英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年12月7日(金)9時22分~9時43分)

【閣議案件等】

おはようございます。閣議ですけれども、第153回国会が本日で閉会になるという話を確認しました。閉会中の閣議ですけれども、10時に官邸というのを原則とするけれども、11日だけは9時30分ということでした。

中谷防衛庁長官、総理の海外出張に伴い、中谷長官の代理に村井国家公安委員長、総理の代理に福田官房長官が指名されました。

閣僚懇に移りまして、各党会派が政策提言をすることが多くなって来ているけれども、その処理は財務省の藤井総括審議官が、特に予算絡みが多いので、ここで取りまとめているので、これを念頭に置いてくださいと。それで、藤井総括審議官のところから関係各省に連絡がなされることもありますと、こういう話がありました。

正式発表が閣議の直前にあったということで、7~9月期のQEを巡る話が若干ありました。我々に対する報告は次の閣議くらいだと思います。

総理から最後に、今国会の労をねぎらうというか協力に感謝し、また予算編成に向けて誠心誠意それぞれの持ち場で頑張ってもらいたいというご挨拶がありまして終わりました。以上です。

【質疑応答】

問)

先程QEの発表がありまして、4~6月期の方がさらに悪くなってマイナス1.2%で、7~9月期が速報値でマイナス0.5%ということで、二期連続マイナスということなのですが、不良債権の処理を進められる大臣の立場から、このQEの速報についてご感想をちょっとお聞かせください。

答)

そうですね、これは実質の話だと思いますが、実質がこれだけ悪いとさらに物価は必ずマイナスですから、当然、名目はもっと落ちているのだろうと、こういうように思います。いずれにせよ、私共の仕事を進める上の環境はかなり厳しいということでございます。

これはまあ、ある意味で、所与というか想定をしていたことでございますので、私共としては、もちろん経済の状況を全く度外視してということは、これはまあ有り得ないわけですけれども、そうしたことを睨みながらというのは、それで塩梅するというところまでは言っているわけではないのですけれども、そういうことを横で見ながら、成すべきことを成して行くと、こういうスタンスで行きたいと思っています。

問)

昨日の青木建設の破綻の関連なんですけれども、改めまして大臣の評価と感想をお聞かせください。

答)

これは昨日も、直後に皆さんの一部からぶら下がりのインタビューをお受けした時にも申し上げたのですが、個別企業の問題についてコメントを申し上げるということは差し控えたいというように考えます。

ただ、一般論として、やはり不良債権の処理という意味での銀行側の態度というものもそうしたことの背景にあることは、これはもう言うまでもないことでして、銀行側がそうしたことを諸々きちっとした準備をして、これに取りかかるということの一つの例として受け止めることは出来るだろうと、こういうように思っております。

問)

その関連なんですけれども、銀行の方は準備をしていたということですが、今日あたりも額面割れのゼネコンとか、そういう問題があるのではないかと言われている企業の株価が下がったりしているのですけれども、今後の対応と銀行の経営に与える影響、また公的資金の話みたいなものを言っている人もいるみたいですが、その辺について大臣がどうお考えかお願いします。

答)

私も具体的に通期の不良債権処分損の見通しの中身というものまで聞いているわけではありません。ありませんので、個別問題を念頭に置いてお話するわけでは全くありませんが、当然、いろいろと業況、特に構造的に業況が振るわない企業について不良債権処理の一環として企業の存続とか、そのものに決断をして行くということがあり得るというように思っています。

それの銀行財務への影響は、これは私の総体的な観察ですけれども、今度の通期の見通しということの発表の通り、かなり積み上げていますから、その処理損の見通しの中で、十分にこれを吸収することが出来るというように見ております。

問)

自民党の幹部や派閥の一部から、ペイオフの延期を2年とか、まあとにかく延期すべきだというような意見が出ているようなんですけれども、改めて大臣のお考えをお聞かせください。

答)

これは昨年からの延期というものの理由を思い出していただければ十分その宿題はこなしてありますから、そういう意味ではもう前にある宿題は解消をしているということで、もちろん準備をきちっと、いろんな各般の準備を今進めていますけれども、そういうものを期限通り完了してペイオフを実施する、そういう考え方に変わりはありません。

特に、やはり危機対応というものの、いわばセーフティネットが張ってあるということ、これをやはり、我々は出来ればセーフティネットのお世話にならないのが良いわけですが、仮にそういうようなことになってもセーフティネットが張ってあって、混乱は生じないということですから、これは予定通り実施することが適当だと、こういうようにも考えています。

問)

個別の話になってしまうのですが、青木建設の処理のあり方ですけれども、民事再生法を選んだということで、当然これには銀行の方も深く関わっているわけですが、その選択が、一度債権放棄を受けた企業が改めて民事再生法を選ぶということは、モラルハザードを招くのではないかという考え方があると思うのですが、この点について大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。

答)

この点についてコメントしろと言われると、私はちょっとこれは申し上げるわけにはいかないと思うんですね。申し上げるわけにはいきません。これは個別のことについて、良いだの悪いだの、そういうことを言うのは、やはり…。

問)

それでしたら今後も債権放棄を受けた企業が最終処理という流れの中で、同じような選択をする可能性があると思うわけですね。そうすると一般論としての問いかけで、一度債務免除を受けた企業が民事再生法を適用申請するということについてはどうでしょう。

答)

要はですね、ある種の社会的な正義というか、公正というか、そういう問題と、もう一つは企業の再生というか、あるいはもうちょっと細かく言えば、債権回収の極大化というか、そういうことの二面から問題意識が生じているんだろうと、このように思います。

まあ債権放棄というのは私的整理なんですね。その私的整理が、まあ当時ガイドラインもなかったということで、枠組みがなかったものですから、かなり任意的に行われたということなんですけれども、まあいろいろ問題は感じないわけではないんですけれども、片や回収の極大化というものが図れるんだという判断が、そういう場合にはあり得れば、全否定でなければならないということでもないのではないかと思います。私はしかし、やはりその隙間というか、そういうものを認める余地というのは初めてそうした局面に直面する場合よりは、はるかに狭いのではないかというようには思います。

問)

先程大臣は不良債権処理の一環として、構造不況の企業の存続そのものに決断をしていく、決断をしてもらっていくということがあり得ると仰いましたが、今後どんどん相次ぐとですね、デフレ圧力が高まる中で、検査不況に陥るのではないかとの向きもありますが、不良債権処理とデフレ圧力との関係について、改めて大臣のお考えをお聞かせ下さい。

答)

これは不良債権の処理がデフレを更に強めるのではないかという角度からの、先程のQEの発表とまた別方向のことですけれども、それはまあ十分あり得るわけです。十分認識しています。だから全然そういう効果を度外視して突き進んでいくという気持ちはありませんけれども、一般論としてそういうことが非常にあるから我々の不良債権処理にブレーキをかけるという気持ちはないということですね。つまり、我々は別に済々としてやるべきことはやりますよ。やりますけれども、まあそんなことはないとは思うけど、経済が底抜けしてしまっても何でもやるべきことはやるなんて、そういう馬鹿なことはしませんよということは申し上げられると思うんですけれども、デフレがすごくてデフレの効果に畏れおののいて、たじろいでしまうということはしませんよと、やるべきことはやりますよということですね。危険に陥れるようなことはしないと。それは常に念頭に置きます。横目で見ていますよ、しっかりと。

問)

その問題に関してですが、構造不況に陥っている業種と、そうでない業種とを分けるということですか。

答)

これは正直言って、構造不況業種というのもあるし、立地的に構造的に不況だという場所もあるでしょうから、そういうことを中心に見ていきます。単に循環的に、ちょっと業況不振だというようなものを、私はこのシステムの中でいろいろするというのは、まあ原則としては考えていません。

問)

そのデフレとの関連の見極めなんですけれども、検査の結果というのは検査の結果で出て来ると思うのですけれども、その検査の結果を必ず踏まえて何らかの処理、対応をして行くということで、それはデフレなり経済的な状況とは関係なく処理して行くことになるわけではないのですか。

答)

だから「破綻懸念先になれば速やかに」と改革先行プログラムに書いてあるわけですね。速やかにというのは、それはそれぞれの判断があるでしょうね。しかしまあ、少なくとも2~3年で不良債権問題を正常化するという計画よりは早いわけだから、当然、常識的に言えば1年以内とかということになるでしょうと、そういうことはちゃんとやって行きますよと。やって行くんです。やって行くんですが、金融庁の行政は底が抜けても知らんぷりしてやって行くなんて、そんな馬鹿なことはしませんと。それは私どもの判断もあるし、また例えば、内閣の経済の運営に当たっている人たちからいろいろウォーニングが来たりするケースもあるだろうし、世論もあるだろうしデータも出て来るだろうし、そういうことです。

問)

そうすると、経済の状況に検査結果が左右されるとか、それは検査結果とは別に…。

答)

検査結果は左右されませんね。検査の結果、「速やかに」というところですね、「速やかに処理しろ」と、こうあるでしょ。「速やかに」というところで、ある程度考慮するというか、そういうことはあり得べしと、しかし原則としてはもうやりますよと、こういうことです。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る