柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年12月25日(火)10時53分~11時08分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですが、閣議の前に行政改革推進本部が開催されまして、公務員制度改革大綱というものが決定されました。閣議でもその点についての報告がまずございました。次に、平成12年度の国民経済計算の確報がとりまとめられたということで報告がございました。平成12年度の実質経済成長率はプラス1.7%、名目経済成長率はマイナス0.3%というようなことでございます。

それから官房長官の方から「政策金融機関及び郵政公社への金融庁検査の導入について」ということで、御了解をお願いしたいということで、閣議の口頭了解が行われております。

以上でございます。

【質疑応答】

問)

金融庁検査の対象となる政府系金融機関というのは具体的に挙げると、いかがでしょうか。

答)

具体的には9機関です。ちょっと申し上げますと、国民生活金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、公営企業金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、ここまでが公庫ですね。それから国際協力銀行、日本政策投資銀行、これが銀行です。それから商工組合中央金庫でございます。

問)

第二地方銀行の福島銀行が金融庁から早期是正措置を受けた旨、発表しておりますけれども、これまでの経緯と是正措置の内容についてお願い致します。

答)

そのような発表が当該銀行からありましたということは私も聞きました。しかし、個別銀行の早期是正措置につきまして、当局から申し上げることは差し控えさせて頂いておりまして、今回も同様でございます。

問)

では、この質問もお答え頂けないのかもしれませんけれども、金融庁として著しい過少資本にあったと認識されたのはいつで、それ以降はどのような対応をとられたのでしょうか。

答)

これは一般論で申しますと、検査が行われ、検査結果通知が行われる。この段階で過少資本というようなことが認定されるということです。それからこの是正措置、あるいは増資等の見込みでしょうか、そういったことについて報告徴求が行われまして、すぐにということでなければでしょう、多分これは。そうすると、早期是正措置と。まあ確認的な意味のこともあろうかと思うのですが、早期是正措置というものが発動されるという手続きになっておりまして、これは一般的な手続きですから、まあ今回も別に特段違ったことだというように私は認識しておりません。

問)

福島銀行については、今年2回目の検査であったと思います。大臣は予て仰っているように、金融庁の検査というのは国際ルールに基づくマニュアルに基づいて、銀行が自己査定をし、金融庁が検査をし、監査法人の監査を受けると、更には日銀考査もやっていると。それがついこの間行われた検査では、過少資本ということが出なかったわけですが、それが同じ年の2回目の検査でこのような結果になるというのは、前回とどういう違いがあったのでしょうか。今回の検査が正しいのなら、前回が甘かったということではないのですか。

答)

これも個別の銀行の中身になりますので、私自身、このことについて、正に今の御質問について対応した形でお答えするという趣旨ではございませんが、何か特別なことがあったというようには考えておりませんで、経済全般の悪化というようなものを反映しているところがかなり出てきているというようなことを、いろいろなところで聞いております。

これも一般論なのですが、例えば、ある有価証券について被害を受けるというような形で資産内容が劣下する場合もありますけれども、非常に急速に経済の悪化を反映するというような形も最近、かなり出てきております。

検査については、それぞれにきちっとその時その時の状況を見て的確にやってくれているというふうに考えています。

問)

今回の銀行について特別なことだったという話は聞いていないということですが、今回の福島銀行が打ち止めということではなくて、今後も過少資本の銀行というのは幾つか出てくるというふうな心構えでいた方がいいということでしょうか。

答)

これもお答えは何とも致しかねるということですね。ただ我々としては予て申し上げているように、来年度の4月1日が始まる時には、そう簡単に…今回が簡単ということではないのですけれども、健全性について問題が生ずるようなことのないようにしたいと、こういうように考えているということです。

問)

早期是正措置の発動に関する発表の後、確認したところでは、福島銀行の株価は、今日、一時62円まで下がっているようですけども、危機対応というか、その辺りは金融庁としてはどのような手立てを考えられているのでしょうか。

答)

これは、その後のことなので、何とも申し上げかねます、株価のことについてはですね。ただ、多分その時に増資の意欲というか、そういう考え方を申し述べていると承知しておりまして、そういったことが実現されることを当然期待しているわけです。

問)

今回は上場企業ということで、当該銀行が早期是正措置を受けた旨のディスクローズをしたわけですけれども、上場していない銀行の場合には第三者には早期是正措置を受けたかどうかということが分からない仕組みに現状なっていると思います。このように、例えば今回の場合は、9月中間決算の時点では自己資本比率が4.2%と言っていて、当然普通の預金者はそれを信じると思うのですけれども、それが蓋を開けてみれば1.7%と。ところが上場企業でなければ、基本的にはそういった事実でさえ明らかになることはありません。その点についてはいかがでしょうか。

答)

これは制度が変わってきていまして、中間報告みたいなものが行われて公衆に縦覧されるというシステムになってますので、結果においてはそんなに変わらない。国民の皆さん、あるいは預金者の皆さんが自己資本比率が低下した等のことを知らないままに時間が経過していくということは基本的にないというふうに考えています。ただ、我々の側から言うということは、これまでのルール通りしないということでございます。

問)

預金者保護ということを重視したら、むしろ早期是正措置があったということは公表した方がメリットが大きいように思うのですけれども、いかがでしょうか。

答)

まあ結果においてそう変わらないので、今の意見もあり得るかというふうに思いますけれども、早期是正措置というのは立て直しのチャンスというか、考え方というか、そういうものを固めてもらうということが主なものですから、今のような制度になっていて、銀行の側からこういう措置を受けた、これは証券取引所のタイムリーディスクロージャーの制度もあるし、先程言った、ちょっと正確な名称を私は御披露できませんが、後で事務方に聞いて頂ければと思いますが、結局同じように状況の報告を縦覧に供するというシステムがあって、結局、当該銀行の側からそれがディスクローズされるという制度になっているということです。

問)

先週末の日銀総裁の会見ですけれども、金融危機の際にはレンダーオブラストリゾートとして、日銀特融を行う用意があるという決意を述べられたと思います。金融担当大臣として、そのような日銀総裁の決意について、どのように受け止められておられますでしょうか。

答)

非常に多としておりますよ。当然のことではあるのですが、多分、質問に答えられたのだろうと思いますけれども、そういう御覚悟を表明して頂くということは悪いことではないと思っています。

問)

政府系金融機関の検査は来年度からという理解でよろしいのでしょうか。

答)

15年度ですね。まず、人員を増やしていただかないと。今年もそれなりに増やして頂きましたけれども、今年の要求とは違いますから。今年というのは14年度ですよ。

問)

その政府系金融機関に金融庁検査が入る狙いというのを改めてお願いしたいのですけれども。

答)

これは金融庁に、特に信用リスクですけれども、その他のリスクも全部、コンプライアンス以外という意味ですが、検査の対象になるわけです。特に信用リスク、市場関連リスクというようなこの2点については、やはり金融庁の蓄積したノウハウというものを活用しようと、こういうことだと思っています。それはそれで我々としてもそういう仕事を割り当てられれば、正にその通りなのだから、他のどこよりもそういったものを蓄積しているわけですから、それはやはり活用して頂くということは適切だと、こう思っています。

問)

郵政公社は簡易保険の保険の方もやるといってよろしいのでしょうか。

答)

公社と書いてありますからね、両方だと思いますね。

問)

この検査に向けた人員の方はどれくらい増やさないと対応できないということなのでしょうか。

答)

ちょっとまだそこまでは要求案を検討しているものでもないものですから分からないです。

問)

官房長官が言ったということは、それに見合った人数をもらわないとやれないということですよね。

答)

それは当然そういうことが、いわば念頭にあって、こういう閣議了解が行われたというふうに考えて頂いて良いと思います。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る