英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

柳澤金融担当大臣繰上げ閣議後記者会見の概要

(平成13年11月22日(木)9時01分~9時25分)

【大成火災海上関連】

おはようございます。本日は閣議がございましたけれども、そのご報告をする前に談話を発表させていただきます。

―金融担当大臣談話「大成火災海上保険株式会社について」―

冒頭私から申し上げることは以上ですので、ご質問をお受けいたしたいと思います。以上です。

  • 問) 米国のテロに関する再保険金の支払い見込みが多額に上るということですけれども、再保険金の支払い見込みが多額に上るというのは、他の損保にも共通することかと思いますが、他の損害保険会社に関しては健全性等の現状をどのように見ていらっしゃいますでしょうか。

  • 大臣) この会社の場合、あとで会社自体からも報告があろうかと思うのですが、全体の損害見込み額が744億円ということでございます。これはテロばかりではないのですけれども、テロの関係での再保険というものが一番大きな、相対的に要因になったと、こういうことでございますが、例えば、これは元々、安田火災海上と日産火災海上とが合併をするということで、予定をしていたところにこういうことになったわけですけれども、例えば安田、日産などは26億円というくらいで、そういうマグニチュードでございまして、他の損害保険会社においてこのような大成火災海上と同じ様な問題が生じるおそれを持つところはないと、このように承知をしているところでございます。

  • 監督局長) ちょっと訂正させていただきますけれども、日産は同じ再保険に属していましたので、同額の744億円の支払い見込みがあります。安田は別途テロの関係で26億円の支払いがあるということは既に過去に公表しているというふうに聞いていますけれども。

  • 問) 日産には同じ様な問題は生じないのですか。

  • 大臣) 日産はそういう債務超過という状況にはならないというふうに聞いています。ですから予定通り、多分、来年の4月1日の損保ジャパンとしての統合に向けて動いているんだというふうに理解しています。

  • 問) 大成の債務超過はどのくらいになるのですか。あと、必要があれば損害保険契約者保護機構による資金援助が行われるということになっていますが、財源がかなり少ない状況になっていると思うのですが、その点についてはいかがですか。

  • 大臣) まず債務超過額は398億円ということになるというふうに承知をいたしております。それから、保護機構の借入限度額は650億円でございますが、今回の件については、まだ詳細な数字が確定しているわけではないのですけれども、別段これで問題が生じるというようなことにはならないと、こういうように捉えております。

  • 問) 今回の破綻で、来年4月の損保ジャパンの発足への影響というのは、どういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

  • 大臣) これはタイミング的にということがまずあるのでしょうけれども、これはすぐスポンサーになって行くということなものですから、まあ何と言うか、今までの3社での合併話が2社プラス裁判所が代弁するというか、そういう格好で、しかも裁判所としてもそのスポンサーについては十分その立場は分かってくれているはずなものですから、現在はそのスケジュール等の点について何か大きな支障が生じて来るというふうには考えていません。

  • 問) いわゆる予想し得ない事故等に備えているソルベンシー・マージンとか、その他の数字が健全なところが倒れてしまうというのは、同時テロの大きさを示していると思うのですが、それはそうとして、今後これを受けて、そういった指標の基準、それから今回のテロを受けての表示の仕方等で何かお考えはありますでしょうか。

  • 監督局長) ちょっと数字を申し上げますと、大成はこの3月末で815.2%のソルベンシー・マージン比率があったんですね。ただこの会社の規模は、総資産で4,000億円くらい、12年度の当期利益で11億円という規模ですから、こういう多額の損害が発生すれば、何をやっていてもそれはちょっと無理だと思うのですね。十分適正な監督に努めたいと思っていますけれども、とにかくこの影響が非常に大きかったということです。

  • 問) それを受けてお願いします。

  • 大臣) それも含めてですか。まあ、今、監督局長が言ったように、これは人為的な事故なんですね。そういうことで、それでも見通しが甘いのではないかと言われれば保険会社としてですよ、そういうことはあるかもしれないけれども、まあどこもかしこもこれはちょっと、まさに予想外の中の予想外という感じだろうと思います。

    しかし、今回のことを拳拳服膺(けんけんふくよう)して、監督等に当たってはより注意を払って行くと、こういうことは必要だと思いますが、フォーミュラそのものについて何か改善があるかということは、まあ中長期的にはソルベンシー・マージン比率についても、これは一般的な問題として、常に状況、社会情勢の変化に合わせて見直して行くというのが我々の義務だと思いますけれども、そういう一般論の他に特別に何かこの件ですぐ何かしなければいけないというふうには考えておりません。

  • 問) 契約者の保護のことなんですが、談話に保護に配慮した更生計画が早期に策定されることを期待するとありますが、来年の4月に合併を予定している安田、日産がスポンサーになった場合の契約者の保護はどのようになるのですか。

  • 監督局長) これは基本的には仰るように更生計画の中でどうなって行くかというのが決まって行くわけですね。我々はいろんな面で認可等の権限を持っていますから、更生計画策定手続の過程で裁判所の方からも意見を聞かれたりするわけです。そういう時には、今お話になったような保険契約者保護の観点からきちっとチェックしていきたいということで、ただそれ以上にどうするかということになると、まだ安田、日産がスポンサーに決まっているわけでもありませんからはっきりは言えませんけれども、いずれにしても、安田と日産はスポンサーになった場合には、損害保険契約者保護機構の補償対象になっている保険金の支払いについては全額補償したいというふうに、どういう形、何らかの形だと思うのですけれども、そういう意向があることを私共は聞いております。

  • 問) 個人向けの商品についてということですよね。

  • 監督局長) そういうことですね、保険金のですね。

  • 問) 全部の商品を保護したいということですか。

  • 監督局長) 保険金部分についてはですね。ですから正確に言うと、貯蓄性のものも保険金の部分は100%保護されるのですけれども、いわゆる貯蓄の部分については、今後の更生計画等で取扱いが決まって来るんだというふうに思います。

  • 問) テロ以降、日本経済が悪くなる悪くなるとずっと言われてきて、旅行代理店等はテロの影響で倒産が出て来ている中で、ついに金融関係の会社の破綻ということになったわけですけれども、大臣のお言葉でご感想と言っては変なんですが、どのような感じを今回のことでお持ちか伺いたいと思います。

  • 答) 先程も述べたことですけれども、予想外のことを考えてソルベンシー・マージンを持っているということですが、その予想外という予想をも上回るものだという感じがいたしますね。それで、そういうことでありますので、先程言ったことの繰り返しですけれども、今後の監督に当たっては、そういったことも念頭に置いて良く見ないといけないと。つまりこれは再保険を引き受けているわけですが、まさかまさかということが起こったと、こういうことですね。

  • 問) あくまで特殊ケースであって、他のところには。

  • 答) いや、だから、こういう特殊ケースが起こり得るということをこれからかなり意識した上で監督に当たらないといけないと、こういうことです。

【閣議案件等】

では、次に閣議のことを申し上げます。本日の閣議は、まず第一にテロ対策の特措法に基づく実施の要領について国会の承認を求める閣議決定が行われました。なお、この関係での予備費の支出が 172億円ということで、これも承認をされました。

また、国の審議会等への女性委員の登用についてですけれども、目標は30%というのに対して、実績が今回まとめられまして24.7%、前年度比3.1%増ということですが、さらに一層努力をするようにという官房長官が男女共同参画担当大臣としてご発言がありました。

田中外務大臣がパキスタンに出張中、福田官房長官が外相の臨時代理になるという話がありました。

そこまでが閣議で、閣議後のこととして、二次補正の問題について、2~3の大臣から発言がございました。塩川財務大臣は最終的に、もうNTT資金のA・B・Cというふうに全部型があるから全部動員するので、何でも…まあ、財務大臣の物の独特の言い方ですので、誤解のないようにしていただきたいのですが、「何でもいいや」と、こういうふうなことだし、「ただ年度内に着手できるものでなければ困るよ」というような二つの要件を言われまして、皆さん、科学技術が大事だとか中小企業が大事だとか、それぞれの立場からのお話があったのですけれども、最後にそういうまとめがあったということでございます。

【質疑応答】

  • 問) 昨日、あさひ銀行に続いて三井住友銀行も、不良債権の追加処理に伴って大幅な赤字の見通しを出しているわけですけれども、あさひ銀行も含めて最近の各行の動きについて大臣の評価をお願いします。

  • 答) 何と言うか私どもはかねて、改革先行プログラムに新しいというか、不良債権処理の施策を盛り込んであります。特別検査、それから要注意先の引当金を算出する時に、市場のシグナルというものをよく折り込んだことをそれぞれ工夫してもらいたいということ、それからRCC絡みの話ですが、結局、それを9月期決算に導入するということではないのですが、まあ通期ではそういったものをある程度折り込むと、検査に入られて指摘をされてから、やおらということではなくて、何と言うかなあ先取りするというか、そういう形で折り込んだ決算発表になっているのではないかと。もちろん、検査をすればまたいろんな指摘もあるかと思うのですが、大体そういうものを受け止められる体制を作られたというのが現状かと思います。

    そういう意味では、確かに当期利益が赤字というのは決して褒められたことではありませんけれども、全体の姿勢というか、そういうものがさらに不良債権の処理に取り組む姿勢が明確になったという意味で評価をしたいと、こういうように思っています。それから、同時にいろいろと経営の姿勢というか、そういうものについてそれぞれの銀行からいろんな発表がありますが、経営の刷新というものに向ける姿勢ですけれども、こういうものも私としてはさらに真剣味が増しているという意味で評価したいと、こういうように思います。

  • 問) 昨日の日銀総裁の会見で、速水総裁が現在の自己資本比率の計算について疑問を呈した上で、その上でさらにまた、資本注入も必要ではないかという見方を示されたわけですけれども、速水総裁の発言についての大臣のご見解をお聞かせください。

  • 答) これは私は直に聞いたわけではないので、コメントすべきかどうかということに若干迷いもありますが、まあ何と言うか、それぞれに条件付きの話をしているのではないかと思うんですね。こういう条件が出てくれば、こういう情勢になればというような話でですね。ある意味では当たり前のことを当たり前に言っているだけで、ただそれを日銀総裁がわざわざ言うものだから、それでまあ皆さんも書かざるを得ないというか、世の中は注目せざるを得ないというか。何か、「制度はこうなっていますよ」というような調子の話ではないかと。直接聞いているところは、「資本注入が必要でしょう、いつ必要なんですか」と言ったら、「危機が来れば必要だ」と。「それはもう今の制度そのものではないですか」というような感じの話のように聞いております。

    自己資本についても、ここは資本を充実しなければいかんというような一般論を言っているわけで、今の制度の中で何か、国会でも言うように、「あれが気に入らない、これが気に入らない」と言っても、気に入らなくても気に入ろうとも、そういうのが会計基準というか、ちゃんと認められている会計基準であるということは、もう総裁も百も承知した話だというふうに受け止めています。

    この頃、いろんな人がいて、いろんなことを言うものだから、びっくりさせられますよね。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る