました。次いで、総務省、厚生労働省の方から失業率、有効求人倍率の報告がありました。9月の完全失業率は5.3%、過去最高で、完全失業者数も357万人で対前年同月比37万人増ということです。9月の有効求人倍率は0.57倍で、対前月比マイナス0.02ポイントということでした。

それから文化勲章等についての閣議決定がございました。また、栄典制度の在り方に関する懇談会からの報告があった旨、報告がありました。

それからアジアIT閣僚会合及び東アジア経済サミットの海外出張の報告がありました。

改革先行プログラムの決定方の報告がありました。アフガニスタン難民に対する緊急援助が行われる旨の報告がありました。

次いで閣僚懇に移りまして、失業の問題について2、3の閣僚から話がありました。生活保護者の急増とかホームレスの急増も話題に上っていました。以上です。

【質疑応答】

問)

3点ほどお伺いします。先程、話が出ました失業率ですが、5.3%ということで過去最悪でした。これによって不良債権処理に何か影響が出てくるのかということと、また一方で、昨日塩川財務大臣が大阪の方で、公的な、過剰な債務を抱えている企業の整理、淘汰すべきといったような、何かそういったようなものを諮問会議の方で作るべきだというようなお話をされているのですが、半ば公的なものとなってしまうのですが、それについてどう思われるかということ。それから中央三井信託銀行が持株会社化に移行するということなのですが、これについてですね、やはり優先株の配当原資が目的ではないかという指摘も出ているのですが、これについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

まず、失業率についてですが、これと不良債権問題との関連ですけれども、これはですね、私も坂口大臣からその辺りの状況を聞かれているのですが、不良債権の処理が急速に進んでいるからこういう数字になるという関係というのはまだ認められないのではないかと、無関係ではないけれども、そういうことではないのではないかと。先般来、言っている特別検査等は昨日着手したということから言っても、今後、影響が出てくればそれは今後と、こういうことになっていきますよということを申しているのですが、それはそういうことだという認識をしています。これについて何かブレーキがかかるかということですけれども、むしろ他の構造政策も同じだということですけれども、そういう話も先程出ましたが、やはり構造政策の一環として、きちっと進めていくということでなければいけないと、このように考えています。

それから塩川大臣の御発言ですけれども、私は直接聞いていないので、それ自体について何かコメントするということはここではできませんけれども、塩川大臣がその辺りのことについていろいろ御心配頂いているということは、これは予て感じておりまして、この点は感謝をしているわけですが、これから具体的な話ということになると、過剰債務と言ってもなかなかこれは具体的にどう把握するかということについては難しさがあるわけですね。大つかみに、GDPの伸びと貸出残高の伸びを率で比較してどのくらい率が高まっているか、それに残高をかけてこれが過剰債務という人もあるし、業種別に売上高との対比で過剰債務を考えたいという人もいるし、しかし、さればと言って、では業種別に違う売り上げとの対比について、この業種についてはこういう比率というのを見つけ出すというのも、そう易しいことではないと、予てより聞いています。何かそこに知恵がないかということについてはこれから塩川大臣にもいろいろお話を聞いて私共もいろいろ知恵を出して、もしそういうことができれば話を進めたいと。まあいずれにせよ、塩川大臣にまた何かの機会に聞いてみようと、こう思います。

それから中央三井の件ですけれども、これはもう昨日、長官が話をしたことに付け加えることはありません。我々としては、今指摘のありました配当原資だけのことについて、そういう関心で組織対応するということについては肯定的に考えませんが、それがビジネスモデルとして評価できるかどうか、あるいはそういうものにつながっていくかどうか、こういう観点で今後よく検討させてもらいたいと思います。そういうことであれば、それは長官が言ったように民間企業としていろいろ知恵を出して頂きたいと、こういうふうに考えております。

問)

あさひ銀行の頭取と会長が辞められて社友という立場におなりになったということなのですけれども、以前から顧問というのは止めた方がいいと仰られていましたけれども、これは名前を変えただけではないかというような論調があるのですが、その辺りはどうでしょうか。

答)

まだ聞いてないのですけれどもね。聞いていないのですけれども、私がかねて申し上げていることは、そういう最高の立場まで立った人ですから、今後ともアドバイスをもらって行くというようなことは、これは世の中の常識として考えられることなのだけれども、それを銀行のコストとなるような形でどこまでやるかという問題、これはよく考えてもらいたいということですね。私の言っていることに照らして考えてもらいたいと、考えてくれているんだろうと、こう思います。

問)

先程の失業率に絡めてですが、ブレーキがかかるかどうかについて、やはり構造政策の一環としてきちんと進めていかなければいけないと、そういうふうに仰られたのですけれども、きちんと進めていく上でそれが壁になるようなことというのはないのですか

答)

まあ率直に言ってですね、党等からは非常にそういう心配する声も聞こえないわけではないのですね。ですけれども、小泉内閣としてそういうものにどう応えるかということだけれども、これはもう一時的ないろいろな失業を始めとするデフレ的な効果を厭わず、避けないで構造改革を進めることが大事なのだと、こういうことで一貫して対処していこうということですから、不良債権の処理についても同様に考えると、こういうことです。

問)

大臣の見通しで構わないのですが、先程失業率のことについて、今後、現在やられている特別検査等々の結果、見通しがついてくれば影響が出てくるという言い方をされたのですが、現状のことに加えて更に何か、それで言えば失業率が更に悪化するようなこともあり得なくはないという認識なのでしょうか。

答)

それはそういうことにならざるを得ないでしょうね。こちらの具体的な特別検査の結果が失業率にどう結びつくかというようなことまで考えて、把握して、今言ったようなことを言ったわけではありませんけれども、一般論として例えば債務者区分が変わるとかそういうようなことになれば、リストラというのはそれは進めざるを得ないでしょうね、その貸し出し先企業としてもですね。そういうことからしても関係ないとは言えない。

坂口大臣からは、もう始まったのですかと、これはもう反映した数字なのですかということを、しょっちゅう聞かれるわけですね。だから一般的に、不良債権の処理はそうした政府のアクションが有る無しにかかわらず進んでいるわけですから、それはないとは言えないけれど、我々の政府の施策がどう影響しているかということになると、まだ影響してますと言う段階ではありませんよと、そういうことを言っているのです。

問)

特別検査なのですけれども、昨日予告されて11月から本格的に始まるわけですが、外形的な基準というか、どういう企業を選んでどこまでやるのかということを明らかにしないということで、市場の見方も非常に半信半疑みたいな所もあります。かねて大臣は、恣意的な検査はないよと仰っていますが、改めてその辺について特別検査はどこまでやるのかお伺いしたいのですが。

答)

これはかねて言うように、これもみんな恐らく「どこだ、どこだ」という話なんですよね。我々はもう一切そういうことは言わない。

問)

例えば、内部の基準に沿って機械的に、要注意だけれどもこれは破綻懸念だと見なすということでやっていくという認識ですか。

答)

そういうことは言ったことはないですよ。対象企業を、この企業をどう見ているかということについての基準はありますけれども、そこの対象企業についてはいろいろと、三者協議と言っていますけれども、市場の見方はこうだけれどもというようなことを中心として、真剣な議論をするということですね。

問)

インタビューで五味検査局長は、特別検査をやった結果として、結局その銀行の債務者区分の変更がないというのが理想であると、そういうことになるのではないかというような発言をされていますけれども、そういうふうに受け止めてよろしいのでしょうか。

答)

検査局長としてはそれが理想なんだろうね。つまり、日ごろ検査をがっちりやってあって、市場のシグナルがこうなったから、もう一回検査をすると、正にそこに集中的に注意を払って検査をすると。やはり前の検査が正しいというのが検査の当局者としては当然それが理想というか、自分達の検査が正しいねというのを確認できるというのは、やはりいいのでしょうね。それはそれで、彼の立場からすればそうだろうということですけれども、やはり非常に最近市場の見方が変わっているということであれば、それを即時的に反映した結果、これはやはりこうであるべきだねと。つまりタイムラグがあるのですね、五味局長が言ってもね。それはもちろん、私は分かりやすくこの間も国会で五十嵐議員の質問に答えたわけだけれども、例えば2、8月の時はどのくらいになるかというと、形の上では、やはりほぼ一年前のことを検査するような形になる。しかし、五味局長なんかに言わせたら、それはそうだけれどもそこのところはある程度勘案しますからねということでしょうね。今、そこの所をまさに勘案ではなくて、少し集中的に見るということで、変化が現れないとは限らないでしょうね。

問)

先程の塩川大臣の発言の関係なのですが、塩川大臣の方は柳澤大臣の方にも伝えているというような発言をしているのですけれども、その辺りはどのようにお聞きになっていますでしょうか。

答)

これがなかなかね、塩川大臣は老練な政治家でいらっしゃるものですから、言葉がちょっとよく理解できないというか、そういうこともあってですね、十分私が受け止めていない方が当然悪いのでしょうけれども、ちゃんと聞いてみるということが必要だと思います。

問)

閣僚懇で基準というような言葉が出ましたけれども、塩川大臣なりの企業処理に当たっての考え方の試案を出されたいというふうに聞いているわけですけれども、それについてはどこまでお話を聞かれていますか。

答)

そうですね、あまり具体的にはまだお聞きしていないのですけれども、御心配頂いているということは、かねて伝わってきているし、私も聞いておりますから。

(以上)

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