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柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年11月27日(火)9時04分~9時35分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですけれども、閣僚の発言としては外務大臣からパキスタン訪問の報告があったのみでございます。

閣僚懇に参りまして、証券税制の改正の実施があるというお話がございまして、私からも発言をしておきましたけれども、大いにこのPRをして、これが証券市場の構造改革及び活性化の役に立つようにという趣旨での、それを閣僚がしっかり踏まえてというようなお話がありました。

関連して、そういうふうに言うのであれば、政治家が株式の、まあ頻繁な取引をするというのは論外ですが、保有をするということで、株式に投資をするというようなことを現状のように厳しく縛っているということも、何か一方で国民に株式投資を呼びかけながらそうするということはちょっと矛盾を感じるといった趣旨のご発言がありましたが、結論が出たわけではありません。

連結納税の制度については、なかなかマンパワー的に難しいのだけれども、何とか努力をするという発言があったのですが、それがどうも年末の年度改正に間に合うとも言わなく、微妙なものの言い方でございましたが、間に合わせるというような趣旨の発言がございました。

また、住宅金融公庫の5年後廃止に伴ういろいろな税制面の措置についての発言もございました。

いろいろありましたので漏らしていることもあるかもしれませんが、百家争鳴でございました。

【質疑応答】

問)

閣僚懇での大臣の発言の部分は。

答)

証券税制で、要するに塩川大臣からご発言があったように、証券税制の改革が実施に移されますと。特に緊急の投資促進ということについては11月30日からの取得分に適用されるということもあるので、ボーナス月にぴたっと合っているというのは、大変証券市場に刺激を与えるような税制になっていますということで、私も有り難いと思うし期待もしているのですという話をしました。それから、それがまた同時に証券市場の構造改革のためのインフラ整備の第一歩になることを期待しているのでと、皆様よろしくという、閣僚に対する認識の徹底と言うか、PRと言うか、そういった趣旨での発言です。

問)

政治家が株を保有することのご発言というのはどなたから。

答)

これは私ではなくて別の方です。

問)

どなたでしょうか。

答)

それはちょっと、閣僚懇というのはその辺は明かさないことになっています。

問)

昨日までに大手銀行の中間決算が出揃いまして、不良債権の処理を大幅に積み増しするような内容が出て、6兆円を越えるというような内容になっているようなんですけれども、改めまして大臣の感想と評価をお聞かせください。その後、今後大手行なり金融界に望むことをお聞かせください。

答)

今ご指摘があったように、22日、26日の両日に特に大手行の中間決算、それから通期の決算の見込みについての発表があったわけです。そういうことで、各行の通期の不良債権処分損の見通しを、今言われた6兆円以上ということに、集計するとなりますよというお話でございます。

これは見込みではありますけれども、その見込みを見る限り、各行が業況とか業況の推移、あるいは検査の実施というようなものに備えようということで、そういう見通しを発表したのではないかというように思っていまして、これはこれで備えとしてそういうふうに考えるということは、これは積極的に評価出来るというように思います。

ただ、私は同時にそういうことに止まらず、リストラそれから新しい収益源の開発、こういうことに注力をするという姿勢も同時に見られるように思いまして、これらの具体化というものを強く期待しております。やはりリストラ、あるいは新しい収益源というようなことで、収益力を上げて行くということが非常に、前から言うように基本だと思っていますので、そういうことについてもいろんな構想が述べられておりますので、それらを力強く具体化して行くということが強く期待されるというふうに思っています。

問)

課題としてはその二つということでしょうか。

答)

そうですね、課題はとにかくそこに絞られると言うか、そういうものだと思います。

問)

先程の話とも関連するのですが、大手行の中でみずほグループのように、今回経営陣を刷新するというような動きも出ておりまして、リストラの強化の関連も含めまして、改めて大臣のお考えをお聞かせください。

答)

そうですね。やはり経営の刷新ということが非常に大事だと思うのですね。節目を付けて、一つ一つ前進して行くということで、なかなか人間ずっと同じ体制で、倦まずたゆまずやるというのも一つの方法ですけれども、やはり一つ節目を付けて、次に新しい陣容で臨むということは非常に大事なことだというように思います。そういう意味では、こうした例も私は高く評価したいというように思っています。経営刷新の一環ですね。刷新と言うのは、リストラだとかということもひっくるめて言っているのですけれども、そういう新たな体制の構築というのは、仕事の面、業務の面で強く望んでいるわけですが、そういうことを推進する経営体、組織体というのも、これはまた、気分を一新してやって行くという意味では私は望ましい姿だというふうに思っています。

問)

他の、みずほ以外のところに対しても、そういうことを改めて要請するのかということと、あとリストラ策で削減を増やす動きもあるようですけれども、これで十分とご覧になっているのか、そこのところをお聞かせください。

答)

まあ経営の刷新というのは人に言われてやることではないんですね。人に言われてやることではなくて、やはり内発的なものでなければ刷新にならないですねというふうに私は思っています。ですから、我々の気持ちは既に述べた通りですが、何か要請するとかそういうようなことはするつもりはありません。

それからリストラについても同様でありまして、この規模をどうこうするというふうには、実は個別に何かするというふうには思いません。我々としては健全化計画というものを中心に、考えて行きたいというふうに思っているわけであります。ただ、それぞれの銀行が自分たちの経営判断、企業の経営の判断としてそういうことをやるということについては、これはこれでまた評価をしたいと、こういうふうに思っています。

問)

早期健全化法による資本注入で、昨日最後の第二地銀で3行の分がありまして、これで注入の総額が返還されたのも含めますと8兆6,000億円ということのようなんですけれども、改めてこの金額を含めて大臣のご感想をお聞かせください。

答)

そうですね、まあ資本注入というのはどこまでも緊急措置の一環として、健全化法で行われたものでございまして、これら地銀3行も、本年3月末、健全化法が期限切れになる、期限一杯のところで申請があったものでございます。そういうもので、粛々というか済々として審査をして、決定をしたと、こういうことでございます。

私はこれらの銀行も、時期は区々ですけれども、自己調達というものが前提になっているわけでして、基本的に資本政策というのは自ら考えてやるというのは、これは当然であるというふうに思っています。

これからは、資本注入というようなものは金融システムの危機、あるいは危機のおそれ、さらには地方経済、地域経済の混乱というか、そういうものに備えて制度が整備されているということを改めて想起をしていただきたいというふうに思っています。

問)

中間決算の関係なんですけれども、退職慰労金のこれまでの支払いについて返還を要請するような発言が昨日の会見で相次いだんですけれども、その点についていかがお考えかお願い致します。

答)

これは一つの経営の刷新というかですね、先程言ったことの一環だというふうに思っております。それぞれ不良債権の処理、あるいはリストラということをやっているわけですから、そういうようなこととのバランスを改めて、考えられたということだろうと思います。過去にやったことについても見直しが行われるということであろうと思います。

問)

政治家の株式投資について大臣御自身はメリット・デメリットを比較考慮してどのようにお考えでしょうか。

答)

これはね、非常に難しいんですね、難しいと思いますね。確かに言わんとすることは、ある面、非常に当たっているし、何か聞くところによると公務員、それから更に聞くところによると会社の部長以上あたりも同じように自粛しているという話をちょっと耳にしますね。そういうように、非常に何というか株式市場というものをどういう評価でそういうふうになっているのかということを私自身も感じないわけではないのですけれども、ただ何と言うのかなあ、そういうことに段々なって行った経緯というものも、もうちょっとよく考えてみないといかんなというように思っていまして、政治家だけについて言うのではなくて、そういうのをずっと通観してですね、どうすべきかということをちょっと落ち着いて考える必要があるのではないかというように思って、私は敢えて「発言しろしろと、担当大臣ではないか」と言って、ちょっと言われたんですけど、「ちょっと待って」と、公務員の問題、更には会社の管理職の人達の問題、こういうのちょっとよく調べてみてですね、それぞれがどういう理由でそうなっているのかということを改めてもう一回見直して、そういうことを開放するんだったらやはり周到な理由付けの下で、根拠付けが欲しいのではないかなと、こんなふうにちょっと思ったものですから、敢えて今日、発言を致しませんでした。

問)

今の不良債権の処理の問題でですね、この6兆数千億円という見通しの金額からすると、金融庁としてはこの問題はかなり促進されて峠はある程度見えてきた、あるいは越えたというふうに感じているのでしょうか。

それともう一つですね、各行、法定準備金を取り崩してですね、財源が枯渇つつあると、この点に関して大臣はどういうふうにお考えになっているのか、この二点を明確にしたいのですが。

答)

まあ6兆円以上ということについてはですね、規模的にも相当なものだという感じが致しています。昨年は皆さん御承知の通り4兆2,800億某かということですね。それとの比較でもですね、1999年、平成11年3月期、ピークを刻んで、その後4兆円台に下がってきたのですが、それがまあ今度6兆円余りになるとこういういうことですから、ここで新たなアクションが、勿論経済状況が背景になっていることは間違いないのですけれども、そういうことも背景としてですね、金融機関として新たなアクションというものがとられるというふうに解することができるだろうというように思います。皆さん御承知のいろんな背景があるわけですが、そういうものとして私としては受け止めておりまして、それにしてもかなりの規模だというふうに思っています。

それから財源の問題はですね、これはまあ文字通りですね、やはり株式市場というものの不振というのが、非常に大きく影響しているということは否めないと思います。別に不良債権の処理だけで、いろいろ資金が要るということに止まらないでですね。株式について、今まではむしろプラスの助けてくれる財源になっていたものがですね、逆にそうでなくなるというようなことにも作用していると、例えば減損処理などやればですね、やっているところに追加することですから。まあやはり、両面の影響を考えていかなければいけないというふうなことになってきているということですね。

問)

銀行のリストラなんですけれども、今後強いリストラ推進を期待するということですが、経営刷新というのは、ある意味では当たり前の所を迎えている銀行が多いわけですけれども、それ以外で大臣が要請するということではなしにこの辺はもう少しやった方がいいのではないかと日々感じていらっしゃるテーマ、ないし分野というのはどの辺がありますか、今。

答)

まあ、ないわけではないですけれども、まあここで言うのはちょっと差し控えたいですな。まあ止めておきましょう。

止めておくというのは、プラス・マイナス両方あるのね。ちょっと心配なところもあるんですよね、人数削ることについて、私は正直言うと。削ったことは評価しますよ、プラスの。ただ、皆さんと一緒にここは考えたいことなのだけれども、人間の数は資金量に比べて多くないんですね、諸外国と比べても。それから、不良債権の処理をこれからどうやって進めていくかという問題もあるんだけれども、ものすごく手間がかかるんですね。そういうことから言うと、努力してくれるということは非常に私は多としますけれども、ただそれを単純に○○(マルマル)と言って評価するほど能天気ではないんだね、こっちは。それは評価してますよ、真剣にやってくれているなということで評価しているんですけど、例えばそういったこともあるわけね、反面どうかと。老婆心です、老婆心。

問)

リストラの完了が100だとしたら、その定量的にどれくらいなのですか。何合目くらいなのですか、大臣自身の感じとしては。

答)

段々進んでいるのでしょう。少なくとも、今期でああいうことを言われる前は、ちょっと苛立ちの気持ちがありましたからね。

問)

今期6兆円の不良債権を処理するということですが、まだ主要行を合わせると20兆の不良債権の残高があるということで、かつその銀行の資本が足りなくなっているという現状を考えますと、やはり公的資金の再注入という話がまた活発になってくるのではと思われるのですが、その点について改めて御見解を伺いたいと思います。

答)

残高の問題と処分損の問題とはどういうふうに皆さんの頭の中でつながるのか、私にはその繋がり具合が分からないんですよね。引当をしても処分損には計上されるんだけれども残高は変わりませんね、オフバランス化しない限り。だからそこのところは直接は私は関連付けて考えないで独立に考えておいた方がいいのではないかというふうに思っています。

公的資金の注入は、これはかねて言っているように、我々が今、銀行行政をやっているこの基盤というのは、早期是正措置と金融危機対応の二本立ての下で行われているわけですね、行政が。ですからそういうものだとして、そういうことを前提にすると今の御質問はどういう意味なのかと、金融危機が起こりそうではないかということだとしたら、我々はよくそこは、何と言うか常に見ておりますよということですね。

問)

新規発生の不良債権の問題についてなのですけれども、定数的というか数字的な予想を立てるのは非常に難しいのですが、昨日の決算会見でも経営者の方達が来期以降は今期よりも増えるだろうというふうに見込んでいらっしゃる方が多いわけです。そういった中で新規の不良債権を3年以内に処理しようというような政策目標に来期以降振れが出てくるようなおそれがないのかということについては、現時点ではどのようにお考えになっていますか。

答)

これもまたちょっと若干細かいところに分け入って行かなければいけないんですけれども、そういう発表をされた方々が、不良債権というのをどういうふうに観念していたかですね、頭に浮かべていたか。それは文字通り不良債権というのを定義通り考えて、要管理以下に行くということだとしたら、要管理に要注意以上のところから入ってくるのが多くなるというふうに仰っていたのか、いや、そうではなくて我々が2年~3年のスケジュールで、これからは3年と言った方がいいかもしれませんが、オフバランスの対象にする破綻懸念先以下の債権が増えてくるというような意味で使ったのか、ちょっとよく分からないんですね。両方言っているのかもしれません。それはあり得ることですね、経済の状況が非常にこういうことであれば。我々としては、一応仮定を置いた試算なんだけれども、何というかプロジェクション、モデル推計というものを一応の座標軸にしているわけですね。だからあれの中に収まるのか、収まらないのかというようなことで考えています。あれ自身も非常に厳しい前提を置いていますから、少しゆとりがある推計結果を出しておったのですが、それとの関係でどうなるかというような辺りをこれからよく注意深く見ていきたいというように思います。

(以上)

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