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柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年12月11日(火)10時08分~10時20分)

【閣議案件等】

おはようございます。本日の閣議ですが、平成13年度特別交付税交付金の12月分の交付決定がありました。総理のベルギー訪問について外相から報告がありました。平成12年度の当事者としての国の環境問題への取り組みについて報告がありました。扇国土交通大臣、武部農水大臣、平沼経済産業大臣の海外出張に伴い、それぞれ、尾身沖縄及び北方対策担当大臣、片山総務大臣、川口環境大臣が臨時代理に指名されました。

閣僚懇は発言が格別ありませんでした。以上です。

【質疑応答】

問)

昨日の東京株式市場で銀行株が、4大グループについては年初来最安値ということで、また業種別の東証株価指数でも約18年ぶりの安値ということで非常に低迷しているわけですけれども、市場の信認をなかなか得られない理由について大臣はどのようにご覧になっているでしょうか。

答)

非常に残念なことだというように思っています。市場の信認を得るべく検査についても工夫をし、また引当についても改善を加えておりまして、そういうようなことに応えて、各銀行が中間決算及び通期の見通しを発表しています。非常に一生懸命やっているわけで、まあ中身については私はコメントする立場にないのですが、少なくともそういう集計数字が出ておるわけです。

他方、自己資本についても、2桁の自己資本比率を維持出来るということになっていますので、それらも、別に今までがどうこうというわけではないのですが、益々検査あるいは会計処理というものが厳格に行われているということを良く見ていただきたいなということを強く感じています。

問)

国会でご報告された2001年度の上期の不良債権の処理の主要行の実績を見てみますと、依然としてオフバランスの額を新規発生が上回っていて、残高が若干増えているような形になっていると思います。大臣はもとより、単に引当を積むことではなくて、残高を減らすことが大事だと強調されていたと思うのですけれども、これで満足されているのかどうか、それともやはり不十分だとお考えなのか、いかがでしょうか。

答)

私としては、当初から2001年度、つまり平成13年度末というのは、2000年度よりも不良債権残高は、これは要管理先債権を含めてなんですが、増えるということはモデル推計でも明らかにしておったわけです。これはどういうことでそうなるかと言うと、あの時には、いわば要管理先債権の基準の明確化というのがあって、各行かなりの金額の積み増しというものが想定されるということでそういうことになったわけですが、現在のところ、その想定を上回るような状況になっている。つまり、2000年度を上回るということはある程度想定の範囲なんですが、しかしその規模が中間決算でも上回るという状況になっています。私としては、これは何と言うか非常に不本意でして、そういうことならそういうことで、この通期の決算に向けて、より努力をしてもらいたいという気持ちがしております。

ただ、懸念されるのは、そういう状況が、いわば破綻懸念先以下のところだけで見ると、ちょっとこれはフェーズが合わないわけで、要管理先以下の話をしていながら破綻懸念先以下の話をするというのは若干混同なんですけれども、破綻懸念先以下は多分通期の方が増えるだろうと、こういうことなんですが、従って要管理先のところがどうなるかということなんですけれども、これは増える傾向にあるということを考えると、相当やはりオフバランス化をしてもらうと、もちろん要管理先を上位に移行する、遷移するように持っていくというのもあるのだけれども、やはり破綻懸念先以下のオフバランス化という、いわゆる最終処理ということにドライブをかけないと、ちょっとこの傾向だとその増高ぶりが、ややというか、相当我々の想定とも違う結果になりはしないか、これを懸念しておりまして、各行にはそれぞれの立場で努力をしてもらいたいと思ってます。

問)

株安の原因なんですけども、最近は不良債権処理が進むことによって銀行の体力に不安があると、こういう理由も言われていて、不良債権を処理しても処理しなくてもいずれにしても株は売られるというようなことではないかと思うのですけれども、こういう見方について大臣はどういうふうにお考えなのでしょうか。

答)

だから先程、それをよく見てもらいたいということを言ったのは、不良債権の処理を進めるということは明らかに良いことでして、まあそれもですね、自己資本を危険にさらさない程度でやっているという非常に穿った見方をされる人が一部にいるようですけれども、決してそうではないと。

これは、検査と監督というのは我々の役所の中でも非常に分離されているということをもっと是非皆さんに書いて頂きたいと思うんですね。検査は検査で、検査の論理を貫徹しているわけですね。それによって自己資本比率とか何とかがどうこうなった時には監督の観点からどういう措置をするのかというのは、これは全く別の価値観というか論理でもって動いているんだと、たまたま同じ屋根の下にいるんだけれども、そういうことになっていないということですね。ですからそんなことではないと。

だから今、検査は非常にいろいろな改善を加えて懸命にやっていてですね、不良債権の認識というものを非常に強め、かつそれに対する引当等の対応をきちっとやるということなんだけれども、片や監督の方はですね、自己資本比率の方で何か問題が起きるというような想定はありませんと明確に言っているわけです。私とか長官のところに来てしまうと同じ人が言うものですから、何かそこのところがインディペンデントリーに行われているという感じが薄らぐことは、これは否めないんですけれども、そういうことをやっているわけですから、是非そういうことに信頼を置いて頂いて、我々が不良債権の処理を進めながら、しかし体力というものもよく見て、我々として問題ないということを申させて頂いているわけですから、そのことを是非市場の皆さんにもう少し認識を改めてもらいたいというか、認識を深めてもらいたいというふうに思います。

問)

先程、不良債権の残高が増える傾向があるという話で想定を上回るような状況が懸念されるということを伺ったのですが、これについてモデル推計のシナリオを修正しなければならないということはお考えではないでしょうか。

答)

そこまではまだ私は思っておりません。思ってませんけれども、まあ検査の基準が変わったと、つまり不良債権残高が要管理を含めるところまで行くと、要管理先のところの基準の明確化ということだけでなく、かなり業況の面が反映してくるということも、もう一つのファクターとしてやはりしっかり認識しないといけないかなと思っています。

しかしまあ、少なくとも中間決算で見る限り、我々は依然としてあの推計というもののラインでコースそのものを変えなければいけないというような感じは持っておりません。むしろ、それにできるだけ近寄るような努力を求めたいというふうに思ってます。

(以上)

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