柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年3月29日(金)8時43分~9時03分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですけれども、まず、昨日、行政改革推進本部で決めました「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」と「公益法人制度の抜本的改革に向けた取組み」を閣議でも決定するということで、閣僚の発言もありました。それから、規制改革推進3か年計画の改定版が閣議決定されました。

東チモール大統領選挙への監視団の派遣が決定されました。それから三宅島の噴火による災害に係る被災中小企業者対策の延長が決まりました。それからテロ等による航空機の第三者への損害保険の限度額が民間でキャッピングされていますので、20億ドルまでは政府がこれを継ぎ足すという政策が行われていますが、それが延長になりますということでございます。

それから失業率、CPI、有効求人倍率がいつもの通り発表になりました。失業率は5.3%で前月と変わらず。東京都区部のCPIは前年度比マイナス1.1%ということでしょうか、これはあとで所管のところから聞いていただければよろしいでしょう。有効求人倍率は0.50倍、対前月比0.01ポイント下げということで、雇用情勢は厳しいということです。

平成14年度予算の成立を踏まえまして財務大臣から発言があり、特に執行状況の調査を行って、いろいろ考えて行きたいと。それから坂口厚生労働大臣が今週末に海外出張なさるので、尾身大臣が臨時代理ということになりました。

閣僚懇に移りまして、タウンミーティングが再開されるということで、4月20日の大阪が皮切りでありますので、大臣の協力を願うということでございました。

それから閣僚の給与の返納が議員歳費の削減に伴って、若干調整されるということでございます。

それから総合規制改革会議と各省の事項別の審議会との関係について、総合規制改革会議のメンバーが特に関心を寄せておりまして、各省審議会から審議の状況について、総合規制改革会議の方に出来るだけ情報を寄せてもらいたいという話がありました。以上です。

【質疑応答】

問)

週開けにペイオフが解禁されます。大臣は「4月1日に店を開ける金融機関は、全て健全で信頼されるものにしたい」というふうに仰っていましたが、その目処とか体制整備は完了したとのご認識でしょうか。

答)

今日一杯まで努力をするところがあるのかどうか、とにかく、そういう体制にいたしたいということで進めています。

問)

特別検査絡みのことなのですが、3月末まで実施されるということでしたが、今日で予定通り終了されて、4月に結果の公表というふうに考えてよろしいのでしょうか。また公表の時期、それから公表の方法についてもお願いします。

答)

そうですね、まだ最終のことを検査局からも今言ったようなことで、これで立ち入りというか、そういう検査が終了したというような話は当然聞いていませんし、まして検査結果について即答出すというような段階ではないわけです。しかし、この31日が締まれば、そこから結果の取りまとめということをしなければいけないということは考えておりまして、この前から言っておいたように、4月の半ばまでには適切な形で発表したいというふうに考えております。

まだ発表の形等についても最終的な姿というのは、ちょっとまだこれから検討するというか、まあ粗ごなしのことはいろいろ話はしていますけれども検討するということですね。検討の途中と言っても、4月の半ばまでには・・・そういう感じですね。

問)

期末の株価水準のことなんですが、11,000円台をキープしている状況なのですけれども、以前から銀行の自己資本比率と健全性を考える上で、株価がやはり一番気になるところだというふうに考えていると思うのですが、この着地点を一応見てどのようなお考えをお持ちでしょうか。

答)

そうですね、何と言うか、不良債権処理の負担と、それから株価の状況によっての時価会計の導入に伴う評価差損の問題ですね、これが2つの要因であったわけですが、突発的に起こるのは、突発的と言うか非常に何と言うか、一度に起こるというのが株価なものですから、予てから関心を寄せざるを得ないという状況だったわけです。

この期末の株価レベルをどういうふうに受け止めているのかということについては、これはごくごく常識的ですけれども、そんなに低いところに行かなくて良かったというような気持ちが率直に言ってあります。ただ、これも欲を言えばきりがないということも正直言ってあるわけですが、まず、こちら(株価)の方で自己資本比率への非常に重い引き下げ要因になるということは免れたということ、そのことは良かったというように思っています。

問)

アメリカのグリーンスパン議長も、日米の金融機関の大きな経営の違いとして株価の影響の受け易さの度合い、あちらは基本的に株を持っていないということで、その違いはあると思うのですが、日本でも保有制限等が法律で決められていますが、なお一段の努力と言いますか、金融機関の努力も含めて対策として着実に進んでいると思われますでしょうか。

答)

そうですね、この点は割と金融機関もいろいろな方法を、特にもちろん我々は取得機構も準備してありますから、そこに売っていただくことによって、売ること自体がマーケットを値崩しするということは避けられることになっているのですが、もう一つ、ETFに組み込むというような手法を使って、マーケットへのプレッシャーという意味では同じような効果を上げられると、こういうような手法を使うところも出て来てまして、いろいろ、なかなか工夫をしてくれているなと、その準備のためには当然マーケットから逆に買わなくてはならない、品揃えのためにですね。そういうこともやっているので、まあそういう意味では皆さんが努力をしてくれているというふうに思っています。更にまた一層努力をしていただきたいと思います。

問)

政府側の努力の方なのですけれども、このデフレ対応策として空売り規制が一番効いたというようなことも言われておりますが、政府側としてその辺り、株価の影響を受けにくくする対策というのはもう一段やるとかということの予定はないのですか。

答)

それは元々空売りというのも、空売り自体を我々が、「空売り規制」と言うものだから空売りを規制してしまうようにも聞こえるのですが、そうではなくて、空売りの不公正な運用というか、そういうものを規制するということに尽きるわけで、より公正なものにして行くということに尽きるということをまず申し上げておかなくてはならないと、こういうように思いますが、そこで何かまた更に付け加えるということは当面考えていないと、今の取得機構や、あるいはETFを、自分で組成しても良いし、また取得機構に持ち込んで第一勘定というか一般勘定の方でやってもらっても良いと、こういうように思っています。作った枠組みを使っていただくのが良いのではないかと、こういうように思います。

問)

普通預金の金利の引き下げですが、大手の銀行や、一部の信用金庫などが引き下げを発表していますが、金融機関の経営の在り方が長い目で見て、変化をして行くのではないかと思われるのですけれども、大臣はその辺についてどうお考えですか。

答)

まあ、何と言うか、あれをどういうふうに受け止めるかということなんですね。「スーパー通常」と言うか「スーパー普通」と言うか、そういうものと「普通の普通」と言うか、そういう二本立てになっているわけですよね。どういうふうにこの効果を上げようとして、あのようなことをされているかということまでは私は詳細を聞いておりませんけれども、やはり非常に小額な普通預金というものについて、かなりいろいろコストがかかるのだろうと思うのですよね。だからあれはコストセンシティブに益々なっていると、金融機関がですね、そういうことだろうと思います。だから普通預金でも、やはりある程度のロットがちゃんとあるようなものについては、これは別にそんなに金利の引き下げなんかしないけれども、一定以下のものについてコストとの見合いで、だからあれは私はコストセンシティブになると、なっているということでありまして、その意味では私は、我々が言っている、ある意味でのリエンジニアリング、リストラクチャリングの一環だということで、前向きに評価して、みんなそういういろんな工夫をすべきだと、こういうように思っています。

問)

その際に2点あるのですけれども、長い目で見て、一つは銀行セクターでのダウンサイジングの流れがこれで出来てしまうのではないかと、こういう見方というのは政府としては、当局としてはどこまで容認出来るのかというのが一つと、多少穿っているのかもしれないのですけれども、そうした金利を下げることで経営基盤が弱い金融機関の救済になっているのではないかという見方も一部にあるのですが、この2点についてお願いします。

答)

まずダウンサイジングになるかどうかというのは、ちょっとその繋がりが良く分からないのだけれども、なぜ普通の普通預金の金利を下げることがダウンサイジングになるのか、ほとんど普通の普通預金の人たちというのは、その実態について自分も全部詳細に知っているわけではないのだけれども、何か預金通帳があそこに置いてあるというようなことだろうと思うのですね。特に普通預金ですから預金者の方も金利を凄く期待しているということはないのだろうと思うのですね。

むしろそれよりも一種のコスト削減、コストとの見合いでやるということであって、だからと言ってダウンサイジングになるというふうには、ちょっと繋がらないのではないかというようにも思っていますね。

まあダウンサイジングの問題はダウンサイジングの問題としてまた別途の大きな課題だろうと、こういうように思いますね。つまり間接金融と直接金融との関係が、これからペイオフの中でどうウェイトが変化して行くかというようなことで、これは暫く見守らなくてはいけないというように思っています。

問)

結果的に経営基盤、もしくは経営内容の悪いところの救済になっているのではないかということについてお願いします。

答)

どういう・・・救済に、低金利は。それは日本銀行の政策ですね。低金利が、やや個別の金融機関をコンファタブルな立場に置いているのではないかということは、そういう効果を持っているのではないかというご指摘だとすれば、それはそれで当たっていない面もないとも言えないと思うのですが、しかし、要するに「スーパー通常」というのはやるわけですよ、ああいう銀行はね。そうすると、やはり競争は激しいのではないですか、「おたくはスーパー通常はやらないの」と。やはりそういうプレッシャーはかかるでしょう、当然預金の獲得競争というのは。

問)

ブリッジバンクの方に破綻した第二地銀2行が譲渡されるという発表が昨日あったのですけれども、ペイオフに入って行くわけですが、この2行の見通しについてどうお考えでしょうか。

答)

2行は正式にブリッジンバンクを受皿に当座するということに決めまして、適格性の認定をいたしました。また手続きがそれから更に進むと、こういうことになります。ではそれが、更にその上でどうなるかということですけれども、実際の事業譲渡までは行っていないわけで、事業譲渡に至るまでの間に、更に最終的な受皿というものを今の金融整理管財人のお力でもって懸命に探していただくと、こういうことが当面の我々の期待というか考えているスキームというか、そういうことになります。

問)

ペイオフの関係で、先程、体制整備はそういう体制が完了したということですけれども、この進捗度合いというか、もう既に完了したという点についてもう少しお考えをお聞かせください。

答)

考えはないのです。お考えではなくて状況なんですね、客観的な。客観的な認識は、その見通しがついているということですね。これは正直言ってどうするか考えて、まだ思案中なのですが、4月1日に改めて、いわば新しい時代と言うか新しいスキームの制度の下に立つということの機会に、国民の皆さんに理解を求めるようなことをやった方が良いか、何と言うかあまりそういうことをしないで、スーッと時代が流れて行く方が良いのか、ちょっとまだ考え中ということで、こういうことなんですね。

(以上)

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