柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年4月19日(金)8時51分~9時07分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですが、兵庫県南部震災、これは阪神・淡路大震災のことをそうとも言うのですが、非常災害対策本部というものが設置されておったのですが、これが廃止されるということでございます。なお、これとの関連で「人と防災未来センター」というのが出来ると、店開きするというお話がありました。

それから、緑の募金運動が始まります。4月23日から29日が特に強化される期間でありまして、今年も精力的に展開するというようなお話がありました。

塩川財務大臣、大木環境大臣、中谷防衛庁長官が週末に海外での会議に出席するために出かけられるということで、それぞれ、私と森山法務大臣と村井大臣が臨時代理に指名されました。

閣僚懇に入りまして、先程もちょっと述べました「人と防災未来センター」の今後の活用方法について若干の意見が出ました。以上です。

【質疑応答】

問)

先日発表された「より強固な金融システムの構築に向けた施策」の中にも、地域金融機関の合併促進というものが盛り込まれているのですが、そんな中、九州の西日本銀行と福岡シティ銀行が統合するという動きがあるようなんですが、大臣はどう評価なさいますでしょうか。

答)

そういう報道があったことは承知しておりますけれども、何ら当該金融機関からの発表があるということはないわけでありまして、この段階でコメントするということは行うべきではないと、こういうことです。

問)

減損会計の導入に向けた議論が大詰めのようなのですが、業種によってはかなり減損会計を導入すると影響が出て、ひいては金融機関にも影響があると思うのですが、減損会計自体についての大臣のご見解と導入時期についてのご見解を教えていただけないでしょうか。

答)

これはずっと済々として企業会計審議会の中で審議が進められて、それぞれの段階でパブリック・コメントを経て、中身が詰まって来ているというふうに承知しています。

そういう中で、今ご指摘のあったような最終段階というか取りまとめも大詰めに来ているというふうに認識していますが、そこで時期等の点も非常に大事な点ということになります。これについては何と言うか、自然体で対処して行くということで考えたらいいと思っています。スケジュールを無理なく・・・無理なくという意味はいろいろな準備、その他があるわけですから、そういうものをこなせる時間をとるということであるし、それから国際的な採用の動向というものも勘案しなければいけないし、それから更にそういうことでなくて「先にやる」というような人に対しては、「やってはいかん」という必要もないし、というようなことをいろいろ総合勘案したスケジューリングを考えたらいいのではないかと、このように思っています。

問)

「みずほ」なのですが、山本さんをはじめとする前のCEOが当時の統合の責任者だったということで、責任問題に言及されたのですが、この件について大臣のご見解をお願いできますでしょうか。

答)

「みずほ」問題については、予て私は、とにかく事態の正確な把握ということが何にもまして大事と、我々の行政の基礎であるというふうに申しておりましたが、今般の「みずほ」のシステムトラブルの発生原因、それから銀行の対応の状況、それから再発防止策等を厳正に検証するため、みずほフィナンシャルグループに対し、来月の上旬からシステム統合リスクということを対象とした立入検査を実施することにいたしまして、本日、その検査予告、これは検査開始通知ということですが、これを行うことといたしました。

そういうことで、オフサイトで報告を受けるだけでは、やはりちょっと十分でないというふうに私は思いまして、オンサイトできちっと検査の上に説明を聴取して事態の正確な把握を行いたいと。その上に立っていろいろなことを考えて行きたいというふうに考えている次第です。

問)

「その上で」というのは、業務改善命令などを含めた行政処分も検査が終わった後ということですか。

答)

まあ検査でまず把握することが大事ですね。その上に立ってやらないと、報告だけで我々がそれを、もちろん正しい報告ではあろうけれども、やはりこれだけ大きなことですから、オンサイトでの検証ということは欠かせないと私は思っているわけです。

問)

検査の期間とかというのは具体的には決まっていないのですか。

答)

まだちょっと決まっていません。

問)

先程の西日本銀行と福岡シティ銀行の経営統合の話ですけれども、後刻発表があるようですが、具体論はまだ仰れないので一般論で結構なんですけれども、先日、大手銀行への特別検査の結果を発表されて、その際、地方の金融機関について合併の推進ということを打ち出されておりますが、そういう中でそういう動きが出始めており、非常に早いのかなという感じがして、大手行の不良債権処理が地銀にも広がっている、加速しているという、こういう状況について大臣はその辺どういうふうにお考えなのでしょうか。

答)

特別検査の位置付けについては、何と言うか、やや私共の考えているところが正しく伝わっているかなという懸念を持っています。それはどういうものかと言いますと、まず通常検査もきちっとやっているわけですね。ところが通常検査というのが、やはりちょっと確定決算の適正さを見るということで、どうしてもそこにタイムラグがあるということで、それはある種システムから本来的に出て来てしまう結果なんですが、そのタイムラグを埋める必要があるということが顕著に認められるものを特別検査の対象にしたわけですね。ですから、顕著なギャップ、タイムラグによるいろいろな障害というものが認められないものについては、私共としては従来通り通常検査の充実で対処して行くべきものだろうと思っています。極めて例外的なものであるべきだというふうに思っているわけです。

従って、これを何か通常化するとか、あるいは凄い広範囲にこれを拡大するとかというような考え方は、本来必要がないわけですね。そういうふうに考えておりますので、それとの関係ということで合併等の促進のことについて考えられるというのは、ちょっと私共として何と言うか、そういうお考えは我々は採らないなというふうに思って、その点をご指摘させていただきたいというように思います。

これはあくまでも我々の合併等の促進策にも非常に、たまたまでしょうけれどもそういう動きがあるのかないのか、私はこれはまだ確認はしていませんが出てきているということならば、そういうふうなことだと。これはあくまでも収益力あるいは経営基盤、財務基盤、こういうようなものの強化ということに関わっている問題だというふうに理解をしたいというふうに思っています。

問)

一般論で結構なんですが、こういうふうな動きについては評価されるということでしょうか。

答)

そうですね。

問)

立入検査の件なのですが、これは毎日「みずほ」側から報告が上がって来ているとは思うのですが、それだけでは不十分と判断して立入検査を行うという認識でよろしいのでしょうか。

答)

不十分か十分かということだって、ある意味で物理的な混乱もあったということですから、それを頭の中で「ああでもない、こうでもない」と言って、我々が報告を受けて理解というか、頭で受け止めていろんなその上での措置をするということ、あるいは特に再発防止策を検討するというようなことより、やはり現場、オンサイトでいろんな説明を受けて、きちっと我々の立場から問題整理をするということが必要だというふうに考えたということです。

問)

その立入検査なんですけれども、決済に関わることなので日銀考査との連携などは考えていらっしゃるのでしょうか。

答)

これは日銀にも当然申し上げ、調整をしなければいけないし、また、した方がいいだろうと私は考えていまして、当然そうしたことについても進めたいと考えています。

問)

以前、同じ様な障害があったUFJですとか、あるいは統合のスケジュールを抱えた三井住友等々、そういった銀行についての検査はどのようにお考えですか。

答)

これはもう、例えば三井住友については通常検査をこの前やりまして、それはしかも、今回やるのは一部のリスクに絞った検査で、いわゆる総合的検査ではないという意味ですが、この前の三井住友の検査は総合検査であったというふうに、まあ皆さんにもご報告していると思いますが、そういう検査でありました。従ってその中で当然将来の統合に向けたことについてもいろいろと検査をさせていただいております。

従って、今度のことは、特に「みずほ」のトラブルをオンサイトできちっと見てということで、もちろんこれから起こる統合に向けて資料を収集出来るということは考えておるし、それをまた活かしたいという気持ちも当然のことながらあるわけですが、ちゃんと検査しているものをもう一回検査に行くということではなくて、今回のトラブルをきちっとトレースしておく必要があると考えているということです。

問)

検査の立入が来月の上旬ということなんですけれども、今回のトラブルに対する金融庁の対応のスピードの遅さという点が一つあると思うのですが、まあ3週間近く経っているのですけれども、これだけの深刻な決済トラブルの中で、まだ監督当局として正確な状況が把握出来ていない。それに立入検査にしても、例えば来週とか、すぐ入れないものなのかどうなのかという点なのですが、行政の対応のスピード感について大臣はどう考えていますか。

答)

そうでしょうか。かなり見解が違うと思いますね。いろいろ仕事をして、とにかく復旧と正常化のために全力を挙げていると、みんなふらふらしているくらい本当に全力を挙げて、まあ当然のことですけれども、作業しているところに新たなロードをかけるということは私は適当なことだとは思いません。この立入検査は非常に早い段階で決定しております。しかし、実際の(立入の)タイミングは、これはやはりきちっと事態が静穏化した後に行くべきだろうというのが私の判断でした。

(以上)

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