柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年12月20日(木) 9時23分~9時43分)

【閣議案件等】

本日の閣議は、御案内のように昔の大蔵原案、今は財務省原案ですが、これの14年度予算、それから13年度の第二次補正予算が決定ということです。それから14年度の税制改正についても決定ということで、税制大綱が閣議に出されました。予算はこれから500億円の調整財源が留保されているので、それの配分を限られた調整期間を使って調整するということでございました。

閣僚懇は少し関空の二期工事について質疑というか、どういうことだったんだという確認の応答がありました。以上です。

【質疑応答】

問)

大臣の方から何か発言は。

答)

別にございません。

問)

まず、予算関連ですけれども、一般歳出をマイナスにすると、緊縮型の予算だと思うのですけれども、景気が低迷している中のこういう緊縮予算について大臣の御感想を宜しくお願いします。

答)

今のお話もマクロ経済政策の話なものですから、大変恐縮ですけれども、私はこれについて、こういう席でコメントするのを差し控えさせて頂いておりますので、御理解を賜りたいと、このように思います。

問)

また、更に聞きにくいのですが、昨日、日銀が、一段の金融緩和を決めまして、それで年末の資金需要等にも応えるということで、当座預金残高を10兆から15兆円というふうに大幅に拡大したようなのですけれども、これについては金融機関の絡みもあるので、ちょっとお願い致します。

答)

マクロの金融政策についてコメントすると一貫性がなくなりますので、そこはコメントを差し控えますが、金融機関の資金繰りということにも影響があるというように考えておりまして、有難いことだというふうに思います。金融機関に対しては、私共は12月10日に皆さん御承知の通り、政府系金融機関を含めてだったのですけれども、「年末金融には遺漏のないように格別の配慮をもって対処してください」という要請をしておりまして、そういうこともしてあるということにも鑑みて、この措置は非常に適切だというように考えています。

問)

来年度の経済成長の政府の見通しの方が、実質で0%、名目でマイナス0.9%ということで厳しい見方が出ていますけれども、改めてこの見通しと、今後の不良債権の処理等についての大臣のお考えを宜しくお願いします。

答)

これは、もともと集中調整期間は低成長を覚悟しなければいけないということは、骨太の方針の時から一貫して言われていたことであります。そういう意味合いで、名目マイナス0.9%の方ですけれども、これはなかなか厳しいですね。厳しいですけれども、びっくり仰天して倒れてしまうというようなことではないだろうというように受け止めています。

私共はいろいろな不良債権の残高等の推移を考える場合も、そうした名目の成長率と直接、定量的に関連付けて考えているというわけではないわけなので、そこをどうこう関連付けるということはありませんが、定性的にはなかなか厳しい状況だということは変わりはないということであります。

問)

昨日、証券取引等監視委員会の方から、ゴールドマン・サックス証券の空売りついて、金融庁の方に勧告があったと思うのですが、これについて大臣の考えをお聞かせ下さい。

答)

これはですね、監視委員会の方と我々の方で合同の検査があったわけですが、監視委員会の方で、それについては監視委員会の市場の行為規制の問題ということで指摘がなされたわけです。空売りというのは明示をしてやってもらうということになっていますので、それに違反した取引があったということのようです。

従ってこの勧告を受けて、私共としては法令違反ということを確認した上で厳正に対処したいと、こういうように考えています。

問)

空売りに関連してですけれども、市場に対する規制というのは常に長短あると思いますが、信用売りや空売りについて規制を強化するというお考えについてはどう思われますでしょうか。

答)

そうですね、これは国際的にもスタンダードがあるみたいで、それもいろいろ各国の中で、何と言うか、動きもないことはないようですが、基本的にはスタンダードがあると言っていいと思うんですね。スタンダードとの関連で、やはり我が国の規制というものを、行為規制については、それに見習ったものになっている、またなって行くというべきものだというふうに考えておりまして、それ以上の規制というのは、私もいろんなことでそういう問題に直面しないわけではないのですが、やはり日本の市場というものを、国際的なスタンダードから見て、あまり規制の強いものにするというのは良くないと、そういう基本的なスタンスで臨んでいます。

問)

行き過ぎた最近の空売りが、市場の相場を歪めるという指摘もあるのですが、平成10年に規制をされていますが、これ以上強めるというお考えはないという理解で宜しいのでしょうか。

答)

いやいや、そういうことではなくて、規制を動かす時には、国際的なスタンダードを良く勘案して考えていくということを今、申し上げたというふうに理解して頂きたいと思います。

問)

国際的なスタンダードに照らして、現状はどうなのでしょうか。

答)

今、いろいろ考えるべき点もないわけではないということでしょう。

問)

改正の余地はあるということでしょうか。

答)

まあ、そういうことでしょう。

問)

あさひ銀行が海外拠点からの完全撤退ということに関連致しまして、ゆくゆくは4%の国内基準行になると思いますが、現在の自己資本の数字に対してどう評価されていますか。

答)

まあ、自己資本について4%を基準にして早期是正措置が動くという、そういうステータスの銀行になると、こういうことですね。そういうことを客観的に受け入れたらいいと思うんですよ、客観的に受け入れたら。

ただ、当該銀行は一生懸命自己資本の充実というか調達をすると、これはこれでまた別に止めた方がいいではないかとか、そういう話ではないと、こう思っています。ただ、我々の早期是正措置というか、過少資本ではないかということで動き出すスキームとしては、やはり4%を基準に考えると、こういうことになりますね。

問)

あさひ銀行の位置付けというものは、いわゆる大手銀行ではなくて、大和銀行とかのように、他の地方銀行と同じような扱いになると、そういうふうな理解でよろしいでしょうか。

答)

まあ、大手銀行というのがどうしてああいう…経緯的なものなのですよね結局はね。だから、そのうちに整理されて、皆さんにもそういうプレゼンテーションをする時期が来るのではないかと思いますが、基本的に業務を大和銀銀行にしろ、あさひ銀行にしろ、きちっとした自分の立脚する顧客基盤、あるいは地域経済の基盤というものに密着した活動をしますよということですからね。それはそういう銀行として今後見ていくべきだということになったと、こういうことですね。

問)

在日朝鮮人系の信用組合の問題ですが、超党派でいろいろ破綻処理に関して意見を言っていく会合ができましたけれども、これに対する所見とそれと金融行政を超えた、例えば外交上の問題とかそういった論議もすべきかどうか、その点についていかがお考えでしょうか。

答)

そういう声を上げられる人達がいらっしゃること、これを変なことを言うなあというふうには私は必ずしも思いません、これは。思わないのですが、さればと言って我々の方の行政において何か違う基準を導入して行くのかと、今の枠組みのところにそういう基準を導入して行くのかということについては、まあこれはちょっとそういう状況にないのではないかというように考えています。

問)

今回の破綻処理においては、新しい信組を設置するというのも組み入れられるかと思うのですが、現在その在日朝鮮人系の信組ですが、客観的に見て朝鮮総連の機関銀行化のような形になっていると思うのですけれども、新しい信組を設置するに当って銀行法には機関銀行化の防止の規定がありますが、協同組合による金融事業に関する法律にはないと思うのですが、その点はどう考えていられるでしょうか。

答)

まず答えの結論を言えば、認可というものは法律に照らしてきちっとやるということに尽きますね、これは。そういうことが結論なのですが、立法政策として何か感ずる所がないのかと言われれば、これはやはり協同組合については基本の形というのは仲間内の相互扶助ということなんですね。完全に所有の形態と、むしろここは経営ではなくて営業ですね、営業とできるだけ切り離した格好でやるという一般の組織とはちょっと違う。それはもう始めから仲間内の相互扶助ということですから、出資をする人達に貸すということが始めから前提になっているわけですね。そこを機関銀行化と言うかどうかということは別の側面の価値判断がいるのだろうけれども、そこをあんまり厳しく言い過ぎてしまうと、この協同組織形態というものが、非常に危ういものになってきてしまうというようなことがあって、立法上もそこはまあ適切に判断しろみたいなことになっているのではないかというように思いますね。

問)

今の問題にちょっと関連して今度は韓国の方なのですけれども、在日韓国人系の信組では今度銀行を作るという形になっていますが、今のお話で行くと、やはりそうしたある仲間内の社会、まあ信組形態でやっていたものを銀行形態に変えるということについて一部不安が出ていると、仲間内での融資という形は今度はやってもらえないのではないかという不安が出ているのですが、その点についてはどうお考えでしょうか。

答)

非常にそこは、おそらく今まで信用組合の下でいろいろ活動してきた方々からすれば、そういう不安というかそういう声が上がるのも、まさにその通りだと思うのですね。だからこれを一体、全体としてどういうふうに考えるかというのは、やはり我々の課題である。その課題に直面するに当たってはいろいろな人の声も聞くし、いろいろ基本に戻ってその金融機関の機能あるいは健全性、こういうようなことを総合的にいろいろ勘案して決めなくてはならない問題だというように思ってます。

(以上)

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