柳澤金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成14年5月10日(金)9時52分~10時10分)

【閣議案件等】

本日の閣議ですけれども、平成14年版外交青書、ODA白書2001年版、それから静止衛星ひまわりに対するアメリカの衛星からの支援についての合意、それから新技術を利用する等の新規産業関係中小企業への特別補助金が昨年の180億円より、本年は250億円と大幅増額なので、これの活用方について協力を求めるという発言がありました。それから塩川財務大臣が上海に「ASEAN+3」でいらっしゃるので、代理に私柳澤が指名されました。ここまでが閣議です。

閣僚懇に移りまして、大陸棚は経済専管水域をはみ出しても領土的な権益を持てるわけですが、最近、日本の多分太平洋岸だと思いますが、日本の国土の1.7倍くらいの大陸棚があるというような状況が分かって来たので、これを2007年までに国連に報告をしないと権利の留保が出来ないということでした。それまでに資源の所在等についての資料をがっちり詰めないといけないと、そういうようなことなので、これは今海上保安庁の船2隻でやっているのでとても間に合わないということで、関係閣僚の協力を求めるという話がありましたが、これに対しては内閣官房副長官補の浦部氏を中心に、内閣で体制を組んでその推進をして行くということでありました。

それから瀋陽の総領事館の事件につきまして、外務大臣の報告があり、これについて関係閣僚からいろんなご意見やら質問やらがありました。それとの関連で財務省のマスターキー紛失の処理状況についても報告、まあご報告というのではなくて「俺のところもなあ」というような話がございました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

閣議後に官房長官と会われたと聞いているのですが、どういったことをお話になったのかお願いします。

答)

まあちょっと、最近の状況について報告をしたということです。

問)

「みずほ」とか、そういったことについてですか。

答)

そういった絡みです。

問)

その「みずほ」なのですけれども、5月7日に2度目の報告がありまして、どのように受け止めていらっしゃるのか、それから検査に8日から入られましたけれども、一段落したところで検査ということでしたが、一応、安全宣言というのも変ですけれども、もう大丈夫というようなお考えなのか。それと検査については、一部には教訓にということで公表を求める声もあると思うのですけれども、それに対してどうお考えかお願いします。

答)

7日に報告が来たのですが、銀行サイドとしては復旧に全力を挙げて来たということで、現状だとか、そのトラブルの状況、それからその復旧振り、あるいはそれに対して採った措置という辺りが主たる内容で、その真の原因の究明というようなことについては、そういう時間的な余裕もないというようなことで、そういう意味ではそこの報告というまでには至らなかったというものであります。

しかし、実情はどうかと言えば、これはもう皆さんもご承知の通り、本当の一部ですね、例の口座振替のいわゆるデータの還元と言うのですか、そういった作業についての滞り分というようなものがあるようですけれども、基本的にはその日、その場の運用というものが円滑に、正常に稼動していると、こういう状況が実現出来ているということだと思っております。

そういうようなことを踏まえて、今回検査をいたしまして、おそらくこの検査で、まだ十分そこに行き渡った説明、報告がなかったと言われている原因究明というようなものについても当然しっかりした調査が行われるというように思いますし、それは、ある意味で銀行側との共同作業みたいな形でそういうものが行われることだろうと思うのです。それを官の側からしっかり評価し、「そうだ」という確認をして行くわけですが、そういった形の評価、検査が行われるだろうと、こう思いますね。

そういうことで、その検査の結果というか、そういうものの公表という話があるということですが、どういう格好になるか、検査の結果としてということか、検査を踏まえての銀行側の報告ということになるのか、あるいは検査を踏まえての監督側の報告ということになるのか、いずれにせよ私としては、実質検査で分かったことは、やはり皆さんに何らかの形で発表するということは、これは考えざるを得ないというように思っています。そういうことで、私としては「何が起こったのか」と、「それは何が原因だったのか」ということは、やはり国民の皆様に報告をするということはやらなければならないことだというように思っています。

問)

昨日、日米次官級協議がございまして、その中で不良債権処理についてあちらから指摘があったのですが、それについてどうお考えかお願いします。

答)

いや、まだ何がどう発言があったかということを、私はその報告を受けるべきことなのかどうかも良く分からないのですけれども、的確に報告は受けていません。新聞の見出しぐらいは見ていますけれども。いずれにせよ不良債権問題というものに関心があるということは分かったわけですが、当方出席者からはその処理の進捗振りについてきちっと説明をしているはずです。ですからそういうようなことで、私としては理解が進むことを期待していると、こういうことでございます。

問)

検査結果の公表なのですが、これは今回の「みずほ」に限ったことですか。それとも今後の検査についても公表していくということですか。

答)

いや、そこは検査結果の公表ということずばりだと、これはやっぱりちょっといろいろ難しい問題が絡んでくるということで、先程言ったように、実質検査の結果を踏まえたものではあろうけれども、形は監督の方にそれが移って、それを監督の方から発表するというようなこと等がありうるのではないかと、こういうふうに考えているわけです。ですから実質は検査結果の発表というようなことを直截にやった場合は、ではその他はどうなるんだというような話になりまして、これまで検査結果というのは言わないということを、今までも皆さんに御理解頂いてきましたし、これからもその原則を歪めるわけにはいかないだろうと、こう思っています。

しかし、世の中の関心が非常に強いので、私としてはとにかく検査で分かったことを踏まえてそれに監督等の見地も入れたところで、発表するということかなと、今、この場でちょっと思いつき的に言ったのですが、いずれにしても、検査の内実というものを踏まえた報告を何かの形で致さなければならない話だと、こういうように思っているわけです。

問)

ペイオフ実施1カ月ということで、データから見ると、預金が大手中心に流れていると、そういう傾向が出ているのですけれども、これについての御感想と、理由はどういうふうに分析しているか、お願いします。

答)

何と言うか、従来もずっと大手が預金全体の伸びに対して、私の記憶ではほぼ大手はその2倍くらい、そういうテンポで伸びております。ですからそれと比較して、今どうなっているかということまではあれですけれども、地銀は横ばいということのようですね、大体。第二地銀が若干減少というようなことで、これは第二地銀については破綻をしているようなところも含んでおりますから、若干それの影響もあるかもしれないというように思っています。ですから、正確な知識に基づいての預金の移動というのは、そもそも健全なことだというふうに前から言ってきたわけですけれども、そういったことの範囲の中に入っていて、今すぐ何かが問題ということではないように考えています。

問)

4月に衆議院の審議の中で「みずほ」の報告について虚偽報告があったというふうに発言されていますよね。これは何か具体的な根拠があってそのように仰られたのですか。その辺を伺いたいのですが。

答)

これは要するにこちらからはかねてから申しているように、「大丈夫か、大丈夫か」という駄目押し的な確認を取ったわけですが、いろいろ不具合というか、完全円滑に流れていないことが現に起こっていたわけですが、そういうことについては触れないでいると。対策本部への報告も「概ね順調に」と、「概ね」というのが入っているんですね。これは内部の話ですけどね。私共のところにも、多分そういうことなのかなとも思いますが、いずれにしてもそういった具体的に不具合が起こっていることについての報告はなかったということがありまして、「そういう事実だけを見ると」ということをあの時も言ったのですけれども、やっぱり結果としては嘘になっているのではないかという単純な話ですね。

だから何と言うか、それにどれだけの意図的なものがあるのかというようなことをこれからきちっと検証してみたいというふうに思っています。事務当局は、意図的なものはなかったのではないかということを言っているし、報告でもこの程度の不具合だったら、その当該の日に解消できるものだという判断をした上で、報告もし、手続きを進めてきたということのようですからね。そこはどう評価するかということだと思うのですが、私としてはきちっとその辺のことを検査において評価してもらいたいと、そう思っているわけです。

問)

意図的なものがあるとしたら、そこは非常に責任が重いと思うんですけどね。

答)

そうですね、そういうことだと思います。

問)

先程の閣僚懇の話で、瀋陽の発言がいろいろとあったということなのですが、大臣ご自身は何か発言されているのでしょうか。

答)

私は致しませんでした。

問)

大臣はどのように御覧になられていますか。

答)

これはちょっと、ある意識の下で発言を差し控えていますので、今回も差し控えたいと、こういうふうに思います。

ハトが豆鉄砲を食ったような顔をしている人が多いので申しますと、何か発言すると、私共いろんなものを、私自身の行政で周辺の問題についていずれにしても今、手がけているものがありますからね。そういう手がけているものとの関係で何かバイアスを感じさせるようなことは差し控えた方がいいというのが私の判断です。実際に申しません。

問)

「みずほ」の検査の結果と、実際の問題なのですけれども、実際の技術的な問題と、やっぱりもう一つ浮き彫りになっているのは内部のきちっと統制していなかった問題と、3行の中の抗争みたいな要素もあると思うのですけれども、そういうものもやっぱり検証されるのですか。

答)

そうですね。私は客観的に今、質問された記者が言われたことをコンファームした上で答えるわけではないですよ、わけではないのですが、全体として、検査をして、評価をするということの中に、場合によってはそういうものも視野に入るのか、入らないのか、それはもう検査のプロセスの中で適切に判断してくれるものだと、こういうように検査官がですね、判断してくれるものだと思っています。

(以上)

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