柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成13年12月28日(金)10時33分~10時58分)

【閣議案件等】

本日は閣議の前に、高齢社会対策の大綱が決定される高齢社会対策閣僚会議が行われました。閣議にも、それがそのまま移行いたしましたので、閣議の方のご報告として申し上げます。

閣議での閣僚発言ですけれども、高齢社会対策の大綱が決定をみました。それから第2番目に、政策評価に関する基本方針が示されまして、政策評価がこれから具体化いたしますということでございます。

完全失業率、有効求人倍率、CPIという月例の指標の報告がありました。11月の完全失業率は5.5%で、前月比0.1ポイントの上昇ということで、最悪の状況だということでございます。11月の有効求人倍率は0.53倍で、これは前月比マイナス0.02ポイントで、これもなかなか厳しい状況です。12月の東京都区部のCPIですが、対前年同月比マイナス1.5%、28ヶ月連続マイナスということだそうです。

閣議は本年分は本日で終了いたしまして、新年は1月8日火曜日10時から官邸で行われるということでございました。

田中外務大臣、塩川財務大臣、尾身沖縄及び北方対策担当大臣・科学技術政策担当大臣、竹中経済財政政策担当大臣、それぞれの外国出張に伴いまして、田中大臣の代理はいつもの通り福田官房長官、塩川財務大臣の代理は村井大臣、尾身大臣の臨時代理は中谷大臣、竹中大臣の臨時代理は平沼大臣が総理から指名をされました。

ここで閣議が終わりまして閣僚懇に移行しました。閣僚懇では国土交通大臣の方から、昨日、奄美大島・鹿児島にご出張され、奄美大島では入院療養中の金城さんをお見舞いされ、鹿児島では被弾した2船の巡視船を視察されたというご出張の報告がありました。

2番目に、農水大臣がBSEの現場の酪農の関係のところを視察されたという話で報告がありました。

先程ちょっと閣議に出ました政策評価の基本方針に関連して、塩川大臣の方から行政単価について同時に研究してくれないかという要望がございました。

最後に総理から年末のご挨拶がありまして、「8ヶ月経ったけれども、この間大変難問に直面したけれども、協力をして頑張ってくれたことに感謝」ということと、「今後とも改革の遂行のために全力で努力されたい」という趣旨の話がございました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

大臣は今日は閣議と閣僚懇ではご発言の方は。

答)

いたしません。

問)

一部報道で、石川銀行が破綻申請をするというのが出ておりまして、これについて事実確認を含めてどうなのでしょうか。

答)

私はそうしたことについてはここで申さないし、事実の確認等は、これはもう全くいたしません。むしろ、この点は、非常にそういう報道が行われる、事前の報道が行われるということについては、皆さん方の方でよくよく考えていただきたいことだという感想を持ちました。以上です。

いや、事前かどうかは分かりませんよ。過去形の話でないことという意味です。

問)

昨夜、小泉総理と党3役と官房長官が会合をもたれて、山崎幹事長が内容をご説明されたようなんですけれども、その中で「来年2月、3月の経済危機が来るのではないかという人もいるけれども、そういう危機や銀行の取り付け騒ぎなどは絶対起こさない。そのために非常手段や手当てはきちんと講じる」という総理の発言があったということで、その解釈として幹事長が「公的資金の再投入も検討の対象である」みたいなブリーフといいますか、記者団に説明しているようなんですけれども、それで今朝の報道も再注入の検討をするということになっているんですけれども、大臣の方のご認識と党3役なり総理なり、官邸の方とのその辺のレベル合わせと言うのでしょうか、その辺はどうなっているのでしょうか。

答)

ちょっと山崎幹事長を通じてのお話ということについて、これは私も山崎幹事長に確認するわけにもいかないし、その時間もないのでいたしておりません。従って、その具体的ないちいちについて私が確認したりコメントしたりということはここで出来ません。

ただ、私がその記事等から忖度する総理の考え方というものは全く基本的に一致をしているというふうに私は認識をしております。要するに「我々が金融危機を起こすようなことは絶対しませんよ」と、こういう決意というか、そういう決意を持って的確な状況の判断と適切な対策を措置するということについては、私と総理、官邸ですね官房長官を含めての考え方、これは基本的に全く一致をいたしていると、こういうことです。

問)

大臣は「そういう危機のおそれがあれば果敢に対応する」と仰っていますけれども、でも今はそういう状況ではないというふうにコメントされていると思うのですけれども、その認識は今なり年明けといいますか、それはそういうことでよろしいのでしょうか。

答)

そうですね。そうですね。今我々がそういう時期だというふうに認識しているかと言えば、それはそうではありません。

ただ、そういうことを言うからには、常に最大限の注意を払っているということです。いや、危機だなんて言うことはありっこないですよ、まず第一に。ただ、傾向だとかそういうおそれということについて、我々は最大限の注意を払っているし、これはいつものことですけれども、今後も払いますと、こういうことです。

問)

今日の閣議なり懇談ではこの話は全然出ていないのでしょうか。

答)

出ていません。

問)

昨日のその会談で、ペイオフは予定通り実施するということを確認したということでありまして、いよいよ年明けには3ヶ月をきるということになると思うのですけれども、改めて金融庁として4月1日までに向けた課題で何が残っているのかということと、大臣として金融機関なり預金者に対して、3ヶ月をきる中で改めてどういうことをお願いといいますか、したいことがあるのかということをちょっとお聞かせいただけますか。

答)

これはまず第一に、私共の方は予て申し上げているように、4月1日に店を開ける金融機関については、これはもう国民の皆さんから信頼されるようなもの、そういうものだけにしたいと、こういう考え方で、これから残された期間ではありますが、最大限の努力をして行くと、基本的にこういう考え方です。

それからまた、預金者の皆さん方には、まず何と言っても正しい知識を持っていただきたいということですね。これはまあ、かなり正しい知識、認識というものは進んでいるように考えていますけれども、さらに一層隅々まで正しい認識を持っていただきたいということをお願いし、それからまた何と言うか、常に風評というようなものに惑わされないで冷静な判断をしていただきたいということでございます。

問)

金融機関に対しては何かありますか。

答)

金融機関に対しては言わずもがなですね。本当に責任を持って預金者等、関係者に迷惑をかけないような、そういう体質の強化、あるいはコンプライアンス、体質というのは財務状況ですね、そういうようなことについて万全を期してもらいたいと、これはもう言わずもがなのことであります。

問)

今年最後の閣議後会見ということでありまして、大臣も金融担当大臣に再任されて一年以上が経っておりますけれども、振り返って、どういう一年だったかというのと、来年の展望をお聞かせ頂けますでしょうか。

答)

就任の時にある所で申したんですけれども、これはイギリスFSAでの講演ですね、その時にも申したんですが、私はこのポストをもう一回受けるに当たってはですね、率直に言って21世紀の日本の金融システムというものを作る、そういう作業の、一端を担えればという抱負を持って、この仕事に再び就かせて頂いたのですが、現実に直面した問題というのは、当初は株価の低落による金融機関への影響、こういうようなことで懸念があるのではないかというようなことがありました。

更には、あれはどれくらいからでしょうか、やはり不良債権の問題についてこの認識というようなものについて、より的確性を期さなければいけないというようなことが次々に現れてきまして、辛うじて今、ビジョン懇をやっておりますけれども、なかなか、前向きなことよりもどちらかと言うと、これまでの日本の金融システムの持っていた負の遺産の処理、こういうようなものに忙殺をされると、こういうようなことになったというのが感想であるし、事実であるという認識を持っています。

非常に残念なことだというように思いますが、しかし私はやはり、金融というのはいつも言うように鶏と卵の関係なのですが、実態経済との間の関係というのはそういう関係なのですけれども、やはりこういう状況の下では、そこに言わば弱さが集約されて出てくるというような性格の業務、あるいは業界というようなこともあるように思います。

そこで申し上げるんですけれども、日本経済、あるいは日本国民の持っている力、こういうものが、そういうものに圧倒されるというようには私は全く思っておりません。必ずこれは跳ね返して、新しい明るい展望を開けるというように思っておりまして、私もそのことのために一翼を担って、全力を挙げたいというふうに考えています。

問)

金融危機への対応について、大臣と総理と官邸とで基本的に一致しているということですが、その一致している中身ですが、これはここ最近の1~2週間で変わっているとか、深まっているとか、そういう変化というのはあるのでしょうか。

答)

これは、基本の所は同じなんですね、基本の姿勢というのは同じです。さればと言って、何も同じですよということではなくて、例えば一つの指標として株価というようなものをとった時に、それがどういう意味合いを持つかというような、そういうようなこと。まあ株価だけではありませんが、そういった金融情勢、あるいは金融機関を巡る諸環境というようなものの認識というのは、常に何と言うか、即時化というか、リアルタイムに、それがために概況説明ということをいつも言っているわけで、そういうことで、それはまあ当然、お互いに認識を常にアップデイテッドするというようなこと、そういう努力をしていると、こういうことですね。だから基本の姿勢というのはもう一貫しているということです。

問)

危機対応についてですけれども、9月末で大手銀行の自己資本比率は11%台あるという状況で、公的資金を注入しても危機対応にはならないと思うのですけれども、どうしてそういう対応が考えられるのでしょうか。

答)

対応のことを言っておりません、まだ。要するに危機に対して、仮にどういう危機が現れるか、それは分からないわけですけれども、我々は今持っているツールを、どういうふうに措置するかということで、この危機を克服して、「日本初、何とかやら」というようなものを出すなどというようなことは絶対にしませんよと、こういうことなのです。

問)

大臣は国会で何度も何度も答弁しているわけですが、公的資金の注入によって解決される危機というのは資本不足のことだと思うのですが、そういう状況がいつか万が一、想定し得るという心構えでいらっしゃるということですか。

答)

いや、それは必ずしもそこに固定的に考えているわけではありません。それは我々が持っているいろんなツール、これを総体的に考えて、いろんな、我々は広範に考えているとこういうことです。

具体の危機が、対応が何も分からないのに、今ここでいろいろコメントするとミスリードすることになりますから、そこぐらいに止めておきたいと思います。

問)

総理が年明けにも新たな経済ビジョンを策定したいみたいなことを仰っていたのですけれども、これは金融庁として何か関わっていくとか、新たな政策対応を含んでいくとか、そういうことはあるのでしょうか。

答)

そう仰ったのかもしれませんが、確認できてませんし、そういう言葉とか、そういうコンセプトということまでは、お聞き致しておりません。

問)

新生銀行の瑕疵担保のことなのですが、新生銀行が株主をしているファーストクレジットという会社が、新たな再建計画を立てていて、大方の取引先銀行の了承も得ているというのですが、株主の新生銀行が、その再建計画が実施されると、瑕疵担保条項の適用行使が不可能になるということで、そのファーストクレジットという会社の会社更生法の手続きを新生銀行がとったということです。これに対してファーストクレジット側が、それは納得いかないということで裁判で争うということを表明したのですが、こういう瑕疵担保条項の新生銀行の使い方というのは、これは容認というか、認められるものなのでしょうか。

答)

ちょっと具体の案件の細部について、私は承知を致しておりませんので、ちょっとコメントができないのですけれども、まあ私としては、新生銀行は、瑕疵担保の…もちろん契約条項に従ってということが基本ですけれども、その更に背景にある、趣旨というものも、よく私共は機会あるごとにそれを強調しています。そういうことを踏まえて行使をしてくれる、あるいはしてくれない、行使しないと、こういうことであって欲しいということは申しているわけです。

問)

ここ最近、二回程官邸に行かれておりますが、どういった御要件だったのでしょうか。

答)

忘れました、それは。いや、忘れましたというと誤解がありますが、一つ一つ言えと言われましてもちょっと困ります。私もどれだけ記憶しているか分からないという意味でちょっと申したのですが。

同じ案件で、概況説明で二回行ったということです。失礼しました。二回というのは私の記憶と合っていないので、ちょっとびっくりしました。

問)

今週の始めに早期是正措置をした福島銀行についてですが、その後、2日続けて株価はストップ高で、今日も取引開始段階で株価は上がっているようです。また、地元の自治体も預金という形で支援していくという姿勢を示されていますが、これまでの経緯について大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

まあ個別の銀行のことですから、我々は済々として、この早期是正措置ということで、自己資本の過少さというものを是正して下さいということを言っているということを向こう側が言っているわけですね。向こう側が言っていると、これはその通りということであります。我々としては、そういうことであれば、そういう自己資本の充実というものが期待されると、先般の記者会見で言った通りのことをここで繰り返すしかないわけであります。

(以上)

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