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柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年3月26日(火)9時24分~9時44分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですけれども、水産基本計画と漁港漁場整備計画と言いますか、5ヵ年計画の決定がありました。国民生活白書の13年度版の発表がありました。首相訪韓などの海外出張の報告がありました。

閣僚懇に移りまして、地価公示が本日の官報で行われた旨の紹介、報告がありました。もう紙面に書かれている通り、住宅地マイナス5.2%、商業地マイナス8.3%。都市再生特措法、規制特区を定めたものですけれども、こういうもので対処していくということの必要性が益々強まっているという解説もございました。

それから米軍のテロ対策というか、それへの自衛隊による協力支援の活動について、3月31日を、とりあえず5月19日まで延長するというお話がありました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

閣僚懇でもお話に出たようですが、地価公示価格は、11年連続の下落ということになりました。地価下落は担保不動産の下落にもつながりますので銀行の財務への影響も懸念されます。また閣僚懇でも出たようですが、都市再生という観点からRCCの機能、役割に対する重要性というものもこの地価下落に対してあると思いますが、その辺も含めて大臣の御見解をお願いします。

答)

地価は暫く前から2極化現象が生まれていますので、一概に全国平均の話で一刀両断するわけにはいきませんけれども、金融機関の担保としては大物はやはり東京圏というか、そういうようなものでそれも横ばいとか、上昇とかという傾向が今日も言われていましたけれども、そういうようなところに関わっているのではないかと、こんなふうに思っています。

しかし、そうは言う以上、この下げ傾向のところにもそういったものがあるので、決して良い影響があるとは思いません。そういう意味で、何とかこういう土地資産のデフレ傾向を早く防いでもらいたいと、こういうふうに思っております。

かねて私も、都心回帰みたいな傾向もあるし、やはり本当に、日本の強いところをより強くするという政策というのは非常に重要な政策だというふうに思っていまして、そういう意味で都心における特区的な取り扱いによる再開発、再生事業というのは非常に有効だと思っていまして、かねてRCCにもいろいろ担保不動産について、特に23区のもの等については、住宅都市整備公団‥‥今は何て言いましたか、都市基盤整備公団ですか、そういうところに連絡をするようにということをやっておりましたけれども、割とRCCだけに限って言うと、そう案件が多くなかったということで、若干ディスアポインテッドでしたけれど、今後、金融機関がRCCに多くの物件を持ち込む、そういう中でまたRCCが今、御指摘のような、単に個別案件の債権を処理するということではなくて、今言ったようなことも念頭に置いて、できるだけ良い値段で処理していくというような方向は今後とも期待されるというように思います。

問)

ペイオフの関係ですが、来週に解禁が迫りました。その中で、いわゆる不良債権問題一般について、大臣としては2004年度に正常化に持っていくというお考えでその処理を進めていらっしゃいますが、正常化の途中の段階、今、処理の途中の段階でペイオフを迎えられるということについて、いかがでしょうか。

答)

この前から言っていることかもしれないのだけれども、不良債権が完全に処理されるということの期待というのは、前から言うように正常化あたりなんですね。正常化あたりでも、まあそれなりに不良債権というのはあるわけで、その処理を更に加速する意味でも、もうこれは私のポリシーでもあるのですけれども、要するに金融機関に本当に緊張感を持ってやってもらわなければいけないということが大事だと思っていまして、そういう意味で、この時期に更に一層、緊張をしてもらって、問題の解決に当たってもらうという道を選んだと、こういうことです。

金融機関の経営者の皆さんの一段と加速された不良債権処理も望まれるし、それからまた、早く収益の向上策を取って、持続的な健全性の維持というようなものをやってもらいたいと、そういうある種のシグナルでもあるというふうな受け止め方をしてもらいたいと、こういうふうに思います。

どうなんですかね、この会見でこういうふうなことを総括的に言うのが適切かどうか‥‥。今何を言おうと思ったかと言うと、「預金者は‥‥。」と言おうと思ったのだけれども、そうすると皆さんは、「ペイオフを控えての金融担当大臣の全般的な声明だ」というふうに受け止められるので、それが果たしていいかどうか。この間も私はちょっとびっくりしたんだけれども、「安全宣言」というように書かれたのでね。そういうことについて、どういう対応をするかというのはもうちょっと検討させてもらうので、つまりペイオフを控えて金融機関経営者、あるいは預金者、その他の関係者に対してどういうきちっとした物の言い方をするのか‥‥。

問)

何らかのアナウンスの場をということですか。

答)

というのがいいのか、今日みたいなことで行くのか、ちょっとまだ未決定なのでちょっとここはホールドして。

問)

では、またの機会にお願いします。

答)

はい、またの機会に。今日は、今の質問に答えるという意味での趣旨程度ということで。

問)

地価の下落に関連してなのですけれども、不良債権の処理が進むことで担保不動産が市場に出て、それが地価を押し下げる要因になっているという見方がありますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

まあ、需給関係から言ったら、そういう面もこれは否定できませんね。物件がたくさん出てくれば値下がりするというか、そういうことなのですが、しかしそれは理屈の上の話で、それで何か下がっているとも思えないですし、不良債権の処理で出てくる不動産というのはもう投げ売りですよなんて、そんな話はあり得ないわけで、どれだけ高く処分して回収をできるだけ極大化していこうというのは、それはもう当然金融機関あるいはRCCだって考えていることなので、そういう意味では、理論的な意味で供給がそれにプラスされるという意味ではそういう局面も否定しませんけれども、そんなに大きな影響があるというふうにも思っていません。

むしろ、前から私はもうちょっと徹底したことをやった方が良いではないかということを考えているのです、金融機関の方で。しかしまあ、なかなか今まだそこまでは行っていないということですね。

問)

証券会社の行政処分に伴う国債の入札の除外についてなのですけれども、一部にそれを見直そうという考え方も財務省の方にあるようなんですが、これは今までは自動的に慣行的にやっているんですけれども、今までとの連続性も含めて入札の除外のあり方についてどう思われますか。

答)

これはもう財務省が考えることでしょうね。私はもう、我々の方の処分というものを、財務省が自分のところの国債の発行市場政策としてどういうふうに考えるかというのは、それはもう財務省の判断だと、私は割り切って良いのではないかと思いますね。それは財務省が説明責任も負うわけですから。

問)

何度か伺っていると思うんですけれども、改めて3月も終わろうとしている中で、危機は去ったというふうに言えると思われるのか、また不良債権処理などで問題を先送りしているだけだというような見方も出ていますけれども、現時点でどのようにお考えですか。

答)

危機というのは、皆さん言っているのだけれども、我々が言ったことは一度もないんですね。我々は、むしろ済々として成すべきことをやっていくということであって、3月が一つのいろんな会計処理等で節目であることは、これは認めるんですけれども、我々が取り組んでいる問題というのは、そこで「やれやれ」と一休みしようなんていうふうには毛頭考えていないわけです、初めから。連続、継続して我々は緊張感を持って努力していかなければいけないと。

こういう考え方ですから、今仰った危機がなくなったとか、そういうような考え方はしていないということです。だから、今が危機かと言えば我々はそういうふうには思わないということで一貫してやっているわけですが、さればと言って安閑としていられる状況かというふうには全く思っていない。緊張感を持って今後ともあらゆる局面に目を配って、最もベストな選択で政策・企画を運営していこうと、こういうことですね。

今、先送り云々というふうに仰られたんですけれども、それもまたちょっと同様に何を仰っているのかよく分からないんですけれども、我々としてはもう不良債権の処理というもの、特に破綻懸念先以下のオフバランス化は2年、3年という期限を切ってやっているわけだし、それからいろいろな特別検査等をやって、それとどのように関係するかは我々もまだ詳らかではないですけれども、そういうものとの関係があるのかないのかはともかく、債務者の中で大きな債務者についていろんな処理が出てきているわけですが、そういったことについても、とにかく再建計画の実現可能性というものが最も大事な点なんですよということを強く申し上げて、その処理の適正さを求めてきたということでして、先送り云々というようなことは、国会答弁で言えば「今の指摘は当たらないものだと思います」ということですね。

問)

大手金融機関が普通預金の金利を下げることを考えているという話なんですけれども、そういうものは何か市場への影響があるか、または何もないとお考えでしょうか。普通預金の金利を0.02%から0.01%ということで、預保への保険料が高いので、その分をということなんですけれども。

答)

いろいろな需給の調整ということもあるかもしれないし、今言った預金保険料というのは、これだけ金利が下がっていますとかなり無視できない影響を持つと、金利が下がってくるというのは貸し出し金利も含めてですね。そういうことでそれなりに金融機関が対応するというのは、別にそれを不適切だと言わなくてはならないとは思いません。

問)

昨日、森長官の会見で、日本とアメリカは逆で、アメリカは5割が直接金融で1割が預金だと。日本の場合はそれが逆ということでもって、直接金融の方に個人が行くように証券市場を活性化させたいというような話があったんですけれども…。

答)

だから、今日ある新聞も書いていましたけれども、やはり証券市場の側からすれば、非常にチャンス到来ということですね。普通預金はともかくとして、定期預金はまさにリスクをある程度負った商品になっていくわけですね。そうすれば、それとの見合いでもうちょっと、いきなり個別の株と言わないまでも、その中間段階でいろいろとあるわけですね、もうちょっと価格の変動、値上がりは少ないかもしれないけれども、元本の安全性というのも高いような商品だと、そういうようなところは一体どうなんだというような考え方で、預金者あたりが動いてくれるということになれば、非常にありがたいと思いますね。

その場合には、証券会社それから証券市場の側で、そういうものを一層誘引するには一体何を成すべきかということを良く考えて対応してもらいたいというように思っています。

(以上)

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