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柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年3月12日(火)9時04分~9時22分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですけれども、無差別大量殺人行為を行った団体を規制する法律、また、破壊活動防止法による団体規制の法律がありますが、これらの規制の状況についてご報告がありました。

2つ目に、特別交付税の平成13年度3月分の交付の決定がございました。それから、キューバのハリケーン災害に伴う復興に対して緊急援助を行う旨の発表がありました。

以上が閣議で閣僚懇に行きまして、私の方から「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案」の閣議決定が、本日なされたことに伴いまして、この犯則調査と、警察の犯則調査のデマーケーションの話をちょっと触れて発言しておきました。以上です。

【質疑応答】

問)

閣僚懇での大臣の本人確認法案に関連したご発言の内容をもう少し具体的にお願いします。

答)

これはですね、要するに、一般的に罰則の、犯則事件の調査と言うか捜査というのは、警察の一般的な捜査権の問題なんですね。他方、この法律では証券取引等監視委員会等も犯則の調査が出来ることになっておりますので、そのいわば交通整理をしておくということで、我が方としては、証券取引法上の犯則事件に該当する取引に限るというようなことで、その整理を確認したと、こういうことでございます。

問)

今の問題に関連するのですが、閣議でいわゆるテロ資金対策の一連の法案が閣議決定されたと伺っていますが、テロ資金対策はG7でも合意されたように、先進国の中で共通の問題となっていますが、今回の新法、関連法の整備でテロ資金対策に対してどのような効果を見込んでいるのか、その点をお聞かせ願いますか。

答)

これは予て、為替取引が関係するところは外為法でもって、この前もそういうことをきちっとやりましたね。我が方の国内については、例の組織犯罪取締法にある麻薬ということの疑いがあるものだけについて、これは届出をいただいて、その資料を犯罪捜査当局にトランスファーするということであったわけです。

そうではなくて、もうちょっときちっとしたテロ対策、その他犯罪の関係というものを広く、麻薬だけではなくて、きちっと抑える体系にしておくということが今回の一連の法律改正の眼目であったいうように承知いたしております。

これで、この前はアルカイダでしたか、タリバーンでしたか、要するに国連決議で「これは麻薬でもって資金を作っているぞ」と言ってくれたので、ある程度対応が出来たのですけれども、そういうことをやっていない団体であれば、国内の方は、我々はほとんど何も規制が出来なかった。それが然るべく、適切に対応出来るようになったということで、法律の手当てが進んだと、こういうことであります。

問)

昨日、経団連の今井会長が、最近の株価の上昇を踏まえて、「3月危機は解消された」とご発言されました。また一方で、危機が遠のいたので、逆に不良債権処理を含めて、改革に停滞が生じるのではないかという見方もあります。3月危機を巡るいろんな見方も出ておりますが、大臣としての見方をお願いします。

答)

3月危機についてはそういうお話があったので、私も知らないわけではないし、関心がなかったわけではないのですけれども、我が方としては別段3月だけに大変な危機が起こるという認識も、世間で言われるのとはちょっと違った認識を持っていたということが、正直ありますね。あまり「危機、危機」と、ここ1年くらいずっと危機が続いているような感じのことが良く言われていて、もうちょっとそれはきちっと冷静な情報に基づいて、そういう言葉を使う場合には使った方が良いのではないかという気持ちが予てありましたけれども、それは我々がいろいろ申し上げられるものではありませんので、我々はそれはそれで受け止めて来たと、こういうことですね。

私が言いたいのは、そういうことと関係なく我々は不良債権の処理にせよ、あるいは株式の保有の圧縮にしろ、成すべきことをきちっと成して行くと、着々と成して行くということが最も大事なことである。気を緩めない、手を緩めないということが最も大事であるというように考えています。

いずれにせよ、日本の金融機関あるいは金融システムの信頼性というものの回復が必要だということは、これはもう言うまでもないことなので、3月の年度末が越せたか越せないかなんていうのは、およそそういう大命題に比較すれば、言わばむしろマイナーな問題というようなことで、引き続いてここしばらくの間は頑張って行かないといけない状況に立っていると、私はそう思っています。

問)

昨日、朝銀の問題が長官の会見でちょっと出たのですけれども、その会見で、「いろいろ問題とされることが二度と起こらないように、きちっとしなければいけない」と長官が仰っていたのですけれでも、これはどういう問題を指しているのですか。これは横領の問題、あるいは送金疑惑とかそういう感じですか。

答)

そういうこともあるかもしれませんし、いろいろと指摘された問題は他にもあったわけですね。組織の有り様、例えば総連との関係で、いろいろ組織自体も介入を許していたのではないかとか、そうしたこともあったわけで、加えていろいろ貸出しにおいて仮名、借名というものの比率が高いのですね。そういうようなことも、やはり反省をしてもらわなければならない点でありまして、それら総体の問題を長官は念頭に置いて、そういう話をしたのではないかと、こういうことです。

問)

その中で、一部の報道で新しい金融機関の受皿は、総連とやはり…。

答)

関係を独立していないといけない。

問)

それはどうやって保証されるのですか。

答)

これは確かに、その担保は一体どうあるべきかということもありまして、私もそれに関心があるのですけれども、ただ現実の商工人という方々の声を聞くとですね、今まででも非常にその方々からすれば不満だったと言うか、そんなのは少しもいいとは思わなかったという声が上がっているのですね。ですからそういうような人達の声を、むしろちゃんと我々の方がサポートしてあげるということが大事ではないかというように思います。

あの人達も不承不承、そういう圧力に従っていた面もあるということで、我々としてはそういうような人達の声を、もしそういうことがあったら言ってきて下さいということですね。そういうことで遮断をしていくということが大事かなあと思います。

その他の有り様というのは、ちょっと今まだ思案をしているというところが実情ですけれども、私は実は商工人の方々とグルになっていたのではないのだと、逆に彼等は圧力の下で本当に不承不承やむを得ず、そういった動きに従っていたという面がありますから、そちら側を我々がきちっとサポートすることが大事ではないかと、当面そう思っています。

問)

それはどういう圧力ですか。

答)

「この金を貸せ」とかですね、そういったようなことがあったと言われますね。それから、言うことを聞かなければ人事の面で、なぜその人達が人事の権限を持っているのかよく分からないのですけれども、いろいろな影響を与えるぞみたいな、そういうことではないですか。

問)

本人確認法案と関係するのですけれども、超党派議員団が、本人確認をできなければ、やはりその口座は3月以降は資金援助をしてはいけないという話が出ているのですけれども、これは本人が確認できない場合はその口座は4月からどうされるのですか。

答)

これはまだ最終的な結果が、結論が出ているわけではないというふうに承知しておりますが、非常に珍しい例なのですけれども、つまりまだそういうものが確認されているわけではないのですが、要するに仮名、借名というものがあるわけですね。

まず、借名というのは誰か他の人の名前が名乗られているということですね。仮名というのは存在しないけれども本人はいると、私がそういう仮名を使いましたよということですよね。それから仮名である場合と借名である場合の両方あるのでしょうけれども、借名の場合、その人に言ったら「いや、そんなこと私は知りませんよ。そんな大枚の預金をしたことはありませんよ。」という人もいるかもしれないし、仮名の場合には、預金はちゃんと入っていても、誰が入れたのか分からない。

それからもう一つ、もっと極端なのは、これは存在が確認されているわけではないのだけれども、預金が入ったという記録はあるのだけれども、預金が入ったという痕跡がないと。つまりもぬけの殻ですねこれは。ただ、そういうことが帳簿上と言うか、帳面上残っているという、そういう預金者。

こういうようにいろいろなものがあるわけですね。そういうものを今、手紙か何かで問い合わせて、本人との繋がりを調べておりますが、なかなか調べがつかないものは当座、そういう資産だけではなく、債務の方もRCCに一時移管をすると。それで引き続いてRCCで本人確認をして、本人確認ができたらRCCに対してその預金の支払いに応じた資金の贈与をしていくと、こういうことにすることが一つ方法として考えられるではないかと、こういう議論になっているというのが、議論の中間報告的に私は国会等でも言っていることでございます。

問)

そうなると、間に合いそうなのですか。

答)

そうすればちゃんと間に合います。だから本人確認をしたものだけで受皿に渡して、受皿のまだいろいろな手続きも十分に進んでいるわけではないのですけれども、今、一生懸命検討させていますけれども、その受皿にそういうものをはっきり、資産の方、貸出の方はこれはもういつもの通りで継続保有すべきものを残すということになって、その他のものはRCC。それから一般には株以外の負債の側というのは、もうこれはどこかにちゃんとトランスファーされて譲渡されていくわけですけれども、それが今回の場合、一部今言ったようなものについてはRCCに行くという、ちょっと今までになかったような形をとると。つまり、譲渡までにはっきりしないというものが典型的に存在する例になってしまったということです。

問)

中部銀行についてですが、受皿について何か新たな動きというものについて、現時点で大臣は聞かれていらっしゃるかということと、旧経営陣の責任のあり方についてどう考えていらっしゃるかについてお願いします。

答)

まず第一に受皿については、その後、新しい動きがあるということは私は承知を致しておりません。

それから経営陣の責任というのはですね、この前、送り込まれた金融整理管財人が、自分たちの責務として民事・刑事の責任を追及する、そのための調査もすると、こういう権限を与えているわけです。その後の金融整理管財人の人達の活動を、成果を期待していると、こういうことです。

問)

朝銀の関連なのですけれども、受皿は朝鮮総連の組織から独立する担保として、受皿の定款に経営陣への関与を規制するとか、そういうものを明記してもらうとか、そういうことも一つの担保になるのでしょうか。

答)

いろいろ考えることになると思いますね、担保としてですね。

(以上)

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